著者
原田 亜紀子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2018

<研究目的>本研究は若者の主体形成を促す地域連携カリキュラムとしての主権者教育の構築に当たり、市民の政策決定過程への参加が先進的なデンマークの地方自治体のユースカウンシル(Youth Council : 以下YC)の活動に着目した。前年度の研究において、3つの事例の比較により、デンマーク第二の都市オーフス市のYCは学校と地域が連携するカリキュラムモデルとして最も可能性が示唆された。しかしその実態は不明であったため、本研究ではオーフス市内のYCの下位組織、上位組織、さらに教師とYCの連携構造や、そこで実現されるメンバーの政治的主体形成の過程を明らかにすることを目的とした。<研究の方法>オーフス市は、4地域に区分される。区分された地区での各YCの下位組織の職員とメンバー、下位組織から代表として選出されたオーフス市全体のYCのメンバー、そして職員へのインタビューと、会議の参与観察を行った。データは、デンマークの政治学者Bangの「新しい政治的アイデンティティ」の概念と、北欧閣僚理事会が提示した「‘参加’の過程」を参照して分析された。<本研究の成果>本研究で明らかになったのは以下の3点である。(1)地方議会、行政、学校、若者団体の連携による、メンバーの勧誘や選挙への参加、YCの意見形成や議論の場、政策提言の実現の仕組みの組織化。(2)代表制の確保のため移民地区に独立した議席を設け、またYCの下位組織を設置することで、エリート主義的な参加ではなく、自由でアドホックな参加を受容。(3)参加に必要な情報を得るルートや大人の支援が多層的に存在。こうした活動は学校教育・社会教育の枠を超えた「民主主義の学校」とも言え、学校は、メンバーのリクルートや選挙、会議への参加のための学校欠席の承認、といった形でYCと協働していた。オーフス市の事例からは、地方自治への参加と中等教育段階の学校をつなぐことにより、生徒が「実践し」「影響力を行使する」主権者教育の構築が示唆される。
著者
杉浦 健太
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

2種の自由産卵を行う有性生殖クマムシ、Paramacrobiotus sp.とMacrobiotus shonaicusを用いて、雌雄配偶子とその接合子の観察を電子顕微鏡下で行った。その結果、Paramacrobiotus sp.の先体が極めて長く発達していること、両種の核がコイル状になっていることを見出した。また産卵直後の卵表面に精子が先体を介して結合している様子の撮影に初めて成功した。さらに交尾後のメスを解剖し、貯精嚢で精子の尾部が短縮化されることを確認した。これらの研究はクマムシの配偶子形態とその接合子を時系列に沿って明確に観察した初の研究であり、国際論文誌Zygoteに受理、公開された。精子の形態が種間で大きく異なることから、それらの形態が水中での遊泳に与える影響を調べるため、筑波大学下田臨海実験所の稲葉一男博士、柴小菊博士と共同で、交尾中の精子遊泳をハイスピードカメラにて撮影した。遊泳中は精子の頭部と尾部の結合点である中片を先頭として、直進と曲進を繰り返していることを明らかにした。また頭部、尾部ともに長いParamacrobiotus sp.の方がM. shonaicusに比べて遊泳速度が早かった。ソフトウェアによる解析では、遊泳中の頭部での運動はほとんどなく、尾部の運動のみを用いて遊泳していることが示唆された。交尾後15分経過したメスの総排泄孔を電子顕微鏡で観察すると、強く密集した精子が絡まりあって付着していたことから、長い頭部は遊泳よりむしろメス体内への移入まで総排泄孔に密集するために必要であると考えられた。これらの研究は2件の国内学会で発表し、現在国際論文誌への投稿準備中である。上記の研究に加えて、かねてより見出していたMilnesium属のクマムシ(オニクマムシ)の新種Milnesium pacificumと、タイプ種Milnesium tardigradumの日本初記録を論文としてまとめ、国際論文誌Zoological Scienceに受理、公開された。
著者
坂田 仁
出版者
慶應義塾大学
雑誌
法學研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.143-171, 1997-06-28

資料Ⅰ スウェーデンにおける賭博 Ⅱ 酒酔い運転の七〇年の歴史Ⅲ 司法領域の民営化Ⅳ 薬物、医薬品及び交通の安全Ⅴ 犯罪と刑事政策Ⅵ スウェーデンの刑事司法制度Ⅶ 犯罪予防戦略の統合Ⅷ 無意味な犯罪 : 犯罪学的視点からの犯罪と刑罰Ⅸ 放火犯の広がり : 動機と要因Ⅹ クロニクル A スウェーデン B アイスランド C ノルウェイ(一九九三年)
著者
高橋 智
出版者
慶應義塾大学
雑誌
斯道文庫論集 (ISSN:05597927)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.107-277, 1996-01-31

