著者
佐藤 浩 久保 正男 生天目 章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.19, pp.97-100, 2007-03-04

複雑ネットワークの研究においてはその構造に着目することが重要である。ネットワークの構造を掴むために、さまざまな指標が用いられるが、単一の指標は性質の-面しか表現できないため、同一の指標を持つネットワークであっても、構造がまったく異なる場合がある。本研究では、指標と構造の関係を明らかにすることを目的とする。与えられた指標がどれだけ達成されたかを目的関数とした遺伝的アルゴリズムを用い、最適化を通じたネットワークの生成を行う。実験により、問題空間には非対称I性がみられ、最適化の指標により解空間の構造が大きく変わること、また、同じ指標を持ちながら異なる構造のネットワークが見出されることを明らかにした。In the research of complex networks, it is important to focus on the structure of the networks. Various measures such as centrality or radius are used to analyze the networks. One measure, however, can only capture the one aspect, so two networks that have same measure sometimes show completely different structure. The purpose of this study is to figure out the relation between measurements and structures. Genetic Algorithm is used to find networks that have specific measurement value. We show that GA can find the networks that are different in view of structure, but the same in view of measurement value.
著者
水野 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.1222-1228, 2006-11-15

最近,Web2.0と並んで,ロングテールという考え方が議論を呼んでいる.これは消費者の製品・サービスへの需要がベキ則にしたがうことを前提に,従来のように売上が集中した市場(分布の頭の部分)ではなく,個々の売上は小さいが広範囲に分散する市場(分布の裾の部分)をターゲットとした,新たなビジネスモデルの提案である.本稿では,消費者の需要がベキ分布にしたがうかどうかから始め,ロングテールのビジネスモデルがマーケティングおよびマーケティング・リサーチ,ひいてはその科学的・工学的研究を目指すマーケティング・サイエンスにどんな影響を与えるのかについて,先行研究を踏まえながら議論する.
著者
森 信介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.65, pp.101-107, 1996-07-18

入力文を単語に分割し品詞を付加する形態素解析は、日本語処理における基本的な処理である。日本語には単語間に明確な区切り記号がないので、この処理は入力文の全ての部分文字列に対する辞書検索を含む。本論文では、辞書を決定性オートマトンに変換し、辞書検索を高速に実現する方法を提案する。この方法は、AC法(失敗関数を持つトライ)に基づく方法と比較して、計算時間が少ないという利点と、大きい記憶域を必要とするという欠点がある。これらの方法を実装し実験を行なった結果、決定性オートマトンによる方法はAC法に基づく方法に対して、必要な記憶域は16.1倍であり、辞書検索の速度は11.7倍であった。Morphological analys is, which segments the input sentence into words and attaches parts of speech to them, is the most fundamental process of Japanese language processing. This process contains dictionary look-up of all substrings of input sentence. In this paper, we propose a method to convert the dictionary into a deterministic finite automaton and realize high-speed dictionary look-up. An advantage of our method is that it enables faster dictionary look-up and a disadvantage is that required memory space is larger than AC method-based dictionary look-up. The experimental results tells that our method requires 16.1 times as large memory space as AC method and is 11.7 times as fast as AC method in dictionary look-up.
著者
名倉 正剛 高田 眞吾 土居 範久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.588-603, 2007-02-15

近年,ユーザに意識させずにソフトウェアの動作する機器を自動的に連携させるために,"シームレスコンピューティング" という概念が注目されている.分散コンポーネント技術をシームレスコンピューティングに適応させるためには,コンポーネントが動作する機器をネットワークに接続するだけで,ネットワーク上のその他の機器と自動的に連携するという,いわゆる"Plug and Play" ができる必要がある.そのためには,満たさなければならない要件がいくつかある.本研究ではそれらのうち,コンポーネントを発見するための方法と,発見したコンポーネントを利用する際にコンポーネントの異種性を吸収するための方法に着目する.それらの要件を満たし,異種分散コンポーネントの存在するサーバやそれを利用するクライアントをネットワークに接続することによって,Plug and Play で動作させる環境を提案し,この環境を実現するシステムを実装する.Recently, "Seamless Computing", which is a concept for automated integration of appliances executing many software, has attracted a great deal of attention. To accommodate technologies for distributed components to Seamless Computing, it is necessary to be able to "Plug and Play" appliances that execute component software through integrating automatically with other appliances attached to the network. Many requirements need to be satisfied to make this possible. In this work, we focus on the discovery of components and the integration of heterogeneous components. We propose an environment where servers with heterogeneous distributed components and clients using those components can be executed through Plug and Play. We implement a system to realize this environment.
著者
安村 通晃 高田 綾子 青島 利久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1169-1176, 1987-11-15

