著者
新宅 治夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.361-367, 2012-09-01
参考文献数
15

 小児神経伝達物質病は幼少期より発症するまれな遺伝性疾患としてその原因により個別に研究されてきたが, いずれも中枢神経系に症状があり代謝異常に起因する小児神経疾患として早期に適切な診断と治療が必要である. しかしながら, 臨床症状による診断は困難であり適切に診断されず有効な治療を受けられていない可能性がある. これらの疾患について, 小児神経伝達物質病として総合的に検討し, 病態生理のさらなる理解, 診断基準の確立, 我が国における患者数, 分布の把握が行われている. 新生児マススクリーニングで発見できない希少疾患の早期診断と効果的な新しい治療法の確立は急務であるが, 超希少疾患の場合に医療関係者への疾患概念の周知が重要である.
著者
元木 崇裕 佐々木 征行 石井 敦士 廣瀬 伸一
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.133-136, 2016 (Released:2016-03-26)
参考文献数
12

症例は3カ月の女児. 生後数日より発作性の異常眼球運動と姿勢の異常を不定期に認めていた. 左右の眼球が発作性に別々に外転位や眼振を繰り返していた. また片側性のジストニア姿位も認めていた. この特徴的な左右非対称性異常眼球運動およびジストニア姿位より小児交互性片麻痺 (alternating hemiplegia of childhood ; 以下AHC) を疑った. ATP1A3遺伝子解析を行いAsp801Asn変異が確認された. AHCは左右不定の片麻痺発作を繰り返す非常にまれな疾患である. 多くは生後6カ月以内に発症するが, 初発症状として見られるのは片麻痺発作ではなく異常眼球運動や全般性強直けいれんであることが多い. AHCの異常眼球運動の特徴として左右非対称性の眼転位や眼振があげられる. AHCは各種検査で特徴的な所見を示さず, 片麻痺発作発症前は確定診断が困難である. 近年はflunarizineの運動発達退行を防ぐ可能性も示唆されており, 早期診断がより重要となる. 左右非対称性の異常眼球運動が新生児期や乳児期早期に認められた場合はAHCを積極的に疑い, 遺伝子解析を考慮すべきである.
著者
児玉 浩子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.107-112, 2012 (Released:2014-12-25)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Menkes病, occipital horn症候群は, ATP7A遺伝子異常症で, 重篤な銅欠乏障害を来す. Menkes病では, 早期の銅皮下注射で神経症状はある程度予防できる. 新生児マススクリーニングや新規治療法が, 今後の課題である. Occipital horn症候群は, 現在有効な治療法が報告されていない. Wilson病は, ATP7B遺伝子異常症で, 銅蓄積による障害を来す. 症状は, 肝障害, 神経障害, 血尿など多彩で, 診断が遅れる. キレート薬などの治療法はあるが, しばしば耐薬で重篤化する. 神経型では, 治療初期に神経症状の悪化がみられる. また, 肝癌発症が指摘されている. これらの問題への対応が今後の課題と思われる.
著者
秋山 千枝子 昆 かおり 堀口 寿広
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.284-288, 2008-07-01 (Released:2011-12-15)
参考文献数
9

発達障害児の状態に対する保護者と教師の認識の共有化を手助けする目的で, 特別支援教育制度で提案された判断基準などを参考に, 子どもの状態を知るための質問紙を作成した.「子ども相談室」を受診した45人の子どもについて, 保護者と教師が同じ質問紙に回答した. 保護者の回答では不注意に関する項目で, 教師の回答では多動と対人的なコミュニケーション能力の問題に関する項目で「問題がある」とする回答が多かった. これら3つの特徴を, 保護者と教師の認識に「ズレ」が生じやすい領域ととらえ, 重点的に情報を収集し診断と支援に活用すべきである.
著者
栗原 まな 熊谷 公明 中江 陽一郎 野田 洋子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.505-511, 1998-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
7

新生児期発症を除く後天性小児低酸素性脳症13例のリハビリテーション (リハ) アプローチについて述べた.回復の度合を良好, 中等度, 軽度, 不変群に分けたが, 良好例はなく, 他は各々3, 3, 7例についてリハアプローチを呈示し, 発症状況, 現症, 機能的自立度 (functional independence measure: FIM) の改善度を比較検討した.5分以内に蘇生がなされ, 意識障害の持続が3日以内, 後遺運動障害はないか失調症の例で機能改善が良かった.FIM改善度では, 中等度回復群と不変群間には有意差が認められた.またいずれの群においてもリハ効果は認められた.
著者
高木 一江
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.253-258, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
17

