著者
大平 高正 池内 秀隆 伊藤 恵 木藤 伸宏
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.420-425, 2004-12-20
被引用文献数
3

本研究の目的は,高齢者を対象に歩行開始時の足圧中心点(以下,COP)の後方移動(以下,逆応答現象)を調べ,1)足指筋力,足関節背屈筋力,歩行開始前後の静的バランス能力との関連性を調べること,2)各パラメータの若年者との相違を調べ,高齢者における逆応答現象の移動距離が減少する要因を調べることである。中枢神経疾患の既往の無い,在宅生活を送っている自立歩行可能な高齢者15名を対象とした。計測パラメータは,(1)逆応答現象の前後方向最大距離:As,(2)逆応答現象の左右方向最大距離:Al,(3)歩行前静止立位バランス:Bd,(4)歩行後静止立位バランス:Ad,(5)逆応答出現までの潜時:Cd,(6)足指最大圧縮力体重比:Fg,(7)足指圧縮力の増加の傾き:Gs,(8)足指圧縮力発生までの潜時:Gd,(9)足指圧縮力発生から最大圧縮力までの時間:Tp,(10)足関節背屈トルク体重比:Dtとした。AsとAlに強い正の相関が認められた。AlとBdに負の相関が認められた。CdとGdに正の相関が認められた。若年者群との比較では,高齢者群はGsが有意に低かった。転倒群に対し運動療法を施行するとAl,Gsの増大,Bd,Gdの短縮が認められた。今回の調査では,高齢者の逆応答現象に関与する因子の明確化には至らなかった。
著者
吉元 洋一 勝田 治己 長谷川 博一 杉浦 昌己 宮川 博文 古川 良三 青山 賢治 三橋 俊高
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.321-328, 1988-07-10
被引用文献数
4

脳卒中患者87例に対し, Brunnstrom Stageと姿勢反射機構検査を行い, 以下の結論を得た。1. 上・下肢Brunnstrom Stageと本検査得点の比較では, 全てのStageにおいて健側との間に有意な得点差を認めた(下肢StageI : p<0.05, 他は全てp<0.01)。2. 上・下肢StageIIとIIIの比較では, 健側及び麻痺側共に有意差を認めた(p<0.01)。3. 上肢StageVとVI, 下肢StageIIIとIV, IVとV, VとVIの麻痺側間の比較において有意差を認めた(p<0.05)。4. Brunnstrom Stageと本検査得点の相関係数は, 上肢健側r=0.555, 麻痺側r=0.825, 下肢健側r=0.613, 麻痺側r=0.872と中等度以上の相関関係を認めた。
著者
大城 昌平 穐山 富太郎 後藤 ヨシ子 草野 美根子 横山 茂樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.452-456, 1992-08-01

正常発達を遂げた成熟児を対照に, 重篤な合併症がなく正常発達の見込まれたAFD児, SFD児についてブラゼルトン新生児行動評価を用いて新生児行動の発達評価を行い, 加えて, ベイリー乳幼児発達検査による6ヵ月, 12ヵ月時の精神・運動発達について追跡調査を行った。その結果, SFD児では成熟児やAFD児に比べ新生児期の行動発達及び, 6ヵ月・12ヵ月時の精神・運動発達に遅滞傾向が認められた。SFD児は, より未成熟な要因に加え, 外環境からの刺激に対し, 意識状態の調整や注意集中, 運動調整系のストレス徴候を示しやすく, 環境との適応障害を起こしやすいものと考えられた。また, 結果的に乳児期の精神・運動発達にも影響を及ぼすものと考えられた。
著者
大城 昌平 穐山 富太郎 後藤 ヨシ子 横山 茂樹 鋤崎 利貴
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.355-358, 1996-09-30

