著者
浜島 教子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.241-245, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5
著者
稲葉 ナミ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.32-38, 1959-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

1 家族数の少ない(2人家族)一般家庭の夫婦がひまで、家族数の多い(6人以上の家族)共稼ぎの夫婦が忙しいことは予想される通りであつた。2 夫の家事労働への協力をみると、平日は共稼ぎ家庭・一般家庭による差はほとんどあらわれず、休日には却つて一般家庭の夫が協力的である。共稼ぎ家庭の夫の家事労働は平日必要にせまられた半拘束的性格をおびるためであろうか。3 第1・2・3報を通して要約すると、何れの分類によつても、夫の生活時間構造には、共稼ぎ家庭・一般家庭による大きな差はないが、次の傾向がみられる。(1) 夫の家事労働については本要約2の傾向(2) 勤務時間が、共稼ぎ家庭の夫の方が長い傾向。たとえば、総平均においては17分の差であるが、子供のない家庭1時間20分、夫婦のみの家庭(家族の人数別では2人家族)1時間5分、子供がなくて家族と同居している家庭1時間56分、夫の年齢20歳代40分の差がある。これは、共稼ぎの夫は勤勉とみるべきか、家庭に帰つても妻は留守であつたり、家事労働に忙しかつたりで、家庭的くつろぎを感じることが少ないためとみるべきであろうか。(3) 共稼ぎ家庭は子供数が一般家庭の以下であり、したがつて家族数も少ない。(4) 共稼ぎの妻は平日、職業労働に家事労働が加わるので、最も忙しい生活を営み、夫達が十分の休養をとり余暇を楽しんでいる休日においても、家事労働のために相当の時間を費している。しかし、一般家庭の主婦に比べると、休日には稽々生活を楽しんでおることがうかがわれ、睡眠時間も生理的限界以下の妻はない。(5) 一般家庭の主婦は、休日のない家事労働のために平日休日共に労働時間が相当長く、夫との睡眠時間の差は共稼ぎ夫婦の差により多く、埼玉県下の共稼ぎ家庭の差に近い。このため生理的睡眠時間以下の主婦が6人以上の家族の家庭、夫が40歳代の家庭、主婦が30歳代の家庭にみられる。一般に労働時間が長くなれば、生活や生存にとつて重要度の少いものから時間が切つめられてくる.生物的生存にとつて最も重要なものは睡眠である。これが切つめられなければならないほど、労働時間が長いということは健康がおびやかされつつあることを意味する。忙しいはずの共稼ぎの妻の睡眠は生理的限界を保ち、むしろ一般家庭の主婦にこれをみたことは検討すべき問題である。ところが、内職時間をもつ一般家庭の主婦の労働時間をみると、家事労働時間が他の家庭に比べて短いことからも、主婦の家事労働に対する態度如何が、今後の問題として残されている。
著者
稲葉 ナミ 三東 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.212-217, 1963-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

共稼ぎ家庭と一般家庭の夫婦の生活時間調査を行ない5年前の同調査と比較して、次のような結論を得た。1 共稼ぎ家庭の夫婦の生活は、5年前より忙しくなったとみられるが、平日の夫のみ危険率1%で有意である。そのため、夫婦の生活時間構造は5年前より近似して夫も協力的になったと思われる。予想に反して、「家事労働時間」が夫婦ともに5年前より増加しているのは、家事手伝い人を得にくいためではないかと思われる。2 一般家庭の夫婦の場合は、夫は平日、5年前よりも忙しくなったようであるが有意差ではなく.休日には4者中最も休養的である。妻は予想通り「家事労働時間」が5年前より短縮し、経済も安定したためか、内職をするものは皆無で、そのため、主婦は5年前より「余暇時間」が増加したと、危険率5%でいえる。なお、「睡眠時間」は、平日の一般家庭の妻以外は減少しているにもかかわらず、平日には一般家庭の妻は僅かながらも増加していることからみても、主婦は十分に休養をとり、夫とともに余暇を楽しんでいるといえる。3 31年調査においては、夫達の生活には大差がなく、共稼ぎ家庭の負担は妻にかかると結論したが、本調査においては、共稼ぎ家庭は夫婦ともに休養率が低く、夫婦ともにオーバーワークである。4 平日は共稼ぎ家庭の妻・共稼ぎ家庭の夫・一般家庭の夫・一般家庭の妻の順に忙しく、各者間に有意差がある。休日は各々の妻はそれぞれの夫より忙しいといえるが、妻同志・夫同志の間には有意差はない。共稼ぎ家庭の夫婦の「全労働時間」の延長を何で補っているかをみると、「余暇時間」は案外減っておらず、「睡眠時間」を減らしている。これはラジオ・テレビなどの普及・レヂャーブームの影響によるものではないかと考えられるが、労働時間が長いにもかかわらず、「睡眠時間」か生理的時間以下であることは問題である。5 「勤務時間」が3者とも、前調査より増加の傾向にあることは研究すべき問題である。
著者
大森 和子 加藤 悦 伊藤 セッ 大竹 美登利 好本 照子 阿部 和子 天野 寛子 宮崎 英子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.206-212, 1979-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

