著者
平田 由美子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.147-155, 2002-12-25 (Released:2011-01-31)
被引用文献数
2

Now, the electrical rice cooker is very popular and is owned by over 90% of all the Japanese families.It has stable 6 million sales every year. It has been developed to the household necessity for 47 years since its release. I introduce some of recent technologies and the history of the rice cooker.
著者
小川 久惠 奥嶋 佐知子 児玉 ひろみ
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.36-42, 2001
被引用文献数
1

肥満予防や食事制限を余儀なくされている人たちでも利用できるように, 身体に蓄積されにくいジアシルグリセロールを主成分とするクッキングオイル (市販健康エコナクッキングオイル, DAG-O) を菓子に応用した時の調理性について検討した. 試料調製には上記の油と同一原料から調製したトリアシルグリセロールを主成分とする油 (TAG-O) を用い, シフォンケーキ, フィナンシェ, シュー, クッキー, ドーナツの5種の菓子を調製し, 官能評価を中心に物性面からはクリープメーターによるテクスチャー解析およびバッターの比重の測定, 焼成前後のシフォンケーキの高さの測定などを行って両油を比較検討し以下の知見を得た.<BR>1. 官能評価法による評価の結果, シフォンケーキを除く他の4種の菓子についてはDAG-O試料およびTAG-O試料間に有意差はみられなかった.<BR>2. シフォンケーキの官能評価の結果は, DAG-O試料はTAG-O試料にくらべきめ粗く均一でない, ふっくら感で劣るなどの理由から総合的な評価において有意に低く評価された.<BR>3. DAG-Oを用いたシフォンケーキに小麦粉重量の3%のB.P. を添加すると, 炭酸ガスが気泡を押し上げることから, 総合的な評価を有意に高めることができた.<BR>4. シフォンケーキ調製時のバッターの比重を測定したところ, DAG-OはTAG-Oに比べて約0.04大きく, またクリープメーターによるかたさの測定値においてもDAG-OはTAG-Oにくらべて高値を示し, いずれも官能評価の結果を裏付けていた.
著者
大倉 洋代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.269-275, 2000-12-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

黒糖固有の成分を生かした食品作りを行うことを目的として, 南西諸島の黒糖製造所12か所 (鹿児島県8製造所, 沖縄県4製造所) から収集した黒糖について, 製造工程の聞き取り, 味と色の品質の官能評価及び成分測定を行った. 味覚や成分等の品質と製造方法に関して, 以下の結果を得た.(1) 黒糖の製造工程は, さとうきびの搾汁, 搾汁液の煮沸, 石灰の添加, 浮遊する灰汁の除去, 煮詰めた搾汁液を容器から取り上げ, 放冷し固化する過程を経る.(2) 沖縄産黒糖の色は, 鹿児島産黒糖にくらべて製造所間のばらつきが小さい.(3) 鹿児島産黒糖と沖縄産黒糖の間には, 糖分と水分及びたんぱく質において有意差はないが, 灰分に有意差が認められ, 鹿児島産黒糖には灰分量が少ない.(4) 成分間の関係をみると, 水分と糖分間には負の比例関係が, フラクトース, グルコース, ケストースはスクロースとの間に負の比例関係を有し, 灰分とカリウムの間には正の比例関係が, 1%で有意な差が認められた.
著者
石橋 源次 山形 知広 力武 史郎 滝口 靖憲
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.107-111, 2002-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

鶏の鶏冠から抽出されたムコ多糖類のピアルロン酸を用いて, in vitroとin vivoにおける消化性および腸内細菌叢について検討した.1. ピアルロン酸は, 消化管内の消化酵素で消化されず, また, ラットに経口投与した場合, 糞中に排泄されなかった.これは, ピアルロン酸が内在する腸内細菌により発酵を受けると思われた.2. ピアルロン酸を摂取すると盲腸内のLactobacillusやBifidobacteriumが増加することが分かった.
著者
今井 悦子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.121-127, 2002

