著者
安田 宏一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-16, 1972 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14

The number of patients with Ménière's disease, the author noticed, increased in winter and decreased in summer. Besides the author had an impression that the many attacks occurred in cold weather. The purpose of this paper is to investigate these situations in more detail.In one year, between January and December of 1970, two hundred and eight cases were undergone the neurotological equiribrium examination in our clinic. In these cases, only twenty two patients had typical, fitful and repeated vertigo attacks, and they showed loudness recruitment phenomenon. Moreover they had not such a cause of vertigo as accident, intoxication, tumor or infection. It was investigated how the first attacks of these twenty two cases distributed in four seasons. The result was that Ménière's disease broke out most in winter ( confidence coefficient 90%, Fig. 1). Maximum and minimum temperature of a day and passege of fronts at Fukuoka were recorded between December 1970 and February 1971. Then, in this period, the cases which suffered from the reliable attacks were recorded in the same table (Fig. 2). Totally twenty four attacks were marked. The following became clear that at the day or the next day that the minimum temperature was below 4°, the attacks of Ménière's disease marked increased (confidence coefficient 95%).Roughly speaking, the patients who had attacks in winter were skeleton and delicate. On the other hand, the cases who had attacks in the other seasons were corpulent and had a high blood pressure and felt fatigued.
著者
山野 貴史 杉野 赳浩 尾畑 十善 廣瀬 美香 坂田 俊文 中川 尚志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.164-170, 2016-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
8

帯状疱疹ウイルス感染による下位脳神経障害が原因で嚥下障害を来した症例を経験したため報告する。初診時に左軟口蓋麻痺、カーテン徴候、左咽頭筋麻痺、咽頭クリアランスの左右差を認め、迷走神経麻痺からの嚥下障害と判断した。30 日後の診察時でも軟口蓋麻痺の残存があり、初診時には認めなかった患側の声帯麻痺が確認されたが、咽頭収縮筋の機能は改善したため、早期に経口摂取可能になったものと思われた。
著者
渡邉 昭仁 斎藤 泰一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.211-213, 1997-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
3

眼窩気腫は眼窩と鼻腔副鼻腔に交通が生じ空気が眼窩眼瞼に侵入した状態をいう. これらは空気の存在部位により以Fの3タイプに分類される. 眼瞼にのみ見られるタイプ, 眼窩内にのみ見られるタイプ, これら両側に見られるタイプである. このなかで眼瞼のみのものは非常に珍しく, さらに外傷の既往のない症例はさらに稀である. 今回われわれは骨折をおこすような外傷の既往なく, 拂鼻により眼瞼にのみ気腫を認めた症例を経験したので報告する.
著者
菊池 良和
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.72-75, 2018-03-20 (Released:2019-04-27)
参考文献数
6
著者
君付 隆 松本 希 柴田 修明 玉江 昭裕 大橋 充 野口 敦子 堀切 一葉 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.158-163, 2011 (Released:2012-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

語音聴力検査における最高明瞭度は聴覚閾値の上昇に伴い低下する。しかし、どの程度の難聴で最高明瞭度がどの程度になるか明らかな基準はない。今回、604 耳において純音聴力検査閾値と最高明瞭度の相関関係を解析した。明らかな相関関係を認め([最高明瞭度]= - 0.92 ×[聴力レベル] + 117.04、R = - 0.83)、閾値の上昇に伴い最高明瞭度は低下した。伝音難聴では聴力レベルと比較して最高明瞭度値が良好であった。聴神経腫瘍では、中等度以上の難聴症例で純音聴力検査の悪化以上に最高明瞭度が低下していた。スピーチオージオグラム曲線の傾きは正常、伝音難聴、内耳性難聴、後迷路性難聴において差を認めなかった。ロールオーバーの陽性率は内耳性難聴で 60.6%、聴神経腫瘍で 56.6%と差を認めなかった。
著者
竹内 寅之進 丸田 弾 岡 正倫 玉江 昭裕
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-10, 2016-01-01 (Released:2017-02-08)
参考文献数
18