The purpose of this paper is to analyze the present state of the managerial housework on food, clothing, housing, and childcare, and to clarify wives overall evaluation of housework. The results of analysis were as follows : 1) 65% of wives went shopping for food everyday, because it is their daily routine.2) Husbands of most wives helped with some housework, like making the bed, shopping for food and so forth. Husbands of employed wives helped more then those of non-employed wives.3) Though many wives valued housework highly, they thought that employment and hobbies were also important. Wives who valued housework very highly believed that children under three years old should be brought up by their mothers.
著者
稲田 準子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.394-397, 1968-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

1. 家事労働に影響する要因の一つとして、主婦の家事労働についての態度を調査し、生活時間や疲労考察の基礎資料を得ることを目的とする。2. 主婦347人を対象とし、調査用紙により、参考項目を含め14項目に分類した家事労働について、5段階法で好みを調査した。3. 好きとやや好きを好反応群、嫌いとやや嫌いを嫌反応群とし、反応率に基づいて家事労働を分類し、上位群 (洗たく。料理、掃除、裁縫) と下位群 (食事のあとかたづけ、アイロンかけ、家計簿) とを比較すると、他の諸調査と類似の傾向を示し、労働強度における一般的差はあまりみられず、上位群における機械化傾向に対し下位群では機械化が少ない。なお、作業順序からみると、下位群では一般に後にくるものが多い。4. 項目間の関係を調べるために、好みについて、12項目66の絹関係数を求めた。最も相関が高い項目は、掃除と洗たくで、相関係数.594であり、つぎに、身の回りと外出、掃除とアイロンかけ、洗たくとアイロンかけ、料理と身の回りがつづいた。5. 4人家族 (夫婦と子ども2人) について、家事労働時問を好嫌反応群別に比較した。好反応群が時間が長いのは料理、裁縫であり、嫌反応群の方が時間が長いのは、食事のあとかたづけであった。6. 年令別に、35歳以下 (若年令群) と36歳以上 (中高年令群) の群に分けて比較すると、料理が若年令群に、裁縫が中高年令群により好まれていた。7. 年令を、20歳台、30歳台、40歳以上と3群に分けて、好き反応を比較すると、料理、裁縫には年令に伴う変化がみられ、料理は20歳台に、裁縫は40歳台により好まれるという相反する傾向を示した。掃除については2群比較では統計的に有意差がみられなかったが、3群比較において、裁縫と同様、年令の増加に伴い好き反応が増加する傾向を示した。家計簿については、3群間に統計的に有意な差はみられなかった。8. 家事労働についての好みと、家事労働の内容、家事労働時間との関連については、今後さらに検討報告したい。
著者
山田 光江
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.162-168, 1961-06-15 (Released:2010-03-09)

