著者
藤田 昌史
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

晴天日における流入下水や生活廃水中のLAS濃度の日内変動を調べたところ、下水中の界面活性剤の主要な起源として、洗濯廃水が考えられた。そこで、界面活性剤としてLASを含む洗濯洗剤に着目し、ポリリン酸蓄積細菌群(PAOs)の有機物摂取に及ぼす影響を調べた。その結果、界面活性剤がPAOsの酢酸摂取効率を悪化させることに加えて、PAOsの潜在的なPHA源として利用されることが確認され、PAOsに対して正と負の影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
内田 昌功
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

秦漢期から唐代にかけての都城について、主として東西軸構造に注目しながら、空間構成の変化とその意味について検討した。従来、不明な点の多かった北周の長安の空間構成を復元し、漢唐間における都城史の展開の中に位置づけ、その画期性を明らかにした。また曹魏の業や北斉の業、あるいは北魏の洛陽からの影響が重視されてきた隋唐長安の形成について、北周の長安が直接の前身であるとする理解を提示した。
著者
正木 喜勝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、1925年から1930年まで東京で活動した劇団「心座」の実態を、「上演」という側面から考察した。具体的には、村山知義や舟橋聖一の上演作品の再構築を実証的に行い、彼らと歌舞伎俳優が近代劇という場で接触することで、いかなる問題があらわれたのかということを考察した。同時に、当該の上演が依拠する創作理念の複合性についても明らかにした。長らく等閑に付されてきた心座をこうした文脈において「再発見」したことは、これまでの近代日本演劇研究に新しい視座をもたらすものといえる。
著者
新井 陽
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

L-dopa誘発ジスキネジア(LID)の発症機序の解明と対策の確立のため、パーキンソン病モデルラット(PDラット)とLIDモデルラット(LIDラット)の淡蒼球内節でin vivoマイクロダイアリシス法によりGABAを測定した。LIDラットではPDラットに比較して淡蒼球内節でのGABA放出が増加していることを確認した。またPDモデルの淡蒼球内節にGABAA受容体アゴニスト(muscimol)を注入することによってジスキネジアを誘発されることを確認した。さらにL-dopaを投与したLIDモデルラットの淡蒼球内節にGABAA受容体アンタゴニスト(bicuculline)を直接注入することによってジスキネジアがを抑制されることを確認した。以上の結果より淡蒼球内節へのGABA放出異常がLID発現の原因であると考えられた。
著者
大西 剛
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究計画では1)単結晶基板表面上の分子層ステップの形状と密度を制御した上で、2)ヘテロエピタキシーと電界効果トランジスターへの応用、そして3)界面修飾による低次元導電層の形成を行う予定であった。テンプレートとなるSrTiO_3単結晶基板表面の分子層ステップの密度を制御する上で必要なSrTiO_3ホモエピタキシーをPLDにて行うに当たり、レーザーによる原料蒸発時にSr/Ti比がずれることが明らかとなると共に、それが分子層ステップの形状(ファセットの有無)を支配することがわかった。理想的なホモエピタキシーにはアブレーション条件を正確に制御し、Sr/Ti比が1となるようにすることが必要である。次に、そうして得たホモエピタキシャル薄膜が堆積された基板がなぜか導電性になってしまうことがわかった。これは真空中のPLDによるSrTiO_3薄膜の堆積によって、堆積した薄膜はもとより基板が酸素欠損していることに寄ることを突き止めた。詳細な実験の結果、導電性は酸素欠損した薄膜よりも酸素欠損した基板が担っており、薄膜が基板から酸素を引き抜いていることによることがわかった。この現象は酸化物薄膜であれば堆積する材料にはあまり寄らず、真空中でPLDによって薄膜を形成する際に避けられない現象であることがわかった。このSrTiO_3基板からの酸素の引き抜きをアブレーション条件、酸素分圧、基板温度を制御することで液体He温度で40,000cm^2V^<-1>s^<-1>を超える高移動度2次元導電層が作製できることがわかった。またこれらの導電性を表面形状を崩さすに消し去るには大気中での低温アニールが有効であることを突き止めた。
著者
井原 基
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、タイ東北地方のウボン・ラーチャターニーにおけるハイパーマーケット進出が、地域経済、特に地域の消費者及び流通業者にどのような影響を及ぼしつつあるのかを調査した。人口約10 万人のウボン市街地におけるハイパーマーケット(類似業態であるC&C 含む)進出店舗数は3 店に上り、これらの同地域の市街、流通、消費に与えた影響は広い範囲に渡っている。流通業者の廃業は統計上では必ずしも明示されなかったが、アンケート調査やインタビュー、視察などの定性的調査から、一部では共存可能な状況にあるものの、個人商店の事業機会圧迫と中心市街の空洞化という影響を与えつつあることが示された。消費に関しては、必ずしも高所得ではない世帯月収5000 バーツ以上(年収約5400 ドル以上)のほとんど(85.7%)がハイパーマーケットでの購買を実際に行っており、ハイパーマーケットが同地域のボリュームゾーンの顧客層を捉えていること、さらに典型的な顧客のプロフィールとして子供のいる家族、若年層、耐久消費財の購入や自家用車の利用の進捗、住宅・医療等基盤インフラへの支出の少なさ等が明らかになった。
著者
岡村 和明 NIZAMUL Islam
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、既婚女性を対象にある時点での正規労働、非正規労働の経験がその後の働き方に及ぼす効果を検証した。その結果、既婚女性自身の観察されない特性およびランダムな要因等を明示的にコントロールした場合でも、正規労働、非正規労働双方において、ある時点での仕事経験が同じ形態の仕事を経験する確率を高めることが明らかとなった。この結果は、仕事経験の内容が既婚女性自身の能力および選好に長期的な影響を及ぼすことを示唆している。
著者
黒瀬 智之
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

