著者
原口 裕希 山村 千絵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.171-175, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
13

〔目的〕姿勢変化が咀嚼の効率へ与える影響を調べること.〔対象〕健常成人23人とした.〔方法〕4通りの姿勢をランダムにとらせ,試料の咀嚼開始から嚥下までを筋電図で記録し解析した.〔結果〕咀嚼回数はリクライニング30度頭頸部屈曲30度(R30-HN30)がリクライニング90度頭頸部0度(R90-HN0)より多かった.総咀嚼時間はリクライニング30度頭頸部0度(R30-HN0)とR30-HN30がR90-HN0より長かった.バースト持続時間はR30-HN0が他の姿勢より長かった.咀嚼周期はR30-HN0がR90-HN0より長かった.バースト持続時間の変動係数はR30-HN0がR90-HN0より大きかった.〔結語〕咀嚼の効率はR30の姿勢で悪く,R90-HN0の姿勢のときが最も良いことが示唆された.
著者
陳之内 将志 小野 武也 沖 貞明 梶原 博毅 金井 秀作 長谷川 正哉 坂口 顕 島谷 康司 清水 ミシェル・アイズマン 大塚 彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.169-173, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

本研究は,関節可動域制限発生の予防に必要な持続的伸張運動時間を関節角度と筋の形態学的な変化から検討した。実験動物には9週齢のWistar系雌ラット35匹を正常群7匹と足関節を最大底屈位で1週間ギプス固定した固定群7匹,1日1回ギプスを除去し持続的伸張運動を実施した伸張群21匹に振り分けた。さらに伸張群は10分,30分,60分の伸張時間の違いによって7匹ずつ振り分けた。結果は,関節角度の変化から見ると,30分の持続的伸張運動が最も効果的に関節可動域制限の発生を抑制することができた。また筋の形態学的な変化から見ると,30分を超える持続的伸張運動では筋線維を脆弱化させる可能性が示唆された。
著者
石坂 正大 久保 晃 金子 純一朗 野村 高弘 韓 憲受 貞清 香織 堀本 ゆかり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.627-630, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

〔目的〕理学療法学科学部生における興味を持つ専門分野の縦断的変化を明らかにすること.〔対象と方法〕平成28年度理学療法学科学部4学年98名とした.アンケートは7専門分野と23専門領域から最も興味のある領域を選択させた.アンケート実施は,2学年前期,3学年前期,3学年後期,4学年後期に行った.〔結果〕興味のある専門分野は,基礎,神経,内部が縦断的に増加した.専門領域は,2学年前期ではスポーツが49名(55%)と最も人気が高いが,4学年後期では運動と脳卒中に続いて3番の順となった.〔結語〕スポーツ領域に興味のある学生は,3学年前期で神経系に,4学年になると内部障害に興味が移る傾向にある.
著者
中山 彰一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.151-155, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
17

近年、関節の機能と障害が関節神経生理学的側面より重視され始めた。関節を操作する専門家であるPTは運動学、生体力学的観点からの知識、技術は長けているが、神経生理学的視点より論ずることは少なかった。関節構成体には沢山の神経受容器が存在するが、種々の理学療法が与える神経生理学的影響については殆ど未解明といっても過言ではない。例えば、関節への徒手的操作が関節包、靭帯等にどの様な神経生理学的変化を与えているのか? また関節損傷や構成体の退化変性は神経受容器の機能と神経 · 筋協調にどの様な影響を与えているのか? 文献的考察を加えながら関節神経生理について言及したい。
著者
杉田 裕汰 原 毅 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.843-848, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
40

〔目的〕周術期消化器がん患者における入院中の歩行数に関わる要因を,身体機能評価,血液生化学データより検討し,明らかにすること.〔対象と方法〕周術期消化器がん患者28名とした.身体機能評価には,体組成計値,等尺性膝伸展筋力,握力,6分間歩行距離,呼吸機能評価,片脚立位時間の全6項目を使用し,血液生化学データには血清アルブミン(Alb),C反応性蛋白(CRP),総蛋白を使用した.〔結果〕歩行数においては,術前と比して術後は,有意な低下を認めた.術後歩行数と術前Alb,術前CRP,術前の体脂肪率に有意な相関関係を認めた.〔結語〕術後の代謝変化による骨格筋量の低下を考慮すると,術前より栄養状態,免疫反応,体脂肪率に着目することの重要性が示唆され,手術後の歩行数低下には,その点を踏まえたリハビリテーション介入が必要である可能性が示唆された.
著者
矢田 拓也 川崎 翼 大平 雅弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.845-850, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
20

