著者
宍戸 周夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.418-419, 2001-04-15

米国経済の急激な減速が,コンピュータ・ベンダの戦略に大きな影響を与えている.これまでのビジネスモデルの延長戦にはない,新たな取組みが求められるようになってきた.そこで,コンピュータ・ベンダの間で浮上してきたのはストレージだ.その背景には,近い将来にはITベンダの売上げに占めるサーバとストレージの割合が逆転するという予想がある.
著者
河合 直樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.586-593, 2000-03-15
被引用文献数
3

木目模様は最も代表的なテクスチャの1つであり,コンピュータグラフィクスによるソリッドテクスチャ生成技法も種々報告されている.従来の技法では木目の年輪模様の再現に注力されてきたが,年輪以外の微細組織の表現や繊維の流れに関する研究は少なく,得られる質感は十分ではなかった.本論文では樹木の内部構造に着目し,木理と呼ばれる樹木内部の繊維配向性をモデル化する.代表的な木理のパターンと一般的な木理の記述手法を示した後,レンダリング時に必要な局所的な座標変換に基づいたモデルを示す.次に微細組織の例として道管と呼ばれる鉛直な組織について,代表的なパターンのモデリング技法を示し,呈示した座標変換を作用させて表示することで,木理のモデルの妥当性を検証する.続いて微細組織の簡易的な表現として提案されている明度シフト法を,年輪構造と微細繊維組織を一元的に記述する手法として一般化し,木理による座標変換を作用させることにより,樹木構造の合理的な記述手法を提案する.最後に繊維の勾配に依存する鏡面反射モデルを導入し,木理の影響で材面に現れる光源と視点に依存する反射現象をシミュレーションする.これらの手法を導入することで,従来法よりもリアルな質感表現が可能になり,CG映像や産業デザインにおいて有用な品質高いソリッドテクスチャを生成することが可能な技法を示すことができた.Wooden grain is one of the most representative of textures. However the solid textures of wooden grain are not enough to represent the reality of a material because of their lack of microstructures and fiber stream, with the exception of annual rings. In this paper, a geometric model is proposed for wooden grain and fiber stream by concentrating on the internal structures of wood. Representative features of wooden grain are described and geometric transformations for rendering are introduced. Geometric models of vessels are given as examples of typical microstructures. Then the effect of modeled grain is verified by calculating the image of the vessels on lumber. The shifting brightness technique is also extended as an easy way to express microscopic fibers. It is integrated technique for expressing all the vertical structures including the annual rings. Finally a specular reflection model which depends on the gradient of fibers is introduced. Then cross grain, which is an anisotropic reflection caused by varied fiber gradients, is simulated. This new procedure can generate more realistic wooden textures than before. This procedure makes it possible to provide high-quality solid textures which are useful for CG production and industrial designs.
著者
奥薗 基 牟田 将史 平野 廣美 益子 宗 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.19, pp.1-8, 2015-03-06

旅行計画時に Web 上で提供されている多くの観光に関する情報を活用して計画を立てることが多くなっている.しかし,膨大な情報から旅行計画に有益となる情報を得ることは容易ではない.さらに,旅行の 84%を占める複数人における旅行の計画は,参加者それぞれの好みといった検討事項が増えより困難となる.そこで本研究では,検索作業を伴わずに,複数人の嗜好を反映させた観光地を推薦するシステムを提案する.各参加者の嗜好を抽出し,その結果を集団意思決定手法を用いて統合し,嗜好に適した観光地を推薦する.各ユーザの嗜好の抽出は,画面に表示された観光イメージ画像群から好みのイメージ画像を選択するという簡単な作業のみで行う.また,システムの推薦性能と簡易性の評価実験を行い,5 人まで個人と同程度の推薦性能を持つこと,システムの利用により旅行計画の負担が軽減されることを確認した.When we plan a trip, opportunities using the Internet increase. However, it is not easy to obtain useful information from vast sightseeing information. Furthermore, 84% of trips are performed in a group. When examination matters increase by the increase of the member, the plan of the trip becomes more difficult. Therefore, in this report suggest a system to recommend the sightseeing spot which let reflect the taste of the group without search work. The extraction of the taste of each user only by simple work to choose a favorite image among the sightseeing image group displayed by a screen. I performed an evaluation experiment of recommendation performance and the simplicity of the system. As a result, the system confirmed having recommendation performance at the same level as an individual to five people and that the burden of travel plans was reduced by the use of the system.
著者
藤野 清次 GarryJ.Tee R&uumldiger Weiss
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.115, pp.7-12, 1998-12-11