序編 第一章 研究前史 第一節 七経孟子考文 第二節 論語集解考異 第三節 阮氏挍勘記 第二章 研究と展望第一編 版本論 第一章 版種総説 第一節 古活字版の版種 一、有刊記本 二、無刊記本(慶長八年以前刊) 三、無刊記本(〔下村生蔵〕刊) 第二節 整版〔覆古活字版〕の版種 一、乙種(無刊記本)の初印・後印 二、甲種(有刊記本)について 三、甲種と乙種の関係 四、整版(甲・乙)の底本 五、整版拠慶長八年以前刊本の反証 六、整版甲種と乙種の前後 七、慶長一四年刊古活字版と整版との関係 八、総論 第三節 乱版の版種 第二章 現存本解説 第一節 古活字版の現存本 一、有刊記本 二、無刊記本(慶長八年以前刊本) 三、無刊記本(〔下村生蔵〕刊本) 第二節 整版〔覆古活字版〕の現存本 一、有刊記本(甲種本) 二、無刊記本(乙種本) 第三節乱版の現存太第二編 図版編第三編 校勘編 第一章 補阮氏挍勘記 第二章 慶長刊本の性格(次号)第四編 訓読編(次号)

1 0 0 0 基礎史前学

著者
大山 柏
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
1945

博士論文
著者
清水 龍瑩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.141-180, 1996-04-25

