著者
岡本 洋子 田口 田鶴子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.161-168, 1996-02-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
22
被引用文献数
6

年齢6~12歳の小学生 (男子452名, 女子414名) を被検者として, 甘・酸・塩・苦味食品に対する嗜好調査を行い, 性・年齢別 (学年別) に群別して食味嗜好傾向を検討した.同様の嗜好調査を3~5歳・12~79歳の男女 (2,218名) に対しても行い, 性・年齢層別の20群に分類して, 数量化理論第III類により解析し, 小学生の嗜好パターンが全年齢層のなかでどのようなところに位置づけられるのかを調べた.さらにショ糖 (甘味), クエン酸 (酸味), 塩化ナトリウム (塩味) の等差濃度水溶液を検査試料として, 小学生 (102名) の味覚閾値を幼児 (76名) および20歳大学生 (98名) と比較検討した.結果は次のようであった.(1) 小学生では, 年齢 (学年) および性別による食味嗜好傾向の顕著な相異はほとんどないと考えられた.(2) 小学生の食品に対する嗜好パターンは, 幼児および若年齢層男女群と類似していたが, 中・高年齢層男女群とは異なった.(3) 小学生の嗜好食品群としては, アイスクリーム, グレープフルーツ, ポテトチップなどが挙げられ, 近年取り入れられて普及してきた甘・酸・塩味食品であった.(4) 小学生の味覚閾値はショ糖水溶液0.2~0.8%, クエン酸水溶液0.02~0.08%, 塩化ナトリウム水溶液0.04~0.16%の濃度範囲であり, これらの値はいずれも20歳大学生女子に比べてやや低く, 幼児とは同様な傾向を示した.
著者
木村 実
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.969-972, 2009-11-15 (Released:2012-08-24)
参考文献数
2
著者
久保 加織 川勝 聡美 堀越 昌子 石永 正隆
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.351-358, 2001-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
19

(1) あまに油は, 4℃保存では, 酸化速度は遅く, 8週間の保存が可能であることがわかった.20℃保存では, 経日的に酸化が進行するが, ごま油の添加によりかなりの酸化抑制効果が期待できた.しかし, 50℃保存ではごま油や合成酸化防止剤によっても酸化を抑えることは難しかった.(2) あまに油の脂肪酸組成は, 今回のいずれの保存条件においても, ほとんど変化せず, α-リノレン酸を50%以上含有していた.(3) あまに油マヨネーズの冷蔵保存における酸化安定性は高く, 冷蔵庫内で8週間保存してもほとんど変化しないことがわかった.(4) あまに油マヨネーズにごま油を添加することによって, マヨネーズの酸化安定性を高めるだけでなく嗜好面でも効果のあることがわかったが, 味, におい, 色などの点からさらに改良の余地があるとみなされた.
著者
高尾 哲也 藤本 清彦 中山 榮子 佐々木 央 永井 寛 桃原 郁夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.757-765, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
19

木製まな板およびエンボス加工されたプラスチック製まな板について, 新品および使用済みのまな板をそれぞれ3枚入手し, 模擬的な調理後の洗浄, 次亜塩素酸消毒処理, 自然乾燥の各工程における一般生菌数および大腸菌群数を測定した. また, まな板の表面粗さの定量的な検討を行い, 粗さと生菌数等との関係を検討した. 模擬的な調理を行った後の, 洗浄, 消毒, 乾燥工程後の一般生菌数及び大腸菌群数は木製新品まな板, 木製使用済みまな板, プラスチック製使用済みまな板間で有意な差はなかった. 一方, 未使用および使用済みまな板双方で表面粗さは, まな板によって差があるものの, 全体としては木製まな板の方がプラスチック製まな板と比べて小さかった. 数年間使用したことにより平滑性が低下した木製まな板でも, 粗さはエンボス加工されたプラスチック製まな板と同等かそれ以下であった. まな板の表面粗さと微生物の残存性との関係を検討した結果, 凹凸の平均粗さ (Pa) が乾燥時の一般生菌数と大腸菌数で正の相関を, 凹凸差を示す最大高さ (Pz) が洗浄後と消毒後の一般生菌数と大腸菌数とに対して正の相関を示した. 一方, 最大深さ (Pv) はこれらと相関を示さなかった. これらの事から木製まな板においては, Pa及びPzがエンボス加工されたプラスチック製まな板と同等かそれ以下であり, 「大量調理施設衛生管理マニュアル」が定める洗浄, 消毒, 乾燥工程を経れば, 木製まな板とエンボス加工された使用済みプラスチック製まな板との間で, 洗浄性や消毒性, 微生物の生残性にも有意な差は無く, 両者を同様に使用でき, 衛生性の差も大きくないと考えられた.
著者
松山 容子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.791-799, 2001-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
51
被引用文献数
1
著者
倉賀野 妙子 木村 宏樹 和田 淑子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.45-52, 1991-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
3

