著者
門田 誠一
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-76, 2013-03-01

紀年銘のある高句麗の金銅仏として知られる延嘉七年己未銘金銅仏に関して、従来は紀年の比定が論究の中心であった。これに対し、近年、釈読の進められている中国北朝代石窟の千仏図像の傍題に関する研究によって、千仏図像がいくつかの仏典に依拠することが明らかになってきた。それらは主として仏名経類であり、その内容が千仏図像として可視化されている。いっぽう、延嘉七年己未金銅仏銘文には「第廿九因現義仏」の語があり、これは仏名経の一つである『賢劫経』にみえる仏名であることが知られている。この仏像の制作年代は六世紀代とみられており、この時点で仏名経類に基づく仏像表現は敦煌莫高窟などの北朝石窟に限られることから、延嘉七年己未金銅仏銘文によって同様の信仰を実修していたことが明らかな高句麗の仏教が北朝の影響下にあったことを論じた。
著者
津田 敏
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.79-94, 2015-03-18

2014(平成26)年3月25日、「職業実践専門課程」に認定された学校、課程名が公表された。本稿は、専門学校の新たな道「職業実践専門課程」について、どのような学校が認定を受けたかを分析し考察した。結果、専門学校数が全国で中位から下位に位置する県の学校が、認定校の割合で上位に位置していること、認定校がゼロの県もあることが分かった。認定校は、県内外に複数校の学校を持つ専門学校が多く、認定ゼロ県の学校は、単独校が多いことが分かった。このことから、認定を受けた専門学校は組織力があるが、認定を受けていない学校で単独校は認定要件を満たすには非力と推察され、この制度を機に専門学校は二極化が進むのではないかと推察される結果となった。
著者
橋本 章
出版者
佛教大学
雑誌
鷹陵史学 (ISSN:0386331X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.151-175, 1995-09-30
著者
青木 京子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.67-81, 2003-03-01

『人間失格』の「コキュ」の問題については、志賀直哉の『暗夜行路』を想定した作品だと指摘されている。「コキュ」そのものを追及した論文もみられ、示唆的ではある。しかし、『人間失格』と『暗夜行路』の詳細な比較を通し、その根拠を提示した論文は見られない。『人間失格』の草稿には、「コキュ」の場面に「暗夜行路」の記述が見られ、『暗夜行路』を想定した作品であることは明確である。が、「コキュ」の問題だけではなく、母の欠落、醜い女や淫売婦の造形、代理母のような年上の女性との接触等、双方には多くの共通点が見られる。従って、『人間失格』は『暗夜行路』をかなり意識した作品であるといえる。『暗夜行路』は多くの女性と接触することにより、「暗夜」を乗り越え、「明るい」世界へと向かう作品であるが、『人間失格』は、徐々に女給や淫売婦との深みにはまり、全幅の信頼を寄せた内縁のヨシ子にも裏切られ、破滅してゆく。太宰は晩年には志賀直哉を辛辣に批判しているが(「如是我聞」)、志賀直哉の作品をかなり視野に入れ、作品を構築している(「懶惰の歌留多」、『津軽』等)。太宰は『人間失格』を構築するのに、志賀直哉の集大成ともいえる『暗夜行路』をかなり意識していたのではなかろうか。
著者
高場 秀樹
出版者
佛教大学
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.164-180, 2004-11-27

『孔雀』(『文学界』一九六五[昭四〇]・二)を素材となった事件記事と比較することで、その技法について考察してみたい。1、作中の「脅迫電話」の機能について。2、野犬の習性について。3、「2」の語りについて考察し、刑事の機能を追求する。4、作品の対応関係、特に「遠吠え」という語に着眼して、細君の意味を考察する。
著者
松本 桂子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.53-64, 2006-03-01