1. 「家庭生活の在る処家事労働あり」の立場で、大阪市内在住の夫・妻・就学子女から成る家庭を対象に家事労働の担当状態を調査した。2 併せて生活概況を調査し、女中のいる家庭といない家庭の生活程度の差を解析した。3. 分類の基準を設定し、95%信頼限界での本対象数の下限を算出して、集計結果を次の項目に分けた。(1-a) 主婦業務のMinimum Esseme(1-b) 女中に委せ得る家事内容(2) 家族の協力を得られる家事内容(3) 外部サービス機関に委託する家事内容(4) 生活条件によってあったりなかったりする家事内容4. 各分類項目毎に、共通の傾向を探り、そこに含まれる諸要素を考察した。5. 各生活部門別にみると、食生活部門は(1-b)、住生活部門は(1-b)と(2)、衣生活部門は(3)、雑部門は(1-a)に数多くのものが分類され、ここに家事労働の質的分類を、担当する側からと、各生活部門の側からと検討した。
著者
富安 郁子 浦上 智子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.451-457, 1977-10-20 (Released:2010-03-11)
参考文献数
18

極度に加熱した油とその揮発生成物中に毒性物質が存在するという最近の報告より, 揮発生成物の分析によって天ぷら油の安全使用の指標を得ることができるか試みた.大豆油を継続的に180℃で30時間加熱し, その間にじゃがいも, 鶏肉, 豆腐, 鯨肉, 鯖, ピーマンと水を添加した綿球 (対照) をおのおののたねものからでる水分量を一定になるように調節しながらフライした.このように調整した試料油の揮発物を直接に二硫化炭素中へ導く窒素気流で蒸留し, その濃縮物をガスクロマトグラフィー (GC) とガスクロトグラフィー-質量分析計 (GC-MS) で分析した.GCによるピーク数および相対的量には試料油間にはっきりした違いはなかった.低沸点部ではアルカナール, カプロン酸1-オクテン-3-オールが, 高沸点部ではデカナール, デカジエナール, 7-フェニールヘプタノイック酸が検出された.7-フェニールヘプタノイック酸は毒性があると考えられる.加熱時間が増加するに従い低沸点部は減少し高沸点部は増加の傾向を示した.揮発物のTLC分析 (ベンゼン, ヘキサン, 酢酸, 70 : 30 : 2) の結果3つのスポットを得たが, Rf値0.4のスポットは上に述べたフェニール化合物を含み278nmに強い吸収を示すことがわかった.
著者
松元 文子 林 恵美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.68-70, 1958-04-05 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

天ぷらの味のうち、特に衣のおいしさについて実験した結果、次のことが明らかになつた。1. 小麦粉は上質薄力粉を用い、副材料として卵を用いれば、小麦粉だけを用いた衣よりも水分少く、口ざわりがよい。重曹を用いると衣の水分が一層少く仕上り、且つ衣の表面の吸湿は極めておそいので、これらの点に於いては卵に優るが口触りが硬すぎる。卵と重曹を併用すれば両者の長所を採り入れることが出来るであろう。2. 天ぷらの衣に於ける水分と油の含有量は副材料の種類によつて互に消長するもので水分多ければ油少く、水分少ければ油が多く衣の口ざわり(歯もろさ)は、水分と反比例的である。従つて、おいしい天ぷらの条件としての“油じみていない”ということは、必ずしも吸油量が少いという事ではなく、付着油即ち油切れの問題であろう。(この点については次報で述べたい。)3. 揚げたての天ぷらがおいしい理由は、喫食時の温度にあるのはいうまでもないが、衣に卵を用いた場合は、表面の水分の増加以前を尊重するためと考えられる。
著者
向井 由紀子 橋本 慶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.622-627, 1981-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1) 伝統的なA型の持ち方は, 対象物がこわれやすい場合や, 2種の試料を交互に運ぶような複雑な作業の場合に, 失敗が少なく作業能率もよいこと, また焼魚の肉をわけるなどのように箸もひらいて用いる場合も鉛筆式の持ち方であるB型よりも早くできることがわかった.2) 自然に箸を持った位置とひらく作業後の箸を持った位置をみると, A型では指先の移動が少なかった.このことよりB型は作業時に箸を持ちかえるのに対し, A型はそのようなごとが少なく安定した持ち方といえるのではないかと考えられた.3) 箸先をひらく作業では測定筋のうちで背側骨間筋の筋活動度が大きく箸先をひらいて用いる場合の特徴と思われた.4) 伝統的な箸の持ち方では鉛筆式の持ち方に比べて短母指外転筋の活動度が大きいが, これは第一指で一方の箸を固定すると同時にもう一方の箸を動かすためと考えられ, 伝統的な持ち方の特徴であると思われた.
著者
鍜島 康子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.291-296, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