家庭内で常に特定の人が使うことが決まっている食器を属人器というが, 属人器の実態を明らかにする手始めとして, 埼玉県居住者を中心とする2, 500名を対象とし, 郵送調査法を用いてアンケート調査を行った. 回収率は41.4%であった (家族2人以上の者に限った).<BR>調査の結果, 以下のことが明らかになった.<BR>1. もっとも専用率が高い食器は箸であり, 次いで飯碗, 湯呑みで, これらは8~9割方属人器として使われていた. 汁椀はほぼ半数が, 一方取り皿は約8%のみが属人器としていた.<BR>各食器の専用・共用実態と家族人数の間には関係がなく, 同居世代数との間には一部関係があった. また, 食事作りを担当している者の年齢との間には食器によっては有意差があり, 若い世代は専用が少なく, 高齢世代は専用が多かった.<BR>2. 食器の共用に対する抵抗感の有無を調べたところ, 抵抗感ありは箸が50.0%ともっとも高く, 次いで湯呑み (39%), 飯碗 (35%), 汁椀 (24%), 取り皿 (5%) であることが分かった. 抵抗感は, どの食器でも有意に女性にありが多く, 男性に少なかった. また, 年齢とは関係がなく, 家族人数とは一部関係が見られただけだったが, 同居世代数とは関係があった. すなわち, どの食器も3世代以上の世帯では抵抗感ありが多く, なしが少なく, 逆に1または2世代世帯では抵抗感ありが少なく, なしが多かった.<BR>3. 家族の中の誰に対して抵抗感があるか調べたところ, どの食器も義理の関係にある者に対しての抵抗感がもっとも強いことが分かった. 次いで父母, 兄弟, 配偶者, 子どもの順であった.<BR>4. 日常の家族との食生活と抵抗感との関係をみたところ, 抵抗感ありの人々では, 食事中家族団欒がほとんどなしが多く, 団欒ありが少なかった.5. 食器共用への抵抗感に寄与する因子を見つけるためにCHAIDを行った結果, 抵抗感なしの人々は実際にその食器を共用していること, また, 抵抗感ありの人々はまず食器は専用としていて, さらに性や同居世代数, または家族との日常の共食実態などが抵抗感の有無に影響していることが示唆された.
著者
西村 沙矢香 宮林 沙季 瀧井 幸男
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.217-221, 2010-12-30 (Released:2011-01-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

This research studied the eating behavior and genetic factors that cause masked obesity, in which body fat percentage is high even though the body weight is low or normal, a phenomenon that is increasing among young Japanese women. This study performed physical measurement, an eating-behavior survey based on EAT-26, and a genetic polymorphism test that used the non-invasive collection of fingernail clippings on 94 young women. The result showed that 13. 8% of the women have masked obesity, while 39. 4% have masked obesity tendency, and the total of both groups equaled more than half the total number (53. 2%). When the masked obesity group is compared to the standard group, no difference can be seen in the frequency of appearance of β3-adrenergic receptor (β3AR) genetic polymorphism (Trp64Arg) and insulin-induced gene 2 (INSIG2) genetic polymorphism (rs7566605), but there is a significantly higher rating in EAT-26. These results suggest the possibility that unique eating behavior habits of young women are largely involved in causing masked obesity in this population.
著者
石橋 源次 山形 知広 力武 史郎 滝口 靖憲
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.107-111, 2002
被引用文献数
1

鶏の鶏冠から抽出されたムコ多糖類のピアルロン酸を用いて, in vitroとin vivoにおける消化性および腸内細菌叢について検討した.<BR>1. ピアルロン酸は, 消化管内の消化酵素で消化されず, また, ラットに経口投与した場合, 糞中に排泄されなかった.これは, ピアルロン酸が内在する腸内細菌により発酵を受けると思われた.<BR>2. ピアルロン酸を摂取すると盲腸内のLactobacillusやBifidobacteriumが増加することが分かった.

