著者
赤尾 聡史
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

植物工場など土に拠らない集約的農業が広まった場合,農業副産物の処理ニーズが高まると予想される.これらを事業系廃棄物として処理した場合の経営影響を100 m2規模の施設園芸を対象に行い,農業所得に対して10%前後の処分費を必要とすると見積もった.農業副産物を資源として利用するため成分調査を行い,肥料成分としてリンを含むミネラル含率が高いこと,炭素/窒素比が低く生物変換に注意を要すること,ルテインなどカロテノイド類の含率が高いことを示した.
著者
根來 孝明 Takaaki Negoro
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2022-03-03

書の歴史において、その正統性の頂点に位置付けられるのは東晋の王羲之(303?〜361?)である。彼の書は現存しないとされ、後世の人々は、拓本などの複製を通して王羲之の書を学んできた。本稿の目的は、各時代の人々が思い描く王羲之の書、すなわち書聖・王羲之の像(イメージ)がどのようなものかを、造形分析を通して明らかにし、その変遷を考察することである。
著者
真銅 正宏
出版者
同志社大学
雑誌
人文學 (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
vol.184, pp.1-23, 2009-03
著者
孫 昊 Hao Sun
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2018-03-22

本論文では,計量的な手法を用いて川端康成の代筆問題と文体問題に取り組み,次に挙げたことを明らかにした。①小説『乙女の港』と『花日記』は川端康成と中里恒子の共同執筆である。②『コスモスの友』,『古都』,『眠れる美女』と『山の音』は代筆の可能性が低い。③泉鏡花,徳田秋聲と横光利一と比べ川端康成文体の存在が確認され,終戦の1945 年を境に川端康成の語彙の豊富さと,機能語の助詞,副詞,接続詞に変化が見られた。
著者
中園 宏幸 Hiroyuki Nakazono
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2015

https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB12905353/?lang=0
著者
太田 孝彦
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は今まで等閑視されがちであった江戸時代の画譜に焦点を当て、それらがどのような作品をどのように収録しているかを分析することによって、江戸時代の美術史の様相を解明することであった。画譜の出版においては江戸時代中期、十八世紀初頭に活躍した橘守国と大岡春卜が代表的な存在である。そこで、大岡春卜が出版した『和漢名筆画本手鑑』(享保五年1720)と『和漢名画苑』(寛延三年1750)を取り上げ、そこに春卜の美術史観をうかがおうとした。彼は同時代美術を重視する姿勢を採っていた。『画本手鑑』において、彼は対象をよく知ることによって把握される動物の生態を生き生きと描き出す行為を重視する。狩野派の画家であり、絵手本として機能する画譜の出版でありながら粉本からの離脱を評価する。次にそのことと矛盾することになるが、装飾性という姿や形の美しさこそが世に賞賛されていると位置づける。さらに、奇想天外な意表をつく光景を略筆で描く「鳥羽絵」を「狂画」として「風流」な嗜みとして評価し、多く収録する。そして『名画苑』では、長崎に伝えられた最新の技法と感覚を評価する。また、一種の遊びの精神に満ちた絵、絵画におかしみを持ち込んだ作品、素人の絵画を高く買っていることも注目される。彼の関心が絵画の革新であることを告げる。このように、春卜は絵画革新の時代的潮流を敏感に感じ、「現在流行している作品は旧例の墨守ではない新しい試みの吐露である」と評価し、それらを画譜に掲載し、それらを通じてあるべき絵画の姿を語る。「戯画」である鳥羽絵が持つ「諧謔性」を従来にない絵画の特質と認識していたのである。鳥羽絵は町人の自由な精神の発露であり、これこそがあるべき絵画であると主張していたことを明らかにした。これが十八世紀初頭に生きた春卜の絵画観である。江戸時代に美術をそうしたものと考え、それを告げることが美術史であると考えていたことが明らかになった。
著者
加納 千佳
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.231-234, 2009-07

研究活動報告(Research and Activity Report)2008年10月23日から10月27日にわたりイタリアのピエモンテ州トリノ市で「テッラ・マードレ(Terra Madre)2008」が開催された。「テッラ・マードレ」とは食のコミュニティの世界大会であり、国際スローフード協会とイタリアの農林水産省、外務省の経済推進局、ピエモンテ州とトリノ市の協力により開催されている。もともと、世界規模の生産者会議という名の下で行われていたこのイベントは、世界中の生産者はもちろんのこと、料理人、研究者、若者、ボランティアスタッフ等が集まり、交流を深める場として機能している。農業と食に関わる生物多様性を保護するために最も有効であるとして、この国際的な情報・意見交換が行われている。また、今年は「若者」と「音楽」という新しいカテゴリーが加わった。「若者」のカテゴリーが加わったのには、若者が食の運動を展開していこうとする「ユース・フード・ムーブメント(Youth Food Movement、以下、YFM)」という新たなネットワークが作られた事が背景にある。本稿では、このYFMに焦点を当て、「テッラ・マードレ2008」について報告する。
著者
西澤 由隆 河野 勝 荒井 紀一郎 中條 美和 村上 剛 金 慧 広瀬 健太郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-07-18

