著者
柴田 昌典 太田 匡宣 青木 隆成 多和田 英夫 谷口 信吉
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.589-594, 2007-07-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
18

維持透析患者100名 (慢性腎炎55名, 糖尿病性腎症45名) と対照患者137名の皮膚の色調をコニカミノルタ社製の分光測色計CR-400®で定量的に測定した. 透析患者では有意に皮膚の明度が低く (p<0.01), この低下と年齢とは相関がなかったが, 維持透析の継続期間の長さとは有意の相関がみられた (p<0.01). 糖尿病性腎症による患者にくらべ, 慢性腎炎の患者の皮膚の明度は有意に低かった (p=0.0005). 維持透析患者にみられる皮膚の色素沈着が糖尿病性腎症患者では軽度である理由は不明であるが, インスリンがMSH代謝へ及ぼす影響の可能性につき述べた.
著者
春山 直樹 柳田 太平 西田 英一 安永 親生 原 由紀子 安達 武基 椛島 成利 田村 雅仁 柴田 英治 合屋 忠信
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.329-333, 2010-03-28
参考文献数
23

症例は37歳,女性.平成11年9月にIgA腎症からCAPDを導入された.平成17年3月より挙児希望から近医で体外受精―胚細胞移植(IVF-ET)を始め,同年9月より週1回血液透析を併用した.平成19年3月に3回目のIVF-ETで妊娠6週を確認することができた.その後,血液透析を週2回5時間併用として貧血,透析量の管理を行っていたが,妊娠14週より週3回各5時間の血液透析へ完全に移行し,徐々に透析量を増やした.妊娠17週に切迫早産と診断されて,近医大学病院に入院した.妊娠32週で胎児は生下に十分耐えうる大きさとなり,帝王切開で2,284 gの健康な女児を出産した.その後母体,出生児ともに合併症なく,妊娠36週で退院となった.その後血液透析を継続していたが,母親は育児のためにCAPDの再開を希望した.腹腔洗浄を試みたが,カテーテルは子宮の圧排で上腹部へと転位し注排液不可能だった.そこで腹腔鏡下にカテーテルの整復術を行い,CAPDを再開することができた.CAPDの妊娠は,透析液による腹腔内の高浸透圧環境が卵子の着床に不適であるとされており,体外受精―胚細胞移植がより確実かもしれない.また,本症例のように腹膜透析導入後7年経過し,残存腎機能のない症例においては,妊娠早期より血液透析を併用,ないし一時的な移行が必要と思われた.
著者
林 一美
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.339-345, 2007-04-28
参考文献数
18
被引用文献数
1

石川県の透析センターにおける要介護透析患者の実態を把握することを目的とする実態調査を行った. 県内の透析センター36施設に勤務する透析看護責任者を対象に質問紙を配布し, 回答結果より, 透析看護について検討した. 要介護透析患者の30.0~42.6%は要支援・要介護1の軽症者であり, 23.7~40.7%の者が要介護2~5の, 身の回りの世話全般にわたり, なんらかの介護を要する者であった. 透析患者総人数の11.4~19.1%は移動障害があった. また透析患者で認知症状・意思疎通障害者は, 5~10%前後であった. 透析患者の81.0~90.5%が自宅通院者であった. 他施設・他病院から外来通院している患者は, 2%前後と少なかった. 以上のことから, 石川県においては, 透析患者の施設入所や他病院の受け入れは難しい状況にあり, 要介護透析患者や機能障害者は, 在宅サービス活用と家族の支援によって, できるだけ透析療養を継続していくことが必要であると明らかになった. 今後は要介護透析患者の看護において, 透析療養における在宅サービス活用と, 家族ケアの重要性に着目していくことが示唆された.
著者
永野 伸郎 安藤 哲郎 筒井 貴朗 溜井 紀子 伊藤 恭子 下村 洋之助 小川 哲也 安藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.519-533, 2013-06-28 (Released:2013-07-09)
参考文献数
90
被引用文献数
1

