著者
土岐 留美江
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学編 (ISSN:18845177)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.1-9, 2012-03-01

This paper examines lexical-semantic properties of verbs, adjectives and auxiliaries appearing in quasi-nominal phrases (quasi-nominal construction with adnominal verbal ending) which are accompanied by postpositional particle "ni" in comparison with those without postpositional particle, those with postpositional particle "wo"and other attributive constructions such as adnominal clauses or final-attributives (sentences ending in adnominal form) in colloquial Heian Japanese. The specific findings are as follows: (a) In quasi-nominal phrases with postpositional particle "ni", verbs of emotion/thought/perception, verbs of motion/change, verbs of existence are most frequent, in descending order. (b) In quasi-nominal phrases, all adjectives types (emotional, attributive and intermediate) appear. (c) In quasi-nominal phrases with auxiliary verb, conjecture auxiliary "mu" is most frequent. It is revealed that there are some usage differences between quasi-nominal phrases with postpositional particle "wo" and those with postpositional particle "ni". In order to clarify the relationship between quasi-nominal phrases and final-attributives in the syntax of adnominal-ending forms, it is necessary to examine their uses more extensively, including those accompanied by other postpositional particles.
著者
小塚 良孝 建内 高昭
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育
巻号頁・発行日
vol.10, pp.38-40, 2010-03

本稿では、2005年度より本学全一年生を対象に年二回実施されてきたTOEICの結果の分析から、本学における今後の英語教育に関して留意すべき点を指摘する。
著者
尾崎 良康
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学 (ISSN:13414615)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.169-171, 2007-03-01

1964年,アメリカ支配下の沖縄普天間で,米兵2名が殺傷される事件が起きた。容疑者は,沖縄の青年4人。裁判の陪審員に選ばれた著者は,沖縄人に重罪を科そうとするアメリカ等の陪審員が多数を占める陪審評議で,ついに「逆転」を生じさせた。大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したこの作品は,沖縄統治の実態と,陪審裁判の問題点とを赤裸々に明示してくれる。この裁判は,2009年までに実施される予定の,新しい「裁判員制度」とは明ちかに異なる制度の下での裁判ではあるが,同じ民衆による裁判という観点からみれば∫何等かの参考になる事例であると考えられる。
著者
小塚 良孝
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、古英語期の散文作品における定形動詞と名詞目的語の語順の決定要因をコロケーションに着目して調査、分析した。分析対象とした文献は年代記(Anglo-Saxon Chronicle)や宗教散文(West Saxon Gospelsなど)などである。本調査から、コロケーションが語順に影響を及ぼしたと考えられる場合があることが明らかになり、古英語の語順研究にはコロケーションという観点も重要であることが指摘された。
著者
稲葉 みどり
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.29-37, 2011-03-31

本稿では、プロセス・ライティングの手法を取り入れて行った日本語科目(留学生対象)の授業方法や指導手順を紹介し、外国語教育における効果的なライティング指導の方法を考察した。「留学の目的及び将来への抱負」をテーマとする奨学金応募のエッセイの作成を取り上げ、初稿から最終稿に至るまでの指導、及び、改稿の過程を分析した結果、「修正したほうがよい理由をはっきり説明する」、「内容に関する簡単な問いかけをする」、「修正方法を具体的例とともに示す」等が指導生のライティング活動を活性化し、内容構成力を向上させる上で効果的なフィードバックの方法であることがわかった。また、指導生は授業を通じて何度も書き直すことの重要性や内容を深める方法を学んだことも明らかになった。
著者
石田 博幸
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,日・タイの小・中学校の生徒の環境意識調査に続き,環境意識と向社会的行動との関連性へと進んできた。結果は,環境行動と向社会性行動には,弱い正の相関があることが証明された。ただ,環境教育の成果が出ている反面,教育で受けた知識と実際の行動の間に相違が出てきており,知識が行動に直結するようになるには少し時間が要るように思われる。3年間を通して何度かタイ教育省関係者およびタイ人共同研究者を招聘し,環境教育関連討論会を開き討論した。2年目の5月には日本環境教育学会で,7月には,WCCI国際学会で日・タイの児童の向社会性意識と環境意識の関係について発表した。また,メコン川環境破壊状況を調査し,共同研究者と討論し指導した。11月に愛知教育大学で開催された地域教育シンポジウムへタイの環境教育学者を招聘し講演してもらった。同じく11月にラチャパット大学(複数)を訪問し,研究交流について討論した。12月には,チェンライラチャパット大学の大学設立記念式典で招待され記念講演を行った。12月末におきたスマトラ沖地震はタイの児童の環境意識に大きな影響を与えたと推測される。その調査の準備のため3月に訪タイした。最終年度は,当県で開催された愛・地球博が,環境問題解決には重要であると考え,タイ人共同研究者を招聘し,研究してもらった。その成果は,彼らを通じてタイの環境教育に大きく寄与をする。さらに,スマトラ沖の地震・津波の児童・生徒の環境意識への影響の調査をした。結果は,タイの児童・生徒は,その甚大な被害にもかかわらず,宗教と科学に対する信頼を維持していることがわかった。世界中からの救援や科学鑑定が科学への信頼を増したと思われる。宗教心が薄く,なおかつ,科学への信頼が薄れてきている日本の子どもたちと比較し,注目すべき結果であり,今後,学界や社会へ発表して行く予定である。