著者
藤林 真美 神谷 智康 高垣 欣也 森谷 敏夫
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.129-133, 2008-06-10
被引用文献数
3 7

現代人の多忙な生活の中で,簡便で即効性のある栄養補助食品が求められている。本研究では,GABAを30 mg含有したカプセルの経口摂取によるリラクセーション効果を,自律神経活動の観点から評価することを試みた。12名の健康な若年男性(21.7±0.8歳)を対象に,GABAとプラセボカプセルを摂取させ,摂取前(安静時),摂取30分および60分後の心電図を胸部CM<SUB>5</SUB> 誘導より測定した。自律神経活動は,心拍のゆらぎ(心電図R-R間隔)をパワースペクトル解析し,非観血的に交感神経活動と副交感神経活動を弁別定量化した。その結果,GABA摂取前と比較して,総自律神経活動は摂取30分後 (<I>p</I><0.01) および 60分後 (<I>p</I><0.05)に,副交感神経活動も摂取30分後 (<I>p</I><0.05)に顕著な上昇を示した。これらの結果から,30 mgのGABA経口摂取は,自律神経系に作用しリラクセーション効果を有する可能性が示唆された。
著者
松本 暁子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.99-104, 2004-04-10
被引用文献数
1

地上から400kmの宇宙空間に日本を含む世界15カ国が共同で建設を進めている国際宇宙ステーション: ISSがある。ISSは微少重力の宇宙空間に長期間滞在しながら未知の可能性に望む「宇宙研究所」として, 新薬や新しい素材などの開発を行う。そして, この実現のために国や人種を超えた取り組みが行われており, 宇宙飛行士は今も宇宙でISS建設を進めている。しかし, 特殊な宇宙環境下での滞在によって, 人間の身体は, 循環器系・骨代謝・筋肉系・血液免疫系の変化や放射線被曝などさまざまな宇宙医学生理学的影響を受けるため, 宇宙で活動するためには適切な栄養摂取が重要である。人間が宇宙空間に到達してから40年以上が経過しているが, その間に宇宙での栄養についても研究が進み, ISS長期滞在時の栄養摂取基準が定められている。現時点の宇宙食は米国かロシア製のみであるが, 今後は栄養学的に優れた日本食の特色を生かした宇宙日本食の導入によるISS計画への貢献が期待される。
著者
山田 田村 千佳子 鈴木 綾乃 根岸 千絵 岩崎 泰史 吉田 企世子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-144, 2005-06-10
参考文献数
11
被引用文献数
5

秋期栽培においてホウレンソウ3品種 (パレード, リードおよびマジック) を栽培時期および施肥を同一条件で栽培し, 収穫適期以降の還元糖, アスコルビン酸, シュウ酸, 硝酸の変動を解析した。また, ゆでたホウレンソウを用いて官能評価を行った。いずれの品種も生育とともに, 還元糖およびアスコルビン酸は増加し, シュウ酸は減少した。硝酸はパレードおよびリードでは減少し, マジックでは増加した。官能評価は, 還元糖の多いパレードおよびリードでは甘味の評価が高かった。シュウ酸の多いマジックではアクが強く, 少ないリードではアクが弱いと評価される傾向にあった。従来の出荷基準よりもさらに生育させることにより, 内容成分の充実したホウレンソウが得られることが示唆された。
著者
山田 千佳子 岩崎 泰史 吉田 企世子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.167-173, 2003-06-10
被引用文献数
4 4

ホウレンソウ7品種 (パレード, 豊葉, 次郎丸, オーライ, おかめ, オリオン, オラクル) を栽培時期 (秋播き) および施肥を同一条件で栽培し, 還元糖, アスコルビン酸, シュウ酸, 硝酸の違いについて比較した。収穫は, 播種後41日目 (すべての品種), 48日目 (豊葉, 次郎丸, オーライ), 60日目 (オラクル, おかめ, オリオン) である。生育の早いパレードはアスコルビン酸, 還元糖の含有量が少なかった。豊葉, 次郎丸, オーライは生育途上から収穫適期までの生育でアスコルビン酸が増加したが, 豊葉は硝酸含量も増加した。オラクル, おかめ, オリオンは生育途上でもアスコルビン酸含量は多かったが, 収穫適期まで生育させても成分は増加しなかった。
著者
讃井 和子 世利 謙二 井上 修二
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.133-137, 1997-04-10
参考文献数
10
被引用文献数
6 12