「ハイビスカスとサルビアの花」は、ロレンスの詩集「鳥・獣・花』に収録されている長詩である。新約聖書の『ヨハネの黙示録』に登場する赤い竜を、隠れた題材として扱っているこの難解な詩を探究するには、同じくロレンスのエッセイ『アポカリプス』を無視する事はできない。両作品には、彼の思想、特にヨーロッパのキリスト教観が必然的に相対しているからである。『アポカリプス』との綿密な照合により、詩中で謳い上げる詩人ロレンスの内面の声に耳を傾けながら、そこに浮かび上がる赤竜の真意を解き明かすことを本稿での目的とする。ハイビスカスサルビア主義者怒り赤い竜
著者
宮脇 陽三
出版者
佛教大学
雑誌
教育学部論集 (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.85-101, 2001-03-01

現代フランスの大学入学資格試験制度(パカロレア)は, 1985年に国民教育大臣シュベーヌマン(J.P. Chevnement) による「18歳人口の80%をパカロレア水準へ」という教育政策目標が提唱されて以来,そのための1985年11月の職業高校と職業大学入学資格試験(baccalaureat professionnel)の創設にともなって,高等教育の大衆化段階から普及化段階への移行を推進する有力な手段となっている。この大学入学資格試験制度は,1985年11月以後では,中等教育パカロレア(A,B, C, D,E科),と科学技術パカロレア(F,G,H科)と,職業パカロレアと,社会人対象の特別パカロレア(1986年3月創設)の4種類に分類することができるのである。大学入学資格取得者数は1985年が222,429人,1997年が471,000人, 2000年6月期が644,128人(LeMonde de l'education,Juillet-aout,2000,P.63)であって,1990年代の平均18歳入口の71-72万人の80%台にほぼ到達しているとみられるのである。この小論では,科学技術パカロレアの旧名称の技術者パカロレア(1969年創設)を中心として,大学入学資格試験制度の大衆化路線が走りだす1959年から1982年までの大衆化過程の動向を,(1)資格社会フランスにおける大学入学資格試験制度の存在意義,(2)1976年から1982年までの大学入学資格試験の進展,(3)大学入学資格試験における一般教養教育と職業専門教養教育の統合化の課題について考察しようとするものである。
著者
政岡 伸洋
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.31-51, 1999-03-25

This paper discusses the anthropological significance and problems of the so-called Maeul Jesa, a Confucianistic village festival found in Cheju-Do in Korea. Previous studies have held that village festivals were originally undertaken by shamanesses, and that the male portion was detached with the penetration of Confucianism. In order to discover the primitive form of the festival, these studies focused on the historical problem of how the Confucianistic festival developed. However, from this perspective, it is impossible to understand the presentday significance of this festival holds for the people living in the local community, and how it has survived to the present day with its high economic growth. With this point in mind, I studied the Poje of Susan 2-Ri, in Namjeju County, and reached the following conclusions. First, concerning the ritual characteristics, it can be said that while this festival aims at the ideal Confucian practice, prayers are conducted for the peace of the local community by taking into consideration the actual conditions of the area. However, with regard to the latter, shamanesses also conduct rituals. Thus there is no reason for the festival to be Confucianistic. Concerning its organizational aspect, the Chegwan is identical with that of the typical Confucian ritual. To act in this office as a representative of the Munjung confers social status on the person. In other words, the most important thing in the Confucianistic village festival is the ideal Confucian practice. We must note that this is not a premodern problem but a contemporary one. From such perspective. we must regard with caution the argument found in recent studies that Confucianism lies at the axis of Korean national culture. Moreover. the problem of modernity and politics concerning the concept of nation and state is the focus of much attention in recent anthropology. Upon recognizing the regional characteristics of Confucianistic village festivals on Cheju-Do. it may be necessary to undertake an analysis from such standpoint as well.
著者
満田 久義 Ansyori M.I Cenderadewi M. Fathana P.B. Gerundug I.K. Suryani D. Wiguna P.A.
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-18, 2013-09-01

