著者
椿本 弥生 高橋 薫 北村 智 大辻 雄介 鈴木 久 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.255-267, 2013

日本語母語話者の高校生を対象に,日本語で産出した小論文をグループで協同推敲できるシステム「Re:(アール・イー)」を開発した.推敲の観点として内容・構成・言語使用の3つを設定した.グループの構成員が得意とする観点がそれぞれ異なる実験群と,得意とする観点が統一された統制群とで,システム使用前後の小論文の得点を比較した.その結果,全体的評定値については,実験群のシステム使用後で有意に得点が高かった.さらに分析的評定値では,論拠の質などの小論文の質に深く関わる評価項目について実験群のほうが統制群よりも有意に得点が高かった.プレとポストの得点差において,統制群よりも実験群のほうが,各グループで一定に近かった.このことから,提案するグループ編成方法がより多くの学習者に一定の学習効果を保証できる可能性が示唆された.
著者
木幡 敬史 図子 泰三 森 薫 玉村 雅敏 金子 郁容
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.169-172, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
5

本研究チームは,都道府県レベルで実施する学力テストを対象に,各校にて行ったテスト結果を効率的に集計・収集する手法と,各校や教育委員会(県・市町村)において,役割に応じた分析が可能となる手法について研究し,「学力テスト分析システム」の条件定義と実装をした.その上で,実際の教育現場における改善に活用できるよう,岩手県教育委員会と共同で運用をした.本論文では,システムの条件定義,実装概要,運用状況について述べる.
著者
三島 知剛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.107-114, 2007-05-20 (Released:2016-08-04)
参考文献数
16
被引用文献数
6

本研究は,教育実習の効果を検討する上で重要だと考えられる授業イメージ・教師イメージ・子どもイメージが教育実習前後でどのように変容するのかを調べることを主な目的とし,教育実習生114名を対象に実習前後で質問紙調査を実施した.その結果,(1)授業イメージは4因子が抽出され,「マンネリズム」「組み立て」が変容し,授業を肯定的,主体的に捉えるようになったことが示された.(2)教師イメージも4因子が抽出され,「リーダー」が変容し,教師の役割理解が深まることが示された.(3)子どもイメージは6因子が抽出され,「創造性・積極性」「悲観的・不信」「現実的態度」が変容し,ステレオタイプではなくポジティブ・ネガティブ両面から子どものありのままの姿を多面的に捉えるようになることが示唆された.
著者
備瀬 美香 伊藤 智子 鈴木 雅之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.129-139, 2018-10-30 (Released:2018-10-30)
参考文献数
52

本研究では,英語学習方略の中でも英文読解方略に焦点を当て,英文読解方略について指導された経験(被指導経験)と方略使用の関連について,個人内相関に着目して検討した.また,被指導経験と方略使用の関連の個人差を説明する要因として,読解意欲と自己効力感に着目した.中学3年生127名を対象に質問紙調査を行い,マルチレベル分析を行った結果,指導された経験の多い方略ほど,生徒はよく使用する傾向にあることが示された.また,これらの関連には個人差があり,読解意欲の高い生徒ほど,指導された方略を使用する傾向が強いことが示された.ただし,被指導経験の効果は非常に大きいのに対し,読解意欲の効果は小さいものであった.したがって,教育実践においては方略指導を行うことが重要であり,読解意欲を向上させるための取り組みも同時に行うことで,より一層の効果がみられる可能性が示唆された.
著者
赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.23-34, 1986-03-20 (Released:2017-10-20)

