著者
中園 明信
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

まず本研究ではシロアマダイとキアマダイの天然標本について、雌雄の別、体長、年齢、成長を比較した。その結果、これらの2種のアマダイ科においても雄が大型であること、雌と雄の中間の体長の雄個体で精巣卵が高頻度で出現することが判明した。これらのことから雌から雄への性転換が示唆されたが、周年にわたり比較的多数の生殖腺を調べたにも関わらず、機能的な卵巣から精巣へと転換中の組織像を示すものや、もと卵巣であったことを示す二次精巣は認められなかった。すなわち、これらの2種のアマダイ科魚類が性転換している可能性は低いと考えられる。次に雌雄による体長差であるが、耳石による年齢査定と成長についての検討を行った。アマダイ科魚類の耳石は年齢形質が読みとりにくく、正確にはさらに検討が必要であるが、現在までのところ雄の方が明らかに成長が早いことが明らかになった。すなわち、この両種で雄の方が大型であるという結果が得られたのは、雌雄の成長差によるものと思われる。さらに、精巣卵の出現であるが、日本栽培漁業協会若狭湾宮津事業場で種苗生産されたアカアマダイ稚魚の生殖腺を追跡調査した結果、アカアマダイは幼時にはすべて卵巣様生殖腺持つことが明らかになった(奥村・中園、未発表)。その後、一部の個体で卵巣組織にかわって精巣組織が発達し、残りの個体ではそのまま卵巣組織が成熟するものと考えられる。すなわち、アカアマダイでは雌雄同体性は見られるが、それは幼時のみである。比較的小型の雄で精巣卵が高頻度で認められるのは、恐らく幼時の卵巣の卵母細胞が発達しつつある精巣内に取り残されたものではないだろうか。事実、精巣卵は退化的傾向が強く分裂像や成熟している像は認められなかった。本研究の重要な成果は、アカアマダイの産卵行動を観察できたことである。アカアマダイは夜明け前に雌雄がペアになり産卵した。さらに、従来分離浮性卵とされていた本種の卵は、産卵直後には粘液に包まれていることが判明した。申請者らは研究発表の欄に記載したように、多くの魚の産卵行動を調べているが、アカアマダイのように粘液に包まれた浮性卵は極めて稀である。この粘液は2、30分の内に消失したが、この粘液が受精にどの様に関与するか詳細に検討することにより、受精率向上につながるものと思われる。
著者
孫 仁俊
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

近年,強ひずみ加工であるECAP(equal-channel angular pressing)処理によりAlの結晶粒をサブミクロンあるいはナノレベルまで微細化して,強度および延性等の機械的特性を改善することが注目されている。一方,Al合金は,通常,耐食性,硬度等を改善するため陽極酸化(アルマイト処理)を施して使用されることが多い。しかし,陽極酸化したAl合金の耐食性に及ぼすECAP処理の影響については,これまでに報告されていない。そこで本研究では,代表的な高張力Al合金であるAl-Cu合金およびその陽極酸化膜の耐孔食性に及ぼすECAP処理の影響を調べた。Na_2SO_4 0.1mol/L+NaCl 8.46mmol/L(300ppm Cl^-)およびAlCl_3 0.2mol/Lの水溶液における分極曲線およびAlCl_3 0.2mol/L水溶液における腐食速度の測定結果より,Al-Cu合金の耐食性に及ぼすECAP処理の影響はほとんどないことが分かった。Al-Cu合金にはAl_2Cu,Al_2CuMg,Al-Cu-Si-Fe-Mn系金属間化合物が析出しており,腐食はAl_2Cu,Al-Cu-Si-Fe-Mn系,Al-Cu-Mg系析出物の周辺で生じていた。これらの析出物はECAP処理により分断され,サイズが減少したものの,純Al,Al-Mg合金の場合に比べ数が多いため,耐孔食性は向上しなかったと考えられる。一方,陽極酸化したAl-Cu合金においては,孔食が発生するまでの時間は,ECAP処理を行った方が明らかに長くなっており,ECAP処理により耐孔食性が改善されることが分かった。Al-Cu合金には合金元素からなる第2相析出物が存在しているが,この析出物はECAP処理により分断され微細となった。析出物の中でもAl_2Cu,Al_2CuMgは陽極酸化の際に溶解して消失したが,SiおよびAl-Cu-Si-Fe-Mn系金属間化合物は陽極酸化の際に酸化されず酸化膜中にそのまま存在し,欠陥部を形成していた。陽極酸化したAl-Cu合金の孔食は,この析出物の周辺から開始した。ECAP処理を行なうと析出物が分断され微細になることから,ECAP処理により陽極酸化Al-Cu合金の耐孔食性が改善されたのは孔食の起点になる析出物のサイズが減少したことによるものと考えられる。
