著者
千葉 直美 半澤 宏美 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.43-48, 2004 (Released:2004-04-08)
参考文献数
13

異なる肩関節屈曲角度での上肢クローズドキネティックチェイン(CKC)運動時筋力を測定し,運動方向による差異を比較するとともに,基本動作との関連を検討した。対象は若年健常女性14名(19.1±1.2歳)である。方法として,まず肩関節屈曲0°,30°,60°,90°方向への上肢CKCでの伸展運動時等速性筋力を,60,180,300 deg/secの運動速度で測定した。また,車椅子10 m駆動時間,30秒間に反復可能なプッシュアップ回数,T字杖免荷率の3項目を測定した。各肩関節屈曲角度における上肢CKC運動時のPeak Torque/Body Weightは,全ての運動速度において差異を認めなかった。筋力と基本動作との関係について,Peak Torque/Body Weightは,プッシュアップ回数との間に相関が示されなかったが,300 deg/secではいずれの運動方向においても車椅子10 m駆動時間との間に負の相関関係,60 deg/secにおける全ての運動方向でT字杖免荷率との間に関連があることが示唆された。また,T字杖免荷率と低角速度での肩関節屈曲30°方向におけるPeak Torque/Body Weightとの間の相関関係は統計学的に有意であった。以上より,異なる肩関節屈曲角度における上肢CKC運動時筋力は,運動方向によって関与する筋の種類や活動動員比率が異なると推察されるものの,運動方向特異性は示されなかった。また,車椅子10 m駆動時間は,CKC運動時筋力の角速度特異性が反映される一方で,運動方向の相違には影響されず,T字杖免荷率は,筋力の角速度特異性ならびに運動方向特異性に影響されることが示唆された。
著者
瀧口 述弘 庄本 康治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.343-348, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

〔目的〕大腿骨近位部骨折術後2症例に対して,経皮的電気刺激(TENS)を患側肢に実施する患側TENSと両側肢に実施する両側TENSの効果を評価すること.〔対象と方法〕症例1は大腿骨転子部骨折固定術後症例,症例2は大腿骨頚部骨折固定術後症例であった.症例1は,術後1~3日目に30分間の患側,両側TENSを実施し,症例2は,術後1日目には1時間患側TENSのみ実施し,2,3日目は1時間の患側,両側TENSを実施した.アウトカムは運動時のNRSを測定した.〔結果〕2症例とも患側,両側TENS後のNRSが低下し,症例2では患側TENSと比べ両側TENSの方が1低下した.〔結語〕患側,両側TENSともにNRSが低下したが,今後はプラセボなども実施し,患側,両側TENSの効果を明らかにする必要がある.
著者
塩田 琴美 細田 昌孝 高梨 晃 松田 雅弘 宮島 恵樹 相澤 純也 池田 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.817-821, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

[目的]本研究は,静的・動的なバランス能力と筋力の相関性および静的・動的バランステストの特異性について,検討することを目的として行った。[対象]対象者は21名(21-82歳)であった。方法:はじめに,静的バランス能力として,開眼および閉眼での30秒間の静止立位での重心動揺面積を測定した。次に,動的バランス能力として,Equi-testを用いてAdaptation testを施行した。更に,筋力テストとして,膝関節伸展筋力,足関節底屈および背屈筋力を測定し,静的・動的バランス能力との相関関係を明らかにした。[結果]今回の研究結果から,静止立位での重心動揺面積と筋力には相関は認められなかった。一方で,動的バランス能力と筋力においては,有意な相関関係が認められた(p<0.05)。[結語]これらの結果より,静止立位で重心動揺面積などを単に測定することは,姿勢定位のみに対する評価であり,対象者の動作課題に対する身体能力を反映しえないと考えられた。しかしながら,動的バランス能力の測定は,下肢筋力などと相関が高く,日常生活に即した有用な姿勢制御の安定性の評価となりえると考えられた。
著者
財前 知典 小関 博久 小関 泰一 小谷 貴子 田中 亮 平山 哲郎 多米 一矢 川崎 智子 清川 一樹 川間 健之介
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.615-619, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