〔目的〕肩甲骨アライメントを修正することを目的とした介入による,脳腫瘍患者のバランス機能,歩行能力の改善効果を検討した.〔対象と方法〕左上下肢不全麻痺により歩行不安定性を呈した脳腫瘍患者1名に対し,肩甲胸郭関節の安定化訓練と立位,歩行訓練を40分の介入で5日間行わせた.肩甲骨アライメント,立位時の身体重心,バランス,歩行評価から治療効果を検証した.〔結果〕介入によって,立位,歩行時の肩甲骨アライメントは修正され,バランス機能,歩行能力は向上した.〔結語〕脳腫瘍不全麻痺患者に対して肩甲骨アライメントを修正する運動療法は,バランス機能,歩行能力向上に有効であることが示唆された.
著者
宮﨑 至恵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.421-427, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
12

〔目的〕ある終末期がん患者(Aとする)のリハビリテーションを担当した理学療法士(Sとする)が経験した葛藤を質的研究によって構造化し,その本質を明らかにすることとする.〔対象〕3年目の理学療法士1名である.〔方法〕半構造化したインタビューを行い,語られた内容を質的データ分析にて解釈し,概念モデルを生成した.〔結果〕Sが経験したAの治療過程において,最終的に命を救えない苦しみ,治療介入に対する満足と後悔,医療チーム内で意識が統一されていないことによるジレンマという3つの葛藤が生じていた.〔結語〕がんのリハビリテーションに従事する理学療法士が対面する葛藤を明らかにした.
著者
立石 貴之 渡部 琢也 脇田 瑞木 藍原 由紀 勝田 若奈 早乙女 貴子 小林 庸子 望月 久 村田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.227-232, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
17

〔目的〕外来のパーキンソン病(PD)患者への個別的理学療法を数組同時に行うことで集団的要素を取り入れたプログラムの実施結果について検討した.〔対象と方法〕外来PD患者26名に,集団的要素を含む60分間のプログラムを週1回,12週間実施し,実施前後のPD患者の運動機能およびQOLの変化を評価し,本プログラム実施後の運動習慣獲得状況を調査した.〔結果〕10 m歩行の歩数,6分間歩行距離,PDQ-39の2項目に有意な改善を認めた.運動習慣は実施後6ヵ月時点でも維持されていた.〔結語〕今回実施したプログラムはPD患者の身体機能およびQOLの改善,運動習慣の獲得に寄与する可能性がある.
著者
小原 謙一 吉岡 史晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.801-804, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕インソールによる足底刺激部位の違いが,静止立位時の足圧中心動揺に及ぼす影響を明らかにすることとした.〔対象〕下肢機能に疾患のない健常人40名とした.〔方法〕足圧中心動揺の測定には,重心動揺計を用いた.足底刺激として凸部のあるインソールを採用し,刺激部位の異なる4つの群(全足底刺激,前足部刺激,踵部刺激,刺激無し)間で足圧中心動揺の程度を比較した.〔結果〕足圧中心動揺の外周面積と矩形面積において,前足部刺激群は刺激無し群と比較して有意に低値を示した.〔結語〕インソールによる前足部への刺激は,足圧中心動揺をより減少させ得る.
著者
大植 賢治 富永 孝紀 市村 幸盛 河野 正志 谷口 博 森岡 周 村田 高穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.109-114, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
19

〔目的〕本研究では,言語教示によって対象者の能動的注意を自己の身体内部および外部に向けさせて,運動を認識している際の脳活動の違いを明らかにすることを目的とした。〔対象〕右利き健常成人8名とした。〔方法〕機能的近赤外分光装置(fNIRS)を用いて検証した。〔結果〕能動的注意を右手で自己の身体内部へ向けた場合では,右半球前頭前野と右頭頂領域で,左手で身体外部へ向けた場合では,左半球前頭前野と左頭頂領域で酸素化ヘモグロビンの有意な増加を認めた。〔結語〕今回の結果から,運動を認識する際の運動と同側大脳半球の左右大脳半球の機能分化として,能動的注意が右手で身体内部に向かう場合は右半球前頭-頭頂領域が,左手で身体外部に向かう場合は左半球前頭-頭頂領域が担うといった側性化が存在することが示唆された。
著者
儀間 裕貴 関 耕二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.119-124, 2019

<p>〔目的〕小学中期(3・4年生)・後期(5・6年生)における体力と学力の関連,中期から後期にかけた体力と学力の変化の関連について検討した.〔対象と方法〕鳥取大学附属小学校の児童138名を対象とした.校内で実施された新体力テスト(握力,上体起こし,長座体前屈,反復横跳び,20 mシャトルラン,50 m走,ソフトボール投げ),標準学力検査(国語・算数の全国偏差値)から結果を集計し,それぞれの計測値・点数および変化値における相関を検討した.〔結果〕体力と学力の各項目間において有意な相関を認めたが,いずれも相関係数は低かった.〔結語〕縦断データを用いた本研究では,体力と学力に強い関連性を認めず,体力と学力の発達には多くの因子が影響していることが示唆された.</p>
著者
東 登志夫 鶴崎 俊哉 船瀬 広三 沖田 実 岩永 竜一郎 野口 義夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.121-125, 2004 (Released:2004-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

