著者
田中 祥子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.307-323, 1991-11

わが国では,1990年初より株価低迷時代に入っている。いわゆるバブルと称されている株価は,東証株価平均とNYダウの希離が大きい,1987年10月のブラック・マンデイ暴落後から1989年末の日本の史上最高株価の頃までの,PER70倍時代の株価を指す。株価の下落は,1990年2月の金利上昇,同年8月のイラクのクウェート侵攻,1991年6月の証券不祥事,8月のソ連の政変などのドキュメントがきっかけを作って回復せずに推移したが,他方では,金融自由化の要請によって導入された派生証券市場における取引が活発化してきた。現物・先物・オプション(今後先物あるいはオプションを株価指数についてものとして用いる)の三者の取引および価格形成はわが国の場合,どのように係わっているのであろうか,この点について特に取引量の多い日経平均,同先物,同オプションを中心に観察してみることにする。
著者
小谷 瑛輔 田中 祐介 中野 綾子 若島 正 木村 政樹 矢口 貢大
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

近代において、将棋と文学は密接に関わりあいながら展開してきた。本研究では、その様相を具体的に解き明かし、データベースや論集にまとめた。一つ目は、小説という近代的な新しい概念が将棋の比喩によって誕生し、その後も文学の概念に影響を与えてきたこと。二つ目は、新聞・雑誌メディアの発展において将棋と文学がともに重要なコンテンツであったということ。三つ目は、文壇の人的ネットワークにおいて将棋が大きな役割を果たしてきたことである。
著者
井浪 義博
出版者
富山大学
巻号頁・発行日
pp.1-105, 2013-06-05

富山大学・富医薬博甲第113号・井浪義博・2013/06/05
著者
松本 欣三 Suresh Awale 藤原 博典 堀 悦郎
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

ADHAを含む発達障害(DD)と病因と症状が類似する隔離飼育マウスをエピジェネティック発達障害モデルとして用い,発症機構と漢方薬(抑肝散,桂枝湯)による治療及び予防を検討した。抑肝散のみが注意様行動,一部の症状に対して治療効果を示した。一方,抑肝散や桂枝湯の投与を発達初期から開始した場合,DD様症状が抑制されたことから,両漢方薬はDDの予防軽減に有用と推測された。また隔離飼育動物では神経ステロイドのアロプレグナノロン (ALLO)の生合成が障害されている点に着目し,脳内ALLO量を低下させた結果,社会性行動の障害が誘導されたことから,ALLO産生障害がDDの発症に関与する可能性が示唆された。
著者
濱田 美和
出版者
富山大学
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-28, 2005-03

本研究は, 日本の流行歌を題材とした日本語学習者向けの教材を開発することを目的に行うものである。日本語学習者に適した教材を開発するためには,まず流行歌の歌詞に使われる語彙及び表現・文型の特徴を十分に把握しておかなければならない。そこで,本稿では, このうちの語彙に焦点を当て,ある流行歌が初級,中級,上級,超級のいずれの語彙レベルに当たるかの判定を行うとともに,流行歌に使われる語彙の特徴を分析し, 日本語学習者の立場から見た困難点を明らかにする。その手順として, 日本人によく親しまれている100曲の流行歌の歌詞に使われる語彙について, 日本語学習者にとっての難易度,品詞,語構成,意味範疇などの観点から分類し,データベース化し,その結果をもとに分析を行った。
著者
寺西 千代子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-16, 1983-07

現段階での理論の多くは,オフィス・オートメーションのオフィスに重点を置くものが多く,オフィスの中核となる情報システムの中でOAをどのように位置づけるかを論じており,オフィスにおいてはいろいろな点でオートメーションという用語は適当ではないと批判されるが,この論稿ではオートメーションの進化の中でオフィス・オートメーションをどのように捉えることができるかを明らかにし,そのような観点からOAの姿を示していきたい。
著者
下崎 千代子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-38, 1986-07

人間行動の解明を目的とする心理学では,行動主義的アプローチ,すなわち人間行動を環境刺激の関数として観察不可能な中枢機構での刺激処理過程を捨象するアプローチが主要な視点のひとつである。それに対して,経営学の動機づけ論ではマズローを出発点とした人間行動の源泉の分析によって人間行動を説明しようとする欲求系の動機づけ論や,ブルームを出発点とした人間行動の選択過程を分析することによって人間行動を説明しようとする認知系の動機づけ論が展開されてきたが,経営学でこの行動主義的アプローチの有用性に注目し始めたのは比較的最近のことである。そこで,心理学で用いられているアプローチと経営学の動機づけ論で展開されてきたアプローチの類似点及び相違点を明らかにすることで,以上の点をより明確に示してみよう。
著者
三船 温尚 清水 克朗 小堀 孝之 栃波 浩二
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.51-72, 1998

