著者
福留 邦洋
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、災害時における中山間地域の脆弱性を明らかにしながら、どのような点に考慮すれば持続的な復興につながるのか考察することを目的とした。具体的には、新潟県中越地震における被害傾向、復興過程を整理、分析しながら、集落移転や復興基金、義援金など地域再建のためのしくみに着目した。そして復興の概念、策定方法等について考察し、地域特性に応じた復興計画について検討を行った。
著者
今西 和俊
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

大地震の発生過程を理解するためには、絶対値まで含めた応力場の情報が欠かせない。そこで、余震のメカニズム解と本震断層のすべり量分布を用いて震源域における絶対応力場を推定する方法を提案し、それを4つの地震(1995年兵庫県南部地震、2007年新潟県中越沖地震、2007年能登半島地震、2009年駿河湾の地震)に適用した。推定結果は色々な観測事例とも調和的であり、手法の有効性も確認できた。
著者
中東 靖恵
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本年度は、中国人日本語学習者に対して撥音の読み上げ調査を行い、その結果を学習者音声の音声的バリエーションという観点から考察を行った。インフォーマントは、日本に在住の中国人日本語学習者31人(男12人、女19人)。出身地、民族名、年齢、来日歴、日本語学習歴など学習者の属性のほか、中国で受けた日本語の発音教育や、日本語の撥音を発音する際の意識についても尋ねた。調査は、以下に示すような撥音を含む258の単語と13の短文を用いて行った。(1)両唇鼻音:インパクト、乾杯、看板、コンビニ、あんまり、運命、さんま、専門…(2)歯茎鼻音:簡単、センター、半月、うんざり、金属、団地、本音、訓練、親類、コンロ…(3)硬口蓋鼻音:カンニング、こんにゃく、三人、にんにく、般若、本人…(4)軟口蓋鼻音:アンコール、単価、貧困、案外、音楽、言語、ジャングル、ハンガー…(5)口蓋垂鼻音あるいは鼻母音:安全、本、禁煙、恋愛、神話、男性、チャンス、噴水…調査の結果、学習者に見られる撥音の音声的バリエーションには、音環境ごとに一定の傾向が認められることが明らかになった。多くの場合、日本語母語話者と同様、後続する音の別により実現音声が決まるが、ゆれも見られ、その場合、撥音に先行する母音の別と、先行母音の調音位置が関係するという日本語母語話者にはない別の規則が働いている可能性が示唆された。本研究は、従来、誤用の観点からしかあまり議論されてこなかった日本語学習者の撥音の実現音声について、計量的観察に基づき、音声的バリエーションという観点から考察することにより、これまで漠然としていた学習者音声の実態を明らかにすることができた。今後、他の言語を母語とする学習者にも調査を行い、日本語学習者に共通する規則性が見いだせるかどうか、そしてそれがあるとすれば互いに共通性があるのかどうか、検討する必要がある。
著者
小林 恵美子
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日米大学生より収集したデータの分析結果は以下の通りです。まず第一に、Haganのパワー・コントロール理論とHofstedeの不確実性減少という概念を使って、11種類の逸脱行為に従事する頻度は、日米グループ共に男子学生の方が高いこと。又その性別間差異は、日本人学生の方が米国人白人学生よりも小さく、背景には、日本人男子学生の逸脱行動を控える傾向が強く作用していると仮説を立て、統計的に立証しました。尚この調査結果を記した論文は、修正し米国の某学術雑誌に再提出する予定です。続いて、分化接触/社会学習理論について、3本論文を執筆しました。まず初めに、Tittleの"Shells of Illusion"とHofstedeの不確実性減少という概念を基に、仲間の逸脱行動が自身の逸脱行動に及ぼす影響は、日米グループ共に男子学生の方が強いこと。又その性別間差異は、日本人学生の方が小さく、背景には、日本人男子学生が仲間の逸脱行動に感化されにくい傾向が強く働いていると仮説を立て、統計的に立証しました。