著者
長柄 毅一 三船 温尚 清水 康二 青柳 泰介 上杉 彰紀 西秋 良宏 田賀井 篤平 Ranganathan Srinivasa Shinde Vasant
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

錫を15%以上含む青銅合金は、鋳造法もしくは熱間鍛造法によって成形され、仕上げに焼き入れ熱処理が施されることから、我々はこれを熱処理型高錫青銅と呼んでいる。この技術は古くは古墳時代に日本へ伝来し、現在においてもアジア地域を中心に残されているが、その起源と伝播経路を明らかにするため、インドで出土した紀元前の遺物の成分分析や金相学的調査を行った。現時点で最も古いのは、メガリス期の遺跡から出土した銅鋺であり、紀元前1千年紀の前半には登場したことがわかった。
著者
田中 大祐 加賀谷 重浩 中村 省吾 酒徳 昭宏
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

富山県の立山浄土山山頂付近と富山大学屋上の2地点で採取した大気試料中の細菌群集と真核生物群集の特徴をPCR-DGGE法で比較した。その結果,立山と富山大学屋上の2地点の細菌群集構造は大きく異なっていると考えられたが,真核生物群集構造は類似している可能性が示された。また,大気から単離した赤色色素産生細菌3株は,紫外線(UV-B,UV-C),乾燥,過酸化水素などの環境ストレスに対して耐性を示し,大気環境中での生存に適した性質を持っていると考えられた。
著者
高橋 浩二 木島 勉 朴 天秀
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

韓国の古墳および遺跡から出土した翡翠勾玉の集成的研究を行った。次に、これを基礎にして、分布の特徴を明らかにするとともに、各地における出現時期や出土数の変化を検討した。また、弥生・古墳時代の翡翠勾玉と比較して、韓国出土のものが日本列島からもたらされた可能性が高いことを指摘した。そして、これらを踏まえ、韓国出土翡翠勾玉の流通過程について3つのパターンを検討した。なお、一部の成果を1冊の報告書にまとめた。
著者
太田 民久 佐藤 拓哉 飯塚 毅 末吉 正尚
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

生物の移動を把握することは、対象種を保全し資源の持続性を高める上で基礎的なデータとなる。しかし、魚類の移動履歴を推定する手法の開発は発展途上であり、空間スケールを考慮した資源保護対策を打ち出す上で大きな障害となっている。ストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)は水域間で値が変化することが多く、水域の値が生物体組織に直接反映されるため、対象魚が生息していた水域を推定することができる。本研究は年輪状に成長し、対象魚を殺さずとも採集できるウロコの87Sr/86Srを測定し、魚の行動履歴推定する新たな手法を開発し応用する。
著者
水島 秀成 笹浪 知宏
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、鳥類に得意な多精受精成立に関わる分子機構の詳細を解明し、それより得られた情報をもとに確立した卵子活性化法と体外培養法を駆使して、顕微授精法によるウズラ雛の孵化育成に世界で初めて成功した。さらにウズラ卵へ卵子活性化処理と同時にニワトリ由来の胚盤葉細胞または皮膚細胞核移植することによって、ドナー細胞由来の体細胞クローン胚の作出にも成功を収めた。本技術は、ゲノム改変家禽の作出や近縁種を介した絶滅危惧鳥種の救済に有効な手段になると考えられる。
著者
山本 武 林 周作
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

食物アレルギーの患者数は急増しているが、未だ有効な治療方法がない疾患である。申請者は、病態モデルマウスを用いた検討により、漢方薬の葛根湯が食物アレルギーの発症を抑制することを明らかにしている。近年、腸管粘膜免疫系が食物アレルギーの発症に関与することが明らかになってきた。そこで本研究では、葛根湯による腸管粘膜免疫系に対する効果の検討を行い、葛根湯が腸管に制御性T細胞を誘導し、腸管粘膜免疫系を制御することにより治療効果を示すことを明らかにした。
著者
東田 千尋
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

脊髄損傷マウスの慢性期にニクジュヨウエキスを経口投与すると運動機能と骨格筋萎縮が改善すること、廃用性筋萎縮マウスにニクジュヨウエキスを経口投与すると歩行機能が改善することを明らかにした。エキス中の活性成分のacteosideは骨格筋に移行するとPKM2を分泌させ、PKM2は脳に到達してVCP刺激を介して軸索伸展させる。またacteosideが脳に移行すると神経細胞に直接作用しAktやMEKを介して軸索伸展を促す。臨床研究では、ニクジュヨウエキス服用によりロコモティブシンドロームの歩行機能が改善することが示された。
著者
久保 誠司
出版者
富山大学
巻号頁・発行日
2023-01-25