学術用語"eigenvalue"は,固有値問題などに現れる「固有値」に対する用語として現在英語圏でよく使われている.しかし,"eigen"という冠頭の言葉は,もともとドイツ語で「固有の」または「特有の」という意味を表す言葉である.そこで,「固有値」に対する学術用語として"eigenvalue"が現在英語圏で何故使われているかを入手資料を元に考察する.As you know well, in English the word of 'eigenvalue' is often used in the eigenvalue problem as compared with the other words, e.g. 'proper value' and 'characteristic value'. Then we become to have the following questions from this tendency. Who used first the word of 'eigenvalue' ? Who influenced greatly to the spread of 'eigenvalue' ? In this article, one answer will be shown based upon consideration from a number of references.
著者
三浦 宏一 浜田 玲子 井手 一郎 坂井 修一 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.21-29, 2003-07-15
被引用文献数
14

近年,マルチメディア情報を有効に活用する重要性が増すにつれ,テレビ映像の自動要約に関する研究がさかんに行われつつある.本論文では,料理映像を対象にした自動要約手法を提案し,検討する.我々は料理映像要約の目的を,調理の全体的な流れを視覚的・直感的に理解するのに十分な映像を作成することとしている.要約映像を作成する際には,映像の重要部分を抽出することが必要となるが,料理映像においては,調理動作および料理や食材の状態を示す部分が特に重要である.これらは画像全体の動きの激しさと関連があることから,オプティカルフローによりこれらの重要部分を検出する手法およびカメラワーク(パン)を除去する手法を提案し,評価実験によりその有効性を示した.さらに,この手法によって抽出された重要部分と,調理動作の中でも特に重要な繰返し動作部分から料理映像要約を生成するアプリケーションを実装した.放送局の異なる複数の料理番組に提案手法を適用し,要約映像を自動生成した結果,要約映像は十分に調理手順の内容を保ちつつ,元の映像の1/8 から1/12 の時間に短縮できた.また,自動要約した映像の一部を,番組制作者によって作成された要約映像と比較することにより,本手法の有効性を確認した.Re flecting the increasing importance of handling multimedia data efficiently, many studies are made on automatic abstraction of television broadcast video. In this paper, we propose a method to abstract cooking videos. We de fine cooking video abstraction as shrinking videos maintaining sufficient understandability of general cooking procedures visually and intuitively. To abstract a video, important sub-shot segments need to be extracted from the original video. Important segments in a cooking video are considered as cooking motions and appearances of foods, since visual information that represents essential cooking operation is exceptionally important. These segments have typical motion-related features. Thus,a method to extract such important segments referring to the intensity of motion in the image is proposed. Effectiveness of the method is shown through evaluation experiments. We also implemented an abstracted cooking video browser that assembles important segments detected by the proposed methods and repetitious motions that is especially important among cooking motions. The resultant abstracted videos were about 1/8 to 1/12 of the original videos in time, maintaining the understandability of cooking procedures. And the validity of the abstraction method was checked by comparing some automatic abstracted videos with abstracted videos provided from the broadcaster.
著者
田中 真 内田 純平 宮岡 祐一郎 戸川 望 柳澤 政生 大附 辰夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1383-1394, 2005-06-15
被引用文献数
11

演算器ごとに専用のローカルレジスタを持たせるレジスタ分散型アーキテクチャを用いると,レジスタ間データ転送を利用することによって配線遅延が回路の性能に与える影響を削減することが可能である.しかし,高位合成のスケジューリングの段階からフロアプラン情報を考慮する必要がある.本論文では,レジスタ分散型をターゲットアーキテクチャとし,(1) スケジューリング,(2) レジスタバインディング,(3) モジュール配置,の工程を繰り返し,(3) から得られたフロアプラン情報を(1),(3) の工程にフィードバックすることによって,解(合成結果)を収束させる高位合成手法を提案する.フロアプラン情報をスケジューリングに反映させるために,フィードバックされた配置情報とタイミング制約に基づいて,レジスタ間データ転送を利用することができるスケジューリング手法を提案する.また,レジスタ分散型に対応したレジスタバインディング手法を提案する.提案バインディング手法では,ローカルレジスタを入力側と出力側で区別し,出力側レジスタで可能な限りデータを保持することにより,総レジスタ数を削減する.提案手法により,フロアプランを考慮したレジスタ間データ転送を用いた回路を解として得ることが可能となる.計算機実験によって,提案手法の有効性を示す.By using a distributed-register architecture, we can synthesize the circuits with register-toregister data transfer, and can reduce influence of interconnect delay. In this paper, we propose a high-level synthesis method targeting a distributed-register architecture. Our method repeats (1) scheduling, (2) register binding, (3) module placement processes, and feeds back floorplan information from (3) to (1) in order to decide which functional units use registertoregister data transfers. Our scheduling algorithm can use register-to-register data transfer based on floorplan and timing constraint. We also propose a register binding algorithm on a distributed-register architecture. We show effectiveness of the proposed methods through experimental results.
著者
寒川 光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.1183-1192, 1992-10-15
被引用文献数
6