次に、Hofstedeの不確実性減少という概念を使って、日本人学生が米国人学生よりも逸脱行動を控える傾向は、逸脱行動に従事する仲間の数が少ないことに起因すると仮説を立て、統計的に立証しました。最後に、仲間の逸脱行動と逸脱支持の姿勢が自身の姿勢に影響を及ぼし、果ては自身の行動に作用するという因果関係を日米で比較検証しました。Hofstedeの個人主義という概念を用いて、仲間の逸脱行動と逸脱に対する姿勢が自身の姿勢にもたらす影響の度合いは、日本人学生の方が大きいこと。一方、自身の姿勢が行動に及ぼす影響度は米国人学生の方が大きいと仮説を立て、統計的に立証しました。これら3本の論文は、学術雑誌に投稿すべく、現在、米国人共著者が推敲しております。
著者
西村 大志
出版者
広島国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、文化・歴史社会学的方法を用いて、おもに日本における人体模倣の技術、思想、「もの」それ自体(人体模型・マネキン・人間型ロボット・人形・フィギュアなど)の変遷、さらにそれに対する人々の違和感、および共感を考察するものである。フィールドワークも同時に行い、史資料にとどまらない研究を展開するものである。昨年までは口頭発表が中心であったが、本年度は文字媒体での発表を重視した。2本の論文を2冊の書籍に掲載すべく、史資料を補充しつつ研究をおこなった。まず、日本のラブドールとアメリカのリアルドールを比較分析し、人の人体模倣への距離のとり方や、消費社会論の視点からみたドールなどを、「人体模倣の現在-リアルドール・ラブドール・スーパードルフィーをめぐって-」(仮題)としてまとめ、田中雅一編『フェティシズム』京都大学学術出版会(仮題)に所載するため、2007年9月に出版社に提出した。さらに、人体模倣に対する人の親和感と違和感を「不気味の谷」という理論を応用し、「『人体模倣』における生と死そして性-『不気味の谷』を補助線として」(仮題)としてまとめ、井上章一編『(仮題)性欲の文化史』講談社に所載するため、編者に2007年10月に提出した。この二つの論文をあわせ、さらに写真や図を増強し、考察と検討をさらに加えて、『人体模倣の変遷とその受容-文化・歴史社会学的考察-』(広島国際大学心理科学部2008年3月)として、研究成果報告書にまとめた。
著者
廣瀬 千晃
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

古代日本の雅楽奏舞と儀式の関連や展開を研究の目的とし、雅楽の儀式での奏舞の実態や、どのように日本化し日本雅楽となっていったのかを史料的な根拠に基づいて検討した。この研究を進めるための史料収集の一環として「古代日本雅楽年表」を作成した。本研究成果の一端として、「真言密教と芸能」を執筆し、また宮廷儀式(相撲節会)での舞楽「抜頭」について全体的に改訂分析した「古代の抜頭」を藝能史研究会大会にて発表する。
著者
山中 智行
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ハンチントン病等のポリグルタミン病は、優性遺伝性の神経変性疾患であり、原因遺伝子内の翻訳領域のCAGリピートが正常型に比べ約2〜3倍に異常に伸長することによって生じる。結果、遺伝子産物のポリグルタミン鎖が伸長され、この伸長ポリグルタミン含有タンパク質が毒性を獲得することにより、神経細胞の機能障害、変性をきたすと考えられている。病態機序としては、伸長ポリグルタミン含有タンパク質が核内に凝集体(核内封入体)を形成すること、また、核移行を人為的に阻害すると神経変性効果が劇的に減少することから、核内が主要な作用部位であると考えられている。さらに、モデルマウス等を用いた遺伝子プロファイル解析から、特定の遺伝子の発現異常が作用点の1つであると考えられている。私は、ハンチントン病モデル細胞から精製した核内凝集体の網羅的質量分析より、変異ハンチンチン(伸長ポリグルタミン含有ハンチンチン)に相互作用する新規タンパク質として、転写因子であるNF-Yを同定した。さらに、ハンチントン病モデルマウス脳において、変異ハンチンチンの凝集体はNF-Yを取り込むことにより、NF-Yを介したHSP70シャペロンタンパク質の転写活性を低下させることを見出した。このHSP70は変異ハンチンチンによる神経変性に抑制的に働いていることがすでに報告されている。よって、本研究より見出された変異ハンチンチンによるHSP70の発現抑制機構は、ハンチントン病の病態進行に深く関わっていることが示唆される。
