著者
百瀬和夫
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.175-185, 2012-03-31

小学校や中学校における『学級崩壊』や『校内暴力』『いじめ』などの問題は,長年にわたり教育現場の課題となっている。 こうした子どもたちの『荒れ』を整え,より安定した心の状況を図るために,特別支援教育の知見をいかした実践を学校での教育活動に取り入れていくことは,学校運営の安定化を図るツールとして,非常に大きな力になる。即ち,特別支援教育の知見を通して,認知レベルまで『子ども理解』を深めることは,子どもたちの『困っているところ』をとらえるだけではなく,教師自身の『指導理解』を深め,より適切な指導や支援につながるからである。しかしながら,特別支援教育の知見を活用し,教師が長年続けてきた指導法を改善・改良していくことは決して容易ではない。なぜなら学校組織の問題教師の仕事上の特性に伴う心理上の問題など,『大人(教師)の側の問題』を克服していく必要があるからである。私自身が校長として赴任したM小学校での取り組みをもとに,まずは特別支援教育の知見の活用を阻む諸原因について明らかにした。
著者
三好 禎之
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.131-143, 2005-12-20

今日の指定介護老人福祉施設(以下:施設)を利用する入居者の要介護度や認知度は総体的に高い傾向を示している。2002年、老人福祉施設協議会(老施協)が行った「特別養護老人ホーム運営概況調査」によると、施設入居者の平均要介護度は3.53度を示していた。この要介護度より入所者状況をみると、「寝たきり」の入居者は68.3%に及び、入居者の日常生活における自立度は低い傾向にある。本調査対象施設においても、2002年4月より2005年10月までの要介護度の平均を年度別にみると、2002年3.46度、2003年3.66度、2004年3.79度、2005年10月現在3.72度と推移し、要介護度は年々高い傾向となっている。以上のように、施設入居者の身体や精神の状態は、重度化している傾向にあると考えられる。こうした現状に対して、施設介護業務の提供時間や提供頻度は、主要介護業務を中心として部分的に増加していくことが予測できる。また入所者の要介護状態に併せて、介護業務の提供時間を見定めることや、介護業務の編成など状況に即した介護業務の確立は急務であるといえよう。取り分けて、夜間という時間帯は、限られた人員配置で行われており、1人の介護職員が提供する介護業務の時間や頻度は、これまで以上に増加傾向を示すと考えられる。これらのことから、本研究は、施設に勤務する介護職員の夜間介護業務実態を1分間のタイムスタディで持って観察し、夜間介護業務課題と夜勤者の主要介護業務を明らかにした。
著者
渡邉直樹・安部幸志・竹田茂生 安部 幸志 竹田 茂生
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.139-148, 2012-03-31

筆者ら3名は平成23年9月5日-8日に,アシスタントとしての大学院生3名および大学院修了生(臨床心理士)1名と共に1-4回生の本学学生27名を引率して兵庫県新温泉町居組地域を訪問し,その後学外講師4名と共に3-4回生の本学学生8名を引率して青森県弘前市を訪問した。 いずれの地域でも学生たちは地域の家庭訪問を行い,高齢者へのインタビュー調査を行った。狙いは自殺の多い両地域で,まずは高齢者の生活のありようを調査し,高齢者が「安心して暮らせる地域づくり」の要因を把握し,その要因を踏まえた生活を多くの住民が実践することが,この地域の自殺者を減らしていくのではないかと考えた。このインタビューのデータは質的研究として解析中であるが,今回はこの事業を行うにあたって説明会に参加した住民から得た調査表の量的解析を行った。その結果地域のいわゆるソーシャルキャピタルと抑うつ得点が負の相関を示すことが明らかとなった。
著者
宮川 久美
出版者
奈良佐保短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13485911)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-37, 2011-03-31

本書は、正倉院文書の中の月借り銭解について、訓読と注釈を試みたものである。東大寺正倉院には、正倉院文書と呼ばれる奈良時代の文書群が納められている。この「正倉院文書」は、転写を経ない千三百年前の生の資料であるという点で非常に価値が高い。すでにその価値に着目して様々な研究がなされ、建築・美術・工芸・服飾・食物・産業・経済など多方面にわたる数多くの成果が上げられている。しかい、国語学の分野の研究はいまだ緒についたばかりと言ってよいのではないだろうか。正倉院文書を一言一句訓読することは奈良時代の言葉の研究にとって大きな意味を持つと考えられ、ひいては逆に様々な分野の研究に資することもできるのではないかと期待される。
著者
金森 雅夫
出版者
びわこ成蹊スポーツ大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13489399)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-37, 2007-03-15

