著者
村上 香
出版者
広島工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

アカモク原藻可食部の水溶性食物繊維含量は成熟に伴い増加し、成熟のピーク時は食物繊維の摂取に最適であった。一方、配偶子放出後の衰退期アカモクにも食物繊維が豊富に含まれており、持続可能な環境循環型食糧資源として活用が可能であることが示された。ラットへのアカモクの経口投与により、糞量・胆汁酸の増加と腸内細菌叢の変化が確認され、腸内環境改善が示唆された。さらに、血中総コレステロール(T-CHO)上昇モデルラットへの衰退期アカモクの調理・加工品の経口投与は、T-CHO上昇を90%抑制し、HDL-CHOを上昇させ、組織から肝臓へのCHO輸送を促進する脂質代謝への良好な影響が示唆された。
著者
藤澤 明
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ジョージアを含む南コーカサス地方での銅合金利用の歴史は古く、初期青銅器時代からの多くの資料が発掘されている。それらを収蔵しているのがジョージア国立博物館である。そこで、2014年より国立博物館と共同で、初期青銅器時代から鉄器時代までの銅合金製資料の調査を行った。その結果、検出された銅合金の種類は、砒素銅、青銅、銅-錫-砒素合金、真鍮であり、初期青銅器時代から初期鉄器時代にかけて砒素銅合金が検出されている。これまで当該地域においては、中期から後期青銅器時代の間に使用される銅合金が砒素銅から青銅に切り替わるとされてきた。しかし、砒素銅は初期鉄器時代に至るまで使用され続けたことが明らかとなった。
著者
遠藤 知弘
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、未臨界状態において直接測定しやすい量を有効活用することで、数値計算による核燃料の臨界安全性(実効中性子増倍率keff)の予測精度を向上することを目的とし、研究期間全体を通じて以下で述べる研究に取り組んだ。まず、遅発中性子先行核の効果を陽に取り扱ったω固有値方程式に対して一次摂動論を適用することで、任意の核データに対する即発中性子減衰定数αの感度係数について効率的な評価手法を新たに考案した。自作のエネルギー多群拡散計算およびSn法に基づく中性子輸送計算により、直接摂動法による感度係数の参照値と比較することで提案手法の妥当性を確認した。次に、運転停止中の京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)で測定された原子炉雑音(中性子計数の時間的揺らぎ)に対して、ブートストラップ法を活用したFeynman-α法によりα測定値を求めた。こうして得られたα測定結果を活用したデータ同化(バイアス因子法、炉定数調整法)により、核データに起因したkeff予測結果の不確かさが低減でき、数値計算における入力パラメータの一つであるウラン235核データ(核分裂スペクトル、ν値)の不確かさも低減できることを確認した。また、中性子計数率の時系列データを活用したデータ同化として、粒子フィルタ法による未臨界度の逆推定について検討した。粒子フィルタ法では、逆推定したい状態パラメータ(未臨界度など)にシステムノイズを与えた上で、一点炉動特性方程式に基づいた数値計算による予測を多数回実施し、実際に測定された中性子計数率との尤度が高くなるように、ベイズ推定により状態パラメータを逐次更新する。近畿大学原子炉およびKUCAで測定された中性子計数率の時間変化に対して本手法を適用することで、制御棒操作などに起因した未臨界度の変化を逆推定できることを確認した。以上の研究成果より、本研究の目的を達成することができた。
著者
恒石 美登里
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