等尺性収縮時における肘関節角度が肘関節屈筋群の疲労度合いと筋出力に及ぼす影響について検討した。被験者は,健常成人9名とし,被験者全員に対してインフォームド・コンセントを得た。被験者には座位をとらせ,肩関節は0度とし,肩関節,骨盤及び大腿部をベルトにて固定した。肘関節の肢位は,肘屈曲30, 60, 90, 120度の4条件に設定した。実験は,まず最大随意収縮時(maximum voluntary contraction;MVC)の筋出力値を筋力測定装置を用いて計測した。次に被験者に視覚的フィードバックを行いながら,等尺性収縮にて各条件の50%MVCを60秒間以上保持させ,上腕二頭筋と腕橈骨筋から表面筋電図を計測した。筋疲労の指標には,表面筋電図の自己回帰パワースペクトル解析による周波数中央値を用いた。周波数中央値は,60秒間のデータを10秒ごとの6区間にわけ,それぞれの区間における周波数中央値を算出した。その結果,1)最大筋出力が得られたのは,90度であった,2)周波数中央値は,時間経過とともに減少し,その減少度合いは肘関節の屈曲角度が大きくなる程大きい傾向にあった。これらの結果より,最大筋出力が得られる肘関節角度と疲労しにくい角度は異なることが示唆された。従ってセラピストが,運動肢位を決定する際には,その点を十分考慮する必要があると思われる。
著者
岩本 直也 藤 大樹 勝平 純司 丸山 仁司 満倉 靖恵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.341-344, 2012-06-20
参考文献数
8

〔目的〕右ストレートパンチ動作における,初心者への指導ポイントを抽出するために,群間(経験・未経験)における骨盤の動きを比較した.〔対象〕競技経験者5名(27.3&plusmn;4.5歳)と未経験者7名(22.3&plusmn;1.2歳)とした.〔方法〕実験では三次元動作分析システムを用いて,パンチ動作は3回計測した.測定項目は骨盤の回旋角度と回旋角速度,および回旋時間とした.骨盤の最大回旋角度を基準とし,加速期と復元期に分割した.各期間における各測定項目の平均値を用いて,経験群と未経験群に対して有意差検定を行った.〔結果〕群間における最大回旋角度と両期間の最大角速度,および復元期の平均角速度に有意差を確認した.〔結語〕ボクシング初心者の指導では,すかさず&ldquo;構え&rdquo;に戻れるように指導する必要性が示唆された.<br>
著者
岩本 直也 今井 覚志 斎藤 隆文
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.577-582, 2014

〔目的〕ボクシング競技における初心者指導を確立するため,教示前後の実験間(教示前・後実験)動作を比較した.〔対象〕競技未経験者5名(31.3±1.2歳)とした.〔方法〕実験では光刺激を合図に,右ストレートをすばやくターゲットに打ちこむことを要求した.測定装置として筋電計と床反力計を用い,定量化した特徴量を基準に動作を4期間に分割した.測定指標は,期間時間,合成床反力作用点(COP)軌跡変位量,および筋活動の各特徴量とし,各測定項目において各実験間で有意差検定を行った.〔結果〕教示後実験で,2期間の時間短縮,準備期の外側と後方向のCOP軌跡変位量の減少,ならびに右前鋸筋の筋活動時間の延長,4筋の%MVC増加が確認された.〔結語〕ストレートの教示効果の検討は,初心者指導の確立に貢献した. <br>
著者
岩本 直也 今井 覚志 斎藤 隆文
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.849-856, 2014

〔目的〕競技経験が異なる群間の動作分析実験から,動作の差異を考察し,初心者指導を検討する.〔対象〕ボクシング経験者(26.2±6.1歳)と未経験者(31.3±1.2歳)各5名とした.〔方法〕実験では光刺激を合図に右ストレートで,すばやくターゲットを打つことを要求した.測定装置は筋電計と床反力計を用い,定量化した特徴量を基準に動作を4期間に分割した.測定指標は,6期間時間,床反力作用点(COP)軌跡変位量,および筋活動の各特徴量とし,群間で統計学的解析を行った.〔結果〕経験群でパンチモーション期間の短縮,COP軌跡変位量に準備期の減少と減速期の増加,2筋における筋活動開始時点の変化,および3筋に筋活動時間の短縮が確認された.〔結語〕競技初心者に対して構えの設定に着目し指導教示を検討した. <br>
著者
海野 光信 村上 忠洋 畑迫 茂樹 佐々木 友也 千邑 彰人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.449-452, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
17

