- 著者
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関 朋昭
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.68, pp.163_3-163_3, 2017
<p> これまでわが国では、学校はスポーツを利用し、スポーツは学校を利用してきた。その結果両者の絆は、学校教育そしてスポーツ振興へ多大な貢献をもたらした。しかし、スポーツを利用してきた学校において、教員の労働時間が諸外国の中でも顕著に長くなり、特に部活動に多くの時間が割かれていることが明らかになってきた。そのため部活動はブラック部活と揶揄され、教員負担が加重となっている。つまり部活動は、教員の労働意欲を削ぐ教育活動として問題視されている。しかしながら一方で、放課後や休日の拘束時間が長くなるにも関わらず、部活動へ積極的に参画し、自己の動機を満足させている教員がいることも事実である。この大きな違いを明らかにしたい。部活動は学校内で組織される以上、程度の差こそあれ教員負担を必ず強いる。教員負担は組織が補填しなければならない。一般的に組織は、個人の動機を満足させうるときのみ、個人は組織へ貢献や努力を提供する。経営学という学問は人間から出発して初めて真の問題に出合うことができる。教員負担を考えるとき、教員という人間への眼差しから問題を追究していくことは決して些末なことではなく、むしろ重要なことである。</p>