膿栓をもつ者に他覚的な口臭があることは,経験的に知られている。しかし,膿栓と口臭との関連性は科学的に証明されていない。そこで本研究の目的は膿栓の表面の観察および構成する細菌を特定することで,膿栓と口臭との関連性を明らかにすることとした。口臭を主訴に来院し,同意の得られた6名の膿栓を調査した。採取した膿栓からDNAを抽出後,PCR法で増幅を行い電気泳動により16S rDNAに相当するバンドを回収した。大腸菌ベクターへ挿入後クローニングした16S rDNAにより遺伝子配列を決定後,菌種の同定を行った。また25歳男性の膿栓を滅菌キュレットで採取後,固定処理を行い乾燥後,白金で金属膜蒸着を行い走査型電子顕微鏡(S-900,日立製作所)で観察を行った。採取した膿栓は白色から薄い黄色を呈しており,表面は滑沢で米粒のような形状をしていた。扁桃腺の陰窩から膿栓を採取した際には,出血や痛みなどの臨床症状も認めなかった。走査型電子顕微鏡で,表層を拡大してみると菌が絡みあって構成されている様子が確認できた。膿栓表層をさらに倍率をあげて確認すると,球菌が多く観察された。膿栓を半分に切断した横断面では,球菌はほとんど見られずスピロヘーター様の細菌や桿菌が多く観察された。膿栓を構成する菌の同定結果から,6名全員一致して検出された属は,Prevotella属であった。全員から一致して検出される菌種はなかった。また,6名の膿栓の全てに揮発性硫化物を産生する細菌が含まれていた。この結果から,膿栓が口臭の原因物質を産生し,口臭の原因となりうることが示唆された。また,電子顕微鏡による観察から,膿栓の表層には好気性や通性嫌気性の細菌が分布し,膿栓の内部に偏性嫌気性菌が存在することが想像され,膿栓をつぶすとにおいがする理由の一端が明らかになった。
著者
扇谷 昌宏
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

・ヒト末梢血単球からミクログリア様細胞を作製する手法を確立した。・精神疾患を含むミクログリア病において、細胞機能の異常が見られた。・本技術は今後のミクログリア研究に有益なものとなる可能性が示唆された。
著者
空田 朋子
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、保育園における医療的ケア必要児の保育実態を明らかにすることである。医療的ケア必要児の保育実態調査の結果、医療的ケア必要児の医療への依存度の高さや看護師の雇用形態によって、看護師と保育士の保育における役割の割合に違いはあるが、どの保育園においても看護師と保育士が連携しながら、医療的ケア必要児の保育を行っていることが分かった。保育園で医療的ケア必要児の保育を行うには、保育園で働く保育士が安心して保育が行えるように、訪問看護の活用も取り入れた看護師確保方法を検討し、保育士が医療的ケア研修を受けられるような保育現場の体制を整備する必要が示唆された。
著者
平田 正吾 奥住 秀之 国分 充
出版者
茨城キリスト教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

自閉症スペクトラム障害(ASD)児における不器用すなわち運動スキル障害の特徴について、国際的によく知られた運動アセスメントであるMABC2を用いて評価すると共に、その成績の個人差に関わる要因について探索的に検討した。重篤な知的障害のないASD児を対象とした一連の測定の結果、ASD児における運動スキル障害の個人差は、彼らの自閉症特性や内部モデルの機能水準などと関連することが明らかとなった。また、ASD児の運動課題遂行の様相を分析したところ、運動要素間の移行がスムーズでない可能性が示唆された。更に年齢縦断的に見ると、ASD児におけるMABC2の低成績は改善する場合もあることが明らかとなった。
著者
中村 泰介 中村 公美子 松原 英樹 ANTONIO Solana SEVILLA FC
出版者
聖トマス大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の調査を終えて、フランス(フランス国立サッカー学院(I.N.F.))、スペイン(SevillaFC)のサッカー指導現場における「パスアンドゴー」のプレーのトレーニング及びコーチングは常に「技術」と「戦術」が〓がったもの、或いは一つとして捉えられており、さらにスペインではそこに「フィジカル」「メンタル」の要素が包含されているものであった。日本においても同様の認識はなされてはいるものの、「戦術」へ〓がる「技術」の習得、或いは「戦術」の中で必要となる「技術」、といった指導者のコーチングの認識レベルをさらに高めていく必要性があり、そのことが選手のプレーを世界水準へと飛躍させる一つの手がかりになると考える。
著者
鍵和田 賢
出版者
福島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、異なる信仰の者同士が、紛争を経つつもいかにして「共存」のシステムを構築していったのかを、近世神聖ローマ帝国都市ケルンを対象に明らかにしていくことである。とりわけ、各地域の紛争を調停する立場にある帝国諸機関が当該紛争に対してどのように介入していたのかを明らかにする。本年度の研究の目的は、18世紀初頭に発生した宗派紛争である「居留民条令改訂問題」に関わる史料を分析し、成果を発表することであった。この紛争はケルン都市参事会による当条令の改訂に対し、それを不服とするプロテスタント住民が参事会を相手取り帝国機関に告訴したものである。分析の結果として、帝国最高法院での訴訟には長い時間と多額の費用を要するにも関わらず原告であるプロテスタント商人は訴訟を継続し、最終的に判決が下されなかったため更に帝国議会への請願まで行ったことが明らかになった。このような原告側の行動の意図として、訴訟が継続している期間中について自らに不利な新条令の施行を停止させる一種の「時間稼ぎ」である可能性が想定され、帝国機関による最終的な判決を必ずしも必要としていなかったことが明らかになりつつある。一方被告となった都市参事会は、「居留民条令改訂問題」についてプロテスタント商人が帝国最高法院への上訴を行うことに関して、上訴の必要性を否定する立場をとった。最終的に上訴は実行され、参事会も訴訟に応じたが、上訴に先立って原告・被告間で頻繁な接触が行われていたことが分かる。さらに、訴訟の継続中に参事会は条令の一部を修正して再発布するなど、法廷外で原告との妥協を図ろうとしたことが明らかになった。これらの分析の結果から、宗派紛争における帝国諸機関の役割として、最終的な判断を下すことよりも妥協のための環境を整備することが重要であった、少なくとも紛争当事者はそのように捉えていた可能性が明らかになりつつある。
著者
山口 範晃 駿河 和仁
出版者
長崎県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

