著者
深谷拓吾 小野進 水口実 中島青哉 林真彩子 安藤広志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.7-9, 2011-03-02

電子機器等のマニュアル作成業務において,文章やイラエストの校正作業は必須のフローである.従来,紙上での校正が一般的だったが,電子メディア上での校正もマニュアル作成現場で浸透しつつある.しかし,依然,現場では紙ベースでの校正への支持は根強く,そのために費やされる紙は膨大な量にのぼる.省資源化の立場から,本研究では紙上での校正作業と液晶ディスプレイ上での校正作業について,効率と精度の面から検証を行った.紙と液晶ディスプレイ上でそれぞれ,英語文章と多言語文章を照応する比較校正実験をマニュアル作成業務従事者を対象に行った結果,紙上でのパフォーマンスが効率,精度とも液晶ディスプレイ上での作業を上回っていた.校正作業ログの分析することで,液晶ディスプレイ上での校正で発生しやすい認知的ミスを同定し,ディスプレイ上での校正率向上へ向けての指針を提案する.
著者
美添一樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.686-693, 2008-06-15
参考文献数
6
被引用文献数
11

囲碁は,主なボードゲームの中でコンピュータの挑戦を拒み続けてきた唯一のゲームである.囲碁の難しさは良い評価関数を作ることが困難であるということに起因していた.しかし2006年にコンピュータ囲碁の世界にまったく新しいアルゴリズムがもたらされた.評価関数が不要という画期的な探索アルゴリズム,通称,モンテカルロ木探索と呼ばれるものである.登場から2年あまりで9路盤ではプロ棋士を破るほどの強さを獲得した.そのアルゴリズムの性質や理論的背景について述べ,今後の展望を探る.
著者
松原 仁 半田 剣一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.83, pp.21-30, 1994-10-04
被引用文献数
2

チェスにおいては分岐因子などのゲームとしての性質が調べられているが、将棋については広く公表されたものが存在しなかった。ゲームをプレイするためのアルゴリズムを考える際に、あるいは将棋をチェスや囲碁など他のゲームと比較する際にこれらの情報は重要である。現在プロの棋譜を収集して分析している。そこで得られたいくつかの知見を報告する。将棋の平均分岐因子は、これまで一般に信じられてきた値よりはかなり小さく80前後(母集団の取り方によって90程度から70程度までばらつきがある)。しかしこの結果はコンピュータ将棋がこれまで信じられてきたよりやさしいということは必ずしも意味しない。最も勝負に影響する中盤から終盤にかけては平均百数十手の分岐因子が存在するので、チェスと同じ方法でコンピュータ将棋を強くすることはできないものと思われる。
著者
粟津妙華 高田雅美 城和貴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.20, pp.1-6, 2014-06-18

国立国会図書館では,所蔵する明治から昭和前期の近代書籍を近代デジタルライブラリとして Web 上でページごとの画像データとして公開しているが,文書内容での検索を行うことができない.そのため,自動でのテキストデータ化が望まれている.その際,問題となっているのがヒストグラムでは除去できないルビであり,我々はすでに近代書籍に特化したルビ除去手法を提案している.しかしながら,提案した手法は書籍に付加された外部情報を元にしており,実現可能性は低い.そこで本論文では,書籍画像から直接得られるデータを元に,進化計算によってルビ除去式を生成し,近代書籍から自動でルビを除去する手法を提案する.In National Diet Library, books which are possessed in library as "the digital library from meiji era" are open to the public on Web. Since these are shown as image data and cannot search using document contents, an automatic text conversion is needed. There is a major obstacle to text conversion. It is ruby. Ruby can not be removed in the histogram method. Therefore, we have proposed a ruby removal method for early-modern Japanese printed books. However, since the proposed method is based on the external information added to the books, the feasibility is low. In this paper, we propose a method to remove the ruby automatically from early-modern Japanese printed books by generating ruby removal formula in Genetic Programming using the training data was based on the data of book image.
著者
岩崎 洋平 岩井 智成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-8, 2013-06-17