1 0 0 0 OA 納豆菌の開発

著者
木内 幹 村松 芳多子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.12-15, 1999-06-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
11
著者
石田 裕 舟木 秀明 鈴野 弘子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.117-124, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
17
被引用文献数
2

ホルムアルデヒドの食品への移行と調理後の残存について検討した。タンパク質や糖質を主成分とする食品は, 被曝濃度にかかわらず, HCHOの吸着が容易に起こり, 吸着活性は対照試料としてカゼイン, デンプン共に高く, 大豆油には吸着が見られなかった。またカゼイン, デンプンのHCHO吸着は少なくとも96時間までは増加し, 保存が長期にわたるとさらに吸着量が増加する可能性が示唆された。このことは一般に長期保存が可能なタンパク質や糖質に富む乾物や穀類などはHCHOの吸着濃度が高まる可能性が高いことを示している。  また保存温度とHCHO吸着量の関係では, 温度の上昇に伴い気相中のHCHO濃度も上昇し, 吸着量に関しても正の相関を示すことが明らかとなった。さらに調理による消長では茹でることにより70~80%が除去されるが, 粉ミルクのように, 密封状態で加温溶解し全量摂取するものでは, 大部分が残存することが明らかとなった。そこで食品への吸着を防ぐことを目的にHCHOのフィルム透過性について検討した。その結果, フィルムの違いによりガスバリアー性の違いが認められ, PPなどの複層フィルムを使用し, 密封保存することが食品へのHCHOの吸着防止に有効であった。
著者
江間 三恵子 田所 忠弘
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.256-263, 2003-03-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
37
被引用文献数
1

Dried foods have been developed over the years by our society for diets in the world.Especially, during war or shortage period, the improvised rice is the food most needed bypeople.In the Edo era, common people carried some umeboshi and a cup of salt as a foodhabit when they traveled.This was the poorer portable foods in that era.In this paper, we will try to discuss the transition of the characteristics of dried foods based on utilization and culture.
著者
中島 佳緒里 清水 遵
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.230-233, 2011-12-30 (Released:2012-01-23)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 満腹感に代わる摂食後の主観的評価指標として我々が開発した内臓感覚表現の尺度が摂食後の内臓の状態を反映するのかを, 時間経過による得点推移によって検討することであった。健康な成人33名 (平均年齢21.0歳, 男性10名, 女性23名) を対象に, VASによる満腹感および内臓感覚表現尺度17項目が, 摂食前・直後・30分後・60分後・以降1時間毎に6時間まで測定された。テスト食には, 656.3kcalの市販の弁当と緑茶350mLを用いた。その結果, VASで測定した満腹感得点において摂取前と比較して有意に高い値を示したのは, 摂食後300分までであったが, 内臓感覚表現の尺度得点は摂食後180分までであった。さらに, 下位項目である容量・重量因子得点が摂取前平均値に戻るに要した時間 (区間) をパターン分類した結果, 分析した対象者28名のうち16名 (57.1%) が180から240分区間で低下したパターン (II) であった。摂取後180分はシンチグラフィーによる胃容量の全排出時間に類似しており, 「容量・重量因子」得点は, 胃を主体とした内臓からの情報をとらえていることが示唆された。
著者
中島 佳緒里 櫻井 優太 清水 遵
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.325-333, 2009-03-30 (Released:2009-05-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究は, 摂食行動における身体内部の手がかりとして内臓感覚に注目し, 満腹感に関する内臓感覚表現語の構造の特定と内臓感覚表現尺度を作成することを目的とした。健康成人の内臓感覚表現を模索し, 表現語の尺度項目を作成するためにフォーカスグループによる予備調査を行った。  予備調査は, 53名の20~30代の健康成人を対象に, 満腹感あるいは空腹感を示す表現について, 食事前後の自由記述による質問紙調査を実施した。その結果, 満腹感あるいは空腹感を示す表現は, 「具体的・局所的な表現」56表現, 「状態に対する認知的表現」34表現が抽出された。内臓感覚表現の予備尺度には具体的な表現である38語を使用した。  本調査では, 作成された予備尺度を使って, 健康な大学生340名を13時と16時の2群に分けて質問紙調査を実施した。質問紙は, VASによる満腹感あるいは空腹感の程度と, 予備尺度38項目で構成された。探索的因子分析の結果, 満腹感に関する内臓感覚表現は。3因子構造であることが明らかになった。第I因子19項目は‘何かある感じ’‘膨れた感じ’‘ズッシリする’‘たまっている’など, 内臓の容量や重量を示す表現から「容量・重量因子」とした。第II因子9項目は‘キュルキュルする’‘縮まる’‘グルグルする’など消化管の蠕動運動の表現から「運動因子」とした。また, 第III因子5項目は, ‘はきそうな’‘痛い’‘気持悪くなる’など嫌悪を示す表現から「嫌悪因子」とした。  さらに, VAS値を基準変数とした重回帰分析の結果, 満腹感に関する内臓感覚表現は, 「容量・重量因子」と「運動因子」により形成されていることが明らかになった。以上の結果より, 内臓感覚表現尺度の作成を2因子により作成し, 尺度の項目分析を行ったところ2つの表現が削除され, 「容量・重量因子」12項目, 「運動因子」5項目となった。削除項目を除外した後のクロンバックα係数は, それぞれ0.94, 0.80であり, 作成した尺度は妥当性の高い結果であった。
著者
高屋 むつ子 菅野 美千代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.112-120, 2002-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
13