〔目的〕本研究は,入谷式足底板における長パッドが歩行および筋力に与える影響について,歩行時の骨盤加速度,大腿部筋活動,荷重応答期の時間的変化及び,静止時股関節内外転筋力変化を計測することにより明確にすることが目的である。〔対象〕健常成人男性15名(平均年齢25.1±3.2歳)を対象とした。〔方法〕表面筋電図,加速度計,Foot Switch,およびHand Held Dynamometerを用いて,歩行時大腿部筋活動,前額面上における加速度,並びに荷重応答期時間変化,股関節内外転筋力変化を自由歩行と長パッド貼付後で測定し,得られた測定値を対応のあるt検定を用いて分析した。〔結果〕長パッド貼付により,荷重応答期は早期に生じ,内側加速度の増大がみられ,立脚期初期における大腿二頭筋の活動減少,大腿直筋および大殿筋の活動増大,立脚期後半において長内転筋活動減少がみられた。また,長パッド貼付側の股関節外転筋筋力は増大した。〔結語〕長パッド貼付は,内側加速度及び歩行時大腿部筋活動を変化させ,股関節外転筋筋力を増大させる可能性が示された。
著者
正保 哲 柿崎 藤泰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.881-884, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
7 6

〔目的〕胸郭拡張差と胸郭の部位別体積変化との関連性を検討し,部位の違いによる胸郭拡張差1 cm当たりの体積変化を示すことを目的とした.〔対象〕対象は若年男性12名とした.〔方法〕三次元動作解析装置による体表に貼付したマーカの変化量から算出される胸郭拡張差と胸郭体積変化を計測した.胸郭拡張差の測定部位は,第3肋骨と胸骨剣状突起および第10肋骨の高さとし,胸郭体積変化は胸骨剣状突起より上部を上部胸郭,下部を下部胸郭とした.〔結果〕胸郭拡張差の各高さと部分的体積変化には,高い正の相関関係が認められた.〔結語〕胸郭拡張差と部分的体積変化の間には高い相関があり,胸郭拡張差1 cm当たりの換気量は,臨床において胸郭可動性から換気量を推察する上で呼吸理学療法の評価法の一助となると思われる.
著者
松田 雅弘 楠本 泰士 酒井 弘美 伊藤 公一 田上 未来 阿部 紀之 関 亮祐 本藤 伸男 山﨑 友豊 赤池 優也 二瓶 篤史 新田 收
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.495-499, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
10

〔目的〕マイクロビーズ製クッション上での臥位が,関節可動域と筋緊張に及ぼす影響を通常のベッド上臥位と比較して明らかにすることとした.〔対象と方法〕回復期脳卒中後片麻痺患者9名(52~84歳)とした.同一対象者に20分の臥床をクッション(クッション条件),およびベッド上背臥位で(臥位条件)行わせ,前後でのROMt,筋緊張(MAS),僧帽筋上部線維の筋硬度の変化と変化量を対応のあるt検定により統計学的に解析し,その違いを条件間で比較した.〔結果〕クッション条件では介入前後で,麻痺側肘屈曲,頸部左回旋角度に有意差がみられた.筋緊張,筋硬度も軽減している症例が多かった.〔結語〕マイクロビーズ製クッションが,脳卒中患者に対して筋緊張の軽減と関節可動域の増大に効果をもたらすことが示唆される.
著者
佐藤 勇太 小野 武也 石倉 英樹 相原 一貴 松本 智博 田坂 厚志 沖 貞明 梅井 凡子 積山 和加子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.409-412, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
33
被引用文献数
5 4

〔目的〕関節固定により発生する関節拘縮に下肢への非荷重がおよぼす影響を検討した.〔対象〕Wistar系ラットとした.〔方法〕関節固定と後肢懸垂の実施の有無により,対象の後肢を,無処置の対照群,関節固定のみ行う固定群,後肢懸垂のみ行う懸垂群,両方行う固定懸垂群に分けた.実験開始前と1週間後において,足関節背屈角度を測定した.〔結果〕1週間後において,足関節背屈角度の減少は,固定群と固定懸垂群に生じており,固定懸垂群の方が,固定群と比較して著明であった.〔結語〕下肢への非荷重は,関節固定により発生する関節拘縮の進行を著明にさせる.
著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.791-794, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
15

