著者
松本 宗太郎 南出 靖彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.39-54, 2008-03-15
参考文献数
9

本研究では,多相レコード型に基づいてRubyプログラムの型推論ツールを設計,実装した.型推論ツールは,組み込みライブラリの型を記述したシグネチャとRubyプログラムを入力とし,プログラムの型を推論し,誤りを検出する.しかし,Rubyの柔軟性を表現できる,実用的で健全な型体系を設計しようとすると,体系は非常に複雑になる.それを避けるため,多相レコード型によって拡張されたMLの型推論アルゴリズムを,直接,Rubyに適用した.型体系は,非常に制限されたRubyプログラムに対しては,健全になるように設計した.Rubyにおいては,組み込みクラスなどの既存のクラスを拡張することが許されており,実際に多くのプログラムで既存のクラスが拡張されている.このようなプログラムを処理するために,シグネチャとプログラムを分離して型推論するのではなく,プログラムの一部としてシグネチャが含まれるよう型体系を設計した.実際のRubyプログラムを型付けする場合には,多相レコード型の表現力やMLの型推論アルゴリズムにおける再帰的な定義の型推論に関する多相性の制限から,いくつかの問題が生じることが分かった.これらの制限は,特に組み込みライブラリの型付けにおいて問題になることから,クラス定義を複製し展開することによって型推論を行った.We design and implement a type inference tool for Ruby programs. The type system is based on polymorphic record types of Garrigue. The tool takes two inputs, a type signature of the built-in classes and a Ruby program, and then infers the type of the Ruby program and detect type errors. The type system is a direct adaptation of that of ML with polymorphic records, and designed to be sound only for a restricted tiny subset of Ruby. Ruby allows programmers to modify existing classes and many programs actually modify existing (built-in) classes. Thus we design our type system so that type signatures and method implementation coexist in a class definition. We encounter difficulties when typing common Ruby programs, since polymorphic methods are not expressible in our type system and the ML type inference does not infer polymorphic types in recursive definitions. We alleviate these difficulties by introducing transformations that duplicate class definitions.
著者
岡崎文次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.624-632, 1974
被引用文献数
3
著者
木山 真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.40-48, 2001-03-15
被引用文献数
1

迅速なソフトウェア開発の要求が高まるにつれて,オブジェクト指向スクリプト言語は,より多くの場面で使用されている.これまでのスクリプト言語は,主に小規模なプログラムに使用されていたが,オブジェクト指向スクリプト言語はその保守性の高さから大規模なプログラムにも使用されている.一般に,オブジェクト指向言語ではプログラマの負担を軽くするため,メモリ管理を処理系側で行う実装となっている.そのため,処理系はメモリを有効に利用するために,不要になったメモリを回収し再利用可能にするためのごみ集め処理(GC)が必要になる.多くのオブジェクト指向スクリプト言語はGCを有しているが,実装の容易さから,マークスイープ法,リファレンスカウント法が用いられている.しかし,これらの方法ではプログラムの規模が大きくなるにつれて,GC処理時間の全実行時間に占める割合が大きくなる.そこで,プログラムの実行時間を短縮するため, GCの高速化に着目し,世代別GCの導入を検討する.本論文では,オブジェクト指向スクリプト言語Rubyに世代別GCを実装する場合の方法および結果を示す.世代別GCにすることで,従来のGCにくらべGC処理時間が最大92%,プログラムの実行時間が最大50エ%短縮することが分かった.Object-oriented scripting languages are becoming more and more important as a tool for software development, as it provides great flexibility for rapid application development.Scripting languages have been used for developing small-scale programs, object-oriented scripting languages are also used for developing large-scale programs. n general, memory management is implemented in object-oriented language in order to reduce programmers burden. Garbage Collection is necessary to collect and reuse the unnecessary memory to utilize the memory effectively. Mark-sweep and reference counting are general use among most object-oriented scripting languages. But these method, the ratio of whole execution time to GC execution time will increase as program size increase. In order to reduce program execution time, we introduce generational garbage collection in Ruby. In this paper, we show the method of implementation of generational garbage collection in Ruby, and how efficient that. It can reduce 50エ% of total execution time and 92エ of the cost of garbage collecting for our benchmark.
著者
栗田 多喜夫 加藤俊一 福田 郁美 坂倉 あゆみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.1373-1383, 1992-11-15
参考文献数
28
被引用文献数
180