炎症性サイトカインの発現と関係のあるNF-κBや、HIF-1α、酸化ストレスを起こすNOS(nNOS、iNOS、nNOS)の発現をリアルタイムPCRで調べたところ、iNOSのみ著しく増加した。INOSを阻害することで酸化ストレスを抑制すれば、褥瘡の発生を抑えるかもしれない。圧迫を繰り返した臨床的な褥瘡モデルでは、1回の圧迫よりも炎症性サイトカインが増加していた。炎症性サイトカインの重要性のさらなる裏付けとなると考える。
著者
大向 吉景
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

水処理用中空糸膜の製造において、膜の固化速度は製造コストに直結する重要な検討項目である。本研究では、代表的な製膜法である熱誘起相分離(TIPS)法と非溶媒誘起相分離(NIPS)法について、膜の固化速度に影響を及ぼす因子の探索とその制御を試みた。TIPS法では、結晶化温度が固化速度と相関を持つことを明らかにした。同じ高分子/溶液系であっても、非溶媒を添加して相図を変化させることで固化速度の向上が可能であった。NIPS法では、接触式強度測定装置を用いて膜強度の経時変化を実測し、溶液組成の影響を検討した。その結果、溶液粘度はあまり影響を示さず、溶液の親水性が非常に重要な因子であることを明らかにした。
著者
竹下 香寿美
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は,様々な周期で運動を行わせたときの筋線維と腱組織の長さ変化及び関節角度との関連について異なる負荷条件下において検討した.被検者は,健康な成人男性7名(平均23.1、±2.4歳,身長170.8±6.6cm,体重64.9±9.2kg)であった.踵を上げた状態から踵を下げ,その後すばやく元の位置に戻すという足関節底屈〜背屈〜底屈という一連の動作を連続して行わせた.運動はすべて角度を変化させることができるスレッジ台上で行い,運動時の負荷条件を変化させるために床面とスレッジ装置の角度は30°または60°となるように設定した.被検者が足を載せる部分に床反力を測定するためのフォースプレートを設置した.運動周波数は,1Hz,2Hz,3Hzとし,運動の頻度を規定するためにメトロノームの電子音に運動を合わせるように指示した.床反力と同時に足関節及び膝関節角度変化を測定するために被検者の右側方よりハイスピードカメラで撮影した.また,超音波診断装置を用いて運動中の腓腹筋内側頭の超音波縦断画像を取得し,筋束長,羽状角を計測した.腓腹筋内側頭,腓腹筋外側頭,ヒラメ筋,前脛骨節より表面筋電図を導出し記録した.本研究の結果,運動時の筋-腱複合体の長さ変化に対する筋束長の長さ変化の割合は,スレッジ台30°試行では,1Hzに対して2Hz,3Hzともに長さ変化の割合が低くなり(p<0.05),一方,スレッジ台60°試行においては運動頻度が高くなるにつれて長さ変化の割合が有意に小さくなった(1Hz vs 2Hz:P<0.05,2Hz vs 3Hz:P<0.01)ことから,周期的な運動を様々な頻度で実施する場合,筋-腱複合体の働き,すなわち,筋の力発揮及び腱組織の弾性体としての働きの兼ね合いは,運動時の負荷条件が異なることにより至適に働く周波数が異なることが示唆された.
著者
佐野 尚美
出版者