肥満を発症するOLETF ラットの脂肪組織では、幾つかのビタミンA代謝関連遺伝子が変動した。特に、レチノイン酸合成酵素RALDH1遺伝子発現および脂肪組織中のレチノイン酸含量が減少していたことから、肥満状態ではレチノイン酸合成能が低下する可能性が示唆された。また、マウスの脂肪細胞3T3L-1細胞を用いた実験では、βカロテンを添加して培養したところ、その細胞の分化・成熟が抑制された。その機序として、核内受容体PPARβ/δを介して誘導されている可能性が示唆された。
著者
小林 雄一郎
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2017年度は、申請書に記した研究計画に則り、ライティングおよび自動採点および自動フィードバックに関する先行研究の調査と整理にあたった。その作業の結果、本研究課題と関連し、学術的にも有用であるものを選定し、2018年度中にliterature review論文を投稿・発表する予定である。また、ライティングの自動評価に向けて、語彙や文法に関する項目だけでなく、談話に関する項目に関する研究を行った。具体的には、母語と習熟度の異なる学習者のデータを定量的に分析することで、ライティングにおける談話能力の発達と、発達過程における母語の影響を調査した。この調査に関しては、Corpus Linguistics 2017で研究発表をしたのち、Journal of Pan-Pacific Association of Applied Linguisticsに論文として発表した(Developmental patterns of metadiscourse in second language writing)。そして、自動評価に関する技術的な研究として、Conference of the International Federation of Classification Societies 2017において、機械学習を用いたテキスト分類に関する発表を行った(Automated speech scoring: A text classification approach)。統計学・情報科学のオーディエンスが多く来場し、言語学・言語教育の学会とは異なる議論や情報交換ができ、有益な示唆を得た。
著者
桐原 健真
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、18世紀末から19世紀中葉にかけて「帝国」ということばを用いた日本知識人における自他認識の転回に光をあてることである。「帝国」は古典的な漢語ではなく、18世紀末に蘭学者が、オランダ語keizerrijkから翻訳した新しいことばである。日本知識人の多くは、「帝国」のステータスを、「王国」や「公侯国」といった他のいかなる君主国よりも優越していると考えた。儒学的教養を身につけたこれら知識人は、「皇帝」が他の君主たちよりも優越していることを知っていたので、彼らは、中国古典に見いだせないこの新奇なことばを、たやすく受け容れることができたのである。彼らにとって幸いであったのは、ヨーロッパにおいて刊行された多くの地理書が、「日本は帝国である」と叙述していたことである。翻訳書を含むこれらの書籍おいて、こうした記載を読んだ日本知識人は、日本の優越性と独立性を確信するようになった。日本排外主義が、海外の書籍によって形成されたことは、まことに皮肉であったと言える。
著者
薮田 ひかる 甘利 幸子 デイビッド キルコイン
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、隕石中の始原的希ガス" Qガス"の担体とされる正体不明の炭素化合物" phase Q"を同定するための新たな戦略として、適切な化学・物理的分離法を施しQガスを濃集させた隕石中の炭素質物質を、走査型透過X線顕微鏡(STXM)を用い分析した。その結果、Qガスに富む炭素成分はsp^3炭素に富む分子構造を有することが明らかとなった。
著者
大倉 沙江
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、政治エリートとのネットワークや財政基盤などのリソース面で「弱い少数者」であるマイノリティ集団の利益が実現するための条件とその因果メカニズムを明らかにすることである。2017(平成29)年度は、研究実施計画にもとづき、マイノリティの政治参加に関連した基礎的な資料の収集と文献調査を進めるとともに、関係者に対するインタビュー調査を実施した。また、2018(平成30)年度に予定していたアンケート調査の一部を前倒しして実施した。なお、本年度は、マイノリティのなかでも障害者と女性に対象を絞って研究を行った。基礎的な資料の収集については、国内の学術研究機関に加え、最高裁判所や厚生労働省などの公的機関と連絡をとり、障害者の政治参加の実態や政策の動向についての文献やデータの所在を確かめた。また、データの一部については、すでに提供を受けた。さらに、学術研究機関の有識者、政府関係者、メディア、民間企業等から当該テーマに関する情報を多角的に入手し、吟味することで、状況の理解、精査に注力した。インタビュー調査については、2017(平成29)年7月~8月、2018(平成30)年1月の2回にわけ、障害がある議員、障害者団体の関係者、その支援者(弁護士など)に対して実施した。障害者の政治参加の実態、歴史的経緯などについて、立体的に情報を得ることができた。また、研究実施計画では2018(平成30)年度に予定していた「障害がある有権者に対する調査」および「障害がある議員に対するアンケート調査」を本年度に前倒しして実施した。「障害がある有権者に対する調査」は、株式会社ゼネラルパートナーズ・障がい者総合研究所との共同調査である。2018(平成30)年度は統一地方選挙の準備の年にあたるため、議員やその支援者の協力が得られにくくなると考えられるための措置である。
著者
玉井 利代子
出版者
奥羽大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