In this treatise, which is based on the previous paper about development of women's readymade dresses in America, I intend to point out the characteristics of costume design in the course of the popularization of the ready-made garments in Japan. As the chief data for research, statistics of garment production are used. Then six articles of clothing are chosen that represent the characteristics in wearing costumes at present. It follows that the industrialization of garments during the years from 1958 to 1969 was influenced by the steady increase in the market of the younger generation who liked 'separates', and their characteristics have affected costume design. Consequently it has lessened the individuality of clothing. Because 'separates' have been in great demand in Japan, this new trend is received easily.
著者
白木 まさ子 貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.651-657, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

最初に, A法 (卵白のみをおもに起泡する別立て法1), B法 (卵白, 卵黄を別々に起泡する別立て法2), C法 (全卵を起泡する共立て法) によって調製したスポンジケーキの品質について比較検討した.次に, これらの調製方法との関係において, 小麦粉混合のための攪拌の程度およびケーキ生地の放置が焙焼前のケーキ生地の安定性に及ぼす影響を知るため実験を行った.1) A法とB, C法の間に相違がみられ, B法とC法は似た傾向を示す.A法によればケーキのきめは密で均一性にすぐれているが, 比容積が小さく, ややかためとなる.外形は中央部が高い山型で, 表皮の焼き色は黄褐色を呈する.B, C法はきめが粗く, 均一性ではA法に劣るが比容積が大きく, A法に比べやわらかい.外形はなだらかな直線型で焼き色は褐色である.2) (卵+砂糖) 攪拌液と小麦粉を混合するときは短時間の軽い攪拌が望ましい.C法ではさっくり軽く混ぜる程度 (G-Emixer, No. 1で15秒) にとどめるべきであり, A法ではC法以上の攪拌 (G-Emixer, No. 1で30秒) であってもよい.しかし, 過度の攪拌 (G-Emixer, No. 1で1分) になると比重の増加, 粘度の低下が著しい.3) ケーキ生地の放置は, A, B, C法とも40分以内であればケーキ生地の安定性にほとんど影響を与えない.しかし放置60分ではケーキ生地の比重と粘度の増加が認められる.
著者
島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.120-124, 1974-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

アミノ酸が揚げ油の色や匂いに及ぼす影響について検討し, 次の結果を得た.1. アミノ酸添加により大豆油はやや黄色味をおびた.生じた匂いは一般的に生ぐさみをおび, あまり良い匂いではなかった.2. 新鮮油に対するアミノ酸の影響はあまり大きくなかったが, 加熱油の色に対する影響は著しく大きかった.すなわち, 200℃, 5hr撹拌加熱した大豆油で, グリシン0.02%を180℃10min揚げた場合の色の変化は, 新しい油でグリシン2%を180℃30min揚げた場合の色の変化に匹敵した.3. グリシンを油の0.02~0.5%揚げた加熱油は, その量の増加および温度の上昇に伴い著しく褐変が進み, 強い匂いとなり, 油中の2-ヘプテナールの割合が減少した.4. アミノ酸による着色の著しい油ほど, 油中の2-ヘプテナールの減少が顕著であった.
著者
笹倉 栄恵
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.160-165, 1970-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

Comparative studies on top note (the first impression of scent) of eleven kinds of black tea sold on the market were carried out. Aroma patterns were obtained by cryogenic vapor phase chromatography and acceptability was judged by organoleptic test. Correlation between prices and acceptability was also discussed. Comparing aroma patterns with acceptability of eleven kinds of black tea sold on the market, it was con cluded that linalool, n-pentanol, iso-pentanol, acetaldehyde, dimethylsulfide and ethylacetate contributed to the acceptable top note of black tea. It also was made clear that flavor-enriched black tea was easily recognized by cryogenic vapor phase chromatography because its aroma pattern was distinctively different from that of no-flavor-enriched black tea. The prices do not always guarantee the acceptability of black tea.
著者
中里 トシ子 宮崎 一恵 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.223-228, 1984-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

