著者
藤崎 洋人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

閉塞性黄疸例に対し、しばしば胆管ステントによる治療が行われているが、その欠点として細胞増殖によるステントの再狭窄がある。マウスを用いてステント内にtumor ingrowthするモデルを作製、超高性能高周波磁界発生装置と非接触型温度センサーを用いた、温度制御化温熱療法を施行することを目的として実験を進め、900kHzの磁場装置を用いることにより市販のステントで十分な発熱が得られることを示した。しかし磁場装置と非接触型温度センサーとの連動した温度制御は達成に至らなかった。
著者
斎藤 峻彦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.39-51, 2000-08-25

今日,世界の先進諸国で進められている鉄道改革の中身は日本の新幹線輸送の成功と国鉄民営化の成果による影響を受けているものの,わが国との主要な相違点は,諸外国の-とくにEU諸国の-鉄道改革が鉄道の上下分離政策を柱に実施されている点である。日本の鉄道に比べてはるかに市場条件に恵まれない先進諸外国の鉄道産業は,他の交通手段との競争において平均費用逓減産業が陥りやすい市場の失敗に当面しがちだからである。とはいえ,鉄道の上下分離政策に寄せる各国の思惑は決して一様でなく,相違点は鉄道インフラ使用料の設定やインフラ使用権への競争的参入をめぐる交通政策などに表れ,日本の上下分離のように鉄道整備の資金調達や投資リスク分散を目的とするような例もある。EU諸国が進める国鉄の上下分離はEU共通鉄道政策(指令)を共通のベースとするが,交通市場条件の相違や鉄道改革の相違-とくに国鉄民営化が関係するか-を反映して,その中身は国によってかなり異なる。北欧諸国のように鉄道インフラ使用料を関連外部費用を含む限界費用原理で設定する場合は,インフラ総費用と使用料収入の差額を補填するための多額の公的負担の投入が不可避である。英国やドイツでは上下分離はむしろ鉄道改革-商業的鉄道への復帰-の推進手段として位置づけられ,鉄道インフラ事業自体の採算性復帰と将来における完全民営化をめざしている。鉄道インフラ事業に対する公的負担の投入は利用者負担原則からの逸脱に伴う分配問題を引き起こすが,その正当化には当該交通インフラの存在がもたらす外部効果,すなわち利用可能性=公共財論を援用することが避けられないであろう。
著者
和田 俊憲
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

中止犯における任意性要件は自由意思の問題ではない。自由意思に関わるのは、中止故意、中止の自発性および中止意思である。中止故意については、予防メカニズムにおける自由意思の意義を検討する必要があり、それで足りる。自発性については、制度ごとに相対的な法的概念として位置づければ足りる。脳科学から見た自由意思が直接影響を及ぼすのは中止意思であるが、反省・悔悟が事実的自由意思の不存在を凌駕する要素となりうるため、反省・悔悟の法的意義を解明することが"自由意思の危機"を解決する糸口となる。
著者
加藤 修子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.10-34, 1997-01-20

The purpose of this study is to improve the acoustic environment in libraries and to construct the model of the desirable acoustic environment in libraries, based on the theory of soundscape and soundscape design. In order to think of soundscape in libraries, the author set up the following 3 levels: (1) public space, (2) cultural information centers, and (3) libraries, and examined some examples of soundscape design and the possibility of applying them to each levels. First of all, it is important to clarify the existing acoustic environment of the facilities. Therefore the author investigated the existing acoustic environment of the libraries and the acoustic environmental awareness of librarians by questionnaire, focussing on the public libraries in Saitama and Yamanashi prefectures. The results of this survey are discussed from 3 aspects : (1) sound from the outside of the libraries and undesired sound, (2) sound from the inside of the libraries and undesired sound, and (3) environmental music in the libraries.
著者
飯田 裕康
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田評論 (ISSN:1343618X)
巻号頁・発行日
vol.977, pp.106-107, 1996-02-01
著者
森岡 敬一郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.100-110, 1949-10-01
著者
小川 隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.177-184, 1960

横山松三郎先生古稀記念論文集The study was designed to test what is the effect of criterion of learning on extinction of responding in successive operant discrimination. The method used in this experiment was similar to that of my previous study. Six pigeons were trained for pecking at a monochromatic light as the positive stimulus and an achromatic light as the negative one. the criterion of learning set up at 100 per cent correct response with no errors for one session a day. After the criterion of training was reached, testing effect of learning was carried out under the extinction trials in one session similar to that of training trials. The rate of responding in extinction was compared to the number of errors per reinforcement in the last but one session and average number of errors per reinforcement over the entire learning session. It was found that the more respondent was the extinction, the more errorless was the acquisition in the last but one session, while no correlation was between the rate of responding in extinction and average number of errors over the entire learning session. This result suggests that total correct (or incorrect) responses in the last session or over the entire learning session are only one aspect of criterion of learning and the other aspect, the slope of learning curve at the point where training ceased, needs to be considered.
著者
小野 裕二
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.215-228, 2004-08