本研究では,複合現実感 (MR) を用いた図書館利用者のための MR サービスシステム:MR Librarian System (MRLS) を開発するためのフレームワークについて検討する.MRLS では,MR Librarian (MR 司書:MRL) と名付けたアバターを介して,2 つの図書館サービス (蔵書検索および入館・貸出履歴管理) をユーザに提供することを目指している.蔵書検索サービスでは,ユーザの探している図書が置かれている書棚までのナビゲーション情報を MR 表示された MRL によってユーザに呈示する.また,入館・貸出履歴管理サービスでは,ユーザの入館履歴や貸出履歴のデータを分析して,貸出図書の嗜好や入館の傾向などを MRL の変化として呈示する.さらに,本システムを図書館利用率向上のための (金銭や物品を伴わない) インセンティブ・プログラムとして機能させることについても検討を進めている.本稿では,それぞれのサービスシステムの開発について述べるとともに,本システムのインセンティブ・プログラムとしての有効性を検討するために行ったアンケート調査の結果についても述べる.We have developed a MR Librarian System (MRLS) using Mixed Reality (MR) technology. This system provides users two kinds of services called library search and admission and lending history management, which introduces an avatar called MR Librarian. Former service is composed of the system that provide navigation for bookshelf on which the target book is placed with MR technology. Admission and lending history management services is supply an avatar visualization engine, which can customize the dress and accessory of an avatar according to the preference of borrowed books. By offering these services, MRLS aims to increase the users' incentive and improves the library services. This article reports the development of MRLS, and experimentally evaluate its validity through questionnaire survey.
著者
榊裕亮 井上亮文 星徹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.199-201, 2013-03-06

近年,就寝時に利用されることを想定したデジタルコンテンツ市場が注目を集めている.本研究では,没入感の高い仮想添い寝を体験可能なデジタルコンテンツ鑑賞システムを提案する.本システムでは,寝床に設置されたかまぼこ形のスクリーンの上に仮想的な添い寝者を投映する.ユーザの上方にあるスクリーンには,仮想的な添い寝者が朗読する絵本に関連した映像が投映される.ユーザはジェスチャと赤外線ポインタを用いることで,仮想的な添い寝者や絵本の世界とインタラクションが可能である.本稿ではプロトタイプと評価用コンテンツについて述べる.
著者
小林広和 寺田 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会プログラミング研究報告
巻号頁・発行日
pp.37-42, 1997
被引用文献数
2

GNU Emacsはテキストエディタとして世界中で、多くの人々に使われている。そのGNU EmacsはEmacs LispというLisp言語で書かれているが、Emacs Lispのごみ集めはマークスイープ法であり、ごみ集めの処理によって起こる通常処理の中断時間によりシステムの応答性の低下が起きている。ごみ集めによって起こる処理の中断時間を短縮し、システムの応答性を向上させるために世代別ごみ集めをEmacsに実装した。本実装の特徴は世代間参照の検出方法に仮想メモリのダーティビット情報を利用することによって、通常処理の速度低下を招かず、既存のシステムに大きな変更を加えること無くごみ集めによる処理の中断時間を短縮することができたことである。本稿では、今回行なった世代別ごみ集めの実装法と、性能計測について報告する。
著者
瀧澤 武信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.875-881, 2006-08-15
参考文献数
5
被引用文献数
7

第16回世界コンピュータ将棋選手権で初出場初優勝した「Bonanza」の特徴を概観する. Bonanzaは作者が将棋をあまり知らない上に,コンピュータ将棋の論文を読まずコンピュータチェスの論文のみを参考に開発した.作者によると.Bonanzaの局面の探索の手法は,「全幅探索」とほぼ同様な結果を得られるものを用いており,評価関数は10 000個のパラメータを自動チューニングして最適化したものを用いている.項目数が多いが,構造が簡単なために軽い評価関数に仕上げ,スピードを獲得したと思われる.さらに,基本データ構造にBitboardを採用することで,プログラムの実行速度を上げているとのことであり,これらが相まって成功を収めたと思われる.Bonanzaの登場により,コンピュータ将棋の進歩が一層早まり,10年以内にトッププロに迫るものが現れても不思議でない状況となった.
著者
松山 麻珠 池内 淳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.1-8, 2015-03-06

