著者
小野 浩明 高橋 幸利
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.58-60, 2010 (Released:2016-05-11)
参考文献数
10

インフルエンザ脳症では情動異常や行動異常などの側頭葉辺縁系症状が前駆症状として出現することがある. しかし, インフルエンザ罹患に伴う辺縁系脳炎自体の報告例は稀である. 今回, インフルエンザ感染を契機に情動障害, 異常行動を呈した12歳女児例を経験した. 症状が遷延したためステロイドパルス療法を施行し, 以後軽快した. 頭部MRIでは異常を認めなかったが, 脳血流検査において側頭葉辺縁系の血流増加と髄液中抗グルタミン酸受容体抗体陽性を示したことから本例を辺縁系脳炎と診断した. インフルエンザで異常行動が遷延する場合は辺縁系脳炎の可能性も考慮し, 自己抗体の検索, ステロイドを含めた治療法の選択を検討するべきかと思われた.
著者
菊池 貴洋 加藤 光広 高橋 信也 中村 和幸 早坂 清
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.375-378, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
9

症例はてんかん性脳症の10歳女児. 発作は難治で1日10回程度の強直発作・ミオクロニー発作が出現し, 覚醒時脳波で多焦点性鋭徐波複合が多発していた. topiramate追加内服中, 眼振の増悪がみられ漸減中止したところ, ミオクロニー発作の頻度が増加し, levetiracetam (LEV) 250mg/日を追加した. LEV開始翌日から発作は消失したが, 反応性低下と寡動がみられた. 覚醒時脳波を再検したところ多焦点性鋭徐波複合の消失を認め, 強制正常化の診断基準を満たした. LEV投与による強制正常化の報告は調べ得た限り自験例が初めてである. LEVは初期から治療量の投与が可能である半面, 強制正常化の可能性を念頭におく必要がある.
著者
斎藤 義朗 福村 忍 齋藤 貴志 小牧 宏文 中川 栄二 須貝 研司 佐々木 征行
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.477-481, 2012 (Released:2014-12-25)
参考文献数
15

ノイロトロピン® (Neurotropin, ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液) は頸肩腕症候群や帯状疱疹後疼痛に有効であり, 成人の一次性頭痛に対する効果も報告されている. 今回, 他の各種薬剤に効果が乏しかった慢性頭痛の小児2例で本剤が有効であった. いずれも中学生女子, 片頭痛を発症して2~3年後に増悪をきたし, 不登校にいたった経過で, 起立性調節障害の併存, 間欠的な四肢・背部の疼痛, MRI上の大脳白質散在性病変も共通していた. Neurotropinには他の鎮痛薬にはない下降性疼痛抑制系の増強効果があり, 小児の難治な慢性頭痛にも有効と示唆された.
著者
草野 佑介 粟屋 智就 齊藤 景子 吉田 健司 井手 見名子 加藤 竹雄 平家 俊男 加藤 寿宏
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.445-448, 2015 (Released:2015-11-20)
参考文献数
9

Irlen症候群は視知覚の異常が原因とされる読字障害の特殊型である. 特定の遮光レンズ眼鏡やカラーフィルムにより症状が改善することが特徴とされているが, それらの効果には懐疑的な意見も多くIrlen症候群の存在自体にも議論がある. 今回, 我々は羞明などの視覚過敏症状を呈し, 遮光レンズ眼鏡の有無により読字能力が大幅に左右された読字障害の8歳女児を経験した. 遮光レンズ眼鏡がプラセボ効果である心因性視力障害の可能性は完全には否定できないものの, その症状や経過はIrlen症候群の特徴に非常によく合致していた. 本症例では, 遮光レンズ眼鏡非装用下では全く本が読めない状態から, 遮光レンズ眼鏡装用下では年齢相応の読字能力を示し, 何らかの光学的な情報処理の異常が読字に影響を与えていると推察された. Irlen症候群は現在では読字障害, 学習障害全般や一般人口を対照に曖昧にその概念を拡げているが, その科学的な意味付けには本症例のような特徴的な症例を集積する必要がある. 同時に, 遮光レンズ眼鏡という簡便な手法により容易に矯正されうる点で, 学習障害に携わる医療関係者や支援者が記憶しておくべき概念であると考えられる.
著者
伊予田 邦昭 粟屋 豊 松石 豊次郎 永井 利三郎 田辺 卓也 栗原 まな 山本 克哉 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.456-458, 2007-11-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
6

