著者
加藤 久和 杉浦 一孝 森際 康友 中村 真咲 楜沢 能生 松本 恒雄 小長谷 有紀 萩原 守 小長谷 有紀 萩原 守 楜澤 能生 松本 恒夫 蓑輪 靖博 大江 泰一郎 恒川 隆生 奥田 進一 中村 真咲 上村 明 鈴木 由紀夫 B.アマルサナー S.ナランゲレル J.アマルサナー SH.バットスフ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、モンゴル国における土地法制をめぐる諸問題を法社会学的な観点から研究することにより、モンゴル国の土地をめぐる紛争と環境破壊の防止に貢献することを目指した。日本国内で研究会・シンポジウムを開催するとともに、都市・牧地・定着過程にある牧地・農地・鉱山の5つの研究班による現地調査を実施し、その調査結果をモンゴル国で開催した研究成果報告会で報告した。この調査結果は高く評価され、モンゴル鉱物資源法改正のための参考資料としてモンゴル国会にも提出された。
著者
石井 澄 辻 敬一郎 (1985) 木田 光郎 辻 敬一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

本研究は、食虫目トガリネズミ科ジネズミ亜科の1種、ジャコウネズミ(Suncus murinus)を対象に、野生個体を起源とするドメスティケーションを試み、その過程において行動の諸特徴を経代的に観測するものである。野生個体は沖縄県下多良間島で捕獲後、ただちに人為的制御下に移して維持・繁殖を続けてきた。昭和61年度末現在、第2世代を得ている。観測対象とした行動項目は、基本的適応価をもつと考えられるもので、初期行動,生殖(性)行動,および日周活動リズムである。ジネズミ亜科の多くの種に具わる特異な初期行動としてキャラヴァン行動(caravaning)がある。従来詳細な記述がみられなかったこの行動について、ドメスティケーションの進んだ段階の個体(実験動物としてのスンクス)を対象とした組織的観測を行ない、その発現齢,成立パターンおよびその解発刺激,事態特性を明らかにした。それらの成果に基づいて、ドメスティケーション初期段階の個体と進んだ段階の個体とを比較した結果、いくつかの所見を得た。すなわち、前者の場合、出現時期がより限定的でピーク齢が明確であるのに対して、後者においてはキャラヴァンの消失齢が遅延して発現の日齢特性が曖昧化の傾向にあった。また、5種の成立パターンの発達的順序性が前者に比して後者で稀薄化し、母仔関係の障害を示唆するパターン(第【IV】型)が後者のみに認められた。このように、ドメスティケーションに伴って母仔関係の行動的発現が非特殊化する傾向が指摘できる。この種には雌に発情周期がなく、排卵は交尾刺激によって生起する。従って、生殖行動における雌雄の行動的相互作用がもつ意味は大きい。交尾の成立は、雌の攻撃に対する雄の宥和に依存するが、この宥和に一種の行動的退行と考えられる発声が有効に働くことが確かめられた。ただし、ドメスティケーションの効果は検討中である。
著者
外山 勝彦 小川 泰弘 大野 誠寛 中村 誠 角田 篤泰 松浦 好治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は,日本法の動きに関する情報を即時に,分かりやすく国際発信するための支援環境の構築である.特に,統計的機械翻訳の利用とターミノロジーの構築により,法令の要約である「法令のあらまし」の翻訳・理解・発信を支援する手法とその有効性を示す.本研究の結果,「法令のあらまし」に対する日英統計的機械翻訳手法と文書構造化手法,複単語表現対訳辞書の構築手法とそれを用いた統計的機械翻訳手法の開発,法令改正に伴う法令ターミノロジーの経時変化の抽出・可視化手法などを開発した.また,「英文官報」からの対訳法令用語2,750語の抽出や,現在有効な定義語6,890語からなる法令ターミノロジーの構築も行った.
著者
伊藤 彰浩 阿曽沼 明裕 村澤 昌崇
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

前年度に引き続き、1)州間比較によっての州の高等教育機関の機能分化のパターン調査、2)機能分化が形成されたプロセスの歴史学的な比較分析、3)研究大学の規模や組織構成、専門分野構成など構造の数量的な比較分析、の3点をおこなった。まず1)について、今年度は、カリフォルニア大学バークレー校を訪問し、州の高等教育機関の機能分化における研究大学の特徴について調査するとともに、スタンフォード大学も訪問し州高等教育機関の機能分化の私立大学への影響について調査した。また、米国教育省の個別大学データベースIPEDSを使って研究大学の特徴について分析した。2)については、戦間期までのアメリカの州レベルの高等教育システムの変化を歴史的にたどる作業をさらにすすめ、州毎の公立高等教育システムの形成過程 を、とくにいわゆるフラッグシップ大学とよばれる州立研究大学の形成過程を中心に考察し、論文執筆をすすめた。とともに、州高等教育システムに関する歴史的データベース構築をさらにすすめた。3)については今年度は、アメリカの大学の組織・経営に関する基礎的な文献(Bess&Dee)を読み進め、アメリカの研究大学の特性を明らかにした。さらに、分析のための方法論の習得を進め、欠測値補完、ゼロの多いデータを扱える分析方法(Zero-Inflated model, Hurdle model等)を習得し、その応用可能性を検討した。以上を踏まえて、3つの研究課題のそれぞれに関する研究とりまとめの作業をすすめた。
著者
河上 敬介 曽我部 正博 曽我 浩之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

