著者
高森 昭光
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、地球上で用いる地震計や傾斜計、地球観測用人工衛星で用いる加速度計(重力計)などの観測機器で必要とされるフィードバックのために光の輻射圧を利用する「光アクチュエータ」についての研究開発を行った。具体的には、数ワット程度のレーザー光源を用いることによって磁気浮上支持した小型回転体の姿勢制御が可能であることを示し、光アクチュエータが地球観測装置の参照マス制御手段として有効であることを明らかにした。
著者
田中 圭
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、「接着剤と棒状接合具を併用した木質構造接合法」とその類似の接合法において、既往の研究を整理した上で、樹種の違いや剛性の差異、使用する接合具の種類や径、使用する接着剤の強度特性の把握、縁距離や接合具間隔による強度性能への影響などについて、実験を行い、データを蓄積・整理を行った。また、接着剤依存型の接合法の性能評価方法及び設計用特性値の取り方について検討し、いくつかの新しい提案を行った。
著者
品川 優
出版者
佐賀大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,統計資料および農村調査を通じて,韓国で企業・団体がマウル(集落)と交流し農業・農村の支援活動をおこなう1社1村運動の実践実態とそこでの成果,および問題・課題について明らかにした。2008 年までに1社1村運動は7,309件おこなわれ,全体の経済効果は290億ウォンに及ぶ。こうした一定の成果をあげているが,民間企業が1社1村運動に参加しやすい環境づくりやマウルサイドの意識改革などの問題も抱えていた。
著者
田中 章
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

再生核ヒルベルト空間に対する標本化定理に関する理論的な解析を行った.具体的には,所与の再生核ヒルベルト空間と所与の標本点集合によって,当該再生核ヒルベルト空間に属する任意の関数が完全再構成可能となるための必要十分条件を与え,また完全再構成可能でない場合については誤差の上限を与えた.また,機械学習への適用を想定し,種々の再生核ヒルベルト空間の族に対して,標本点や採用する空間に対する解の挙動を理論的に解明した.
著者
岸 保行
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

台湾・香港・中国に進出した日系企業で働く現地人マネジャーたちは、日系ものづくり企業での長期の勤続を経て自らの地位を高めていた。多くの日本人スタッフとの協働体験や思い出を共有することで、日本人スタッフや日本の本社との信頼関係を構築させ、お互いの理解を増幅させていた。このような過程は、まさに日系企業内部における「第二次社会化(secondary socialization) (Berger & Luckmann 1966=1977)」の過程であり、Weick(1995=1999)のいう「センス・メーキング(sensemaking)」の過程そのものであった。
著者
北坂 尚洋
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

これまでの国内での議論や外国の立法の研究をもとに、離婚事件およびその他の家事事件の国際裁判管轄権の日本の基準について、立法提言をまとめることが本研究の目的である。研究初年度となる2009年度には、離婚事件、親子関係事件、相続事件等の家事事件の国際裁判管轄権に関するわが国の現状をまとめた。そして、研究最終年度となる2010年度には、前年度の研究をもとに、特に、アメリカ抵触法に関する概説書を翻訳して、アメリカ法の状況を明らかにしたほか、子の監護者等の変更の国際裁判管轄権や婚約破棄に基づく損害賠償請求事件の国際裁判管轄権に関する研究を進めた。
著者
河 かおる
出版者
滋賀県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、滋賀県の近現代史を、日本の一地方の歴史と植民地朝鮮との連鎖という観点から再検討するものである。本研究において、日本が朝鮮を植民地支配したことは、滋賀県の歴史の歩みにも深く影響を及ぼしていることを検証した。
著者
種村 雅子
出版者
大阪教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

物理を苦手とする教員志望の学生でも興味を持てるように科学史的方法を活用し, 低価格で作れる実験や科学館での教育実践を取り入れた小学校理科の教員養成カリキュラムおよび教育プログラムを検討し, 教育実践した。
著者
稲葉 奈々子
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