本稿では,校正を行う場面での読みにおける作業効率の差や校正者が受ける影響を測定するとともに,その要因を考察することを目的として二つの実験を行った.実験 1 では,24 名の被験者に対して,2 種類の問題を用いて実験を行い,校正作業の効率,正解率,主観評価いずれにおいても液晶ディスプレイに比べ,紙の方が優れていた.実験1の結果を踏まえ,その違いとなる具体的な要因を探るため,反射光と透過光の違いに着目した実験を 20 名の被験者を対象として実施した.その結果,誤り発見数・誤回答数・読書時間・主観評価について差は認められなかったものの,誤り発見数の平均値,校正作業の精度と再現率について反射光のほうが優位であった.
著者
上野 修司 高橋 勇 黒岩 丈介 白井 治彦 小高知宏 小倉 久和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.130, pp.41-46, 2006-12-09
被引用文献数
2

本研究では 我々は複数のWebページから剽窃した学生レポートを発見するためのシステムを提案する.このシステムを実現するために 我々は検索エンジンを用いて学生レポートの剽窃元になったWebページの検出と剽窃の可能性を評価する際の二つの問題を解決した また これらの新しい手法を用いたシステムを実装し システムの有効性を検討するため2つの実験を行った.その結果 複数のWebページから剽窃したレポートの発見支援が可能であることが示された.In the present investigatiou, we prpose a system in supporting facultures to out the leaner's report plagiarized from, several WEB pages. In order to realize the system, we have solved mainly two problems; (i) How to find out original WEB pages from which learners plagiarized by means of a certain WEB search engine?, and (ii) how to evaluate possibility of plagiarism? We implemented the new two algorithms in the system, and performed two experimentes to show the their effectiveness. From the results, we have almost succeeded to fond out the reports plagiarized from several WEB pages expect for a few reports.
著者
定兼 邦彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.899-902, 2007-08-15
被引用文献数
1

データ列に対して検索効率などを効率化するため,索引を付加することがある.演算を効率化するために,データに対して特定の情報を付加したものを,ここではデータ構造と呼ぶこととする.本稿ではこのようなデータ構造のうち,もとのデータの長さnに対してo(n)程度の付加情報のみを与える,簡潔データ構造と呼ばれる分野について解説する.特に,最も基本的かつ応用範囲の広いビットベクトルに関する簡潔データ構造に焦点を当てる.ビットベクトルBに対して,先頭からi番目までのビット中の1の数を与えるrank1(B i)と,i番目の1の位置を与える select1(B i)という演算は,基本的かつ重要な演算である.これらの演算が定数時間で可能な簡潔データ構造について,具体的なデータ構造とアルゴリズムを紹介し,次に付加するデータサイズの下界についての結果を示し,最後に今後の展望について述べる.
著者
安藤英由樹 渡邊 淳司 杉本 麻樹 前田 太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1326-1335, 2007-03-15
被引用文献数
9

人間の平衡感覚(重力感覚や加速度感覚)に人工的に影響を与える方法として前庭電気刺激が知られている.前庭電気刺激は耳の後ろ(頭部乳様突起部)に装着された小型電極から微小電流を流すだけで,装着者に物理的な加速度を与えることなく平衡感覚に対して影響を与えることが可能であり,小型軽量インタフェースとして実装が可能である.本論文では,インタフェースを実装するうえでの設計指針を記すとともに,インタフェースとしての応用について,装着者への情報支援,前庭感覚付与による没入感・臨場感の向上,前庭感覚を含めたコミュニケーション,という3 つの視点から実現例を含めて示す.Galvanic Vestibular Stimulation (GVS) is known as a method of giving influence on sense of equilibrium. The vestibular system is stimulated by a weak current through an electrode placed on the mastoid behind the ear. Using GVS, we can realize a small and concise interface for affecting vestibular sensation. In this paper, we describe design theory of proposed GVS interface and novel applications from the following point of views, firstly information support, secondly improvement of sense of presence, thirdly communication media.
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.7-14, 2006-10-27
参考文献数
6