インドネシア西ヌサテンガラ州の東ロンボク島では,2005 年にマラリアアウトブレイクが発生し,数多くの犠牲者を出した。しかし近年では,マラリア感染者数は減少し,犠牲者はゼロとなった。特に,マタラム大学医学部ムリヤント教授と佛教大学社会学部満田教授との国際共同研究「マラリア・コントロール・プログラム」における「マラリア感染拡大に関する社会疫学調査(CBDESS I and II, 2006?08)」の対象地区で,極めて高度なマラリア感染地域であったPijot, Tanjung Luar,Batunampar, Sukuraja の4 地区では,同プログラムの効果も相まって,現在,マラリア患者は激減している。同調査報告書(社会学部論集第45 号,46 号,48 号,50 号:2007, 2008, 2009,2010)では,マラリア対策におけるマラリア教育の重要性が指摘され,また同地区での予備調査(2011)では,小学生の69.3% がマラリアに関する知識が不足していることが実証された。そこで,「マラリア・コントロール・プログラム」では,2012 年から「持続可能なマラリア教育メソッド(Mataram University Method forSustainable Malaria Education: MUM/SME)」の開発と実践プロジェクトをスタートした。本プロジェクトでは,小学生がマラリアの医学的知識を学習する独自のメソッドを開発し,Health Messenger として学校や家庭,コミュニティにおいてマラリア予防のために活躍できる教育システムの構築を目標としている。「持続可能なマラリア教育メソッド」では,2012 年1 月に上記4 地区の5 小学校の5-6 年生400 名を対象に,「マラリア知識と行動に関する社会疫学調査(ESMKBAESCEL)」,いわゆるプレ調査を実施した(詳細は,社会学部論集第56 号:1?22)。今回のポスト調査(2013 月6 月)では「熟議型調査法」を援用し,プレ調査に続き,マタラム大学医学生40 名が当該小学校において,「マラリアの語り部」として,昨夏の調査結果をアニメ化したパンフレット(「マラリア見守り隊」が活躍するストーリー)を用い,マラリアの医学知識を解説し,マラリア知識に関するゲームを実施した。その後,マラリア社会疫学調査(ESMKB AESCEL)を再度遂行し,新しいメソッドの教育効果を検証した。小学生参加型の「持続可能なマラリア教育メソッド(SBMI ESCEL)」の成果としては,主に以下の点が特筆される。プレ調査では全問正解者がほぼ皆無であったマラリアに関する8 つの基本項目の正解率が,ポスト調査では55% にまで上昇した。また,マラリア撲滅への関心や意欲も格段に高まり,全項目で想定以上の教育効果がみられた。従来の官製資料の学校配布や医者による専門的指導に代え,より子供が親しみやすいよう考案されたアニメ型のパンフレットやマラリアの語り部,ゲーム(マラリア知識のコンペ)の導入によって,顕著な教育効果があることが明らかになった。今後は,ゲーム参加者に「マラリア見守り隊」認定証を贈呈し,かれらがHealthMessenger(健康普及者)として活躍できるマラリア教育システムのさらなる開発を目指す。
著者
門田 誠一
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-32, 2011-03-01

朝鮮三国時代の新羅の金石文と日本古代の文献には牛を殺して盟誓や祭儀を行うといわゆる殺牛祭祀が記されている。とくに新羅の殺牛祭祀は近年になって発見された金石文にみえるので、日本古代の殺牛との比較研究は少なく、また、中国の供犠や祭祀に伴う殺牛との比較も十分とはいえなかった。本論では新羅と古代日本の殺牛祭祀を相互に比較するとともに、中国の文献や考古資料にみえる牛を用いた犠牲や祭祀をも参照しつつ、それらとの対比から東アジアにおける新羅と古代日本で行われた殺牛祭祀の各々の特質を示し、あわせて両者には系譜性があることを論じた。
著者
平松 隆円
出版者
佛教大学
巻号頁・発行日
2008

博士論文
著者
平松 隆円 姜 鴬燕
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.115-126, 2007-03-01

