- 著者
-
木下 修一
- 雑誌
- 情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.1, pp.15-21, 2009-01-15
多様な昆虫の世界で色情報がどのように生成され,利用されているか概説する.ここでは特に,微細構造が関係した発色現象に着目した.微細構造が生み出す「構造色」の例として,タマムシ,コガネムシ,モルフォチョウなどの多層膜構造,マエモンジャコウアゲハなどのフォトニック結晶,さらに,イトトンボに見られる乱雑な構造がつくる色について詳述する.また,色素による発色も単に色素だけではなく,ミクロな構造が深く関係していることをモンシロチョウの白,キチョウの黄色,アゲハチョウの黒などの例をあげて説明する.これらの色情報は,メスやオスに対するアピールであったり,捕食者に対する警戒や隠ぺいなどさまざまに利用されている.