本研究の目的は、現行のいわゆるヘイトスピーチ対策法(正式名称:本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)を超える新しい法規範形成の可能性を視野に入れつつ、現代日本のヘイトスピーチに関する心的基盤を実証的に明らかにすることであった。より具体的には、いかなる条件のもとでこのような差別や言葉の暴力を一般の日本人が許容するのか、またその理由は何か、といったヘイトスピーチに関わる心的メカニズムについて、サーベイ実験の手法を用いつつ検討した。
著者
山中 美潮
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、20世紀初頭の西原清東によるアメリカ合衆国テキサス州稲作移民運動を中心に、日本人のアメリカ南部移住・人種経験から越境的なアメリカ史を検証する。日系アメリカ人史はこれまでアメリカ西海岸地域研究に偏りが見られ、またアメリカ南部史では、白人・黒人という二分的な人種関係を自明とし、移民や他地域との関係性を軽視してきた。そこで本研究は単なる地域・移民研究を超えた新しいアメリカ史像を提示するため、日本人の歴史的経験からアメリカ南部と環太平洋世界の相互作用を明らかにする。本研究により多様化の進む日米社会双方の人種関係の理解と促進に貢献したい。
著者
山本 佐和子
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、中世室町期の「抄物」について、多くの先行説を類聚・列挙した「編纂抄物(集成抄物、取り合わせ抄物)」の言語研究資料としての性格を明らかにすることを目的として、文献資料の発掘・調査と言語事象の記述研究を行っている。本研究課題以降には、この種の抄物について、抄物の成立時期半ばの1530年頃から最末期の織豊期にかけて、公家・高家に漢籍注釈書として受容される様相を書誌学・文献学的調査によって明らかにし、その言語的特徴の由来を考察する予定である。今年度は、2018年度に研究発表した、中世後期~近世の注釈書における文末表現「~トナリ」について使用実態と文法的性格を論文にまとめ、抄物の成立背景と言語的特徴は、抄物と同時期の古典講釈・注釈史の中で捉え直す必要があることを指摘した。本研究では一昨年度までに、建仁寺両足院蔵「杜詩抄」に一般の仮名抄には殆ど見られない文末表現「ヂャ」や「ゾウ〈候゛〉」等が認められることを指摘してきたが、「~トナリ」もその一つである(約220例使用)。一方で、「~トナリ」は近世以降の通俗的な注釈書・学習書では多用されている。論文では、注釈表現「~トナリ」が、応仁の乱以降、即ち、口語的な仮名抄の多くが作られた時期と同時期に成立した「源氏物語」「伊勢物語」等の和文の注釈書で、原典の解釈(当代語訳)を示す用法で多用されるようになる実態を明らかにした。注釈書においてこの種の定型的な「~トナリ」が多用された要因には、当時の言語変化(亀井孝「言語史上の室町時代」『図説日本文化史大系』4、1957年)及び、古典の受容層の拡大・変容による注釈書の質的変容(伊井春樹『源氏物語注釈史の研究 室町前期』桜楓社、1980年)が関わっていると考えられる。
著者
西村 仁志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.201-204, 2008-12

研究活動報告(Research and Activity Reports)同志社大学大学院総合政策科学研究科では、イタリアで発祥した「スローフード運動」関係者・関係機関との交流を2006年より行ってきた。これは本研究科のソーシャル・イノベーション研究コース(以後、SI研究コース)開設にあたり、「いのちと農と食」の問題を重要かつ優先すべき社会的課題としてとらえ、その解決のための取り組みの思想的バックボーンとしてスローフードの理念に大いに共感したことによる。2007年6月には本研究科と「食科学大学(Università degli Studi di Scienze Gastronomiche:以後UNISGと表記)」が学術交流協定を締結し、そしてUNISGの海外研修旅行(Stage)の訪問先に日本・京都が選ばれ、本研究科が2007年6月、2008年6月の2回、研修プログラムを提供した。本稿ではその経緯と成果について報告する。
著者
中谷内 一也
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

災害のリスク管理の研究領域では、近年、人々のリスク認知と実際の準備行動とが結びついていないこと -リスク認知パラドクス- が問題となっている。もし、リスク認知パラドクスが本当ならば、人びとにリスクの高さが伝えられ、理解されても対処行動にはつながらないことになる。このため、リスク認知パラドクスは問題となる。本研究では調査データをリスク認知から準備行動への正のパスと逆方向への負のパスとを組み込んだ構造方程式で分析した。その結果、両者が相殺し合って表面的にパラドクスであるかのようにみえることが示された。また、小さな災害準備の提供が第一歩となって人びとの準備行動を促進させる可能性が示唆された。
著者
姜 敞煕 姜 敞熙
出版者
同志社大学
雑誌
同志社商学 (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.13-25, 2002-03

研究杉江雅彦教授古稀祝賀記念号
著者
川井 圭司
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.4099-4138, 2009-02

論説(article)本稿は、日本プロ野球における保留制度の法的効力について契約法、独占禁止法および労働法理の観点から検討を加え、ポスティング制度の法的妥当性について明らかにするものである。このポスティング制度は1998年に日米両リーグの合意によって導入されたのであるが、ここでは、その経緯を明らかにしたうえで、同制度を巡る問題について、日米双方の法的論点を整理し、解説している。ところで、日本プロ野球選手会は2004年に史上初めてのストライキを実施し、NPBに対する交渉力を獲得してきた。そうした選手会の交渉力の向上が海外移籍制限にいかなる影響を与えるかを検証している。This article will explore the following regarding the Posting System, which was introduced as a result of an agreement between Nippon Professional Baseball and Major League Baseball : (1) The validity of the NPB's Reserve System (2) The background and reasons for the introduction of the Posting System (3) The history of the Posting System since its inception (4) The legal characteristics of the Posting System (5) The validity of the Posting System from the perspectives of both Japanese and U.S. law (6) The degree of involvement of the Players' Association, which gained greater bargaining leverage after its first strike in 2004, in key decision-making processes that continue to shape the Posting System