著者
会沢 実 練 林 飯田 元 井上 克郎 鳥居 宏次
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.111-112, 1994-03-07
被引用文献数
1

大規模なソフトウェアのソースプログラムは,開発,保守のそれぞれの過程を通じて頻繁に変更を加えられる.変更されたプログラムの履歴からバグの作り込まれた時間の特定などの解析を行なう際,バージョン間の差分を求めるツールは非常に有用なものである.開発者は,プログラムテキスト間の差分を基にどの部分に変更が加えられたかを知ることができる.このようなプログラムの差分を求めるツールとしては,UNIXのdiffなどが広く用いられている.diffでは行単位のストリング比較を基にして差分を求めている.しかし,Cのプログラムのようにブロック構造を持つテキストの差分を求める場合,ネストの深さの変化や制御の流れの違いなども開発者にとっては重要な情報である.diffの差分の計算方法では,このようなプログラムの構造に関わる変化の有無をとらえることは困難である.本研究では,構文木の比較を基にしたプログラムテキスト比較ツール(progdiff)の試作を行なった.progdiffでは,ユーザがプログラムの階層構造の変化を容易に把握できるよう,表示方法についても工夫している.progdiffの入力は,C言語で記述されたプログラムテキストであるprogdiffは主に次の3つの部分から構成される.(1)入力された2つのCプログラムからそれぞれに対応する構文木を生成する.(2)木の比較アルゴリズムを利用して2つの構文木の各頂点の最大の対応を求める.(3)対応のとれていない頂点を両者の差分として,プログラムテキストの形で表示を行なう.次章以降において,ツールを構成するそれぞれの部分について説明する.
著者
妙木 裕 松本 裕治 長尾 真
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.17-18, 1991-02-25
被引用文献数
12

ユーザカスタマイズ可能な汎用日本語辞書データシステムと、それを利用した形態素解析システムについて述べる。日本語辞書データシステムは、木構造形式の辞書ファイルと、そのファイルを操作するCのライブラリ関数から構成される。木構造辞書ファイルは、ユーザが用意したテキスト形式の辞書から構築され、任意のカスタマイズが可能である。形態素解析システムの主要部分はLAX [杉村他88] のアルゴリズムを用いてPrologで記述されており、辞書の検索に際してはCのライブラリ関数を呼び出す。その解析結果は形態素により構成されたラティス構造として得られ、いくつかのヒューリスティクスを用いて曖昧さを減少させることもできる。出力はProlog上の構文解析システムSAX[桜木・杉村86]への入力として利用されることを想定しているが、テキストデータとして得ることも可能である。
著者
工藤 幸一 三野 雅仁 安井 裕
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.675-676, 1988-09-12

我々の研究室では,1979年以来Lispの高速処理を目的としてLisp並列処理マシン-EVLISマシン-の試作・研究を行っている。既に,Lisp並列処理のインタプリタ,コンパイラが完成しており,その高速性が示されている。 本稿では,従来からの並列処理を意識したリストセル及びフレームの管理方式において,新たに共有メモリ上のフリーセル及びフリーフレームを,各々プロセッサに対して分散化した方式について,その実行結果とともに述べる。
著者
田中 康仁
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.57-58, 1996-09-04
被引用文献数
2

機械翻訳の基礎的知識(Basic Knowledge)としては単語、複合語、専門用語、概念、概念と概念の関係、慣用表現等が考えられる。個々に研究を進めなければならないが、私の考えでは複合語と慣用表現の対訳付データの大量の収集と研究、体系化がなかなか進んでいないと考える。これは機械翻訳の応用分野がある特殊な分野に限られているためで、広くて一般的な分野に移れば、この分野は重要な問題になると考えている。数量としても数万から数十万の慣用表現データが必要である。また高級な知識とは:「水は摂氏℃0度で凍る」とか「アメリカは原爆を日本の広島と長崎に落とした。」「その結果、数十万の人々を殺した。」というようなものである。高級な知識、又は基礎的な知識の中間に位置するようなものも考えてゆかねばならない。例えば諺等がそれである。
著者
若松 直樹 清水 洋子 玉木 裕二 小尾 俊之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.223-224, 1996-09-04

形式的仕様記述を用いて動作仕様を定義することにより、ソースコードの自動生成や仕様検証等の支援を可能にする研究が盛んに行われている。しかし、それら高度な支援を実現するために人間にとっての理解性を犠牲にして計算機にとって解釈が容易なものにする場合が多い。一つのシステムを複数に分割して記述した時、各仕様からソースコートを生成する際に、仕様上で同じ名前のものをソースコート上でも同じ名前にしなければならない。そのためにはネーミングに規則を設ける必要がある。また、検証を行うために、名前の意味を解析できることは重要である。ソースコードへの変換を考慮したり、記号に意味を持たせて、仕様上の名前に付加し、それにより解析を可能にするという規則は、人間にとっての理解性を低下させる。これを改善するために、我々日本人にとって最も理解しやすい日本語の文章で仕様を記述するネーミング手法を提案する。本報告では仕様上に記述された日本語の名前をソースコート上の名前に変換するためのネーミング規則、およびその解析アルゴリズム、また本提案による効果について、ATM (現金自動取引装置)向けCASEツールへの適用における、特にメッセージ名を例にとって述べる。
著者
彭志春 邑本俊亮 潮田浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.9-11, 2013-03-06

