著者
荻野 司 松田 和宏 須藤一顕 針山 欣之 向阪 正彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.62, pp.7-12, 2000-07-10
被引用文献数
2

Webサーバの負荷を分散させるために、サーバクラスターを構成しアクセスを分散させる方法や、地理的、ネットワーク的に分散したミラーサーバを配置することが一般的に行なわれている。しかし、時々刻々変化するサーバ、ネットワーク状態に応じて、クライアントを最適なサーバに導くことは、種々の提案がなされているものの、決定的な解決方法が見いだされていない。本稿では、広域分散配置されたWebサーバ群において、動的に変化するサーバ、ネットワーク状態を計測する手段の提案を、また、その計測手段を用いて真に最適なサーバを検出する新たな方式の提案を、さらに、アクセスクライアントを検出した最適なサーバを導くための最適サーバ検索システムの提案をする。本方式では、経路情報(BGP:Border Gateway Protocol)のAS path(Autonomous System) をネットワークの倫理的な距離計測手段判断子として用いる。また、各種サーバ、ネットワーク情報計測ツールを用いた結果と併せて、最適なWebサーバを決定するものである。本稿では、日米各々に実証実験用Webサーバサイトを構築、実際のインターネット上においてプロトタイプシステムをインプリメント、性能評価を実施した結果についても併せて報告する。In order to disperse the load on a Web server, generally the server cluster is configured to distribute access requests, or mirror servers are distributed geographically or situated on different networks. However, although there are several proposals for leading clients to the most efficient server according to the constantly changing sever and network condition, as yet no definitive solution has been proposed. In this document, we propose a measurement method for dynamically changing server and network enviroment, a new selecting method to find the most efficient server based on the measurement method, and an efficient server selection system for leading the access clients to the most efficient server among the distributed Web server network. Under this method, we use AS (Autonomous System) path routing information of BGP (Border Gateway Protocol) as the factors for evaluating the logical distance of the network. We also try to determine the most efficient Web server by using various server/network information measurement tools. Experimental Web server sites have been set up in both Japan and the USA, and a prototype system was implemented on the Internet and its performance was evaluated; results of the experiments and evaluation are included in this report.
著者
加藤 恒夫 河井 恒 宇都宮 栄二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.107, pp.39-44, 2006-10-20
被引用文献数
2

携帯電話アプリケーションの日本語入力を支援するため、2006年1月よりコンシューマ向けに分散型音声認識のサービスを開始した。携帯電話マイクに入力された音声は携帯電話機上で音響特徴量に変換され、パケット通信で音声認識サーバに送信される。携帯電話が音声認識サーバから受信した認識結果は画面表示されるため、ユーザは瞬時に認識結果を確認し、認識を誤った場合にも誤認識箇所を部分的に修正することができる。音声認識に対するストレスや不安を軽減するため、携帯電話機上の特徴量抽出処理をリアルタイム化し応答時間を数秒に短縮するとともに、誤認識の可能性が高い場合に「声が大きすぎます」、「雑音が大きすぎます」、「発声が早すぎます」と3種類のアラームを発生する機能を追加した。また、ネットワークのコンテンツに日々追加される新しいキーワードを認識できるようにするため、サービスを停止せずに単語辞書・文法を更新する機能を開発した。To assist Japanese text input for applications on cellphones, a distributed speech recognition service for consumer applications was launched in January 2006. Speech input to a microphone is processed for acoustic feature extraction on the cellphone, then the features are transmitted to a speech recognition server by packet exchange, and recognition results received from the server are displayed on the screen. The recognition results are confirmed by sight, and partial correction of misrecognized words is possible if any. To reduce stress and unfamiliarity to speech recognition technology, response time from the server was shorten to a few seconds by real-time acoustic feature extraction on the cellphones, and warning function of three alarms, "Voice too loud ", "Noise too loud", and "Uttered too early", were added to the client software. Moreover, a function of reloading new grammars and lexicons through a nonstop operation is equipped on the speech recognition server to enable frequent update of grammars and lexicons for network contents.
著者
鈴来響太郎 花田 彰 天野 英晴 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.111, pp.9-16, 1993-12-16

