著者
谷口 勇一
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、九州内の中学校ならびに高等学校の部活動顧問教師を対象に質問紙調査とインタビューを実施し、総合型地域スポーツクラブに対する各種意識の把握を試みた。得られた知見は以下のとおりである。1)部活動顧問教師の総合型地域スポーツクラブに対する認知度は31.0%に留まっていた、2)部活動と総合型地域スポーツクラブの連携協力関係については、80.4%が肯定的であることがわかった、3)総合型地域スポーツクラブとの連携協力関係に肯定する者の意識は「自分自身の負担軽減に対する期待感」が強いことがわかった。逆に、連携協力関係に否定的な者は「部活動の教育的意味が薄れてしまう」との意識が強いことがわかった。
著者
田中 圭
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、「接着剤と棒状接合具を併用した木質構造接合法」とその類似の接合法において、既往の研究を整理した上で、樹種の違いや剛性の差異、使用する接合具の種類や径、使用する接着剤の強度特性の把握、縁距離や接合具間隔による強度性能への影響などについて、実験を行い、データを蓄積・整理を行った。また、接着剤依存型の接合法の性能評価方法及び設計用特性値の取り方について検討し、いくつかの新しい提案を行った。
著者
黒川 勲
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

交付申請書の「研究の目的・研究計画」に対応した研究実績の概要は以下の通りである。1.ホッブスの物体論とスピノザのコナトゥス論との比較を通して,コナトゥスに関してホッブスがもっぱら位置の移動としての運動の意義を見いだすのに対して,スピノザはものの本質として包括的・有機的に運動を説明する方向性が見いだせる。2.デカルトの物体的世界とスピノザの物体的世界の構成に関する比較を通して,デカルトの物体論は物体の本質を不完全性のもとに位置づける伝統的な把握であるが,スピノザの物体論は延長に無限性・完全性を認める特徴的なものであることが明らかになった。3.スピノザのコナトゥス論の中世哲学との連関の検証については,関連する文献・先行研究の資料収集に努めるとともに,『Suarez Opera Omnia』の物体論・運動論及びヘールボールド『Meletemata philosophica』の著作における「原因性」・「実体性」に関する該当箇所の翻訳を試みた。4.スピノザのコナトゥス論及び物体的世界の構成に基づき,スピノザ哲学の頂点である「最高善」・「第三種の認識」について検証を行った。すなわち,最高善とは「コナトゥスの自覚化」において見いだされるものであり,第三種の認識は人間存在全体の統合的本質である「コナトゥスの認識」に他ならないのことが明らかになった。
著者
黒川 勲
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

交付申請書の「研究の目的・研究計画」に対応した研究実績の概要は以下の通りである。1.ホッブスの物体論とスピノザの物体論との比較,及びコナトゥスの意義の抽出については,ホッブスの物体論の精査と文献・先行研究の資料収集に努め,一方スピノザ哲学の成立史に関係する文献・先行研究を網羅的に収集した。コナトゥスに関してホッブスがもっぱら位置の移動としての運動の意義を見いだすのに対して,スピノザはものの本質として包括的・有機的に運動を説明する方向性が見いだせる。2.デカルトの物体的世界とスピノザの物体的世界の構成に関する比較,及びコナトゥスの位置付けについては,その結果,デカルトの物体論は物体の本質を不完全性のもとに位置づける伝統的な把握であるが,スピノザの物体論は延長に無限性・実体性を認める特徴的なものであることが明らかになった。3.スピノザの物体論の中世哲学との連関の検証については,関連する文献・先行研究の資料収集に努めるとともに,スアレス『Disputationes Metaphysicae』及びヘールボールド『Meletemata philosophica』の著作における「完全性」・「無限性」の該当箇所の翻訳を行った。4.スピノザの物体論の核心は,無限性を中心とする特徴的な神理解にあり,その根幹は実体性であることが明らかになった。
著者
田中 圭
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