突発性難聴に対する高気圧酸素療法(hyperbaric oxygenation、以下 HBO)の有用性を検討するため、国家公務員共済組合連合会関連病院である佐世保共済病院と浜の町病院の 2 施設間共同研究として、ステロイド単独群と HBO 併用群で前向き比較試験を行った。 対象は 2011 年 5 月から 2013 年 12 月の間に入院加療を行った突発性難聴一次治療例でステロイド単独(prednisolone、以下 PSL)群が 115 例、HBO 群が 75 例の計 190 例とした。 治療効果判定には厚生省特定疾患急性高度難聴調査研究班の聴力回復判定基準を用い、改善率、有効率、治癒率をそれぞれ求めて有効性の指標とした。改善率は HBO 群で有意に高かったが、治癒率、有効率については有意差を認めなかった。また、低音域の聴力利得については HBO 群で有意に良好な結果であった。めまい合併例や高齢者では各群間に有意差はなかったが、治療開始時期については発症から 4 日以降に治療を開始した症例に関しては HBO 群で有意な改善を認めた。
著者
八田 徳高 福島 邦博
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-9, 2020-01-20 (Released:2021-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1

目的 : 聞こえの困難さを訴える成人症例の聴覚情報処理機能の特徴を明らかにする。対象と方法 : 標準純音聴力検査は正常で、日常生活で聞こえの困難さを訴える成人 12 例を対象とした。聴覚情報処理に関する検査を実施し、聞こえの困難さの原因について分析を行うとともに、注意や記憶など聞こえの困難さの背景要因についても検討するために神経心理学的検査および発達面、精神的問題との評価を実施した。結果 : 全症例中 11 例に何らかの聴覚情報処理に関する問題が生じていた。10 例で聴覚情報処理能の低下とともに認知特性、発達障害、精神障害など、他の要因が併存していた。考察 : 全症例中 1 例は、神経心理学的検査の結果では成績の低下はなく、発達障害、精神障害の問題が認められないことから聴覚情報処理障害の可能性が高いと考えられた。また、神経心理学的検査の成績低下や発達面または精神的問題のいずれかの問題が生じている症例では、聴覚情報処理能の低下は、他の要因から生じる聞こえの困難さが疑われた。以上のことから聴覚情報処理機能の評価では、通常の聴覚検査とともに神経心理学的検査を実施し、その背景にある要因について検証することの重要性を確認することができた。
著者
大前 由紀雄 小倉 雅実 唐帆 健浩 村瀬 優子 北原 哲 井上 鐵三
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.301-304, 1998-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
3

嚥下運動において舌前半部は硬口蓋と接触し舌運動の基点 (アンカー) を形成することで口腔内の食塊を後方に移送している. 今回はこのアンカー機能の嚥下第2期におよぼす影響を検討した. 対象は健常者8名で, 正常嚥下時, アンカー機能補強時, アンカー機能抑制時における嚥下動態を咽頭食道造影検査と嚥下圧検査で観察した. アンカー機能を補強した嚥下では, 咽頭後壁収縮波高の短縮と舌根部最大嚥下圧値の上昇が観察された. 一方, アンカー機能を抑制した嚥下では, 咽頭後壁収縮波高の延長と舌根部最大嚥下圧値の低下が観察された. したがって, 舌前半部によるアンカー機能は, 舌根部の後方運動にも影響することが示唆された.
著者
馬場 廣太郎 谷垣内 由之 武田 哲男 林 振堂
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5Supplement5, pp.1187-1191, 1991-10-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
3

スギ花粉症における自然治癒傾向について, アンケート調査の結果を報告した.1. スギ花粉症の壬生町における有病率は, 9753名中1525名で15.6%であつた.2. 症状消失者は46名で, 減感作療法の奏効者16名を除く30名, 1.97%が自然治癒者と思われた.3. 自然治癒者は, 比較的高年齢で発症し, アレルギー疾患の家族歴, 素因がない者に多く, 有る者では病悩期間が長い傾向にあつた.
著者
岩崎 聡 鈴木 宏明 茂木 英明 工 穣 宇佐美 真一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.35-41, 2011 (Released:2012-03-01)
参考文献数
13