【目的】神経発達障害のてんかん合併例の治療として, levetiracetam (LEV) を併用投与した症例の有効性と忍容性を検討した. 【方法】2011年10月~2014年12月までにLEVを処方した神経発達障害21例 (男女比16 : 5, 現在の年齢分布は10歳代6例, 20歳代7例, 30歳代7例, 40歳代1例) を対象とした. 効果は発作消失, 有効 (75%以上発作減少, 50%以上発作減少), 不変 (変化なし), 悪化 (発作回数増加) とした. 【結果】自閉スペクトラム症 (ASD) 19例 (最重度知的能力障害13例, 重度知的能力障害5例, 高機能1例), 境界知能1例, 注意欠如・多動症 (AD/HD) 1例であった. てんかんとてんかん症候群国際分類 (1989年) は, 症候性局在関連性てんかん15例, 全般てんかん6例であった. LEVの開始用量は平均488.1mg/日, 維持用量は平均1,714.2mg/日, 平均投与期間は2年3カ月であった. 奏効率は発作消失11例 (52.4%), 75%以上発作減少4例 (19.0%), 50%以上発作減少3例 (14.3%) で, 奏効率は85.7% (18例) であった. その他, 不変14.3% (3例) で, 悪化例はなかった. 初期の浮動性めまいが1例のみで, 全例で服薬継続中である. 抗けいれん剤はLEV開始時2.5剤から1.5剤まで調整でき, 情緒的安定も得られ, 精神安定剤が中止できた例もあった. 【結論】LEVはASDを中心とした神経発達障害のてんかん合併例において高い奏効率と忍容性を示した. 本剤の投与により併用薬数を減らすことができ, コンプライアンスの向上に寄与する可能性が示唆された.
著者
荒木 尚 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.175-180, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
22

虐待による頭部外傷は乳幼児期の外傷死における事由の第1位であり, 外傷による後遺症発生率に比べて著しく死亡の割合が高いことが特徴である. 虐待診断は常に不確実であり, 容易ではない. また, 偽陽性, 偽陰性ともに悲劇を生じるため, 小児科医を始めとして, 脳神経外科, 整形外科, 眼科など複数の診断科による意見の集約が必要であり, 医療者は慎重に対峙しなくてはならない. 身体所見および頭部CT所見は診断上重要であり, 薄い急性硬膜下血腫と付随する片側あるいは両側のびまん性脳腫脹が特徴的である. また, 網膜出血も重要な所見である. 乳幼児硬膜下血腫の意義については, 北米と本邦との間で解釈の相違が存在し議論が多い. 受傷機転や病態生理など未解決の問題が多く存在し, 現在も多くの臨床あるいは基礎研究による病態解明のアプローチがなされている. また, 虐待への対応は, 行政や地域社会との連携が重要であり, 診断や治療方針が広く包括的に理解されるためのガイドラインの作成などが期待されている.
著者
髙山 留美子 福村 忍 皆川 公夫 渡邊 年秀
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.332-336, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
16

【目的】Lennox-Gastaut症候群 (LGS) に対するrufinamide (RFN) の短期有効性と安全性を検討した. 【方法】平成25年7月~平成26年1月に当院と緑ヶ丘療育園通院中のLGS症例において, RFN開始3カ月時点の有効性と安全性を診療録より後方視的に検討した. 有効性は抑制 (発作消失), 有効 (50%以上の発作減少), 不変 (50%未満の発作減少または増加), 悪化 (50%以上の発作増加), responder rate (RR) は50%以上発作減少に達した症例の頻度とした. 【結果】LGS 13例 (男8例, 女5例) であった. 強直発作 (13例) は抑制1例, 有効3例, 不変8例, 悪化1例, RR 30.8%, 発作増加のため2例が中止した. 4例に一過性の抑制効果を認めた. 強直間代発作 (2例) は抑制1例, 不変1例, 脱力発作 (2例) は不変2例, 非定型欠神 (2例) は有効1例, 不変1例であった. 副作用は8例に認め, 眠気6例, 不眠1例, 食欲低下4例のうち2例に体重減少を伴った. 重篤な副作用, 副作用による中止例はなかった. 【結論】RFNはLGSの強直発作に短期有効性を認めたが, 一過性の抑制効果を示す症例も認めた. 重篤な副作用はなくLGS症例にRFNは使用する価値があると判断した.
著者
湯浅 正太 星野 絵里 戸田 壮一郎 髙梨 潤一
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.418-423, 2018 (Released:2018-12-08)
参考文献数
17