利用者の主観を反映させた印象語からの絵画データベースの検索法を提案する。「ロマンチックで暖かい」というような視覚的印象は 利用者の好み 文化的背景などの違いにより個人ごとに異なっていると考えられるので そうした要求からの検索を実現するためにはシステムはその利用者にとって「ロマンチックで暖かい」とはどういうことなのか評価できなければならない.このとき データベースに蓄えられるすべての絵画に対して 利用者ごとの主観的属性をあらかじめ登録することは困難である.本積では 各利用者に学習用の絵画に対して印象語を付けてもらい その結果から正準相関分析により印象語と画像特徴との相関関係を学習し それを検索に利用する方法について述べる.各利用者の印象語と画像特徴との主観的態対応関係を学習しておくと 印象からの検索はもちろん 類似画検索や未知の絵画に対して印象語を推定することなども可能となる.印象派の絵画を対象とした画像データベースに対して 提案した手法による検索実験を行い良好な結果が得られた.
著者
藤田 徹 北原 鉄朗 片寄 晴弘 長田 典子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.199-204, 2008-02-09
参考文献数
7

本論文では,アーティストの音楽的特徴を抽出し定量的に扱う手がかりとして,テトラコルド論に着目した音楽分析の結果を報告する.テトラコルド論では,完全4度の音程関係にある2音(核音)と,その中間音(補助音)から作られる音列をテトラコルドと定義し,この音列の組み合わせで様々な音階が作られるとされている.本論文では従来のテトラコルドを内側テトラコルド,補助音が核音の外側にあるテトラコルドを外側テトラコルドと新たに定義し,全48種類のテトラコルドに対してそれぞれの出現確率を調べた.この分析を久石譲,坂本龍一,葉加瀬太郎,小室哲也,西村由紀江の5アーティストと日本民謡,沖縄民謡,クラシックの3ジャンルに対して行った結果, 日本民謡や久石,坂本の楽曲に高い確率でテトラコルドが出現した.また,内側テトラコルドが多いほどメロディの予期性が高く、外側テトラコルドが多いほど意外性が高いことが分かった.さらに得られた出現確率データに主成分分析,線形判別分析による多次元空間へのマッピングを行い,それぞれのジャンルやアーティストの区別にどのようなテトラコルドが寄与しているかを示した.This paper reports the result of a music analysis focused on Tetrachord theory in order to extract and quantify the characteristics of a musician. According to tetrachord theory, a tetrachord is defined as a series of three tones where two core tones are related by a perfect fourth and a single auxiliary tone is placed between the two core tones. From these chordal combinations various types of scales are derived. In this study, however, we define the traditional structured tetrachord as an "inside-tetrachord" and a tetrachord structure where the auxiliary tone is placed outside the perfect fourth as an "outside-tetrachord." We investigated the frequency in which all 48 tetrachords occur to analyse music composed by five Japanese musicians: Joe Hisaishi, Ryuichi Sakamoto, Taro Hakase, Tetsuya Komuro, and Yukie Nishimura, and in three genres: Japanese folk song, Okinawa folk song, and classical music. We found that tetrachords appear more frequently in Hisaishi and Sakamoto's music and in Japanese folk songs. Additionally, the more predictable a melody is the more frequently inside-tetrachords appear, while the more unpredictable a melody is the more frequently outside-tetrachords appear. Furthermore, we showed which tetrachord contributes to distinguish different musicians and music genres by mapping the frequency rate obtained into a feature space using PCA and linear discriminant analysis.
著者
市川 裕介 田中 明通 川村 亨 中村 俊郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.30, pp.99-104, 2005-03-18
参考文献数
8
被引用文献数
1