汎用大型機上で動く Common Lisp の最適化コンパイラを設計・試作した. Common Lisp は 人工知能等の分野における実用的な応用に必要な機能を十分に備え かつ関数性を従来 Lisp 以上に取り込むことを目的とした近代的な Lisp 言語である.一方 従来の Lisp 処理系のユーザは 実行性能の点などで必ずしも満足していなかった.このため 我々は Common Lisp に準拠した高速の処理系 HiLISPとそのコンパイラを設計・試作した.ここでは HiLISP コンパイラの設計と最適化の方式を中心に述べる.HiLISPコンパイラは 高速性と移植性を考慮して 仮想 Lisp マシン語である Lcode を中間語として生成する.最適化の方式として 関数呼出しの最適化 型判定の最適化 局所最適化の各々の課題に対して それぞれ 自己再帰展開 コンパイル時の型判定・型推定 パイプラインを意識した命令列の並べ替えなどの方式を設計し 試作した.試作した HiLISP コンパイラに対して Lisp コンテスト代表12題ベンチマークにより 各最適化項目の性能を評価した.この結果 組込み関数展開の効果が最も大きく 次いで型判定・型推定の効果が大きいことがわかった.再帰関数展開 命令列の並べ替えなどの効果も確認できた.ここで提案する最適化方式は Lisp コンパイラ 特に Common Lisp コンパイラに有効な方式である.
著者
内山 雄司 緒方 大介 脇田 建
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1-17, 2005-04-15
被引用文献数
1

著者らが開発したバイトコードインタプリタ生成系であるVirtualMachineBuilder(VMB)について発表する.VMBは,仮想機械の仕様記述を入力として,仮想機械の中核をなすインタプリタの実装を生成するシステムである.VMBに与える仕様記述は,仮想機械を構成するレジスタやスタックの定義と,仮想機械で実行される各バイトコード命令の意味の定義からなる.バイトコード命令の意味は,仮想機械の状態遷移の形で表現される.以前のVMBには,データ型の宣言やオブジェクト間の参照の表現力に不十分な点があり,バイトコード命令の意味を記述する際に特別な工夫を必要とする場合があった.本研究では,仕様記述言語を再設計して,より自然な形で仮想機械の仕様を記述できるように工夫した.VMBを適用した処理系開発の事例として,簡単な手続き型言語に対するバイトコード言語を設計し,その処理系を実装した.さらに,VMBを利用してObjectiveCamlのインタプリタを実装し,仕様記述言語の表現力と生成されるインタプリタの性能という2つの観点からVMBの評価を行った.表現力については,146命令のうち133命令を自然な形で記述できた.インタプリタの性能については,ベンチマークテストの結果,手書きのインタプリタで実行した場合の93%の性能が得られた.The article proposes Virtual Machine Builder (VMB) which is a bytecode interpreter generator developed by authors group. VMB takes a specification of a virtual machine and generates implementation of the interpreter which compose a main part of the virtual machine. A specification of a virtual machine comprises a definition of a virtual hardware composed from registers and stacks, and a definition of the behavior of each virtual machine instruction. The behavior of an instruction is specified in terms of a machine state transition system. In the previous version of VMB, there were cases that we needed some tricks to specify the behavior of an instruction since the specification language lacked the way to declare data types of objects and to express references between objects. We redesigned the language so one could specify instructions more naturally. The article also shows an experience in developing tiny imperative language system using VMB. Also the expressiveness of the specification language and the perormance of the generated interpreter are evaluated by the use of a virtual machine of Objective Caml 3.08 generated by VMB. On the former point, 133 of 146 bytecode instructions can be defined naturally. On the latter point, a benchmark test shows that the efficiency of the generated virtual machine is 93% of a carefully implemented human-crafted one.
著者
児玉 哲彦 清水 友理 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.122, pp.29-33, 2007-02-09

