著者
後藤 敬一 石橋 和樹 江崎 健二郎 山中 章喜
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.715-717, 2007-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
6

2004年1月, 38頭のホルスタイン種を飼養する酪農場において, 呼吸器症状を主徴とし, 下痢および搾乳量の減少を伴う疾病が認められた.発症牛群の糞便および鼻腔拭い液から牛コロナウイルス (BCV) 遺伝子が検出されるとともに, 鼻腔拭い液からBCVが分離され, さらに, 発症期および回復期の血清でBCVに対する鶏赤血球凝集抑制抗体価が有意に上昇した.いっぽう, 牛RSウイルス, 牛伝染性気管支炎ウイルス等の呼吸器病起因ウイルスは抗原検索, 分離ともに陰性であり, 抗体検査でも有意な上昇を示さなかった.また, 有意な病原細菌および寄生虫は確認されなかった.これらの結果から今回の症例はBCV単独によるものと思われた.
著者
酒井 健夫 早川 徹 長尾 壮七 小倉 喜八郎 三浦 道三郎 矢部 光広 児玉 幸夫 渡辺 文男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.576-580, 1985-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
46
被引用文献数
2 2

搾乳牛13頭を4群に分けて, 50%ブドウ糖注射液500mlを通常注射および点滴注射し, あるいは25%キシリトール注射液1,000mlを同様に注射して, 負荷後の内分泌応答について観察した.ブドウ糖の通常注射群は, 負荷直後に血糖は直前値の6.9倍に (T1/2=30分, k=2.2%/分), インスリンは5.6倍に増加し, いずれも120分後に回復した. 点滴注射群は, 負荷直後に血糖は直前値の2.0倍に, インスリンは4.4倍に増加し, いずれも45分後に回復した. 負荷後のグルカゴンは, 通常負荷, 点滴負荷ともに大きく変動しなかった.キシリトールの通常注射群は, 負荷直後に血中キシリトール濃度は最高値228mg/100ml (T1/2=11分, k=6.35%/分) に達し, 120分後に検出限界以下となった. 血糖は120分後に直前値の2.1倍, インスリンは15分後に16.8倍, グルカゴンは45分後に3.6倍にそれぞれ増加した. 点滴注射負荷群では, 血中キシリトールは負荷直後軽度の増加, 血糖も直前値の1.3倍にやや増加したが, グルカゴンは変動が小さく, インスリンも2.3倍の増加を示したにすぎなかった.
著者
樋口 徹 七尾 祐樹 扇谷 学 井上 哲 仙波 裕之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.382-384, 2003-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
6

競走馬の鼠径ヘルニアの3症例に遭遇した.3症例とも数カ月以上にわたる鼠径ヘルニアの経過を持っていた.症例1は急性腹症としての手術ではなく, 開腹せずに左右の鼠径輪を縫合し, 入院管理することもなく術後経過も順調であった.この馬は, 先天性の鼠径ヘルニアにより, 5週齢で一側の精巣を摘出していた馬であったことが後日判明した.症例2と3は癌痛症状を示して来院した.症例2は空腸が30cm陰嚢内へ脱出しており, 開腹手術により整復し, 壊死部を切除して端々吻合した.ヘルニアを起こしていた側の精巣を摘出し鼠径輪を縫合したが, 競走復帰した後, 反対側も鼠径ヘルニアを発症した.症例3は, 結腸骨盤曲が陰嚢内へ脱出しており, 開腹して整復した.左右の精巣を摘出し, 鼠径輪を縫合した, 今回の3症例から, 緊急の手術を要しない競走馬の鼠径ヘルニアにおいても, 早期に外科的処置をとることが望ましいと思われた.
著者
佐々木 崇文 平川 篤 福島 隆治 町田 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.617-621, 2019-10-20 (Released:2019-11-20)
参考文献数
14

第3度房室ブロック罹患犬36例のうち,死後の病理学的検索により房室伝導系に重度の器質的障害が見いだされた31例について,重度傷害部位と心電図上でのQRS幅及び心室レートとの関連性を検討した.QRS幅に関しては,正常なQRS群(narrow QRS)が4例,幅広いQRS群(wide QRS)が27例であり,重度傷害部位から想定される下位自動中枢(想定下位中枢)とQRS幅とが合致していたのは31例中26例(84%)であった.一方,心室レートは40/分未満が15例,40~60/分が7例,60/分以上が9例であり,想定下位中枢と心室レートが合致していたのは31例中13例(42%)であった.本検索結果から,QRS幅の方が心室レートよりも房室伝導系の重度傷害部位をより的確に映し出しているものとみなされた.
著者
石川 清康 陣山 真理子 伊藤 治
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1006-1009, 1993