我々は独自開発した自動レコメンド手法によるレコメンドエンジン"AwarenessNet"をオンラインショッピングサイトbk1に導入し、レコメンドサービスについての実証実験を行った。従来、レコメンドエンジンのアルゴリズムの有効性はシミュレーションによる予測精度の評価やサンプルユーザへのアンケート調査によって評価される。しかし、その評価結果から実際のオンラインショッピングサイトへ導入した際の導入効果を見極めることは困難である。本報告では、実運用サイトでのレコメンドシステムの実証実験を行うことにより、従来の評価手法では評価することができなかった、レコメンドエンジンのビジネス面での導入効果についてその事例を示す。We introduced the recommender system "AwarenessNet" by the automatic recommendation technique for developing originally into online shopping site bk1, and did the demonstration of the recommendation service. The effectiveness of the recommender system is evaluated by the evaluation of the predictive accuracy by the simulation and the questionnaire survey to the sample user so far. However, it is difficult to ascertain the introduction effect when introducing it from the evaluation result to an actual online shopping site. This research shows the case about the introduction effect on the business side of the recommender system where the recognition cannot have been done by doing the demonstration of the recommender system in the real operation site in a past evaluation technique.
著者
酒居 敬一 光成 滋生 成田 剛 石田 計 藤井 寛 庄司 信利
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ARC,計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.144, pp.141-146, 2001-07-25
参考文献数
12
被引用文献数
1

近年, マルチメディアアプリケーション向けの拡張命令をサポートした汎用プロセッサが入手できるようになってきた.PCMオーディオをmp3にする処理は遅いと感じていたし, 速いエンコーダが切望されていた.そこでAMDの3DNow!やIntelのSSEという拡張命令に着目し, それらの命令をエンコーダの高速化のために使用した.「午後のこ〜だ」は, 「LAME]を高速化したmp3エンコーダで, そのような命令を使うようにアセンブリ言語で書き換えたものである.さらに440BXチップセットによるIntelSMPにも着目し, マルチスレッド実行による速いmp3エンコーディングも実装してみた. 本稿では「午後のこ〜だ」に実装した高速化手法や速度向上について述べる.
著者
栗田 太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.506-513, 2008-05-15
被引用文献数
3

筆者らは,携帯電話組込み用モバイルFeliCa IC チップファームウェアの開発に,形式仕様記述手法を適用し,手法導入の目的である,(1)厳密な仕様の記述,(2) 仕様の段階的な記述と検証を中心とした,開発スキーム,プロセス,フレームワークの検討と導入,(3)記述精度の向上とテストによる,開発の上流工程における品質の確保,(4) 仕様を活用した徹底的なテスト,(5)コミュニケーションの活性化,を達成し,開発の成果を上げると同時に,手法適用の効果を確認した.
著者
新井 利明 関口 知己 佐藤 雅英 木村 信二 大島 訓 吉澤 康文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.2492-2504, 2005-10-15
被引用文献数
3

オペレーティングシステム(OS)はこれまでに多くのものが開発されているが,ユーザの要求が多様であり,すべての要求を満足するOS開発は不可能に近い.そこで,1台のマシン上に汎用OSと特定の目的を持つ専用OSを共存させ各々機能補完する仮想計算機機能のナノカーネルを提案し,実現した.豊富なソフトウェア資産を活用できる汎用OSと特殊機能を有する専用OSを1台のマシン上に共存させ,互いに機能補完させることができる.ナノカーネルは,上記の目的を達成するために,(1)複数OS共存オーバヘッドを削減するための資源分割機能,(2)OS間の機能補完を可能とするOS間連携機能,(3)OSの信頼性を向上させる障害監視,回復機能と擬似不揮発メモリ機能などで構成する.これらの限定した機能を実現することで,ナノカーネルは複数OSの共存を可能とし,補完環境をオーバヘッド2%以内で達成できることを確認した.また,汎用OSとリアルタイムOSの共存環境を構築し,汎用OS環境では不可能であったマイクロ秒単位の応答性を確保できることを確認し,ナノカーネルの持つOS間機能補完を実証した.さらに,専用の高信頼OSからの汎用OS障害情報の収集や汎用OSの再起動処理を実現し,システムの信頼性向上にも有効であることを確認した.Although various kinds of Operating Systems (OSs) have been developed so far, a user hardly finds the OS satisfying all the users' needs completely. We proposed and developed a kind of virtual machine called Nanokernel, which effectively enables a general purpose OS and a special purpose OS co-exist in one machine and complement each other. By complementing general purpose OS with rich software and special purpose OS with special function, Nanokernel realizes the environment which meets variety of users' needs effectively. We restrict Nanokernel functions to resource partitioning for lower overhead, communication between OSs for function complement between them, and failure detection and fast recovery for reliability, to achieve the purpose effectively. By restricting Nanokernel functions above, Nanokernel achieves the multi-OS co-existing environment less than 2% overhead. The Nanokernel environment with a general purpose OS and a realtime OS showed that Nanokernel relieves the lack of realtime property of the general purpose OS and establishes micro-second order response time. Moreover, even when the general purpose OS crashes, the realtime OS can survive, get the information for the failure from the general purpose OS and execute the general purpose OS restart process, so that Nanokernel is useful for enhancing system reliability.
著者
安村 通晃 渡邊 恵太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.26, pp.109-116, 2008-03-08
参考文献数
28