著者
リース ゲルハルト 西村 重雄
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.331-346, 1987-01-20
著者
竹内 崇
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

短時間で風速が増加する突風を受ける構造物においては,同じ風速レベルの一定風速下で作用する風力より大きな非定常風力が作用するが,その現象や非定常風力の特性についての体系的な解明はほとんど行われていない。平成22年度は,立ち上がり時間の短い突風時に構造物に生じる非定常空気力の発生要因と非定常風圧力特性の解明および一定風速からの突風時の非定常風力特性の解明を目的として以下の3項目について研究を実施した。1.立ち上がり時間の短い突風下で生じる流体慣性力が,楕円断面柱に作用する風力のオーバーシュート現象に及ぼす影響を準定常風力式と風洞実験および数値流体計算により検証した。その結果,風速の立ち上がり時間の無次元パラメータである「無次元立ち上がり時間」が非常に小さい場合には慣性力の影響が大きく,オーバーシュート現象の一因になるが,無次元立ち上がり時間が比較的大きい場合には,慣性力の影響は小さく,その他の要因によって引き起こされることを明らかにした。2.立ち上がり時間の短い突風を受ける陸屋根および切妻屋根模型の風圧力特性を突風風洞実験によって検証した。突風生成時に生じる風洞内の静圧勾配の影響を考慮した模型表面圧を計測する工夫を行い,各模型の表面風圧を計測した結果,立ち上がり時間の短い突風時に模型表面の各面において風圧力のオーバーシュート現象が生じ,模型表面各点のピーク風圧係数と無次元立ち上がり時間に強い関連性が見られることなどを明らかにした。3.一定風速から立ち上がり時間の短い突風が生じた時に楕円断面模型に作用する非定常風力の特性について突風風洞実験により検証した。その結果,一定風速からの突風時においても,風力のオーバーシュート現象が現れるが,突風の立ち上がり前の風速が高くなるほど,オーバーシュート現象が小さくなることなどを明らかにした。
著者
中島 大賢
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

過去2年間の研究で,葉内ベタシアニンは青緑色光を吸収することで葉緑体による余剰な光吸収を緩和する「遮光作用」があることを明らかにした.また,ベタシアニン蓄積の影響は葉の背軸側でより顕著であり,維管束鞘細胞および海綿状葉肉細胞でベタシアニンの光防御効果が特に高いことを見出した.一方,ベタシアニンには活性酸素種を消去する抗酸化能があることが報告されており,「抗酸化作用」により光阻害を緩和する可能性が示唆されている.そこで本年度の実験では,抗酸化作用による光防御効果の有無を確認するため,ベタシアニンによる吸収がほとんどない赤色LEDを光源とする強光を低二酸化炭素条件下で青葉および赤葉系統の葉に照射し,ベタシアニンの遮光作用を排除した際の光阻害程度を検討した.その結果,青葉・赤葉系統間には葉の向軸側および背軸側いずれにおいても光阻害程度に有意差は認められなかったことから,葉内ベタシアニンには抗酸化作用による光防御機能はなく,遮光作用によってのみ光阻害を軽減するものと結論付けられた.さらに,アマランサスの青葉系統と他の植物種の光阻害特性を比較したところ,青葉系統の葉は他の植物種に比べ光防御能力が低く,特に維管束鞘細胞および海綿状葉肉細胞における光阻害感受性が高いことが示唆された.ベタシアニンの遮光作用が維管束鞘細胞および海綿状葉肉に対して特に効果的であることを考慮すると,本色素の蓄積は光阻害を受け易いアマランサス葉内部を保護するうえで重要であると考えられた.このようなベタシアニンの光防御機能は赤葉系統の葉の老化を遅延し,個葉光合成能力の維持に寄与するものと考えられた.