著者
天野 恵美子
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

海外市場において広く受け入れられ、各国固有の食文化との相互作用の中で独自の変容を遂げてきた日本食の「普及と現地食文化との融合過程」を明らかにするため、1980年代から北米および中国市場で事業を行ってきた複数の食品企業のマーケティングについて文献調査および現地ヒアリング調査を行った。市場参入に際して、現地市場(生活習慣や商慣習等)に精通している事業者と共同でマ十ケティング活動を行い、製品開発・販売段階においては現地の食嗜好や食習慣を調査し、現地消費者に受容されるよう適応化(マーケティング戦略の変更・修正)努力を行っていた。また市場開拓・普及期においては、「異文化・外来食」として知られていない食品そのものの認知度を高める地道なプロモーション活動や調理方法などについての啓蒙活動など、新規市場参入ゆえに必要となるマーケティング努力もあった。注目すべきは、食品企業が市場拡大を見据えて、「外来食」に対して先入観のない子ども世代の味覚形成にはたらきかけ、「次世代の顧客獲得」を目指すマーケティング活動を積極的に展開してきたことであり、日本食を提供する従来型の飲食店だけではなく、海外出店を加速させてきたコンビニエンスストア(CVS)が、日本の食(おにぎり、弁当、寿司、おでん等)を紹介する有力なチャネルとして現地に定着し、日本食普及の1大拠点となってきているということである。こうしたマーケティング手法やCVSの動向については、今後も継続的に検証・分析していく必要がある。以上、文化伝播・交流経路としての食品企業のマーケティング研究を通じて、食の異文化接触と受容、普及にともなって生ずる現地食文化との融合、現地食文化の変容という国際化時代の食の今日的位相を検証した。
著者
松浦 健二
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

WEB上のコミュニティ空間に、実世界での動作を伴う身体スキルの情報を蓄積し、それを活用する支援環境を設計および構築した。本研究を通じて、個人の身体スキルがコミュニティ空間を媒体として他者に伝播し、コミュニティに属する個人のスキル学習につながる様子が観測された。この中で、身体スキルを表現するには、各種のセンサを用いたメディア処理を適正に実装する必要があり、技術開発も実施した。
著者
上野 耕平
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,運動部活動への参加を通じて形成されたライフスキルに対する信念を基に,生徒が時間的展望を獲得できるプログラムを開発し実践することであった。その内本年度は,1)これまでの研究期間内に明らかにしてきた成果をまとめ,国内外に広く公表する,2)諸外国におけるスポーツ活動への参加とライフスキルの獲得に関する先行研究の検討する,ことが活動の中心となった。昨年度は,研究初年度に行った調査研究の結果構築された仮説モデルに基づき,実際に運動部活動場面に介入した実践研究を行った。そこで研究成果については,研究初年度からの成果を体系的にまとめた上で,ヨーロッパスポーツ心理学会及び日本スポーツ心理学会で発表を行った。また,日本スポーツ心理学会では,アスリートを対象としたライフスキル研究に関するシンポジウムに指定討論者として参加し,今後の研究の方向性について言及した。さらに,運動部活動を対象とした実践研究の成果については,研究紀要において紹介した。他方,北米を中心に実施されている,スポーツ活動への参加を通じたライフスキル獲得に関する研究成果についてもまとめた。その結果,1)理論的背景を有する介入実践を伴う実証的研究,2)スポーツ経験の実質的な内容を扱う研究,3)ライフスキルの獲得と関係する心理的側面を変数として扱う研究,が求められていることが明らかになった。本年度までの研究により,運動部活動への参加を通じた時間的展望の獲得は,1)実体験や部活動経験の振り返りを通じたライフスキルに対する信念の形成,2)ライフスキルに対する信念に基づいた運動部活動経験の肯定的解釈,を通じて行われることが明らかにされた。今後はライフスキルの獲得も含め,運動部活動の指導現場で実施可能な方法について,より具体的な事例の提供が求められよう。