本論文は低出生体重児77名を対象として,在胎週数に換算して(修正)44週時のブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)とベイリー乳幼児精神運動発達検査(BSID)による修正12カ月時の精神運動発達との関連について統計学的に検討し,NBASが低出生体重児の早期介入及び療育の適応決定に有効であるかどうか考察した。NBASの8つのクラスター(漸減反応,方位反応,運動,状態の幅,状態調整,自律神経系の安定性,誘発反応,補足項目)と12カ月時の精神運動発達指数との関連を単相関分析により概観した結果,自律神経系の安定性クラスターを除いた他のクラスターと精神運動発達指数は有意な相関を示した。12カ月時の精神運動発達指数を目的変数,NBASの各行動クラスターを説明変数とした重回帰分析の結果,高い相関が認められ,精神運動発達指数はNBASから約60%の精度で説明することができるという結果であった。また,標準偏回帰係数を算出した結果,運動,状態の幅,誘発反応の各クラスターが統計的に有意に影響を及ぼす因子であった。これらのことから,修正44週時のNBAS評価は初期乳児期の精神運動発達を予測するうえで有用であり,早期介入及び療育の適応決定において有益であると考えられた。
著者
西本 哲也 小原 謙一 藤田 大介 土屋 景子 西本 東彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】理学療法教育場面で学生のモチベーションの問題は大きく取り上げられ、多数の養成校で授業や実習形態の工夫がなされている。問題解決型学習やクリニカルクラークシップなどもそうであり、臨床に即した実践・模擬実践を通して学生のモチベーションや臨床適応能力向上に効果があることが報告され、それらから学ぶべきことが非常に多い。我々はモチベーションが向上する背景には必然的にポジティブ感情が伴っているような漠然としたイメージを抱いている。Fredricksonはポジティブ感情が思考と行動のレパートリーを増加させるという拡大-構築理論を提唱しているが、今回我々はポジティブ感情の付与要素を創造・実現的刺激と、娯楽・癒し的刺激に分け、各々が行動意欲にどのような影響を及ぼすかを検討し、学生に有効なポジティブ感情を付与するための要素を見出そうとした。<BR>【方法】岡山県内の福祉施設業務に従事する介護関係職、看護師、ボランティアの計49名を対象とし、約2時間のイベント前後の行動意欲および気分について調査した。イベントはA群(男性6名・女性14名、平均31歳)が「介護予防におけるリハビリの基本技術」研修会、B群(男性4名・女性11名、平均34歳)が一般に人気の娯楽番組を2番組続けて鑑賞、C群(男性4名・女性10名、平均36歳)はコントロール群でイベントは通常の業務内容であった。行動意欲は単語レベルの自由記載で現在したいことを全て記入してもらい(5分間)、その後幾つかのカテゴリーに分類した。気分については坂野らの気分調査票を使用した。行動意欲、気分調査はイベント前後での記載数、点数を比較(Wilcoxon検定;p<0.05)し、カテゴリー、項目のイベント前後での増減についての比率も比較検討した(2サンプル比率検定;p<0.05)。またA・B群は終了後の満足度についての5段階評価も行った。<BR>【結果】行動意欲については小川らの研究を参考に10のカテゴリーに分類した。A・B群ではイベント前後で記載事項が有意に増えており、A群では「勉強・仕事」が有意に増加していた。B群では「遊び」など幾つかのカテゴリーでの増加傾向が見られたが有意に増えたカテゴリーはなく「勉強・仕事」はむしろ減少傾向であった。C群でも有意に増えたカテゴリーはなかった。気分調査ではどの群もイベント前後で有意な変化は見られなかったが、A・Bでは「爽快感」で増加傾向が、「疲労感」「不安感」で減少傾向が見られた。満足度はA・B群とも2名を除き4以上であった。<BR>【考察】A・B群ともイベントによる行動意欲の拡大が示唆されたが、A群ではより創造・実現的な要素が拡大され、B群のイベントである娯楽的な刺激ではその要素はむしろ減少した。息抜きは癒しになるが創造・実現なポジティブ感情を誘発することは難しい可能性がある。今後は行動意欲とストレス尺度や不安尺度との関連を調査する必要性を感じた。
著者
中田 彩 沖田 実 中居 和代 中野 治郎 田崎 洋光 大久 保篤史 友利 幸之介 吉村 俊朗
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-5, 2002-02-20
被引用文献数
10