二次性副甲状腺機能亢進症(2HPT)の発症機序は,“腎機能が低下すると副甲状腺ホルモン(PTH)分泌が亢進し,尿中リン(P)排泄が増加することで高P血症の発症が回避されるものの,代謝性骨疾患の対価を支払う”とするtrade-off仮説で説明される.慢性腎不全ラットへのP吸着剤投与は,副甲状腺機能を低下させるとともに,骨の劣化も改善するため,改めてPの蓄積が2HPTの発症と病態の根幹をなすことが理解できる.また,透析患者へのシナカルセト塩酸塩(シナカルセト)投与により,PTH低下に付随して骨からのP動員が低下するため,血中Pは低下する.一方,保存期慢性腎臓病患者へのシナカルセト投与は,PTHの尿中P排泄促進作用を解除するため,血中Pを上昇させるとともに,著明な低カルシウム(Ca)血症をもたらす.すなわち,PTHは血中P上昇およびCa低下に抑制的に働いていることが確認できる.さらには,腎不全ラットへのfibroblast growth factor-23(FGF23)に対する中和抗体投与により,血中P,Ca,1,25(OH)2 vitamin D3[1,25(OH)2D3]の上昇ならびにPTH低下が認められる.すなわち,FGF23はPTHとともに尿中P排泄を促進させることで,腎不全末期まで血中Pを正常域に維持すると同時に,1,25(OH)2D3産生低下を介して,PTH分泌に対し促進的に作用していると考えられる.一方,腎不全ラットへFGF23中和抗体を長期投与した場合,骨組織改善が認められるものの,血管石灰化が促進し死亡数が増加する.したがって,腎機能低下時に上昇するFGF23は,代謝性骨疾患の対価を支払い,血管石灰化を抑制しているものと考えられる.これらに加えて,副甲状腺におけるCa受容体,1,25(OH)2D3受容体,FGF23受容体の発現低下や腎でのα-klotho発現低下も2HPTの発症・進展に寄与していると推定される.
著者
熊谷 悦子 古町 和弘 宮田 智孔 佐中 孜
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.225-231, 2016 (Released:2016-03-28)
参考文献数
28

【目的】 腎不全用必須アミノ酸製剤内服のアミノグラムと栄養指標の改善効果を検討. 【対象】 透析歴1年以上で, 3.0g/dL≦血清アルブミン<3.8g/dL, 摂取熱量25kcal/kg/day以上の34例. 肝機能障害, CRP≧2.0mg/dL, 透析前HCO3− 16mEq/L以下, HbA1c 6.5%以上, BMI 18未満は除外. 【方法】 投与前, 投与後1, 2, 3か月後の血液検査, 投与前と投与3か月後にアミノ酸分析を施行. 【結果】 非必須アミノ酸 (NEAA) は有意に低下, EAA/NEAAは有意に上昇. 分岐鎖アミノ酸/総アミノ酸は有意に上昇. 腎不全用必須アミノ酸製剤は有意に低下, 必須アミノ酸と非必須アミノ酸の比, アミノ酸総量に占める分岐鎖アミノ酸は有意に上昇した. 血清アルブミン<3.5g/dLの群でアルブミン値の上昇傾向がみられた. 【結論】 EAAの内服は透析患者のアミノグラムと栄養状態の改善に寄与する可能性が示唆された.
著者
菅沼 信也 阿部 達弥 西澤 喬光 正木 一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.607-615, 2018 (Released:2018-10-30)
参考文献数
20

【目的】当院では代謝性アシドーシス補正効果の高いクエン酸含有無酢酸透析液を用いているが, 一部の患者でアシドーシス補正が十分でない. そこで, 血清重炭酸濃度上昇作用を有するリン吸着薬クエン酸第二鉄製剤 (FC) の影響を後ろ向きに調査した. 【対象と方法】当院通院外来維持透析患者で既存薬からFCに変更または追加した72名を対象に, FC投与開始前, 投与3か月後のCKD-MBD, 貧血指標と週中日の透析前血清重炭酸濃度を比較した. 【結果】透析前重炭酸濃度は, 全例ではFC投与後変化はなかったが, 22mEq/L未満の患者30例では有意に上昇した. FC投与に伴いFC由来の鉄が吸収され, TSAT 20%未満かつ血清フェリチン値100ng/mL未満の絶対的鉄欠乏の患者が著減し, ESA投与量が有意に減少した. 【結語】FCはリン吸着および鉄補充に伴う貧血改善作用に加え代謝性アシドーシス補正作用を有し, 特に異所性石灰化等のリスクとなる代謝性アシドーシス患者において有用なリン吸着薬になり得る.
著者
今井 圓裕
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.763-768, 2007-09-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
27

