著者
柿原 奈保子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.247-250, 2014-12-20 (Released:2016-06-06)
参考文献数
30

近年,メディカルアロマセラピーは,補完・代替医療の有望な治療法の一つとして,医療経済の観点からも注目されている.日本では,英国式アロマセラピーが普及しており,種々の疾病における精油の一定の治療効果に対するエビデンスの蓄積が不十分である.それ故に,日本にメディカルアロマセラピーを補完・代替医療として普及させるためには,精油の投与法やその効果に対するエビデンスを確立することが必要である. 本論文では,わが国のメディカルアロマセラピー研究の最近の動向を検討するために,データベースソフト医学中央雑誌を使用して2011年から2013年11月までの精油を用いた研究を調査した.キーワードは「精油」,「効果」,検索文献は「原著」,「総説」,「会議録」である.研究総数は136件であり,基礎医学実験85件 (約62.5%),臨床症例研究42件 (約30.1%),文献調査や意識調査9件 (約6.6%) であったが,生体内で精油が,どのような機序で作用して効能を発揮しているかを分析的,詳細に検証した研究はほとんどみられなかった.この結果は,精油の効能に関する分析的研究を推進する必要があることを示唆している.本論文では以上の背景を踏まえて,メディカルアロマセラピーの将来展望について述べた.
著者
原 好恵 篠崎 惠美子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.51-60, 2017-12-20 (Released:2017-12-20)
参考文献数
19

油性注射剤の筋肉内注射による硬結発生の実態は明らかでない. 乳がん治療薬フルベストラントによる硬結発生の実態, 筋肉内注射技術と注射時の看護ケアの実態を把握することを目的として, 自記式質問紙調査を行った. 全国のフルベストラントを使用している病院で勤務する看護師169名のうち有効回答の得られた54名を対象とした. 各項目は記述統計, Fisherの正確確率検定を用いて分析した. 硬結は30施設 (55. 6%) で発生しており, 患者の体型や合併症に関係なく発生し, 治療開始3ヵ月以降の患者に多い傾向があった. 第一選択部位は「クラークの点」 (66. 7%) が最も多く, 硬結発生と有意な関連 (P<0. 01) が認められた. よって「クラークの点」を優先的に選択する看護師が硬結を経験しやすい可能性があるが, 選択部位の工夫だけでは硬結予防が確実ではないと考えられた. 硬結予防のために行われていたケアはマッサージ (3施設) のみであり, ケアの実施が少ない現状が把握できた.
著者
青木 紀子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.50-57, 2014-01-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
20

ベッド上で便器や尿器を用いたときの排泄時の姿勢は,腹圧がかけやすくなるなどの理由から上半身を挙上するとされている.適切な挙上角度は身体的な安楽なども考慮され60°くらいとされている.しかし,看護技術書にはさまざまな挙上角度の記載があり,明確にはされていない.そこで,ベッド上で便器を挿入し上半身の挙上角度を変化させたときの腹圧のかかり方について,自覚的な腹圧のかけやすさと腹部表面筋電図から検討していくことを目的とした.18~22歳の健康な若年成人女性14名 (平均BMI,21±3.08) を対象に,ベッドの上半身の角度を0°,15°,30°,45°,60°,75°に変化させたときの安静呼吸時と最大腹圧を3秒かけたときの腹部表面筋電図を連続的に測定した.その結果,腹部表面筋電図は自覚的に腹圧がかけやすい拳上角度の順位別でも挙上角度別でも有意差はみられなかった.つまり,自覚的な腹圧のかけやすさと腹部表面筋電図との関連はみられず,腹圧のかかりやすい挙上角度は特定されず個別的である可能性が示された.
著者
工藤 由紀子 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.25-34, 2009
被引用文献数
1