著者
越村 三幸 長谷川 隆三 藤田 博 峯 恒憲 力 規晃
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ユーザの意図に適合した検索を行うWeb検索支援システムの構築を目指して,ソーシャルブツクマークやODP(OpenDirectoryProject), Twitter,プログ, Web閲覧履歴を用いたユーザの特徴抽出,及び, Wikipediaを知識源とした関連語抽出を行った.抽出した特徴に基づいたユーザ類似性に着目した情報推薦システムを試作した.また,時間的な距離に着目した関連単語の抽出を行い,タイムリーな検索支援に有効であることを確かめた.
著者
阿部 吉雄
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究計画では1938年~1951年に上海に存在したユダヤ人難民社会の構成およびその特徴を各種資料の収集分析により解明した。従来はドイツおよびオーストリア出身の難民のメモワールが最大の情報源だったが、本研究計画ではのべ2万人以上の個人に関するデータを調査し、上海のユダヤ人難民社会のより具体的な姿を描き出した。特にリトアニアおよびチェコスロバキアで杉原千畝が発給したビザと上海のユダヤ人難民社会の関連の詳細な調査は過去の例のないものである。
著者
南澤 良彦
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、中国の先秦から隋唐に至る科学技術の直面した諸問題を、社会思想的に研究し、科学技術の社会的意義を究明した。前近代中国において科学技術は国家経営の基盤の一つであり、科学技術者たちは官僚制の中に組み込まれた。科学技術は自然科学のみならず人文科学や社会科学と密接に関係しており、科学史研究に止まらず、広く社会思想的研究の対象とされるべきであり、本研究により、従来、理系出身学者が行ってきた科学技術史研究を補完し、中国古代中世科学技術史研究を、より有意義で実り豊かなものとした。
著者
徳永 正二郎
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

現代の貿易金融は、貿易金融の現地金融化、貸付金融と出資金融の複合化(ハイブリッド化)、貿易債権保全手法の資本取引化など、革命的ともいえる変化を遂げてきている。この変化の意味と原因について分析するために、本研究では、まず第一に、貿易取引と金融・決済のシステムがどのように発展してきたか歴史的に検討した。特に、産業革命(機械制大工業による大量生産システム)が確立した後の19世紀中葉に、英国を中心に生成発展したCIF売買(船荷証券や保険証券の準流通証券化なども含む)と荷為替信用システムについて分析し、このような新しい商契約と貿易金融システムの誕生が機械生産が生みだした世界的産業構造の再編成と深く関係していることを確認した。またその中で、新しい貿易金融方式に則した国内金融システムならびに国際決済制度が創り上げられていったことを解明した。この歴史的分析のもとで、つぎに現在急激に変化している貿易取引と金融システムの特徴について分析した。そこでは、現地法人による貿易と金融の手法、コンテナ貿易の進展と統一信用状規則の改訂問題、複合金融の実態(カウンタートレード、国際リース、プロジェクトファイナンス、開発輸入、シンジケートローンの債権化など)、さらには通貨スワップ・ベッジ債の発行など資本取引と融合した新しい貿易債権リスク・ヘシジ手法について、専門家の協力を仰ぎながら、分析した。現代貿易取引と金融の特質を体系的に明らかにするなかで、戦後期の先進国相互、先進国と途上国(とりわけOPECとNICS)との間の相互依存関係の深化と発展が、貿易金融イノベーションの背後にあることを確認できた。以上の成果は、他の三名の専門研究者との共同研究として『貿易金融イノベーション-変貌する貿易取引と金融』(有斐閣、5月刊行予定)にまとめて発表される。
著者
伊吹 禎一 樋口 勝規
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

卒直後歯科医師臨床研修での教育利用を目的とした、パソコンで行うシェードテイキング(歯の色選択)のトレーニングプログラムを作成し、その効果を検討した。研修歯科医のシェードテイキングの学習状況を調査したアンケートに基づき、歯の色に関する基礎的知識を問う課題と、シェードガイド(歯の色選択で使用する色見本)を複数提示し色を比較する課題で構成されたウェブシステム構築を行った。本システムにて実習の結果、知識と色の三属性のひとつである明度識別能の向上がみられ、臨床研修教育への利用が有効であることが示唆された。
著者
久保 智之 馮 蘊澤 早田 輝洋
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究代表者の久保智之は、満洲語口語(中国新疆ウイグル自治区のシベ語と、同黒龍江省で話されている満洲語口語)について、特に音韻論的、形態論的な側面において、満洲語文語との異同を研究した(シベ語も満洲語口語と言ってよいが、ここでは黒龍江省の満洲語口語と区別するため、便宜的に黒龍江省の満洲語だけを「満洲語口語」と呼ぶ)。シベ語、満洲語口語とも、語幹と接辞の間の母音調和が消失している。シベ語はそれが、語幹と接辞の間の子音の調和にとってかわられている。シベ語は、/k/と/q/、/g/と/G/、/x/と/X/の対立をもっている(おそらく満洲語文語とおなじ)が、満洲語口語は、それらの対立を失なっているようである。満洲語口語は/r/と/l/の対立も失なっている。総じて、シベ語に比べて満洲語口語のほうが、満洲語文語との隔たりが大きいように思われる。研究分担者の早田輝洋は、『満文金瓶梅』の電子化テキストを使用し、満洲語文語の研究を進めた。満洲語文語の母音について考察を進め、5母音とするのが妥当であるという結論を得た。また、『満文金瓶梅訳注第十一回-第十五回』を公刊した。満文のローマ字転写及び訳注から成る。さらに、標準的でない語形を多く含む『大清全書』の電子化テキストを作成し、索引と共に公刊した。満洲語の音韻論的研究に裨益するところ大であろう。同じく研究分担者の馮蘊澤(平成11年度〜12年度に参加)は、早田の作成になる『金瓶梅』崇禎本のデータベースを用いて、文法形態素「得」に関わる統語現象の分析を進めた。現代語との比較対照も行なった。
著者
木村 茂喜