1990年代の末に骨髄由来幹細胞がlinage (細胞の系列) を超えてさまざまな臓器に分化すること, および障害を受けた臓器の再生にこれらの骨髄幹細胞が応用可能である可能性を示す報告が出され, その可能性についての探索研究が多くの分野で開始された. 腎臓の再生に関する研究は, 動物の急性腎炎モデルや急性腎不全モデルを使用して, 主に骨髄幹細胞, 腎臓幹細胞, 胎児由来幹細胞 (ES細胞) を使って行われてきた. 骨髄幹細胞は造血幹細胞, 間葉系幹細胞, 内皮前駆細胞の3種類の細胞系からなり, 骨髄細胞全体として投与するか, それぞれの細胞を単離培養して急性期病変に対する治療効果が検討されてきた. 2000年ごろには, これらの幹細胞が, 腎臓固有の細胞である尿細管細胞や糸球体のメサンギウム細胞, 内皮細胞, さらには糸球体のポドサイトにまで分化転換 (transdifferentiation) するのではないかといわれたが, 実際に細胞の系列を超えて細胞が分化転換したかどうかは明確にされていない場合が多い. 最近の報告では, 幹細胞を急性期病変に対して投与すると, 組織修復が早くなり, 腎機能も改善するが, 幹細胞が尿細管細胞などに分化転換することは少ないのではないかと考えられている. また, 間葉系幹細胞を培養した上清を急性腎不全ラットに投与することで修復が促進されたことから, 幹細胞は直接には障害組織に影響を与えず, むしろ幹細胞が分泌する因子により, 組織修復が促進するのではないかとも考えられる. 腎臓内の成体幹細胞は近位尿細管S3部位, ボーマン嚢, 乳頭部などでの存在が報告されており, 組織修復にどのように関与するかについての研究が期待される. ES細胞は腎臓に投与すると奇形腫を形成するため, 現在のところ使用は困難である. 今後, 幹細胞から分泌される液性因子の同定とその作用目標である腎幹細胞の同定と機能解析が待たれる.
著者
本城 保菜美 竹口 文博 加藤 美帆 林野 翔 長島 敦子 櫻井 進 渡邊 カンナ 宮岡 良卓 長岡 由女 菅野 義彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.409-413, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
9

症例は61歳女性. 2型糖尿病およびそれに伴う慢性腎臓病のため通院していたが, 7か月前の最終外来以降, 治療を自己中断していた. 労作時呼吸困難, 食欲低下が出現し, 緊急入院時にはHb 6.0g/dLと高度貧血を伴う末期腎不全の状態だった. 本人のみ宗教上の理由により輸血を拒否していたが, 夫を含めて話し合いをした結果, 相対的無輸血治療に同意したため緊急透析導入した. 貧血に対して赤血球造血刺激因子 (ESA) 製剤であるダルベエポチンαの増量, 鉄補充療法を中心とした治療で管理可能であった. 血液透析患者の導入期にはESA抵抗性因子が多数存在するが, 緊急を要しない貧血であれば適切な治療により無輸血で管理可能であることが示唆された.
著者
宮崎 真理子 山本 多恵 渡邊 順子 藤倉 恵美 吉田 舞 秋保 真穂 良知 弘務 福士 太郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.62-64, 2018

<p>東北大学病院の血液浄化療法部は病院の中央特殊診療部門に属し, 腎臓学, 透析医学, 泌尿器科学をサブスペシャリティとする医師が, 全診療科の血液浄化療法に横断的に関わっている. 診療科の入院患者を対象に透析装置12台, 持続血液濾過透析10台の規模で, 直接の担当医ではないため, 緊急呼び出しは少ない. 結果的に女性医師が育児中も継続可能な環境を提供できる. しかし, 臓器別診療科が高度医療を実践する中で, 血液浄化療法のプロフェッショナルとして認知されるためには, 集中治療医学, 急性血液浄化, アフェレシスなどの領域の知識をもち, 各科の難治性疾患病態, 治療内容を理解し, 適切なタイミングで最適の血液浄化療法はいかなるものかを判断するなど, 常に研鑽が必要である. 「直面する現実の制約を理解する職場」 である必要はあるが, 「女性が働きやすい職場」 で満足することなく, ダイバーシティーを推進する先進的組織を目指す取り組みを考える.</p>
著者
辻 義弘 吉岡 健太郎 河野 麻実子 鈴木 尚紀 田尻 伸弘 人見 泰正 加藤 かおり 吉田 俊子 水野 (松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.413-422, 2015 (Released:2015-07-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