筋損傷に対する理学療法による回復促進効果を,あらかじめ組織学的な筋損傷量が明らかにされているモデルラットを用いて検証した。評価は筋線維の横断面積や足関節のトルクを指標に行った.その結果,筋損傷後早期に超音波刺激または伸長刺激をそれぞれ与えると,筋損傷からの回復促進効果が認められることが判明した.このメカニズムの一端をを調べるために,筋衛生細胞の活性の指標であるMyoD量とmyogenin量を超音波刺激と伸長刺激後に調べた.その結果,損傷後早期に与える超音波刺激や伸長刺激は,筋損傷後数日以内に起こる筋衛星細胞の活性化を促進させ,その結果として損傷からの回復を促進させている可能性が示唆された.
著者
前野 みち子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、中世において恋愛と奢侈とモラルの結節点となった悪徳の寓意〈ルクスリア〉が、中世的寓意思考に大きな影響を与えた『プシコマキア』の挿絵入り写本を介して文学、教会彫刻、説教などに流れ込み、十二・三世紀の商業都市の興隆を背景に市民への戒めや芸術創造の動機として機能したことを明らかにするとともに、この現象が同時代の恋愛と奢侈を代表していた宮廷文化とどのように関わり、どのようにその関係を変容させていったのかについて考察した。
著者
横森 大輔
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

採用第2年目である平成25年度は、前年度に続いて会話データの整備と拡充および会話分析の手法を用いた文法研究のフレームワークの精緻化を進めつつ、ケーススタディを実施した。まず、既に収録していたデータに加え、合計およそ4時間分の日本語会話を新たに収録し、既存のデータと新規データのいずれについても書き起こしを行った。また、日本認知言語学会第14回大会ワークショップ「会話の中の文法と認知―相互行為言語学のアプローチ―」(9月)、第8回話しことばの言語学ワークショップ企画セッション「インタビュー・データを読み解く : ナラティブ分析、言語人類学、相互行為言語学の観点から」(12月)、公開シンポジウム「ことば・認知・インタラクション2」(2月)といった研究集会での登壇や米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校での11日間の滞在(2月)などの活動を通じて、会話分析の手法を用いた文法研究のフレームワークの精緻化を行った。ケーススタディとしては、大きく分けて4稚類の現象に関わる研究を行った。・事例研究(1) : 「の」でマークされたwh疑問文(例 : 「迎えはどうするの」)・事例研究(2) : 副詞節の後置(例 : 「よっしタガリン今からおもろいこと言え。今からオンやから」)・事例研究(3) : 副詞「やっぱ(り)」(例 : 「気になる? やっぱり」)・事例研究(4) : 英語発話からみる日本語話者の文構築ストラテジーいずれも文の末尾位置において観察される様々な言語現象について、実際の会話(および様々な言語的相互行為)の録音・録画データの観察に基づき、参与者たちがどのように言語的プラクティスを利用しているかあるいは構築しているか検討し、それぞれの研究成果を学会等で報告した。
著者
只木 良也 沖野 外輝夫 青木 淳一 斎藤 隆史 萩原 秋男
出版者
名古屋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

