著者
山尾 泰 梅田 成視 大津 徹 中嶋 信生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.10, pp.1364-1373, 2000-10-25
参考文献数
26
被引用文献数
123

携帯電話に代表される移動通信サービスの急速な普及は, 人々のライフスタイルを大きく変えつつある.また社会の情報化の著しい進展に伴い, 21世紀の移動通信においては, 従来支配的であった電話によるトラヒックから, データ/マルチメディアのトラヒックへと比重が大きく移行し, 移動通信システムの高速・大容量化が必須となると考えられる.本論文では, このような社会・経済環境の変化に対応できる第4世代の移動通信システムについて, その課題と性能・機能面での要求条件について考察する.またこれを達成するうえで必要な技術課題, 特に無線システムを中心とした課題について展望する.
著者
中嶋 信生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.666-679, 2001-04-01
被引用文献数
28

携帯電話は, 総加入数がPHSも含めると我が国の総人口の50%を超えた今でもなおiモード人気等で増加を続け, 更に2001年からは本格的マルチメディア通信を可能とするIMT-2000がスタートするなど, 今後も通信トラヒック量はますます増えるであろう.一方, 周波数資源は有限で, 新たな通信需要を賄うためにはより高い周波数帯の開拓か新技術開発を行わざるをえない.無線伝送技術としての周波数利用率の向上はこれまでめざましいものがあったが, 限界に近づきつつある.抜本的な容量増大の鍵を握る技術の一つがアダプティブアレーアンテナである.所要送信出力の低減もアダプティブアレーの大きな特徴である.指向性制御等の基本技術が進歩してアダプティブアレーは, 理論的に優れた性能が得られるようになってきた.残るのは実用化にかかわる諸問題の解決である.ただし, この問題が非常に難しくて, これまで移動通信におけるアレーアンテナの普及を阻んできた.本論文では, 様々な角度から実用上の問題の所在を明らかにし, 今後アレーアンテナ実用化に向けて検討すべき方向を明らかにするよう試みた.我が国における最近の研究開発動向も紹介している.
著者
唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.1706-1720, 2003-09-01
被引用文献数
89

本論文では,MIMOチャネルの情報伝送能力の鍵を握る電波伝搬を対象として,そのチャネルモデリングの研究を概観する.MIMOチャネルはチャネル応答行列の特異値分解により固有値の大きさに応じた独立のパスをもつ等価回路として表される.そのパスの大きさは,送受信双方の周囲の到来角プロファイルとともに,その途中の伝搬構造にも依存する.またアダプティブな制御においては不安定問題が内在し,隠れた難しさがある.これらの項目を取り上げ,最後に,電波伝搬の視点からのMIMOの研究課題を挙げる.
著者
守倉 正博 松江 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.1918-1927, 2001-11-01
被引用文献数
49

IEEE 802.11ワーキンググループは2.4GHz帯及び5GHz帯無線LAN標準規格を定めている団体である.近年, IEEE 802.11b準拠無線LANが, 有線イーサネットと同等な11Mbit/s伝送速度を達成できることから, 急速にオフィス環境や家庭内ネットワークとして普及しつつある.本論文では, 2.4GHz帯無線LAN規格についてIEEE 802.11b規格を中心に解説を行い, 現在更なる高速化標準が審議中のIEEE 802.11g規格について述べる.また, 今後広帯地域無線アクセス手段として広く用いられる5GHz帯無線LAN規格についてはIEEE 802.11aを中心に解説を行い, 欧州への適用を考慮したIEEE 802.11hの審議状況について概説する.
著者
泉井 良夫 渋谷 昭宏 浅井 光太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.95, no.11, pp.1378-1387, 2012-11-01
被引用文献数
1

本論文では,スマートグリッドとその中におけるセンサネットワークのかかわりを述べる.まず,スマートグリッドの背景と目的,並びに電力系統システムとしての課題を説明する.次に課題解決のための対応策実現に際して電力系統側や需要家の様々な対象と情報のやり取りを行うが,これは事実上,センサネットワークとみなせることを述べる.その一つとして自動検針システムにおけるスマートメータを結ぶ無線メッシュネットワークの事例を紹介する.その後,ネットワークの更なる高速大容量化とともに,スマートグリッドからスマートコミュニティへの将来展望を議論し,スマートグリッドとセンサネットワークにかかわる標準化についても触れる.
著者
小林 英雄 森 香津夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.256-268, 2005-01-01
被引用文献数
12