県立広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、ラットを用いて、栄養状態が肝臓におけるアルブミンの代謝動態に与える影響を検討した。低蛋白質食群のアルブミン値は高蛋白質食群、標準蛋白質食群より低値を示したが、肝臓での合成量は低蛋白食群が最も多かった。高蛋白質食群と標準蛋白質食群のアルブミン値はほぼ同レベルであったが、それらの代謝動態は異なっていた。栄養状態を正確に把握するためには、ある一点の値を評価するだけでなく、代謝動態を動的に評価することが重要であると考えられた。
著者
竹内 勇剛
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,知的人工物と人間との日常的な生活環境の中での自然なコミュニケーションの実現を目指し,知的人工物の知性と身体性に対する人間の認知的姿勢に基づいた適切なコミュニケーション環境モデルを提案することを目的とした.そこでまず,様々な状況におけるコンピュータやエージェントの一般的な利用場面を通して,それらの知性と身体性がどのような認知的姿勢のもとでそれらと人間との間の社会的なインタラクションに寄与しているかを検討した.この際,心理学的手法を用いた実験に対して統計的な分析を行なうことで,より定量的な視点での考察が可能になる.その結果,人間はアバターのように背後に実在する人間が操作しているような対象に対して,設計者が想定するように「アバター」として機能していることを基盤とした反応をせずに,インタラクションの実際の対象となっているアバターの像そのものに,人格性を帰属させた対人的反応を示すことが明らかになった.すなわち,人間はたとえ仮想的で実体を伴わない人工物であっても,その振る舞いが知的であると認知されると,そこに独立した人格性を帰属させ,背後にある様々な"仕組み"も対面している人工物自身の機能として認知してしまう反応をするのである.さらに,仮想的な身体を有した人物像との対話場面において,人間はその人物像のもつ身体的機能(視認・聴取・口述)を自然なものとして認知し,たとえば画面上に表示された人物像に対して,直接手にとったものを見せたり,話し掛けたり,人物像が発する音声が聞き取りづらいときに画面に近づいて耳を傾けるなどの間身体的反応が観察された.これらのことは,Reeves & Nass(1996)で主張されているMedia Equationパラダイムに基づく人工物とのインタラクションモデルを実証的なデータにも基づいて支持するものであり,ロボットなどの実体を伴った人工物とのインタラクションと仮想的な身体をもった知的人工物との特別な心理学的差異は存在しないことを示唆するものとして意義深い成果となった.
著者
溝口 紀子
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、フランスのメディア・スポーツ、スポーツ・ジャーナリズムにおける社会的背景や歴史的変遷を明らかにし、商業的な放映権とスポーツ団体の利益を擁護しながらも、「公共放送」の重要性を認め、どのようにメディア・スポーツ文化を構築していったのかを検証した。さらに、フランス人と日本人のメディア・スポーツ関係者による公開シンポジウムを開催することで、公共性やグローバル化の中における現代のメディア・スポーツの実像を明らかにし、メディア・スポーツのアイデンティティやスポーツ・ジャーナリズム、メディア・スポーツ文化について考察した。
著者
大西 領
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