腸溶性カプセル化ビフィズス菌製剤 (以下, カプセル化ビフィズス菌製剤) を透析患者に服用させ, 便秘症状の改善とそれに伴うQOL, および血液検査結果の変化について検討した. 透析患者24名を対象とし, カプセル化ビフィズス菌製剤を1日1包8週間服用させた. 便秘の尺度評価には日本語版便秘評価尺度を用い, QOLの変化にはThe Patient Assessment of Constipation Quality of Life Questionnaire (PAC-QOL) を用いた. カプセル化ビフィズス菌製剤摂取前と比較して, 21名 (87.5%) に便秘症状の改善とQOLの向上が認められた. また, 早期に便秘が改善した群では血清リン値が有意に低下した. カプセル化ビフィズス菌製剤摂取の効果が早発性に出現する透析患者では, 便秘症状の改善に伴うQOLの向上, および血清リン値の低下に有用であることが示唆された.
著者
木村 真依子 川口 武彦 首村 守俊 熊倉 慧 岡田 絵里 上原 正樹 岡島 真理 山川 貴史 西村 元伸 石川 哲 今澤 俊之
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.641-646, 2017 (Released:2017-10-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

71歳男性. 透析歴2年. 発熱, 前胸部痛を主訴とし, 酸素化低下と胸部単純X線で左肺野の浸潤影を認め, 肺炎の診断で緊急入院となった. 細菌性肺炎を疑い, セフトリアキソンの投与を開始したが, 第4病日, 炎症反応の上昇, 浸潤影の拡大を認めた. 非定型肺炎の合併を疑い, シプロフロキサシン (CPFX) を追加した. 第5病日, 無尿のため血清を代用した尿中レジオネラ抗原検出試薬による検査 (抗原検査) を行ったところ, 陽性であった. 導尿にて少量の尿が採取され, 尿中抗原陽性も確認した. レジオネラ肺炎と診断し, CPFXからレボフロキサシンへの変更にて軽快, 治癒し, 血清の抗原検査で陰性化を認めた. 透析患者は, レジオネラ肺炎の診断に用いられる尿の採取が困難であることが多い. 無尿の透析患者においては, レジオネラ肺炎の診断に, 血清を代用した抗原検査が有用である可能性が示された.
著者
セレスタ ギャヌ ラジャ 松本 昭英 樽谷 勝仁
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.647-652, 2017 (Released:2017-10-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1

症例は80歳の男性, 糖尿病性腎症により, 2014年5月に血液透析導入された. 糖尿病に対して2014年11月よりビルダグリプチン (VDG) 100mg/日を投与された. 2015年6月に右上腕シャント部と左上肢前腕部に掻痒を伴う浮腫性紅斑, 水疱とびらんの皮膚症状を認めた. ステロイド軟膏による治療で経過観察するも緊満性水疱が現れ, びらんがさらに広がり, 皮膚症状が増悪した. 皮膚科を受診, 生検の所見ならびに抗BP180抗体が高値であったことにより水疱性類天疱瘡 (BP) と診断, 塩酸ミノサイクリン (MINO) 100mg/日とプレドニゾロン (PSL) 20mg/日の治療開始となった. 2か月後に皮膚症状が治癒傾向にあり, MINOを中止, PSLの投与量を漸減後中止した. しかし6か月後に右上腕シャント部に強い掻痒, 水疱とびらんの皮膚症状の再燃を認めた. MINOとPSLによる治療を再開した. この頃にVDGの薬物有害反応 (ADR) による国内でのBPを発症した症例の報告がありVDGを中止した. 皮膚症状の改善によりMINOを中止, PSLも漸減し, 中止した. 8か月経過したが皮膚症状の再燃はなかった. VDGの副作用による維持血液透析治療中に発症したBPの1症例を経験したので報告する.
著者
大槻 英男 中村 健三 下村 文彦 桑原 勝孝 塚本 拓司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.299-303, 2014 (Released:2014-05-28)
参考文献数
13

