著者
廣田 隆一
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

申請者らは、これまでにバクテリアのリン酸レギュロンの制御因子であるphoUに変異を導入することで、ポリリン酸が高蓄積することを明らかにした。しかし、phoU変異株は継代するとポリリン酸を蓄積しないリバータントを急速に生じる。本研究ではこの原因の究明を行い、安定性の高いphoU変異株を取得するための方法論を確立した。これによりphoU変異株を利用したリン資源のリサイクル技術開発に貢献できる可能性がある。
著者
大塚 篤史
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日常診療で度々遭遇する尿管結石症は、その疼痛のために社会生活を制限されるばかりでなく、時として腎盂腎炎・腎不全などの重篤な合併症をきたす疾患である。現在、自然排石を期待する保存的治療等の目的でNSAIDsなどの薬物治療が行われているがその効果に十分なエビデンスはなく、自然排石促進作用や疝痛発作抑制作用を有する薬剤の開発が急務とされている。そこで、選択的β-アドレナリン受容体作動薬が尿管結石症の新たな治療戦略となる可能性を有するか検討した。ヒト摘出尿管を標本としてRT-PCR法によりβ-アドレナリン受容体の各サブタイプ(β1,β2,β3)のmRNAの発現について検討したところ、いずれのβ-アドレナリン受容体のサブタイプ(β1,β2,β3)も尿管組織に発現していることが確認された。次いで、ヒト摘出尿管の顕微鏡的正常部分のブロックからパラフィン切片を作成し、免疫組織化学染色法を用いてβ-アドレナリン受容体の各サブタイプの発現ならびに局在を同定した。各サブタイプともに尿管上皮細胞ならびに平滑筋細胞での発現を認め、タンパクレベルにおいてもそれぞれの受容体の発現を確認できた。さらに、β-アドレナリン受容体への刺激が尿管平滑筋を弛緩させるか確認するために、ヒト摘出尿管標本を用いて薬理学的実験をin vitroで実施した。非選択的作動薬であるイソプロテレノールに対して濃度依存性に平滑筋切片は弛緩した。現在、β-アドレナリン受容体の各サブタイプに対する選択的作動薬や拮抗薬による作用を確認しているところであり、少なくともβ2-ならびにβ3-アドレナリン受容体作動薬は、それぞれ濃度依存性にヒト尿管平滑筋を弛緩させることが確認されており、研究を継続して実施中である。以上の研究成果から、β2-あるいはβ3-アドレナリン受容体作動薬が尿路結石症に対する自然排石促進作用や疝痛発作抑制作用を有する薬剤として、臨床応用できうると想定される。
著者
田村 耕一
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

地域金融機関の中小企業に対するビジネスモデルである地域密着型金融(リレーションシップ貸出)では、資産を引当てとするトランザクション貸出における担保像(換価処分目的)は妥当しない。具体的な譲渡担保の機能は、(1)在庫や債権管理の情報を一体的に共有するため、(2)取引や事業展開に積極的に関わる経営関与のため、(3)M & Aや事業譲渡の際に事業の一体性を保全するためである。九州の金融機関へのアンケート調査においても、上記の傾向を確認することができた。今後、実態に応じた法的認識を行う必要がある
著者
介川 裕章
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

半導体Siへの高効率スピン注入を実現するためには,高スピン分極材料の利用が有効である。本研究ではCo_2FeAl_<0.5>Si_<0.5>(CFAS)ホイスラー合金薄膜に注目して,その作製方法を検討した。その結果,CFAS層を含む積層膜の伝導特性の解析により,作製したCFAS薄膜は実際に非常に高いスピン分極率を有することが示された。また,同時に,CFASと格子整合がよいMgAl_2O_4極薄膜が作製可能であることも明らかにした。MgAl_2O_4はバリア層として高い特性を示し,Si上への作製技術が確立できればスピン注入に利用できると考えられる。
著者
畑山 満則
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