著者
黒木 進
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、以下の項目について研究を行った。(1)プロトタイプシステムの構築と評価前年度までに行ってきたプロトタイプシステムの構築を引き続き行った。本年度は特に、多次元インデックスの構築と改良を中心に行った。本研究においては、位置や時刻は数値化された座標として表現されている。よって、データベースに蓄積されたテキストは、それぞれが含む位置や時刻を表す語句を数値化して表現された多次元空間の座標値によって参照される。そのため、テキスト集合に対して時間的、あるいは位置的な検索を行う際には、数値化された多次元空間の座標値に関する多次元インデックスの効率化が重要である。このような観点から、多次元インデックスの構築法について研究を行った。ツリー型のインデックスを想定して、ツリーのノードの持つデータの種類と個数に関して検討を行い、1ノードあたりのデータ量を圧縮することによって、検索に要するデータアクセスの回数と時間に関する効率化を図ることができた。また、この考えをさらに発展させて、より次元の高い多次元インデックスを用いる画像の検索にも応用を試みた。(2)位置や時刻に関する知識の発見テキストに含まれる位置や時刻を数値化するためには、これらの情報を数値に変換するための規則が必要である。しかし、初見の位置や時刻については、そのような規則による変換を行うことができない。そのため、文脈情報を利用してそのような規則を推定しなくてはならない。そこで、テキスト中に出現する初見の位置や時刻とその他の位置や時刻の共起関係を基にして初見の位置や時刻を推定する方法について検討を試みた。しかし、これについてはあまりよい結果が得られなかったので、今後引き続き検討を行いたいと考えている。
著者
寺脇 拓
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は,大きく分けて二つの実証分析を行った.第一に,昨年度検討した,里山保全に取り組むボランティアがその里山から受ける純便益を計測するための基礎理論をもとにして,そこから実際にその純便益額を計測することに取り組んだ.この分析では,まず兵庫県中町の「観音の森」におけるボランティア活動データを用いてボランティア労働供給関数を推定し,その曲線が旅行費用については右下がりとなるが,賃金率については右上がりの形状をもつことを明らかにした.そして,その旅行費用の係数推定値を用いてボランティア活動一回当たりの純便益を計算した結果,それは747円となった.さらに年間の延べ参加者数153人を乗じることにより,ボランティア活動者が里山から受ける便益は,年間11万4248円と推定された.第二に,昨年度の現地調査の結果を踏まえて,大津市仰木地区の里山を事例としたCV調査を行い,里山が周辺住民に及ぼす便益を計測することに取り組んだ.本調査の一つの特徴的な点は,圃場整備されていない棚田をもつ里山に対する支払意志額(WTP)と圃場整備された棚田をもつ里山に対するWTPをそれぞれ質問したところである.圃場整備による生物相への影響はないものとして質問しているため,そのWTPの差は,単純に景観に対するWTPの差ということになる.二段階二肢選択CVMによる分析により,圃場整備されていない昔ながらの棚田に対するWTPは6719円,圃場整備された棚田に対するWTPは1735円となり,前者が後者をはるかに上回る結果となった.この結果は,今後の里山保全のあり方を考える場合に,生態系への影響だけでなく,景観への影響も考慮に入れなければならないことを示唆している.またこの分析では,里山保全に対する価値を構成するものとしては,遺贈価値が最も大きく,ついで存在価値が大きいことが明らかとなった.これは,非利用価値を考慮した資源配分の必要性を示すものである.