W3C(World Wide Web Consortium)は2008年にHTML5の草案を公開し、2014年にHTML5の最終勧告することにしている。HTML5は、これまでのHTMLに比べ、多くの機能が優れているが、非常に注目される機能の中に、「Canvas」がある。この機能により、ウェブサイト内で3Dグラフィックスを使用し描画することが可能になる。一方、人間は3次元空間内に情報を配置された場合には、2次元的に配置されているよりも、情報の記憶がすぐれていることが多くの研究で報告されている。また、3DのUIの方が2DのUIよりも作業効率が高いことも検証されている。本研究は、3Dを使用したECサイトのプロトタイプをデザインし、それを使用する際のユーザの情報探索プロセスを解明することを目的とする。
著者
竹渕瑛一 山田泰弘 鈴木浩 服部哲 速水治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.381-383, 2013-03-06

昨今,いくつかのWebAPIを組み合わせることで新たなWebサービスを立ち上げるマッシュアップの事例が増えている. 提供されるWebAPIの多くは,特定のURLに対しリクエストを発行することによって,リクエストに応じたデータを得られる方式を採用している.取得時の処理はサーバサイドで行われている. 本研究ではWebAPIをクライアントサイドで動作させる方式の検討と評価を行った.試作システムとしてPixivを対象に提案方式によるWebAPIを実装した.従来方式ではWebAPIをサーバサイドで動作させるが,提案方式ではクライアントサイドにWebAPIを設置し,逐次サーバサイドのWebページにアクセスすることでデータを取得する.
著者
戀津魁 伊藤彰教 三上浩司 近藤邦雄 菅野太介 金子満
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.605-607, 2011-03-02

映像作品を制作するにあたって,初めに作成される情報としてシナリオがある.シナリオなくして映像制作をするのは非常に困難であり,シナリオ執筆は必須の作業と言える.しかし,シナリオを記述するためにはキャラクター設定やエピソード等膨大な情報を考え,記述したものを管理する必要があり,シナリオ執筆自体にかかる以上の労力を必要とする.そこで本研究では,PHPとMySQLデータベースを用いてシナリオライターの情報管理を補助するシステムを開発した.Webブラウザを介して執筆過程の情報を随時データベースシステムに登録し,好きなタイミングでユーザーが参照できるインターフェースを作成した.また,記述された情報を自動的にシナリオの体裁を整えた形に表示する機能を実装した.これによって,多種・多数に渡る中間生成物をシステムが管理するためライターの負担を軽減し,また執筆完了後は記述された情報を効率的に参照できる形として出力可能になる.
著者
若鳥 陸夫 田中 道夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.424-425, 1997-09-24

著者らは, 仕事であるCALSの電子文書の研究[4]の一部として, 自分らの活動状況及びその成果をWWW[5]で広報する役割りをもっている。しかし, 文面だけにせよSGML文書[1][2]にせよ、WWWによって提示するためにISO-HTML[3]変換をし, 必要箇所に投錨(anchor)して、案内などの参照を迫加する必要があり、労力を要する。そこで、HTML変換に若干の発見的な経験則(heuristic rules)を加えて、手作業の支援を行なえるような模型を作成実験し、自動化率を向上したので報告する。
著者
杉野 順清 飯田 三郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.970-971, 1990-03-14

計算可能なアルゴリズムは,λ式で表現することができる.また,そのλ式はコンビネータという一種の組合せ演算子に変換できる.我々は,このコンビネータ式を直接実行するコンビネータマシンを開発中である.本稿では,このコンビネータマシンのためのプログラミング言語JCの設計方針およびそのコンパイラについて報告する.
著者
松田直子 高山毅 佐藤永欣 村田嘉利 大上藍
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.741-743, 2011-03-02

近年,視覚・聴覚などの五感のいずれかを用いたデータベース検索の中で,嗅覚・味覚を用いた研究が活発化している.著者らの研究グループではこれまで,微妙な差異の表現が必要であるコーヒーのにおいに焦点を絞り,名詞と感性語を組み合わせた,柔軟に検索条件を指定することのできる方式を提案している.本稿では,においに加えて味も考慮し,所望のコーヒーを検索する効率がより向上する方式を提案する.そして,試作システムを用いた評価実験により,その有用性を示す.
著者
藤原 久永 平松 隆志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.511-512, 1986-10-01