清水猛教授退任記念号本稿は,小売構造の一側面としての店舗密度に焦点を当て,店舗密度がある特定の地域間でなぜ相違するのかといった,店舗密度の地域間変動の問題を検討することを目的として,その関連研究をレビューした上で,取り上げられた規定要因や実証分析の諸側面に関して整理を行い,問題点を識別し,今後の研究課題を提示していく。
著者
醍醐 昌英
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.249-264, 2000-08-25

欧米において展開するエッセンシャルファシリティ(EF)理論は,新たな交通施設整備が困難である現在の日本において,モード選択肢を増加させうる手法として注目される。EF概念は(1)必要不可欠な施設の支配,(2)複製の不可能性,(3)使用拒否及び制限の存在,(4)正当な接続拒否理由がないことという4要件で定義される。同概念は価値欲求財の概念に類似するが,主要な供給主体が公的事業者であることを前提としない点でより中立的な規定である。EF概念に関する理論上の課題は複製可能性および接続拒否の妥当性の検証であり,また運用上の課題として費用の把握およびEFの範囲を確定する際の困難性が挙げられる。しかし,現在の経済情勢の下では,需給の変動は限定されるために複製可能性の検証に関して厳密性を要しないなどから概念自体は有用であり,交通市場に同概念を適用する際の重要な問題はEF概念に沿った接続料金設定のあり方となる。そして機会費用概念を伴う賦課原則に基づく接続料金設定がラムゼイ価格形成の発展形となり,競争誘引に寄与する点で有効である。
著者
中条 潮
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.89-109, 2000-08-25

競争が有効に機能するためには,単純に規制撤廃だけを行えばよいわけではなく,競争を阻害する要因を除去するように競争政策を運用していかなければならない。本稿では,そのうちの重要な2つの要因であるエッセンシャル・ファシリティの配分方法と,補助金の配分方法について議論し,前者については混雑空港における発着枠の配分方法のありかたを,後者については不採算路線の補助制度のありかたを例にあげて検討した。まず,スロット配分ルールについては,均等配分ないし抽選制,点数評価制,運賃による競争入札,付け値競争入札に分けて,これら配分方式の優劣を議論した結果,透明性の確保と合理性の点で競争入札方式が望ましいとの結論を得た。また,補助制度についても,補助金に関して競争入札制をとることが,補助の目的を満たしながら,経営効率を維持する方法として望ましいとの結論を得た。

2 0 0 0 OA 古写本を覗く

著者
太田 次男
出版者
慶應義塾大学
雑誌
斯道文庫論集 (ISSN:05597927)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-35, 1994-12-31
著者
鈴木 美穂 渡邊 隆夫 香田 将英 本田 和也 原田 奈穂子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、日本において高度実践看護師のひとつであるナースプラクティショナー(NP)を欧米のように活用した医療提供モデルを構築するために、日本におけるNP養成課程修了者の実践の実態を明らかにし、NPの実践による費用対効果等のアウトカムを評価する。医療技術の進歩と医療ニーズの複雑化により医療者がますます不足かつ偏在する中で、欧米諸国では医療の質とアクセスを一定に保つために、NPを活用してきているが、日本ではNPは公式には認められておらず、協議会ベースでの認定であり、公的導入に至るには科学的にも政策的にも支持するエビデンスがほとんどなく、日本での医療保険制度でのエビデンスの生成を目指す。
著者
平田 栄一朗 針貝 真理子 寺尾 恵仁 北川 千香子 三宅 舞
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

最近の欧米の政治思想研究は「根拠なき見せかけ」や「擬制」などの演劇的な特徴、すなわち「シアトロクラシー」の側面をデモクラシーの特性の一つとして検討している。この特性は、従来の政治思想研究において否定的に評価されていたが、最近の政治研究は、演劇的な特徴の良し悪しを多角度から再検証することで、LGBTや移民などを取り込む開かれた民主主義の発展の可能性を議論している。本研究は国内の演劇学・芸術学の研究者に加え、政治学者や海外の研究者も交えた研究会・講演会を通じて、最近のヨーロッパの演劇学が独自に発展させてきた政治-演劇論の意義を検証し、それらの論から民主主義の発展の可能性に寄与する考え方を導き出す。
著者
佐谷 秀行 齋藤 潤
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

Benzaldehydeは古くからがん細胞抑制作用があることが知られているが、その作用機序は全く分かっていなかった。研究代表者らはこれまでの研究で、膵臓がん細胞では14-3-3ζが高発現することで細胞増殖シグナル分子が活性化し、その機能をBenzaldehydeが抑制していることを見出した。14-3-3ζはこれまでにもがん治療の標的として注目されてきたが、その阻害剤の開発には至っていない。本研究ではBenzaldehydeの効果と毒性をマウスモデルを用いて検証し、新たな膵臓がん治療薬開発の端緒とすることを目的とする。
著者
山田 恭央
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

帝王切開または自然分娩により出生したマウスに対しアレルギー喘息を誘導する。これにより帝王切開がアレルギー感受性に与える影響を調べる。さらに発症前、過程における免疫系を精査することによって、帝王切開がアレルギー感受性に影響するメカニズムを調べる。帝王切開によるアレルギー感受性への影響が、帝王切開に伴う新生仔腸内細菌の異常によるものか検証する。