ビデオゲームの進化の方向性をインタラクションデザインの立場から考察する。近年のビデオゲーム(以下では単にゲームと呼ぶ)は、対象ユーザの拡大、コンテンツの広がりと言う 2 点において、従来のゲームとは明らかに違う様相を呈している。これをここではゲーム 20 と呼び、従来のゲームをゲーム 10 と呼ぶ。従来のゲーム (ゲーム 1.0) とこれからのゲーム (ゲーム 2.0) の各々について、インタラクションデザインとの関係性、つまり、ゲームのインタフェースのコンピュータインタフェースに及ぼすべき影響と逆にコンピュータインタフェースがゲームのインタフェースに与える影響の両者を、具体的な事例に即して論じる。この論点から、ゲームのインタフェースおよびコンピュータのインタフェースのそれぞれの、今後の方向性についても言及する。In this paper, the authors argue on the evolution of video games from the viewpoint of interaction design. Recent video games have unique trends that they have newer user layers and their contents enter a newer domains. These points are quite different from the older games and their contents. Therefore we call the newer games as Game 2.0 and the older ones as Game 1.0. The authors also discuss about the relationship between the game interface and computer interface, and how each of them influences to the other and vice versa.
著者
伊藤淳子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情処学研報
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.41-47, 1995
被引用文献数
1

日本全国の女子高生は約260万人。半数以上が自分の部屋にファックス&留守番機能付き電話機を持ち、また40%近い子がポケベルを持っている。世間ではインターネットの導入が騒がれているが、現在のところ彼女らのコミュニケーションは「おしゃべり」である。ところが、この「クチコミ」と言うもっともプリミティプなネットワークが企業の動向を左右することもある。グリコの「イチゴポッキー」、ロッテの「コアラのマーチ」など、女子高生のクチコミで全国的にヒットした商品も数多い。しかし、クチコミにはかならず仕掛けがある。そのメカニズムと、女性における情報の価値について考察してみたいと考えた。
著者
福井 一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.53, pp.51-54, 1996-05-25
被引用文献数
3

音楽が内分泌に及ぼす影響については、研究が少ない。この研究の目的は音楽聴取がテストステロン()分泌に及ぼす影響を調べることである。合計70人の被験者(男性60名、女性10名)が二つの条件で実験を受けた:30分の音楽聴取(被験者の好きな音楽、グレゴリオ聖歌、モーツァルト、ジャズ、ポピュラー音楽)と、3)分の沈黙である。その間4回にわたって唾液を採取し、T値(フリー・テストステロン)をRIA法により測定した。その結果、音楽聴取により有意にT値が減少した。分散分析の結果、Tに主効果があり、音楽のカテゴリーとTの間に相互作用が見られた。Tは音楽能力やストレス、免疫反応などとも関係が深い物質である。本実験結果は音楽知覚・認知分野のみならず、音楽療法の基礎研究にも重要な資料となると同時に、音楽の「機能」にもあたらしい光をあてるものと考える。Saliva testosterone (ST) concentration was measured among 70 college students and healthy men and women. Subjects were placed under two different conditions, in which they were given: (1) 30 min of listening to music and (2) 30 min of silence. All the subjects submitted two saliva samples in each condition. ST decreased significantly in the first condition as a whole, while ST increased during the second condition, though not remarkably. ST increased in the Gregorian chants, though the change was not significant. ANOVA revealed that the within-subjects main effect for ST was significant, also that there were signicicant categories-by-ST change interactions. Favorite music had different effects from Gregorian chants, indicating that the patterns of changes in effectiveness of music over a certain duration of time differ depending on the category of music.
著者
三木 孝 山田 泰宏 服部 哲 速水 治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.58, pp.1-5, 2014-03-06

