著者
井上 耕治
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

レーザー3次元アトムプローブを用いて、MOS構造におけるドーパントの3次元空間分布やhigh-kゲート酸化膜構造について調べた。MOS構造やhigh-kゲート酸化膜構造の3次元アトムマップを得ることができた。ドーパントの種類による違い(ドーパントの偏析の有無やゲート酸化膜への侵入の有無)について明らかにした。high-kゲート酸化膜構造については傾斜構造を得ることができたが、今後詳細について検討していく。
著者
望月 茂徳
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

コンピュータ映像処理のみならずセンシングデバイス、ユビキタス技術などを包括する先進的なデジタル技術を基盤とした芸術表現であるメディアアートの制作手法をマルチモーダルでインタラクティブな乳幼児向けのデジタル玩具開発へと応用することにより、乳幼児が自発的な身体運動を引き起こすと同時に養育者が高い関心をもって育児を行えるようなデジタル玩具開発方法とその役割について知見を得ることができた。
著者
岡本 肇
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、市民版マスタープラン(以下「市民版MP」)を従来の提案手法としての活用だけでなく、市民自身のマスタープランとしての市民版MPの作成・活用方法を探求する研究である。研究成果として、既に市民版MPが作成されている13事例に対する調査による市民版MP作成後の活用の評価や、現在作成中の市民版MPの作成プロセスへの観察調査の分析によって、市民版MPが様々なまちづくりの場面で市民自身のマスタープランとして活用できうることを実証した。
著者
坂野 秀樹
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.補間方法の評価・検証音声補間の応用の一つである音声モーフィングは、通常、異なる話者間の補間を行うが、話者間の音声特徴量の違いが大きいため、劣化も大きい上、劣化の原因も特定しづらい。そこで、本研究では、異なる話者間に比べて難易度の低い、同一話者・同一発声におけるモーフィングについて検討し、問題点を明らかにしてきた。特に、同じ発声内容でもスペクトルや基本周波数の変化に富む感情音声並びに、テンポや音程が保たれているため話声よりも扱いの容易な歌唱音声の補間・モーフィングについて検討している。今年度は、より広範なデータを用いての補間方法の検討・評価を行った。特徴点の設定方法を検討する中で、我々は声道断面積関数を利用したスペクトルの補間方法に関する手法を開発した。更なる高品質化のためには、より詳細な検討が必要であるが、極めて柔軟な補間が可能な手法となり得ることが確認されている。2.音声補間を利用したシステムの構築デモシステムの構築及び評価を行った。感情モーフィングを利用した中間的な感情を生成するシステム、入力歌唱音声のテンポを変更して合成するシステム、入力した音声のスペクトル及び基本周波数を実時間で変換して高品質な合成を行う実時間声質変換システムなどを構築した。特に、実時間声質変換システムについては、主観評価実験等による評価を行った結果を論文として投稿し、採録が決定している。このシステムに用いられている分析合成部分では、高品質音声分析合成方式であるSTRAIGHTをベースとしたものを用いているが、高速化や様々な工夫の導入により、実時間処理が難しいと言われていたSTRAIGHTの実時間処理を可能としている。この分析合成部分の評価を行った所、元のSTRAIGHTに比べれば劣化するものの、既存の分析合成であるケプストラムボコーダに比べて主観評価値のMOSにおいて1程度の品質向上が見られている。
著者
西田 究
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

USArray,F-net,IRIS,ORFEUSの広帯域地震計データの大量のデータを用いることにより、グローバルに伝播する実体波の抽出に成功した。今後速度構造の時間変化を研究する上でも重要な知見である。海底地震計の自己相関により、東北地方太平洋沖地震に伴うS波速度の低下およびその後の回復、また異方性の時間変化を検出した。浅部の堆積層内が地震時に強く揺すられた事により、これらの現象を説明することが出来る。防災科学研究所のV-net観測点(岩手山)の上下アレーデータを用いて相互相関解析をしたところ、地震にともなう速度の低下と、それに続く地震波速度の回復を検出した。
著者
三井 慶治
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、あらゆる生物が生きてゆく上で必須な細胞内イオン環境(特に細胞内pHとNa^+濃度)の制御機構を、その中枢に位置するイオン輸送蛋白質(Na^+/H^+交換輸送蛋白質)のイオン輸送メカニズムや制御メカニズムを分子レベルで明らかにすることである。平成19年度は、出芽酵母Na^+/H^+交換輸送蛋白質に結合し、その活性を制御しうる蛋白質分子を探索した。その方法としてNa^+/H^+交換輸送蛋白質の細胞質ドメインをベイトとしたYeast Two-Hybrid法による探索を試みた。Yeast Two-Hybrid法により内膜型Na^+/H^+交換輸送蛋白質の細胞質ドメインに結合する因子を出芽酵母cDNAライブラリーから探索した。その結果、陽性クローンとして複数のクローンが単離できた。そのなかで、非常に強い相互作用が予測されるクローンからMTH1遺伝子が同定された。また、大腸菌において発現させ精製した内膜型Na^+/H^+交換輸送蛋白質の細胞質ドメインとMTH1蛋白質が直接相互作用することを確認した。これらのことから、出芽酵母に内膜型Na^+/H^+交換輸送蛋白質と相互作用しうる因子が存在し、これらの因子が内膜型Na^+/H^+交換輸送蛋白質の機能を制御していることが示唆された。
著者
神津 武男
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