本研究では,後頭部への冷罨法の有効性に関する実証データを得ることを目的とし,蒸し暑い条件下で氷枕を使用した健康な成人を対象として研究を行った.対象は50歳代前後の成人男性13名(54.9±5.1歳) であった.冷罨法に対する対象の主観をもとに,属性,POMS,血圧,呼吸,心拍変動を検討した.<br/> その結果,主観的評価では冷罨法の好感度が高い「快適群」は7名,好感度が低下あるいは変化がない「非快適群」が6名であった.POMSではT-A (緊張-不安),D (抑うつ-落ち込み),F (疲労) において冷罨法前後の得点の主効果が有意であり,冷罨法後の得点が低下していた.血圧や呼吸などの循環動態では有意差がなかったが,心拍変動では心拍数において冷罨法前後で交互作用が認められ,「快適群」において冷罨法前後の単純主効果が有意であった (p<0.001).<br/> また「非快適群」の6名について個別に検討した結果,2名がPOMSのT-A (緊張-不安),F (疲労)において冷罨法後に得点が上昇していた.また冷罨法後に呼吸数,心拍数,LF/HFが上昇している対象がおり,それぞれPOMSのネガティブな気分が上昇している対象と同一であった.<br/> 以上の結果から,冷罨法を快適であると感じる対象に関してはPOMS,心拍変動の面から裏づけとなるデータを得ることができた.しかし冷罨法を快適と思わない対象に冷罨法を提供するのは,主観的な面,および生理学的視点から望ましくない影響があることが示唆された.
著者
野呂 志津子 山口 智子 佐藤 奈津美 猪股 里美 成田 全 松江 聖乃 川崎 くみ子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.59-63, 2013-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究は,ボックスシーツのずれやしわの発生状況を従来のシーツ (以下,基準シーツ) と比較検証することにより,ボックスシーツのほうがしわやずれが少なく使用していくことができるかを明らかにすることを目的とした.健康成人女性22名 (平均年齢24.0±3.0歳) を対象に,ずれ測定部位に印をつけたボックスシーツと基準シーツを用い,60分臥床と30分ヘッドアップを行い,おのおのずれとしわを測定した.結果,両シーツともベッドに対し横方向にくらべ,縦方向のずれが大きく,シーツ中央のしわは他のエリアよりも有意に多かった (p <0.05).ヘッドアップ時はシーツ下方より上方のしわが有意に多く (p <0.05),上方より下方のずれが有意に多かった (p <0.05).臥床時のしわはシーツ中央と下方でボックスシーツが有意に少なかった (p <0.05).以上より,頭側が袋状になりベッドメーキング時足元を適度な力で牽引できるボックスシーツは基準シーツにくらべ,外観上しわが少なく,ずれは同様であり,患者が療養生活を行ううえでボックスシーツも活用できると確認できた.
著者
見谷 貴代 小宮 菜摘 築田 誠 細名 水生
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.125-130, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
15

本研究は, 5分間と10分間のハンドマッサージの実施時間の違いによる生理的および心理的効果を明らかにすることを目的として健常成人女子学生23名を対象にランダム化比較試験を行った. 基本属性, ハンドマッサージ実施前後の体温, 脈拍, 血圧, 唾液アミラーゼ, 心拍変動スペクトル解析, 疲労・ストレス・リラックス度 (VAS) , 気分状態 (POMS) について調査した. ハンドマッサージの実施前後で, 生理的指標では5分間群で脈拍と収縮期血圧が, 10分間群で脈拍と拡張期血圧が低下したが, いずれも数値の変化はわずかであった. 心理的指標では, 5分間群でVASの疲労度 (身体, 心理面) , ストレス度が低下し, リラックス度が上昇した. POMSの気分状態では, 緊張-不安, 抑うつ-落ち込み, 怒り-敵意, 疲労, 混乱が低下した. また, 10分間群ではPOMSの緊張-不安, 活気, 疲労が低下した. 本研究では, 5分間というごく短時間の実施でもリラックスなどの心理的効果が得られ, 看護の現場において短時間のハンドマッサージが有用である可能性が示された.
著者
石田 陽子 三浦 奈都子 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.58-65, 2004-04-30 (Released:2016-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