OFDM通信方式は,周波数軸等化方式の採用により多値QAM等の高能率変調方式の同期検波が可能となり,マルチパスフェージング環境下において高速度・高品質のデータ通信の提供を可能としている.これらOFDM通信方式の優れた特性を達成するためには,マルチパスフェージング環境下における周波数軸上の伝送路特性を高精度に推定する必要がある.本論文では,これまでに提案されている離散フーリエ変換(DFT)を用いた伝送路推定方式の問題点について明らかにし,これら問題点を解決する解散コサイン変換(DCT)を用いた伝送路推定方式について提案する.また,0FDMAやMIMOシステム等での利用が検討されているスキャタードパイロットを用いた伝送路推定方式に対して適用可能なDCT法を用いた周波数軸補間法についても提案する.本論文では,提案方式の有効性について計算機シミュレーション結果より実証する.
著者
小松崎 彰 斎藤 茂 行田 弘一 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.381-390, 2002-03-01
参考文献数
14
被引用文献数
20

エスパアンテナは,装荷された可変リアクタのリアクタンスを変化させることで指向性を制御できるアレーアンテナである.このリアクタンス最適化に対して,ハミルトン力学に基礎をおく高次元アルゴリズムを適用する.この手法は,未知変数(リアクタンス)を質点座標に対応させ,コスト関数をポテンシャルエネルギーに対応させた等価的な力学系を考え,質点の軌跡を追跡することによって最適解を求める手法である.コスト関数の局所的形状を用いず,質点が解領域へ移動しやすくなるという自律的運動の性質を利用するため,局所解にとらわれないという特徴をもつ.指定した方位角の利得を最大にするという目的を設定し,4変数(5素子)及び8変数(9素子)の計算例を示す.従来のモンテカルロ法のようなランダム探索と比較して,4変数においては同等の最大利得9.1dBi±0.5dBが得られる最適リアクタンスを1/5の更新回数で見つけることができ,8変数においては0.2dB高い最大利得10.5dBi土0.2dBが得られる最適リアクタンスを1/10の更新回数で見つけることができる.リアクタンス更新1回に要する計算時間はどちらの方法でも電磁界計算1回の計算時間と同等であるため,速さの比較においても4変数において5倍,8変数において10倍である.
著者
森田 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1515-1522, 1999-08-25
被引用文献数
7 6

近年, 環境問題の対策として電子通信機器用電源に対して省電力や低ノイズの重要性が指摘されている. 本論文では, これらを満足するソフトスイッチング電源を実現できたので報告する. 製作した電源のノイズレベルは公的に決められているCISPRのClass-Bの伝導ノイズ規制値よりも更に30dBも低く, 輻射(ふくしゃ)ノイズも非常に低い. また低ノイズスイッチング電源を製作するときに増加しがちな漏洩(ろうえい)電流も0.2mA以下に抑えることができ, 更に電力効率も今までの方式に比べて5%程度良好になった. 回路方式は, ハーフブリッジ方式で構成され, ソフトスイッチングで動作し, メイン回路の部品点数も非常に少ない. またトランスは漏洩インダクタンスを利用できるので, 1次2次間の巻線を分離して巻くことが可能で, 1次2次間の浮遊容量を非常に小さくすることができた. このためノイズが発生しても発生したノイズが外部に伝わりにくいという特徴をもっており, 超低ノイズスイッチング電源に特に適している. 特に, ここでは, この超低ノイズ電源の動作原理, 動作解析, 発振周波数特性, 効率特性, ノイズデータ等を紹介するとともにノイズ発生のメカニズムとその低減法について説明する.
著者
笹森 崇行 澤谷 邦男 安達 三郎 村井 泰仁 小川 正浩 井口 勝弘 西山 光生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.645-652, 1999-04-25
被引用文献数
12 3

架空送電線の工事や保守作業を行うときには, 感電事故を防ぐために作業回線の送電を停止するとともに, 商用周波数の誘導電流による感電対策のために電線を鉄塔に接地する. しかしながら, このような接地による誘導対策を行ってもラジオやテレビの放送所の近傍にある送電線では, 送電線上に大きな誘導電流が流れる場合があることが, 以前から指摘されてきた. そのために, 放送所近傍の送電線については放送が行われていない深夜などに作業を行うのが実状であった. しかしながら, このように送電線に放送波が強く誘導される場所は極めてまれであるために, 放送波による誘導現象を詳しく研究した例は現在までになかった. 本論文では, 放送波による大きな誘導電界が発生する場所を取り上げ, 誘導現象をモーメント法によって解析する. まず, 誘導電界の周波数特性を求め, 送電設備が多くの周波数で共振していることを示す. つぎに, 四つの共振周波数において, 地線を含む各送電線上を流れる誘導電流を求めることにより, 送電設備の共振構造を明らかにする. また, 放送波による誘導が発生する送電線の場所を予測する方法について考察する.
著者
川端 学 朝生 雅人 斎川 貴彦 服部 武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.285-291, 2004-02-01
参考文献数
13
被引用文献数
20