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.587-601, 1998-01-21
著者
菊池 良和
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

これまでの研究(Kikuchi et al., NeuroImage, 2011)では、吃音者において、左聴覚野の聴覚ゲーティング機能の障害、右聴覚野の周波数配列の拡大、そして右聴覚野の灰白質量の増大を発見した。2011年度は、先行研究のデータから、別の解析方法を試みた。周波数配列に使った純音250Hz,1000Hz,4000Hzを聴覚閾値上30dBの音圧で片耳刺激した左右の聴覚野の反応を、位相同期という指標で再検討した。位相同期は0から1の範囲の値で示される。位相同期は、1つのチャンネルが刺激とどの程度同期したかが分かるPLF(phase locldng factor)と、2つの離れたチャンネル同士がどの程度位相同期したかが分かるPKV(phase locking value)という2つの方法で検討した。まず解析には、MEGデータをwindowsパソコンのmatlabで動かすようにデータ変換をする必要がある。それにはFIF accessというソフトを使用した。その後、時間-周波数解析には、ウェーブレット解析を用いて、PLFとPLVを計算するプログラミングをmatlab上で行った。結果としては、吃音者の右聴覚野のPLFが高まり、吃音者の左右聴覚野のPLVも高まっていることを発見した。この発見をSociety for Neuroscienceで発表し、受賞した。PLFの結果は、これまで機能的MRIの研究で、発話時に右聴覚野が過活動という報告が見られたが、基礎的な聴覚刺激においても、吃音者は右聴覚野が過活動となっていることが確かめられた。また、左右聴覚野のPLVも高まっているということは、左半球の活動が、右半球で代償されていることを裏付ける結果となり、今後の吃音研究において、基礎となる研究結果を得られた。
著者
藤井 美男 川原 温 奥西 孝至 金尾 健美 花田 洋一郎 青谷 秀紀 中堀 博司 斎藤 絅子 畑奈 保美 加来 奈奈
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「近代国家の形成」という西欧学界の現代的課題へ貢献することを目途として、中世後期のブルゴーニュ国家を素材に、社会・経済・文化諸領域の統合的な究明を図ることを本研究の目標とした。その結果を要約するならば、 (1)都市民の宗教・文化的存在形態が国家制度と宮廷文化へ及ぼす影響、(2)ブルゴーニュ国家の地域的統合、ネーデルラントの統一、および都市=農村関係の再構築の解明である。また経済史的側面からは、(3)国家財政における塩鉱山経営の位置づけ、および都市財政と国家財政との物的・人的結合の確認、(4)都市の政治機構と国家行政との関連の解明、という結論が得られた。
著者
瀧井 正人 内潟 安子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

前思春期から思春期にかけて1型糖尿病を発症した女性患者は、後に神経性食欲不振症や神経性大食症のような重症の摂食障害を併発するリスクが高かった。摂食障害を併発すると血糖コントロールは著しく悪化し、糖尿病慢性合併症の早期の発症・進展につながる。さらに、1型糖尿病に併発した摂食障害の治療は特に困難であると言われており、成功したとしても概して多大なエネルギーが必要であり、改善までには長期間が必要なことが少なくない。ここで同定されたリスクの高い患者群に対しては、1型糖尿病発症早期から、摂食障害予防のための介入がなされることが必要である。
著者
安永 朝海
出版者
九州大学
雑誌
演習林集報 (ISSN:03760707)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-32, 1956-10
著者
上広 勝信 饒 燕飛 福田 研二
出版者
九州大学
雑誌
九州大学大学院総合理工学研究科報告 (ISSN:03881717)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.245-252, 1995

An analytical model is proposed to study regional instabilities in parallel boiling channels with the voidreactivity feedback. The model takes into consideration the effect of interaction between channels with different void fraction change by modeling the diffusion of neutrons. Linear stability analysis in the frequency domain is performed to investigate dominant factors of unstable oscillation mode. In the case of 2 channels, two stability boundaries are found to exist on the stability map, one for the in-phase and the other for the out-of-phase mode instabilities respectively. It is found that the interaction between channels affects the out-of-phase mode instability. For a certain range of the void-reactivity coefficient, the void-reactivity feedback loop is found to be unstable in a certain region on the stability map, which has an effect on the stability of the in-phase mode stability.
著者
SHOEMAKER Michael