薬剤漏出による皮膚組織傷害に対する処置として, アクリノール湿布は日常的に用いられている. しかしながら, その効果を裏づける科学的な実証データは少ない. そこで本研究では, 薬剤漏出による組織傷害に対するアクリノール湿布の作用を明らかにすることを目的に, 実験動物を用いた基礎的研究を行った. 起壊死性抗がん剤であるドキソルビシン (アドリアシン®) と起炎症性薬剤として知られているジアゼパム注射液 (セルシン®) を使用し, ラット背部皮膚にこれらの薬剤を漏出後, アクリノール湿布を4日間施行した. 湿布貼用後, 薬剤漏出部の肉眼的観察および組織学的検索を行った. その結果, 各薬剤を漏出したラット皮膚において, 肉眼的に異常所見は認められなかったが, 組織学的に, 皮下組織に重篤な浮腫や炎症性細胞の浸潤が観察され, 薬剤漏出による組織傷害像を確認した. このような薬剤漏出部において, 組織傷害の程度を, アクリノール湿布を貼用した群と貼用しない群で比較検討した結果, アクリノール湿布の効果を示す知見は得られなかった.
著者
高橋 有里 村上 繁子 長澤 敦子 三浦 奈都子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.50-58, 2013-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は,筋肉内注射における注射部位反応の状況,および具体的な注射方法の影響を明らかにすることを目的とした.一施設の精神科外来で患者と看護師を対象とし,独自に作成した記録表を用いて調査し,持効性注射製剤とそれ以外の注射薬に分けて分析した.その結果,持効性注射製剤では,太い針で,殿部が選択され,微量の空気を注入する方法が実施され,マッサージはされない傾向にあった.注射液の皮膚表面上への漏れ,出血,圧痛,硬結が19.2%に観察され,持効性注射製剤か否かで差はなかった.注射液の皮膚表面上への漏れは,注射針の太さ,注射部位,空気注入,マッサージに有意な関連はなかった.硬結は10.9%で確認され,頻回に注射をしている者に多かった.硬結形成した事例は,前回注射時に,注射液の皮膚表面上への漏れや内出血,突然のしびれがあり,皮膚の色素沈着や萎縮,硬結部位に注射すると痛み,出血,注射液の皮膚表面上への漏れを生じていた.
著者
工藤 由紀子 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.25-34, 2009-12-05 (Released:2016-08-25)
参考文献数
39
被引用文献数
1

本研究では,後頭部への冷罨法の有効性に関する実証データを得ることを目的とし,蒸し暑い条件下で氷枕を使用した健康な成人を対象として研究を行った.対象は50歳代前後の成人男性13名(54.9±5.1歳) であった.冷罨法に対する対象の主観をもとに,属性,POMS,血圧,呼吸,心拍変動を検討した. その結果,主観的評価では冷罨法の好感度が高い「快適群」は7名,好感度が低下あるいは変化がない「非快適群」が6名であった.POMSではT-A (緊張-不安),D (抑うつ-落ち込み),F (疲労) において冷罨法前後の得点の主効果が有意であり,冷罨法後の得点が低下していた.血圧や呼吸などの循環動態では有意差がなかったが,心拍変動では心拍数において冷罨法前後で交互作用が認められ,「快適群」において冷罨法前後の単純主効果が有意であった (p<0.001). また「非快適群」の6名について個別に検討した結果,2名がPOMSのT-A (緊張-不安),F (疲労)において冷罨法後に得点が上昇していた.また冷罨法後に呼吸数,心拍数,LF/HFが上昇している対象がおり,それぞれPOMSのネガティブな気分が上昇している対象と同一であった. 以上の結果から,冷罨法を快適であると感じる対象に関してはPOMS,心拍変動の面から裏づけとなるデータを得ることができた.しかし冷罨法を快適と思わない対象に冷罨法を提供するのは,主観的な面,および生理学的視点から望ましくない影響があることが示唆された.
著者
萩野谷 浩美 佐伯 由香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.19-28, 2012-01-15 (Released:2016-08-01)
参考文献数
24
被引用文献数
4