薄力系の小麦粉よりグリアジン画分, グルテニン画分を分画して, それぞれ小麦澱粉に8%混合添加したものを小麦粉の代わりとし, これに油脂および水を混合してクッキーを調製して, ドウおよびクッキーの物性に与える両タンパク質画分の影響を調べた.ドウのクリープ試験による粘弾性係数ならびに定速圧縮試験による最大応力, 最大エネルギー値の結果によると, グリアジン画分のドウはやわらかくて変形しやすく, 滑らかに伸展するのに対し, グルテニン画分のドウは弾性に富んで硬く, 圧縮に抵抗する力が大となる傾向を示した.グリアジン画分のクッキーは焼成時に上方への膨張が大きく, みかけの膨化率は173%であった.電顕観察の結果から, 膨張は吸水したタンパク質によると思われる膜様の存在により, 内部組織に気泡が安定に保たれたためと推察された.一方, グルテニン画分クッキーのみかけの膨化率は102%であり, 焼成による膨化はほとんど生じなかった.電顕観察でも気泡のあとはほとんどみられず, ところどころにタンパク質によると思われる相互につながりのない小さな集合体が認められた.クッキーの圧縮破断試験によると, グリアジン画分クッキーはみかけの破断応力, 破断エネルギーが小さく, やわらかくて砕けやすいが, みかけの破断時間, 破断ひずみは大きく, 荷重一時間曲線には小さなピークが多数生じた.一方, グルテニン画分はみかけの破断応力, 破断エネルギーが大きい, 硬いクッキーとなるが, 破断時間, 破断ひずみが小さく, 荷重一時間曲線はピークの少ないシャープなパターンとなった.酸可溶性グルテン画分のドウおよびクッキーの物性はグリアジン, グルテニン両画分の影響を受けていると推察される場合と, グルテニン画分の特性による依存が大きい場合がみられた.酸不溶性タンパク質画分のドウおよびクッキーの物性は酸可溶性グルテン画分とは異なる傾向を示した.
著者
高村 仁知 山口 智子 林 恵理奈 藤本 さつき 的場 輝佳
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1127-1132, 1999-11-15
被引用文献数
11

The change in radical-scavenging activity while cooking curry made from spices, vegetables, and meat was analyzed by the 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl-HPLC method. Fifteen kinds of spices generally used in curry all possessed radical-scavenging activity. In particular, the activity of clove, allspice, and cinnamon was extremely high and comparable with that of vegetables. After heating, the radical-scavenging activity of the combination of vegetables and meat increased, while that of mixed spices decreased. Vegetables as well as spices contributed the radical-scavenging activity of curry. In the present research, one serving of curry and rice contained 363 μmol Trolox eq of radical-scavenging activity. The spices contributed approximately 45% of the total radical-scavenging activity of curry and rice.
著者
福本 俊
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.805-811, 2008

高齢社会である日本の抱える社会的問題の一つは,人間関係の脆弱化である.高齢者が人生の最終コーナーを豊かに駆け抜けるためには,幼少期から人間関係を紡ぐことが出来るような環境作りが緊要である.対人的なスキルの養成等は教育的な課題である.豊かな人間関係を阻むものの大きなものとして,従来からの性役割意識がある.この意味で,性を超えて自由にその人らしく生きる事を志向するアンドロジニーな生き方が強く求められている.本研究の目的は、提案されたアンドロジニー尺度の妥当性と信頼性を吟味・検討する事である. 当該尺度は性役割現実像10項目と性役割期待像6項目の計16項目からなっている.これら16項目の概念的妥当性が確かめられた.また内的整合性は充分に満足できる水準にある.因子分析の結果3因子を得たが、これら3因子間には高い有意な順位相関関係が認められた.以上のことから,今回提案のアンドロジニー尺度は妥当性と信頼性を兼ね備えたものであると言える.
著者
水野 一枝 水野 康 山本 光璋 松浦 倫子 松尾 藍 岩田 有史 白川 修一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.391-397, 2012