スーパスカラ計算機では算術演算 性能が従来のスカラ計算機に比して飛躍的に強化された.その結果データ移動(ロード/ストア命令)の計算時間に占める比率が増大した.計算速度を考慮するプログラムは計算順序を変更しデータ移動を削減する方法で 大きなチューニング効果をあげられる場合がある.この方法はFortranプログラムからは透過なレジスタへのロード命令の実行やキャッシュヘのデータのステージングの回数を 媒介的な方法(計算密度 キャッシュ利用密度)で把え 計算機の個性に合わせた最適化を狙うものである.行列行列積和の例題では約3倍という大幅なチューニング効果を達成した.この方法をプログラミング技法の問題としてでは江く 線形代数計算の問題として ブロック化された定式化で記述すると ベクトル計算機や階層型記憶装置をもつ計算機にも応用することができ 見通しが良くなる.
著者
菊池 祥太郎 小池 優希 浦田 真由 遠藤 守 安田 孝美 水野 政司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報システムと社会環境研究報告
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-6, 2014-12-01

ソーシャルメディアの特徴に,リツイートやシェアなどの情報を評価し広範囲なネットワークに情報を拡散する機能がある.近年は,ソーシャルメディア上の 「口コミ」 の拡散効果や活用の重要性について注目が集まっている.また,Deep Learning (深層学習) は機械学習アルゴリズムの 1 つであり,画像認識や音声認識の分野で大きな活躍を見せている.本研究では,ソーシャルメディアの 「Twitter」 における口コミの情報伝播効果が,モバイルアプリストアの 「iTunes App Store ランキング」 に与える影響の相関性・関連性について着目をした.さらに Deep Learning を用いて,Twitter におけるつぶやき数の変動や影響を与えやすい時間帯といった原因系データから,App Store ランキングの順位変動の予測可能性について分析・検証を行った.
著者
武本 充治 大石 哲矢 岩田 哲弥 山登庸次 田中 洋平 徳元 誠一 島本 憲夫 黒川 章 須永 宏 小柳 恵一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.418-433, 2005-02-15
参考文献数
32
被引用文献数
15

新しいネットワーク技術と端末技術が開発されることにより,近い将来ユビキタスコンピューティング環境が確立されるが,その環境でユーザにサービスを提供する方法については,まだ十分な技術が開発されていない.我々は,ユビキタスコンピューティング環境に適したサービス提供方法を実現するUbiquitous Service-Oriented Network(USON)アーキテクチャを提案した.USONアーキテクチャにおいては,サービス提供は,サービステンプレート(ST)に基づき,サービス構成要素(SE)を組み合わせることによるサービス合成と,SEとSTの使用履歴などからSTを生成するサービス創発から構成される.STは,BPELなどのワークフロー型サービス連携技術をユビキタスコンピューティング環境に拡張したものであり,SEは,Semantic Webなどと同様に,Semanticsを持つものである.本稿では,主に,サービス合成を実現するために必要となる基本的な機能とその実装について述べ,それらを実際に利用してのアプリケーションを使っての機能検証を行う.本稿で提案する技術により,近い将来のユビキタスコンピューティング環境におけるサービス提供が可能となる.While new network technologies bring ubiquitous-computing environments ever closer, methods to provide suitable services within such environments remain immature. We describe the Ubiquitous Service-Oriented Network (USON) architecture, a new service-provision architecture, covering the basic concept, components and their roles, and the service-provision mechanism. A USON provides services in two phases, a service-composition phase in which service elements (SEs) are combined on the basis of service templates (STs), and a serviceemergence phase in which a new ST is obtained on the basis of the history of usage of SEs and STs. An ST is an extention of workflow-stype service-coodrination description and an SE has the semantic information suitable for ubiquitous-computing environment. This paper mainly describes the functions of USON service-composition, their implemantations using P2P technologies and evaluation with actual applications. The establishment of USON technologies on networks will provide various services within ubiquitous-computing environments.
著者
荻野 晃大 加藤俊一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.28-39, 2006-03-15
被引用文献数
6