本研究は,ストレス評価に唾液 αアミラーゼ活性 (sAA) が有用であるか否かを調べることを目的とした. 健康な成人女性 7名 (27.9 ± 8.7歳,21~47歳 ) を対象として,暗算と足浴を各10分間行った際の sAAの変化を心拍数,スキンコンダクタンス,Visual Analogue Scale の変化と比較検討した.その結果,暗算開始前と比較して開始後でいずれの測定項目も有意に上昇し (p <0.05),sAAと各測定項目との間に有意な相関があることが明らかとなった (rs=0.631~0.798).sAAは,心拍数やスキンコンダクタンスなどの自律神経機能と同様に交感神経活動を反映しており,客観的にストレスを評価するための指標となりうると考えられた. 今回使用した携帯型 sAA測定機器は簡便で侵襲性もなく測定できることから,今後は患者のストレス評価だけでなく,臨床でのアセスメントやケアの客観的評価,看護研究にも応用できると考えられた.
著者
小池 祥太郎 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.223-230, 2015 (Released:2016-04-01)
参考文献数
18

看護師が輸液中の患者から採血する場合,輸液をしている側の上肢を採血部位として選択することは少ない.これは輸液が血液データに影響することを避けるためである.しかし,輸液を実施している側の上肢から採血した場合,輸液がどのように採血データに影響するかは明らかとなっていない.そこで,本研究では輸液実施側の中枢側・末梢側と輸液の影響がない反対側の採血データを比較し検討することを目的とした.実験動物として,日本白色種雄性ウサギを選択し,ウサギの耳介をヒトの上肢に見立てて,左耳介静脈からソリタ®T3Gを投与し輸液実施部位の中枢側・末梢側,そして反対側にあたる右耳介静脈から採血を行った.その結果,総蛋白・アルブミン・ナトリウム・クロール・カルシウム・マグネシウムの中枢側データは反対側にくらべて有意に低く,血糖・カリウムは有意に高かった.また,すべての項目で末梢側データと反対側で有意な差は認められなかったが,一部のデータで限局的に影響がみられた.よって,輸液実施部位より中枢側は採血部位として不適切であるが,末梢側は適切な採血部位としての可能性が示唆された.
著者
河津 浩子 木村 英子 田中 康子 藤井 博英
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.32-34, 2006

意識障害がある患者は, 唾液腺に対する物理的刺激が低下し, 唾液分泌低下をきたしている. 先行研究では, 酸味刺激による唾液分泌を図った口腔ケアが主流であった. しかし今回, 従来の口腔ケアに歯ブラシを利用し, 舌体の奥から舌尖, 舌小帯後方から舌尖へ舌を上下させる運動 (以下, 舌の上下ブラッシング法) を機械的に加えることで唾液腺を刺激し, 唾液分泌の促進が図れるのではないかと考えた. そこで, 意識障害があり, 歯磨きおよび経口摂取が不可能な患者10名に対して, 従来の口腔ケア (歯ブラシを用いたブラッシングでの口腔清拭 ; 対照群) と, 従来の口腔ケア後に舌の上下ブラッシング10回を加えた口腔ケア (介入群) を行い, 比較検討した. 口腔ケアの実施直前, 直後に唾液量を唾液浸潤度検査紙 KS─3エルサリボで測定した結果, 対照群と介入群の比較では, 舌下粘膜での唾液量に有意差を認めた. また, 口腔ケア前後の舌上 ・ 舌下粘膜での測定の結果, 対照群と介入群の比較でも有意差を認めた. このことから, 従来の口腔ケアにおいても唾液分泌が促されていたが, 舌の上下ブラッシング法を加えたことによってさらに唾液分泌が促されたと考えられる. 今回の舌の上下ブラッシング法は, 物理的刺激を加えることで従来の口腔ケアを生かし, 唾液分泌を促進させることができたと考えられる.
著者
大久保 暢子 牛山 杏子 鈴木 恵理 佐竹 澄子 小板橋 喜久代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.121-130, 2011-04-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
65

