著者
赤沢 典子 鷹觜 テル
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.846-853, 1984-12-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
22

タンパク質摂取量とVEの有無が生体, とくに肝機能に及ぼす影響を明らかにする目的で, 離乳直後の幼若ラットを用い, 4群に分けて, それぞれ (1) 20%カゼイン・VE添加群, (2) 20%カゼイン・VE欠乏群, (3) 10%カゼイン・VE添加群, (4) 10%カゼイン・VE欠乏群とし, 9~13週間飼育し, 溶血率, 血清中の過酸化脂質, トコフェロール, GOT, GPT, A/G比, CPKおよび尿中クレアチンを測定するとともに, 肝臓の組織学的検索を行い, 次の結果を得た.1) 10%カゼイン・VEを与えた群のラットの発育は著しく遅滞したが, 体重当りの組織重量には大きな変化は認められなかった.2) 10%カゼイン・VE欠乏群のラットは実験開始後5週ごろから急死するものが現れた.3) VE欠乏群では, 溶血率の上昇, 血清トコフェロールの著しい減少と血中および肝臓の過酸化脂質の著しい増加が認められた.摂取タンパク量の違いによる変化は少ないが, 低タンパク・VE欠乏群の死亡直前のラットではとくに高い値を示した.4) GOTおよびGPT値はVE欠乏群で高い値を示し, 低タンパク・VE欠乏群ではさらに増加した.A/G比は, VE欠乏群, 低タンパク群とも著しく低い値を示した.5) VE欠乏群の肝臓では, 肝細胞や星細胞にリポフスチンやライソゾームの蓄積が認められた.低タンパク群では肝細胞に著しい脂肪化が認められ, 高度の脂肪肝を呈した.低タンパク・VE欠乏群でに肝細胞の脂肪化と壊死が認められた.低タンパクとVE欠乏によって死亡したラットおよび死亡直前のラットでは, 肝臓に広範な壊死巣が認められた.したがって低タンパク・VE欠乏による死亡原因は広範な食餌性肝壊死によるものと考えられる.
著者
稲葉 ナミ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.298-303, 1960

今後、尚研究をつづけて結論を得たいが、本考察によって<BR>1.家事労働のうちで最も多くの時間を要するものは炊事で、家事労働時間が短縮してもそれに応じて短縮できないので、家事労働時間中にしめる割合は増加している。<BR>2.主婦の家事労働時間の長短の調節的役割を果しているものは裁縫で、一般に教員より労働者、関東より関西の方がその時間が長い。<BR>3.アメリカの主婦の家事労働の時間とその内容についてみると、都市は農村に比べて、家事労働時間が短かく、家事労働のうちでは家族の世話と「その他の家事」が農村より多く、炊事・掃除・洗濯などの家事労働は農村より少ない。<BR>4.東京都の教員の妻の家事労働の傾向はアメリカの都市型に、大阪市のアパート住いの主婦はアメリカの農村型に近い傾向をもっている。
著者
支倉 サツキ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-14, 1977-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
69
被引用文献数
2
著者
岡村 浩 久保 知義 白山 琢持
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.135-141, 1980-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

1977年度ヨーロッパ諸国から入手した中小牛クロム甲革, 計50点を試料革とし, 化学分析値, 機械的性質および物理的性質を比較した結果, 大要次のようになる.1) 西ドイツのクロム甲革 (主としてボックス仕上げ) は植物タンニンあるいは合成鞍剤による再鞣処理程度が少なく, イダリアおよびフランスのクロム甲革 (アニリン仕上げ) は植物タンニンあるいは合成鞣剤による再鞣処理が十分に行われていることが認められた.シュリンク革は, 銀面の平滑なクロム甲革の化学分析値と比較して大きな差がない.スエード革は, 一般クロム甲革に比較して全油分の含有量が多く, 結合性加脂剤が多く使用されているものと考えられた.2) イタリア, フランス製のクロム甲革は, 1kg/mm2荷重時の伸びが大きく, 7mm高および銀面割れ時の荷重が小さい柔軟な革である.これと逆に日本製クロム甲革は, 引裂強さ, 7mm高および銀面割れ時の荷重が最高値を示し, 銀面が硬い柔軟性に乏しい傾向にあった.シュリンク革は, 銀面割れ時の高さが低く, スエード革は国別の差異は見いだされず, 一般クロム甲革に比較して機械的性質が劣っていた.3) 物理的性質では, 一般クロム甲革の耐水性と吸水度 (30分間) に差が見られ, とくに日本製のクロム甲革の耐水性は低かった.シュリンク革は, 一般クロム甲革に比較して, 耐水性が高く, 吸水度 (30分間) が低い値を示し, また耐屈曲性に劣る.スエード革では, 耐水性が著しく低く, 透湿性が比較的高い.
著者
桜井 映子 朝倉 富美子 伊東 清枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.689-695, 1985-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
18