宮城県やその近辺県を中心とした女子短大生の漬物に対する嗜好性と摂食状況並びに市販漬物利用状況と調味に対する嗜好性を把握する目的で, 宮城県にある尚絅女学院短期大学学生544名を対象にアンケート調査を行い, 以下のような結果を得た.1. 漬物に対するイメージは「塩分が多く健康によくない」「漬物より生野菜の方が断然健康によい」「保存食品」といったマイナス・イメージをもつ者と, 「嗜好食品」「野菜を食べるための調理法」「食物繊維・ビタミン・ミネラルの宝庫」といったプラス・イメージをもつ者とに二分された. 特に宮城県以外の他県出身者(主に東北地方)は漬物を「保存食品」として捉えている者が多く (p<0.05), また, 専攻別では他専攻より食物栄養専攻の方が「嗜好食品」として捉えている者が多かった (p<0.05)2. 漬物が食卓にでる頻度は「時々でる」49.4%, 「必ずでる」40.3%で, いずれも核家族より拡大家族の方が顕著に多かった (p<0.01). 摂食頻度は「1日1回」「週1回」「3日に1回」と分散し, 居住地別, 家族形態別で差がみられた.3. 漬物の嗜好度はかなり高く, 嫌いと回答した者は僅か5%であった. また, 漬ける人の有無で嗜好度に差がみられ, 漬ける人がいる家庭は有意に好み (p<0.05), いない場合は嫌う傾向が強かった (p<0.01).4. 食卓における漬物は「自家製・市販漬物併用」59.1%, 「市販漬物」25%, 「自家製漬物」15.9%で, 核家族は市販漬物利用者が多く, 拡大家族は自家製漬物が多かった (p<0.01).5. 自家製漬物品目は胡瓜浅漬, 白菜浅漬が最も多く, たくあん漬, 梅干は自家製群, 拡大家族群で有意に多かった. 市販漬物63品目中購入頻度が高く, 好きな漬物は白菜キムチ, 梅干, 胡瓜浅漬, カリカリ梅, かつおたくあん, 白菜浅漬, 茄子浅漬で, 居住地, 居住形態別で有意差がみられた. また, 苦手・嫌いな漬物はピクルス, らっきょう漬, セロリ浅漬, 奈良漬, わさび漬, 粕漬, べったら漬, 甘酢しょうがであった.6. 今後の市販漬物利用状況については「利用したい」が「自家製漬物が好き」32.3%, 「市販漬物が好き」68.5%, 「どちらも好き」81.9%で, 市販品に対する依存度が高かった.7. 市販漬物を購入する際に注意する点は「味」99.1%, 「賞味期限」63.5%, 「価格」56.2%, 「表示内容」33.6%であり, 価格のみ居住形態で差がみられた (p<0.01).
著者
真鍋 久
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.200-206, 2003-12-25 (Released:2011-01-31)
参考文献数
16
被引用文献数
4