「浄瑠璃本じょうるりぼん」とは、「人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり」の台本・脚本をさす。中でも本研究課題が研究対象とする、最後に興った流派「義太夫節ぎだゆうぶし」の浄瑠璃本は、単に演劇台本であるに留まらず、読み物としてひろく流通した。江戸時代の文学書(出板物)で日本全国に現存・伝来するものは、浄瑠璃本に限られる。膨大な点数の残る浄瑠璃本を基礎資料として、近世後期人形浄瑠璃史の欠を補う。
著者
BOYD James Patrick
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究成果として、1)戦後日本のナショナリズムの要素となる40個のコードを記載するコーディング・マニュアルの作成、2)戦後首相の所信表明・施政方針演説、そしてこの演説に対する最大野党代表の質疑と大手新聞社3社の社説のデータベース化(収集・電子化・整理)、3)コーダー間の信頼性を確認するデータベースのコーディング結果などがあげられる。
著者
今 一義
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度の研究では、インスリン抵抗性のモデルマウスであるKK-A^yマウスを用いて、アセトアミノフェン誘導肝障害がインスリン抵抗性マウスで増悪し、肝細胞におけるROSの産生増強がその増悪メカニズムに深く関与していることを示した。そこで、今年度ではアセトアミノフェン肝障害増悪メカニズムの詳細な解析と、肝細胞の脂肪沈着とアセトアミノフェン肝障害増悪の関連についての研究を行った。in vivoの検討では、KK-A^yマウスの肝臓ではアセトアミノフェン処置後のJNK-2の活性化が著明に亢進しており、肝細胞壊死の亢進に関与したことが明らかになった。肝細胞の脂肪沈着については遊離脂肪酸の影響に注目し、初代培養肝細胞に遊離脂肪酸を添加してROSの産生メカニズムに対する影響を調べた。その結果、遊離脂肪酸によって前処置を行うと肝細胞の細胞質内に脂肪滴が沈着し、tert-butyl hydroperoxide添加による肝細胞壊死およびROS産生が増悪した。今回の研究により薬物性肝障害の発症・増悪におけるインスリン抵抗性の関与とそのメカニズムの一端が解明され、ひいては薬物性肝障害の発症予防・早期治療におけるターゲットとしてインスリン抵抗性に伴うシグナルの変化が重要であることが示された。また、肝細胞脂肪沈着によるROS産生刺激に対する感受性の亢進は非アルコール性脂肪性肝炎の発症・進展にも関与している可能性があり、メタボリックシンドローム関連の肝障害全般のメカニズム解明にも関連しうる結果と考えられた。
著者
櫻井 豪人
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

幕末の洋学研究教育機関である開成所が刊行した英和辞典や西洋語対訳単語集について、編纂方法や収録語の諸相を新たに明らかにした。例えば、刊本として日本初の英和辞典である『英和対訳袖珍辞書』(1862年刊)については、2007年に発見された草稿を分析することにより、底本のPicard英蘭辞典以外にHoltrop・Hooiberg・Bomhoff・Weilandの英蘭辞典類も利用して訳語が導き出されていたことを指摘した。また、蘭日辞典『和蘭字彙』(1855-58年刊)の日本語部分の全てを電子テキスト化することにより、『和蘭字彙』に見られない『英和対訳袖珍辞書』の訳語の例を示すなどの成果も得られた。
著者
池本 大輔
出版者
明治学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