淡雪かんの調製方法として, 卵白に90℃の寒天・ショ糖液を混合する場合の卵白タンパク質の熱変性の状態について, 電気泳動法を用いて検討した.あわせて, 卵白泡の性状および淡雪かんの安定性についても調べた.1) ショ糖無添加の寒天液を卵白泡に混合した場合には, 混合開始温度が70~90℃では, オボアルブミン, オボムコイド, グロブジン, コンアルブミン, リゾチームの各タンパク質に, 熱変性が認められた.2) ショ糖添加の場合には, ショ糖が20%以上含まれると, 90℃で混合を開始しても, 上記5種類のタンパク質には, 熱変性は認められなかった.3) 混合開始温度が90℃で, ショ糖濃度が高い場合には, 比重が小さく舌ざわりが軽く, また離漿率が少ない安定性の高い淡雪かんができるごとがわかった.
著者
横山 光子 宮崎 礼子 伊藤 セツ 相馬 信子 今城 治子 武長 脩行 内藤 道子 森 ます美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.126-128, 1980

1) 人事院標準生計費の食料費マーケットバスケットを一部修正し, 18歳程度男子 (東京) の1ヵ月の食料費を求めたところ, 24,362円であった.<BR>2) これを標準家族の消費単位 (女子栄養大学算定) で処理すれば, 24,362円× (4.63/1.34) =84,176円となる.<BR>3) これに加算すべき, 酒類, 飲料, 菓子の世帯合計が9,914円であるから, 合計94,090円が得られる.<BR>4) 第二子昼食の給食分を22食として, それを1) で得られた24,362円をもとに {24,362円× (1.36/1.34)} × {22/ (30.4×3)} =5,965円と推定し, 3) からさし引けば, 標準世帯の1か月の食料費88,125円が出される.
著者
大村 公仁子 赤羽 ひろ 中浜 信子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.22-27, 1978
被引用文献数
8

寒天ゲルの破断特性を検討するため, 定速圧縮破断試験により, 応力-ひずみ曲線を得, 破断ひずみ, 破断応力, 破断エネルギーを求めた。また, レオロメーターによるテクスチャー特性値およびカードメーターによるゼリー強度の測定を行い, 次のような結果を得た。<BR>1) 寒天ゲル, 砂糖-寒天ゲルの応力-ひずみ曲線は, ほぼS字状曲線となり, 破断点と降伏点が一致した.また, その破断状態は脆性破壊を示した.<BR>2) 寒天ゲルの破断ひずみは0.25~0.35であった.寒天濃度の増加に従い破断ひずみは増加したが, 比較的変化は少なかった.<BR>3) 寒天濃度0.8~2.0g/100ml, 圧縮速度0.4~4.0cm/minの範囲で, 寒天ゲルの破断応力は0.55×10<SUP>5</SUP>~4.34×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>であった.同様の測定範囲で破断エネルギーは0.52×10<SUP>4</SUP>~5.77×10<SUP>4</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であった.ともに寒天濃度の増加および圧縮速度の上昇に伴い著しい増加が認められた.<BR>4) 砂糖-寒天ゲルの破断ひずみは寒天濃度1g/100ml, 砂糖濃度0~60%の範囲で0.27~0.39であり, 砂糖濃度の増加に従い直線的に増加した.また, 同様の測定範囲で破断応力は1.08×10<SUP>5</SUP>~3.47×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, 破断エネルギーは1.05×104~5.07×10<SUP>4</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であり, ともに砂糖濃度の増加に従い著しい増加が認められた.<BR>5) 破断ひずみは凝集性と有意の相関を示し, 破断応力は硬さ, ゼリー強度, もろさと有意の相関を示した。破断エネルギーは硬さと有意の相関を示し, 破断応力, 破断ひずみに対しても有意の相関を示した.<BR>6) 寒天ゲル, 砂糖-寒天ゲルについて, 破断応力と破断エネルギーとの間の回帰式が得られた.魚肉ソーセージ, バナナの破断応力と破断エネルギーはこの回帰式からかなり離れた点に位置した.食品の性状により破断ひずみ, 破断応力, 破断エネルギーの関係はかなり異なるものと思われる.
著者
斎藤 洋子 和泉 真喜子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.351-353, 1985-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5
著者
吉沢 優子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.596-602, 1979