近年の少子化や過疎化の進行による小中学校の統廃合・廃校により、貴重な大型木造建築である木造校舎がまだ使用できる状態にもかかわらず、次々に取り壊されてきており、現在も多くの木造校舎がその危機に瀕している。その理由として、耐震性の不備と補強・補修の費用が高額であることなどを挙げる自治体が多い。そこで本研究では、昨年度に引き続き、大分市近郊の山間地域にあり、地域交流施設の一部としての利活用が検討されている木造校舎について、詳細な調査を実施し、その老朽度・耐震性などについて詳細な検討を行うとともに、補強方法についての提案を行った。また一方で、昨年度からの本研究で明らかとなった古い木造校舎特有の構造である「接合部が釘止めのみの大断面筋違を持つ耐力壁」と「大断面梁、束ね柱、方杖から構成される柱-梁接合部」について、実際に使用されている寸法、接合を再現した試験体を製作し、その耐震性能を確認する実験を行った。これにより「大断面筋違を持つ耐力壁」は、現在の建築基準法に定められている断面寸法による壁倍率に比べ極端に小さい壁倍率しか発揮できず、現状では危険である可能性が明らかとなった。しかし、その後行った同耐力壁の補強方法を検討する実験により、研究代表者らが開発した接合法を補強に応用することで、比較的簡単な施工で現在の基準と同等の耐震性能まで補強することができることが明らかとなった。また、「柱一梁接合部」の実験により、この接合部は最大耐力は比較的大きいものの、初期剛性が低く、これによりラーメン構造と考えた場合の水平耐力が低くなることが明らかとなった。このように本研究の調査により、現存する木造校舎の実態とその特徴が把握できたとともに、実験により、その性能も定量的に確認し、補強方法とその効果についても確認提案を行った。今後も研究を進め、補強の必要な木造校舎それぞれについて、現実的な補強方法などを提案していきたいと考えている。
著者
杉坂 政典 藤村 貞夫 中村 政俊 原 正佳 李 桂張 LEE Ju-jang
出版者
大分大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究を実施するには、まず移動ビ-クルのハードウェアがすでに開発されていることが必要不可欠である。幸いにして、株式会社九電工との共同研究により500万円の研究費の提供を受け、移動ビ-クルのハードウェアの設計・試作を行った。その移動ビ-クルは、車体長150cm、車体幅60cm、車輪外側間長80cm、前輪中心から後輪中心間長110cmであり、車輪外径は26.1cmである。その移動ビ-クルは前輪がステッピングモータで駆動され、後輪がDCモータで駆動されるようになっている。また、前輪前方車体に底面から高さ40cmの高さにCCDビデオカメラが搭載されており、そのカメラの可動範囲は左右120度、上下60度であり、ステッピングモータ2個で駆動されている。車体には後輪駆動DCモータ、12V電池2個、DC/ACコンバータ、PC9821、DCモータドライバー、ステッピングモータドライバ3個が置かれている。前輪の可動角度は左右30度であり、後輪の駆動モータが一回転すると2.7cm移動する。CCDビデオカメラはカメラコントローラと共に画像取込ボードSuperCVIを経由してパソコンに接続されている。同様に、CCDビデオカメラの上下左右ステッピングモータと前輪、後輪駆動モータはそれぞれのモータドライバと共にI/OボードPIO-32/32(98K)を経由してパソコンに接続されている。パソコンへの電力は、バッテリ-から供給される直流をDC/ACインバータSI-500Aを介して交流に変換して供給されている。以上がハードウェアの概要である。本移動ビ-クルを屋内外で走行させるためには、種々の走行ソフトウェアの開発が必要である。CCDビデオカメラが一つのカラー画像を取り込む時間は1/60秒であり、車体前方の画像が取り込まれる。この画像データを処理することにより種々の自立走行が可能になる。屋内外での自立走行に必要なデータを得るためには以下のような技術を開発しなければならない。(1)走行フロアあるいは道路上の白線や黄線あるいはガードフェンスなどを抽出するソフトウェア(2)人工神経回路技術により、移動ビ-クル前面の対象物体を認識することができるソフトウェア(3)前輪のステアリング角度と後輪のスピードの両方を同時に制御するソフトウェア(4)移動ビ-クルが停止中、対象物体を追尾することができるソフトウェア(5)その他、種々の機能を持たせるためのソフトウェア本研究では黄線を抽出し、その黄線に沿って角度とスピードの両方をファジイ制御器を用いて制御し、ある一定時刻毎に車体前方に赤色の対象物を探し、もしその対象物があれば停止し、なければ黄線がなくなるところまで走行するプログラムを開発した。そのプログラムでは0.9秒のサンプリング間隔で制御を行っている。走行速度は0.5m/秒から1.8m/秒の間の速度で走行する。ファジイ制御器の入力としてカメラ中心から対象物体の重心のx方向、y方向の距離をとり、出力として前輪のステアリング角度及び後輪のスピードを考えた。全部で28個のファジイ制御則を考えた。CCDカメラは前方約1.2mの画像を取り込む。移動ビ-クルは20秒間走行してから赤色の対象物体を探し、もしあれば停止し、なければ走行する。本プログラムを用いて屋内及び屋外で走行停止実験を行った。その実験では良好な結果が得られた。現在この走行を滑らかに行うことができるようプログラムを修正している。一方、対象物体の認識に関しては、対象物体の形状のモーメント不変量を7個計算し、それを人工神経回路の入力として対象物体の種類を出力して人工神経回路で学習し、その人工神経回路を用いて対象物体が何であるかを判別するプログラムを開発している。このプログラムは加工食料品の等級判別に開発されたものであり、ハードウェアが移動ビ-クルのハードウェアと異なるため、このプログラムを無修正で用いることができない。したがって、移動ビ-クルのCCDカメラに適用できるように、すでに開発した対象物体識別プログラムを書き直す作業を、今後行う予定である。
著者
平塚 良子 黒木 邦弘 端田 篤人 橋本 美枝子 滝口 真
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、多様な領域で実践するソーシャルワーカーの事例を活用して多面的・多角的実 践分析モデル(PDA モデル)の開発を行った。モデルの体系的な構造は、実践行為の7次元統 合体を基本に実践内容群とクリティカル思考の援用を試みた実践評価群とからなる。部分的に 検討課題が残ったが、既存収集事例及びソーシャルワーカーによる実験的適用では実用の可能 性が高いと確認できた。 加えて方法優位の発想から実践行為全体の把握への転換が明示できた。
著者
宇津宮 孝一 西野 浩明 吉田 和幸 賀川 経夫
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