To clear the positive effect of sport to health promotion, our four-years'experience ofundergraduate education on citizen sport or exercise activity in our department of the collegewere reported. People over 50 years-old have recently shoum an increasing the prevalencerate of Metabolic Syndrome including the risk factors of diabetes, hypertension, and cerebralinfarction. The fact is highly significant for citizens to be encouraged by sport participation.Intervention via sport or exercise activity will expect to clear not only the usefulness of theprevention of the diseases but also the expertise of the health trainer or 'Kenkou-undouSidousi' in Japanese. So we need reforming the curriculum from the view point of healthpromotion, and resetting the core curriculum. Some models are presented.
著者
菊地 恵
出版者
聖園学園短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03894231)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.61-70, 2008-03

昨年度より、教育理論と実践力が結びついた保育内容の指導法のあり方を目指し、保育における「環境」のとらえかたや、保育における「環境」とのかかわりが幼児期以降どのようなかかわりをもっていくかについて研究をしてきた。今年度の研究は、それらに加え、幼稚園教育要領の改訂を目前に控え、幼児期に見逃してはならない発達を見る「窓口」である領域について、保育者を目指す学生がどのようにとらえていくかを考え、主として領域「環境」を中心に、他の領域とのかかわりなども踏まえた、総合的な保育内容の実践を目指した研究である。その中において、実体験が教育理論を深めるにあたり、最大の教材となりうることを実感している。本研究は、その実体験を通して、「5領域」を理論的に理解するにあたり、総合的視野からの理解を学生自身の経験をもとに学習を深めていった授業の実践を中心に行ったものである。時代と共に学生自身の理解力や実践力にも変化がみられ、新しい時代の保育を担う学生が、これからどのような育ちを経て保育における理論と実践を融合させた力を養っていくか、また、そのためにはどのような授業展開をしていくことが必要かを探ってきた。
著者
森田 婦美子
出版者
奈良佐保短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13485911)
巻号頁・発行日
no.15, pp.101-109, 2007

最後まで自分らしく生きるためにもっとも重要なことは,身体の全てを使うことである.使わないことで起こる廃用を予防することが大きな課題である.老化によって運動量が低下すると,運動機能が低下する.運動機能の低下は本人のやる気や意欲まで低下させる要因となる.いったん要介護状態になると,要介護状態から脱出するのは困難なことが多い.そのためには,要介護状態にならない努力が必要である.加齢には個人差があるが身体の変化が起こる.この変化を高齢者自身が気付かず,これまでどおりの生活スタイルで生活していると,転倒などの事故を起しQOLの低下をきたす.そのような事故から身を守るため,自分の身体の動きを変える能力を養うことが重要となる.自分の身体をどのように動かすかという,動き方を覚える学習,空間の中で自分の身体の動きを変化させていく学習が必要である.そのために身体知として,自分の身体が理解できる動きの学習を行なうことが重要である.
著者
森田 婦美子
出版者
奈良佐保短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13485911)
巻号頁・発行日
no.15, pp.93-99, 2007

介護予防は福祉的・医療的意味合いが大きい.しかし,介護予防支援を福祉的社会システムとして考えるのではなく教育として考え,高齢者自らが「こころ」と「からだ」に対して,関心を寄せる自立・自律に対する構えととらえると,積極的な学習として取り組みができるようになる.平均寿命が長くなり,定年以降の人生の生活設計を組み立てることはこれから重要な課題となる.健康はより良く生きるため,生活の満足度などを高めるために重要な要因となり,積極的に生きることの指標となる.介護予防を自らの健康に対する教育であるという視点に立ち「教育=自律」として,高齢者に学習の動機づけを行っていかなければならない.
著者
横山 修一郎
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.97-107, 2006

ダンテ・アリギエーリ作『神曲』の「天国」第3歌結末部において、ベアトリーチェは登場人物ダンテに対して強い輝きを放つ。すると登場人物ダンテは沈黙する。つづく第4歌冒頭部においては、2つの疑問の狭間でどちらを先に話すべきかわからずに沈黙する登場人物ダンテが描かれる。理由の異なる2つの沈黙がつづけて描かれることに違和感を覚えたことが本稿の執筆動機である。本稿では、まずベアトリーチェの強い輝きの意味を探る。第3歌結末部のベアトリーチェの強い輝きは、ベアトリーチェが見るための照明のような役割を果たしている。このことを踏まえて2つの沈黙の関係を整理する。その上で、「天国」第4歌においてベアトリーチェが述べることを確認し、「天国」第3歌結末部から第4歌冒頭部への話の展開が、作者ダンテのどのような意図により構成されているかを明らかにする。
著者
吉岡 洋
出版者
京都大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03897508)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.80-98, 1983-03-31