著者
後藤 智英 小杉 信 向井 信彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.34, pp.13-16, 2008-07-31

本稿では、コンピュータグラフィックスにより現実感のある降雪シーンをリアルタイムで生成する一手法を提案する。降雪に関する先行研究で椎名らは、無風で雪粒同士の衝突がないことを条件として実際の雪粒の動きを観測し、雪粒の粒径から落下速度を導出し、形状から降雪の運動パターンを分類した。この運動パターンは主に鉛直落下、斜め落下、回転落下の3種がある。そこで我々は各パターンの動きを表現するために、雪のデータを解析して雪粒の形状、面積から雪粒の移動距離や移動方向などの関係式を導出した。これらを基に、雪粒に球状ポリゴンを用い、この雪粒の大きさと形状を変化させ、3つの運動パターンを組み合わせて雪の動きを生成した。さらに降雪と背景を組み合わせた描画により、リアルタイムでの実態的な降雪シミュレーションを実現した。
著者
堀田 政二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.54, pp.13-20, 2010-12-09

パターン認識の一技法である部分空間識別器(CLAFICや複合類似度を含む)は, 特徴選択, 次元削減, 識別を統一的に実現できる優れた手法であり, 現在もその改良や拡張が行われているが, 統計的な側面からの解析や拡張といった話は多くない.これは部分空間識別器とパターン認識の理想形であるベイズ決定則との関係がはっきりとは理解されていなかったことと, 部分空間を求める際の自己相関行列(分散共分散行列ではない)の性質が明瞭となっていなかったためと考えられる.最近, 筆者はこれらについての知見を得ることができ, それに伴ってベイズ決定則の拡張である複合決定問題に対応する複合部分空間識別器と呼ばれる手法を導いた.これは, 複数の未知標本が与えられたり, 複数の特徴量を用いた認識を行うための部分空間識別器であり, 統計的な側面から見て従来の部分空間識別器の自然な拡張となっている.本講演では, この手法のメディア工学とバイオメトリクスへの応用に関して, 幾つかの実験例を示しながら自由に議論することを目的とする.
著者
尾久土 正己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1385-1389, 2009-10-01
被引用文献数
10 1

皆既日食というと通常は,月が太陽を隠すために見ることができるコロナやダイヤモンドリングに関心が集まるが,実際に観測地に行って感動するのは,そこが月の影の中に入ることで起こる天変地異を連想する光景である.われわれは,2009年7月22日に奄美大島で起こった皆既日食を,魚眼レンズを装着した4K映像システムを使って,現地の風景を丸ごと記録し,その映像を遠隔地のドームスクリーンに投影する実験を行い,月の影の再現に成功し,これまでにない臨場感の高い日食中継を実現した.
著者
中嶋 智 新谷 幹夫 白石 路雄 桂川 秀嗣 小川 ゆう子 川島 基展 近藤 邦雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.16, pp.27-30, 2012-03-09

二十四式太極拳は激しい動きを伴わない拳法であり、健康運動として世界中で練習されている。太極拳の演武は複雑な動作から構成されており、初心者の多くはビデオ教材を用いて学習する。しかし、市販のビデオ教材はカメラアングルの制限により、シーンによっては師範の動きが見にくい。本研究では、ユーザーが見たいと思った師範の部位を見ることができるように、カメラアングルの変更や鏡の設置が可能なCG教材を作成した。また、被験者にCG教材と市販の教材を使って学習してもらい、ユーザーによる評価を行ったところ、カメラの回転と鏡の設置が見やすさの向上につながるという有意な結果が得られた。
著者
大塚 康弘 相澤 清晴
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.53, pp.43-49, 2000-09-22