難治なけいれん発作をもつ小児に対する予防接種基準最終案を検証するため, 全国多施設共同で予防接種後健康状況調査を施行した (112例, 229件, 回答率:52.4%).1)観察期間: 日・週単位群で1カ月, 月単位群で2~3カ月程度, 重積症後では, 各々1~3カ月, 3~6カ月程度. 2)接種後1カ月以内の副反応: 身体面は17件 (7.5%; 1件以外すべて発熱), 50%以上発作が増悪した例はわずか4件 (1.7%; 麻疹・インフルエンザ各2件), 計21件 (9.2%) で, すべて外来対応が可能であった. 3)自然罹患入院例: 麻疹2/5例, インフルエンザ3/7例でけいれん重積を合併した. 以上より各種予防接種は安全に実施されており, 主治医(接種医)が“適切”な時期に個別接種を行う本基準案は妥当と考えられる.
著者
田辺 卓也 粟屋 豊 松石 豊次郎 永井 利三郎 山本 克哉 栗原 まな 伊予田 邦昭 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.318-323, 2004-07-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
6

てんかん症例への予防接種基準案作成の一環として, てんかんの中では接種の際に最も注意を払う必要があると考えられる乳児重症ミオクロニーてんかん (severe myoclonic epilepsy in infancy;SMEI) 症例の予防接種実施状況と自然罹患時の状況とを比較検討した.対象は調査時2~25歳のSMEI症例58例で, のべ359回接種されていた.接種率はBCG, ポリオ1回目が71%と最も高率であった.ポリオの2回目, DPT初回接種の2, 3回目はより低率であり, 接種時期も遅れる傾向にあった.一方, 麻疹は55%と比較的高率に接種されており, 1~2歳代の接種率が高かった.自然罹患した際はけいれん発作の増悪や意識障害, 脳症などの重篤な合併症が高率 (63%) にみられたのに比し, ワクチン接種後の発熱やけいれんは有意 (P<0.0001) に低率 (7.2%;けいれんのみでは5.0%) であった.ワクチンの中では, 麻疹ワクチンによる発熱およびけいれん誘発率が有意に高率であった (P=0.012).SMEI症例に対しては, 十分な発熱, けいれん対策の指導のもと, 特に麻疹を中心に積極的にワクチン接種を推奨し, 自然罹患による合併症のリスクを低減する必要があると考えられた.
著者
児玉 浩子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.5-9, 2014

&emsp;経腸栄養剤や特殊ミルク・治療用ミルクには, いくつかの必須栄養素がほとんど含まれていないものがある. 主なものとしては, エンシュア・リキッド<sup>&reg;</sup>にはカルニチン, セレン, ヨウ素 ; エレンタール<sup>&reg;</sup>にはカルニチン, セレン ; ラコール<sup>&reg;</sup>にはカルニチン, ヨウ素 ; 牛乳アレルゲン除去ミルク・乳糖除去ミルク・MCTミルク・ケトンフォーミュラ・先天性代謝異常症用ミルクなどにはビオチン, カルニチン, セレン, ヨウ素がほとんど含まれていない. これらを単独で使用すると, 含有量の少ない栄養素の欠乏をきたすおそれがある. これら栄養剤・ミルクを単独で使用する場合は, 欠乏症に注意し, 必要に応じて補充することが大切である.
著者
三牧 正和
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.7-16, 2018 (Released:2018-01-17)
参考文献数
53

ミトコンドリア病はあらゆる臓器障害を来しうるため臨床像が多彩で, しばしば診断に苦慮する. 病態の中核は呼吸鎖酵素機能異常にあるため, 酵素活性や複合体の量的・質的評価などの生化学的診断が重要だが, 病因に応じた治療や遺伝カウンセリングのためには遺伝子診断が必要となる. 病因遺伝子は核DNAとミトコンドリアDNAの両方に数多く存在するが, 網羅的遺伝子解析などでより多くの患者の診断が可能になってきた. 遺伝子解析を役立てるには, 症状や病型の多様性を知った上で注意深い病歴聴取と診察を行い, 適切な臨床検査とともに生化学や病理学的評価などの特殊検査を駆使して, ミトコンドリア機能異常を証明することが重要である.
著者
遠藤 千恵 三宅 進
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.442-444, 2001-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