本研究では, 臥床によって起こる拘縮を動物実験でシミュレーションし, その進行過程で持続的伸張運動を行い, 拘縮の予防に効果的な実施時間を検討した。8週齢のIcR系雄マウス34匹を対照群7匹と実験群27匹に振り分け, 実験群は後肢懸垂法に加え, 両側足関節を最大底屈位で固定し, 2週間飼育した。そして, 実験群の内6匹は固定のみとし, 21匹は週5回の頻度で足関節屈筋群に持続的伸張運動を実施した。なお, 実施時間は10分(n=8), 20分(n=7), 30分(n=6)とした。結果, 持続的伸張運動による拘縮の進行抑制効果は実施時間10分では認められないものの, 20分, 30分では認められ, 実施時間が長いほど効果的であった。しかし, 30分間の持続的伸張運動でも拘縮の発生を完全に予防することはできず, 今後は実施時間を延長することや他の手段の影響を検討する必要がある。
著者
吉野 浩一 大野 範夫 鈴木 貞興 藤井 杏美
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【はじめに】<BR>立位バランスまたは歩行時の安定性に大きく関与していると考えられる足趾の機能を評価することは、下肢の疾患に対する理学療法を施行するうえで重要である。臨床上も立位バランス不良の症例において、足趾の開俳運動不全を呈していることをしばしば経験する。そこで今回、足趾開俳機能と足趾把持機能との関連性について検討したので報告する。<BR>【対象と方法】<BR>対象者は測定時に下肢に愁訴のない成人男性22名,44足を対象とした。平均年齢は29.2±4.5歳,平均身長172.3±5.3cm,平均体重66.5±6.6kgであった。足趾の開俳は足関節底背屈0°にて、自動運動で足趾の開俳が可能であるかを評価した。その際、代償運動排除のため足部のMP関節伸展に制限を加えた。可否の判定は足趾間の接触がなく開俳可能なものと定義した。その後、全被験者の足趾屈筋の筋力(把持力)を測定した。測定にはT.A.G.メディカル社製EZフォース(プロトタイプ)を使用し、自作の足趾把持用のバーを取り付け測定した。測定肢位は自然立位とし、片側に対し3回施行し両側の測定を行った。測定された数値(peak)は3回の平均値とし、体重で除し体重比で算出した。尚、測定された筋力は全足趾開俳可能群(以下開俳群)と非開俳可能群(以下非開俳群)に分け、開俳機能と足趾屈筋筋力との関係について比較検討した。統計処理にはマン・ホイットニ検定を用い危険率5%以下を有意とした。<BR>【結果】<BR>22名44足中、11名の両側22足に足趾の開排不全が認められた。開排不全の最も多かったのは4,5趾間で13足、ついで3,4趾間9足、2,3趾間5足、1,2趾間5足であった。尚、2趾間以上重複しての開排不全は10足であった。また、足趾把持筋力(体重比)の平均値は開排群0.146±0.03kg/BW、非開排群0.108±0.02kg/BWで(p<0.05)にて有意差を認めた。<BR>【考察】<BR>今回の実験において足趾開排の差における足趾把持筋力の有意差が確認できた。これは足趾同士が接触せず、足趾間が開排する事により屈筋がより収縮しやすい足趾の肢位に置かれたことによるものと思われる。この結果、足趾の把持能力改善には足趾の開排運動が有効であることが示唆された。また、足趾別の検討として、非開排群においては4,5趾間の開排不可が13足と多く、この影響も考えられたが、重複した開排不全が10足あり、足趾別の把持力貢献度は今回の実験では検討することはできない。今後、足趾固有の機能についても検討していきたい。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
著者
浅井 友詞 野々垣 嘉男 谷田 武喜 水口 静子 石田 和人 堀場 充哉 和田 郁雄 水谷 武彦 水谷 陽子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.191-195, 1996-05-31
被引用文献数
2