富山大学・富医薬博乙第97号・久保 誠司・2023/01/25公表論文1.Seiji Kubo, Hideki Niimi, Isao Kitajima,Rapid detection of blood and semen mRNA markers by reverse transcription-recombinase polymerase amplification,Forensic Science International: Genetics,Volume 58,2022,102665,ISSN 1872-4973,https://doi.org/10.1016/j.fsigen.2022.102665.2.Seiji Kubo, Hideki Niimi, Isao Kitajima,Rapid and direct detection of male DNA by recombinase polymerase amplification assay,Forensic Science International: Genetics,Volume 59,2022,102704,ISSN 1872-4973,https://doi.org/10.1016/j.fsigen.2022.102704.3.Seiji Kubo, Hideki Niimi, Isao Kitajima,Improved reverse transcription-recombinase polymerase amplification assay for blood mRNA screening: comparison with one-step RT-qPCR assay,Forensic Science International: Genetics,Volume 63,2023,102808,ISSN 1872-4973,https://doi.org/10.1016/j.fsigen.2022.102808.
著者
高雄 啓三 吉田 知之
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は脳発達期における RNA 編集異常がシナプス結合選択の異常をもたらし、それが高次脳機能異常を伴う発達障害の原因であるという仮説に基づき、どのような因子がRNA 編集異常とシナプス結合選択の異常をもたらすのか同定し、その制御機構を明らかにする。シナプスをオーガナイズする因子の遺伝子はこれまで20種類程度知られているがその多くが脳で発現、RNA に転写される際に編集され、多様なタンパク質が作り出されることでシナプスは多様となる。本研究では、精神疾患モデルマウスの RNA 編集を調べ、その制御機構と精神疾患との関係を明らかにする。
著者
齋藤 滋 山田 拓司
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

早産ならびに子宮内膜炎は炎症性疾患である。最近の研究により炎症性疾患では腸内細菌叢が変化し炎症を惹起させることが判ってきた。そこで両疾患の腸内細菌叢をメタゲノム解析した。群間比較では有意な変化を示すgenus/speciesは検出できなかったが、早産例でEscherichia/Shigellaが多い症例が一部認められ、子宮内膜症ではMegamonasの増加やParabacteroidesの減少が認められる例もあった。今後、病態との関連性を明らかにしていく必要がある。
著者
富山大学広報委員会
出版者
富山大学
巻号頁・発行日
no.(11), 2003-10-10
著者
宇野 隆夫 前川 要 櫛木 謙周
出版者
富山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

日本で唯一確認されている古代塩田遺跡(石川県羽咋市滝・柴垣海岸E・F遺跡)の発掘調査を実施した。その結果,土器製塩炉6基に加えて,鉄釜製塩炉1基を発見した。鉄釜製塩炉は,日本ではじめて確認されたものであり,8世紀初めの頃に塩田築造と同時に設置されたものであった。土器製塩炉も,周縁を石と粘土で固めたものと,石敷炉とがあり,石敷炉若狭より東でははじめての発見である。塩を煮る製塩土器も層位的に調査できたため,その年代的な変化が明らかとなった。海水を濃縮する塩田部分と,塩を煮つめてとる釜場の位置関係からも興味深いことがらが判明した。民俗調査例では,塩田と釜場は相接していることが普通であるが,調査結度では,塩田面より5m以上高い,標高約9mの地点に釜場があったのである。またその土木量が1万m^3を越えるように,あらゆる点において,古代塩田式製塩は大規模なものであることが判明した。以上は考古学調査の成果であるが,文献資料の調査から,古代塩田式製塩が,国府機構を軸に成立することがあることが明らかとなり,本事例も,西暦718年に立国された能登国の国家的な手工業政策との関係で理解できるようになった。東アジアの資料では,中国において戦国時代中期に塩鉄政策が,前漢代に国家的な生産体制の編成が,唐代に大土木工事をともなう塩田の築造がなされ専売制度も整うことが判明した。以上から,古代塩田式製塩という先端技術の成立は,東アジア古代世界における,日本律令国家の成立の中で可能となった重要な出来事であり,現在の塩専売制度の源流となったと位置づけた。
著者
鈴木 淳也
出版者
富山大学
巻号頁・発行日
2014