【目的】Levetiracetam (LEV) は副作用が少ないことで知られfosphenytoin (FOS) の代替薬として期待される. 今回我々は, 小児のけいれん発作頓挫後の急性期における発作再発予防としてLEV静注製剤およびFOS静注製剤の有効性と安全性を後方視的に検討したので報告する. 【方法】2012年1月から2017年8月までに, けいれん頓挫後の急性期における発作再発予防目的にLEVまたはFOSを静注投与した4歳から15歳までの入院患者のうち, 除外項目該当例 (頭部画像/肝腎機能/電解質異常を有する, LEV/FOSと同系統薬を内服している, benzodiazepine系薬剤の前投与あり) を除いた群を対象とした. 【結果】対象症例は, 除外項目該当例を除いた計35例 (35機会, LEV 12例, FOS 23例) であった. 年齢は中央値9.8歳, 男児20例, 女児15例. 有効率については, LEV群91.7%, FOS群95.7%と統計的に有意な差を認めなかった (p=1.000). 副作用については, 両群で加療を要するものはなかった. 【結論】LEVはFOSと同様に小児のけいれん発作頓挫後の急性期における発作再発予防としての有効性と安全性が期待できる. 今後前方視的な検討が望まれる.
著者
松尾 光弘 藤井 明子 松坂 哲應 馬場 啓至 戸田 啓介 小野 智憲 田中 茂樹 里 龍晴 森内 浩幸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.272-278, 2015 (Released:2015-11-20)
参考文献数
24

【目的】難治性てんかんに対するlevetiracetam (LEV) 長期効果の判定. 【方法】観察期間は18カ月以上2年以内とした. LEVを追加投与した76症例に対し, 50%以上発作が減少した症例の割合 (以下50%RR) と有害事象を後方視的に検討した. 【結果】全症例の50%RRは42%であった. 局在関連てんかん54例と全般てんかん20例の50%RRは, 各々42%, 35%で, 著効例は局在関連てんかんに多かった. 有害事象として, 焦燥感, 多動・衝動性の亢進が目立ち, それらは自閉症または, 注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) 傾向を合併した例に多かった. LEV追加投与前にγ-GTPが高値であった17例で追加時1剤以上を減量することで, 14例でγ-GTPの改善が認められた. 【結論】LEVは, 難治性てんかんの治療に有用であり, 長期にわたる効果が確認された. また, 肝臓への負担増悪因子となる可能性は低い. 一方, 自閉症またはAD/HD傾向を合併した患者へ投与の際には, 精神・行動面での変化を注意深く観察することが必要である.
著者
鈴木 弘子 高梨 潤一 永沢 佳純 小林 一彦 富田 美佳 玉井 和人 河野 陽一
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.319-322, 2001-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

特発性頭蓋内圧亢進症 (IIH) の小児4例について臨床的, 画像的な検討を行った.全例主訴は頭痛で3例に乳頭浮腫を認めたが, 髄液圧が106cmと高値であった1例では乳頭浮腫を認めなかった.2例は反復髄液穿刺のみにて軽快した.初発時, MRIにて全例にempty sellaを認めた.また視神経に関しては,(1) 視神経の延長・蛇行,(2) 視神経周囲髄液腔の拡大,(3) 眼球後部の平坦化の2つ以上を全例に認めた.経時的に観察し得た3例中2例で, 治療による画像所見の改善を認めた.眼底検査に加え, MRIでの下垂体・視神経の評価がIIH, 特に乳頭浮腫を欠く症例における診断上重要と思われた.
著者
城所 博之
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.118-123, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
24