近年,携帯電話の普及に伴い,位置情報に基づく様々なサービスの要求が高まっている.測位演算に用いる位置に依存する情報としては,TOA(Time of Arrival),TDOA(Time Difference of Arrival),電界強度(Signal Strength),AOA(Angle of Arrival)が考えられている.今後,普及することが予想される第三世代以降の携帯電話においては,通信速度の高速化に伴い,ヂップの分解能が高まり,より高精度で信号の到来時間が測定可能となる.そこで,本論文においてはTDOAシステムの位置検出性能について評価・検討を行う.遅延波プロファイルとして指数分布を仮定し,最ゆう推定法に基づく位置検出アルゴリズムの定式化を行う.次にシミュレーションにより,TDOAシステムにおける最ゆう推定法と既存の手法との位置検出精度を比較する.更に,複数の環境下において最ゆう推定手法の位置検出精度を評価する.
著者
江頭 広三 西山 英輔 相川 正義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.798-804, 2003-05-01
被引用文献数
17

本論文では,誘電体基板の両面に複数種類の伝送線路を配置する「両平面回路」技術をアレーアンテナ給電系に適用することを提案する。すなわち,ここでは誘電体基板の表面にマイクロストリップライン,その裏面にスロットラインを配置して,互いに電磁結合させることにより新たな給電系を構成している。更に,この給電系を用いた4素子アレーアンテナについて,試作・実験を行った。その指向性を測定した結果,放射素子への鏡面対称給電による相補性の効果が得られ,不要な交差偏波を大幅におさえた良好な特性を確認した。
著者
原 嘉孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1329-1343, 2001-07-01
被引用文献数
22 4

高効率な信号処理に基づくCDMA(Code Division Multiple Access)基地局用アダプティブアレーアンテナを提案する。本方式では, SMI(Sample Matrix Inversion)アルゴリズムに基づきウエート制御を行うが, 逆拡散前の信号に対して相関行列演算を行うことにより, ユーザ間で相関行列の共通化を実現している。このような構成により基地局でのウエート演算量を低減できる。また, チップごとに相関行列演算を行えるため, 従来型SMI方式以上の高速ウエート制御も可能となる。性能評価の結果, 提案方式は演算量とBER(Bit Error Rate)特性の両面で従来方式よりもよい性能が得られることが明らかとなった。また, 提案方式では相関行列をチップ非同期のユーザ間で共有するが, チップ非同期による性能劣化はほとんど生じないことを確認した。
著者
須田 達也 板生 知子 中村 哲也 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.310-320, 2001-03-01
被引用文献数
14 6

本論文では, IT2に代表される新しいネットワークパラダイムの考え方を背景に, オープンなネットワーク環境におけるサービス創発のための適応型ネットワークアーキテクチャ:Jack-in-the-Netを提案する.Jack-in-the-Netでは, 複数の自律的なシステム構成要素であるサイバーエンティティ(CE:Cyber-Entity)の間で, 柔軟で可塑的なインタラクションを行うことによって適応型サービスを提供する.CEは自らを取り巻く環境をセンシングする能力をもち, 状況に応じてインタラクションを変化させたり, 移動, 交配, 死などの生物的動作を行う.複数CE間のインタラクションの結果, 集団としての望ましい動作や秩序が生まれ, 新しいサービスを創発する.そして, 創発によって多様化したサービスとその自然淘汰を経て, サービスが進化する.Jack-in-the-Netにより, ユーザの日々の生活シーンやマスの傾向の変化に追従できるサービスの創発が可能になる.
著者
大久保 寛 佐藤 慎也 竹内 伸直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.837-840, 2005-04-01
被引用文献数
16 1

落雷による電磁界の時間波形を観測する場合, 電磁界の伝搬経路中の大地の影響により観測波形が変歪する.本論文では, FDTD法を用いて大地を有限の導電率を有する媒質とした場合を計算し, 観測される波形のピーク時間への影響を解析している.
著者
松田 和政 中山 英久 加藤 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.166-176, 2010-02-01