Twitter は身の回りの出来事などを手軽に投稿できる Web サービスである.Twitter では投稿することをツイートと称し,利用者は様々な場面でツイートすることができる.本論文ではTV番組を視聴しながらツイートしている実況者といわれるユーザに着目する.近年,実況者によるツイートを用いた TV 番組のネタばらしが多い.大抵の実況者は特定のハッシュタグを付加したツイートをするが,中にはハッシュタグを付加せずツイートをする実況者も存在する.実況者をフォローしているユーザは自身のタイムラインが放映時間中に実況者のツイートで埋まってしまい,必要なツイートが見ることができなくなってしまう.また,リアルタイムで観ることができず,後日録画した番組を観る場合,話の筋や結末を知ってしまっているので観る楽しさが減少する.現状で特定のキーワードを含むツイートを非表示に設定できるクライアントは存在するが,それだけではネタばらしのツイートのすべてを非表示にできない.本論文では,ハッシュタグ付加ツイートをTV番組放送時間中に取得と解析を行い,頻繁にツイートされているキーワードを抜き出し,自動的に非表示する.解析した結果から共通するキーワードが含まれるツイートをタイムライン上から非表示にすることでネタばらしを防止するシステムを提案する.提案システムはネタばらしツイートの非表示を優先することとした.このため,ネタばらしでないツイートも非表示になることも多少あるがそれは致し方ないこととした.2 種類の評価実験の結果,提案システムは高評価を得た.Twitter is a Web service that can post with ease and events around us. It can be called tweets to be posted on Twitter, user Tweets in various situations. Attention is paid to the user which is said to live who tweeted while watching a TV program in the present study. In recent years, spoilers of the TV program using a live tweet by the person in many cases. Live 's most a tweet obtained by adding a hash tag of particular, who live a tweet it without adding the hash tag is also present in. Timeline of itself would be filled with tweets live person to broadcast during the time, a user who follows live person can no longer be seen is required tweet. Further, pleasure to watch is reduced if it can not be viewed in real time, and view the recorded program later, because it has known consequences or story line. Client that can be set to hide the tweet that contains specific keywords in the present circumstances exist, but it can not hide all of the tweets spoilers. In this paper, we analyze and get to a TV program broadcasting time in the hash -tagged tweet, extracting keywords that are frequently tweet, it is automatically hidden. We propose a system for preventing the spoilers by hide from timeline tweets keywords in common from the results of the analysis and the like. The proposed system was decided to give priority to the non-display of tweet spoilers. For this reason, there is also some that tweet you do not spoilers also be hidden, but it was decided can not be helped. Results of the evaluation two experiments, the proposed system is to obtain a high evaluation.
著者
戸谷 薫 上山 薫 北 栄輔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.135-138, 2008-12-10

本研究では,魚養殖業者の価格リスクを回避するためのスワップ契約について述べる.スワップ契約は魚養殖業者とデリバティブハウス,漁業協同組合とデリバティブハウスの間で締結される.養殖業者とデリバティブハウスの収益を確認したところ,スワップ契約を導入することで両者の収益を安定化できることを確認した.This paper describes the swap contract for avoiding price risk of aquaculture industry. One swap contract is made between aquaculture industry and derivative house, and another is be tween derivative house and fishermen's cooperative dealing natural fishes. Simulation results show that the contracts stabilize the income of the industry and the derivative house.
著者
佐伯 顕治 田端 利宏 谷口 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.36, pp.23-30, 2007-04-05
参考文献数
5

OS の処理の中でも、プロセスを生成する fork と exec 処理の負荷は大きく、サービスの処理性能への影響は小さくない。そこで、我々は、分散指向永続オペレーティングシステム Tender において、OS の構成資源を再利用することによるプロセスの生成と消滅の高速化を実現している。Tender では、他 OS 用のプログラム実行のため、UNIX 系 OS である BSD/OS のインタフェースを実現している。本論文では、資源再利用機能を利用して、fork と exec システムコール処理を高速化する手法を述べ、再利用する資源の種類ごとに行った評価結果について報告する。また、Apache web サーバでの評価を行うことで、実 AP での資源再利用機能による fork と exec システムコール処理の高速化の効果を示す。また、他の OS と比べることで、資源再利用機能の有効性を示す。The cost of process creation is high in the processing of OS. The costs degrade the performance of program execution. To solve this problem, we have implemented fast process creation and disappearance by recycling process resource in Tender. Tender has BSD/OS interface for program execution of the BSD/OS. In this paper, we describe the method of speed-up of fork and exec system-call by recycling resource in Tender, and evaluate fork and exec system-call by recycling each resource. Moreover, we report the effect of recycling resource by using Apache web server.
著者
嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.40, pp.23-30, 1994-05-20
被引用文献数
18