近年東京都秋葉原の電気街において再開発が進み、来訪者の行動において、これまでの電気街と線路を挟んだ再開発地域との間の分断等の困難が生じていることが明らかとなった。本研究では、電気街についての土地勘を共有し、街の多様な利用を促進するため、携帯電話とQRコードを用いて来訪者の訪れた店舗の履歴を記録し、利用者間の交換を可能にする街のソーシャルブックマークシステム「ここHORE」システムの開発と運用について報告する。ユーザビリティ評価実験の結果、スポットのマーキングと検索については概ね問題なく利用できるものの、地図情報の表示については改善が必要なことが明らかとなった。
著者
青木 啓至 武井 惠雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.17, pp.51-58, 2002-02-22

Web上の学習教材で学ぶ学習者のクリックストリームを取得し,それを解析することによって,学習者の学習軌跡をビジュアルに表示するシステムを開発した.これによって,学習者の学習軌跡を容易に把握することが出来,また,多数の学習軌跡を調べることによって,教材の構成自体の適否を吟味することが可能となる.本システムは,学習者のマウス操作の記録の取得だけでデータを得ることが出来るので,学習者に負担を掛けないし,解析結果をビジュアルに表示するので,教授者や教材設計者が学習の様子を直感的に把握することが出来る.We have developed a visual study-locus analyzer based on yielding the learner's clickstreams over the web-based learning materials. By this system, one may easily track the learner's study-loci, and also closely examine the propriety of the composition of the learning materials. Since this analyzer system acquires the learner's data merely through one's mouse clicking, one's load is little. And this system represents the analyzed results visually, so the instructor or designer will intuitively comprehend the learner's situation.
著者
中村 英史 水田 秀行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.950-955, 2004-09-15
被引用文献数
4

企業においてトップダウンで戦略的に構築された組織構造については、階層的な木構造やマトリクス組織等おおまかな分類はあっても定量的な評価はされていない。本稿では、企業内のメールトラフィックログから抽出し統計的に処理された組織におけるコミュニケーションのデータから、グラフ・ネットワーク理論における評価指標を用いて、企業の組織構造が、企業活動そのものを円滑に実施させているかどうかを評価する.
著者
西村 憲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.15, pp.51-56, 2007-02-23

本稿では、著者の提案する SAMUEL という並行スクリプト言語について、その概要を述べる。SAMUEL は、音楽データ入力、アルゴリズミック作曲、音楽情報処理における研究、およびプログラミング教育のために設計されたオブジェクト指向プログラミング言語である。SAMUEL は、並行処理の簡便な記述や、表情情報を伴った音符の簡潔な表記などを特徴とする。開発した SAMUEL インタプリタは、リアルタイム・スケジューラを内臓し、時間に従った MIDI シンセサイザ等の制御やインタラクティブ処理を行う。This paper introduces a concurrent scripting language named SAMUEL proposed by the author. SAMUEL is an object-oriented programming language designed for music data entry, algorithmic composition, research on music information processing, and programming education. It features concise description of concurrent processing and brief syntax for describing notes and rests with expressive information. The SAMUEL interpreter developed by the author, incorporating a real-time scheduler, is capable of timed control of MIDI synthesizers and interactive processing.
著者
池内 淳 野末 道子 安形 輝 久野 高志 石田 栄美 上田 修一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.51, pp.159-166, 2003-05-22
被引用文献数
1

Webの拡大に伴い、情報検索における、Webページの有用性の識別は重要な問題となっている。本研究では、まず、150万のページ集合から抽出した1 000ページについて、被験者によって、7ポイント・スケールで有用性判定行うとともに、その有用性判定の規準について分析をおこなった。さらに、ページの被リンク数、及び、特徴語を用いたWebページの有用性判定システムを構築し、各々の結果の比較を行った。In information retrieval, the problem of identifying web page usefulness increases its importance with expansion of the Web. In this study, firstly, web page test set(1,000 pages) was extracted from 150 million Japanese pages. Three respondents judged web page usefulness by 7-point scale, and we examined their judging criteria. We developed two type of web page usefulness judging systems by using linked frequency and key-term frequency, and compared each result.
著者
山崎 松男 井出 明 高木 一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.33, pp.73-78, 2003-03-19