かき卵汁の清澄度について検討した結果を要約すると次のとおりである.1) 水を用いたかき卵汁と煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, しょうゆを加えた汁以外のかき卵汁では, 煮出し汁を用いた場合に清澄度が高いことが危険率1%で認められた.水を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 調味料無添加の汁が最も低い.煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 食塩, しょうゆを加えた汁は無添加の汁より低い.2) 卵濃度5%のかき卵汁では, 食塩濃度が増加するにしたがって清澄度が低く, 卵濃度を10%にしたかき卵汁では, 食塩濃度1%の汁の清澄度が高い.3) 汁の中に卵液を加えるさい, 卵の加熱温度が高くなるに従って清澄度は高い.4) 卵黄のみを用いたかき卵汁では, 98℃前後で加熱しても汁全体が白濁して清澄度が低い.卵白のみを用いたかき卵汁は, 清澄度が高く, 80℃で加熱した場合でも全卵で98℃前後で加熱したかき卵汁の清澄度とほとんど同程度である.5) 産卵当日の卵は, 清澄度にばらつきがみられるが, 産卵後7日前後経過した卵を用いた汁の清澄度は高く, 安定している.6) かつお節使用量1%より2%の煮出し汁を用いたかき卵汁のほうが清澄度は高い.
著者
寺元 芳子 塩田 育子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.384-388, 1966-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1. 完全糊化した澱粉糊は半糊化のものにくらべ、粘弾性、ゲル化速度が大で調理操作可能範囲が狭い。したがって、くずざくらは半糊化の澱粉糊で、あんを包み蒸して完全糊化させる方がよい。2. 半糊化にする方法は全体を半糊化にするよりも一部を完全糊化させ、残りを懸濁液のままで混ぜ合わせる方が調製しやすい。ただし馬鈴薯澱粉糊は流れやすいため、全体を半糊化にする方がよい。3. 単独澱粉では次のような欠点が認められる。くず澱粉…手に付着しやすい。馬鈴薯澱粉…流れやすく成形しにくい。玉蜀黍澱粉…くず澱粉に類似している。4. 単独澱粉の欠点を補うために澱粉を混合して用いることは効果がある。混合割合は、くずと馬鈴薯澱粉、玉蜀黍と馬鈴薯澱粉とも3:1がくずざくらに対しては実用的配合と考えられる。
著者
倉賀野 妙子 長谷川 美幸 和田 淑子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.307-314, 1984

クッキーについて, 定速圧縮破断による破断特性を明らかにするとともに, これらの基礎的物性値が硬さ, もろさなどの官能評価の客観的指標となりうるかどうかについて検討した.<BR>クッキーは小麦粉濃度を40, 45, 50%の3水準とし, バター, 砂糖, 卵の配合比はScheff&eacute;の3成分系の単純格子計画法に従って, おのおの9試料とした.応力-ひずみ曲線の測定はダイナグラフによった.<BR>1) みかけの応力-ひずみ曲線は材料配合比により著しく異なった.また, クッキーの破壊はみかけの破断ひずみが0.19~0.33cm/cmの少ない変形領域で発生し, みかけの破断応力は1.08~5.73×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, みかけの破断エネルギーは1.09~6.05×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であった.<BR>2) みかけの破断応力<I>P<SUB>f</SUB></I>とみかけの破断エネルギーEnの間には高い相関が認められ, 回帰式<I>E<SUB>n</SUB></I>=-0.21+0.97<I>P<SUB>f</SUB></I>を得た.<BR>3) クッキーの材料配合比とみかけの破断応力, みかけの破断エネルギーとの間におのおの3次の推定式, 推定曲線を得た.<BR>4) みかけの破断応力<I>P<SUB>f</SUB></I>と官能による硬さの評価値<I>S<SUB>H</SUB></I>, みかけの破断エネルギー<I>E<SUB>n</SUB></I>と官能によるもろさの評価値<I>S<SUB>B</SUB></I>との間に, おのおの<I>S<SUB>H</SUB></I>=6.33log<I>P<SUB>f</SUB></I>-2.47, <I>S<SUB>B</SUB></I>=-3.46log<I>E<SUB>n</SUB></I>+1.18を得た.定速圧縮破断時のみかけの応力-ひずみ曲線から, クッキーの硬さ, もろさで表せる官能特性の程度を同時に推測できることが示唆された.
著者
河村 フジ子 松崎 紀子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.270-275, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

