著者
林 智絵 佐藤 大樹 二河 成男 根田 仁
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.57-65, 2023-11-01 (Released:2023-12-02)
参考文献数
35

マツカサタケは,長らくAuriscalpium vulgareと同定されてきたが,担子胞子の形態はA. orientaleの特徴と一致した.また,nrDNA ITSおよびLSU領域の塩基配列を用いた分子系統解析ではA. orientaleのクレードに含まれた.さらに,マツカサタケはA. orientaleと同じ基質嗜好性を示した.これらの結果から,マツカサタケは中国から記載されたA. orientaleであると結論づけた.
著者
後藤 崇志 石橋 優也 後藤 大樹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44080, (Released:2020-06-26)
参考文献数
8

本研究では,小・中学生とその親を対象とした調査を行い,親の学習観と子どもの学習への取り組みとの間に関連が見られるかを検討した.具体的には,親が持つ学習観(経験的で深い学習観,学校依存で浅い学習観)と,子どもの達成目標(マスタリー目標,パフォーマンス接近目標,パフォーマンス回避目標)と学習アプローチ(深いアプローチ,浅いアプローチ)の間に関連が見られるかを検討した.その結果,親が経験的で深い学習観を持つほど,子どもは学習内容を知識と結びつけるような学習アプローチを取りやすいなど,親の学習観と子どもの学習への取り組みとの間には一定の関連が示された.
著者
小林 和法 倉沢 真澄 丹 美香 工藤 大樹 赤塚 秀貴 大場 愛
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.212-217, 2011-09-20 (Released:2013-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1

肌の「ハリ」は理想の肌の要素のひとつとして挙げられることが多い。従来「ハリ」といえば肌に触れたときの感覚としてとらえられ,真皮にアプローチした改善策がとられてきた。しかしわれわれは,「ハリ」には視覚的要素も含まれていると考え,視覚的なハリという点に着目して検討を行った。健常日本人女性の顔面を対象に行った肌の官能評価スコアを用いてクラスター分析を行ったところ,「目で見て感じるハリ (視覚的ハリ) 」は「視覚的うるおい感」と非常に距離が近く,一方で「触覚的ハリ」とは別のクラスターに分類されることがわかった。また,視覚的ハリは角層水分量や経表皮水分蒸散量と関係することがわかった。この結果から,角層水分状態の改善が視覚的ハリの向上につながるのではないかと考え,化粧料の連用試験を行い,角層水分状態が改善されたときに視覚的ハリスコアがアップするかどうかをみたところ,角層水分量の有意な増加とともに視覚的ハリの有意な向上が確認され,一方で触覚的ハリには有意な変化が認められなかった。これは,視覚的ハリと触覚的ハリには,それぞれに最適な改善アプローチが別々に存在する可能性を示唆している。
著者
加藤 大樹
巻号頁・発行日
2014-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2014-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第5266号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科環境学研究系社会文化環境学専攻
著者
奥村 大輝 井藤 大樹 乾 隆帝
出版者
特定非営利活動法人 四国自然史科学研究センター
雑誌
四国自然史科学研究 (ISSN:13494945)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.12-18, 2021 (Released:2021-06-01)
参考文献数
22

The well worm goby, Luciogobius pallidus Regan, 1940 (Perciformes: Gobiidae) collected from Hiwasa-gawa, Kaifu-gawa and Shishikui-gawa rivers running through the southern part of Tokushima Prefecture, Japan. The specimens represent the first records of the species from the rivers that flow into the Pacific Ocean of the prefecture. The specimens collected from the three rivers were found to comprise two types, i.e., Freshwater type and Brackish water type, based on the morphological and ecological traits.
著者
村藤 大樹 木村 和弘
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第58回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.178, 2009 (Released:2010-03-19)