豚オーエスキー病 (AD) および豚コレラ (HC) 両生ワクチン接種豚と各ワクチン単独接種豚の免疫学的ならびに臨床反応を比較した. 両ワクチンは4週間隔または同時に接種された. いずれのワクチン接種豚も臨床症状を示さず, また中和抗体価についても各群間に有意差を認めなかった (危険率5%).
著者
内田 明彦 荒木 潤
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.85-88, 2000-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
27
被引用文献数
3 8

1995年 (6~8月) および1996年 (7~9月) に北西北太平洋 (北緯35~52度, 東経140~170度) で捕獲された177頭 (雌: 21頭, 雄: 156頭) のミンククジラについて外部・内部寄生虫相を調査した結果, 外部寄生虫3種;クジライカリムシPennella balaenoptera (68.4%), クジラシラミCyamus balaenoptera (5.1%), Xenobalanus globicipitis (1.1%), 内部寄生虫6種;Anisakis simplex (89.8%), クジラ大複殖門条虫.Diplogmoporus balaenoptera (13.0%), 大卵裂頭条虫Diphykkobothrium macroovatum (13.0%), Tetrabothriussp.(4.5%), クジラ肝蛭Lecithodesmus goliath (59.9%) およびクジラ鉤頭虫Bolbsoma niponicum (100.0%) が検出された.
著者
鈴木 健太 三品 美夏 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.185-189, 2013-03-20 (Released:2013-06-15)
参考文献数
20

11歳齢,去勢雄の雑種猫が繰り返す高窒素血症を主訴に麻布大学附属動物病院に紹介来院した.各検査結果より左腎周囲への尿の漏出が疑われ試験開腹を実施した.開腹下において左腎腹側面の腎門部に欠損孔が存在し,同部位から尿の漏出が確認されたため腎盂破裂と診断した.治療は破裂部位を修復するため,膀胱壁の一部を利用し欠損孔に補塡した.術後1週間後に手術部位の近接部にて尿の漏出を認めたが,同手技にて再度修復を行ったところ再発は認めず良好な経過が得られている.
著者
高久 英徳 大和田 真紀 宮根 和弘 斎野 仁 畠間 真一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.367-371, 2008-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
16

牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) に汚染された環境に豚を搬入することにより, 豚へのBVDV感染が成立することを調べるため, 感染試験を実施した. 試験1群および試験2群はBVDV野外株細胞培養上清およびPI牛から採取した尿を豚房床および飼料に散布し, そこへ豚を搬入した. 試験2群には上記に加えてBVDV液を強制的に経口接種した. また, 陽性対照群にはBVDV液を筋肉内接種, 陰性対照群にはBVDVを含まない細胞培養液を豚房床に散布した. 試験開始後3~14日目に, 陰性対照群以外では血清中からBVDVが分離され, 14日目以降にBVDV中和抗体の上昇が認められた. これらのことから, BVDVに汚染された環境は, 豚へのBVDVの感染源となることが示唆された.
著者
渡邊 俊文 野尻 康史
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.549-553, 2019-09-20 (Released:2019-10-20)
参考文献数
11

腎疾患が疑われる犬62症例及び猫40症例において,血中クレアチニンとUP/C(尿蛋白/尿クレアチニン比)の間に弱い相関(相関係数:犬 0.11,猫 0.27)しか認められないことから,UP/Cは血中クレアチニンとは独立した指標であり,また血中クレアチニンが参考基準値(犬1.4mg/dl,猫1.6mg/dl )未満かつ蛋白尿を示す症例が犬で24症例(38.7%),猫で4症例(10.0%)あったことから,UP/Cは血中クレアチニンでは捉えられない早期かつ潜在的な腎疾患を検出できると考えられた.さらに,UP/Cに関して定量法とディップスティックを用いた半定量法との間に強い相関(1ランク以内の一致率:犬 95.2%,猫 90.0%)を示したことから,ディップスティック法の特長を生かした院内での迅速かつ簡便なUP/Cの測定が有効であると考えられた.
著者
入江 洋司 吉田 紘子 甲斐 勝行 牧野 泰司 柴田 真治 鬼頭 克也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.417-422, 2019-07-20 (Released:2019-08-20)
参考文献数
28