本論文では,感性検索システムを効率的に設計,開発するための手法として,「感性システムモデリング」を提案する.感性検索システムとは,マルチメディアコンテンツの間の類似性や印象に関する各個人の主観的な評価に基づいて,その人に最適なコンテンツをデータベースやインターネットから検索するシステムである.我々の提案する感性システムモデリングでは,システム開発者の感性検索システムの設計を支援するために,(1) コンテンツの間の類似性や印象を各個人が知覚,解釈する過程を抽象化し,その過程を模倣した感性検索システムを設計するための図式的なモデル「感性フレームワークダイアグラム」と,(2) 感性検索システムの設計工程とその工程でのシステム開発者の作業を示したモデル「感性システムプロセスモデル」を定義した.本論文では,この感性システムモデリングを用いた感性検索システムの設計法と設計事例を示す.In this paper, we proposed a design method, KANSEI System Modelling, for KANSEI retrieval systems, which retrieve multimedia contents suitable for individual's subjective criteria about similarity or impression to multimedia contents. In the KANSEI System Modelling, we defined two methods to help a design and development of KANSEI retrieval systems for system engineers. One method is KANSEI Framework Diagram, which is a diagram to simulate and design an individual's evaluation process of similarity or impression to multimedia contents as a system process. The KANSEI Framework Diagram expresses an individual's evaluation process by abstracting it to 4 levels, which are a physical, physiological, psychological and cognitive. Second method is KANSEI System Process, which shows a design process of KANSEI retrieval systems for a prompt and smooth design. We showed a usage and sample of the KANSEI System Modelling in this paper.
著者
福元伸也 渕田孝康
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.28, pp.1-5, 2014-11-11

近年,ビッグデータと呼ばれる大規模データから有益な情報を抽出しようとする試みが広く行われており,テキストデータの解析に関する多くの研究がなされている.本研究では,シソーラスの分類語彙表を用いて,単語の特徴ベクトルである共起行列を生成する手法を提案する.出現単語のみによる共起行列を,単語の意味を考慮した分類語に変換することにより,共起行列の次元数が増大するのを抑えることができ,単語の特徴ベクトルをより的確なベクトルとして表現できる.また,得られた共起行列から分類を行うための学習器には,アンサンブル学習の 1 つであるランダムフォレストと大規模データに対して高度な分析が可能な機械学習フレームワークである Jubatus を用いた.実験では,ニュース記事のカテゴリ分類を行い,複数の学習アルゴリズムについて検証した.
著者
伊藤 永悟 藤本 貴之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-5, 2013-11-25

近年,急速にスマートフォンが普及し,2016 年には,国内で出荷される携帯電話の 80% 以上がスマートフォンになると言われている.高機能なスマートフォンには,既存の携帯電話 (いわゆる,ガラパゴス携帯電話 『通称:ガラケー』) にはない様々な機能が具備され,パソコンいらずとまで言われる程度に利便性が高められている.しかしながらその反面,インターフェース設計やデザイン構造的に使いづらいと考える層はビジネスマンを中心に少なくない.現在では,通常の音声会話では 「ガラケー」,インターネット利用時では 「スマホ」 という使い分けをした 2 台所有者は多い.そこで,本研究では 2 台持ちによる不便性を解消するために,スマートフォンでガラケーの利用勝手を完全にシミュレートした 「スマホのガラケー化」 アプリケーションを実現した.We develop a system has feature-phone-style-interface on smartphone. Some workers have both a feature phone and a smart phone. This system makes less confusion for the workers. They can use similar input-interfaces on the both types of phones.
著者
財部 倫孝 清水 將吾 石原 靖哲 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.10, pp.61-68, 2000-01-24