道明寺粉のもどし方法について, 主としてテクスチュアーの面から実験を行い次のような結論を得た.<BR>1) 水浸時にたっぷりの水 (試料重量の3倍) を用いる場合は, 「常温水に10分間水浸」の条件が, 餅のテクスチュアーに好ましい影響を与える.<BR>2) 蒸すことはでんぷん粒の膨潤を早めるため, 付着性, 凝集性, ガム性を大きくし, 食味を向上させることに役立っ.<BR>3) 水浸時の水量が増し, 水浸時間が長いほど硬さ, ガム性, 弾性率および粘性率は小さくなる.<BR>4) 好ましい食味の餅を得るには, 道明寺粉を約1.5倍 (重量倍率) の常温水に20分間以内水浸させ, 20分間強火で蒸すのが適当な方法と考えられる.<BR>終わりに, レオメーター使用にあたりご助言をいただきましたサン科学斉藤裕昭氏ならびに, 官能検査に協力して下さった方々に厚くお礼申し上げます.
著者
泉谷 秀子 大野 庸子 島田 裕子 志水 暎子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.808-813, 1985

本研究は, 名古屋市内の民間企業の供給するマンションの管理の実態と居住者の意識を調査し, よりよい管理のあり方を確立するための基礎資料とするために調査を行い, 管理形態や業務の実態は, マンションのカ所数を単位とし, 意識については, 居住者個人を単位として集計し, 次の結果を得た.<BR>1) 管理形態は, 自主管理2割, 会社管理8割弱であり, 101戸以上の大規模では, 8割強が会社管理である.<BR>2) 実働管理希望は, 3.5割で, 年収が高くなるにつれて低くなる.<BR>3) 管理人のいるマンションは7.5割.管理費が高くなるにつれて, 管理人への不満が高くなる.<BR>4) 修繕積立金は, 8.5割がしており, 1戸あたり月額500円前後と, 1,000円前後が多い.積立金については, いまのままでよいとする者が多く, 転居希望者は積立金についての意識が低い.<BR>5) 個々のマンションの規模, 居住者の社会的属性などによって, 管理方式の最適化はさまざまであろうが, よりよい管理とは何かについての最大公約数は, まず居住者による管理組合を結成し, 維持管理について自分たちで可能な仕事と, 専門業者に委託すべき, あるいは委託したほうがよい仕事を明確にし, 業者を選定して委託し, その分担範囲によって, 適正管理費を算定することと考えられる.大修繕および将来の建替えまでも見通した計画的な資金づくりのため, 積立ての実行, またこれらの話合いを積み重ねることによって, おのずとコミュニティが醸成され, 共同生活のルールもつくられていくことであろう.<BR>しかし, 居住者レベルでは, 方向を見いだしにくい問題もあるので, 必要に応じて正確な情報が入手できるように, 行政や第三者機関など専門の相談窓口を設けることも必要である.
著者
伊東 きぬゑ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.229-232, 1962-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