災害のイメージを共有し,災害後の対応も含めたリスク・コミュニケーションを実現にするため,災害想定下での訓練として各地で盛んに行われている防災訓練が有効であると考える.現状の防災訓練では,災害想定自体が参加者にとってわかりにくいものであり,さらに長期にわたって固定化されている場合が多いため,有効なリスク・コミュニケーションにつながりにくい状況にある.本研究では,この災害想定から住民参加型で行うことを提案する.このためには動的なシミュレーションと,その時空間での分析が必要となる.そこで,従来のGISでは対象とされていなかった動的なオブジェクトの記述と,時空間での接続関係のハンドリングを可能にし,さらに,複数の災害想定をパラレルワールドとして書き込める時空間GISの開発を目的とし以下の研究を行った.1)時空間地理情報スキーマの定義と概念モデルの構築空間スキーマ,時間スキーマについては,国際標準化がすでになされているが,時空間スキーマに関しては未だ検討段階である.時空間スキーマの理論的考察を行い,時空間情報の概念モデルを構築した.2)時空間接続関係のデータベースへの記述形式とソフトウエアへの実装1)での研究結果をうけて,時空間スキーマを構成する重要な要素である時空間の接続関係について,課題抽出を行った.3)時空間地理情報データ構造:KIWI+に関する考察時空間GISを構築するためのデータ構造として,提案しているKIWI+フォーマットに関して,上記の1)2)の結果を踏まえた見直しを行い,実装上の課題に関する知見をまとめた.
著者
池田 真一
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

運動は筋インスリン感受性を亢進することで、メタボリックシンドロームや2型糖尿病の予防・治療に極めて有効であるが、その分子メカニズムは明らかにされていない。我々は、運動により骨格筋内の抗炎症性マクロファージであるM2マクロファージ数が増加し、これにより、筋インスリン感受性の亢進が起こっていると仮説した。C57BL6Jマウスに一過的トレッドミル走を施すと、骨格筋内のM2マクロファージ数は増加し、これに伴い筋インスリン感受性の亢進も認められた。しかしながら、運動前に全身のマクロファージを枯渇させる薬剤であるクロドロネートリポソームを投与すると、運動後に認められたM2マクロファージ数の増加、筋インスリン感受性亢進の両方が起こらなかった。このとき、いくつかのシグナル伝達経路の活性化を検討したところ、インスリンシグナル(Akt-AS160)やAMPK経路は運動やクロドロネートリポソームによる変化は認められず、PKC経路が運動により活性化されており、この活性化はクロドロネートリポソームにより抑制された。これらのことから、運動による筋インスリン感受性亢進は、M2マクロファージがPKC経路を介して引き起こしていることが示唆された。
著者
A Al-Mahboob
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