いつでも,どこでも,何にでもつながるユビキタスなネットワーク環境において,モノとモノとの実物系センサネットワークとインターネットとを相互接続し,複合現実感技術を用いて実空間と仮想空間とを融合した新たなユビキタス環境内で,移動体が協調しながら作業をしていくことを可能にするためのアドホックセンサネットワークの構築法を考案した。
著者
和泉 志津恵 中地 敬 藤井 良宜 古川 恭治 中地 敬 藤井 良宜 古川 恭二
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

分子疫学的因子や生活環境因子が, がん等の疾病リスクにどのような影響を与えるかを調べるために, 生活環境における曝露の寄与率を取り入れた因果推論モデルを構築し, 寄与率の推定値のばらつきを考慮した手法を開発した。提案手法は, m水準のカテゴリカルな曝露変数に対して, 曝露群の症例を曝露由来のものとそうでないものに確率的に分類し, 寄与率に基づくオッズ比により因果関係を推測する。実データに即した数値実験の結果, 曝露由来でないとして分類された曝露群の症例によって, 従来の方法において推測された因果関係の強さが過小評価されている可能性を示唆した。
著者
平塚 良子 植田 寿之 藤田 博仁 久保 美紀 戸塚 法子 牧 洋子
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、福祉サービス利用者の生活事象を環境との関係で捉えるために多次元的・全体的・総合的に把握するエコマップ(eco-map)の評価尺度の開発を行い、利用者の生活支援に資することにある。加えて、人間と環境との関係理論の構築をも遠望している。研究方法は開発した評価尺度(評価モデル)をソーシャルワーカーに実験的に適用してもらい、評価尺度の妥当性、客観性、信頼性等々を図りつつ安定した評価モデルを導き出すというものである。最終年にあたる今年度の成果の特徴は、下記の通りである。1)評価モデルの最終的な精査を行い、最終版の評価モデルを導き出した。方式は初年度のデジタル型の方式を採った。物理的環境概念をより反映させ、評価の妥当性を高めるために評価尺度には「非該当」を導入した。2)評価において正確さを高めるために、(1)「エコマップ評価簡易版」と(2)評価項目、評価基準等の詳細な説明を加えた「評価ブックレット」を作成した。3)最終版評価モデルを、2)を活用しつつソーシャルワーカー(19名)が実践事例に適用するようにした。評価モデルとしては、おおむね安定性を保持することができ、本研究の評価尺度開発はおおむね目的が達成できた。4)適用結果の分析デザインにはデジタルやアナログ的発想を採り入れた。(1)評価項目と環境とをクロスさせつつ分析するアナログ方法、(2)評価項目4群に分けて図式作成し相関させつつ評価点から分析するアナログとデジタルの混合的方法、(3)試みとして実践の1事例を統計的に分析するデジタル的方法。分析手法の開発は今後の課題。5)人間と環境との関係についての全体的な特性が抽出できた。今後より詳細な分析を図りたい。6)本研究は、評価尺度開発が中心となったが、今後、集積した事例数を総合的に分析する手法の開発を手がけ、人間と環境との関係理論の構築を図りたい。(以上の詳細については研究成果報告書に記載)
著者
麻生 和江
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