現在までに提案されている並列自動配線アルゴリズムのほとんどは、従来からある迷路法、線分探索法を並列化したものである。このため、細粒度の並列化と高いプロセッサ利用率を同時に実現できず、並列計算機に実装した場合に高い台数効果を得ることが難しい。本研究では、この条件を満たせるようにニューラルネットワークに基づく並列自動配線アルゴリズムを提案し、シーケンシャルマシン上に実装してアルゴリズムの質の評価を行なう。また、並列計算機への実装の方法についても検討する。Since most of proposed parallel routing algorithms are parallelized algorithms of maze running or line search which were developed for sequential machines, efficient parallel processing with high processor utilization is difficult. Here, a parallel routing algorithm based on neural networks which can achieve both high degree of parallelism and utilization ratio is proposed, and the quality of the solution is presented on a sequential machine. The implementation on a parallel machine is also discussed.
著者
武藤展敬 佐藤直
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.122, pp.7-12, 2008-11-28

ネットワークサービスが日常生活に身近になるにつれて,悪意のある利用者が正常な利用者のサービス利用を妨害する,サービス拒否攻撃や分散型サービス拒否攻撃が与える影響はより深刻化しており早急な対応が望まれる.しかし,サーバに対し過剰な量のデータを流す輻輳型 DoS 攻撃について決定的な対策は研究されていない.一方 TCP の通信プロトコル上では輻輳回避の手法が実装されている.攻撃者はサーバ側を輻輳させることが目的であるため,輻輳回避手法に正常に従ってこないことが予想される.このことからサーバ側からクライアントに対し,故意に輻輳しているとの情報を流し輻輳回避の行動を確認する.ここで従ってこないクライアントを DoS 源として判定し正常な利用者と DoS 源を区別して対応する手法を評価する.This study highlights the DoS attacks which send excessive amounts of data to uploading servers, that is, congestion-type DoS attacks. In most cases, the uploading services use TCP on the transport layer. TCP has a function to manage the congestion. This study focuses the control function of TCP and proposes a method (measures) against the congestion-type DoS attacks, where the server intentionally executes the flow control and promotes congestion control of corresponding clients, and then distinguishes source of the attacks by monitoring the response of clients, and further allocates prioritized bandwidth to related TCP connections. The study simulates the proposed method and demonstrates its effectiveness.
著者
矢野裕司 加藤由花 横井健
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.691-693, 2011-03-02

近年Twitterに代表されるマイクロブログの普及により、インターネット上にリアルタイムで人々が思ったことを発信するようになった。この発信には、日記形式のブログや掲示板と比べ感情的なものが多く見られ、眠気といった感情も発信されている。一方、既研究では疲労から来る眠気は周辺の温熱環境との関係が強いとされているため、眠気が外気の気温とも関係があると考えられる。そこで、本研究ではマイクロブログにおける「眠い」や「ねむい」といった眠気に関係のあるキーワードを含む発信数と気温や湿度、天気等の気象データを利用して、眠気を予測する手法を提案する。
著者
後藤知将 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.15-25, 2004-06-15
被引用文献数
13

撮像素子を用いた画像センサの物理的分解能の限界を超える高精細画像を生成する方法が研究されてきた.従来の,複数画像から高解像度の画像を合成する超解像法は,主にモノクロ画像を対象としていたため,近年の急速な普及をみる単板カラー撮像素子を用いて高解像度画像を生成する効果的な方法が望まれている.そこで,本論文では単板撮像素子のRAWデータを直接利用し,高解像度カラー画像を生成する手法を提案する.本手法は単板カメラのdemosaicking処理を内包する一般化されたカラー超解像問題の定式化を特徴とする.実験では合成画像と実画像を用いて,提案手法に基づく信号処理の有効性を検証する.The limited resolution of image sensors has motivated the enhancement of image resolution. Super-resolution has been applied mainly to grayscale images, but producing a high-resolution color image using a single-chip imaging device has not been investigated thoroughly. This work aims at producing a high-resolution color image directly from raw data obtained by a single imaging chip employing a color filter array. This method is based on a generalized formulation of super-resolution that simultaneously performs both resolution enhancement and demosaicing. The proposed method is verified through experiments using synthetic and real images.
著者
石毛 大悟 堀内 靖雄 市川 熹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.7-12, 2003-02-21