生体のイメージセンサに相当する網膜では, 中心視から周辺にいくに従い解像度が低くなる.これを適用したイメージセンサシステムでは, 全体として広い視野を確保できると同時に, 特定の領域について精細な情報を取得し積極的に処理できる.そこで, 筆者らはシステム統合を踏まえ, サンプリング制御機能を搭載したスマートセンサを提案, 試作した.その機能は平滑化を行わない間引処理のみゆえ, 解像度の有効な制御が行えなかった.そこで, 有効な解像度制御手段を提供するセンサを検討した.本報告では, プログラマブルな多重解像度出力を可能とする新しい高機能イメージセンサについて論ずる.
著者
伊藤 純一 田中 正人 藤田 昭一 北地 西峰
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.29, pp.25-30, 1996-05-23
被引用文献数
1

Digital modulation methods such as QPSK and QAM have been studied for efficient transmission of digital signal such as MPEG through analog lines. Among such modulations, 64QAM has been getting attention for building CATV system because of its effective transmission capability. In order to implement 64QAM transmission system for consumer tuner, biggest obstacle could be phase noise. In this paper, we assume phase noise spectrum of tuner and studied the influence of these spectra to BER of 64QAM system both theoretically and experiment. In conclusion, we obtain a method to astimate the BER based on the phase noise spectra condition.
著者
吉崎 正弘
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.791-797, 2000-06-20
被引用文献数
2

インタネット接続を中心としたケーブルテレビの通信利用が急増している.一方, ケーブルテレビのディジタル化が急務になっているが, 互換性確保による設備投資額低減を目指し, 日本版ケーブルラボという民間の認証機関の設立が進行中である.また, ケーブルテレビにおける高い周波数帯域での無線利用が進められている.
著者
近藤 浩
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.301-304, 1990-03-20

二重像からそれぞれの画像を分離, 再構成する新しい方法を示す.観測画像が二重像となっているとき, 各々の原画像パワースペクトルと1つの原画像フーリエ変換位相との間に成立する唯一の関係式を導く.これにより得られた位相から画像再構成を行い, 二重像の分離を行う.シミュレーション例は, 二重像の分離が完全に行われることを示している.
著者
岡林 繁 古川 政光 畑田 豊彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.714-721, 1993-05-20
被引用文献数
5 1

航空機用表示装置として登場したヘッドアップディスプレイは, 自動車にも応用され始めてきた.航空機用へッドアップディスプレイに関する研究では, ヘッドアップディスプレイの表示像情報の認識・受容における優位性は, パイロットの目の焦点調節量と視線移動量が低減されるためといわれている.本論文では自動車の視覚環境を考え, 周辺視による表示像情報の認識・受容に着目し, 2つの実験を行った.まず, 走行時の視覚環境を想定した実験装置を用い, 周辺視での認識機能を遮断した場合とそうでない場合について表示像の認識特性を比較した.次に, 周辺視野と中心視野に, 目からの距離が異なる視標を呈示し, それぞれの視標認識の程度を評価した.結果は, ヘッドアップディスプレイの特長が顕著な遠方表示や小さい俯角の条件で, 周辺視での表示像情報の認識・受容の効果が大きく, これは目の焦点調節量と視線移動量の低減の効果に匹敵することがわかった.
著者
清水 澄雄 佐々木 道修 鍋谷 芳明 志田 晴康 八木 伸行 野口 英男 李相 吉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.25-30, 1996-02-26
被引用文献数
2

'1995 World Gymnastic Championships in Sabae', which was held for the first time in Asia, opened at Sun Dome Fukui on October 1st with the participation of around 900 athletes from 56 nations and regions. NHK produced International Signals as a host broadcaster. This report deseribes the outline and 'Multimotion' which was newly developed and effectively used for the production.
著者
竹内 幸一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.14, pp.25-26, 2009-03-11