耳垢には乾性耳垢と湿性耳垢があることが知られており、以前から性状の違いは耳垢に含まれる脂質の量と組成により決定されるといわれ、これまで湿性耳垢の脂質の組成に関する報告がほとんどであった。耳垢は日頃臨床の場でよく遭遇し、生理作用もあるといわれているが、詳細はいまだ検討されていないのが現状である。今回われわれは脂質の中で最も多く含まれるといわれている脂肪酸の構成成分を乾性耳垢と湿性耳垢で分析し、比較検討した。高速液体クロマトグラフにより代表的な必須脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を乾性耳垢と湿性耳垢で測定した。測定した 7 種類の脂肪酸を試料 1 g あたりに換算した量で比較するも有意な差は認められなかった。ただし、まだ同定されていない脂肪酸成分の反応が湿性耳垢でみられたことから、湿性耳垢のみに含まれる特異的な脂肪酸成分の存在が示唆された。
著者
井野 千代徳 一色 信彦 松島 康二 多田 直樹 井野 素子 溝口 兼司 田邉 正博
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.147-161, 2013-07-20 (Released:2014-08-01)
参考文献数
14

痙攣性発声障害(SD)は心因性疾患ではなく局所性ジストニアとされているが、多数例を診る中で SD 患者にも陰性の感情を認めることも少なくない。そこで、62 例の SD 患者を対象にしてその特徴を調べる目的で問診、心理検査そしてアンケートなどを行い、その結果を心因性疾患とされるほかの耳鼻咽喉科疾患と比較を行うことで検討した。SD 患者は 30 歳未満の症例が多数を占め、病悩期間が 2 年以上の症例が多かったことが咽喉頭異常感症と舌痛症と大いに異なっていた。CMI (Cornell Medical Index) で神経症傾向以上を示した症例は 12.9%とほかの心因性疾患とされるそれら疾患に比して著しく低かった。 しかし、その内容の検討より SD 患者は「易怒性」と判定される例が上記疾患に比して高かった。SD 患者の多くはその発症時、声をよく使う環境下にあり原因のいかにかかわらず声の詰まりを経験し悩んでしまう不安障害 (SAD) のごとく神経症的に不安・怯えでは無く、ある種のいら立ちをもって悩んでしまう。SD 患者の多くは電話を苦痛にとらえているが、特に騒音下での電話に苦痛を覚えることを特徴とする。大きな声を出そうとすることが原因ととらえているが、コミュニケーションスタイルのゆがみも疑われる。SD は「性格」、「環境」そして「予期不安・身構え」、「長い病悩期間」があり発症し、「予期不安・身構え」より生じる「声門下圧の上昇」とそれによって生じる「声帯の締まりの増強」によって生じる二次的な回路で強化される。治療はこの二次的に生じた回路の解消であるが容易ではなく、治療法としては一色の甲状軟骨形成術 (Ⅱ型) が最良と論じた。
著者
岸本 麻子 浜野 巨志 南 豊彦 多田 直樹 中川 のぶ子 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.326-330, 2002-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
4

反復性の耳下腺腫脹を主訴とした症例の中でも、アレルギーによるものは少ない。その中で、著者らは花粉症に関連したアレルギー性耳下腺炎を経験した。症例は38歳の女性で、花粉症により鼻閉が出現した後にしばらくすると左耳下腺が腫脹するという症状を認めた。患側の耳下腺から流出した唾液中には好酸球が多数認められ、アレルゲン検査ではスギ、ヒノキ、ブタクサが陽性であった。また、耳下腺造影ではステノン管の著しい拡張を認めた。本症例に対し抗アレルギー剤などによる治療を行い、今日まで約4年間にわたり良好なコントロ-ルが得られている。以上の経過より、この疾患の発生機序として導管の拡張によるアレルゲンの逆流を考えた。すなわち、鼻閉が出現した後にしばらくして耳下腺が腫脹する事実から、口呼吸により吸い込んだアレルゲンが口腔内に貯留して拡張した導管から逆流することにより耳下腺炎を生ずると考察した。
著者
荻野 敏 原田 保
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.282-287, 1996-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