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著者
島添 貴美子
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究はNHK(日本放送協会)による日本民謡大観事業の関連資料の収集・整理を通して、民謡調査の意義と調査方法の変容の過程を明らかにするとともに、これらの変容の過程を手掛かりに民謡研究における古典的な問いである民謡の真正性を再興することを目的とする。令和2年度は以下の調査を行い、成果を発表した。①平成30年度から令和元年度にわたる音楽之友社のWEB連載「21世紀のふるさとの歌を訪ねて」をまとめて、単著『民謡とは何か?』を出版した。②これまでの調査成果の一部を、NHKラジオ「音で訪ねるニッポン時空旅」の番組の一部に使用した。③NHKから借用している日本民謡大観事業の関連資料の内容や事業運営について、事業担当者であった元NHK局員稲田正康氏とメールのやりとりによる情報収集を行った。
著者
川原 千香子
出版者
富山大学
巻号頁・発行日
2021-03-23

富山大学・富医薬博甲第361号・川原 千香子・2021/03/23
著者
野口 映
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

セツキシマブはEGFRを標的とした抗体薬であるが、その作用機序は解明されているとは言い難い。本研究は、ジェネティクス、エピジェネティクス、immunologyといった多方面から解析する事で、セツキシマブの作用機序解明を試みた。次世代シークエンサーによる遺伝子変異解析では、対象とした細胞においてEGFRの有意な変異はなく、HRAS変異が一部の細胞でみられる程度であった。エピジェネティックな検討では、ある種のHDAC阻害剤との併用により、EGFRのmRNA値の上昇を認め、セツキシマブ感受性を獲得するものがみられた。特に影響の強くみられた細胞では、形態的に細胞間の結合性の低下がみられた。
著者
龍山 智栄 宮下 和雄
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.85-94, 1972-03

Electrical properties of layer-type semiconductor GaSe and GaTe have been measured.All crystals have been produced by Bridgman technique. GaSe is p-type with two activation energy, of which the value is about 0.29 eV above 200°K and 0.20eV below 200°K for one specimen. GaTe is also p-type, and the activation energy is about 0.13eV for one specimen. According to the temperature dependence of the Hall mobility which exhibits the form μ ∝ exp(hω/kT)-1, the scattering mechanism of these crystals is explained by the interaction of carriers with homo polar optical mode of lattice vibration. Electric field dependence of the conductivity of GaSe parallel to the c-axiz is interpreted by an "anomalous" Poole-Frenkel effect. Estimated dielectric constant is ε_∞=5.4.周期律表のIII A族とVI A族のうちのある元素を1対1の割合で化合物をつくると,結晶構造が層状をなす化合物半導体が得られる。このうち層状半導体といわれるものはGaS,GaSe,GaTe,InSeである。これら物質はc軸方向(へき開函に垂直方向)にY(VI)-M(III)-M(III)-Y(IV)よりなる4つの層が,共有結合で強く結合した基本層をつくり,この基本層がVan der waals力で積み重なった結晶構造を持っている。このため基本層間は容易に剥離することが出来1μm以下の厚さの単結晶を得ることも困難ではない。このような結晶構造のため,電気的,光学的物性におよぼす異方性の影響が注目されるのである。著者は,さらにバンドギャップが広いこと,直接遷移であることという観点から,GaSeとGaTeについて電気的,光電的特性を調べて来たが,ここでは電気的特性について述べる。GaSeおよびGaTeの電気伝導度Hall係数が測定された最初の報告はおそらくFieldingらによるものと思われる。しかしこの実験はGaTeの伝導をn型であるとするなど充分なものではなかった。1962年,FieldingとBrebnerはGaTe, GaSeの電気的特性を測定し,150°K以上の温度領域でのキャリアの散乱機構は音響型格子振動による散乱であるとした。1967年になってFivazとMooser はn型,P型のGaSeの移動度μを測定し,それらがいずれも200°K以上の温度範闘で_<μα>T^<-2.1>の温度依存性を持つとした。そしてこの原因をhomo polar optical modeの格子振動による散乱であるとして,そのフォノンエネルギーを40meVと求めた。一方IsmailovらもGaSeのHall係数を測定し,200°K以上の温度で_<μα>T^<-1.6>となることから,散乱は音響型格子振動によるものであるとしている。以上はいずれも電流をへき開層に平行方向に流したものであるが,GaSe,GaTeのへき開層に垂直方向での電気伝導度の電界依存性を測定したものにAbudullaevらの報告がある。彼等はこれをPoole-Frenkel効果によるとしている。その根拠として,誘電率の値が5になることを上げているが彼等の実験結果はPoole Frenkel の式では誘電率は20になるので単なるPoole Frenkel 効果とするのは誤まりであると思われる。本論文ではまずGaSe,GaTeの結晶製作について述べ,得られた結晶のキャリア濃度,移動度の測定より不純物の活性化エネルギー,キャリアの散乱機構について考察する。また,GaSe のc軸方向の電気伝導度の電界依存性が"anomalous" Poole-Frenkel効果によって支配されていることを示す。