2つのレンズで撮影する立体カメラは2つの画像の大きさや位置をあわせるのに大変な作業です。しかもその映像は自然な立体画像ではなく10分も見ていると強調立体で目が疲れてしまった。立体の要件を30年前から研究してくると、通常言われている立体撮影の鉄則である2台のカメラでなくても1台のカメラで撮影できた一つが、この横走り立体カメラ方式です。ベータムービーを開発しヨーロッパで発表したときにライン川の列車の中からベータムービーで撮影したのがこの横走り立体です。1982年頃です。例えば走っているバスの中から街の景色を撮影すると時間方向に隣り合った2コマを立体の左右の絵の代りに使えます。時速36キロでは秒速10メートル、60分の1秒の1コマでは15センチ相当になります。15センチ相当の視差のある左右2台の立体カメラの代用になる。また普通のテレビ1台でもそのまま立体がたのしめる。左眼に透過率30パーセントから50パーセントの黒フィルタの片眼サングラスメガネをかけると3D画像が楽しめる。左眼の視覚知覚が暗いために遅れて、遅れたカメラ画像が見える。つまりカメラ位置が10センチほど遅れた映像を見ている勘定になる。左右の画像があたかも10センチ離れた2台カメラの立体カメラの代用になる。
著者
畑田 豊彦 坂田 晴夫 日下 秀夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.407-413, 1979-05-01
被引用文献数
65 8

ディスプレイの画角変化による心理効果のうち, 広視野画像から受ける臨場感効果を, 心理物理的手法(観察者の方向感覚の誘導量測定)と主観評価法で測定した.その結果, (a)誘導効果は呈示画角の増加とともに対数的に増加する, (b)臨場感効果は20°以下の狭い呈示画角では非常に弱く, 80°近辺以上になると飽和状態になる, ことがわかった.
著者
谷 早織 新谷 幹夫 白石 路雄 林 明照 丸山 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.14, pp.33-36, 2011-03-04

頭蓋顔面骨の形態的特徴を分析し数値化することは解剖学上重要である.従来研究には頭蓋の推定体積や面積比を求めた研究や,解剖学的な特徴点間の距離を計測し平均や相関を求めたものがある.しかし,特徴点全体にまたがる多変量解析を行った報告は無く,複数の特徴点問における関係や変量空間全体の性質は解析されていない.本研究では特徴点53点の座標に対して多変量解析を行った.まず主成分分析を行ったところ,上位35程度の主成分の和によって元の特徴点データを99%の精度で表現できることを確認した.ついで独立成分分析を行い,統計的に独立な変形パターンを求め,考察した.また,メッシュの3279頂点に対しても主成分分析を行った.
著者
松山 喜八郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.499-505, 1957-11-01

去る7月2日から6日まで, パリで開催されたカラーTVの物理的諸問題に関する国際シンポジウムに出席し, ついで欧州各国のカラーTVの実情, 白黒TVの模様および撮像管製作会社等を多数見学調査してきたので, ここにその概略を報告する.見学した箇所は第1表の通りである.
著者
吉田 俊介 矢野 澄男 安藤 広志
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.42, pp.33-36, 2009-10-21
被引用文献数
1

着座した状態でテーブルの周囲から立体映像を観察可能な裸眼立体ディスプレイを新たに提案する.本ディスプレイは,柱体あるいは錐体の光学素子と複数のプロジェクタによって構成される.テーブルトップ作業を阻害しないよう,これらの装置はテーブル面より下方に設置される.プロジェクタ群から発せられる無数の光線は,テーブル中央にあるとする再現しようとする立体物の表面から放たれる光を再構成するように働く.光学素子には指向性のある光学性能が付与され,入射光を水平面では直進させ,鉛直面では拡散させ射出する.これにより,光線群の飛行方向を着座した位置で最適に観察されるよう制御する.すなわち本方式は,観察に適した視域がテーブルの周囲を取り囲む円環状に配置されることを特徴とする.
著者
永田 宏 初田 正彰 若宮 加奈子 田中 恵理子 水島 洋
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.34, pp.9-14, 2000-06-13

A prototype of computer aided drug design using virtual reality technologies is introduced. The essence of our study is to make touchable the electrostatic potential field surrounding protein molecules using PHANToM^<TM> a most popular haptics device. Several viatual probes, which are representatives of parts to drug molecules, are prepared and linked to the PHANToM^<TM>. Users are available to scan the protein molecules by the proves with feeling electrostatic force between them.