小腸スクラーゼ活性を選択的に阻害するL-アラビノースを<SUP>14</SUP>C-スクロースとともにラットに投与し, 6時間までの呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量および消化管内<SUP>14</SUP>C-残存量を測定した。その結果,<BR>1) <SUP>14</SUP>C-スクロース摂取後6時間までの呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量は, 同時に投与したL-アラビノースによって有意に抑制された。L-アラビノースの作用は用量依存的であり, 50mg/kgおよび250mg/kg投与群の抑制率はそれぞれ31.7%, 45.6%であった。<BR>2) ラットにおけるスクロース負荷後の血糖上昇も同時に投与したL-アラビノースによって有意に抑制された。<BR>3) 呼気<SUP>14</SUP>CO<SUB>2</SUB>排出量および血糖上昇に対して, L-アラビノース50mg/kgは作用比較物質アカルボース1.5mg/kgと同等の抑制作用を示した。<BR>4) L-アラビノース投与群では<SUP>14</SUP>C-スクロース摂取から6時間後において盲腸および結腸部に多量の残存<SUP>14</SUP>Cが認められた。<BR>以上の結果から, L-アラビノースはスクロースとともに摂取した場合, スクロースの消化吸収を抑制し, そのエネルギー利用を低下させると結論された。
著者
田原 モト子 岸田 恵津 三崎 旭
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.111-118, 2000-06-10
参考文献数
28

北アメリカ原産のイネ科マコモ属の単子葉植物, ワイルドライス (<i>Zizania palustris</i>) は, その独特の風味が好まれている。我々はその特異なテクスチャーに関連する成分としてデンプンおよび細胞壁多糖に着目し, ワイルドライス製品の多糖成分の分画を行い, 特にデンプンの性状を調べた。<br>1) ワイルドライス粉末からアルカリ浸漬法によりデンプンを分離し, この上清からエタノール沈澱により水溶性多糖を分離した。ふるい上の残渣を脱脂・除タンパク後再度デンプンを分別し, 不溶性残渣から細胞壁標品を得た。<br>2) ワイルドライスからのデンプンの収量は30.5%であり, ウルチ米の半分以下であった。ワイルドライスの細胞壁標品の収量 (3.54%) は, ウルチ米 (0.12%), モチ米 (0.3%) と比較すると, 細胞壁の含量が著しく高いことを示唆している。<br>3) デンプン画分の走査電子顕微鏡写真から, ワイルドライスのデンプン粒の形はウルチ米と類似の多面体で, サイズはやや小さく, 1.5-6μm程度の粒径であった。細胞壁標品の走査電子顕微鏡像から, ワイルドライスの細胞壁はウルチ米に比し相当厚く強固な様子が観察された。<br>4) デンプンをイソアミラーゼおよびプルラナーゼで完全に分枝切断し, ゲルろ過により鎖長分布を調べた結果, ワイルドライスのFr. I (アミロース) の比率は23.8%で, ウルチ米よりかなり高かつた。一方, Fr. III (アミロペクチンの短鎖長, DP 10-30) とFr. II (長鎖長, DP 30-60) の比は3.5で, ウルチ米 (2.6) よりも大きかった。<br>5) 上記の枝切りデンプンの精密鎖長分布を, 陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーにより解析した結果, 短鎖部分の鎖長分布はワイルドライスでは11糖が最多で, またウルチ米, モチ米と比べて10-14糖部分の含量 (モル%) が高く, アミロペクチンの微細構造も米とは異なることが示唆された。
著者
藤澤 史子 灘本 知憲 伏木 亨
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.3-9, 2005-02-01
参考文献数
25
被引用文献数
5 12

漢方で身体を温める効果があるといわれているショウガについて, ヒトを対象としてショウガ摂取後の体表温を中心とし, 生理機能に及ぼす影響を検討した。その結果, ショウガ水摂取後は対照の水摂取後と比較して, 額の体表温が有意に上昇した (<i>p</i><0.05)。ショウガ添加パン摂取後は対照のショウガ無添加パン摂取後と比較して, 額と手首の体表温が有意に上昇した (<i>p</i><0.05)。すなわちショウガはパンへ添加することにより温熱効果はより顕著になった。なお, 官能検査の結果からは, ショウガ添加パンはショウガ無添加パンと比較して, 香り, 味, 食感, 総合評価に有意な差はみられず, パンとして好ましい評価を得た。これらの結果から, ショウガは実用的食材としての可能性が大きいことが示唆された。
著者
松尾 達博
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.215-219, 1996-08-10
参考文献数
8
被引用文献数
1