大腿四頭筋部における超音波断層法(以下US法)の最適測定部位および有用性について検討した。方法は,患肢,健肢に対してコンピュータ制御式筋力測定装置により等速性膝伸展最大筋力,超音波断層装置により膝蓋骨上縁5,10,15,20,25cm位の筋肉厚およびコンピュータトモグラフィーにより筋断面積を求めた。結果,筋力と筋肉厚の間には10,15cm位で有意な相関がみられ,筋断面積と筋肉厚の間には10cm位に有意な相関がみられた。したがって,US法の最適測定部位は10,15cm位と思われた。また,臨床の場において筋力の発生には,心理的要因,神経的要因が関与するため,筋の絶対筋力を計測することは困難である。そこでUS法は,筋力,筋断面積を反映し,筋の萎縮あるいは筋の回復を推察するために有用であると考えられた。
著者
半田 健壽
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-5, 2005-02-20

日本理学療法学術大会(以下大会)は今回で39回を迎えた。宮城県理学療法士会の担当で平成16年5月27日(木)から29日(土)の3日間にわたり, 「病気障害, そして健康-理学療法学の近未来に向けて」をテーマに行われた。大会開催は, 10数年前からの開催構想, 士会で開催のコンセンサスを得ることまで含めると5年間にわたる準備の一大プロジェクトであった。特別講演をはじめ多くの企画に加え, 一般演題もこれまでの最高の1,059題(応募数は1,070題)に昇り, 参加者総数は4,910名, うち有料参加者数2,782名を数え, 活発な学術交流が図られたことは喜ばしい限りである。 本稿は大会長基調講演の発表を元に加筆し, 作成したものである。 大会開催に当たって 日本理学療法士協会(以下協会)は会員数も3万名を超え, 大会への参加者も前述の通り増して来た。日本で理学療法制度の誕生より約40年の間に多くの変化があったが, 中でも理学療法の理論的背景は大きく変化している。
著者
宮川 哲夫 高橋 仁美
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.177-182, 2005-06-20

人口の高齢化, 喫煙, 環境の変化に伴い慢性閉塞性肺疾患(COPD)は, 世界的に増加の傾向にある。世界的なCOPDの治療ガイドラインもまとめられ, 呼吸リハビリテーションは包括的内科治療と供に治療の第一選択であり, そのエビデンスも十分に確立されてきている。一方, COPDを中心とした慢性呼吸不全の在宅呼吸ケアには, 在宅酸素療法(HOT)と在宅人工呼吸療法(HMV)があげられるが, いずれも生活支援を行い, 日常生活機能を改善させ, 健康関連QoL(HRQoL)を改善させる包括的な呼吸リハビリテーションの一環として実施されなければならない。ここでは在宅呼吸リハビリテーションについて概説する。COPDの疫学 2001年に行われたNICE(Nippon COPD Epidemiological)study(日本慢性閉塞性肺疾患疫学調査)によれば, 我が国でのCOPDの発症率は40歳以上で8.5%およそ530万人と推定されており, 2000年には初めて死亡原因の第10位となった。現在, COPDは世界の死亡原因の第4位であり, 有病率や死亡率は数十年の間にさらに増加し, 2020年には第3位と予想されている。
著者
望月 かほる
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.236-240, 1991-05-10

練馬区は, 東京都23区の北西部に位置し, 面積は48km^2で, 23区の中では世田谷区, 足立区, 大田区についで5番目の広さである。区の面積の90%は住宅地であり, いわゆる東京のベッドタウンとして発展してきた。平成3年1月1日現在の住民基本台帳に基づく人口は 612,975人, 世帯数は 247,600世帯であり, 65歳以上の人口は 59,866人で, 区内総人口の 9.8%を占めている。23区内では比較的高齢化率の低い方の区に属している。当区における脳卒中による死亡率は, 訪問指導が開始された昭和53年度は第2位の34%であったが, 昭和63年度は第3位の14.2%と減少してきている。区内にある医療機関は病院, 診療所を合わせて440所だが, そのうち150床以上の総合病院は2所しかなく, これら総合病院には常勤理学療法士は置かれていない。また, 運動療法の施設認可基準病院は, 47床規模の1施設のみである。大きな人口をかかえながら本格的な医療設備をもった病院の数が少ない練馬区において, 医療終了後の在宅住民に対して, 機能回復訓練など保健事業の実施主体である保健所は重要な役割を担っている。以下, 練馬区の保健所・保健相談所が行っている訪問指導, 機能訓練の状況をまとめてみた。