Web会議やIP電話の普及により,ストリーミング配信におけるセキュリティ確保がますます重要となっている.しかし,P2Pネットワークや通信路の暗号化といった新たな通信技術の普及により,既存のセキュリティ技術でのパケットフィルタリングなどでは完全な通信制御ができない場合がある.そこで,我々のグループでは以前に,ルータにおいてストリーミング動画のトラヒック量を記録し,そのパターンをマッチングすることにより,該当する動画がネットワークを流れているかどうかを判定する手法を提案した.この手法ではパケットの中身を解析することなく,秘匿すべき動画の外部流出を検知することができる.しかし,既提案手法ではパケットの遅延変動が著しく増大すると,正しい比較を行うことができない場合があった.本論文ではこれを考慮し,動的なトラヒックパターン生成方式を用いた遅延変動にロバストなストリーミング動画検知手法を提案する.更に,マッチング手法として動的計画法を導入し,パケットロス時に発生するパターン長の伸縮問題にも対応している.提案手法は,既提案手法に比べて精度・再現率などの点で大幅な性能向上を達成した.
著者
唐沢 好男 篠澤 政宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.90-96, 2002-01-01
参考文献数
8
被引用文献数
12

サブバンド信号処理型アダプティブアレー(SBAA)のメリットは分割したサブバンドことに並列信号処理ができることであり, トータルとしての計算量も大幅に軽減できることである.一方, その代償として遅延波の取込み能力などの性能面での低下が免れず, その問題解決が必要である.そこで, 本論文では, OFDM方式のなかで取り入れられているガードインターバル(サイクリックプレフィックス)付加の仕組みを, 通常のデータ伝送に取り入れ, 上記SBAAの性能を極限にまで引き出す方法を提案する.また, その性能を計算機シミュレーションによって評価する.
著者
早川 正士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.1036-1045, 2006-07-01
被引用文献数
13

近年地震に伴って各種の電磁気現象が発生することが報告されている.すなわち,地圏から直接放射する電磁気現象や地震に伴う大気圏や電離圏のじょう乱などである.本論文では,地震の短期予知の観点から極めて注目されている二つの観測項目;(1)ULF電磁放射(地圏から直接放射される極低周波電磁放射);(2)電離層じょう乱(VLF/LF送信局電波の伝搬異常として検出)を取り上げ,その計測手法や最新の成果までをレビューする.
著者
小川 晃一 高田 潤一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.852-865, 2000-06-25
被引用文献数
43

本論文では, ホイップアンテナと板状逆Fアンテナによって構成された携帯電話用ダイバーシチアンテナについて, それを所持する人体の電磁的影響を考慮して求められるブランチ間相関及び実効利得性をπ/4シフトQPSKの相関係数及び不等中央値として使用することにより, アンテナ特性が影響するシステム利得である移動局のダイバーシチ利得とアンテナ実効利得の両者を同時に評価する指標として, ダイバーシチアンテナ利得(DAG:Diversity Antenna Gain)を新たに導入し, 携帯電話用ダイバーシチアンテナの実効性能と外部環境, アンテナ構成パラメータ及び人体の影響を定量的に評価した.ダイバーシチ合成法としては, 現行ディジタル携帯端末(PDC方式)に用いられている高周波段での切換合成の上限特性を与える検波後選択合成受信(遅延検波), 及びより高い性能が期待できる最大比合成受信(同期検波)の2通りについて解析した.900MHz帯において, ホイップ長, 鉛直方向からの傾き角, 人体と端末の距離, 到来波の状況とダイバーシチアンテナ利得の関係を解析し, これにより, 携帯電話用ダイバーシチアンテナの使用状態における実効性能を調べ, 高いアンテナ性能を得るための条件を具体的に示した.
著者
澤井 亮 原田 博司 白井 宏 藤瀬 雅行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1187-1197, 2001-07-01
被引用文献数
3

一つの機器で複数の無線通信システムの同時処理を可能にするマルチモード・マルチサービスソフトウェア無線通信(MMSR:Multi-mode & Multi-service software Radio communications)システムが提案されている。本論文では, このようなシステムを一つのシステムクロックを用いて省スペースに実現する方法として, 稼動するシステムのシンボル(チップ)レートに応じてシステムクロックを決定し, その一つのシステムクロックをすべてのシステムに効率良く配分する適応マルチサンプリング処理法を提案する。提案方式の評価には, 将来的なITSサービスに向けたMMSR無線機を設計し, 白色ガウス雑音及び1波のレイリーフェージング環境下におけるビット誤り率について計算機シミュレーションを用いて評価する。
著者
米林 順平 高松 昇三 齊藤 一幸 高橋 応明 伊藤 公一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.297-299, 2011-02-01

筆者らは,呼吸検出用ドップラーレーダの性能を評価するため,人体の腹部運動を模擬したダイナミックファントムを開発した.また,ダイナミックファントムと人体の測定によって得られる出力波形を比較することで,ダイナミックファントムの妥当性を示した.