臨床的に健常な犬123頭を対象に,動物専用のドライ式血液凝固分析装置(COAG2V)によるプロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),血漿フィブリノゲン濃度(Fib),トロンボテスト(TB)及びへパプラスチンテスト(HPT)の基準範囲を決定した.測定にはクエン酸血漿を用いた.項目ごとに測定値が正規分布していることを確認した後,四分位法で外れ値を除外し,測定値の平均値±1.96標準偏差を基準範囲とした.その結果,PTの基準範囲は7.1〜8.4sec,TBは11.7〜14.6sec,HPTは9.8〜16.2sec,APTTは13.7〜25.6secであった.Fibでは対数変換により正規分布化し,同様の方法で基準範囲を算出後に逆変換したところ,基準範囲は113〜385mg/dl であった.
著者
木村 祐哉 真田 菜生 今井 泉 小沼 守 宮下 ひろこ 矢野 淳 伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.349-355, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
16

一次診療4施設を受診した飼い主104名に対し質問紙法で解釈モデルを訊ね,言語データを対象とした質的手法であるSCATで理論抽出を試みた.飼い主の記述した解釈モデルは病因,病態と経過,治療方針の3カテゴリーに大別された.そのうち病因に対する認識は生物因子と状況因子に分けて考えられ,病態と経過に対する認識には受診理由,命あるいは生活の質(QOL)に関わる不安,病識と受容の様子が含まれた.治療方針に対する認識としては,決定の主体が誰か,動物及び飼い主にかかる負担がどの程度であるかが考慮されていた.各カテゴリーのこうした認識は,いずれもコンプライアンスや治療成績に影響を及ぼしうると考えられる.したがって,飼い主の解釈モデルを把握する際には,病因,病態と経過,治療方針のそれぞれについて確認する必要があることが示唆された.
著者
田村 和也 永原 未悠 永原 美治
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.356-359, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
15

1歳8カ月齢の雑種犬が食欲不振,下痢を主訴に受診した.画像診断により腹部に腫瘤を認め,細胞診及びリンパ球遺伝子再構成解析の結果より,T細胞由来の大顆粒リンパ球性(LGL)リンパ腫と診断した.多剤併用化学療法を試みるも治療に反応せず,第14病日に斃死した.剖検後の病理組織及び免疫組織化学検査では,腸間膜腫瘤に加え,肝,脾,肺,左右腎臓,胃腸,副腎,縦隔及び腰下リンパ節を含む全身臓器にT細胞リンパ腫の病巣が認められた.

1 0 0 0 OA 熊の解剖

著者
佐藤 昶
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
綜合獸醫學雑誌 (ISSN:2186019X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.85-86, 1948-06-20 (Released:2011-03-18)
著者
白永 伸行 羽迫 広人 相津 康宏 山本 健人 佐藤 立人 白永 純子 猪熊 壽
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.291-295, 2019-05-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
15

犬バベシア症流行地においてBabesia gibsoni(B. gibsoni )不顕性感染状況を調査した.臨床上健康な犬500頭のうちB. gibsoni 特異的PCR陽性38頭(7.6%)を不顕性感染とした.不顕性感染犬の平均年齢(9.2歳)は,PCR陰性でB. gibsoni 感染症既往歴のない犬(7.4歳)に比べて高かった.不顕性感染犬の97.4%は外出する犬であった.B. gibsoni 感染症既往歴のない犬で外出する275頭を解析したところ,不顕性感染犬においてマダニ予防薬を適切に使用されていた犬の割合(6.3%)は非感染犬(44.8%)に比べて有意に低かった.外出とマダニ予防不徹底はB. gibsoni 感染リスクを高めると考えられた.不顕性感染犬の赤血球数,血球容積,ヘモグロビン濃度及び血小板数は非感染犬より低値を示し,B. gibsoni 不顕性感染は犬の血液性状に影響を及ぼしていた.
著者
大成 衷子 小川 祐生 八村 寿恵 山木 誠也 鐘ヶ江 晋也 網本 昭輝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.189-192, 2018