従来の確率的データベースモデルは,データベース中の各タプルに対して実際にそのタプルが存在する確率を付加するというものが一般的であった.しかしこのようなモデルではタプル間の依存関係,例えばある二つのタプルの少なくとも一方がデータベース中に存在するという関係にあることを表現できない.そこで本稿では,Imielinskiらによって提案されたconditional tableを基本的枠組として採用し,conditional table中に現れる各変数を確率変数として扱うことによって,タプル間の依存関係を表現できるような確率的データベースモデルを提案する.In the conventional models of probabilistic databases, the probability of existence of each tuple is attached to the tuple. However, these models are not able to represent dependency among tuples, e.g., there is at least one tuple in a database. In this paper, we propose a probabilistic database model which is able to represent dependency among tuples. For that purpose, we adopt conditional tables proposed by Imielinski et al. as a standard framework, and treat each variable which appears in a conditional table as a random variable.
著者
中村 宏 位守 弘充 中澤 喜三郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.669-680, 1993-04-15
被引用文献数
2

レジスタウィンドウ方式を用いてベクトル計算を高速に処理する新しい擬似ベクトルプロセッサを提案する。提案するプロセッサは、スーパスカラ方式を前提としているが基本的にスカラアーキテクチャであり、ベクトル命令やベクトルレジスタを有するものではない。スカラプロセッサではキャッシュミス時の主記億アクセスペナルティによる実効性能の低下が問題となる。ここで提案するプロセッサでは、データキャッシュの代りにレジスタウィンドウ方式により拡張した浮動小数点レジスタを採用し、さらに主記憶アクセスをパイプライン化することでこれを解決する。1つのベクトル命令の処理内容は複数のスカラ命令を垂直マイクロプログラム的に便用することにより擬似的に処理される。これらの特徴により、提案するプロセッサは既存のスカラアーキテクチャとの上位互換性を保つことが可能である。本論文では、提案するプロセッサのアーキテクチャとその処理原理を説明し、ベンチマークを用いた性能評価結果を示す、評価した結果、提案するプロセッサは主記億アクセスペナルティが20CPU Cycleの時に、拡張を行わないスカラプロセッサに対して約10借の性能、キャッシュヘのプリフェッチを行うプロセッサに対しても約1.4倍の性能を達成することがわかった。また、30CPU Cycle程度までの主記億アクセスペナルティをほぽ完全に隠せることがわかった、また、レジスタウィンドウの構成方法の相違による性能への影響についても検討した。これらの評価結果より、提案するプロセッサは主記億アクセスペナルティによって実効性能が低下することなく、高速にベクトル計算を処理できると結論できた。
著者
岸田 良朗 大林 幹生 林 恒俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.51, pp.1-6, 1999-05-29
被引用文献数
1

当研究は、ロック等のポピュラー音楽におけるアドリブを自動生成するプログラムBoP3の開発をパーソナルコンピュータ上で行うものである。コンピュータ上のGUIや、コンピュータに接続されたMIDI楽器を用いて演奏家のフレーズデータを収集し、そのデータを材料として、楽曲の伴奏に合わせてアドリブを自動生成するプログラムである。各フレーズデータは伴奏との関係を表す属性値を持ち、楽曲の進行とともにその属性値を基にした計算を行なってフレーズを選出していくことにより、アドリブの自動生成を行なっている。We have been developing a program which automatically generates improvisations in popular music on a personal computer such as Apple Macintosh. We call our developing project Boogie Project 3 (BoP3). BoP3 generates improvisations by simulating the improvisation process of actual musicians. BoP3 gathers phrases those are exploited when generating improvisations. Improvisation is generated reffering to information flow of an accompaniment tune.
著者
山内長承 河内谷清久仁 串田 高幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.20, pp.19-24, 1996-02-29
被引用文献数
4

資源の確保状況に応じて、転送を拒否するのではなく、動画・音声データの圧縮率を変更するなどして、柔軟に転送サービスを実現する動的QoSの技術が試みられている。動的QoSの概念は、予約できない資源へも拡張できるので、予約できる資源とできない資源の混在する環境を統一的に扱える可能性を持っている。本報告では、初めに資源管理を利用してQoS制御をする技術を整理し、帯域予約できないネットワーク上での動的QoS技術の初期実験の概要と結果を報告し、問題点を整理する。The dynamic QoS technology, which, instead of refusing the service because of the short available resources, continues video/audio transmission by changing the data rate according to the available resource amount, has been experimented in several places. Since the concept of the dynamic QoS can be expanded to the resources where no reservation mechanism is implemented, it will be a reasonable candidate to manage services using both reservable and non-reservable resources. This report will first sort out the concepts and ideas about the dynamic QoS control, and then explain about our initial stage experiment and its results with a list of the problems to be solved in the next step.
著者
青木 政勝 瀬古 俊一 西野 正彬 山田 智広 武藤伸洋 阿部 匡伸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.70, pp.7-12, 2008-07-17