今回のサーベイは,世界が急速に単一市場化し,しかも日本人の賃金は,欧米の2〜3倍,アジアの10倍という状況のもとで,どうしたら日本企業がブレークスルーを見出し,日本経済全体が世界の中で生き残っていくかという,危機的な問題意識から行われた。まずいま世界中が注目している中国の経済成長についてその実態をみるべく8月下旬から9月上旬にかけて上海の企業経営者のインタビューを行った。社会主義市場経済の実態を知るべく,合弁企業3社,郷鎮企業2社,国有企業1社をみた。またその中国を中心にして急変するアジア市場に,いままでとは全く違った新しい,柔軟な発想で進出する野村グループに焦点を合わせて,3社のインタビューを行った。さらにこの激変する市場に対応する日本企業のオピニオンリーダーたる同友会幹事や現実にむずかしい経営を迫られている典型産業たる機械製造業社長や,企業と異なった経営理念をもつ農協理事長にインタビューした。これらいろいろ方面の異なったリーダーにインタビューすることによって,日本経済の生き残りの道が少し見えてきた。アジアの国々の企業と比べて平均して,技術力が1.2倍,組織力が1.2倍,賃金調達力が1.2倍,勤勉さが1.2倍……にすれば(1.2)^n = 10以上という力を発揮することができ,世界の単一市場の中でも競争できるのではないかということである。巷間言われているように,単に日本企業のハイテク化では生き残れないということがよく分かった。上海市は, 1993年現在,人口約1289万,GNP1510億元,外国からの投資額7千万米ドル,経済成長率14.9%と急成長している中国最大の経済都市である。その地区は,13の市街地区,6つの準市街地区と,新たな工場誘致をすすめる浦東地区の3つに分かれており,10年後は香港をしのぐ,中国一の貿易,金融,情報センターになることを目ざしている。中国政府の改革開放政策の中心原則たる社会主義市場経済の成果が,現在最も顕著に現われている地域である。3年前筆者が天津に経営者インタビュー・サーベイに行ったときは,社会主義市場経済は単なるスローガンだった。今回は,それが実践・実行され,社会主義という統制の下で,経済取引は自由に行われ,経済効率の向上という面からは非常に成功しているのに驚いた。たとえば上海市の高速環状道路は5年計画で建設がはじまったが,実際は2年で完成したという。日本のように土地買収,日照権,騒音公害などの問題がないからである。土地が国有だから住民を国家権力でどこへでも移住させられる。建設工事も24時間作業の突貫工事で行われている。労働者も四川省などの内陸部の農民籍の出稼者であり,4年たてばまた故郷へ帰らされる。上海で働いている間は,比較的高い賃金をもらい,技術もある程度習得できるので勤労意欲も高い。これらは社会主義の計画経済の原則から定められた規制である。しかしこの工事を請負う建設会社は外資合弁企業でもよく,賃金,資材の調達は全く自由であり,また多くの免税特典が与えられ,経済効率は高い。しかしこの経済自由の原則は,ときどき,社会主義の原則を破ることもある。外資合弁の私企業が工場を拡大するために,予定敷地内にある公立の中学校を別の土地に移すこともある。日本では全く考えられないことである。環状道路内側の国有企業は,その土地の利用権を高く売って,郊外の安い土地に移り,その差額を賃金源にすることもできる。一方,逆に社会主義の原則が経済自由の原則を破ることがある。国有企業は経営が苦しくなると借入金返済免除という「徳政令」をうけることができる。こんなことは日本では考えられない。また若い技術者は地方へ移籍してもまた上海へ戻ることができるが,50歳以上の人は外部へ移籍すると戻ってこられない。社会主義の原則が自由経済の底にある居住の自由という基本的原則までおかしている。このように社会主義の原則も市場経済の原則も,経済効率の向上という大目的の前には,その都度都合よく変形され運用されている。このことによって上海は,われわれ日本人の考えられないような速さで成長している。ついこの間まで,日本人はせっかちで,中国人はのんびりだというのは,上海に関する限り当てはまらないようである。このままの政治体制が10年つづけば,上海は香港を技いて中国最大の貿易,金融,情報都市になることは間違いないようである。〈中国関係〉[上海新晃空調設備];合弁企業の日本人の責任者の賃金は,中国人の責任者のそれの50倍にもなる。日本人は二重生活で住居費も高いから理くつでは理解できるが,中国人には不満である。[上海尼賽拉傅感器];償却費を計算しても,自動機械のほうが手作業より3倍効率がよい。[上海三菱電梯];日中の経営者の賃金格差は頭では理解できても気持の上では納得できない。中国の従業員の賃金決定要因は年齢,貢献度,職場,学歴で,そのウェイトは1:3:2:4。日本からの鋼材,図面は米国型で,欧州型の中国人にはなじめない。[上海無綫電一廠];資金不足が深刻である。環状線の外側の安い土地に出ていって差額を得る。従来100%だった退職金,年金の負担を25%に減らしてもらった。あとは政府がもつ。国営銀行からの借入金の返済を免除してもらう「徳政令」を求める。その代り国営銀行に相当額の株式をわたす。[昆山市周庄鎮農工商總公司];賃金は都市労働者の半分くらい。しかし仕事のあるときは働き,ないときは農業をやる。それでパートではない。賃金,技術,人材が少ないので大企業,外資企業と提携したい。[〓昆光電技術];幹部技術者が不足する。しかし上海から50歳以上の人に来てもらって戸籍を移すと,再び上海へ帰れないという規則がある。投下資本利益率30%,株式の80%は農民所有。利益の60%を配当にまわしているが,農民は配当より,その再投資による経営のさらなる発展を望んでいる。〈野村関係〉[野村證券];日本の豊かになった金融資産をベースにして,インベストメントバンク,銀行,証券の業務を統合した新証券業を考える。ベンチャー企業への投資,ベトナムの電力スキームの建設援助,工場団地の建設に参加する。株式売買手数料にだけ依存していてはジリ貧になる。[日本合同ファイナンス];ベンチャーキャピタルを経営していくには,いままで日本人にはなかった不平等主義,金儲け賛成の新しい考え方がまず必要。次に将来有望な投資先をたえず見つけ続けるには,技術を通じて人脈をつくれる人を集めることが最も重要。[野村不動産];不動産業も使い手が国際化すると新しい国際基準で動く。不動産業者は土地やビルを所有せず,開発・建設だけを行う。投資家が金を出す。不動産業者がショッピングモールを建設し,同時に不動産投資信託会社をつくり,これがその不動産を小口証券化し,それを年金基金など金融機関に売る。[篠山町農協]:農家はすべて兼業農家であり,農民は農産物ばかりでなく,工業製品やサービスを生産して生活している。[ウシオ電機];中国の経済発展に刺激されたアセアンの急速な自由化に日本は戸惑っている。日本の硬直化した企業内ピラミッド組織,業界型・ミニマムルーザー型の産業構造では対応できない。[JUKI];コスト削減のためにはベトナム進出が最も期待できる。ベトナム人は器用で,勤労意欲が高く,日本人と波長が合う。ミシン以外に表面実装装置などのエレクトロニクス応用新製品開発に力を入れている。
著者
渡辺 賢治 辨野 義己 山本 雅浩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