各種調理形態に於ける基本調理を施した塩魚の消化率が最低で著しく低かったところから食塩がどの様に魚肉蛋白の消化率に影響を及ぼすかを検討するために、塩分濃度0、1、2、4、8、16%の食塩で処理した魚肉(鮒)を用いて、Pepsin及びPancreatinによる人工消化試験を行った。その結果A Pepsin消化について1) 全消化時間通じて、塩魚は生魚に比して、消化率が著しく、低く其の消化順位は、生魚1、2、4、8、16%塩魚の順で16%塩魚が最低であった。2) 生魚と1%塩魚間の消化率の低下度が他の濃度別間の低下に比して、著しく大であった。3) 塩魚に於ける各濃度別間の差はほぼ同様であった。B Pancreatin消化について1) 消化率の順位は全消化時間を通じて、生魚、1、2、4、8、16%塩魚の順で、生魚が最高で、食濃塩濃度の大なもの程消化率は劣っていた。2) 可溶性窒素とアミノ態窒素の生成率に於いて、生魚に比して、塩魚は著しく劣っていた。特に生魚と1%塩魚の間の著しい差は注目すべきものがあった。其他の各濃度別の個々の差は生魚と1%塩魚の差に比しては比較的小であった。3) ペプトン態窒素の生成量は、Pepsin消化の場合と異り食塩濃度の大なもの程大であった。このことからPancreatin消化に於いては、食塩がペプトン態窒素からアミノ態窒素への分解に大きい影響を与えるという事が考えられる。これは注目すべき現象である。
著者
浅見 雅子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.567-570, 1973-11-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

In the Heian era, all kinds of implements were called “chodo.” This paper is for showing pilologically how the meaning of implements changed in the Edo era.According to the dictionaries or the documents published in the period, we can know that the word implements involves two different kinds of the meaning in it; that is, we can call one “chodo” and the other “kizai” or “kiyo.” In the Edo era, “chodo” means the industrial art objects ornamented by gold or silver lacquer. On the other hand, “kizai” or “kiyo” means what we call functional implements.The most typical “chodo” of the Edo era is daimyo's “choddo” involving the wedding one for daimyo's daughters, which exists even now as a cultural inheritance. “Kizai” or “kiyo” as functional implements, which was made use of mainly by the common people, little exists for it was dealt with as expendable one.We can clearly distinguish between the meaning of “chodo” and that of “kizai” or “kiyo” in the Edo era. Nowadays the word “chodo” is used as a kind of pronoun given to luxurious furniture.
著者
中村 妙子 松本 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.19-23, 1980-01-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

ラックダイはスズ化合物で媒染することにより, 鮮明な赤色に呈色するといわれているが, スズ化合物には 2価と4価のスズ化合物が存在し, また, 媒染方法にも, 先媒染, 後媒染, 同浴の3つの方法がある.そこで, どのスズ化合物を用い, どのような方法で媒染を行えば, 堅ろう度が良好で鮮明な色のラックダイ染色物が得られるか検討した.その結果, 堅ろう度が優れ, 彩度の高い色に呈色させるには, 無水塩化第1スズで先媒染すればよいことが確認された.この場合の最適使用濃度をラツクダイの染着量および無水塩化第1スズの染着量より調べると, ラックダイの染着量と無水塩化第1スズの染着量がほぼ同じ比率になるような使用濃度で染めれば最適であることが認められた.その条件を付記する.(i) 淡色無水塩化第1スズ0.5%ラックダイ 0.5 %(ii) 中色無水塩化第1スズ1%ラックダイ 1 %(iii) 濃色無水塩化第1スズ2%ラックダイ 2 %しかし, 染着量が同じ比率であればムラ染になりやすいため, ラツクダイを過剰に用いたほうが均一に染められる.天然染料はくり返し染色を行うことが多いが, この場合, 4回以上行っても染色物の色濃度 (K/S) の値はあまり変化しないことが確認された.
著者
渡辺 紀子 矢部 章彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.376-380, 1976-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

家庭洗濯において, 海水を洗濯用水として用いた場合の洗浄性を人工汚染布および天然汚染布を用いて検討した. 主な結果は次の通りである.1) 非イオン活性剤を用いた海水洗浄は脱イオン水と同様の洗浄効果が認められた.2) SDSを用いた場合は, 脱イオン水より, 海水洗浄の方が洗浄効果が認められた.3) Na-LASを用いた場合は, 海水を20%含む洗濯用水において脱イオン水より洗浄効果が認められたが海水の濃度が高くなると洗浄効果は低下した.4) Na-LASを含む配合洗剤を用いての海水洗濯は5°DHの水よりやや洗浄力は低下したが, 利用可能であると考えられる.
著者
宮井 ふみ 石塚 盈代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.413-417, 1968