本論文では、独奏に休符がある場合の人間の合奏制御のふるまいについて述べる。まず、休符がある分析用の楽譜を作成し、計算機の独奏と人間の伴奏者が合奏を行うデータを収録した。独奏に休符がある場合の伴奏者の合奏制御についていくつかの仮説を立て、重回帰分析によりモデル式を作成し、人間の演奏データとの誤差により評価を行い合奏制御の推定を行った。結果、ある時点において、その直前の独奏者との「ずれ」など差の情報を用いることができる部分では、その差の情報を利用しているが、相手が休符で差の情報を使うことができない部分では、1小節程度過去の演奏情報に従い演奏を行っていることが示唆された。This paper describes behavior human performance when there is some rests in his/her partner's score. 96 ensembles by acoputer and a human performance were recorded. Some hypotheses were formed sbout a model of human performance for synchronicity when a rest exisits in his/her pertner's part and multiple regression analysis is applied the recorded data. It is suggested that when the difference between two performance can be used, a human performer plays using the information for good synchronicity, but when the difference between two performers cannot be used of a rest, a human performer plays based on the information at about one bar line past.
著者
山田 賢治 羽鳥 雄介 萩原 秀磨 溝谷 圭悟 高須 雅義 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLDM, [システムLSI設計技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.31, pp.1-6, 2015-02-27

近年の組込みリアルタイムシステムでは高い演算能力だけでなく,低消費電力が求められる.これらの要求を満たすために設計されたリアルタイム処理用プロセッサとして Responsive Multithreaded Processor (RMT Processor) がある.RMT Processor は Simultaneous Multithreaded プロセッサであるためスループットが高く,スレッドの資源利用に対する優先度設定や Instructions Per Clock cycle (IPC) 制御機構といったリアルタイム処理をサポートする機能を持つ.また,System in Package に集積されたデバイスにより Real-Time Static Voltage and Frequency Scaling (RT-SVFS) を実現しており,消費電力削減の要求を満たすことができる.しかし RMT Processor では負荷が偏ると高負荷の論理プロセッサがボトルネックになり,効率的に RT-SVFS を行うことができない.そこで本研究では RT-SVFS による消費電力削減の効果をより引き出すために,IPC 制御を用いて可能な限り均一な負荷分散を行う手法を提案する.評価の結果,既存手法と比べて提案手法がより多くの消費電力を削減可能であることを示した.
著者
坪石健志 馬場雅志 日浦慎作 宮崎大輔 青山正人 古川亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.10, pp.1-2, 2014-06-21

近年,実写画像に CG を合成する AR(拡張現実) が,さまざまな場面で利用されている.我々の研究室においても,原爆ドームに対して AR を用いて,戦争や原爆の悲惨さを伝える携帯端末アプリの開発を行っている.しかし,従来のアプリには文化財に対しては AR マーカを設置できない等の問題あった.本研究では,画面上のパターンを検出するテンプレートマッチング法を用いてこの問題の解決を図った.実験の結果,解像度を落とした画像を用いたテンプレートマッチングにより,タブレット端末でも実時間でのマーカレスな位置合わせが可能となった.
著者
中條拓伯 藏前 健治 金田 悠紀夫 前川 禎男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1719-1728, 1995-07-15
被引用文献数
8

本論文では、ワークステーション・クラスタ上においてOSのカーネルに手を加えず、ユーザレベルのソフトウェア制御のみによって、分散共有メモリ(DSM,Distributed Shared?Memory)の構築を試みた結果について報告する。分散共有メモリヘのアクセスの高速化を図るためにアクセス遅延を隠蔽する方法として、ソフトウェア制御のコヒーレントキャッシュを実装する。本稿では、本システムの構成および我々が提案する、無効化に巡回型マノレチキャストメッセージを用いたコンシステンシ・プロトコルについて述べ、基本的な性能評価を行うため、キャッシュヘのミス/ヒットなどのアクセスタイプによる遅延時間を測定した結果を示す、さらに、実際の並列プログラムによりシステムを評価するために、行列の乗算と、SPLASHベンチマークプログラムを実行した場合の性能評価も示す。現有のイーサネットを用いたネットワーク環境では十分な性能を発揮することはできなかったが、今後の高速ネットワーク環境において、本システムの可能性について述べる。
著者
相川 哲弥
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.55-59, 1996-09-12
被引用文献数
3

弱視者と老眼者がパソコンやワープロ専用機を使う場合には、使い勝手は文字を拡大してテレビ画面に書く(表示する)どんな働きが備わっているかによっで決まる。文字の拡大表示と拡大描画について、どんな働きが望ましいかの設計を報告する。
著者
中西正和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.426-427, 1970
被引用文献数
2
著者
海老澤竜 藤井 康広 高橋 由泰 手塚 悟
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.81, pp.305-311, 2006-07-21
被引用文献数
5 3