政府のe-JAPAN重点計画では、2003年度中に電子政府の基盤を構築するとの予定が示されている。しかしながら電子政府・電子自治体から取り残されかねないデジタルディバイドの下位層に対してどのような対応をとるべきかという点について、政府は明確な方策を打ち出してはいない。本報告では、我々が熊本市で一般市民を対象として行った面接調査の結果を示すとともに、地方におけるデジタルディバイドの実態について述べる。この報告を基にすることで、単なるハードインフラの整備を越えたレベルで、デジタルディバイドの下位層に対するより効果的な政策立案が可能となると考えられる。Japanese Government has announced that they will lay the foundation of 'Electronic-Government' (e-Government) in the 2003 financial year in their report on e-JAPAN Plan. However, the report does not provide a clear strategy to address the lower layers of the digital divide. The lower layers of the digital divide encompass for example, users who may not receive any benefit from e-Government and local e-Government. In this paper, we will discuss the results of interviews conducted with the general residents in Kumamoto city. We also illustrate the current situation of the digital divide in the local area.The aim of this report is to contribute to efficient government policy making to address on the lower layers of the digital divide users that includes development of infrastructure for this plan.
著者
稲垣 耕作
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.76-81, 1999-02-15
被引用文献数
5

複雑適応系の分野では カオスの縁という概念が広く知られている. カオスの縁は離散的な性質をもつ系で発見されていて 著者の知る限りでは純粋な連続系では発見されていない. 本論文ではWolframのセルラーオートマトンモデルにおいて カオスの縁が離散性と密接な関係をもつ概念であり セルのとる状態数およびセルの近傍サイズのいずれが増えても カオスの縁の出現する割合が漸近的にOに近づくという証明を与える. 生命を情報という観点から見るとき 複雑適応系の分野では 生命の自己組織化現象とカオスの縁との密接な関係を推測されることが多い. この立場の下では 本証明は生命現象の根源にディジタル性が関与していることの理論的根拠となる可能性をもつ. 証明では カオスの縁の増殖的性質よりも 成長停止性が本質的な役割を果す.The edge of chaos is a well-known concept in the field of complex adaptive systems (CASs). As far as the author know, the edge of chaos is observed in systems which have some discrete characteristics, and has not been discovered in purely continuous systems. In this paper, based on the cellular automaton model proposed by S. Wolfram, it is proved that the occurrence probability of the edge of chaos asymptoticaly approaches 0 with the increase of either the number of states or the neighborhood size. CAS researchers who pay attention to information aspects of biological life, suppose that the edge of chaos has some close relation to self-organizing processes in living organisms. The proof presented here would contribute to such a theory that biological life utilizes digital phenomena. The proof shows that growth temination, rather than self-reproduction, is an essential property at the edge of chaos.
著者
久保田 大介 西本 知弘 松下 浩明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.22, pp.23-30, 2006-03-06
被引用文献数
2

歩行者,自転車,乗用車などが歩道や車道を走行しているときに起こす交通事故の危険度を予測するための交通シミュレーションプログラムを開発中である。交通事故が起きる原因には道路形状などの物理的側面と運転手の「だろう」行動に代表される行動的側面がある。本システムでは道路の2次元形状を交通シミュレータに直接反映させるために 道路を2次元の凸多角形の集合で表現する。また,歩行者や車両の行動モデルとして,行動計画モデルを提案する。さらに,歩行者や車両の危険幅を定義し,安全指標として,危険錯綜指標を用いる。We have been developing a traffic simulation program for estimating the risk of the traffic accidents caused by the pedestrians and/or the vehicles. The traffic accidents occur due to the trouble of the road and carelessness of the pedestrians and/or the drivers. In this system, the roads are expressed in sets of convex polygons to find a potential dangerous part on the road. Moreover, we propose the action plan model as a behavior model of the pedestrians and the vehicles. In addition, a dangerous width in the pedestrians and the vehicles is defined and the dangerous conflict indicator is used as a safety indicator.
著者
若林 真一 小泉 慎哉 小出 哲士 井村 紀道 藤原 一成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.340-343, 2003-02-15