〔目的〕脳卒中片麻痺患者における体幹側屈筋力の左右差に股関節周囲筋の麻痺が影響するか否かを明らかにする.〔対象と方法〕初発脳卒中片麻痺患者9名を対象に,端座位で麻痺側と非麻痺側方向への等尺性体幹側屈筋力を「骨盤固定なし」と「骨盤固定あり」で測定し,麻痺側と非麻痺側で比較した.〔結果〕「骨盤固定なし」では麻痺側筋力が非麻痺側筋力に比べ有意に低下し,股関節周囲筋の麻痺が重度な者ほどその傾向が強かった.「骨盤固定あり」では左右差はみられなかった.〔結語〕脳卒中片麻痺患者における体幹筋力の左右差は骨盤の固定に働く股関節周囲筋の麻痺の影響により出現し,骨盤を他動的に固定しこの影響を小さくすることで左右差がなくなると考える.
著者
藤谷 亮 治郎丸 卓三 池谷 雅江 宇於崎 孝 大西 均 川﨑 浩子 鈴木 美香 安田 孝志 分木 ひとみ
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.947-950, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
16

〔目的〕本研究は,脳卒中片麻痺患者の体幹伸展可動域と歩行能力との関連について明らかにすること.〔対象と方法〕維持期脳卒中片麻痺患者12名を対象とした.日整会の方式に乗っ取り体幹伸展の自動・他動可動域を計測し,歩行能力については10 mテストから歩行速度,歩行率,ストライド長を算出し,ピアソンの相関分析を用いて検討を行った.〔結果〕体幹伸展の自動可動域は,歩行速度とストライド長と強い相関関係を認めた.〔結語〕脳卒中片麻痺の体幹伸展可動域は,歩行能力との関連を示す指標であることが示唆された.このことから, 体幹伸展の自動可動域は, 脳卒中片麻痺の歩行と関連する機能の一つであると考える.
著者
鈴木 正寛 佐藤 崇 小宮 秀明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.389-393, 2013 (Released:2013-07-16)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

〔目的〕本研究は局所筋群に運動を負荷し,運動後の骨格筋の硬化と筋肉痛との関係について検討を行った.〔対象〕健康な男子学生9名を対象とした.〔方法〕腕エルゴ装置を用いて運動負荷試験を実施し,安静時と運動終了後3日間の皮下脂肪厚,筋厚,上腕周径囲,筋硬度,筋肉痛,MVCを測定した.〔結果〕筋硬度,腫脹は運動終了直後から急激な変化を認め,その後2,3日をかけて回復する傾向を確認した.筋肉痛は,運動終了1日後及び2日後に有意な増加を示した.〔結語〕筋硬度,筋厚及び上腕周径囲の増加の要因として組織水の貯留といった循環機能の低下が示唆された.また,運動終了1日後及び2日後のパフォーマンス低下には筋肉痛を主とする知覚神経の影響が推察された.
著者
秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.23-28, 2003 (Released:2003-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

理学療法士が対象者に基本動作・日常生活動作などの動作を誘導し,また,練習させることは,筋力トレーニングに繋がっているものと考えられる。PNFは,理学療法士が対象者に直接触れて誘導・抵抗を与える方法であるが,PNFの修得にやや時間がかかることも否めない事実である。本論では,筋収縮の増大および協調性改善について基本技術,特殊技術とその応用について解説した。
著者
髙森 絵斗 水口 真希 早田 恵乃 渡邊 裕文 文野 住文 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.939-943, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
9

〔目的〕脳血管障害片麻痺患者の麻痺側母指球筋の筋緊張抑制に対する手太陰肺経の尺沢への経穴刺激理学療法の効果を明らかにすることとした.〔対象〕本研究に同意を得られた脳血管障害片麻痺患者7名とした.〔方法〕尺沢への経穴刺激理学療法施行の前後に麻痺側母指球筋からF波を測定し,安静試行と他の試行との間で振幅F/M比,出現頻度,立ち上がり潜時をそれぞれ比較した.〔結果〕振幅F/M比は安静試行と比較して,経穴刺激理学療法試行中,終了直後,5分後,10分後,15分後に有意に低下した.出現頻度,立ち上がり潜時は,経穴刺激理学療法試行前後の変化を示さなかった.〔結語〕筋緊張抑制目的の経穴刺激理学療法では,脊髄神経機能の興奮性を抑制することが示唆される.