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究のテーマは、カメラ画像を用いた深宇宙探査機の自律航法システムについての研究である。探査機に搭載されたカメラで得られる画像では、探査機の運動に伴い画像中の点が移動する。これをオプティカル・フローという。本研究では、無人小型航空機(MAV)の分野で最近注目されている自律視覚航法の手法を、宇宙探査機に適用することを考えた。自律視覚航法とは、ハエや蜂などの複眼をもつ生物の視覚を模倣した状態推定法である。このオプティカル・フローをワイド・フィールド・インテグレーション(WFI)と呼ばれる広域統合処理をすることで、未知の天体表面形状にも頑健(ロバスト)な状態推定が可能になる。しかもこの手法は、低解像度のカメラを用いることができ計算負荷も小さいために、質量や電源に制限がある小型探査機による宇宙探査ミッションに適している。WFIの計算手法を詳細に再検討した結果、積分計算を必要としない、従来の手法よりも簡単な数学的定式化を行った。提案手法は、計算負荷がより小さくなるが、数学的には従来の手法と等価であることを証明した。したがって提案した手法を用いることにより、従来のWFI手法と同程度の衝突防止や相対航法推定精度を得ることができる。また、小惑星探査機だけでなく、他の自律視覚航法システム(例:MAV)にも適用可能である。本研究では、表面形状が未知である小惑星への接近・ホバリングミッション・フェーズを考え、提案手法を適用した場合の数値シミュレーションを行った。その結果、表面の凹凸がわかっていなくても、小惑星に衝突することなく探査機をホバリングさせることができることを示した。さらに、小惑星に相対的な探査機の並進速度と角速度を推定できることを示した。
著者
大谷 順子
出版者
九州大学
雑誌
大学院教育学研究紀要 (ISSN:13451677)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.97-116, 2007
被引用文献数
1

Smoking is a disease of substance abuse called nicotine addicts. Smoking rate among Japanese men is declining in the recent years, however, smoking rate of women, especially young women, is increasing in Japan. As the health education is strengthened at primary, secondary and high schools, smoking rates among high school students and graduates are declining. 90% of smokers start to smoke by age 20. If they did not start smoking by age 20, most people can select their life without nicotine dependency. Japan has signed and ratified the World Health Organization (WHO)'s Framework Convention of Tobacco Control (FCTC) in year 2004 but has been very slow in actually implementing it within the nation. Japan Tobacco Inc. (JT) continues to promote smoking with strategy targeting young people, especially women. Now it is the time to implement health education such as smoking impact on health, social and economic costs. Japan is most behind in actual implementation of tobacco control policy in the so-called advanced countries. Central Asia is among the most behind in tobacco control policy in the world. The Republic of Kazakhstan has signed and ratified FCTC in 2007, and most advanced among the region. The Republic of Uzbekistan has even not yet signed nor ratified, that is among the few most behind countries in the world. This paper looked at the college students of Japan, Republic of Kazakhstan, and Republic of Uzbekistan. Awareness of college students, mainly the first and second grades, of three countries, Japan, Republic of Kazakhstan and Republic of Uzbekistan, were studied using embedded mixed methods with an instrument called the Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND). Participants were undergraduate students of various departments of Kyushu University for Japan, as well as international graduate students including those from Uzbekistan at the Graduate School of Law of Kyushu