痙攣頻発治療のため静注したphenytoinにより血栓性静脈炎を伴った重篤なpurple glove syndrome (PGS) を生じた1例について報告した.本症例ではphenytoinによる広範な血管内皮細胞障害に加え, 赤血球増多, 肥満といった血流をうっ滞させる因子が加わり病変の一部に血栓性静脈炎が生じ, より重篤となったと考えられた.
著者
大野 耕策
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.92-102, 2010 (Released:2016-05-11)
参考文献数
47

Niemann-Pick病C型 (NPC) は小児期の神経変性を特徴とするまれな疾患である. 約20年間この疾患の研究に細々とかかわってきた. この間, NPCの遺伝子, 蓄積脂質, 神経病理, 細胞機能異常などの解明や治療法の開発に大きな進歩があった. 会長講演では, 鳥取大学とその共同研究グループが行った研究成果を中心に報告した.  これまで, 全く治療法がない疾患であったが, ここ数年, 蓄積脂質を減少させ, 神経症状を改善し, モデルマウスの寿命を延長させる複数の方法が開発された. 2009年, 欧米ではmiglustatがNiemann-Pick病の神経症状に有効な薬剤として承認され, 米ではシクロデキストリンが一部の患者さんにFDAから「人道的使用」として使用が承認されている. 日本でも早期に厚生労働省の承認が得られるような努力が求められている.
著者
柏木 充 田辺 卓也 七里 元督 玉井 浩
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.310-315, 2003-07-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
13

せん妄は脳炎, 脳症の急性期にみられることがあり, 早期診断と早期治療において注意を要する症状である. そこで, 高熱に伴うせん妄を呈した10症例を検討することより, 一過性良性のいわゆる “高熱せん妄” と, 中枢神経感染症によるせん妄との鑑別を試みた. せん妄は視覚の幻覚が多く, 内容では鑑別は困難であった. 昼間覚醒時にも認めたこと, せん妄を呈さない時も意識障害を認めたこと, 脳波における背景活動が著明な徐波化を示したことなどが脳炎・脳症に伴うせん妄の特徴であり, いわゆる “高熱せん妄” と異なっていた. せん妄を呈した症例の診断には経過や神経学的所見と合わせ積極的な脳波検査が必要と思われた.
著者
温井 めぐみ 九鬼 一郎 木村 志保子 服部 妙香 井上 岳司 岡崎 伸 川脇 壽 富和 清隆
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.5-9, 2011-01-01
参考文献数
14
被引用文献数
1

&emsp;Septo-optic-dysplasia (SOD) は視神経低形成, 視床下部性の下垂体機能低下症, 中枢神経系の正中構造異常を3徴とし, 2徴以上を満たす例を本症とする. 今回我々はSOD患児10例について画像的検討を行った. <br>&emsp;両側に視神経低形成を認めたのは6例で, 中枢神経系の正中部構造異常を認めた. 片側に認めたのは4例で, 同側または両側に皮質形成異常を認めた. これはSODの成因として血管破綻説を支持する所見と考えた. <br>&emsp;皮質形成異常を認めた4例中3例に<sup>99m</sup>Tc HM-PAO SPECT, <sup>123</sup>I iomazenil SPECTを実施し, 正常皮質と同等の集積を認めた. てんかん原性となりうる皮質形成異常では発作間欠期にはどちらも低集積となることが多く, SODに合併する皮質形成異常でてんかん発症率が低いこととの関連が推測された.
著者
大槻 則行 木村 清次 根津 敦夫 相原 雄幸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.318-322, 2000-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

インフルエンザウイルス感染に伴う急性脳症は一般的に予後が不良な例が多く, 従来の治療法では重篤な神経学的後遺症を残すことが多い. 今回, インフルエンザウイルス感染に伴って発症した急性脳症の2例に軽度低体温療法とステロイドパルスの併用療法を行った. 1例は中枢神経症状出現後の7日目に入院し, 顕著な脳浮腫および脳波の低電位化を認めたが死亡には至らず, 経口摂取可能の状態で退院できた. 他の1例は入院時に両側前頭部優位の皮質浮腫を認めたが治療の結果, 中等度の知能障害にとどまった. 上記の治療法は新たな一つの手段になると考えられた.
著者
栗原 まな 高橋 佳代子 小萩沢 利孝 山内 裕子 井田 博幸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.294-298, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
11