日本看護技術学会技術成果検討委員会の一組織であるポジショニング班では,看護職が行うポジショニング技術を既存の研究成果と臨床知から言語化し,臨床看護師に広く公表していく活動をしている.本研究では,活動の第一段階として看護職が行うポジショニングの定義を明確にすることを目的とした.また看護学同様,理学療法学におけるポジショニングの定義を調査し,看護学の定義と比較検討した.調査対象は,国内の大学に所蔵される看護学分野および理学療法学の国内外の教科書および参考書計 253冊で,方法は,ポジショニングの言葉が記載されている箇所を定義,目的の観点から抽出し,看護学,理学療法学ごとに共通性を分析し,定義と目的と導いた.倫理的配慮は,対象書物に偏りがないよう関東にある大学の最新版を採用した.結果,看護学における定義を「対象の状態に合わせた体位や姿勢の工夫や管理をすること」とし,目的は,安楽,合併症 ・ 廃用症候群の予防,気分転換などがあがった.理学療法学の定義は,対象者以外に介助者との関係も含んだ内容であり,看護学とは異なる点があった.今後は,上記の定義を仮定義として扱い,さらに臨床看護師のポジショニング技術の実践内容を分析したうえで,看護におけるポジショニング技術の言語化を進めていく予定である.
著者
北島 万裕子 加悦 美恵 飯野 矢住代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.48-54, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
7

本研究の目的は,マスクを着用して発せられる看護師の声が,患者にどのような音として伝わっているかについて,マスク着用時と非着用時で比較し検討することである.対象は女子看護学生12名で,看護師役11名,患者役1名に振り分けた.方法は,検温場面を想定して看護師役の発する音声を録音し,音声分析ソフトPraatを用いて声質と音圧レベルを測定した.患者役には聞き取りやすさ等を調査した.結果,検温の測定内容について患者に話しかける場面ではマスク着用で声質に違いは認められなかったが,体温を測定する動作を伴いながら患者に脈拍数を伝える場面では,マスク着用時のほうがしわがれ声,かすれ声といった聞き取りにくい音声となっていた (p=0.076).6,000~8,000Hzの高音域では7名以上 (63%以上) がマスク非着用時の音圧レベルが高く声が大きくなっていた.患者役は,マスク着用時に「声がこもっている」「声が小さくなった」と感じていた. 以上より,マスク着用時の看護師の音声は,他の動作を伴う際や高音域で話す際に聴こえにくい可能性が示唆された.
著者
小池 祥太郎
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.126-131, 2014-08-20 (Released:2016-06-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究の目的は,熱布清拭と石鹸清拭が気分とストレスに与える影響を明らかにすることである.研究方法は対象者10名に対して熱布清拭と石鹸清拭を行い,日本語版POMS短縮版と唾液アミラーゼ活性にどのような変化があるかを比較した.また,熱布清拭と石鹸清拭の影響を比較するために,両清拭における日本語版POMS短縮版のT得点の変化量を比較した.その結果,熱布清拭前後における日本語版POMS短縮版のT得点はすべての項目において有意な差は認められなかった.一方で,石鹸清拭前後における日本語版POMS短縮版のT得点は「抑うつ-落込み」「混乱」で有意な減少,「活気」で有意な上昇が認められた.熱布清拭と石鹸清拭の日本語版POMS短縮版T得点の変化量の比較は,石鹸清拭が熱布清拭と比較し「活気」に及ぼす影響が有意に高い結果となった.なお,唾液アミラーゼ活性は両清拭とも有意な変化は認められなかった.この結果から,石鹸清拭は熱布清拭と比較し精神的効果が高い援助方法であることが示唆された.
著者
谷地 和加子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.46-55, 2013-01-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
14