Eleven healthy male subjects slept from 13:30 to 15:30 under ambient temperature and humidity maintained at 29℃ and RH70%, using polyurethane foam mattresses (U) and camel mattresses (C). A polysomnography,skin temperature (Tsk), microclimate, bed climate, and subjective sensations were obtained. The rapid eye movement sleep (REM) in the first hour for the U significantly increased compared to that for the C. The leg, arm, and mean Tsks for the C significantly increased compared to those for the U during the later segment of sleep. The microclimate humidity significantly increased, while the microclimate temperature and bed climate significantly increased during the later segment of sleep. The subjective humid sensation and the requirement for decreasing the mattress temperature significantly increased in U compared to the C. These results suggest that bed mattress material can increase the subjective humid sensation and the requirement for decreasing mattress temperature by 1) increasing the bed climate and microclimate temperature and humidity, and 2) changing the REM distribution.
著者
倉賀野 妙子 北尾 敦子 山田 光江
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.665-670, 1988
被引用文献数
1

クッキーの食味とショートネス, 硬さとの関係を把握するために嗜好度官能検査を行い, 同時に定速圧縮破断特性値と対応させて検討した.<BR>1) クッキーの嗜好度官能検査をもとに, 総合評価および各評価項目間の単相関係数, 偏相関係数を求めた.その結果から, ショートネスが, 甘味, 風味と並んで総合評価に貢献する官能的要因として欠かせないことが認められた.硬さはショートネスと大きな相関があり, クッキーにとっては, 両者は切り離せない性質であり, 硬さも総合評価に影響を及ぼす要因と推定される.<BR>2) クッキーのもろさの嗜好度評価 <I>K<SUB>B</SUB></I> とみかけの破断エネルギー <I>E<SUB>n</SUB></I> (×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>), および硬さの嗜好度評価 <I>K<SUB>H</SUB></I> とみかけの破断応力 <I>P<SUB>f</SUB></I> (×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>) の関係は, おのおの, <I>K<SUB>B</SUB></I> =-0.147<I>E<SUB>n</SUB></I><SUP>2</SUP> + 0.666<I>E<SUB>n</SUB></I> + 0.551, <I>K<SUB>H</SUB></I> =-0.209<I>P<SUB>f</SUB></I><SUP>2</SUP>+ 0.979<I>P<SUB>f</SUB></I> + 0.141 で示すことができた.クッキーのもろさは, みかけの破断エネルギー 2.27×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>, 硬さはみかけの破断応力 2.35×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>を有するものが, 嗜好度評価が最も高いことが推定された.これらの破断特性値を有するクッキーを調製できる材料配合比を明らかにした.
著者
津田 淑江 小寺 俊子 大家 千恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1009-1020, 2002-10-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
30

本研究では女性の食生活と低体重児出産および適正体重児出産との関係を調べた.食物摂取頻度および食行動パターンの調査を行い, 妊娠1年前の母親の食物摂取頻度, 年齢, 身長, 体重と新生児の体重を調べた.調査データーから低体重児出産婦および適正体重児出産婦の平均値には違いは見られなかった.しかし低体重児出産婦は適正体重児出産婦よりBMI19.5未満の人が多かった.食物摂取頻度調査の結果, 両出産婦ともエネルギー, タンパク質, カルシウム, 鉄の摂取量が低かった.また低体重児出産婦はコンビニエンスストアやスーパーマーケットの惣菜の利用が多く, 3食外食でも平気, スナック菓子をよく食べる, ダイエットで食事制限の経験があり, 偏食がある事が明らかとなった.これから次の世代を出産する女性にとって, この現状を改善し, 低体重児出産防止のために, 若いころからの家庭での食教育が重要であることが示唆された.
著者
阪本 弘子 佐野 恂子 山田 令子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.149-157, 1988