知的障害以外の症状が認められなかった時期より長期経過観察をした歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (DRPLA) の28歳女性を報告した. 本例の遺伝子診断に家族の了承は得られなかったが, 母と兄が剖検病理診断でDRPLAと診断されていたため, 頭部MRI・脳波・歩行分析・心理検査などを行いつつ経過を観察した. 頭部MRIでは10歳代後半より小脳萎縮が出現し, 脳波では14歳の初診時より全般性棘徐波複合が認められた. 臨床的には歩行障害とてんかんが発症した15歳をDRPLAの発症と考えた. 歩行分析では20歳代後半になって明らかな異常が認められるようになり, その後1年で歩行不能となった. 経過観察において歩行分析は有用なツールであった.
著者
児玉 浩子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.5-9, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

経腸栄養剤や特殊ミルク・治療用ミルクには, いくつかの必須栄養素がほとんど含まれていないものがある. 主なものとしては, エンシュア・リキッド®にはカルニチン, セレン, ヨウ素 ; エレンタール®にはカルニチン, セレン ; ラコール®にはカルニチン, ヨウ素 ; 牛乳アレルゲン除去ミルク・乳糖除去ミルク・MCTミルク・ケトンフォーミュラ・先天性代謝異常症用ミルクなどにはビオチン, カルニチン, セレン, ヨウ素がほとんど含まれていない. これらを単独で使用すると, 含有量の少ない栄養素の欠乏をきたすおそれがある. これら栄養剤・ミルクを単独で使用する場合は, 欠乏症に注意し, 必要に応じて補充することが大切である.
著者
林 安里 熊田 知浩 野崎 章仁 日衛嶋 郁子 宮嶋 智子 藤井 達哉
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.288-293, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
12

【目的】ケトン食療法中は微量元素が欠乏しやすい. しかし, 特殊ミルクであるケトンフォーミュラ (明治817-B) を使用したケトン食療法中の微量元素の欠乏に関する報告はない.  【方法】ケトンフォーミュラを用いたケトン食療法を行った6人における治療前と6カ月後の血清セレン, 亜鉛と銅濃度の変化を調べた. おのおのの1日摂取量を調べた.  【結果】セレンの血清濃度と1日摂取量は有意に低下した. 亜鉛と銅の血清濃度は有意には低下しなかったが, 1日摂取量は低下した.  【結論】ケトンフォーミュラを用いたケトン食療法中は血清セレン濃度が低下, セレン, 亜鉛と銅の1日摂取量の減少を認め, 定期的な評価と不足例での補充が必要である.
著者
伊予田 邦昭 満田 直美 小川 和則 岡崎 富男
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.401-406, 2004-09-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は6歳8カ月の男児.インフルエンザワクチン接種後16日目頃から, 一過性発熱, 頭痛などに引き続き, 歩行失調, 四肢筋力低下を来し入院した.髄液検査では髄膜炎および脱髄抗体を認め, fluid attenuated inversion recovery法によるMRIで脳白質に散在性高信号域を確認した.急性散在性脳脊髄炎と診断, ステロイドパルス療法により, 比較的すみやかに後遺症なく神経症状は軽快し, 単相性で予後は良好と考えられた.
著者
中村 好一 飯沼 一宇 岡 英次 二瓶 健次
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.316-320, 2003-07-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
13

わが国における亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) の疫学像を明らかにする目的で, 臨床調査個人票の解析を行った. 患者の重複を除外して, 125人 (男: 66人, 女: 59人) の臨床調査個人票を集めることができた. SSPE発病時の年齢分布は5~14歳にピークがみられた. 麻疹の罹患は109例で時期が明らかにされており, 80%以上が2歳未満で罹患していた. 麻疹罹患からSSPE発病までの期間の分布は5年から10年の問に集中していた. 平均は8.8年 (標準偏差=4.3年), 中央値は7.8年, 最短は2月, 最長は23.6年であった.
著者
山城 大 相原 正男 小野 智佳子 金村 英秋 青柳 閣郎 後藤 裕介 岩垂 喜貴 中澤 眞平
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.372-377, 2004

交感神経皮膚反応 (sympathetic skin response; SSR) は情動表出反応として出現することが報告されている.情動機能を評価する画像をオリジナルに作製し, これらを視覚刺激として呈示した際に出現するSSRについて健常小児と健常成人で比較検討した.小児では成人に比し高いSSR出現率を認めた.さらに, 不快な画像におけるSSR出現率は, 成人では生理的に不快な画像に比し暴力行為などの非社会的画像で有意に高かったが, 小児においては両者に明らかな差異を認めなかった.このことから, 小児期から成人にいたる情動的評価・意義の相違と変化は, 情動発達に伴う推移を示すものと思われる.情動の客観的評価に視覚刺激によるSSRが有用であると考えられる.