アトピー性皮膚炎の治療は,一時期ステロイドバッシン グや民間療法の喧伝などにより混乱をきたしていたが, 2000年に日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎診療ガイ ドラインが作成されてからは徐々に治療の統一がなされ, ステロイド外用剤の適正使用と保湿剤によるスキンケアの 重要性が強調されている。しかし,スキンケアの重要性に 対する認識は個々の医師によって差があり,その方法もま ちまちなのが実状である。 我々は2003年に小児科の専門外来として「アトピー外 来」を開設し,2009年4月現在の患者総数は1,135人であ る。そのうち重症と判断した319人(うち小児193人)を対 象に,ウェットラッピング法を用いて治療を行った。 ウェットラッピング法とは,保湿剤(炎症の強い個所には ステロイド外用剤を併用)を塗布した後に水で濡らした下 着やクッキングペーパーで体を覆い,さらにその上から調 理用ラップで被覆して2~3時間過ごすという手技で,通 常のスキンケアで対応困難な重度の乾燥肌に対し,初期治 療として行うものである。 治療の標準化を図るために,クリニカルパスを用いて4 日間の入院治療を行った。入院中に計6~8回のウェット ラッピングを行い,退院後も含めて計10回行った後通常の 外用療法のみへ移行した。患者は早ければ治療2日目の朝 には皮膚状態の改善を実感し,退院時にはほぼ全例で乾燥 肌の明らかな改善がみられた。短期間に皮膚の状態が劇的 に改善することで退院後の外用療法に対する治療コンプラ イアンスが向上し,ひいては治療期間の短縮とステロイド 外用剤使用総量の減量を達成することが可能となった。 アトピー性皮膚炎治療ガイドラインに準拠した外用療法 にウェットラッピング法を併用することは,重症アトピー 性皮膚炎の高度な乾燥肌に対する初期治療として非常に有 用であると考えられた。
著者
横尾 真 神取 道宏 田村 明久 船木 由喜彦 関口 格 坂井 豊貴 平山 勝敏 尾山 大輔 安田 洋祐 岡本 吉央 岩崎 敦 川崎 雄二郎 小野 廣隆 櫻井 祐子 東藤 大樹 上田 俊 伊藤 孝行 小島 武仁 小原 一郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究プロジェクトでは、我が国の持続可能な発展のために、計算機科学とミクロ経済学の技術を統合/発展させ、経済的、社会的、環境的な観点からの要求をバランスした、希少な資源の望ましい配分を実現するメカニズムの設計理論を構築することを目的としている。具体的には、資源配分メカニズムの設計、解析、表現技術に関して研究を推進し、特に、制約付き両方向マッチングにおけるメカニズム設計、ノイズのある繰り返しゲームの均衡解析、協力ゲームに関する表現技術に関して顕著な成果が得られている(査読付き国際会議87件、国際論文誌74件、国内論文誌11件、著書8件、教科書の執筆4件、招待講演40件)。
著者
出雲 雅樹 金子 毅義 小酒 広之 佐藤 剛 谷藤 大樹 中村 敦
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1639-1643, 2002
参考文献数
6
被引用文献数
3 1

When processing head MRA images, threshold values are automatically established using the MIP method, resulting in a high degree of reproducibility. As a result, two different individuals can produce highly comparable images. In addition, the MIP method is reportedly effective for depicting fine vessels. However, since information other than maximum values is ignored by the MIP method, data contained in original MRA images are not optimally utilized. The results confirmed that much of the information contained in original MRA images could not be seen on MIP processed images. In many cases, low-threshold processing was useful for depicting fine vessels and arterioles that could not be seen on MIP-processed images.
著者
和田 凌司 八尋 健太郎 山口 知晃 東藤 大樹 横尾 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4L2J1305, 2019 (Released:2019-06-01)