知的障害を持った方々が大学生と,ともに楽しく過ごすためのダンスプログラムの開発に資する資料を得る事を目的とした取り組みである。大きなビデオ映像とのコラボレーションを取り上げた。本稿では練習会・発表会に用いた映像,映像とともに踊る練習会の様子を写真で紹介するとともに,大学生による知的障害者の映像の受け止め,映像の影響に対する観察資料,大学生自身の感想を問う意識調査から,知的障害者の行動を数値的に処理し,知的障害者と大学生が交流するためのダンスプログラムとしての映像の効果を考察した。平成18年から19年にかけて継続して実施した2つの実践的研究からから,以下のような結果を得た。1.知的障害者がダンスを一層楽しむ環境のひとつとして,大学生の存在は欠かせない。2.映像はまず,大学生の意欲向上に働きかける。大学生の意欲が高まることは,知的障害者への声かけ,動きの指導,表情などのひとつひとつの接し方に意気高揚の雰囲気を創出する。知的障害者はその雰囲気に包まれ,自ら意気高揚を招く。大きな映像は,知的障害者に間接的な意欲向上をもたらし,大学生と知的障害者が「楽しさ」を共有する拠点となりうる可能性を確認した。
著者
木庭 博美
出版者
大分大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

プリント配線パターンを基板上に作る方法のなかで、プリント基板加工機による生基板からパターンを削り出す方式は、低コスト、短時間加工が可能で、試作・少量基板の作製に最適である。本研究は、パソコン制御によるプリント基板加工装置を安価に製作し、教育に活用することを目的とする。製作した装置は、まずパソコン用基板CADソフトを用い、回路図またはプリント配線パターンを描き、パターンデータ(数値データ)を得る。次に作成した制御ソフトを用い、パターンデータを元に、製作した加工機を制御し、切削と穴あけをし、プリント配線板を作る。加工機本体は、X、Y、Zの各軸を台形ねじ型アクチュエータで作り、Z軸には小型電気ドリルを取り付けてある。各軸はステッピングモータで制御する。モータの駆動に専用の駆動用ICを使用することにより、制御ソフト、回路とも簡略化でき、細かい制御が可能である。加工範囲は150mm×100mmである。制御ソフトは、パターンデータを本装置用のNCデータに変換し、穴あけ用と切削用に分け、さらに穴あけ用は穴の径ごとに分離し、各NCデータのファイルを作る。次にNCデータを読込み、X、Y、Z軸用ステッピングモータの制御信号を作り加工機を制御する。ファイルごとにエンドミル、ドリルを交換しながら繰り返す。既存の物品を使用したり、手作りすることにより、プリント基板加工装置を安価に製作した。また、本装置を学生が自由に使用できるように、装置の取扱い説明書を作成し、電子回路の作製に利用した。今後も、卒業研究やものづくり教育などで本装置を活用する。
著者
吉岡 秀克 松尾 哲孝 住吉 秀明 調 恒明 浜中 良志 二宮 善文
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究において以下の結果を得た。1.マウスV型コラーゲンα3鎖遺伝子の転写調節及び機能解析オリゴキャップ法により遺伝子の転写開始点を決定した。主な転写開始点は翻訳開始点約100bp上流に存在した。次に、この転写開始点上流約L8 kbの遺伝子断片をクローニングし、この遺伝子の基本プロモーター活性を検討した。基本プロモーターは転写開始点上流約300bpの領域に存在した。さらにゲルシフトアッセイ法により、BS1(-130〜-110)、及びBS2(-190〜-170)の領域にDNA/タンパク複合体の存在が認められ、その中でBS2に結合する転写因子はCBF!NF-Yと考えられた。プロα3鎖のN末の23個のアミノ酸よりなる塩基性セグメントが存在する。この塩基性のセグメントに骨由来細胞に対する細胞接着活性がある。このペプチドへ細胞が接着するとアクチンファイバーが形成され、これはRhoキナーゼ阻害剤であるY27632で阻止された。2.III型コラーゲンα1鎖遺伝子の転写調節解析ルシフェラーゼアッセイの結果、ヒト遺伝子のプロモーターの-96〜-34に最小の転写活性が見られた。ゲルシフトアッセイにより、-79〜-63の領域には複数の因子が結合することがわかった。以前より報告されている因子(BBF)は細胞によって、その複合体を形成する因子の槽成が異なると思われた。3.マウスXXIV型コラーゲンα1鎖遺伝子の転写調節解析XXIV型コラーゲンは最近、見出されたコラーゲンであり、主に骨に発現するが、その発現量は非常に少ない。今回、このプロモーター領域のDNAをクローニングし、転写調節機構の解析を行った。その結果、骨肉腫細胞を用いた実験により、このプロモーターにはc-Jun、CREB1、ArF1、ATF2が結合していることを見出した。
著者
倉掛 重精 中路 重之 熊江 隆