定常等方性乱流場を実現するための効率的な強制法と、その強制法を組み込んだ大規模並列二相乱流シミュレーション法の開発を行った。実際にスーパコンピュータをも使った大規模並列計算を実行し、テイラーマイクロスケール基準乱流レイノルズ数Re_λが340という高いレイノルズ数における慣性粒子の衝突頻度データを得ることに成功した。得られたデータを使って既往の衝突頻度予測モデルの検証を行った結果、既往モデルは高レイノルズ数の時に乱流衝突頻度を過小評価することを明らかにした。
著者
森尾 吉成
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では, 農作業者の行動に合わせて必要な支援を提供するシステムとして, 1)屋内外に関係なく作業者の追跡を容易にする専用作業服の開発, 2)作業者の抽出, 姿勢角の検出, 絶対位置の検出を行う画像処理システムの開発, 3)確率モデルに学習させた作業行動の認識システムの開発, 4)作業に有用な情報や作業動作のリズムを, 映像や音声の形式でタイミング良く提供するシステム, の4つのシステムを開発した.
著者
新原 寿志
出版者
明治国際医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

開業鍼灸院を対象としたアンケート調査の結果から、安全対策について十分に周知徹底されているとは言えないこと、開業鍼灸師の(社)日本鍼灸師会や(社)全日本鍼灸学会への所属率は低いことから、卒後教育を効率的に実施することは困難であることが示唆された。鍼灸師の養成機関を対象としたアンケート調査では、安全教育において指導内容に差があることが示唆された。これらの結果から、鍼灸の安全性に関する卒後教育および学校教育の質の向上に向けた新たな取組みが必要であると考えられた。
著者
石田 あゆう
出版者
桃山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は、昭和30年代に起きた、女性たちを取り巻く雑誌メディアの変容について考察した。1941年、戦時の用紙統制から女性雑誌の統廃合が起き、その際形成された女性雑誌の出版体制は戦後に引き継がれた。新雑誌の創刊もあったが、女性雑誌では、戦前から続く婦入雑誌の人気は変わらず、女性雑誌の中枢を担っていた。つまり昭和45年以後の「新しい」タイプの女性誌『anan』『non-no』創刊までは、長らく四大婦人雑誌の時代として語られるのが通説であった。だが、昭和45年=1970年代以前と以後とで比較してしまうと、昭和30年代のBG(OL)を中心とする「若い女性」のための新雑誌の登場現象を見逃してしまう。それは、テレビが普及した時代でもあり、「テレビ雑誌」と呼ばれるビジュアル重視の女性誌が新しく考えられるようになった時代であった。雑誌のビジュアル重視の傾向は、「若い女性」たちを読者として意識することでより高まる。女性誌メディアは、「若さ」を意識してその情報内容のみならず形式的にも変化を遂げ、昭和20年代とは一線を画す新しい雑誌となっていった。その影響は、とくにファッション情報をめぐって顕著であり、女性の生活の一部としての「洋裁」が、ジャーナリズムへと組み込まれていくことになった。女性向け雑誌メディアの歴史では、昭和30年代はこれまであまり注目されていなかった。しかし、1970年代以降の新女性誌の傾向として指摘されるビジュアル化は、すでに昭和30年代に進んでいたのみならず、女性向け雑誌の世界が「若い女性」を想定するようになったことで、より「見た目」を重視する感性のメディアとなっていったことは、女性が牽引する公共圏を考える上で、大きな変化の時代であったといえるだろう。
著者
須藤 直人
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