1. 実験範囲内において酵素濃度の対数と肉の硬度はある範囲内において直線的な関係にあり、硬度4~5を与えるロース肉程度の軟化には肉片10gについて酵素量2,500 P. U./ 10mlが適当である。<BR>2. 室温 (16~28℃) における酵素作用時間の影響は、作用時間2時間までは急激に肉軟化が増大し、作用時間3時間以降変化がみられない。実際の調理にあたっては、30分~1時間が適当と考えられる。<BR>3. 酵素作用は溶液として浸漬する方法と、乳糖を賦形剤として粉体をまぶす方法との間に差異は認め難く、実用面では粉体の使用が有利と考える。<BR>4. 可溶性蛋白、ペプタイドの生成量値は、使用酵素量増加と共に増加し、官能検査で得られた測定値と一致するため、肉軟化は肉蛋白の分解によるものと考える。<BR>5. 調味料のみによる肉の硬度は、調理至適濃度範囲においていずれも7以上で硬く、充分でない。常用食塩量ではパパインの活性低下を起さない。他の調味料も酵素の肉軟化に殆んど影響を与えない。<BR>6. 煮物、スキヤキ調理において酵素量250 P. U./10ml作用後、調味料を用いることにより、良好な風味と、硬度4.5~5.0のロース肉と変らない軟らかい肉を得ることができた。<BR>本研究は第16回日本家政学会に報告したが、その後、別所のくもの巣かびの産出する酸性プロテアーゼの肉軟化作用および旨味生成作用が、植物酵素に比較して良いとの報告を知った。調味添加剤として有害作用をもつ物質の混入の危険性ならびに使用上の簡易化などを考慮しながら、日本食における肉調理に酵素剤を広く実用化する目的で、更に私共は研究を続けている。
著者
高尾 澄江
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.188-194, 1970

調和についての判定要約は下記の如くである。<BR>1. スタンディングカラーは長頸タイプと調和する。これは第2報で報告したが、短頸でも撫肩のタイプでは、衿を全体に深くつけ、頸の露出度を多くするとこのタイプと調和する。短頸怒肩タイプでは、スタンド巾を狭くし、肩の傾斜が少ないため頸の側面でくるより、前で深くした方がより効果が出て調和し易い。頸付根大のタイブは、衿で頸の側面を覆うようにすると付根大が目立たず調和する。<BR>2. テーラードカラーなどのオープンカラーは一般にどのタイプとも調和し易いが、しかし折返りが上がり、頸に詰ると若さは表現できても、短頸、顔面大のタイプでは短頸、顔面大が目立ち不調和になり易い。又、詰った打合せの多いダブル前も前項と同じ結果となり、肥満タイプでは肥満を目立たせる。<BR>3. シャツカラー類については第2報で一部報告したが、衿高と頸肩部形態の関係は、1.のスタンディングカラーと同じである。頸付根大のタイプでは横に広がったオフネックは、付根大が目立ち衿を頸に添わせた方がタイブと調和する。<BR>4. ノーカラーの各型 (頸に詰った丸衿剖については第2報で報告ずみ) は、一般に、長頸タイプは頸に詰ったものとかボートネックラインは調和するが、痩型鎖骨の出たタイプでは、大きいスクエアネックラィンを着用すると、鎖骨がネックラインと平行して目立ち不調和であり、又、V型も深くすると不調和になり易い。反対に短頸、顔面大のタイプは、Vネックラインとか大きい衿葱は調和し易いが、頸付根大のタイプは、付根を露出したり目立たせるネックラインは不調和である。<BR>本調査にあたり多くのデザイン例による資料を用意したが、結果としては基礎的なもの及びそのバリエーションにとどめた。実物では、はっきり調和度の差が認められたものでも、写真特に白黒写真となると、調和度の差がさして認められないものもあり、又、写真のとりなおしを行なったため、比較写真の一部に髪型が変わっているものがある。今後は更に髪形とか色、年令などの関係も併せて課題として残される。
著者
大森 和子 加藤 敏子 金原 ちゑ子 藤枝 悳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.408-414, 1972