本論分は,1965年中国四川省三星堆遺跡から出土した縦目仮面を高岡短期大学において復元鋳造した工程の詳細を報告するものである。
著者
ライター ヨハネス 盛永 審一郎
出版者
富山大学
雑誌
研究紀要 : 富山大学杉谷キャンパス一般教育 (ISSN:03876373)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.11-19, 2007-12

移植医療ほど急速に発展した医療分野はないだろう。1954年にアメリカの外科医が、若い男性から彼の病気の双子の兄への腎臓移植をはじめて成功させたのは、まさに53年前のことである。それから今日に至るまで、ドイツにおいては、一日当たり7 つの腎臓が、そして3つの肺、1つの心臓が移植されている。2006年には、ドイツにおいて4646の臓器が移植された。臓器の需要はいまではかつての2 倍近くになっている。2006 年の時点でドイツにおいては、腎臓病の患者は、新しい臓器を5年半待たなくてはならなかった。命を救う臓器提供がなかったために、毎日3人の人間が亡くなっている。臓器不足が発生しているのは、ドイツにおいて臓器提供者が不足しているからというだけではなく、臓器移植はまた、構造的にも引き起こされているのである。つまり、次第に増えているより良い免疫抑制の可能性、臓器移植の事由が拡大し続けていること、そして改善された技術的な可能性によって、より大量の臓器が必要とされている。
著者
入江 識元
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.59-69, 1996

作品の生産と金銭の浪費のなかでフィッツジェラルドが常に悩んでいたのは,外界の見せかけと自我の分裂の問題である。彼は,実人生では,消耗し崩壊する過程での分裂を繰り返しながら,作品では,自らを分節化しながら新たに生成してゆくという意味での分裂を描いた。この作品の冒頭にあるように,個と一般性の問題はこの作品の中心テーマであり,分裂の問題がこれに密接に関わってくる。彼は主人公アンソンを,一般的な金持ちの息子としてではなく,あくまでも個として提示した。この背景付け,人物をタイプ化することの不可能性があり,自我そのものの分公的性格がある。こうした性格に加え,家系という支配的歴史に由来する優越性を彼は獲得し,その反動でシニシズムを持つことになる。ポーラとの決別の原因の一つは,この優越性とシニシズムによるものであった。だが,重要なのはポーラの過ちだ。ポーラは写真(偽装された過去)や対話(偽装された現在)を通してアンソンをタイプ化しようとしたのだ。このように,個を問題にする際に重要なのは,家系や血縁といった権力装置の背後に隠れたアンソン自身の自我の分節化であって,その意味で作品冒頭の命題は生きてくるのだ。
著者
植木 研三 加藤 進 有岡 大樹 南部 公孝 北村 岩雄 池田 長康
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.9-15, 1997-02

New electric power generation system with water drops based on the principle of electrostatic induction are considered. The preliminary experiments on the devise with one stage for the system are carried out for examining the possibility of effective collection of the electric charge. Dependence on devise parameters such as an applied voltage on the electrode, the length and width of its plate are examined in this experiment. It is found that amount of the collected charge increases with the applied voltage and the length of the electrode plate and the amount decreases with the width of the plates. It is also found that there is the upper limit on the amount of charge owing to water drops hitting on the electrode plate. For the survey of an electric power generation station with multi-stage system, the another device with two stage is constructed and examined.自然エネルギーを利用した発電方式として,従来の水力発電に対し,水滴を利用した新しい考えを提示する。このシステムは,静電誘導により水滴に電荷を持たせ,この水滴が重力によって同極性の電荷間の反発力に逆らって電荷を水槽に集電する。さらに,蓄電後は水のみを排出し,コンデンサーに集電する。次の段で再び電荷を持たせ,集電することを繰り返すという発電方法である。これは,静電発電機としてケルビンらが油滴を用いて考えた極めて古い方法であるが,我々はこれを発電システムとしての可能性を探るため,多段システムを考え,このための基礎実験を行った。