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつである。これは踊り手個人が任意でする動作であり、「振付け」の範疇として習うものではないとされている。従って習得していく過程において振付けと同レベルで教えられるものではなく、ザイを切るタイミングは大体決まってはいるが、決められたタイミングで全員でしなければならないという決まりもない。あくまで踊りの型がからだに入った者が、それからさらに踊りを高度な次元で表現する術としての、「わざ」の領域の動作なのである。本稿では、「基本」と「わざ」の間にある関係性について、舞踊人類学的な調査に基づく質的分析と情報学的な動作計測に基づく量的な分析の両面からの考察を行う。
著者
浅野 一成 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.83, pp.87-94, 2007-08-03
被引用文献数
2

本報告では, Microperl を用いた PerlOS の試作とその評価について述べる. Microperl を拡張し,I/Oポートや実メモリへアクセスを行う機構を取り入れ,Perl メソッドコールのAPI を使うことで, Perl で割込み処理やデバイスドライバが記述できることを示す.今回は試作段階として,デバイスドライバと割込み処理を扱った.ドライバと割込み処理の実装は,キーボードについて行った.評価では,I/Oポートの入出力時間と割込みハンドラの起動時間について, C と Perl での実行時間を比較した.その結果, C に対する Perl のI/O ポート入出力時間は,最大で85%,割込みハンドラの起動時間は17%の性能比となった.各種ドライバやファイルシステムの実装・評価が,今後の課題である.This paper describes a design and evaluation for perl interpreter running on a bare machine.We propose that Extented-Microperl can access to I/O port and physical memory, and that perl program provieds device drivers and interrupt handlers using Perl method call API. This time, the updated interpreter provides device drivers and interrupt handlers. Keyboard driver and handler has been implemented. In evaluation, we have compared access time to I/O port and uptime to interrupt handler with C. As a result, each performance is 85 percent and 17 percent as fast as C code. Other device drivers and file systems are prospected.
著者
吉野 啓子 永井 真由美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学]
巻号頁・発行日
vol.2013, no.28, 2013-08-24

「初音ミク」 誕生が産んだ CGM ムーブメントをエンターテインメントの方向に伸ばした 「Project DIVA」 シリーズ.そして Project DIVA シリーズの販促イベントとして実施した所,世界にインパクトを与えた 「ミクの日感謝祭」.本講演では Project DIVA (アーケード) を構成する技術とその歴史,「ミクの日感謝祭」 に代表される 3D ライブのテクニカルな部分を紹介する.
著者
安田 豊 中山 雅哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.56, pp.19-24, 1999-07-15

インターネットにおけるネットワークアプリケーションは一般にサービス能力のスケーラビリティを要求される。分散化はスケーラビリティを確保するための一つの方法であるが、本稿では1997年以来幾度か日蝕インターネット中継のためのWWW分散サーバ群を構築・運用してきたので、まずこれについて報告する。次に1999年2月の日蝕で試みた各分散サーバの処理分担率を動的に調整し得る手法を示し、アクセスログの分析結果からその有用性を検証する。Internet application will be required a scalability of it's service performance. Distribution is the one of technique to keep the scalability. This paper shows some distributed WWW servers system case for solar eclipse live from 1997. And the advantage of it is shown by the analyzing the access log of of Feb 1999 eclipse live. It contains the effectiveness evaluation of dynamic adjustment a rate of sharing.
著者
カイザーシュテファン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.91, pp.13-20, 1995-09-15