〔目的〕我々が考案したSingle Leg Up Downテスト(以下SLUDテスト)と体重支持指数(以下WBI)の関連について検討すること.〔対象と方法〕中学野球選手202名にSLUDテストおよびWBI(等尺性最大膝伸展筋力を体重で除した値)を測定した.非投球側のSLUDテスト遂行可能な高さで群分けし,各群間のWBIをKruskal-Wallis検定,多重比較法を用いて比較した.〔結果〕SLUDテスト40 cm,30 cm,20 cm,10 cmのWBIの平均はそれぞれ0.79±0.18,0.87±0.20,1.00±0.19,1.04±0.24であり,40 cmと30 cmの各群に対して,20 cm,10 cmの各群が高値を示した.〔結語〕スポーツ選手に必要な筋力はWBI 1.0以上とされていることからも,20 cm台からのSLUDテスト遂行の可否が下肢筋力のスクリーニングテストとして有用であることが示された.
著者
平賀 篤 髙木 峰子 隆島 研吾 鶴見 隆正
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.505-510, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
19

〔目的〕本研究の目的は,健常成人に対し超音波療法(ultrasound therapy:US)とスタティックストレッチング(static stretching:SS)の実施条件による検証を行い,併用の有効性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕健常成人男性13名を対象とした.下腿三頭筋の筋腱移行部に対しUSとSSを,①US照射中にSSを同時実施,②US照射直後にSS実施,③US単独実施,④SS単独実施の4条件で実施した.測定項目は足関節背屈可動域,深部組織温,深部血流量とし,介入前後の変化量を比較した.〔結果〕背屈可動域の変化は,US同時群が他条件に比べ有意な増大を認めた.US直後群はUS単独群,SS単独群と比べ有意な増大を認めた.〔結語〕可動域変化を目的に行う場合,USとSSを同時に行う重要性が示唆された.
著者
茂内 卓 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.495-498, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
19

〔目的〕本研究の目的は,立位での動的バランステストにおける腹部ベルト装着の効果を検討することである.〔対象と方法〕対象は,健常大学生14名とした.腹部ベルト装着時,非装着時における前方リーチテストのリーチ距離,5 mの継ぎ足歩行の時間,段差踏み換えテストの時間を計測し比較した.〔結果〕前方リーチテストと継ぎ足歩行テストでは,ベルト装着の有無による差がなかった.段差踏み換えテストでは,ベルト装着時に時間が有意に短縮した.〔結語〕健常者における腹部ベルトの装着は,立位での動的バランス能力を要する3種類の動作課題のうち,段差踏み換えテストで有効であることが示された.この理由として,動作課題の難易度と課題の動作特性の要因が影響している可能性があると推察された.
著者
秋葉 崇 小川 明宏 寺山 圭一郎 土谷 あかり 中川 晃一 榊原 隆次 丸岡 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.695-699, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕足関節底背屈運動が血行動態と自律神経系に与える影響を検討し,起立性低血圧の対処法としての一助とすること.〔対象と方法〕対象は健常男性8人(年齢28.8 ± 5.3歳)とした.プロトコルは,5分間の安静座位の後,1分間の足関節底背屈運動を行い,再度5分間の安静座位を保持した.その間,循環動態と自律神経の反応を評価した.〔結果〕心拍数,一回拍出量,心拍出量は,安静時の値と比較して,足関節底背屈運動中の値が有意に高値を示した.また,その効果は運動後1分まで持続した.LF/HF,HFなどの自律神経系の反応は,有意な変化が認められなかった.〔結語〕足関節底背屈運動の即時効果が認められ,その効果は1分程度持続した.足関節底背屈運動が,起立直後の血圧低下を回避する方法としての一助となる可能性が示唆された.
著者
多久和 良亮 岡田 恭司 若狭 正彦 齊藤 明 木元 稔 鎌田 哲彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.93-96, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕頭頸部伸展位が片脚着地動作に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,健常成人女性31名(平均20.1歳)とした.高さ30 cm台からの片脚着地動作を,頭頸部屈曲伸展中間位と,頭頸部伸展位の2条件で行った.片脚着地時の最大の膝関節屈曲と外反角度,体幹前後屈,側屈角度,および着地位置を測定し,条件間で比較した.〔結果〕頭頸部伸展位での着地では頭頸部屈曲伸展中間位の着地に比べて最大膝関節外反角度が有意に大きかった.最大膝屈曲角度と体幹前後屈,側屈角度,着地位置には有意差はみられなかった.〔結語〕頭頸部伸展位での片脚着地動作は膝関節外反角度を増大させ,非接触型前十字靭帯損傷の一要因となると推察された.
著者
樋口 大輔 新谷 和文 内山 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.533-539, 2007 (Released:2008-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