有機デバイスの根幹物質であるペンタセン(Pn)の、グラファイト(HOPG)およびルチル型二酸化チタン(110)(ルチルTiO_2)上における真空蒸着による薄膜成長を低速電子顕微鏡/電子線回折装置を用いてin-situ観察した。Pn薄膜は、基板や作成条件を制御により、デバイス特性上好ましいとされるstanding-up構造(立配向)を作成可能なことが報告されているが、真空蒸着では成長した薄膜結晶同士のお互いに阻害するために、輸送特性上好ましくないドメイン境界をもった多結晶となる。本課題では、Pn薄膜が速度論的にa軸に比べてb軸が優先的に成長しやすいことに着目し、基板、温度の最適化による解決を試みた。HOPG表面は、Pnの主骨格であるベンゼン環だけから構成される表面であり、Pnとの相互作用が強く働く系である。この表面上への室温における蒸着の結果は、第一層にPnの濡れ層が形成された後、様々な配向をとる多結晶状態となった。また、Pnの吸着、脱着が平衡状態となる90℃においても制御できなかった。一方、Pnと基板の相互作用が弱い系では、濡れ層から立ち配向への自発的な転移が、Pn間の強い配向安定性から起こることが報告されている。ルチル型TiO_2は、無機物であるためにこの系に該当すると予想され、また表面再構成の結果[001]方向に一次元の酸素原子列をもつ凹凸を持つため、種結晶の初期形成を制御が期待される。作成条件の最適化の結果、Pnは表面の原子ステップ上に沿った成長、および濡れ層から1層目から結晶方向の揃った立配向への転移が起こることや、b軸成長が支配的な成長モードであることを確認したが、もともと基板表面上に存在する格子欠陥や局所的なアイランド構造から形成された異なる配向も同時に確認された。この制御のためには、表面が原子レベルで綺麗な幾何構造をもっパターン基板を用いる必要があることがわかった。
著者
渡辺 公次郎
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、住宅・土地利用計画支援システムを開発することである。まず、徳島市周辺部を対象に、セルオートマトンモデルを用いて市街化を予測するモデルを開発し、それを用いて地区別に世帯数を予測した。次に、世帯数変化の特徴を明らかにするため、世帯数変化傾向を、小地域統計データを用いて分析し、変化の特徴を類型化した。これらの成果から、住宅・土地利用計画支援システムで用いる世帯数予測モデル開発に関する知見を示した。
著者
茂木 信宏
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

大気中の黒色炭素(BC)エアロゾル(微粒子)の形状の分析法の開発は、人為起源エアロゾルの気候影響や微粒子計測技術の分野では最先端かつ重要な研究課題である。本研究では微粒子から放出される熱輻射光の方位.偏光依存性を記述する一般理論(Rytov理論)を実験的に検証することにより、BCの形状分析が可能な新しい原理を提唱した。Rytov理論によって推定されるように、光波長よりも小さなサイズの微粒子についても放出される熱輻射光の方位依存性.偏光状態が粒子形状によって決定されることを実証した。
著者
山下 英俊
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,産業廃棄物税を題材とし,都道府県の産業廃棄物統計を用いて税導入に伴う産廃最終処分量の変化の要因分解を行い,主要な変化要因の中から税導入の影響が認められるものを抽出することで,産業廃棄物税の効果を定量評価することを目的とする。産廃税は,価格メカニズムを用いた廃棄物削減と,財源調達という二つの政策目的を有する。自治体によって導入形態が異なり、(1)事業者申告納付方式、(2)最終処分者特別徴収方式、(3)焼却処理・最終処分業者特別徴収方式、(4)最終処分業者課税方式の4種類に大別される。理論的には廃棄物削減への誘因効果は(3)が最も高くなることが示唆される。こうした制度設計の相違が最終処分量の変化に影響を及ぼしたか否かを検証する。21年度は、統計分析の対象として20年度に抽出した対象自治体のうち、データ入手済みの各県について、要因分解による分析を行った。加えて、岩手県についても産業廃棄物実態調査報告書を入手した。さらに、県別の分析結果の一部を先行的に研究集会などで報告をし、関係専門家との意見交換や分析結果の検討を行った。一例に三重県の分析結果を示す。三重県では産廃税の導入前後で産廃最終処分量が18万トン弱減少している。要因分解の結果、主要な減少要因は(1)化学産業の汚泥、(2)建設業のがれき、(3)建設業の活動低下、(4)建設業の汚泥であることが判明した。このうち、(3)は公共事業の減少によるものであり、(1)は後に廃棄物処理法違反で有罪判決が確定した石原産業による汚泥の偽装リサイクルによるものである。さらに、(2)及び(4)は建設リサイクル法に起因する可能性もある。したがって、主要な減少要因のうち、明らかに産廃税の効果と考えられるのは一部に過ぎないことが確認された。以上の成果を踏まえ、県別の分析結果及び全体の比較分析の結果をそれぞれとりまとめ、学術雑誌への論文投稿を進めている。
著者
小澤 自然
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、V・S・ナイポールの初期作品に含まれる文化的異種混淆性についての考察を行なった。2008年から2009年度にかけては、彼が作家としての本格的なデビューを飾る前に関わったイギリスBBCの文芸番組"Caribbean Voices"についての調査を行ない、この番組との関係が彼の事実上の処女作Miguel Streetに果たした影響について考察し、学会発表を行なった上で、論文にまとめた。また2010年度には、ナイポールの中期作品群の出発点に位置する旅行記The Middle Passageについて分析し、学会発表を行なった。
著者
星野 伸明
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は実証と理論の両面で進めた。まず実証面では労働力調査個票データを匿名化し、匿名化手法のリスクや有用性を実証研究するための基盤を構築した。また実証の妥当性を確保し、日本の匿名化実務について指針を得るため、外国の先進的事例を調査してまとめた。理論面では、リスク評価の対象として頻出する疎な分割表の挙動を説明するため、極限条件付き複合ポアソン分布族の性質を評価した。特に、ベル多項式に依存した新しい漸近論を提案した。
著者
居村 暁 島田 光生 森根 裕二
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