納豆粘質物の主要成分であるPGAには多量のD-グルタミン酸が含まれている. なお, 納豆をD-アミノ酸含有食品として捉える場合には, PGAを含めた納豆全体に, 如何なるD-アミノ酸がどの程度存在するのかを把握しておく必要がある. しかしながら, そのような報告はなされていない. そこで著者は関連の調査をおこなうことにし, 今回は, 納豆の「粘質部位」を分析して以下の結果を得た.(1) 納豆の粘質部位から, D-グルタミン酸のみならず, D-アスパラギン酸やD-アラニンが検出された.(2) それらのD-アミノ酸は, D-グルタミン酸が結合型ならびに遊離型, D-アスパラギン酸のほとんどが結合型, D-アラニンの大部分が遊離型で見出された.(3) D-アミノ酸の含量については, 結合型D-グルタミン酸が納豆100gあたり3mmo1以上という大変高い状態にあったほかは, いずれの遊離型ならびに結合型D-アミノ酸も納豆100gあたり0.5mmo1以下であった.
著者
下村 道子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.87-91, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Japanese food culture is characterized by a large number of fish dishes and the use of seasonal ingredients. The Japanese archipelago is surrounded by warm or cold currents depending on the season, which affects which species of fish travel near land and are caught. Although the highest-profile method of Japanese fish preparation is to eat it raw as sashimi or sushi, fish can be prepared variously through grilling, boiling, pickling, frying, simmering in soup, or mincing. Fish to be heated is cooked with fermented seasonings such as miso, soy sauce, sake lees and vinegar. Because of the warm and humid weather in summer, since ancient times, fish have been preserved through pickling rather than drying. When fish is cooked or processed, umami compounds are generated in the meat, improving the taste. However, beyond the meat, the skin, bones, and internal organs can be cooked and eaten as well. There is scientific basis behind each of these traditional cooking methods, and the continuation of these dietary habits constitutes the food culture of Japan.
著者
本澤 真弓 亀谷 小枝
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.43-52, 2001-06-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
21

全国ネットの4種のテレビ局について, 1999年6月初旬の1週間の放映内容を基に, 食に関するCMを抽出して, チャンネル別, 曜日別, 時間帯別, 食品・飲料別に集計し, CM中の訴求商品の種類, CM露出回数および訴求内容の特性を解析した.(1) いずれのchにおいても食品および飲料のテレビCMの全テレビCMに占める割合は, 1週間では土日よりも平日の方が高く, また1日では18時以降の夜帯よりも朝6時~および正午~の朝帯と昼帯の方が常に高かった. このことは, 食CMの訴求対象と密接に関連するだけでなく, CM料金および視聴率との関わりから, 食品CMが多数回のCMの反復露出により認知率の向上をはかる傾向にあることが伺えた.(2) 食品CMを8種の食品群にグループ化した場合, 「菓子類」および「調味料類」のCMの種類が他の食品グループのCMよりも圧倒的に多く, またCM露出回数も顕著に高かった. 飲料CMを4種の飲料グループに分類した場合, 「清涼飲料類」および「コーヒー・紅茶飲料類」のCMの種類ならびにCM露出回数が最も高く, 次いで「茶系飲料類」の順であった.(3) 食品CM, 飲料CMともに, 種類およびCM露出回数の多い商品CMは, 特定のchでの集中した反復露出を行う傾向が認められた.(4) 食に関するCM中の訴求特性を8つのカテゴリーに分類した結果, 食品CMでは, 日常の基本食材となるような「肉・魚介.卵・豆類」, 「穀類.主食類」, 「調味料類」CMでは「食味」に次いで「品質・安全性」を訴求するものが多く, 「菓子類」, 「栄養補助食品類」のCMとは異なる訴求特性を示した. また, 商品の種類ならびにCM露出回数の多い「菓子類」, 「調味料類」CMは, 新発売などの「新規性」を訴求するCMの割合が他の食品グループの場合に比べて若干高く, 商品認知のための知名広告として, テレビの媒体機能を有効活用していることが推測された.飲料CMの訴求特性については, 「清涼飲料類」および「茶系飲料類一CMでは, 「素材・成分」を訴求するものが「食味」訴求の割合より高く, 特定成分や素材の除去.軽減や, 添加・増量による飲料のデザインの傾向の強いことが伺われた.
著者
井上 吉世 林 淑美 原 知子 和田 珠子 水野 千恵 中原 満子 伊藤 知子 村上 恵 的場 輝佳
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.313-319, 2010-03-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