口腔常在の真菌であるCandida albicans加熱死菌(HKCA)またはC.albicansから抽出された水溶性マンナン・グルカン複合体(CAWS)による、歯肉癌上皮細胞と歯肉線維芽細胞の接着分子β1インテグリンとICAM-1発現の増強はみられなかった。さらに、HKCAまたはCAWSによる前処理による歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisの、歯肉癌上皮細胞と歯肉線維芽細胞への接着の増加はなかった。しかしながら、HKCAまたはCAWSによる前処理によって、P.gingivalisの宿主細胞への侵入が著しく増加した。
著者
花田 真吾
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、世界的に進展している国際人的交流・知識交流の主要な場である高等教育セクターにおいて、どのような交流がおこなわれており、それがどのような効果をもたらしているのかについて実証的に分析することを目指している。具体的には次世代の社会を担う存在である学生に着目し、学生を主体とした人的交流や知識交流が学生個人の成長や高等教育機関の教育・研究活動にもたらす影響について質的・量的に明らかにすることを目的としている。平成29年度の研究実績の概要としては、主に次の点があげられる。第一に、理論研究については、初年度におこなった先行研究調査を踏まえ、異文化理解・多文化共生社会研究が進んでいるカナダの高等教育機関を訪問し、現地研究者との研究会をおこなった。その成果の一部を共著書籍にまとめて刊行した。第二に、現地調査においては、国際人的交流の事例として中国、マレーシア、ベルギーのブランチキャンパス本務校に調査をおこなった。次年度はブランチキャンパスに所属する研究者・学生への調査をおこなう手配が整っている。第三に、国際人的交流の一つである留学を取り上げ、留学が参加学生の異文化理解や渡航国・地域の人々との相互理解の進展にどのように寄与しているのかについて実証分析を進め、その結果についてはアメリカ合衆国の異文化理解関連の学会にて発表をおこなった。これをベースに次年度の成果物の発信につなげていく予定である。第四に、昨年度の現地調査の結果の一部について共著書籍にまとめて刊行した。
著者
日野 こころ
出版者
明治国際医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