著者
大橋 弘
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

規制緩和が引き金となり航空会社間の国際的な競争が激しさを増すなか、航空会社による合併・連携(アライアンス)件数が急増している。航空産業において活発化する合併・連携の活動が、航空サービスやその料金体系に与える影響について知見を深めることは、今後も着実な需要増加が見込まれる航空産業を理解する上で、重要な課題である。企業による合併・連携に関しては、これまで産業組織論の分野を中心に数多くの理論的研究がなされてきたが、実証的な研究についてはその多くは産業間(inter-industry)の比較に基づくものであり、理論的な研究が関心を寄せてきた特定の産業(intra-industry)における企業合併に着目した実証研究は未だ揺籃期にある。本研究では、2001年における日本航空(以下、JAL)と日本エアシステム(以下、JAS)との合併事案を取り上げ、その合併が国内航空市場の競争状態にどのような影響を与えたのかについて構造推定手法を用いて分析を行った。まず航空需要については、1996年7月から2005年10月までのデータ期間において、O(起点)-D(終点)ベースのデータを用いて離散選択モデルを用いて推定を行った。航空需要を推計する際には、新幹線を含む鉄道との競合関係も考慮している。需要関数の説明変数のうち、価格およびフライト数については、内生性の問題があることを考慮して、操作変数を用いた一般モーメント法により推定を行った。航空サービス供給については、旅客数(有償座席数)の決定だけでなく、フライト数の決定も各航空会社は行うと考えて、モデルを構築した。推定結果は、需要・供給関数ともデータとの当てはまりは良いことがわかった。この推定値を用いて、本研究では、もし2001年にJAL-JAS合併がなされていなければ、日本の国内航空市場はどのような産業構造になっていたかという点である。本分析の結果、合併により当該合併企業の市場支配力が大きく上昇していることが見て取れた。
著者
耒代 誠仁
出版者
桜美林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

古代木簡デジタルアーカイブをターゲットとした知的情報検索の実現に向けた研究を行った。パターン認識技術、画像処理技術、ペン・ユーザインタフェース技術を用いた破損字形検索技術を実現することで、解読が困難となった字形の類例検索を実現した。また、検索技術を含む古代木簡解読支援システム「Mokkanshop」の開発と一般公開を行った。このソフトウェアは古代木簡デジタルアーカイブ「木簡字典」と連動し、利用者に実用的な情報検索を提供する。
著者
ANILIR SERKAN
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

IFデータベースは現段階で予想される多種多様な問題に対応しているが、本研究では特に下記の3分類(IF環境)に絞り、21世紀の国際的な社会問題である人口問題や難民問題、それから生まれた衛生管理の問題、また地球環境に対する負荷の低減、大規模災害に対する有効な改善策を見出すことを目指した。(1)Temporary-Infra: 被災地など、一時的にインフラが崩壊した場合大都市居住者のエネルギーや水の使用量は、経済発展のために、今後も増大の一途をたどる。こうした大都市で災害が起き、既存インフラが麻痺した場合でも、一定期間豊かな生活を維持できることを目的とする。(2)No-Infra:途上国における開発途上地域や未開地など、インフラが十分でない場合インフラの未整備地域の一般生活者、又は天災・人災リスクの高い地域の環境難民、経済難民、戦争難民及び極地的環境の居住者への生活の保障を目的とする。中国、中南米を始めに、インフラが十分でない国々との協力関係の構築を図ることを目的とする。(3)Self-Infra: 先進国における開発途上地域や未開地など、インフラを自ら選択できる場合現在の環境先進国の郊外住宅地の開発は消費型社会を基盤としているため、住宅の運用に伴う環境負荷や消費量増大に歯止めがかからない。そこで、資源循環型社会へ転換することで人々の資源節約意識が働き、自然とともに暮らす生活の質を高める都市や住宅開発、または古民家などのストックが持続可能な改修手法の有り方を目指している。平成19年度は前年の研究結果を基にした模型試作による実験とモニタリング。インフラフリー技術の個別要素を適用・実験可能な実物モデル縮小型模型の製作。一般企業への技術移転を前提としたモデル施設の紹介や技術提携、専門者との意見交換、課題の抽出。成果の「インフラフリー技術図書」としてとりまとめた。