過去20年で新生児医療は超低出生体重児の生存率を80~90%にまで上昇させた. 一方で, 脳性麻痺や精神発達遅滞などの後障害は減少したとはいえない. また, 長期追跡することで, 就学後に学習上の, 行動上の, あるいは心理的な問題も高率に発生することが分かってきた. 最近のMRIを用いた研究により, このような高次脳機能障害はすでに新生児期MRIの微細な画像異常と関連し, 青年期のMRIでは海馬や前頭葉の容量減少と関連することが明らかにされた. 新生児期に受ける低栄養や低酸素, 感染・炎症といったストレスが未熟脳の正常発達を阻害し, 将来の構造的ならびに機能的異常をもたらすことが推察される. この点を具体的に明らかにすることが当面の課題である.
著者
畑中 マリ
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.259-263, 2018

<p> 発達性読み書き障害 (developmental dyslexia ; DD) はデコーディングの障害が原因であることが知られており, 音韻認識障害など原因病態の解明が進んでいる. 漢字書字障害はDDに伴って生ずるものだけではなく, 読みに障害がなくともみられるため, DDの病態とは異なる病態の可能性がある. 日本の読み書き教育の中で漢字書字不全は顕在化しやすい問題であるにも関わらず, その病態は十分に明らかにされていない. 本稿では, 正確な漢字書字と漢字筆順の習得との関係を評価した研究結果を報告する. 日本語における読み書きの障害は, 文字種により病態が異なる可能性があり, その違いを意識し研究を進めていく必要があるのではないだろうか.</p>
著者
佐々木 正美
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.179-183, 2010 (Released:2015-11-21)
参考文献数
13

自閉症スペクトラム障害を含めた発達障害は, 過去の長い歳月正しく理解されずにきた. 養育, 治療, 教育等の支援や対応がきわめて不適切になされてきた結果, 当事者の情緒や行動の面に, 二次障害としての非社会的・反社会的特性を顕在化させる事例を, 数多く生み出すことになった. 本稿では現時点での臨床的・神経心理学的理解の到達点と養育・教育的支援の方策を概説して, 思春期をより平穏に乗り越え, 二次障害を回避するばかりでなく, 自立的な活動や適応にいたるための道筋の基本原理を解説する.
著者
亀井 淳 佐々木 真理 赤坂 真奈美 千田 勝一
出版者
脳と発達
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.348-352, 2002-07-01
参考文献数
20

Epstein-Barr (EB) ウイルス脳症に起因する不思議の国のアリス症候群において, これまで頭部画像検査による特異的な異常は記載されていない.今回, EBウイルス脳症に罹患して本症候群に特徴的な身体像の奇妙な変形, 幻視, 離人症状を呈し, 頭部CTで異常がなく, MRIの T<SUB>2</SUB>強調像で大脳灰白質に広範かつ散在性の高信号と腫脹を認めた10歳の女児を経験した.このM RI所見は1週間後に改善した.EBウイルス脳炎・脳症で視覚性錯覚や精神症状を示した症例の中には, 本症候群が診断名としては用いられていないが, MRIの異常を一過性に認めたとする報告がある。したがって, 本症候群を形成する症状がみられた場合は, タイミングを逃さずにMRI検査を行う必要があると考えられた.
著者
杉山 直子 杉江 秀夫 五十嵐 良雄 伊藤 政孝 福田 冬季子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.51-55, 1998-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

小児自閉症の一部において, 脳内セロトニン, カテコラミンの低下がありうるという仮説に基づき, 自閉症児に対しカテコラミンの前駆物質である1-dopa少量投与を行い, 症状改善の有無をcross-over designによる二重盲検試験により検討した.Cross-over analysisでは順序効果, 時期による効果, 薬剤効果を検討したが, 薬剤の有効性は認められなかった.しかし症例によっては, 一部症状の改善の認められた例が20%あった.
著者
川村 孝
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.169-173, 2016 (Released:2016-05-11)
参考文献数
7

臨床現場から良質なエビデンスを発信するための重要点を概説する. 治療効果を検証するランダム化試験 (RCT) では, 診療で生まれた疑問を「PICO (誰に, 何をすると, 何に比べて, どうなるか) 」の形で定式化する. 並行デザインかクロスオーバー・デザインを決め, サンプル・サイズを算定する. そして主たる転帰指標を中心に有効性を評価する. 個別患者の予後を占う臨床予測モデルでは, 「PEMO (誰に, 何が, どのように曝露すると, どうなるか」の形で定式化する. コホート研究か症例対照研究を行い, 多変量解析を用いて用量反応関係を明らかにする. そして変数選択を行いながら予測モデルを構築し, その性能や妥当性を評価する.