マッチング問題に関する既存研究の多くは,学生や学校の持つ選好が厳密に順序付けられている問題を前提としている.しかしながら,学生や学校が数多く存在する現実的な仮定の下で,互いの正確な情報を得ることは困難である.そこで本論文では,各エージェントの選好の一部が順序付けられていない,部分的な選好下における多対一マッチング問題を考察する.本論文の扱うモデルにおいて,学生が学校にインタビューを行うことにより,各エージェントは自分が潜在的に持つ選好を明確にできる.しかしながら,インタビューにはコストが生じると仮定するのが一般的である.そこで,必要最小限のインタビューを用いて,各エージェントの潜在的な選好を解明しつつ,望ましい割当を求めることが望まれる.部分的選好下での一対一マッチング問題においては,学生最適性を満たす割当を出力するメカニズムが提案されている.しかしながら,このメカニズムは,すべての学校に対して共通な部分的選好を仮定している.そこで本論文では,既存の仮定を緩和した整合性を満たす部分選好下での多対一マッチング問題において,学生最適性を満たす割当を出力するメカニズムを提案する.
著者
伊藤 大樹 纐纈 慎也 須賀 利雄
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4-5-6, pp.75-95, 2019-12-25 (Released:2020-01-13)
参考文献数
76

海洋前線やメソスケール現象に伴い全球海洋に遍在するとされるサブメソスケール現象は,エネルギー輸送や生態系,物質循環において重要な役割を果たす可能性があることから,理想化したモデル実験や現実的な条件下のシミュレーション等を用いた研究が近年活発である。数値研究により力学的・生物地球化学的重要性の理解が進む一方で,時空間スケールの小さな現象であるために,現場観測による研究は少ないのが現状である。本論文では,異なる形成発達過程により生じるサブメソスケールの流れを,形成の力学特性に応じて三つの主要なメカニズムに分類しまとめた。そして,この分類とこれまでの観測事例に基づいて,これからのサブメソスケール現象に対する現場観測からのアプローチの可能性を検討した。
著者
加藤 大樹 大兼 幹彦 藤原 耕輔 城野 純一 永沼 博 桂田 弘之 安藤 康夫
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.Supplement, pp.S187_02-S187_02, 2015 (Released:2016-07-09)

Tunnel magneto-resistance (TMR) effect can be applied to magnetic field sensors because this effect is resistance change of magnetic tunnel junctions (MTJs) by external magnetic field. We have to develop the MTJs with a very high sensitivity (=TMR/2Hk, Hk: magnetic anisotropy field) above 100%/Oe to detect a small bio-magnetic field. In this work, MTJs using CoFeSiB electrode with a low Hk were fabricated. A very high sensitivity of 115%/Oe was achieved by optimization of the CoFeSiB thickness. This sensitivity is the highest value among single MTJ devices and the MTJs with such a high sensitivity can be applied to bio-magnetic field sensor devices.
著者
加藤 大樹 高橋 絢子 松本 大和 笹崎 晋史 高橋 絢子 松本 大和 野村 こう 高橋 幸水 天野 卓 山本 義雄 並河 鷹夫 万年 英之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.149-155, 2013-05-25
参考文献数
17

バングラデシュ在来ヤギ53個体とフィリピン在来ヤギ30個体におけるmtDNA D-loop HVI領域の塩基配列を決定し,DNAデータバンクにあるアジア在来ヤギの情報を加え,A,Bハプログループの起源について考察を行った.バングラデシュとフィリピン在来ヤギではそれぞれ25および5ハプロタイプに分類され,AおよびBハプログループから構成されていた.両国の在来ヤギのBハプログループにおける塩基置換率は,それぞれ0.0009と0.0006であり,極めて低い多様性を示した.また家畜化起源を推測するため,中東からの地理的距離と塩基置換率の相関を調べた.Aハプログループにおける順位相関係数は<I>r</I>=-0.7200であり有意な負の相関を示した(<I>p</I>=0.0469).一方,Bハプログループにおいては有意な相関を得られなかった(<I>p</I>=0.7782).この結果は,ヤギのAハプログループの起源が中東である仮説を支持していたが,Bハプログループの起源に関しては不明確であった.
著者
栗田 浩樹 大井川 秀聡 竹田 理々子 中島 弘之 吉川 信一郎 大塚 宗廣 岡田 大輔 鈴木 海馬 佐藤 大樹 柳川 太郎
出版者
The Japanese Congress of Neurological Surgeons
雑誌
脳神経外科ジャーナル = Japanese journal of neurosurgery (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.842-847, 2012-11-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