パリで住宅への権利運動を中心とした争議に参加する都市底辺労働に従事する移住労働者に対して聞き取り調査を行った。福祉国家型の社会統合機能が弱体化するなかで、貧困層の社会権行使は、当事者の当該社会での社会的地位を決定する重要な要素となる。フランスでは、労働運動など、かつて争議を担った主要な社会運動が衰退しており、労働者コミュニティも機能せず、貧困問題への対応が個人化する傾向にある。こうしたなかで1990年代以降活性化してきた社会的排除を争点とした新しい争議は、社会的排除社会といわれる現代社会における社会統合のあり方を考察する上で重要である。本調査では、争議への参加は、移民出身者の場合に出身コミュニティによる規定の度合いが大きいことが明らかになった。当事者のアイデンティティの準拠先が出身コミュニティにある場合には、フランスにおいて経験する社会的排除が、個人的責任として自己認識されない傾向にあることは、前年度までの調査で明らかになったことだが、今回の聞き取り調査では、職業や家族構成が与える影響についても聞き取りを行った。非正規滞在移民については、フランスでの争議の経験が、出身国に帰還したのちに及ぼす影響についても調査を行った。とくに争議の中心を担うマリ人について、バマコにおいて聞き取り調査を行った結果、フランスの出身コミュニティとのつながりを保ち続けているソニンケの場合は帰国後も社会統合が比較的容易であるのに対して、出身コミュニティと切り離されている者の場合、争議をへて獲得したフランスからの資源がまったく得られなくなり、マリにおいても社会的排除を経験していることが分かった。
著者
中村 素典
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

まずIPv6ネットワークの試験的利用環境を構築するために、学外のIPv6ネットワークとの接続を行なった。特に今後のマルチホーム環境に基づく通信の信頼性向上手法の開発および活用のため、WIDE、JGN、CKPをはじめとする複数のIPv6バックボーンネットワークとの接続を行い学内から利用できる環境を整えた。次に、キャンパス内で使用している電子メールサーバのIPv6への対応作業を実施した。学内で運用しているウィルスチェック機能つき電子メールサーバをIPv6対応にし、学内外とのメールのやりとりにIPv6も利用できるようにすることで、IPv6を利用しつつ安全な電子メール交換が可能となる。同時に、IPv4とIPv6を併用する際のDNSの管理方法について検討を行ない併用および移行の際の問題点の洗い出しを行なった。また、ネットワークの設定・運用状況を把握するための仕組みを構築し、キャンパスネットワークの日々の運用に利用できる体制を構築し評価を行なってきた。学内の1000台を越えるネットワーク機器の情報を集約して管理することで、各スイッチの管理運用状況を容易に把握できるようになった。さらに、近年頻度が増加している遠隔講義の安定化のための手法としてPath-Diversity技法に基づく方式を開発し、IPv4とIPv6の併用を含む複数の経路の同時活用によるネットワークの状況把握とストリーム伝送の安定化手法についても研究に取り組み、その有効性について確認した。
著者
佐藤 しのぶ
出版者
九州工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

癌マーカーとして期待されている蛋白質テロメラーゼは、DNAテロメラーゼ逆転写酵素, hTERT遺伝子)の異常メチル化と相関があると言われている。しかし既存のテロメラーゼ検出方法では高感度な検出ができず、相関関係が観察できなかった。そこで、本研究では電気化学的テロメラーゼ活性検出法と電気化学的遺伝子検出法によって、臨床サンプルのテロメラーゼ活性とhTERT遺伝子のプロモータ領域の5つのCpGサイトについてメチル化度合いを調べた。
著者
深澤 充
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、乳中のコルチゾル濃度とストレス刺激に対する個体差を明らかにすることを目的とした。乳中コルチゾル濃度に対する環境要因の影響を検討し、泌乳ステージの影響を受けることを明らかにした。ストレス条件下での行動特性と乳中コルチゾル濃度との関係を検討した。分娩牛を新奇群に導入した際の行動および同じ牛を乾乳後に隔離試験での行動では、行動反応と搾乳期中の乳中コルチゾル濃度との間に一定の関係が認められた。
著者
河口 充勇
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、世界的に知られるハイテク産業拠点、新竹市でのフィールドワークをともに、台湾における産業遺産の保存・活用の可能性を明らかにしようとするものである。調査成果をもとに、新竹市のハイテク産業の歴史的起源に関する一冊の本に出版するとともに、新竹市政府ならびに市民団体に対して産業遺産に関わる資料提供、アドバイスを行った。
著者
前川 一郎
出版者
創価大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、近年「ジンバブウェ問題」をめぐって先鋭化した「植民地責任」論と、これに対する戦後イギリス政府の対応とに着想を得て、イギリスの脱植民地化政策の特徴を明らかにすることである。本研究を通して、戦後イギリス政府が繰り返した植民地問題終焉論(「植民地支配の責任は終焉した」という言説)は、(1)戦後国際秩序における位置に拘泥されたイギリス政権中枢の国際社会観、その世界観に基づいた脱植民地化政策を反映したものであったこと、(2)それは同時にイギリス統治が植民地にもたらした負の現実やこれをめぐる記憶を封印する側面を伴っていたこと、(3)そうした経緯はそのまま過去に対するイギリス政府特有の歴史認識なり歴史観なりの表れと考えられることなどが明らかにされた。
著者
黄 盛彬
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、北朝鮮の新聞、放送、映画などのメディアにおいて、「日本」がどのように表現され、認識され構築され続けているのかを詳細に分析することによって、そのような「日本認識」が、北朝鮮の自画像=ナショナル・アイデンティティとは、どのように結ばれているのかを探ることにある。具体的な研究課題としては、第一、北朝鮮の主要なメディアにおける「日本関連表現」を可能な限り収集し、その量的な推移およびそこに表われている認識の変遷を探る、第二、その「日本認識」を鏡とする「自画像=ナショナル・アイデンティティ」の推移、変遷について考察することにある。本年度においては、第一、日本内外の北朝鮮及び日本関連の研究動向をレビューする作業を引き続き展開した。とりわけ、海外において日本論が再び関心を集める中、日本論及び日本イメージの諸研究のレビューを行いながら比較分析に取り組んだ。また、北朝鮮の核実験で世界の関心が集まってきたなかで、ジャーナリズムにおける北朝鮮論にも注目し、幅広く最新の資料を収集した。また、核実験、その後の6者協議に至る過程のなかで、北朝鮮のメディアがどのような日本に関する報道を行っているかについても分析した。第二、昨年度の調査に続き、『労働新聞』の記事分析に取り組んだ。また、日本国内で発行されている『朝鮮新報』も分析対象に加え、日本関連記事を集め、分析作業に取り組んだ。また、関連作業として、NHKと各民放テレビのニュース番組を録画し、内容分析を行っている。昨年度の戦後60年関連の「靖国問題」「反日」をめぐる報道内容の研究及び北朝鮮における報道などとの比較に引き続き、今年度も同様の観点からさまざまな比較分析を試みた。研究成果の公表については、現在、出版の編集作業が進行中であり、2007年度中には公表出来る予定である。また、2007年度中に内外の学会などで積極的に報告を行い、海外の研究者との国際学会でのパネルなども実現したい。
著者
長沼 圭一
出版者
愛知県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