<p>ウサギの不正咬合では,臼歯の棘の切削処置のために頻回の麻酔が必要となる個体があり,頻回麻酔の影響が懸念されている.今回,当院で歯科処置のために1個体当たり39~103回の頻回の麻酔を実施したウサギ11例について,麻酔回数及び年齢に対する回復時間について検討を行った(頻回麻酔群).また,頻回麻酔群に含まれない同様の歯科処置を行ったウサギ67例について,初回麻酔時に同様の項目について調査を行った(コントロール群).頻回麻酔群では,麻酔回数と回復時間に相関がほとんどなかった.一方,加齢に伴い回復時間が有意に延長し,コントロール群でも同様の結果が得られた.両群の同じ年齢区分の比較で有意差はなかった.したがって,歯科処置などの侵襲の少なく,短時間の麻酔では頻回麻酔の影響よりも,加齢に伴う影響の方が大きいと推察された.</p>
著者
佐藤 至 辻本 恒徳 世良 耕一郎 二つ川 章二 津田 修治
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.825-830, 2003
被引用文献数
2

平成11年11月から平成14年8月までに狩猟等によって岩手県内で捕獲されたツキノワグマ計42頭 (雄24頭, 雌18頭) の肝臓, 腎臓および被毛についてPIXE分析を行い, 鉛等の重金属による汚染状況を調査した.その結果これらの組織からは, クロム, マンガン, 鉄, コバルト, 銅, 亜鉛, セレン, モリブデン, カドミウム, 鉛等が検出された.このうちコバルトは人などで知られている濃度の10倍以上の高値を示した.また2頭の亜鉛濃度が異常な高値を示し, 何らかの亜鉛暴露を受けていた可能性が考えられた.肝臓, 腎臓および被毛におけるカドミウムの平均濃度はそれぞれ0.20, 9.16, 2.10mg/kgであり, 日本人の正常範囲を超える個体はみられなかった.肝臓の鉛濃度の多くは1mg/kg未満であったが, 3頭が2mg/kgを超え, ツキノワグマにおいても鉛汚染が存在する可能性が示唆された.
著者
佐伯 潤 北原 千春
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.167-171, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

大阪府内で,平成29年10〜11月に,合計11頭の犬レプトスピラ症を疑う症例の届出があり,そのうち9頭が死亡した.疫学調査の結果から,8頭が同じ河川敷を散歩コースとしており,4頭の飼い主は同じ町内に居住していた.顕微鏡下凝集試験では,2頭が血清型Australisに対し,それぞれ2,560倍及び10,240倍の抗体価を示した.また,このうちの1頭の血液及び血清型を特定できなかった他の1頭の尿から,PCR法によってレプトスピラDNAが検出された.これらのことから,今回の流行事例は,同じ病原巣あるいは感染源から感染した可能性が考えられた.
著者
兼光 弘章 御領 政信 岡田 幸助
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.547-550, 1995
被引用文献数
2

馬2頭 (4歳雌および6歳雄) が1カ月以内の間隔で再度大量の鼻出血を起こし, 死亡あるいは安楽死処分された. 第1症例には鼻腔に壊死性肉芽腫が多発し, 鼻背動脈の破綻による鼻出血と推測された. 第2症例は喉嚢真菌症で, 喉嚢に隣接する内頸動脈の破綻があり, 病巣の大部分は肉芽組織により置換されていた. 両例とも光顕および走査電顕的検索によってAspergillus sp. が病巣から検出・同定された.
著者
松本 英樹 掛端 健士 兵頭 武史 花田 憲正 辻 陽子 稲船 清英 村中 早苗 星野 佐登志
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.595-599, 2003

日本の犬ぞり犬において, 現場に即した運動処方を作成するために各種の検討を行った. その結果, 運動処方作成にあたっては, 年齢等による運動能力の近似した群分けの必要性が示唆された.また1回の運動負荷で乳酸閾値, 酸塩基平衡を基に個体別の運動処方を作成できる可能性が示唆され, 過剰な運動負荷を防止するために2回目の運動負荷も有用であると思われた.PRESCRIPTIONDIET<SUB>&reg;</SUB> a/d (a/d) を通常食に追加投与すると, a/d投与前と比較して投与後は, 運動負荷後のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) の増加もなくなり, 血中の重炭酸塩および静脈血二酸化炭素分圧の回復も早いことが認められた.しかし, a/d投与後では運動負荷に関係なくナトリウム, クロライドの上昇を伴う血漿浸透圧の上昇が認められたことから, 塩分過剰投与などが危惧され, さらに十分な水分補給の必要性が示唆された.