1.都市内やその周辺に残された樹林地の構造を調査し、その形成過程を推定した。とくに上層落葉樹・下層常緑広葉樹の複層林型の上層(コナラ)樹高15m、年間純生産量13t/haの林分で、土壌生成の源となる落葉量とその元素含有量の季節変化の追跡を行った。(只木)2.都市樹林地で、その活動によるCO_2の収支を通じた環境保全効果の実態を解明する目的で、土壌気相中のCO_2濃度の垂直分布を調べた。土壌気相中のCO_2濃度は、土壌表面からの深さが増すにつれて増加するが、増加率は土壌が深いほど低下した。季節によるCO_2濃度は、夏季に高く、冬季に低かった。(荻原)3.都市周辺の森林や畑地の開発と都市鳥類の関係を神奈川県下で調査した、1970-1990年の資料を解析し、周辺の森林と畑地の激減に応じて、都市緑地繁殖鳥類の種数は漸増した。都市周辺の生活場所が消滅した場合、たとえ好適ではないにしても都市緑地が二次的な生活場所を提供している。(斎藤)4.都市の公園や緑地の同じクスノキを高木層にもつ林地でも、低木層の有無、落葉層の有無が生息可能な土壌動物の種類と量に大きな影響を与えることがわかった。とくに落葉の除去は影響が大きい。また、低木層・落葉層ともに存在として、高木クスノキよりもスダジイの方が豊かな動物層を維持できることも判明した。(青木)5.ヨシ原実験圃場造成の初期には、ヨシ活着等の不揃いからパイオニア的な植物が侵入した。春の発芽時期にはまずガマが伸長した。水中では原生動物11種、ワムシ類22種、甲殻類8種が観察され、水質との関係では、実験水路でSSやT-CODが減少したが、溶存のs-CODは逆にやや増加する傾向を示した。水質浄化を目的とする水生植物群の造成、管理に際しての若干の示唆が得られている。(沖野)
著者
松岡 良樹
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、銀河系外からやって来て可視光波長帯で観測される全ての光の総和である「可視光銀河系外背景放射」(Cosmic Optical Background; COB) の世界初検出である。当該年度にはまず、本研究期間中の平成23年度に達成した「惑星探査機パイオニア10/11号のデータによるCOB検出」についてさらに検討と議論を進め、国際学会、欧米学術誌などにおいて精力的に成果の発表を行った。また、銀河間空間に浮かぶ暗黒星雲の巨大版とも言うべき「暗黒銀河」HI 1225+01を対象とし、ニュージーランドのMOA-II 1.8m望遠鏡を用いて観測したデータの解析を行った。その結果、残念ながらこの暗黒銀河によるCOB遮蔽効果の検出には至らなかった。その原因と改善の方策を探るため、HI 1225+01の性質を詳細に探るフォローアップ研究を行った。MOA-IIで観測した可視光Rバンド画像の他に、Sloan Digital Sky Surveyの可視光5バンド、UKIRT Infrared Deep Sky Survey の近赤外線4バンド、Spitzer IRACおよびMIPSの赤外線7バンドの測光データをアーカイブから取得し、銀河モデルが予測するスペクトルモデルとの比較を行ったところ、HI 1225+01は非常に若くかつ熱いダスト成分を持つ銀河であり、blue compact dwarf galaxyと呼ばれる種族に良く似た性質を持つことが解明された。COB遮蔽が検出されなかったのは、おそらく可視光で十分な減光を起こすだけのダストがこの銀河に不足していたためと考えられる。この結果について欧米学術誌上で発表を行った。さらにCOBに寄与する個々の天体構成について調査を進めるべく、岡山観測所188cm望遠鏡の近赤外線撮像分光装置ISLEを用いて観測キャンペーンを行い、多数の活動銀河核のスペクトルを取得した。解析作業には予想外の時間がかかり、このデータについては現在も鋭意解析を行っているところである。
著者
小田 寛貴
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

平安・鎌倉期の古写本は完本としてはほとんど現存しないが,掛軸などに利用されたため断簡としては大量に伝来している.これが古筆切である.しかし,後世に制作された偽物・写しも多く混在するため,その高い史料的価値も潜在的なものでしかない.本研究では,こうした古筆切に放射性炭素年代測定法を適用し,史料的な価値を判定するとともに,平安・鎌倉期古写本の少なさゆえに従来は困難であった研究を行ったものである.
著者
BERNARD Gelloz
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

酸化ナノシリコン層の青色燐光について基礎研究を行った。青色燐光は材料の酸化部分の分子種に由来し,シリコンナノ結晶は発光に関与しないことが分かった。青色燐光には6つの振動源をもつサブバンドが含まれており,励起エネルギーにより各強度を調整できる.紫外領域(275-290 nm)での発光が発見され,材料のポーア表面の吸着水に関連する分子種に起因することが分かった。化粧品,ディスプレイ,光電素子, 太陽電池への応用研究も行った。赤・青・白色発光粉末の開発。また、電気的活性なデバイス作製のため,超臨界流体を用いたナノシリコンポーア内部への金属堆積技術を開発した。
著者
中村 泰之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

学習する時間・場所を選ばない教育システムの一つであるeラーニングシステムの重要な機能としてオンラインテストがある。つまり,Web上で正誤問題,多肢選択問題を解き,自動採点・成績管理を行うものである。本研究では,数式処理システムを応用して,オンラインテストに数式による解答を行い,その正誤評価を可能にしたシステムSTACKの整備を行った。これにより,オンラインテストの可能性を広げることができ,自然科学系科目のeラーニングの発展が期待される。
著者
渡辺 美樹
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

王権神話における王と道化の関係を軸にして作り上げられたファンタジー『指輪物語』はファンタジー文学の嚆矢であるばかりかジャンルの支配的なテクストとして存在している。架空の世界を構築するファンタジーのジャンルの特徴として、対立する概念をすり抜ける存在を主人公に持つ必要がある。また特に王権神話にまつわる物語の場合には王権の起源への回帰を果たすことで読者に慰めや郷愁を与えたりするという特徴を持つ。