2009年度は、フランス語において通常は冠詞付きで現れると考えられる形容詞を伴う名詞句が属詞位置に無冠詞で現れる例について考察を行い、拙論(2010):「フランス語における属詞位置に現れる形容詞付きの無冠詞名詞について」としてまとめた。2010年度は、フランス語において通常はDEという形が現れる否定文の直接目的補語の位置に現れる不定冠詞UNを研究対象とし、拙論(2011):「フランス語における否定文の直接目的補語として現れる不定名詞句UN Nについて」としてまとめた。
著者
小野 善生
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果としては、まず、フォロワーの視点に基づいて最新のリーダーシップ研究を渉猟し、その動向と課題および今後の展望について4本の研究論文を上梓した。次に、実証研究に関しては、既存のI.S.T社フィールドワークによる事例研究の論文を1本、東海バネ工業株式会社の事例研究の論文を1本。さらに、現在分析中であるが、フォロワーシップ行動とフォロワーが有する時間展望の関係性を調査した定量的研究がある。また、これらの成果を広く社会一般に普及させるために、2冊の一般書を公刊することができた。最後に、学会発表については、リーダーシップに関する共同研究によるもので海外での発表が2回、国内学会の発表を1回行った。
著者
齋藤 孝道
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

昨今のCPUアーキテクチャの多様化の中で,コア内に暗号処理を専ら行うモジュール(以降,暗号モジュールと呼ぶ)を持つプロセッサがいくつか登場した.この種のプロセッサでは,暗号処理以外の処理は汎用モジュールで行い,処理速度の要求される暗号処理は暗号モジュールで行うことにより,プロセッサ全体で処理速度の向上を狙っている.しかしながら,既存のソフトウエアの多くは,この種のプロセッサ向けに設計されておらず,一般的に,暗号モジュールを活用するためにはソフトウエアを改修するなどの処置が必要となる.本研究では,コアの中に暗号モジュールを一つ持つプロセッサにおいて,暗号ライブラリの処理の一部を透過的に暗号モジュールへオフロードし暗号処理を行う仕組みを提案し,その実装と評価を行い,効果があることを確認した.
著者
菱本 明豊
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

現在、日本国内で社会問題となっている自殺行動の生物学的機序を解明し、自殺予防のための治療モデルを開発する為に、我々はストレス反応を主に制御するHPA axis(視床下部-下垂体-副腎皮質系)関連遺伝子に着目し自殺との関連解析を行った。我々はFKBP5遺伝子の特定のハプロタイプと自殺に有意な相関を認め、自殺行動には遺伝的脆弱性が関与していることを明らかにした。さらにALDH2、NOS1遺伝子と自殺、NOS1遺伝子と統合失調症との有意な相関を認めた。これらの知見より自殺行動のバイオマーカーとしていくつかの遺伝子変異が利用できる可能性があることを示した。