ビールと高脂肪食の同時摂取が食後のエネルギー代謝に及ぼす影響について検討した。<BR>健常男性3名にビールと高脂肪食あるいはノンアルコールビールと高脂肪食を摂取させ, 食後3時間にわたってエネルギー代謝を測定した。その結果,<BR>1) ビールと高脂肪食の同時摂取は, ノンアルコールビールと高脂肪食の同時摂取に比べて, 食後の炭水化物および脂質のエネルギー化が有意に小さかった。<BR>2) 食後のエネルギー消費量にはビールと高脂肪食およびノンアルコールビールと高脂肪食の間で差は見られなかった。
著者
石永 正隆 望月 てる代 上田 愛子 市 育代 七枝 美香 小田 光子 岸田 典子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.291-296, 2001-10-10
被引用文献数
2 2

小学生100人の1日の飲食物から脂質摂取量を陰膳方式で実測した。その結果, 平均39.7g/dayの脂肪酸を摂取していたが, 男女とも肥満児と非肥満児間で有意差はみられなかった。成人の場合に比べて, 飽和脂肪酸が4-6%多く, 多価不飽和脂肪酸特にn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量や割合がともに成人の半分ほどで3.3%であった。魚介類由来の脂肪酸の平均摂取量は297mg/dayで, 100mg/day以下の児童が50%を占めていた。コレステロールおよび植物ステロールの摂取量は, それぞれ平均255mg/dayおよび137mg/dayで, 肥満群と非肥満群間で, 男女ともに有意差はみられなかった。以上の結果から, 小学生の肥満群と非肥満群で脂質成分の1日摂取量に差はみられなかったが, 子どもたち全体としては, 魚介類や野菜類の摂取量を増大させることが重要であることがわかった。
著者
伏木 亨
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.247-250, 2003-08-10
参考文献数
7
被引用文献数
2

実験動物を用いて, 人間の食物や飲料に対する嗜好性が推定できるかという問題についてシンポジウムで発表した内容の一部をまとめた。動物の嗜好は, 基本的には人間には当てはまらないが, 動物と人間に共通の特定の生理的条件のもとでは, 有用な解析の手段となる。ここでは, ビールの多飲料特性および, 脂肪に対する高い嗜好性について, 実験動物を用いた研究を紹介する。
著者
下田 博司 川守 秀輔 河原 有三
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.279-287, 1998-10-10
被引用文献数
11 20

スリランカに自生するニシキギ科の植物サラシア・レティキュラータ (<i>Salacia reticulate</i>) より得た水抽出物 (SRE) の, 食後の過血糖に及ぼす作用を, ラットおよびヒトボランティアで検討した。SREはショ糖, 麦芽糖およびα化デンプン負荷によるラットの血糖値の上昇を用量依存的に抑制した。しかしながら, ブドウ糖や乳糖による血糖上昇に対しては, 抑制作用を示さなかった。ショ糖に対する血糖上昇抑制作用は, 他の麦芽糖やα化デンプンより強く, ショ糖負荷直前の投与で奏効し, 投与量の増加に伴い作用の持続時間も延長した。<br>次に, 各種グルコシダーゼおよびα-アミラーゼに対する阻害活性について検討を行ったところ, SREは酵母およびラット空腸由来のα-グルコシダーゼに対して強い阻害作用を示すとともに, α-アミラーゼに対しても阻害作用を示した。一方, β-グルコシダーゼの活性には影響を及ぼさなかった。SREのラット空腸由来各種α-グルコシダーゼに対する阻害活性の強度は, スクラーゼ=イソマルターゼ>マルターゼの順であった。さらに, 健常人ボランティアにショ糖 (50g) を負荷した耐糖能試験において, SREはショ糖負荷5分前200mgの服用で, 30分後の血糖値を有意に抑制した。<br>以上の結果より, SREはα-グルコシダーゼおよびα-アミラーゼ阻害作用に基づく過血糖抑制作用を有し, ヒトにおいても少量で食後の過血糖を抑制することが明らかとなり, 糖尿病患者の食事療法に応用できる有望な食品素材であると考えられる。
著者
岸田 太郎 佐伯 茂 桐山 修八
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.251-260, 1997-08-10
被引用文献数
2 2

本研究により以下のことが明らかになった。<BR>1) DWB, DOFおよびPSFは二価鉄の利用性を促進した。PSFはその発泡度が高いほど大きく二価鉄の利用性を促進した。<BR>2) DWB, DOFおよびPSFは三価鉄の利用性には大きな影響を与えなかった。<BR>3) DOFおよびPSFの二価鉄利用性促進はFe吸収の促進によるものと推測された。
著者
円谷 悦造 浅井 美都 太田 美智男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.101-106, 1998-04-10
被引用文献数
2 1