牛乳の熱凝固におよぼすキャベツ汁の影響をみた結果を要約すると次の通りである.1) キャベツの生汁は, 牛乳を凝固させやすく, 次に加熱汁, 加熱浸出液の順であった.2) キャベツは産地によって成分, 緩衝能に個体差がかなりあり, 汁にした場合のpHが低く, CaおよびMgの多いもの程牛乳を凝固させやすい.3) 緑色部の多いキャベツは, 汁のpHが低く, Ca およびMgが多く含まれているので牛乳を凝固させやすい.4) キャベツは, 包装して貯蔵すると鮮度が保持できて, 牛乳を変化させにくい.5) キャベツを煮る時, 細かく切ると, 短時間に成分が溶出し, ふたをして煮ると酸がふえて汁がにごり, 食塩を加えて煮ると, 酸は少ないがpHが低下し, Ca, Mgの溶出量が増加し, 汁の透明度は増す.6) キャベツ汁に牛乳を加えて加熱する時, 90℃以上で長く加熱すると, 牛乳は変化しやすい.
著者
田附 きつ 塚中 和恵
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.93-101, 1985-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12

ヤマノイモ3品種群, 4種類の長薯, いちょう薯, つくね薯(大和薯)およびつくね薯(市販・静岡産)を用いた饅頭の皮を調製した.上記のほかに, 対照としてつくね薯(市販・静岡産)を専門店で調製させた.各種ヤマノイモは卸し金法で卸し液を調製し, あらかじめ回転粘度計で粘度測定した.饅頭の皮はレオロメーターで硬さおよび付着性を測定し, 10℃, 108時間保存後の変化も測定した.また膨化率を測定した.最後に順位法により官能検査を実施した.これらから次の結果が得られた.1) 3品種群とも卸し液流動特性は降伏値をもつ擬塑性であった.粘度の大きさはつくね薯, いちょう薯および長薯の順で, つくね薯はワイセンベルグ効果を示した.2) 饅頭の皮のテクスチャーにおいて, 硬さはAがもっともやわらかく, 次いでE, D, BおよびCの順であった.付着性はAが非常に大きく, B~Eはほぼ同程度であった.3) 長薯使用の饅頭の皮は108時間の貯蔵後硬さが著増し, 付着性が激減して保存性がよくなかった.この饅頭の皮は官能検査ではやわらかで, 弾力性がよく, また経済性の点からも有利であるにもかかわらず市販に使用されていないのはこの保存性の不良によると考えられる.4) 饅頭の皮の膨化率はDがもっとも高く, 次いでC, B, EおよびAの順で, これは粘度の大きさの順と一致した.このうちDはワイセンベルグ効果を示したが, 従来饅頭の皮にDの品種, すなわちつくね薯がもっぱら用いられてきたことの一端が解明されたと考える.5) 饅頭の皮の官能検査は気泡, ふくれ, やわらかさ, 弾力性, しなやかさ, ねばっこさおよびおいしさの7 項目について順位法で行い, その結果をKramerの検定およびStudentのt検定にかけた.両検定は大筋では一致するが, 後者のほうがより細密な結果がえられた.試料Eは“気泡”の出方が有意に少なかったのは割れ止め処理をしてあったためである. “ふくれ” では試料Dが有意に膨脹の度合が大きく膨化率の結果と一致した.試料Bは“ばね状”は大きいが, “こわさ”があり, “ねばり”が少なく総評的に悪かった.