非漢字圏出身留学生の漢字学習者は、ほぼ全員アルファベット系文字体系を使う文化圏で育っている以上、表音的機能が中心に文字をとらえる彼らに効率よく漢字を学習させるためのデータベースは漢字の表音性に関するデータを用意することが考えられる。しかも、短期間に多くの漢字を学習する必要のある大学生の場合、体系的な学習の仕方が要求される。以上二つの理由から、漢字の表わす情報の中でもっとも体系的である音符にもっと注目する必要がある。ところが、日本語と違って、中国語・英語その他多くの言語は押韻の習慣があり、その言語習慣を利用して形声字の音符における類音などの学習に役立つと考えらる。本研究ではまず、表音性の強いアルファベットの大体系が一般に理解されるよりも広い地域で使われることを証し、漢字の表音性がどんなものかを検討する。さらに中国語・英語の押韻文化を比較し、漢字学習者に対して行った漢字音の押韻把握のためのアンケート調査の結果とその問題点について検討する。International students from non-kanji backgrounds almost without exception come from cultures where alphabet-type writing systems are used, and therefore tend to view writing as a system that matches the sounds of a language. Furthermore, they need to learn a fairly large number of kanji in a relatively short time. For both these reasons, the most systematic aspect of kanji, the arrangement of phonetic indicators, deserves more attention in the teaching of kanji. Furthermore, unlike Japanese, both Chinese and English (as well as a large number of other languages) make use of rhyme in various ways. In this paper, I first show that alphabet-type writing systems are used more widely than usually thought, and look at the nature of the phoneticity of kanji. I then proceed to a comparison of rhyme in Chinese and English, which shows a number of similarities, and discuss the results of a pilot questionnaire on learners understanding of rhyming sets, with a view of utilizing it for the systematic acquisition of phonetic indicators.
著者
大野 邦夫 渡辺 篤史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.10, pp.47-54, 2008-01-31

本報告は、SNSを代表とするソーシャルメディアから、テキストマイニングを用いて情報を抽出する手法の技術的可能性を検討するものである。テキストマイニングツール、TRUSTIAを用いてmixiのコミュニティの情報から趣味に関する情報を頻度分布として取り出し、それを用いてデータを抽出し、各種コミュニティを相対的に比較した。さらにmixiがサポートしているカテゴリ毎のコミュニティ情報検索機能を用いて、趣味情報の分布を求め、テキストマイニングによる結果との比較を行ない、SNSに対するテキストマイニングの適用領域を考察した。The goal of this paper is to study the possibility of text mining technology to acquire the information through social media as SNS. A macro program that extracts mixi community information to text mining tool TRUSTIA has been developed. Vocabularies related to personal hobby of various community have been evaluated through TRUSTIA and statistically compared through histogram. Besides, relationship of hobby vocabulary distribution to community category has been calculated through built-in retrieval function of mixi community, and compared to the text mining result.
著者
佐藤 正之 小久保 康昌 葛原 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.131-137, 2004-11-05

音楽性幻覚の一例を通して、音楽の脳内機構について考察した。患者は75歳、女性、右利き。2002年8月4目夕方、突然、「夕焼け小焼け」が頭の中で鳴り出し、以降、会話中や歌番組を見ている時以外、起床直後から就寝するまで持続.自分で唄を唄うと止まるので別の曲を歌っていたところ、代わ引こその曲が聞こえるようになった.最終的には「夕焼け小焼け」を含めたそれらの曲が、順番に流れてくるようになった.旋律にはすべて歌詞がついており、患者自身か有名歌手の声であった.お囃子が伴奏に付き、曲の進行につれて合いの手の間隔が次第に短くなった.診察上、意識清明、聴力正常。血液・髄液検査正常。聴性脳幹反応・脳波正常。頭部MRI・SPECT正常。本例より以下の二点が示唆された:(1)旋律と伴奏、音色の脳内過程は(少なくとも一部は)異なる、(2)馴染みの旋律の受容と表出は(少なくとも一部は)異なる脳内過程を有する.