個人情報保護法の施行や日本版SOX法の適用が見込まれる中、情報の漏えいや偽装などの不正が問題になってきている。特に紙媒体を経由した個人情報漏えいは、漏えい全体の45.9%にも上っており、見過ごせない問題である。このような紙文書の脅威に対して、複写牽制文字、電子透かしなど印刷物自体に工夫を施す対策や、印刷機器利用時の本人認証、またはそれと連携した印刷履歴管理などのデジタルなセキュリティ対策がある。本発表ではこれら、紙文書に対するセキュリティ対策を整理分類してその課題を明確にし、今後の技術の目指すべき方向について議論する。While the administration of the Privacy Law and the expected application of J-SOX (Japanese version of The Sarbanes-Oxley Act of 2002) are drawing much attention, leakage and fraudulent handling of information has become a serious matter. In particular, personal data leakage through paper documents is not to be overlooked as it accounts for 45.9% of all the leakage. There are, as measures against such threats to paper documents, technologies that add special function to the printed matter itself such as copy deterrent characters and digital watermarks, and also digital security measures such as user identification functions for printing machines and print log management in coordination with the identification. In this paper, security measures for paper documents are categorized to clarify their challenges, and the directions to which the technologies must aim are discussed.
著者
田中 真 内田 純平 宮岡 祐一郎 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1383-1394, 2005-06-15
参考文献数
13
被引用文献数
11

演算器ごとに専用のローカルレジスタを持たせるレジスタ分散型アーキテクチャを用いると,レジスタ間データ転送を利用することによって配線遅延が回路の性能に与える影響を削減することが可能である.しかし,高位合成のスケジューリングの段階からフロアプラン情報を考慮する必要がある.本論文では,レジスタ分散型をターゲットアーキテクチャとし,(1) スケジューリング,(2) レジスタバインディング,(3) モジュール配置,の工程を繰り返し,(3) から得られたフロアプラン情報を(1),(3) の工程にフィードバックすることによって,解(合成結果)を収束させる高位合成手法を提案する.フロアプラン情報をスケジューリングに反映させるために,フィードバックされた配置情報とタイミング制約に基づいて,レジスタ間データ転送を利用することができるスケジューリング手法を提案する.また,レジスタ分散型に対応したレジスタバインディング手法を提案する.提案バインディング手法では,ローカルレジスタを入力側と出力側で区別し,出力側レジスタで可能な限りデータを保持することにより,総レジスタ数を削減する.提案手法により,フロアプランを考慮したレジスタ間データ転送を用いた回路を解として得ることが可能となる.計算機実験によって,提案手法の有効性を示す.By using a distributed-register architecture, we can synthesize the circuits with register-toregister data transfer, and can reduce influence of interconnect delay. In this paper, we propose a high-level synthesis method targeting a distributed-register architecture. Our method repeats (1) scheduling, (2) register binding, (3) module placement processes, and feeds back floorplan information from (3) to (1) in order to decide which functional units use registertoregister data transfers. Our scheduling algorithm can use register-to-register data transfer based on floorplan and timing constraint. We also propose a register binding algorithm on a distributed-register architecture. We show effectiveness of the proposed methods through experimental results.
著者
阿部 秀尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.11, pp.1-5, 2015-02-23

Twitter をはじめとする SNS では,ユーザの日々の興味や関心がテキストやその発話行動として可視化されている.そのなかで,企業をはじめとして,興味・関心のあるユーザを特定する要求が高まりつつある.しかしながら,単に発信情報を受信するユーザが真に興味・関心を持っているかどうかを的確に判断することは困難が伴う.本研究では,Twitter 上でリツイートと呼ばれるユーザが受信した情報を再発信する行動に着目し,過去の発話履歴の内容に基づいて再発信行動の予測を行うモデル構築手法の開発を目指す.本稿では,インターネット上で大規模な通信販売を行うサイトの発信したテキストとそのテキストを受信するフォロワーについて,再発信されたテキストとフォロワーの日々の発話テキストから得られた特徴語の比較を行う.さらに,行動予測モデル構築のため,フォロワーの発話テキストから得られた特徴語の使用頻度に基づく評価指標の時系列パターン抽出の可能性について検討する.According to popularization of many SNS such as Twitter, enterprise users and some other people want to reach interested users more efficiently. However, it is difficult to detect more deep interests of the users without considering the users' behavior. In this study, I focus on a characteristic behavior of the users on Twitter, called retweet by followers. By taking followers' tweet history, a method constructing analytic models based on temporal patterns of term evaluation indices is described in this paper. The method combines ordinary used characteristic term extraction and a temporal pattern extraction of the terms usages. In the experiment, both of the characteristic terms in the retweeted text and the followers' tweet history is shown on the three major e-commerce accounts in Japan. Based on the results, some temporal patterns of the term importance indices are also shown to discuss the feasibility for predicting the retweet behavior of the followers.
著者
菅 忠義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.p615-623, 1983-05-15
著者
宗官 祥史 江木 啓訓 藤波 香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1269-1277, 2015-04-15