いままで多数の研究者が、音声認識は有用な技術であると信じて研究開発に多大な努力を払ってきた。しかし、実際にはその実用化は思ったほどはかどってはいないようである。何が問題なのだろうか?何を解決すれば爆発的に実用になるのだろうか?この問題を議論するために、E?mailを用いた事前討論を開始し、多数の方々からの返答を得た。この報告書は、これら返答の中から筆者が取捨選択してまとめたものを基礎に、筆者の考えも加えて議論している。Although a number of researchers and engineers have paid considarable efforts in research and developement of automatic speech recognition technologies, speech recognition is not yet so widely used in the real world as we expected. What is the problem? What should be done to bring a boom of real applications to the speech recognition technology? To raise a wide-spread discussion, the author introduced an E-mail discussion on this problem. A number of replies have been received from speech researchers. This report includes summary of the E-mail discussion as well as author's own views.
著者
宝珍輝尚 安達 政伸 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.70, pp.43-48, 1996-07-25
参考文献数
5

考古学では、遺跡から発掘された遺物のデータのデータベース化が強く望まれ、そこからの新たな発見の導出や仮説の検証のサポートが望まれている。そこで、考古学の遺物のデータとして、一乗谷朝倉氏遺跡から出土した染付の碗や皿を例に、通常のクラスタ分析を行ったところ、定説とされている分類が得られなかった。これは、定説とされている分類では、一つの項目が複数の分類に出現しているためであった。そこで、このような分類を可能にするように、1回のクラスタ分析で最も類似性の高いクラスタを求め、そのクラスタに属するデータを取り除いて再度クラスタ分析を行うという方法を用いた。これにより、定説に近い分類を得ることが出来た。Archeologists require to build databases of remains, and to discovery new facts and to test assumptions. The pieces of china dug up from Asakura site have been already categorized by the archeologists. We tried to categorize them through the cluster analysis in order to obtain the same categories as the authorized ones. The ordinary clustering method can not bring us the required categories. This reason is that the authorized categories share the same item. Then, the clustering method is improved to obtain one cluster in one clustering process. This method brings us the categories similar to the authorized one.
著者
長嶋 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.67-72, 2003-02-21
被引用文献数
2

Computer Music音響創作活動の新しい事例報告として2件を紹介する.第一は,2002年8月に名古屋で公演されたメノッティのオペラ"Help Help the Globolinks!"の電子音響パートの作曲で,宇宙人Globolinksの声などを従来のテープに代わってリアルタイム音響合成しライブ公演した.第二は,2002年10月から放送されているSony "Net MDウォークマン"ラジオCM「人体の音楽」編の作曲で,心臓や筋肉のライブ生体情報から楽器音へのマッピングでな直接に生体音響音楽を生成した事例を紹介する.This is a report of two compositopns as applications of computer music. One is the composition of electroacoustic part of the opera called "Help, Help, the Globolinks!" composed by Gina carlo Menotti (1911-). I Composed the alien voices/sounds and other SEs for the opera and performed with a computer in the orchestra pit in real-time. The other is the composition for Sony "Met MD Walkman" radio CM with the theme "human body music". The composition is created with my heart-beats and my hand-electromyogram signals sampled in real-time. Both composition is supported by Max/MSP environment.
著者
大久保誠也 小林 正人 本多 武尊 眞鍋秀聡 青木 輝人 柿下 容弓 小松原 頌之 西野 哲朗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.25-32, 2007-03-05
被引用文献数
7

本稿では,2006年11月18日にUEC(電気通信大学)で開催された,第1回UECコンピュータ大貧民大会(UECda-2006)の概要を報告する.大貧民は,日本で広く行なわれているトランプ・ゲームのひとつである.本大会は大貧民をプレイするコンピュータ・プログラムを対戦させる大会である.以下では,本大会の概要,本大会で採用した大貧民のルール,大会規模,使用したプログラム,および決勝戦の結果について述べる.In this talk, we give a summary report of the First UEC computer DAIHINMIN championship (UECda-2006) held at UEC (The University of Electronic-Communications) on November 18, 2006. DAIHINMIN is one of the most popular card game played in Japan. In this championship, computer DAIHINMIN engines compete against each other. We present the outline of the championship, the adopted rules, number of participants, used programs, and the result of the final match.