アレルギー性鼻炎はストレス, 疲労などにより悪化する. 今回, 全身倦怠感, 不眠などを伴った5例のアレルギー性鼻炎に補中益気湯を投与した. 症例1は22歳, 女性, 数年間のHD減感作治療を受け鼻症状は落ち着いていたが, 中耳炎の手術後から再び鼻症状の悪化を見た. 同時に食欲不振, 全身倦怠感, 不眠, 耳鳴も出現してきた. 症例2は43歳女性. 子宮筋腫により子宮全摘を受けている. 全身倦怠感, 不眠を伴つていた. 症例3も43歳, 女性. 中等度の貧血を伴つていた. 症例4は26歳, 男性. 不眠, 倦怠感, 仕事でのストレスを伴つていた. 症例5, 18歳, 男性. 受験による不眠, 倦怠感を訴えていた. 全症例に補中益気湯の投与を行ったところ数日から1ヵ月以内に鼻症状の改善を見た. 特に症例1, 2では本薬剤の投与のみであつた. この成績から, 補中益気湯は全身倦怠感, 不眠などの全身状態の良くないアレルギー性鼻炎に対しては有効な薬剤であると思われた.
著者
柴崎 修 水野 正浩 伊藤 彰紀
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.143-148, 2012 (Released:2013-07-01)
参考文献数
7

めまい発作を反復するメニエール病難治例に対して、ステロイドホルモン剤の変更がめまい発作の抑制に有効であった 4例を経験した。いずれもプレドニゾロンからデキサメタゾンへの変更によってめまい発作が抑制された。ステロイドホルモン剤の使用にあたっては、副腎不全など副作用の発生に注意しなければならないが、今回の症例では明らかな副作用は確認されなかった。めまい発作を反復するメニエール病難治例に対しては、ゲンタマイシン鼓室内注入や内リンパ嚢開放術、前庭神経切断術などの観血的治療が推奨されているが、これらの治療を行う前に、ステロイドホルモン剤の慎重な投与と長時間作用型ステロイドへの変更についても、検討してみる必要があると考える。
著者
新里 祐一 吉田 崇正 園田 世里夏 山内 盛泰
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.171-175, 2016-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
7

急性喉頭蓋炎は急激に進行する可能性がある感染症であり、時には数時間の単位で呼吸困難が進行する疾患である。今回われわれは咽頭痛の症状が発症してから 8 時間後に窒息に至ったものの、この病態の知識があった家族の医療関係者がその疑いを持って救急外来を受診させていたため救命し得た急性喉頭蓋炎の 1 例を経験したので報告する。症例は 50 歳、男性。主訴は咽頭痛であった。喉頭内視鏡検査にて確定診断がついた直後に窒息状態となった。ミニトラックⅡ®を用いて緊急に気道確保を施行した後、外科的切開を行った。術後は抗生剤とステロイドを使用し、比較的速やかに喉頭蓋の腫脹は軽減した。急性喉頭蓋炎は耳鼻咽喉科医にはよく知られた疾患であるが、耳鼻咽喉科医以外の医師を含めた医療関係者にその危険性が周知されているとは言い難い。医療関係者に急性喉頭蓋炎の知識を共有してもらうように耳鼻咽喉科医は努力する必要がある。
著者
殷 敏 三好 彰 程 雷 白川 太郎 榎本 雅夫 嶽 良博 彭 解人 阮 標 今野 昭義 佐橋 紀男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6Supplement2, pp.625-629, 1999-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

1995年より中国南部の3つの省 (江蘇省・広東省・雲南省) において、1660名の小中高校生と2167名の大学生を対象に、視診・ 問診・ スクラッチテストから成る鼻アレルギー疫学調査が実施された。また1998年春には南京医科大学第一付属医院耳鼻咽喉科外来にて、鼻アレルギー症例の臨床的観察が行われた。疫学調査からは、スクラッチテストで3.8%の被験者がスギ花粉に対して陽性であることが、またスギ花粉症の頻度は0.26%であることが判明した。スギ花粉症はまぎれもなく中国に存在するが、まだその頻度は低い。スギ花粉飛散量とともに、社会的背景要因の関与が原因として推測されている。
著者
山口 宏也 四倉 淑枝 久保田 彰 井上 荘三郎 吉沢 由利子 宮川 晃一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5Supplement2, pp.863-868, 1983 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