本研究の目的は,社会的機能に関して学問的関心が高まっている化粧行動を主なテーマに,当該行動と自己に関連する心理学的要因である自己概念との関連性を明らかにすることである.その方法として,学生(男性414人:M=19.19歳,女性348人:M=18.95歳)を対象として,自己概念の構造を自己について多面的にとらえているHarterのSelf-Perception Profile for Children (SPPC)を用いて検討し,次に化粧行動といかに関連しているか質問紙による調査を行った.得られた結果を要約すると,以下の通りであった.1)「自分に満足している」「自信がある」などといった自己に対する評価的側面である自己価値は,男女とも容姿という自己の外見に関する認知的側面により最も規定されていることが明らかとなった.2)自己価値と化粧行動との関連性について,男性のみの結果ではあるが,自己価値が髪加工・パックに影響力を持つことが明らかとなった.
著者
中西 晴子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.281-292, 2003-03-01

茶道とは何かという問いに答えるためには多くの方法がある。文化としての茶道、芸術としての茶道、礼儀作法の一つとしての茶道、遊びとしての茶道などがそれである。ここでは茶道を所作という点にしぼって社会学的に考察したい。なぜ所作に注目するかというと、茶道はまず茶を点て、それを飲むという行為から始まるからであり、茶会はこのような行為を重視する人々が集まって行う社会的・社交的な行為であるといえるからである。このような社会性・社交性に重点を置く場合、茶道を社会学的に考察することは自然であり、そこから茶道を見ることも新しい茶道の見方に通じるのではないかと考える。まず「飲む」という行為は生活のなかで一般的であり、普通の行為である。茶を「飲む」という行為も生理的な渇きを潤す行為である。つまり、茶と飲むという行為は、日常的であり生理的な欲求を満たす行為である。しかし茶の湯の点前で「飲む」という行為は、単に生理的欲求を満たすものではない。それは文化的、社交的な行為である。ではどのような点で文化的、社交的なのか。そのことを所作という動きを通して論じたい。
著者
吉成 怜子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.65-78, 2006-03-01

『欲望という名の電車』(AStreetcarNamedDesire,1947)は、いうまでもなくテネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams,1911-83)の代表作である。ヒロインであるブランチ(Blanche)について彼は、「ブランチはわたしだ」と自らが語ったように、さながらブランチを彷彿とさせるようなアルコール中毒、男性遍歴などの諸行は、決して社会に受け入れられそうもなかった。ウィリアムズが演劇界の巨人でありながら、異端者として生きてなお、彼が究極的に求め続けたものは、アメリカ南部に育まれた繊細で優雅な心情への愛着だった。われわれ現代人は経済的発展を追い求めるあまり、ともすれば他者への優しさや思いやりなどをないがしろにしてきた。その憂いをブランチのたった一人の戦いとして、ウィリアムズはこの作品を執筆したともいえる。そのブランチの負け戦だと知りながら戦う姿を本論では検証してゆきたい。ブランチアメリカ南部
著者
奥野 哲也
出版者
佛教大学
雑誌
教育学部論集 (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.107-123, 2010-03-01

ソンディ・テスト(Szondi Test)の施行は1回実施するには、10分を超えない短時間での実施が可能である。したがって被験者に身体的な負担を掛けることが少なく、しかも「好き・嫌い」という、極めて単純なやり方の施行法であるから、心理的な負担も少ない。人物顔写真の「好き・嫌いの選択」といった単純で、簡単な方法であるため、施行年齢も3歳以上から可能であるなど、その適用年齢は驚くほど幅広い。また言語を基本的には媒介しないため、聴覚や言語の機能に障害がある場合や日本語を解さない外国人であったりする場合も、施行に困難をきたす事は少ないなど、他のアセスメント法に較べて適応範囲が広い。施行が簡単であるという事は、検査者の側の場合も、施行技術法習得のための訓練はあまり必要がない。他の査定技法に比較して、様々な利点があるにも係わらず、24時間以上・1週間以内という施行条件が設けられているために、正規法とされている10回施行を完全終了するには、かなりの時間が必要とされ、その結果、即戦力にならないのではないかという疑問が生じているのも事実である。そこで152人を対象として、1回法と2回目以上の施行で得られた反応の連関係数を産出する調査を行ったところ、かなりの因子反応において関連が認められ、1回法の有用性が明らかになったので報告する。前回報告では、h因子からp因子までの検討結果を掲載したが、その続編として、それ以降の因子の検討結果とまとめの報告である。