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究計画は、別府大分毎日マラソン大会に参加した選手を対象者としている。平成17年の別府大分毎日マラソン大会は、2月6日に開催された。調査は大会当日のレース前とレース終了直後の2回行った。調査項目はアンケート、鼓膜温、体重、採尿および採血を行い、現在統計学的検討を行っている。そこで今年の対象者の結果ではなく、昨年度の結果について報告する。対象者41名の成績は、完走者29名、途中で棄権およびタイムオーバーのために関門を通過できず失格となった選手(以後非完走群)19であった。レース中の温熱環境条件は、風も強くなく、気温も好条件であった。選手の体重はレース後に2.1kg減少、途中で走るのを中止した非完走群でも1.7kgの減少で、完走した選手群は2.3kg減少が認められ、多量の発汗と血液の濃縮が示唆された。総蛋白値を用いて血液濃縮率を算出した。完走群の血液濃縮率は103.9%、非完走群では103.2%、全員の結果は103.7%の濃縮が認められ、発汗による体重の減少と血液の濃縮が認められた。完走群中には、レース後に脱水のために採尿できない選手がみられた。平成14年度の研究では、多量の発汗による脱水の影響したのか、血液生化学成分と尿中成分との間には、統計学的に有意の相関は認められなかった。完走した選手はレース後に筋逸脱酵素群の有意の増加が認められたが、尿中成分との間ではいずれの項目も有意の相関は認められなかった。そこで15年度は運動後に変動が見られる尿中ミオグロビンの項目を新たに加え、筋逸脱酵素群との関連について検討した。尿中ミオグロビンと筋逸脱酵素群は、いずれもレース後に有意の増加が認められた。そこで尿中ミオグロビンと筋逸脱酵素群との関連性について検討した。レース後のCKおよびLDHの値は、レース後の尿中ミオグロビン値と間で、それぞれ相関が認められた。そこでレース前後の変動について検討した。尿中ミオグロビンとGOT(r=0.347)、CK(r=0.684)、LDH(r=0.511)の間で、いずれもレース前後の差に相関が認められた。また発汗量が多く、レース後に脱水が認められ、発汗の影響を避けるため、レース後に水分を補給した選手を除いた完走群選手11名について検討した結果、CKと尿中ミオグロビンの間で高い相関(r=0.906)が認められた。これらの結果から尿中ミオグロビンが、筋逸脱酵素群の疲労評価の指標になりえる可能性を示唆しているものと考えた。平成16年度の調査においては、尿中ミオグロビンと筋逸脱酵素群の関連について、尿中ミオグロビンが疲労評価の指標となりえるか検討中である。
著者
田中 修二
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

彫刻家・新海竹太郎のご遺族のもとにのこる彼の自筆手帳・ノート等の資料類(「新海竹太郎旧蔵資料」)の整理・調査・研究を進めた。彼の作品を多く所蔵する山形市の山形美術館で作品の写真撮影をさせていただき、同時に作品に刻まれた彼のサインについて調査した。その一部は平成19年7月の屋外彫刻調査保存研究会で「彫刻表現のために-新海竹太郎(1868〜1927)の資料から〜近代彫刻家が制作した仏像をめぐって〜」のテーマで発表した。当初、これらの調査の結果を年度末までに資料集にまとめる予定であったが、十分な調査及び研究を反映させるため、半年から1年後の完成を目指している。これまで3年間継続した新海竹太郎についての調査・研究の一部は、平成19年9月に刊行された共著『日本近現代美術史事典』に反映されている。彫刻家・朝倉文夫については主に第二次世界大戦当時の彼の活動と、戦後大分市に設置された彼の屋外彫刻作品について、当時発行された新聞などを調査しつつ、研究を進めた。戦時中の彼の活動については、平成19年12月に刊行された共著『戦争と美術1937-1945』所収の拙論「戦争と彫刻1937-1945」で論じた。また彼の屋外彫刻作品について調査は、別に大分市からの受託事業として実施している大分市内の屋外彫刻のメンテナンス活動および保存・管理の研究に活かすことができた。このほか、明治期に工部美術学校で学んだ洋風彫刻家たちや朝倉文夫の教え子にあたる日名子実三、戦後の彫刻界で重要な役割を演じた岡本太郎などについて調査を進め、その一部は平成20年度に論文等で発表することとなった。
著者
黒川 勲
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては,スピノザの自然哲学の全体像に注目し,西洋哲学・科学の歴史的な背景を視野に入れて,スピノザのコナトゥス論の意義の解明を目指す。研究成果として,スピノザの哲学はコナトゥスの現象,力の現象の哲学であり,認識論的・倫理学的にコナトゥスは「現実性」の基盤であることが明らかとなった。また,スピノザの哲学体系・自然哲学おいて,スピノザの方法論の内的・反省的特徴を示しえた。
著者
平野 隆 鈴木 正志 前田 一彦
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