プログラム開発の過程で使われる各種のツール(エディタ、アセンブラ、コンパイラ、デバッガ等)は通常機能単位で独立したものとなっている。このようになっていることの長所としては、少ないメモリーで動作する、汎用的に使用できる、自分の好みに合ったものが選んで使える等が考えられる。しかし補助記憶として動作の遅いフロッピーディスクを使用している場合はプログラムのローディングならびにデータの受渡しに要するオーバーヘッドが大きい、といった欠点もある。最近はメモリーが非常に安価になって来ているため少ないメモリーで動作することは長所でも何でもなくなってきており、むしろ大容量のメモリーを実装し、それをRAMディスクとして使用して動作の遅いフロッピーディスクの穴を埋めることが普通に行われている。しかしこの場合でも、これらのツール間でのデータの受渡し方が単一的なものに限られ複合的な機能を実現できないためコマンドの投入が煩雑になりその分効率が悪くなる、といったことは避けられない。特にデバッグの過程と編集の過程とには密接な関係があるため、デバッガ自身が編集機能、アセンブル機能を持っていればプログラム作成の効率が良くなることは容易に想像できる。このような観点のもとに編集機能・アセンブル機能さらにはコマンド履歴機能を持ったデバッガを作成した。
著者
小林哲二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.453-455, 2011-03-02

選挙のための電子投票については,投票所の電子投票機による電子化が一部の自治体で行われているが,「ネットワークを利用する電子投票」は日本ではまだ利用されていない.この発表では,その意義を考察し,それに関連して今後にシステム化の可能性のある事項を列挙して,問題点を考察する.次に,その内で比較的実現が容易と考えられる投票所入場券の電子化などを検討した結果を述べる.投票所入場券(投票所整理券)は,現在,郵送で行われているが,これを電子メールで実現することを提案し,暗号・認証技術で安全性を確保する場合の試作を行って,効果とリスク等を評価する.
著者
後藤 京一郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.579-580, 1986-10-01

ソフトウェアの品質の中で,特に信頼性を大きく左右するものとしてソフトウェア障害(以下,バグと称す)がある。ソフトウェア開発では高品質な製品開発をめざし入念な注意を払っているにもかかわらず何故かその意に反してバグが作り込まれてしまうのが実状である。では,このようなバグを撲滅していくためにはどうすべきか,昨今,バグ分析は品質管理の画から重要課題として各種手法が試みられているが,我々はバグを作り込んだ背景を探りその根本原因を究明して行くことが,より良い解を見出すことにつながるものと考えた。又,バグの中でも厄介なものはソフト開発中のマシンテスト段階で発見されるもので,これはテストの進行を妨げるばかりでなく,その原因調査などに多くの時間を浪費し開発効率を低下させる大きな要因にもなっている。本稿では,これらの経緯のもとに実際のソフトウェア開発中に発生したバグを対象にしてその原因分析を実施した事例について紹介する。
著者
小笠原 正彦 宮崎 佳典
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.711-712, 2009-03-10

現在のwebの特徴としてブログなどユーザーの手による参加が挙げられる.現在のブログは様々な機能を持っているが,数式に関してはプレーンテキストによる一次元記述か,画像化して添付ファイルとして載せる方法など直接二次元表記を行うことができない.本稿では, Javaアプレットを用いて二次元記述可能な数式作成支援ツールを開発し,ブログシステム上への実装を行った.また,ブログシステムヘの数式の反映については,数学用マークアップ言語であるMathMLを利用し,作成された数式に関する情報を維持可能とした.
著者
久田 俊哉 和田 豊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1735-1736, 1989-03-15

ISO(International Standardization Organization)で進められているOSI(Open Systems Interconnection)標準化が、下位層については実証段階を迎え、米国・欧州・日本などで実装規約(機能標準)が開発され、相互接続実験の計画や適合試験計画が進行中である。本稿では,通商産業省工業技術院大型プロジェクト「電子計算機相互運用データベースシステムの研究開発」の一環として住友電工で研究開発を進めているLAN/WANゲートウェイについて述べる。ゲートウェイの構成と機能については、第36回の本大会(昭和63年前期,講演番号7F-5)で報告した。今回は、昭和63年4月より同年11月の期間に大型プロジェクトで実施された相互接続実験を通じてゲートウェイを評価した結果について報告する。
著者
鈴木 健二 加藤 聰彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1035-1036, 1986-10-01

近年、パソコンが普及するにつれ、通信回線を用いた遠隔データベースからの情報検索、メイルセンタを介したメッセージ交換、パソコン間での文書やファイルの送受信等、パソコン通信が盛んになっている。これらのパソコン通信では、無手順、基本データ伝送制御手順、テレテックス手順等、各種の通信方式が採用されているが、 それぞれ一長一短があり、高速で伝送誤りに強く、全二重通信が可能な通信方式の導入が望まれる。一方、データ通信の分野では、パケット交換方式が定着してきた他、異機種システム間通信の実現にむけて、OSI(開放型システム間相互接続)の標準化が進み、CCITTやISOにおいては各種の標準が作成されており、今後ともそのプロトコルの制定が進められる状況にある。筆者等は、これまでにVAX11/780上で、OSIトランスポート、セション層標準の実装を完了しており、今回、パケットプロトコルX.25、X.32、OSIトランスポート、セションプロトコル等をパソコン上で実装し、公衆電話網やパケット網を介して、高速・全二重で信頼性の高いデータ伝送が可能なパソコン通信システムを実現した。以下に、本高度パソコン通信システム(μ-OSI)の概要を報告する。