Twenty-six cases subjected to neck surgery were operated under epidural anesthesia. These consisted of one case of laryngectomy, three cases of thyroidectomy, four cases of resection of median cervical cyst, twelve cases of thyroplasty type I, five cases of arytenoid aduction and one case of resection of lypoma. In the studies, it was shown that epidural anesthesia had benefits for thyroidectomy, thyroplasty type I and arytenoid aduction. The patients were conscious and without pain while undergoing the operations, allowing the surgeon to speak with them to make sure of the patient's voice changes. The anesthesia was also good for laryngectomy and radical neck dissection of its broad numbring area. Usually the patients were most uneasy bewfore and during their operations. Therefore, we used a much larger dose of tranquilizer before and during the operations. By using a smaller dose of anesthetics than is used for local anesthesia, we found that this anesthesia had a broader numbring area resembling general anesthesia. It was concluded that the epidural anesthesia should be used more frequently for neck surgery than types.
著者
上村 卓也
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4Supplement2, pp.748-750, 1984-10-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

The Heimlich maneuver introduced in 1974 was evaluated to be a most important addition to the first aid procedures for the food choking person. However, the proper position of the maneuver among the procedures previously employed is not determined because Heimlich strongly denounces any use of other procedures. The controversy regarding this problem is reviewed from the literature.
著者
五島 史行
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.69-73, 2009 (Released:2011-08-01)
参考文献数
7

メニエール病患者が耳痛を訴えることはまれではない。インターネットを用いてメニエール病患者における耳痛、その特徴などについて検討を行った。インターネット上で 2008 年 2 月から 4 カ月間の間に  “メニエール病と耳痛について”  のアンケートに回答を得た 59 例のデータを解析した。耳痛は耳鳴りに随伴することが多かった。痛みの頻度は毎日から週 1 回という高い頻度であり持続時間は短時間から長時間なこともあった。診断治療については医師には話していない例も多く、積極的な治療を行っている例は無かった。片頭痛の合併が 30 %に認められ、メニエール病の耳痛が片頭痛発作と類似した機序で起こっている可能性が示唆された。インターネットアンケートのため患者の偏り、および診断の正確さの問題があるが、メニエール病患者における耳痛はメニエール病の病態、治療を考える上で重要であると推察された。
著者
宮地 英彰 梅崎 俊郎 山口 優実 安達 一雄 澤津橋 基広 清原 英之 菊池 良和 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S138-S144, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ゼリー状の食塊は液体に比べて誤嚥しにくく、喀出しやすいために嚥下障害患者の経口摂取開始において頻用されている。その要因として液体と異なりゼリー状の食塊はその物性(硬さ、付着性、凝集性を持つ)のために咽頭への流入速度が遅いことが考えられる。しかし、現在までに嚥下造影検査においてその仮説を裏付ける目的であらかじめ物性の分かっている二つの嚥下物の咽頭期嚥下動態の違いを、嚥下惹起遅延を評価するのに有用と考えられているパラメーターを用いて比較した報告はない。そこで進が 1994 年に報告した laryngeal elevation delay time (LEDT) という咽頭期嚥下の遅れを評価するパラメーターを用いて、異なる物性を持つ二つの嚥下造影剤における咽頭期嚥下動態の違いを検討した。その結果、われわれが用いた LEDTは、1) 液体造影剤とゼリー状造影剤の二つの物性の違いをよく表し、2) 低粘性造影剤を用いることで咽頭期嚥下の遅れを評価する有効なパラメーターであることが確認され、3) ゼリー状の食物形態が咽頭期嚥下惹起遅延による誤嚥を来す症例の食事に有用であることを裏付けるパラメーターであると考えられた。