食酢を用いた調理における, 食中毒原因菌である<i>Escherichia coli</i> O157: H7 NGY-10, <i>Salmonella</i> Enteritidis IID 604, <i>Vibrio parahaemolyticus</i> IFO 12711および <i>Staphylococcus aureus</i> IFO 3060の挙動を調べ, 食酢が細菌性食中毒の予防に有効か否かを検証した。<br>食酢を調味に使用する調理食品では, 食酢使用量の多い, 酢漬け類, 紅白なます, サワードリンク等では, <i>E. coli</i> O157: H7 NGY-10に対する殺菌効果が, 食酢使用量の比較的少ない, 酢の物類, すし飯等では静菌効果が確認された。食酢を調味には使用しないが, 刺身類や茹で蛸を食酢に短時間浸漬すると, 供試菌株に対する静菌効果ないしは殺菌効果が発現し, 保存性が高まった。炊飯前に, 食味に影響しない量の食酢を添加すると, 冷却後の米飯に供試菌株を接種しても静菌された。冷凍魚介類を食酢希釈液中で解凍すると, その後の穏和な加熱でも, 供試菌株が殺菌され, 保存性が高まった。また, ハンバーグステーキに食酢を適量添加して焼くと, 中心温度が65℃という不十分な加熱でも, 供試菌株が殺菌され, 保存性が高まった。<br>以上の結果より, 調理の場面での食酢の細菌性食中毒防止効果が確認された。
著者
福田 ひとみ 小宮 ますみ 安田 弘子 入谷 信子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.69-72, 1997-02-10

合成飼料の基本食にキャベツ, ニンジン, ダイコンを"生", "ゆで", "おろし"として添加し, ラットに2週間投与した。その結果, キャベツやニンジンなどの野菜の摂取により血漿, 肝臓中のChol低下作用は認められなかったが, キャベツやニンジンの投与で一連の脂肪酸合成系酵素の活性が低下し, 肝臓TGもまた低下した。そして, これらの低下作用は"生"で効果的であった。ダイコンではその低下作用が認められなかった。その機構は未解決であるが, 野菜の摂取と同時にその調理方法もまた脂質低下作用に影響することが示唆された。
著者
望月 てる代 上田 愛子 石永 正隆
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.339-343, 1998-12-10
被引用文献数
2 2

30~59歳日本人男性100人の脂質の1日摂取量を直接測定した。<br>1) 全脂肪酸, コレステロール, 植物ステロールおよびリン脂質の1日摂取量は44.8g, 295.5mg, 194.1mgおよび2.9gであった。30~39, 40~49および50~59歳代の全脂肪酸の摂取量は51.8, 41.3, 45.1gであり, 飽和脂肪酸の摂取量が30~39歳代と40~49歳代で有意に差があった。<br>2) 魚介類由来の脂肪酸摂取量の平均は1.2gで, n-6/n-3比の平均は4.3であった。<br>3) 30~39, 40~49, 50~59歳代のコレステロールの摂取量は273.8, 274.7および331.3mgであった。コレステロールとリン脂質の摂取量の間には強い正の相関があった。
著者
溝口 亨 加藤 葉子 久保田 仁志 竹腰 英夫 豊吉 亨 山崎 則之
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.257-263, 2004-12-10

エゾウコギ根抽出物 (EUE) の機能性を探索することを目的とし, 動物試験を実施した。EUEの安全性評価において, 最大用量6,000mg/kgの単回投与毒性試験および最大用量3,000mg/kg/dayの2週間反復投与毒性試験では, 異常は認められなかった。ビタミンC欠乏飼料で飼育したモルモットを対照群, ビタミンC欠乏飼料にEUEを0.25%の割合で配合した飼料で飼育した群をEUE投与群とし, 30日間飼育し, 飼育28日目に除毛して背部皮膚に紫外線照射を行い, 30日目に紫外線照射部位の過酸化脂質含量および紫外線非照射部位のコラーゲン含量を測定した。その結果, EUE摂取により皮膚の過酸化脂質生成およびコラーゲン含量低下が有意に抑制されることが認められた。冷水に15分間浸漬したラットの体温低下状態からの回復時間を測定した試験では, EUE 500mg/kgの2週間投与により対照群と比較して体温回復時間が有意に短縮され, その作用は末梢血液循環改善によるものと考えられた。マウスを用いた強制水泳負荷後の水泳耐久時間測定試験では, EUE 500mg/kgの2週間投与により対照群と比較して水泳耐久時間の有意な延長がみられ, この作用はEUEの抗疲労作用による可能性が示唆された。以上の結果, EUEは皮膚過酸化脂質生成抑制作用およびコラーゲン減少抑制作用, 末梢血液循環改善作用, 抗疲労作用を有する可能性が示唆された。
著者
坂本 元子 杉浦 加奈子 香川 芳子 池上 幸江 江指 隆年 倉田 忠男 斎藤 衛郎 鈴木 久乃 八尋 政利 吉池 信男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.311-317, 2001-10-10
被引用文献数
5