愛知県・岐阜県に在住する女子短大生の母親424名を対象に, 和服の着用に関するしきたり, 結婚支度として和服を調製する程度, 衣裳みせの風習の3行動について調査し, 因襲にとらわれた日本の伝統的慣習がいかに受けとめられているかを考察した.方法としては, 和服に対する一般的態度とのクロス集計, 数量化第II類, 重回帰分析 (Fishbeiaの予測式) を行ったが, その結果は次のようにまとめられる。<BR>1) 和服着用に関するしきたりについて<BR>この行動意図は, 行動に対する態度よりも主観的規範の影響を強く受けて生起し, その結果, しきたりは改めたほうがよいという者が約半数であった.しかし, 残る半数は現状の肯定者であり, 古くからのしきたりは無視できないと考えられる.和服に対する一般的な態度との関係は, 好意的な者ほど現状を肯定しており, 主観的規範の影響も非好意的な者より強く受ける傾向が認められた.<BR>2) 結婚支度に和服を調製する程度について<BR>この行動意図は, 主観的規範よりも行動に対する態度の影響を強く受けて生起し, 「人並み」という中立的な者が大半を占める結果をみた.この行動も, 和服に対する一般的態度が好意的な者ほど, 「入並み~人並み以上」に調製しようとしている.また, 数量化第II類で分析した結果, この行動に強く影響を与えるアイテムは, 和服着用程度, 居住地, 世帯主職業, 世帯の全収入であった.<BR>3) 衣裳みせの風習について<BR>この行動意図は, 行動に対する態度と主観的規範が同程度に影響して生起するという特徴があるが, 結果としては衣裳みせはしないという者が大多数であった.和服に対する一般的態度との関係は, 好意的な者ほど, 衣裳みせを肯定している傾向が, わずかばかりみられた.<BR>今回の調査で取り扱った三つの行動は, いずれもその行動意図を形成する過程において, 自分の意志以外に世間体を配慮していることが明確である.このように本音と建前という相反する意識が交錯して実行に移るという一連の概念は, Fishbe海の予測式に示される (態度+規範=行動意図) に適合していると考えられた。さらに彼の予測式を特徴づける重回帰分析を適用することにより, 態度と規範の行動意図へのかかわり方を, 数量的に把握することができたといえよう.
著者
堀 光代 鈴木 徹 長野 宏子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.771-780, 2012 (Released:2014-02-14)
参考文献数
26
被引用文献数
2

SDS electrophoresis and antigen-antibody reactions were carried out in order to investigate the effects of bacterial enzymes isolated from Indian nan and chapati on the decomposition of allergenic proteins in wheat flour.  The salt-soluble and -insoluble fractions of the allergenic proteins were treated with the crude enzymes produced by microorganisms isolated from Nan and chapati. The results of antigen-antibody reactions indicated that only three microorganisms isolated from chapati, 00-IND-016-1, 00-IND-016-3 and 00-IND-016-4, could decompose the allergenic proteins.  These three also exhibited 99% similarity to B. subtilis and B. amyloliquefaciens when analyzed with an API 50 CHB/E medium kit. A phylogenetic tree based on the 16SrRNA sequences showed that the three microorganisms were close to B. methylotrophicus and B. amyloliquefaciens.
著者
布施谷 節子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.551-558, 1991

第1報の因子分析の結果をふまえて, 子どもの衣生活の現状をより具体的に把握することを目的として地域別, 年齢別, 出生順位別に質問項目の頻度分布を検討した.資料ならびに調査対象者は第1報と同じである.<BR>おもな結果は, 以下のとおりである.<BR>(1) 地域別の頻度分布では家庭状況質問群について, (1) 家庭内の大人の数, (2) 子どもの数, (3) 子どもの世話をする人, (4) 母親の学歴, (5) 家庭の職業, (6) 年収, (7) 住宅に差がみられた.また, 衣生活質問群について, (1) 子ども用のブランドものの購入, (2) 母親用のブランドものの購入, (3) キャラクターものの購入, (4) 親子ペアルックの着用, (5) 子どもの衣服費のかけ方, (6) 翌日着用する衣服の準備, (7) 外出着と普段着の区別に差がみられた.<BR>(2) 年齢別の頻度分布では, 子どもの成長に伴って変化傾向のみられたものは, (1) 現在着用している衣服のサイズ, (2) 母子のおしゃれ志向, (3) 子どもの意志の反映についてである.子ども服のサイズについては, 現在の身体の実際のサイズより1サイズ大きいものを着用させていることがわかった.また, 3歳ないし4歳から母子ともにおしゃれ志向が上昇していく傾向がみられる.衣服に対するこだわりは, 女児のほうが強いようである.<BR>(3) 長男・長女とその他の子どもたちに分類して男女児別の出生順位による頻度分布の差をみると, 男女児とも共通して, (1) 子どもに試着させるかどうか, (2) サイズ選択のさいにどのサイズを選ぶかに有意な差がみられ, さらに女児については, (3) 子どもの意見や希望の取り入れ方, (2) 衣服の色へのこだわりについて有意な差がみられた.
著者
布施谷 節子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.545-550, 1991