肝移植後の再発はcirculating cancercellあるいは肝移植時すでに存在するmicrometastasisによる再発であり制御困難である。今回、脾注肝転移(経門脈的)モデルを作成して癌細胞の肝転移メカニズムを検討した。MH134マウス肝癌細胞脾注1週間後、IFN投与群ではコントロールと比較し著明に肝転移個数が減少した。また、IFN投与群の転移腫瘍内MVDはコントロールと比較し有意に減少した。非癌部肝組織における接着因子発現の程度による肝転移促進効果は認めなかった。今後、肝切除+虚血再灌流を施行し、肝移植後の脾注肝転移による肝転移増強の有無につき研究を継続する。
著者
内山 俊朗
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、メディアアート作品をリハビリテーションに活用し、本人が表現者として主体的に加わるリハビリテーション支援機器の開発を目標としている。研究の実施内容は以下のとおりである。1.コア技術として、あいのてが身体動作を誘発することに着目したあいのてシステムの開発を行った。2.コア技術を応用し、身体動作によるからだのリハビリと、社会的交流によるこころのリハビリを支援するメディアアート作品の制作と効果の検証を行った。3.雑誌論文、国際会議、イベント、マスメディアを通して発表を行い社会への浸透を行った。これらにより、本研究は今後もさらに高い感性価値を持ったリハビリテーション支援機器開発の手がかりとなることが期待される。
著者
小澤 宏亮
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

天然歯とは異なり歯根膜,神経を欠くため緩圧作用がほとんどないインプラント治療は,わずかな咬合の不調和がトラブルの原因になると言われているが,適切な咬合を付与するためのガイドラインは未だに確立されていない.経過良好なインプラントの咬合状態を明らかにすることを目的に,1歯中間欠損部単独植立インプラントの各かみしめ強さでの咬合荷重量とその変化を検討した.さらに,三次元有限要素解析モデルにおけるインプラントと骨の接触状況の変化を,実物のインプラントと3種類の三次元有限要素解析モデルの被圧変位量と応力分布を比較検討した.これらのデータから開発した手法を応用して得られたインプラントの咬合間隙量についても検討を加えた.新たに開発した手法によりインプラントに付与された咬合間隙量を推定できる可能性が示唆された.インプラントと天然歯の間には様々な咬合状態があったが,経過良好なインプラントの咬合間隙量にはある程度の幅があることが明らかになった.これらのインプラントが十分に機能しているかどうかについてはさらなる長期の研究が必要であろう.
著者
蔡 国喜
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