This study clarifies the applicability of a sensory evaluation to easily determine the life span of frying oil on the fried food cooking in the kitchen. Two types of foods, i. e. , a chicken fillet and potato, were deep-fried coated with two types of flour, i. e. , potato starch and wheat flour. Frying was continued until the flavor score of the oil had dropped to 3. A sensory evaluation of the frying oil and each fried food was then carried out. The life span of the frying oil to reach the flavor score of 3 was slightly longer for the potato compared to the chicken fillet. It was suggested that the scores for the viscosity and rancid flavor of the frying oil corresponded to the flavor score result of the frying oil. The flavor and taste of the potato fried in the oil with a flavor score of 3 were not good. However, it was difficult to judge the degradation by the appearance of the fried chicken fillet coated with potato starch. The flavor score of the frying oil corresponded to the rancid flavor of the frying food in any case. The color of the frying oil and the taste of the fried materials varied case by case. These results suggest that the flavor score of the frying oil is a useful and easy method to determine the life span of frying oil in the domestic kitchen when a potato starch or wheat flour coating is used.
著者
水野 和代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.98-105, 2011-09-30 (Released:2011-10-27)
参考文献数
17
被引用文献数
2

This research intends to present a measure to increase vegetable consumption by evaluating the difference in vegetable consumption awareness between young and middle to elderly aged groups by a questionnaire survey. Survey data was analyzed through factor and image analyses, e.g., the SD method. The result of the analysis showed that both groups were aware that vegetables are essential in diets and beneficial to health. Different responses were obtained for other parameters such as consumer benefit, image, and expectations from each group. Young respondents were less reluctant toward processed vegetables, expected results in their physical appearances, and anticipated immediate effects. On the other hand, middle to elderly aged respondents had a good image of fresh vegetables but not processed vegetables. These respondents expected health benefits and prevention of current and future diseases because of vegetable consumption. Therefore, to increase vegetable consumption, it is critical to identify measures that consider the difference in awareness between different age groups.
著者
白井 智美 影山 洋平 佐藤 拓也 柳楽 大気 相澤 有美 志賀 孝宏 田所 忠弘 鈴木 司 小林 謙一 山本 祐司
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.49-56, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
27

Numerous epidemiological surveys have shown that consuming coffee can prevent cancer development. Caffeine and chlorogenic acid are the most well known constituents which are included in coffee and prove to have an positive effect to prevent cancer. Although these constituents are known to directly act on anti cancer machineries, such as anti-oxidant effect. There are also studies showing that benefit of functional food is exhibited by metabolic changes. Therefore, we may anticipate that changing metabolic pathways may occur during coffee intake and further expect lowering the cancer risk. Thus, in this study, we analyzed the effect of administration of coffee to Eker rat which are a renal cancer and a metabolic syndrome model rat. By giving 1% coffee for 100 days, we found that renal cancer development was suppressed. We further analyzed the metabolic change by metabolomic analysis in liver and observed that the abnormal carbohydrate and ketone body production in Eker rats were restored by coffee consumption. We also confirmed that these effects were not due to the recovery of tumor suppression gene TSC2 expression. Thus, coffee may have a anti-cancer effect by changing the metabolic pathway and lower the risk factors which may lead to cancer development.