イギリス政治研究においては、戦後政治をケインズ主義にもとづく「戦後コンセンサス」の時代とマネタリズムにもとづく「ネオリベラル・コンセンサス」の時代とに区分し、サッチャー政権を前者から後者への変化をもたらした政権として位置づける解釈が一般的である。本研究は、国際通貨制度や国際資本移動への態度に代表される「対外経済政策」に着目することで、新しい解釈を提示する。この解釈によれば、1970年代のヒース政権やキャラハン政権は通説がいうような過渡期ではなく、「戦後コンセンサス」とも「ネオリベラル・コンセンサス」とも異なる独自の政策を実行した時期であったと位置付けられる。サッチャー政権の革新性は、両政権との対比によってはじめて明らかになるだろう。
著者
西井 匠
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は自転車のサスペンションが中高齢者の走行安定性におよぼす影響を明らかにすることであった。実験ではサスペンションの有無を設定できるシティサイクルを用い、歩道走行を想定した段差(3cm, 5cm)を乗り越えさせた。その結果、サスペンションなし条件では最大で約12Gの衝撃があったが、サスペンション設定によって6〜63%の衝撃緩和効果があった。その衝撃吸収効果により、ハンドル操作に関係する筋を過度に緊張させない効果もあった。
著者
大島 裕明
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本課題では、リアルタイムに知識発見を行う技術の開発を行った。主に、2つの異なる方向性を持つ構文パターンを用いてWeb検索を行い、その検索結果のテキストから効率的に目的の知識を獲得する手法を用いて、様々な知識発見手法を開発した。様々な種類の知識を発見するために、適切な構文パターンを発見する手法についても開発した。さらに、様々な知識発見手法を用いたアプリケーションの作成を行った。
著者
角本 法子
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

造血幹細胞移植を受ける小児を対象として3DSを応用した口腔除菌プログラムを開発し適用したところ,口腔内の細菌数を減少させ,それを維持することができた。また口腔粘膜の状態にも改善が見られたことから, 3DSが患児の全身的感染予防とQOLの向上に寄与できる可能性が示された。
著者
井土 愼二
出版者
愛知県立芸術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究を通して得られたタジク語音声とウズベク語音声の分析によって、両言語の接触地域において母音音素体系の収束がおそらく起こっていること、そしてこの収束がおそらくタジク語の母音連鎖推移に干渉していることが明らかになった。
著者
谷池 俊明
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

不均一系Ziegler-Natta触媒を用いたオレフィン重合の化学を完全解明すべく、TiCl_3/MgCl_2モデル触媒を主体とする実験科学と密度汎関数計算に基づく計算科学を相乗的に組み合わせた網羅的検討を行った。本研究の結果、鍵成分であるドナー化合物の活性点への作用機構を描写する「共吸着モデル」という、高性能触媒の設計指針を分子レベルで与える新規モデルの提案に成功した。
著者
本田 亜紀子
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

骨と運動特性(力学的負荷)の関連を検討するため、トップアスリートを対象にMRIを用いた大腿中央部の骨形態および力学的指標の解析と骨代謝マーカーを測定した。力学的負荷の相違から、アスリートを5群に分けた。その結果、男女とも骨に加わる衝撃が高い群ほど低い群と比較して、皮質骨面積や皮質骨外周囲が増加し、力学的指標が大きいことが明らかとなった。一方、骨代謝マーカーには群間の差はほとんどみられなかった。
著者
坂田 五月
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、ゴム製湯たんぽと電気毛布の違いによる保温と安楽の効果を、性別に注目して比較検討した。研究の同意を得た健康な成人17名(平成13年度は9名、平成14年度は8名)を対象に2種類の温罨法を実施し、生理学的指標、主観的評価、寝床気候の変化を検証し、以下の結果を得た。1.ゴム製湯たんぽの足趾の皮膚温・皮膚血流量・冷感は、電気毛布より早期に改善し、実験の60分以降でほぼ平衡状態を保った。また、迷走神経活動を亢進させ交感神経活動を抑制する傾向がみられ、これらの結果は平成13年度のものと一致していた。男女の比較では、ゴム製湯たんぽの足趾の皮膚温・皮膚血流量・冷感・口渇感・快適感に性別による相違は認められなかった。2.電気毛布は足趾の皮膚血流量(p<0.01)、全身温冷感(p<0.01)に性別による相違が認められ、25分以降で女性が男性よりも高値となった。また、全身温冷感は120分間を通して男性の方が高値であった。しかし、ゴム製湯たんぽと同様に、足趾の皮膚温・口渇感・快適感では性別による相違が認められなかった。3.温罨法を実施しないコントロールでは、足趾の皮膚温(p<0.01)および皮膚血流量(pく0.01)、口渇感(p<0.01)、快適感(p<0.05)に有意差が認められ、それぞれの120分値は女性の方が男性よりも高値となった。電気毛布の継続的使用による交換神経活動の亢進、ゴム製湯たんぽの安楽の効果については、平成13年度の結果と一致していた。これに加えて、本研究で得た性別に関する結果も、看護者が温罨法の器具を選択する上で有効な基礎的資料と成りえる事が示唆された。