頚髄症に対する理学療法評価項目とその判定基準を提示することを目的とした。頚髄症者55人を対象に,代表的な評価指標の中から下位項目ごとの度数分布を示し,下位項目間の関連性を検証した。その結果,手指巧緻運動障害および歩行障害は,自立度のみではなく,動作の円滑性や困難度を含めた機能・能力を評価することが適切であった。また,感覚障害は体幹の感覚障害の有無や日常生活活動への影響を考慮することが必要であることが示された。膀胱直腸障害は,排尿の開始遅延や頻尿の有無をまず聴取すべきである。今後は,これらの評価項目に基づき,頚髄症に対する効果的な理学療法を実践していくための障害構造および介入課題の検証を進める必要がある。
著者
古後 晴基 村田 伸 村田 潤 仲村 匡平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.631-634, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
16
被引用文献数
3

〔目的〕本研究は,乾熱法と湿熱法でホットパック(以下HP)施行後の筋硬度の変化に及ぼす効果を比較検討した。〔対象〕健常成人10名(男性7名,女性3名,平均年齢22.3±6.8歳)の両下肢(20脚)を対象とした。〔方法〕被験者は腹臥位で,下腿部後面に直接HPを20分間施行した。湿熱法ではパックを直接コットンタオル(8層)で巻き,乾熱法ではパックをビニール袋で包んだ後,コットンタオル(3層)で巻いてHPを施行した。HP施行前,乾熱法および湿熱法HP施行後の腓腹筋内側頭の筋硬度を比較した。〔結果〕HP施行前の筋硬度に比べ,湿熱法および乾熱法によるHP施行後の筋硬度はともに有意に低下した。ただし,湿熱法と乾熱法後の筋硬度にも有意差が認められ,湿熱法の方が乾熱法より有意に低下した。〔結語〕HPは筋硬度を低下させる手段として有効であり,とくにその効果は湿熱法の方が乾熱法より高いことが示唆された。
著者
大槻 桂右
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.779-782, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
14

〔目的〕非特異的急性腰痛症と診断された1症例を対象に,大腿筋膜張筋(tensor fasciae latae muscle; TFLM)へのダイレクト・ストレッチング(direct stretchig; DS)を実施し,即時的効果を検証し,4週間継続フォローすることである.〔対象〕症例は非特異的急性腰痛症と診断された患者(60歳,女性)とした. 〔方法〕研究デザインはシングルケースで,腰痛緩和肢位を実施するA期とTFLMに対してDSを実施するB期で構成されるAB型とした.visual analog scale (VAS),指床間距離 (finger floor distance; FFD),下位腰椎後弯域(posterior lumbar flexibility; PLF)を評価指標とし,二項検定を用いて分析した.〔結果〕B期のVAS,FFD,PLFはA期と比較して,有意な改善を示した.また腰痛の訴えは2週間後になくなった.〔結語〕TFLMに対するDSが急性腰非特異的腰痛症に対して即時的効果を発揮することが示唆された.
著者
田代 峻一 髙嶋 美和 岩田 幸子 森田 正治 髙嶋 幸男
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.125-129, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
13