Orbitozygomatic approachはpterional approachの応用で, より外側下方から頭蓋内高位を見上げる手法である. 本稿では, われわれが施行している基本手技 (1-piece method) について解説し, 脳血管外科領域における本法の臨床応用について検討したので報告する. 過去2年間に施行された脳血管外科手術290例 (脳動脈瘤直達術251, 脳動静脈奇形 [AVM] 摘出術39) のうち, 本法が適応されたのは7例 (2.4%) であった. 内訳はcoil塞栓術が困難と判断されたBA-tip AN 4例, 高位BA-SCA AN 2例と, 大型の左medial temporal AVM症例であり, 術後は全例で病変の消失が確認され, morbidityは1例にとどまった. Intravascular treatmentが普及した現在, 脳血管領域では使用頻度こそ少ないが, 広いsurgical corridorが得られる本法は, 高難易度病変に対して必要不可欠なapproachである.
著者
岩本 直也 藤 大樹 勝平 純司 丸山 仁司 満倉 靖恵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.341-344, 2012 (Released:2012-08-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3

〔目的〕右ストレートパンチ動作における,初心者への指導ポイントを抽出するために,群間(経験・未経験)における骨盤の動きを比較した.〔対象〕競技経験者5名(27.3±4.5歳)と未経験者7名(22.3±1.2歳)とした.〔方法〕実験では三次元動作分析システムを用いて,パンチ動作は3回計測した.測定項目は骨盤の回旋角度と回旋角速度,および回旋時間とした.骨盤の最大回旋角度を基準とし,加速期と復元期に分割した.各期間における各測定項目の平均値を用いて,経験群と未経験群に対して有意差検定を行った.〔結果〕群間における最大回旋角度と両期間の最大角速度,および復元期の平均角速度に有意差を確認した.〔結語〕ボクシング初心者の指導では,すかさず“構え”に戻れるように指導する必要性が示唆された.
著者
前田 拓真 大井川 秀聡 小野寺 康暉 佐藤 大樹 鈴木 海馬 栗田 浩樹
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.397-404, 2023 (Released:2023-10-04)
参考文献数
12

神経外視鏡手術が脳神経外科臨床にも導入され,その有用性が報告されている.当科では2021年から脳血管外科手術を神経外視鏡化するプロジェクトに取り組み,2022年は大部分の手術を神経外視鏡下で行っている.今回,顕微鏡手術からの移行期における脳動脈瘤手術の治療成績を検討した.対象は2021年1月から2022年8月までに当院で開頭手術を行った未破裂脳動脈瘤連続134例のうち,開頭クリッピング術を行った132例とした.神経外視鏡と顕微鏡の両群間で患者背景,セットアップ時間,手術時間,周術期合併症の有無,退院時予後について後方視的に検討を行った.神経外視鏡は75例(55.1%)で選択された.両群間で年齢・性別などの患者背景に有意差を認めなかった.両群で専攻医の執刀率が最も高く(65.3% vs. 59.0%),セットアップ時間(63分 vs. 62分),手術時間(295分 vs. 304分),周術期合併症(5.3% vs. 3.3%),退院時予後良好(97.3% vs. 95.1%)は両群間で有意差を認めなかった.アンケート調査では,画質(78.9%),明るさ(84.2%),操作性(73.7%),教育(57.9%)などにおいて,神経外視鏡がより高い評価を得た.一方で,助手の操作性については課題も明らかとなった.神経外視鏡は高画質,デジタルズームによる従来以上の強拡大,head-up surgeryによる疲労軽減,接眼レンズをもたない小型なカメラで視軸の自由度が大きいなどのメリットを有する.神経外視鏡は開頭クリッピング術においても有用であり,trainer,traineeの経験がともに少ない初期経験においても,許容可能な治療成績であった.