著者
松田 英子
出版者
江戸川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

調査から労働者と学生の睡眠の不調は深刻な状態にあるものの,薬物治療による抵抗感が確認された。労働者は不眠と悪夢症状が強いが,さらに学生は不眠が深刻で過眠症状も強く,睡眠のリズムの乱れの影響が疑われた。労働者と学生において,職務ストレサーや学生生活ストレサーそのものよりも,不眠,過眠,悪夢症状から成る睡眠の不調が,抑うつ症状をよく予測するモデルが見出された。つまり,抑うつの予防には睡眠の不調の改善が重要であることが示唆された。非薬物療法である CBT による事例研究と準実験研究を実施し,不眠に関して,入眠前の筋弛緩法や思考に対する認知療法の効果を確認し,悪夢に関して入眠前の思考に対する認知療法の効果を一部確認した。
著者
星川 圭介
出版者
富山県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本課題では2011年大洪水後のチャオプラヤデルタ農村部を対象に,治水事業がどのように進められているか,そして2011年をはじめとする過去の洪水年において地域住民が洪水にどの様に対処してきたかを調査した.その結果,農業についてはタイ政府の治水政策に沿った作付け体系に移行したものの,その変化は米価の上昇に支えられた側面が強く,将来的には予断を許さないことが明らかになった.また氾濫水に適応した住居の構築ができない貧困層の存在や,農村集落における冠水状況を悪化させかねない市街化の進展など,抜本的な取り組みの求められる社会的課題の存在も明らかになった.
著者
藤井 進也
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

リズム知覚生成の個人差に関する音楽神経科学研究を実施した。iOS版ハーバード式ビート評価テスト(HBAT)の開発と信頼性評価を行い、リズム知覚生成の個人差をiPhoneやiPadで簡便に客観評価できる手法を開発した。核磁気共鳴画像法(MRI)・赤外線スペクトロスコピー(NIRS)による脳機能構造評価を実施し、HBATで評価したリズム知覚の個人差に小脳灰白質構造の個人差が関連していること、HBATでテンポ変化知覚を行う際、運動前野、補足運動野の脳活動が増大していることを明らかにした。さらにリズム知覚生成の国際文化比較を行い、日本人のリズム知覚生成の特徴を明らかにした。
著者
飯田 拓也
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

胎児や新生児の表皮細胞を使用しない、侵襲の少ない、簡便であるといった要件を満たした、臨床で施術可能な毛包再生のための培養毛乳頭細胞の移植法を動物モデルで確立した。また、毛乳頭細胞の毛包誘導を促進する培養法について、活性型ビタミンDを使用する方法を開発した。
著者
藤澤 太郎
出版者
桜美林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近代日本語文学圏内各地方の地域的な文学活動の研究、及び地域間の文学的交流の研究と中央の詩歌俳句結社のネットワーク網の研究とを結びつけ、中央・地方の相互交流・影響関係について明らかにしていくことを目指すものである。資料調査・収集については、事前・事後調査を合わせて47都道府県立の図書館・文学館について基礎的な作業を終えており、順次収集した資料の整理分析と成果公刊への準備を進めている。現時点では、山形県の詩人を中心としたネットワークについて『山形・詩人と詩誌の系譜―鈴木健太郎と『血潮』・『詩脈』』にまとめた他、各地の詩歌俳壇のネットワーク等に留意した成果物の準備を進めている段階である。