特徴の異なる頻尿モデルラットを作製し、シストメトリー法による蓄尿・排尿機能に対する仙骨部鍼刺激の効果について検討した。酢酸、塩酸、シクロフォスファミド(CYP)誘発頻尿のうち、CYP誘発頻尿においては排尿間隔(ICI)の変化がなく、頻尿誘発機序の違いが仙骨部鍼刺激の効果に影響する可能性が考えられた。酢酸誘発頻尿モデルラットに対する灸刺激は、下腹部の方が仙骨部よりもICIは延長する傾向にあり、鍼刺激との刺激様式の違いが影響している可能性が考えられた。カンナビノイド(CB1)受容体阻害薬によって仙骨部鍼刺激によるICI延長の効果は消失し、鍼刺激の効果機序にCB1受容体が関与する可能性が示唆された。
著者
片岡 祥
出版者
西南学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

恋愛内で生じる束縛が関係性に及ぼす影響について、束縛の強度の違いという観点から検討した。研究1では項目反応理論を用いて,「弱い束縛」因子と「強い束縛」因子からなる束縛尺度の開発を行った。束縛尺度は概ね許容できる信頼性と妥当性を示した。開発した束縛尺度を用いて,研究2では弱い束縛と強い束縛が恋愛関係に及ぼす影響について検証した。分析の結果,弱い束縛は恋愛関係にポジティブな影響を及ぼすものの,強い束縛はネガティブな影響を及ぼす可能性が示唆された。恋人に対して生じる支配的な行動の1つである束縛が支配であると捉えられにくい理由として,束縛の強さによってその影響が逆方向であるためであることが示された。
著者
榎本 剛
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

梅雨前線は,時間的にも空間的にもさまざまなスケールの現象から成り立っている。梅雨期は雨の多い期間であるが,同じような天候が日々持続するのではなく,活発期と不活発期がある。活発期には発達したメソ擾乱やそれに含まれる対流セルにより局地的な降水がもたらされ,不活発期には前線自体が不明瞭になる。本年度は,梅雨前線の消滅と再形成に着目し,そのメカニズムや予測可能性について調べた。分析したデータはAFES(地球シミュレータ用大気大循環モデル)を用いた高解像度(水平解像度約20km)シミュレーション及びALERA(AFES-LETKF実験的再解析)である。2005年6月下旬,梅雨前線の北上が遅れ,日本の南岸に停滞していた。6月26日前線は亜熱帯高気圧の強化に伴って,急に消滅した。華中で小低気圧が発生し,黄海,朝鮮半島から日本海へ進み,梅雨前線が再形成された。データを詳しく分析したところ,以下のことが明らかになった。亜熱帯高気圧の強化は西から伝播してきたロスビー波束によるものである。梅雨前線は亜熱帯高気圧の発達に伴って,暖かく湿った南西流が梅雨前線に収束しなくなり弱化していった。一方,偏西風の蛇行に伴ってできた大陸上の気圧の谷で低気圧が形成され,これが日本海上に進みながら,下層の不安定と結合し新たな梅雨前線を形成した。この現象に伴う流れの不確定性についても調べた。梅雨前線上の小低気圧には不確定性が伴っている。梅雨前線の消滅に前後して,南西流の先端で不確定性が増大していた。また,大陸上の低気圧発生に伴う不確定性の増大も見られた。今年度は、梅雨前線にとって重要である水蒸気の移流を精密化することを目的として,新たな空間内挿スキームを考察し,その精度について示した。本課題では,地球シミュレータ上の高解像度全球シミュレーションや再解析データ等を用いて,いくつかの事例について,梅雨前線の活動がアジア大陸上空を流れる偏西風に沿って伝播するロスビー波束の影響を受けていることを示すことができた。
著者
上地 宏一
出版者
大東文化大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

漢字字形データベースの運用、対外的な公開およびデータの追加収録を行った。国際文字コード規格等で規定される全 9 万漢字・異体字を含む 31 万種の字形を収録するまでに至った。登録字形データを動的に呼び出し表示するための機能を構築し、様々な漢字・異体字を含む Web ドキュメントを容易に作成できることとなった。登録されている大量の異体字を利用時に弁別するための基礎データとなる「漢字異体化データベース」をまとめた。