近年,GPS など位置計測が身近なものになり,個人の位置情報を記録することが容易になった.ユーザが移動した軌跡となる位置情報のログデータはライブログにおいて,最も基本的なデータであり,購買履歴や視聴履歴,写真などの様々なデータと位置情報を組み合わせて蓄積し,ライフログとして活用するサービスが検討されている.一方,ユーザの位置情報に基づく様々な情報の提供が実用化されてきている.現状は現在位置だけであるが,その背後にあるユーザの過去の情報,すなわちライフログと結びつけることで,ユーザの行動特性やライフスタイルを反映した情報の提供が行えるようになる.本研究では基本的なデータである位置情報をライフログとして蓄積することにより,ユーザ状況やプロファイルを推定することを目的としている.ユーザがおかれた状況として,まず位置履歴から移動中と滞在中といった行動モードを切り分ける手法を検討する.In recent years, it has become familiar a positional measurement such as GPS, and users can easily record there location information. The location data which include moving tracks is the most basic data in life-log. The location data can be combined with various data, purchase histories, attention histories, photographs, and so on. Those data attempt to use for life-log service. While current services only use user's location, more variable services can be provided using user's behavioral trait and lifestyle which can be estimate by user's life-log. Our research aims to estimate user's situation and their profile from accumulated location data, hi this paper, we examine the method of extracting activity modes, that is moving or staying, from positional histories.
著者
児玉 公信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.114, pp.23-30, 2006-11-06

個別受注生産の比率が高い生産管理システムでは,製番に基づく,生産計画と実施,フルペギング,実行スケジューリング,実績把握,上流工程でのまとめ作り,原料から製品までのトレーサビリティの実現が主要な課題となっている.本報告では,既存のモデルを再構成することで得た,これらの課題を解決する生産管理領域の概念データモデルを提案する.また,本モデルの特長について述べ,モデルから得られた生産座席予約の本質的な意味について述べる.In the production control system that the proportion of build-to-orders is higher, it becomes major problems to realize the production planning and operation, full pegging, dispatching scheduling, reporting results, lot arrangement (or grouping) at upper-stream processes, traceability from raw materials to products, which all are related to "seiban". In this report, a conceptual data model of a production control domain solving these problems which is recognized by refactoring existing model is proposed, the features are explained, and an essential meaning of the production seat reservation technique in the model is provided.
著者
廣瀬 康行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.708-709, 2005-06-15

今世紀は知の競争時代なのだそうであり、またスピードを求めるe-Businessの要請からなのか、オントロジやメタモデリングが取り沙汰される昨今である。ただそれら自体が目的目標ではないだろうし、また情報関係者の専売主題でもなければ、西欧文化に根ざした思索が先進しているわけでもない。この辺りについて、般若心経を抄註するという形式をとりつつ、仏法(仏教ではない)の空観を題材としてメタモデリングを再考しようと思う。気軽にお楽しみ戴きたい。なお般若心経の解釈は宮坂宥洪氏に依拠している。
著者
井部 己文 山本 修一郎 佐藤友合子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.107, pp.1-6, 2007-11-02
被引用文献数
9

i* フレームワークは,アクタ間の依存関係を表現する有効な手法として期待されている [1][2]。しかし,その有効性や限界については,まだ十分解明されていない。実際のビジネス構造を i* フレームワークを用いてモデル化し,適用評価を行ったところ,(1) 各アクタ間の関係としてのソフトゴールの網羅性を確認することができないこと (2) アクタがおかれている利用シーンが表現できないといった課題があることがわかった [3]。本稿では,これらの課題を解決するため,アクタ関係行列を用いたゴール指向要求分析方法を提案する。i* framework is expected as an effective technique for analyzing the dependence between actor [1][2]. However, neither the effectiveness nor the limits have been clarified enough. When an actual business structure is modeled by using i* framework, and the application evaluation was done, we found (1) Covering a soft goal as the relations between each Actor should be not able to be confirmed. (2)The following problems, the use scenes of Actors are not expressible [3]. To solve these problems in this text, we propose the method of the goal oriented requirements analysis using the Actor relationship matrix.