主として, 子どもの成長に伴う既製服の選択と社会的文化的側面から子どもの衣生活の現状把握をすることを日的として質問紙調査を行った.対象者は, 1988年10月に, 東京近郊, 新潟市, 鹿児島市3地域所在の八つの園に在園する幼稚園児・保育園児 (0~6歳男女児合計約800例) の母親である.質問項目42項目について正準相関分析を行い, 家庭状況質問群と衣生活質問群の関連性を確認した.ついで, 42項目について因子分析を行い, 抽出された因子の解釈を行った.<BR>おもな結果は, 以下のとおりである.<BR>因子分析の結果, 男女児とも7個の因子が抽出された.これらの因子を解釈すると, それは, (1) 家庭での子どもの出生順位や子どもの数により, 子どもの衣服への手のかけ方が異なることを表す因子, (2) 母子のブランド志向, 流行志向, ペアルックを含めたおしゃれ志向の因子, (3) 子どもの成長に伴う体型と着用サイズの認識の因子, (4) 地域や家庭のステイタスにより衣服費のかけ方が異なることを表す因子, (5) 持ち家率と老人同居を含めた家族構成などの家庭状況の因子, (6) 経済性を考慮するサイズ選択の因子, (7) 子どもの意見や希望に対する母親の衣服選択のあり方の因子と解釈される.
著者
馬場 まみ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.715-722, 2009

The purpose of this research is to clarify the process leading to the widespread use of the school uniforms and their role.The study is done in relations to the social situation after World War II.The results show that school uniforms were made mandatory at public junior high schools in the 1960s for economic reasons.The policy was effective in keeping order in schools.Uniforms were regarded as a convenience by both teachers and parents. In the 70's, uniforms were useful in controlling school life. Teachers forced students to wear uniforms.Some students refused to wear them. School uniforms were worn because teachers and parents regarded them as necessary, and the role of school uniforms changed.
著者
岡田 みゆき
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-15, 2003-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
6

The objective of this study is to clarify how the nature as well as the contents of a dinner time talk between parents and their children has changed over the years. The children under study are those in elementary school and junior high school. For this purpose, the junior high school students' perception of dinner conversation was surveyed and compared to the results obtained of elementary school children. The results are as follows : 1) Junior high school students have conversation with parents less frequently than when they were elementary school students. The percentage of the students who feel happy or useful about dinner conversation is becoming lower. 2) Overall, the conversation seems to be centered around their entrance examinations; more specifically, their academic achievement and future aspirations. The subjects such as their school life, episodes in their younger days, and political and economic issues are less frequently taken up. 3) Among those students who feel happy and useful about the dinner time talk with parents, the junior high school students would want to talk more about subjects such as their academic achievement in connection with their future, social issues, and things about their parents. 4) There is more significant relevance between the children's image of their parents and the contents of conversation than when they were elementary school students.
著者
青野 篤子 金子 省子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.135-142, 2008

本研究は,幼稚園・保育園の保護者(父親は少数のため分析から除外された)を対象に子育ての方針や保育環境のあり方についてジェンダーの観点からその意識を探るための調査を行い,今後のジェンダー・フリー保育の指針を得ようとするものである。母親たちは,全体として脱伝統的な女性像・男性像をイメージしており,ジェンダーにとらわれない子育ての方針をもっている。また,身体的な差異に配慮しつつも,幼稚園や保育所の環境はできるだけ男女の区別がない方がよいという意見をもっている。一方,母親がとらえた保育環境には一部ジェンダー・バイアスが存在し,とくに,習慣化・制度化された保育の営みについては,実態が強く認識されているにもかかわらず,一部許容的な態度が示されている。また,母親のジェンダー(・フリー)についての関心は低く,男女共同参画社会における幼稚園・保育園への期待は大きくない。今後,保育者・保護者の一体となったジェンダー(・フリー)についての学習や取り組みが必要である。