University; medical students at the Kazakhstan National Medical Academy (Astana Medical University) in Astana, and Japanese major students at the Kazakhstan State University in Almaty for Republic of Kazakhstan; Japanese major students at the University of Oriental Studies in Tashkent for Republic of Uzbekistan. The KTSND questionnaire survey consists of 10 questions rating from 0 to 3 each, Total full score 30. A few demographic questions and a question on smoking history as well as an open-ended question to ask what was the most impressive stories in the lecture. The questionnaire was carried out before and after the health education lecture on smoking. The lecture introduced world tobacco atlas with country statistics of smoking rates, non-smoking education materials in several countries, as well as summary of medical research of nicotine effects on people's health. Visual slide such as sperm of smokers vs. non-smokers as well as non-smoking posters were shown. At Kyushu University, additional open-ended data of 193 essays were collected and analysed. At all the university in all three countries, the total score of KTSND declined, that is improved, after the health education lecture. In each group, the score for the smokers were higher than that for non-smokers, but it declined in all groups. The score of smokers of Kyushu University undergraduates were much worse than the score of smokers in other studies in Japan and that of smokers in this survey of Kazakhstan and Uzbekistan college students. This is a worrisome result. Students answered as the most impressive issues in the health education lecture was that it made them aware of health harm of smoking, not only on throat and larynx but also for the whole body including sexual organs and fetus, hazardous impact of second-hand smoking (passive smoking). Many students in the Republic of Kazakhstan and the Republic of Uzbekistan were interested in the statistics of world atlas such as the smoking rates of countries, as well as the actual example of non-smoking campaign posters in foreign countries especially Europe. Qualitative analysis of 193 essays showed that more than 90% of students at the Ropponmatsu Campus think that this kind of health education is welcome and concerns were expressed for the risk of second-hand smoking of those who smoke while walking on campus. Stronger measures should be taken for tobacco control policy at the Kyushu University, especially at the Ropponmatsu campus where most students are under age 20. The current situation is against the law to protect minors from smoking. Given the Ropponmatsu situation, tobacco control policy at the new Ito Campus, after the campus move in the year 2009, where will host large number of older students as well, would be a great challenge.