〔目的〕周産期脳障害において早期MRIから脳障害特性評価と予後予測の可能性を調査する.〔対象と方法〕療育施設利用者のNICU退院時頭部MRIより在胎週数別に異常部位の視覚的評価と部位別の径計測,また白質異常部位と臨床所見と対比した.〔結果〕すべての群で大脳白質に異常所見が多く,白質部位別では在胎22~26週群では全体,27~32週群では中間部と脳室周囲,33~36週群では中間部,37~40週群では皮質下に異常が多くみられた.白質の皮質下異常では自閉スペクトラム症が有意に多く四肢麻痺と重度知的障害が多い傾向にあった.脳室周囲異常では軽度知的障害が有意に多く痙性両麻痺が多い傾向にあった.〔結語〕大脳白質異常は在胎週数別で特徴があり,予防的リハビリを実施することは重要である.
著者
八木 優英 鈴木 謙太郎 阿南 雅也 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.373-377, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕本研究は,足関節機能的不安定性(FAI)を有する者の片脚立位時の運動学的および運動力学的な特徴を明らかにすることを目的として行った.〔対象〕片側足関節にFAIを有する若年成人11人(男性9人,女性2人)を対象にし,患側と健側で比較した.〔方法〕課題動作は側方一歩移動後の片脚立位とし,運動学的および運動力学的情報を3次元動作解析システムおよび床反力計にて計測・解析した.〔結果〕後行肢股関節外転運動中の内部股関節内転モーメントの積分値,先行肢内部股関節内転モーメントの積分値,後行肢離床後の股関節内外転・体幹側屈の角度変化量・角速度は患側が健側より有意に高値を示した.さらに動作時間は患側が健側より有意に延長した.〔結語〕患側条件において,後行肢での身体重心の制動を強め動作を行ったが,股関節・体幹を多く用いた姿勢制御を行い,動作に時間を要した.
著者
山内 智之 来間 弘展 雨宮 耕平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.535-539, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
30

〔目的〕超音波Shear Wave Elastography(SWE)を用い大腿四頭筋のセッティング運動における大腿四頭筋の筋硬度を測定し,大腿四頭筋各筋の筋活動の違いを明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常男性14名の右下肢とし,測定肢位は股関節55°屈曲位の長座位姿勢とした.運動課題は膝関節0°伸展位で膝窩を支点とした膝関節伸展運動を実施し,筋硬度測定は,大腿四頭筋各筋に対して超音波診断装置のSWEモードを用い無作為にて測定した.筋弛緩と収縮時での筋硬度の変化率を検討した.〔結果〕中間広筋は他の3筋に対して有意に筋硬度が高値であり,その他の筋間には有意差を認めなかった.〔結語〕膝関節伸展位では大腿四頭筋のうち中間広筋の活動が重要であることが示唆された.
著者
濱島 一樹 兼岩 淳平 工藤 慎太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.177-180, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

〔目的〕静止立位(立位)と,下腿最大前傾位(前傾位)の内側縦アーチ(MLA)の測定の差から,動作時におけるMLAの形態の変化を求める方法の再現性を検討すること.〔対象〕下肢疾患の既往のない健常成人8名8足(男女各4名)とした.〔方法〕測定項目は,アーチ高率(AR)と踵部角(CA)とした.また,測定肢位は立位と前傾位とし,各項目の信頼性を検討した.〔結果〕ARは両肢位共に高い再現性を示した.一方,CAは両肢位ともに再現性は低値を示した.しかし,測定経験や触診技術により,再現性が改善し得ることが示唆された.〔結語〕同方法は,臨床での使用に十分な再現性が得られることが示唆されたと考える.
著者
石田 和宏 対馬 栄輝 梅野 恭代 佐藤 栄修
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.731-737, 2011 (Released:2012-02-04)
参考文献数
17

〔目的〕本研究の目的は,brief scale for evaluation of psychiatric problems in orthopedic patients (BS-POP)における測定の信頼性を求めることとした.〔対象〕BS-POPには,“患者用”と“治療者用”が存在する.対象は,“患者用”で慢性腰痛者10名,“治療者用”で腰椎椎間板ヘルニア患者42名とした.〔方法〕“患者用” と“治療者用”の検者内・検者間信頼性を求め,各質問項目別ではκ係数,順位相関係数,一致度を指標とした.〔結果〕“患者用”のICC(1,1)は0.98,“治療者用”のICC(1,1)は0.90,“治療者用”のICC(2,1)は0.87であった.質問項目別では“治療者用”における検者間信頼性の2項目を除き,κ係数あるいは順位相関係数にて中等度以上の相関または81%以上の高い一致度を示した.〔結語〕BS-POPにおける測定の信頼性は全般的に良好であった.しかし,“治療者用”の一部の項目では,検者間信頼性が低かった.