教育現場におけるICTの活用は進んでいるが,依然として大学初年次における化学実験中の事故は後を絶たない.その原因の1つに,安全学習の場と実践の場の時間的・空間的な分離があると考えられる.実験の最中に安全作業を支援するシステムが有効であると考えられるが,実験教育という背景を考えると作業者を重大な危険から回避させるだけでなく,将来の独立作業のためにシステムへの依存を避ける必要がある.我々は,危険の内容や発生源,対処方法などを学習者が能動的に思考することが必要であると考え,提示された情報の解釈における多義性の活用を提案する.本論文では,警告情報の内容と提示場所に関する多義性が学習者に対して与える効果を,危険回避と技能獲得(学習)の観点から明らかにすることを目的として,ユーザ調査を通じて多義的な情報提示の効果を明らかにした.その結果,危険回避と学習の2つの目的に応じて意味的な多義性と空間的な多義性の組合せを使い分ける必要があることを明らかにした.A chemistry experiment in a school should be conducted safely, yet provide an effective education. In this paper, we explore the impacts of nondirective presentation on on-site safety training for avoiding prospective danger and learning safe experimental operations in chemistry experiment. The nondirective presentation is intended for a student's future independent operation by facilitating active-thinking, which is realized by two aspects of presentation ambiguity: multiple interpretations in the content of a message (semantic ambiguity) and its positioning on a table (spatial ambiguity). Based on a preliminary experiment to define the two types of ambiguous presentations, we conduct comparative experiments with high and low level of ambiguity to see their impact on safe and learning aspects. As a result, we show design suggestions to determine an appropriate level ambiguity for avoiding danger or learning safe way of experiment.
著者
西田 健志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.458-464, 2015-04-15

本稿ではWISS(Workshop on Interactive Systems and Software)2004から10年以上にわたって開発・運用を続けてきた様々なチャットシステムや,夕食時の席を決めるシステムなど,様々なシステム開発を通じてWISSのコミュニケーションを促進してきた活動を振り返る.これまで開発・運用してきたシステムの機能や設計理念の紹介を中心として,長年開発を続ける中で見えてきた,WISSというコミュニティの特殊性やコミュニティの一員としてシステム開発を続けることの意義についても述べる.
著者
岩田康宏 浦正広 中貴俊 遠藤守 山田雅之 宮崎慎也 田村浩一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.667-669, 2012-03-06

動画の評価基準の1つとして,物語の展開が挙げられる.しかしこれは一般に視聴後に抱く印象であり,既存の動画検索やレコメンドにおいては考慮されていない.そこで本研究では,視聴者が気に入った物語の展開と類似した展開の動画をレコメンドするサービスを提案する.タイムラインでコメント投稿が可能な動画共有サイトを対象として,動画に対して寄せられたコメントを解析する事で,動画の盛り上がりと感情の推移を抽出する.これにより物語の展開を導出する.これを様々な動画に適用する事で,同じ特徴を持つ動画同士を結びつけ,視聴者が指定した動画に類似する展開の動画をレコメンドする.
著者
中村 智久 東川 淳紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.473-478, 2006-05-15
参考文献数
5
被引用文献数
9

コンピュータ環境が社会全体に広まるにつれ,コンピュータのセキュリティ対策が不可欠となっている.特に,2005年4月に施行された個人情報保護法や2008年からの施行が検討されている日本版SOX法(サーベンス・オクスリー法)を受けて,情報管理に関する社会の関心は高まる一方である.確実に情報を管理することをひとつの目的として,PCにセキュリティチップを搭載する動きが加速しつつある.セキュリティチップを搭載したPCは,PC内部に耐タンパ領域を生成することができ,暗号化やハッシュ値生成,乱数生成などの演算を安全に行うことができる.また,秘密鍵や機密データなどを安全に格納することができる.このような機能を持つセキュリティチップ搭載PCは,今後,社会全体に急速に普及すると予想されている.本稿では,PC搭載セキュリティチップであるTPM(Trusted Platform Module)の概要や基本機能,その活用方法,最新動向,将来の課題について解説する.