高等学校における衣生活の指導はいかにあるべきかを考えるために, 高校生の家庭の衣生活管理について調査を行なった。家の職業や, 主婦が職業を持つか否かなどの要因が衣生活管理にどの程度影響を与えるかをみるために, 農家と, 主婦が職業を持たない非農家とに分けて, 調査結果を分析した。衣類の使いすて, 着すての傾向については, 主婦と高校生に分けて比較した。<BR>調査対象は, 高等学校生徒の家庭で, 高校は, 青森県, 栃木県, 東京都, 千葉県から1校ずつと, 愛知県から2校計6校を選んだ。各学校に質問紙を送付して, 生徒が家族と話しあって記入するよう依頼した。<BR>結果は, 農家, 非農家とも従来とくらべてクリーニング店の利用度も相当多くなってきており, 農家の方が変化が著しく, 非農家との差は少なくなってきている。<BR>新洗剤や布地などについての情報源は, 農家・非農家ともテレビによるというのが最も多く, 家庭生活におけるテレビの影響力の強さを物語っている。衣類をどこで廃品とするかということでは, 主婦と高校生を比較すると, 年齢のちがいによる生活態度のちがいがはっきりみられた。昔は破れるまで着ることの多かった肌着でさえも, 高校生は, 色があせたり, 布のはりがなくなったという状態で廃品とするものの割合がもっとも多く, スリップでは, 破れるまで着るのは高校生では23.1%程度である。上着類となると, 高校生はもちろん主婦も, 型が古くなったという原因で廃品とすることがふえている。<BR>靴下をのぞいては, 廃品とする原因のうち, 全体として多いのは, 色があせたり, 白いものは黄ばんだり, 布のはりがなくなったりしてという状態が最も多い。上着類ではそれとならんで型が古くなったという原因で廃品とするものが多くなっている。冬ものについては虫害やしみによって廃品とするという者も20%程度はあり, 衣類保管がゆきとどかない状態もあらわしている。<BR>また, 着られる衣類で不用品としたものの処理は非農家は親類や知人にあげるが多く, 仕立直して他の家族が用いたり, 他の物につくりかえるなどや, しまっておくがこれに次ぎ, 農家ではしまっておく, つくりかえるなどの更生による利用が, 親類・知人にあげるのと同程度で, 衣生活の面でも, 農家の方が手をかけることが多く, 非農家では手をかけることが農家より少なく, くずやに出すなどが多くなっている。人間の労力に関しての考え方の変化をあらわしているとみられる。不用品交換会に出す, 社会施設に寄付する, 災害地の見舞として出すなどがほとんどない。このようなことは, 市町村などによる公共的な対策がのぞまれるのである。<BR>以上のような高校生の家庭の衣生活管理の実状からみて, 衣生活指導では, 消費者教育との関連を考え, 次のようなことに注意すべきである。<BR>衣類の手入れ, 保管などは合理的に行ない, その使用価値を十分に利用すること, すなわち衣類をたいせつにすることの必要を認識させる。<BR>衣類の購入, 手入れの方法, 衣類をどの程度で不用とするかの決定などについては, それぞれの家庭の状況を考え, 適切な判断をして, 選択し, 決定しなければならないので, 自主的に適切な選択をすることのできる能力を養うことが必要である。<BR>廃品の処理方法などについては, 社会的な関心を養うことが必要である。
著者
吉松 藤子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.359-361, 1954-12-21 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

1. 鰹節の煮出汁をとる場合、材料を沸騰水中に入れても、水に入れて直ちに加熱しても、水浸しておいて加熱しても馬見成分の侵出量に大した差異を認めない。汁の香気は、沸騰水中に入れたものが最もよい。2. 鰹節は使用量が増すに従つて、旨味成分の侵出率は低下する。3. 煮出汁を取るのに用いる鰹節の使用量の最大限度は、水の5%内外とされている。使用量が更に増して8%にもなると、煮出汁の味は渋みを伴つて不味である。4. 一番煮出汁に用いた水の量の半分の水を用いて取つた二番煮出汁、三番煮出汁中に侵出される旨味成分の侵出率は、材料の使用量の多いもの程低くなる。5. 血合肉の多い部分の煮出汁は、背の部分の煮出汁に比較して、色や匂が悪いのみでなく旨味成分の侵出量も少い。6. 手で削つたままのものと、それを更に細をく砕いたものとは、旨味成分の侵出量には差異は認められない。手で削つたままの形が既に侵出し易い状態であると考えられる。7. 沸騰水中に於ては、鰹節の旨味成分は極めて短時間内に侵出される。