耳管閉塞およびインフルエンザ菌による慢性中耳炎症マウスモデルを用いて、中耳慢性炎症病態における IL-17 産生 T 細胞の動態につき検討した。BALB/cマウスを用いて、中耳炎モデル作成後3日目、14日目、2ヶ月目に中耳貯留液、中耳粘膜および側頭骨を採取し、中耳貯留液中の IL-17 濃度の測定、中耳粘膜下のリンパ球のフローサイトメトリーによる解析および IL-17mRNA の発現につき解析を行った。中耳粘膜において、Th17 細胞および IL-17 産生γδT 細胞の増加を急性期から慢性期に認め、中耳貯留液中の IL-17 濃度においても2週間目から2ヶ月の慢性期に至るまで、明らかに対照群と差を認めた。中耳粘膜の単核球細胞の IL-17mRNA の表出も、対象群と比して明らかな強発現を認めた。 中耳粘膜における Th17 細胞や IL-17 産生γδT 細胞が中耳局所の慢性炎症に関与している事が推測された。
著者
園井 千音 園井 英秀
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

イギリス文学においては、歴史的に思想、宗教、政治等の社会的変革をその近代化の過程において経験し、いくたびかの国家的危機及び精神的危機にこの間直面する。イギリス文学はこの状況において、時代の文学的記述として、文学本来の芸術的機能を果たすのみならず重要な社会的批評を行い、イギリス文学自体の維持はもとより、国民精神を支えまた国家意識の構築に重要な役割を果たしてきた。本研究はこのような公共的性質が特に17世紀以降のイギリス文学固有の道徳的社会的特質であること、特にその構築的性質の重要性を証明することを主たる目的とした。17世紀においてイギリス文学は、イギリス国民精神の道徳的混迷に対する危機意識を文学的メッセージとして表明した。18世紀におけるロマン派文学においては、フランス革命後の国内外の思想的変化の影響を受け、例えば、ロマンティックヒューマニズムあるいは人間の平等についての社会的認識の高まりはロマン派詩人の意識を先鋭化する。同時に、この傾向はイギリス文学の公共的性質を受け継ぐものであり、その重要な社会的機能を維持する動きであると理解することができる。19世紀後半から20世紀初頭においてイギリスは近代化に伴う国内外の政治的、宗教的、思想的変革を経験する中で、その文学的思潮は、世紀末の終末的思想やデカダンス芸術への逃避、それ以降のモダニズム出現とその思想的揺れなどを経験する。20世紀後半においては例えばフィリップ・ラーキンの主題に見られるように、イギリス文学の伝統的価値である道徳的性質がイギリス国民意識の形成と深い関連を維持することを証明した。これらの分析を通しイギリス文学における道徳的性質が国民及び国家意識の形成においてすぐれて構築的役割を果たすこと、またイギリス文学の公共的性質はその道徳的主題により特徴づけられることを明らかにした。本研はイギリス文学の社会的性質を明らかにしようとする今後の研究の一部として位置づけるものである。
著者
松田 聡
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

モーツァルトが活動をした1780年代のウィーンにおける宮廷劇場のオペラ公演について,同時期のイタリアの諸都市、とりわけフィレンツェ,ミラノとの比較を行い,それぞれの公演の特徴と3都市間のレパートリーの相関関係について考察した。その結果,ウィーンのブルク劇場の演目は,フィレンツェのペルゴラ劇場よりミラノのスカラ座の方がより共通するものが多く,特に80年代末期にはそれが顕著であること等が分かった。