日本透析医学会では,同内容の論文が他誌に掲載されているとの報告を受け,重複と判断いたしましたので,掲載を撤回いたします.
著者
上原 由美 島田 美樹子 柳澤 和美 内山 和彦 竹内 茂 野際 英司 中里見 征央 鈴野 弘子 石田 裕
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.553-561, 2014 (Released:2014-09-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

慢性腎臓病の食事療法として, 病気の進行によりP・K・たんぱく質の制限が必要になる. 透析患者の高齢化も進み, 簡便で継続可能な食事療法が必要と考える. 一般的には栄養指導の際, P・K含有量を抑えた治療用米飯の利用を推奨するが, 自作米中心の地域においては, 高価な治療食の購入には至らないことが多い. そこで, 洗米条件を調整することによりP・K・たんぱく質の低減が可能か否かを検討した. また, 透析患者の米の使用実態を把握するためにアンケート調査を実施した. 洗米におけるPの洗出率は5回目までは回数ごとに有意差が認められ (p<0.05), Kおよびたんぱく質の洗出率は4回目まで有意差がみられた (p<0.05). したがって, 洗米回数5回まで低減効果が期待できることがわかった. 5回洗米までにPの洗出率は, 50.2±3.02%, Kは46.0±3.89%, たんぱく質は5.40±0.42%となった. 透析患者のアンケート結果では, 洗米回数は3~4回の回答者が多く, 水を取り換えるまでの洗米時間も10秒前後とP・Kの低減を目的とした洗米条件としては不十分であった. 洗米において, 1回20秒間, 水を換えて5回行うことによってP・Kの低減効果があることが認められた. この方法は, 食品の制限や量の調整など多くのストレスを抱えている患者にとって, 簡便で持続可能な食事管理の一手段となり得ると考えられた. さらに毎日行う洗米に際し, 「P・Kを除去する」という意識を持つことによって, 怠慢になりがちな日常の食事管理に対する意識の醸成もなされ, QOL向上の一助となると思われた.
著者
藤倉 恵美 秋保 真穂 中道 崇 山本 多恵 佐藤 博 宮崎 真理子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.407-411, 2017 (Released:2017-06-29)
参考文献数
6

輸血を拒否する患者に医療を行う際には, 救命を第一義とする医学の基本理念に反する判断を迫られることがある. 待機治療において患者本人の自己決定による輸血拒否や治療拒否は認められるべきであるが, 生命に危険が及ぶような緊急時の対応については医学的, 倫理的, 法的に議論が残る. このような重大な判断を行う際には個人の価値観だけでなく, 組織としての方針を決定しておくことが必要である. 今回われわれは輸血を拒否する慢性腎不全患者に緊急血液透析導入を行った. 病院のリスクマネジメントを展開するうえで, 患者の信仰上の価値観が治療方針に影響を及ぼすことの重大性を示した症例であった.

1 0 0 0 OA (5)過剰血流

出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.917-920, 2011-09-28 (Released:2011-10-26)
参考文献数
34
著者
鈴木 一裕 鈴木 翔太 本田 周子 新田 浩司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.153-156, 2017 (Released:2017-03-01)
参考文献数
7

スクロオキシ水酸化鉄 (以下SO) を使用した症例について検討した. 鉄剤投与を行っていない当院透析患者リン吸着薬内服21例について同用量のSOに切り替え, 切り替え前と12週後での血清リン値, 鉄関連検査値, 副作用発現頻度, 血清fibroblast growth factor 23 (FGF23) 値の変化につき検討を行った. SOを継続して内服できた18例のリン値は有意に低下した. 副作用中止例は3例 (下痢が2例, 軟便が1例) が内服中止した. 鉄関連検査値については投与前後で差を認めず, 血清FGF23値の変化は透析前血清リン値に依存した.