本論文では,遺伝的アルゴリズム(GA)の実行における計算時間の短縮を目的として,任意のGAを高速に実行可能なRISCプロセッサDLX-GAを提案する.提案プロセッサDLX-GAはDLXアーキテクチャをベースとしたRISCプロセッサであり,GAの実行において多用されるビット演算命令や乱数発生命令,SIMD型命令等をサポートし,これらを6段のパイプラインで処理することによりGA実行の高速化を実現する.提案RISCプロセッサをHDL設計し,CMOS 0.35umスタンダードセルテクノロジを用いて4.93mm角のLSIチップとして実現し,評価ボード上で性能評価を行った.その結果,開発したプロセッサチップが仕様どおりに動作することを確認した.This paper proposes a new RISC processor for high speed execution of genetic algorithms (GAs).The proposed RISC processor was designed based on the DLX architecture,and a new instruction set,which was effective for high-speed execution of GAs, was implemented.The proposed RISC processor was designed with the hardware description language,and it was fabricated as an LSI chip with the CMOS 0.35um standard cell technology.From the evaluation of the fabricated LSI chip using the evaluation board,we have shown that all the functions specified by the specifications of the chip were correctly realized.
著者
徳浜 元弘 中沢 実 服部 進実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.26, pp.215-220, 2006-03-17

本論文はユビキタスネットワークで想定されるノードの参加・離脱に対して分散ハッシュテーブルを用いたP2Pシステムの適用性を論じたものである.分散ハッシュテーブルはインデックス情報をノードに分散させて保持する方式で種々の方式が提案されている.今回は経路表形式と木構造形式のP2Pシステムに注目して,その構成と実装法について考察した.さらに,コンピュータシミュレーションを通してこれらのシステムの定常時とノードの離脱・参加時におけるノード検索の性能を計測し比較分析を行った.その結果,木構造形式のシステムがノードの参加・離脱において管理コストが少なく,ノード検索性能も低下しないことを示す.This paper describes the applicability of the P2P system which uses the distributed hash table for participation and secession of the node assumed by ubiquitous network. The distributed hash table is a method for the decentralization of information to the node. There are various methods to form the distributed hash table. We explain the composition and implementation method of the routing table form and the tree structure form of the P2P system. We compared the performance of node retrieval when the node of the system participates, secedes, and during its regular operation by computer simulation. As a result, it turned out that the system of the tree structure form doesn't decrease the node retrieval performance.
著者
結城 匡人 徳山 豪
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.53, pp.9-16, 2003-05-23

地図製作やコンピュータグラフィックスの分野では、曲線を表現するのに、その上のサンプル点の列を使用するが、データ量を圧縮するために、曲線の単純化が必要となる。多角形曲線を単純化する近似アルゴリズムとして、Frechet distanceを利用したFrechetSimp法を使用し、二分探索法を用いて、O(nlog n)で計算できる。FrechetSimp法を実装し、複雑に折れ曲がった曲線でも、その特徴を残したまま単純化できることを紹介する。FrechetSimp is an approximation algorithm for that applies the concept of Frechet distance. The algorithm is based on binary search and its complexing is O(n log n). We implement this algorithm and report some experimental results.
著者
中野 良平 斉藤 和巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.12, pp.1246-1254, 1987-12-15

代表的な関係データベース言語は関係論理に基づくが データベースマシンのサポート言語は多くの場合関係代数である.したがって 関係論理で表現した検索を データベースマシンでの実行を想定して 最適な関係代数表現に変換する研究が重要になる.関係論理表現に集約関数が入って来ると 閉じないアルファが現れるので 関係代数への変換は容易でない.本論文は関係論理表現に現れる集約関数を Klug の補正も考慮に入れた最適な関係代数表現に変換する体系を述べたものである.Klug の補正に効率良く対処するため 関係代数演算に新しいタイプの集約演算を導入する.新変換法の基本的アイデアは 代数表現への変換が容易な標準集約形を中継地点とし それの生成と解決という2フェーズの変換体系にある.同法は3漣の基本変換則と3種の発見的変換則から構成される.新変換法の目的は 集約関数を含んだ関係論理表現を人間が考え出すような最適な関係代数表現に変換することにある.変換プログラムを作成し 考えられる様々な複雑な検索に適用して 極めて満足すべき結果が得られることを確認した.