食品に含有する栄養成分についての表示が国際的な流れの中で, 急速に, また複雑な形で市場に出回ってきている。そのため, 厚生労働省では「栄養成分表示基準制度」を平成8年に発足し, 国民の普及啓発がすすめられている。食品表示制度の発足と市場にあふれる食品表示情報に対し, 消費者はどのような対応をし, どのように活用しているのか, さらに表示の内容, 方法, それに対する意識について調査をし, 消費者の現状について検討した。表示があることは約70%の人が認知しているが, 毎日の使用はまだ低率である。表示栄養素のニーズは, 主要栄養素を中心に女子ではエネルギー, 脂肪が多く, 男子ではミネラル類が多い。しかし, 日本人に不足している栄養素, カルシウムや鉄分, 過剰なもの, 脂肪やコレステロールについては表示へのニーズが高く見られた。表示の活用目的では男女, 年齢を問わず, 健康上の理由や食べ物に注意が必要なときが多く, 健康意識の高まりや健康維持のために使用を目指す人が多く, とくに高齢者層に多く見られている。栄養成分表示の利用について主要なポイントは,「自分の必要量がわからない」ために, どれくらいとっていいかが不明であるという指摘が見られた。今後の表示内容・方法の検討に重要な示唆となるであろう。
著者
原田 理恵 田口 靖希 浦島 浩司 佐藤 三佳子 大森 丘 森松 文毅
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.73-78, 2002-04-10
被引用文献数
7 12

トリ胸肉より, ヒスチジン含有ジペプチドであるアンセリン・カルノシンを豊富に含むチキンエキスを調製し, マウスに投与した場合の体内動態および運動能力への影響について検討した。チキンエキスをマウスに経口投与すると, アンセリン・カルノシンは分解されずにジペプチドのまま吸収されて血流に乗り, その血中濃度は投与約30分後に最大に達した。また, チキンエキスを10% (固形分換算) 配合した飼料を継続投与することにより, 大腿四頭筋内にアンセリン・カルノシンの有意な濃度増加がみられた。このチキンエキスを投与したマウスは, 投与開始6日目以降, 速い水流 (10L/min) のあるプールにおける疲労困憊までの遊泳持久時間が対照群に比べて有意に向上していた。この持久運動能力向上効果の一因として, チキンエキスの経口摂取により, 生体緩衝能力をもつアンセリン・カルノシンが血流を介して骨格筋内に蓄積されることによって, 骨格筋内の緩衝能が高まったことが推察された。
著者
坂井 堅太郎 小川 路恵 高嶋 治子 水沼 俊美 真鍋 祐之
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.147-152, 1997-04-10
被引用文献数
1 1

加熱殺菌方法の異なる3種類の市販牛乳 (低温殺菌, 高温短時間殺菌および超高温殺菌牛乳) に含まれるタンパク質成分のペプシンに対する消化性を, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法と, 牛カゼイン, 牛α-ラクトアルブミンおよび牛β-ラクトグロブリンに対する特異抗体を用いたウエスタンブロット法により検討した。カゼインは牛乳の加熱殺菌方法の違いに拘らず, ペプシンにより速やかに分解された。低温殺菌および高温短時間殺菌牛乳中のα-ラクトアルブミンはペプシン消化に対して抵抗性が認められた。超高温殺菌牛乳では, α-ラクトアルブミンのペプシン消化に対する抵抗性はやや減少したものの, 十分に維持されていた。低温殺菌と高温短時間殺菌牛乳中のβ-ラクトグロブリンは, α-ラクトアルブミンと同様に, ペプシン消化に対して抵抗性を示したが, 超高温殺菌牛乳では, ペプシン消化に対する抵抗性はほとんど消失し, カゼインでみられるペプシン消化のパターンに類似していた。ラットに低温殺菌または超高温殺菌牛乳を強制的に経口投与し, 胃内容物中のβ-ラクトグロブリンの消化を調べたところ, 超高温殺菌牛乳投与ラットの消化度は低温殺菌牛乳投与ラットに比べて明らかに高かった。これらの結果から, 市販牛乳中の各タンパク質成分のペプシンに対する消化パターンは異なることが示された。また, 超高温殺菌処理によって, β-ラクトグロブリンのペプシン消化に対する抵抗性が著しく消失することから, 超高温殺菌牛乳はβ-ラクトグロブリンのアレルゲン性が緩和された牛乳としての有用性が示唆された。