漢方薬の腸内細菌に及ぼす影響について明らかにするとともに、アレルギー発症抑制が腸内細菌の変化を介して可能であるかどうかを検討した。まず漢方薬が腸内細菌叢に対してどのような影響を与えるかを検討した。従来の培養法では細かい腸内細菌の変化を捉えることが不可能であったが、腸内細菌のDNAを制限酵素で切断して塩基長を解析するT-RFLP法を用いて解析した。その結果、漢方薬では処方ごとに腸内細菌をある一定の方向に変化させることが分かった。腸管遺伝子発現と腸内細菌との関連を調べたところ、抗生剤(シプロフロキサシン)投与にて腸内細菌が変化し、ヒートショックプロテインの発現が低下した。このヒートショックプロテインの発現は漢方薬十全大補湯にても変化し、腸内細菌の変化を伴っていた。腸内細菌のない無菌マウスではこの遺伝子発現の変化は観察されず、ヒートショックプロテインの変化には腸内細菌の存在が不可欠であることが示唆された。次に抗生剤投与モデルでアレルギーを発症しやすくなるかどうかについて検討した。まずは免疫寛容の系を確立するために予備実験を行い、卵白アルブミン10mgの単回投与にて免疫寛容の誘導できることが分かった。このモデルを用いて抗生剤(セフジトレンピポキシル、アモキシシリン、カナマイシン)を投与し、免疫寛容が誘導できないかどうかを検討した。カナマイシン投与にて少し卵白アルブミン特異的IgEの上昇が見られたものの、基本的に免疫寛容は抗生剤投与により破綻しなかった。しかしながら経口的免疫寛容を誘導しなかった群において、逆に卵白アルブミン特異的IgEの上昇が抑制されており、抗生剤投与にて何らかの免疫系の破綻を来たしていることが分かった。
著者
山本 杉
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
1938

博士論文
著者
幸田 成友
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
1930

博士論文
著者
松平 年一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.14-29, 1943-09

(一) 寫經司系以外の官寫經所 一 寫經所 二 寫一切經司 三 外島院寫經所 四 奉寫寳積經所 五 中島寫經所 六 大和國寫經所 七 奉寫 御執經所 八 奉寫一切經司 九 春宮坊寫經所(二) 官寫經所の故紙利用
著者
長谷部 史彦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.441-456, 2003

論文はじめに一 一五〇六年五月,ダマスクスにおける住民の運動二 一五七一年六月,カイロにおける知識人たちの運動三 一七五一年五月,アレッポにおける女たちの抗議行動四 アズハル・モスクのムジャーウィルたちによる抗議行動 (1) 一七七七年六月 (2) 一七八五年一二月五 アズハル・モスクにおけるフサイニーヤ地区住民の運動 (1) 一七八六年三月 (2) 一七九〇年一〇月まとめと考察
著者
山本 英政
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.519-540, 1993

一 はじめに二 ボストン・ブラーミンと移民問題三 ロッジの南・東欧系移民問題四 識字テスト条項の論議五 むすびにかえてI have long been interested in the history of Japanese immigration to the United States and even more particularly in the question of how the Japanese were, in 1924, eventually excluded by U. S. federal law from immigrating there. In this connection I have also had an interest in Henry Cabot Lodge, a congressman from Massachusetts whose support of this exclusionary policy was decisive in its becoming law. In this paper, however, I discuss the related issue of his racial attitudes towards Slavic and Latin nationals immigrating to the U.S. At the turn of the Twentieth Century, the influx of laborers from southeastern Europe became a major issue in the urban, industrial areas of the northeastern United States. Among those who feared that this influx would lead to a national crisis was Henry C. Lodge. As a lawmaker, he attempted to reduce the number of those arriving by frequently introducing bills that would restrict immigration by the use of "Literacy Tests". This paper attempts to clarify the factors leading Lodge to favor the anti-immigration policy. It also focuses on the enthusiastic battles waged by Lodge in Congress to enact such legislation during the terms of three presidents, who considerd the measure discriminatory and sought to stop its passage with their veto authority. It is my hope that this study will add not only to the general understanding of the history of U.S. immigration policy, but also that it will be of interest to historians concernd with Henry C. Lodge in the above mentioned context.
著者
上村 佳孝
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

昆虫の中でも比較的原始的な特徴を多く残すハサミムシ類(革翅目)は、そのペニスの本数に多様性が認められる。すなわち、左右一対2本のペニスを持つグループ(祖先的)と、中央に1本のペニスを持つグループ(派生的)である。前者の中には左右ペニスをほぼ均等に使用する種と、「利き手」(=使用頻度の偏り)が見られる種がある。ハサミムシ類のペニスの本数と利き手の進化史を、形態解析・機能解析・系統推定といった多面的アプローチにより解明し、「利き手の進化とボディプランの進化の関係」を探る。
著者
小暮 厚之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

平均寿命の増加は,介護状態に陥る可能性の増大を伴う.我が国を始め高齢化を迎えている諸国では,いわゆる「長寿リスク」に加え「介護リスク」に直面している.介護リスクを考察する上で,死亡率がいかに健康状態(要介護度)と関連するかを把握することが重要となる.しかし,関連するデータの欠如によって,死亡率と健康状態のダイナミックな関係に関する研究は乏しい.本研究では,要介護状態別の死亡数データは欠如しているという想定の下で,要介護状態に応じた死亡率を予測する新たなモデルを提案し,ベイズ法による予測の枠組みを構築した.この手法を我が国の介護年金制度のデータに適用し,要介護状態別の死亡率の予測を行った.