植民地宗主国からではない、太平洋の島々から見た太平洋世界の表象における、日本文化のかかわりと意義を明らかにした。南洋群島ミクロネシアを訪れた中島敦は島の人々の世界観を問題とし、ハワイの日系人作家達はローカルな世界観を描くハワイ文学の中心にいる。南太平洋を代表する作家であるサモア出身のアルバート・ウェントやハワイ作家達は日本文化に注目する。こうした新しい表象を試みる作家達は、白人と黒人の問の恋愛・結婚・混血に関する伝統的な物語を様々に書き換えており、本研究はその系譜と意義を示した。
著者
吉野 和芳
出版者
神奈川工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

ビデオ映像処理による球技のコーチング支援を目的として,本年度は,ハンドボールゲームにおける攻撃時のフォーメーションに主眼をおき,シューターへ最終パスを送った選手をラストパッサーと定義し,ラストパッサーの動きに注目して攻撃フォーメーションの分析と評価を行った.具体的には,本年度の成果は次の2点にまとめることができる.1.選手同士の位置関係によるフォーメーションのモデル化と分類ラストパッサーがボールを受けたときとパスを送ったときの2時刻におけるラストパッサーのコート上の位置の変化により,攻撃フォーメーションを分類した.位置の変化は,ハンドボールコートを19の領域に分割し,それら領域の変化として定性的に表した.また,それぞれの時刻におけるラストパッサーと敵チームの選手との距離の総和の比率を引きつけ率として定義することで求め,ラストパッサーの動きの有効性という観点から攻撃フォーメーションの評価を行った.チームレベルが異なる3チームを敵チームとして,それぞれ同様の評価を行ったところ,チームレベルと評価値において相関がみられたことから,チームのディフェンスレベルの評価への利用も期待できる.2.オフェンスのパスワークによる攻撃パターンの分類チームの攻撃パターン特徴を検出するため,ラストパッサーの位置とラストパッサーからシューターへのパスの方向によって攻撃パターンの分類を行った.得られた攻撃パターンの割合からチームの攻撃特徴を推測した結果,分析対象としたチームの特徴と一致したことから,本手法による分類の妥当性やチーム分析への有効性が確認できた.
著者
櫻井 智穂子
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、日本の医療機関における患者相談窓口を中心とした、患者とその家族の意思決定支援システムの現状を明らかにし、患者と家族にとって有用な意思決定支援システムのあり方を検討することである。本研究では、徳に、患者の診療過程にわたって接する機会の多い看護職者の役割に焦点をおく。平成17年度に文献検討を行った結果に基づき、平成18年度は訪問調査の対象医療機関を選定し、調査を実施した。医療機関は、中部地方にあるある総合病院で、対象者は、患者相談窓口を10数年に渡り担当している専任看護師である。研究者が医療機関に出向き、普段患者相談業務を行っている部屋にてインタビューを実施した。調査内容は、患者相談窓口の担当職種と構成,活動状況として窓口の営業時間と曜日,現在までに寄せられた相談内容とその件数,相談内容に患者と家族が治療や療養を意思決定することに関わるものがあるか,意思決定に関わる相談への対処方法とその成果,看護職者が果たした役割,相談への対処の中で困難を感じていることとした。インタビューは90分に渡って実施され、具体的な事例に基づいた詳細な活動に関する情報を収集することができた。この訪問調査にて得られた患者相談窓口における患者と家族の意思決定に対する看護職者の活動を基準とし、特定機能病院の患者相談窓口ではどの程度まで意思決定支援が実施されているのか、全国調査に向けデータ収集の内容および方法について検討し質問紙を作成する。