疫学調査により、中国雲南省国境地域における女性セックスワーカーの経済-社会人口学属性、エイズ・性感染症に関する知識、態度、sex behaviorの現状、及びHIV/AIDS,gonorrhea, syphilis, Chlamydiaの有病率及びリスクファクター等を明らかにした。この結果は日本のエイズ・性病感染症の予防策、研究方法に以下の提示ができる:1、感染症予防のためにhard-to-reach-populationに対する有効なapproach方法Respondent Driven Sampling(RDS)方法の実用方法と有効性を提示;2、東南アジア国境地域のhigh-risk-population及び流動人口に対する感染症予防の健康教育や介入が不足しているため、このpopulationがリスク行為を行いやすく、エイズ・性病などの感染症を感染される・させるリスクが高い、これはこれから経済活力で注目される東南アジア・メコン流域において、国際保健(国の壁を越えて感染症連携)の重要性を提示する。
著者
宮田 敬士
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

生理活性因子アンジオポエチン様タンパク(AGF)の機能解析を行うために、AGF強制発現マウスを用いて検討した。AGFは、血管新生作用とは独立して、褐色脂肪組織、骨格筋組織に作用し、エネルギー代謝亢進を認めた。さらにトレッドミルによる運動負荷や寒冷刺激による体温変化を検討したところ、AGFは、走行時間、距離の延長や体温の抑制を認めた。以上より、AGFはエネルギー代謝亢進、運動耐容能の向上、低体温の抑制と有益な効果をもたらす分子であることが示唆された。
著者
山本 聡美
出版者
金城学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中世日本で外来の十王図像が移入され和洋化するプロセスについて、作品調査と文献の分析を通じて考察した。本研究期間内に計9件の作品調査を実施した他、写真などを用いた画像資料の収集を行った。特に日本製十王図の多くに描きこまれる本地仏の組み合わせに着目し、調査結果を分析した。その結果、制作年代の遡る作例ほど組み合わせに多様性があり、また本地仏として大日如来を描く事例が多いという傾向が浮かび上がってきた。また、現存作例の和洋化が著しく進む13世紀後半~14世紀にかけての、仏書や日記・記録類に着目、仏事で十王図が懸用された事例を分析した。その結果、宮中や幕府関係の逆修・追善供養での懸用と軌を一にしながら、十王図と本地仏の組み合わせが決定され、日本的十王図への変容が促されたことが明らかとなった。以上の成果の一部は、『国宝六道絵』(共著、中央公論美術出版、2007年)などの出版物として公刊している。
著者
谷口 勇一
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、九州内の中学校ならびに高等学校の部活動顧問教師を対象に質問紙調査とインタビューを実施し、総合型地域スポーツクラブに対する各種意識の把握を試みた。得られた知見は以下のとおりである。1)部活動顧問教師の総合型地域スポーツクラブに対する認知度は31.0%に留まっていた、2)部活動と総合型地域スポーツクラブの連携協力関係については、80.4%が肯定的であることがわかった、3)総合型地域スポーツクラブとの連携協力関係に肯定する者の意識は「自分自身の負担軽減に対する期待感」が強いことがわかった。逆に、連携協力関係に否定的な者は「部活動の教育的意味が薄れてしまう」との意識が強いことがわかった。
著者
川田 学
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

生後1歳~2歳代における役割交替模倣と自他認識の発達について,定型発達幼児と自閉症幼児を対象に検討した。研究は定型発達幼児を対象とした課題場面での横断的研究,自閉症幼児を対象とした課題場面および保育場面での参与観察研究で構成された。役割交替模倣を測定する課題としてサカナとタモ課題,自己鏡映像認知を測定する課題としてマーク課題,積極的教示行為を検討する課題として他者の課題解決困難場面提示課題を用意し,課題間の連関を検討した。その結果,定型発達幼児では,サカナとタモ課題の通過率は1歳半から2歳にかけて有意に増加した。また,サカナとタモ課題の通過は他の2課題を有意に相関していた。自閉症幼児においても定型発達幼児と類似した傾向が見られたが,他の2課題に対して自己鏡映像認知の成績がやや特異であった。総合して,役割交替模倣が自他認識の発達を調べる上での有益なマーカーとなりうることが示唆された。