倦怠感のある外来がん化学療法を受ける患者への背部温罨法の有用性を明らかにすることを目的とした.対象者は倦怠感を自覚し外来がん化学療法を受けている患者であり,15分間の安静臥床 (対照群 6名 ) と約 50℃ 15分間の背部温罨法 (罨法群 12名 ) の調査を行った.血圧 ・ 脈拍 ・ 体温,倦怠感尺度 Cancer Fatigue Scale (以下 CFS) の質問紙調査および翌日の CFSの郵送調査を比較検討した.その結果,体温は罨法群の前後で有意差があった (p =0.02).対照群の前の総合的倦怠感平均得点は,23.00 (SD 3.58) 点,罨法群では,25.08 (SD 7.31) 点であり,前後の CFS総合的倦怠感得点 ・ 身体的倦怠感得点 ・ 認知的倦怠感得点は,有意差があった.罨法群の総合的倦怠感得点は前と 15分後,15分後と翌日で有意差があり,前と翌日では有意差はなかった.罨法後のインタビューの内容分析では,【気持ちがいい】【気持ちが落ち着き楽になる】【リラクゼーション】【爽快感】などの 12カテゴリーが抽出された.本研究では,背部温罨法は倦怠感のある外来がん化学療法患者に対し心地よさをもたらすケアであることが示唆された.
著者
辻裏 佳子 豊田 久美子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.23-32, 2013-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
20

本研究は,森林映像の心身反応に関する基礎的検証を行うことを目的に,健康な20歳代24人 (男女各12人,平均年齢21.67±1.31歳) を対象に,森林映像とコントロール映像を用いた.実験は,映像視聴10分,前後に安静5分の合計20分とし,評価指標は,semantic differential technique (SD法),心拍変動,実験前後にVisual Analogue Scale (以下VAS) と気分プロフィール調査 (以下POMS) を用い,自記式質問紙にて森林映像から心地よく感じた内容の回答を得た.森林映像は,穏やかさと好感を得る一方で豊かでダイナミックな印象が得られ,VASから「快適な」「鎮静的な」「リフレッシュした」で得点が上昇し (p <0.001~0.01),POMSから「緊張-不安」の軽減が認められた (p <0.01).心拍変動から副交感神経活動の優位な反応が認められ,今後の活用として心地よく感じる場面の疎密や映像の余韻の活用をすることで快適性やリラックス効果を引き出せる可能性が示唆された.
著者
細野 恵子 加藤木 真史 吉良 いずみ 菱沼 典子 田中 美智子 井垣 通人 丸山 朱美 加藤 京里
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.74-80, 2016

本研究は看護師が排便状況を分類・判断する際の基準を明らかにし,臨床で排便状況を分類するためのフローチャートを作成することを目的とした.著者らの先行研究 (加藤ら 2012) で示した排便パターンについて,研究者らは何を指標として分類していたかを振り返り検討したところ,最も優先していたのは便の形状であり,つぎに排便日数,排便量,最後に主観的な感覚または客観的な症状による腹部の張りであった.そこで,先行研究から群別の基準値を設定し,形のない便が2回に1回以上あるか (便形),硬便が4回に1回以上あるか (便形),排便は週に4日以上あるか (排便日数),5回に1回は母指頭大か (排便量),腹部の張り (腹満感) はあるか (主観的・客観的な腹部の張り) という5つの問いから構成されるフローチャートを作成した.フローチャートによって分類される排便パターンは〔良好Ⅰ群〕〔良好Ⅱ群〕〔便秘Ⅰ群〕〔便秘Ⅱ群〕〔便秘Ⅲ群〕〔下痢群〕の6種類になった.