教育工学の研究領域の1つに,教材開発がある.教材開発の方法は,各教科の独自性に依存しており,教育工学的アプローチによる教材開発の研究は数多くない.本研究では,教科内容の独自性に依存する内容に関する提案と,これを基礎にした教育工学的方法による教材作成の両面について報告する.本研究では,世界各地域に設置されている海外日本人学校の理科の教科における,天体教材を対象としている.すなわち,世界各地域で使用可能な「星座早見盤」の開発における視野の形状や分布について,新しい提案をしている.また,マイコンを用いて各地域ごとに適合できる星座早見盤を作成した.本研究の報告は,現実の問題における解決案の提案であり,その考え方および方法について論じている.
著者
平山 るみ 田中 優子 河崎 美保 楠見 孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.441-448, 2010-02-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
27
被引用文献数
7

本研究では,批判的思考を支える能力を測定するための尺度としてコーネル批判的思考テスト・レベルZ(ENNIS et al.1985)を用いて,日本語版批判的思考能力尺度を構成した.まず,コーネル批判的思考テスト(ENNIS et al.1985)を日本語に翻訳し,その内的整合性および難易度を検討した.さらに,批判的思考態度尺度,および認知能力としての知能を測定する京大SXとの関係性を検討した.大学生43名に対し,批判的思考能力尺度,批判的思考態度尺度,認知能力尺度を実施した.そして,批判的思考能力尺度について検討した結果,尺度の内的整合性が得られ,課題の難易度は適切であることが確認された.また,批判的思考能力尺度得点と言語性の認知能力尺度得点との間には正の相関がみられ,この尺度には言語能力が関わることが示された.そして,批判的思考能力尺度と情意的側面を測定する批判的思考態度尺度とは,関係性がみられず,それぞれ独立した尺度であることが示された.
著者
稲見 和典 中山 実 西方 敦博 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.107-117, 1997-09-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
7

英単語学習において,英和辞典としてCD-ROM辞書を利用した場合と,印刷英和辞書を用いた場合の学習成績を比較した.その結果,制限時間内に辞書による単語検索回数を自由とした場合の,日本語の意味の記憶試験では1%,英語のスペル試験では5%水準の有意差で,CD-ROM辞書使用時の正答率が高いとの結論を得た.また,制限時間を設けずに辞書の利用回数を各英単語につき1回に制限した場合には,学習成績に差はなく,CD-ROM辞書を用いた方が,1単語ごとの記憶時間が長いことがわかった.次に,アンケートによる主観評価について因子分析を行い,「おぼえやすさ」,「学習のしやすさ」,「操作性」,「持続性」,「見やすさ」の5因子を抽出した.これらの因子評価点と学習成績との関係を調べたところ,「おぼえやすさ」と成績の間に相関関係があることがわかった.
著者
辻 義人 杉山 成
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.45-48, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

大学教育の質保証の手段として,アクティブラーニング(以下,AL)への注目が高まっている.AL形式の授業では,多方向的かつ学生の自主的な学びが重視された活動が行われている.本研究では,同一科目について,従来の座学形式と,AL形式で開講したとき,どのように履修者の自主学習への態度や行動,授業内容の理解度に違いが見られるのかに注目し,比較を行った.その結果,以下の2点が明らかになった.①AL形式において学習者の自学自習の意欲が高く,実際に自学自習が行われている.②両形式間において,最終的な理解度に差は見られない.しかし,AL形式の授業では,自学自習への動機づけが維持される効果が期待される.
著者
植野 真臣 宇都 雅輝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.169-182, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
29
被引用文献数
7

本研究は,他者からの学びを誘発するeポートフォリオ・システムの開発を目的とする.本システムの特徴は,(1)個人のeポートフォリオを構造化し,ハイパーリンクでつなぐことにより,多様なパスで有用な他者情報の発見を支援する,(2)高度な検索機能により,キーワード検索,過去の優秀なレポートやテスト成績の良い学習者,相互評価の高い学習者などを容易に検索できる,(3)すべての階層でのアセスメント機能として,テスト,ピア・アセスメント,セルフ・アセスメント,教師推薦によるベストプラクティス,他者からのコメント入力やリンク付けなど多様な手法が用意されており,自己のリフレクションを誘発するだけでなく,優秀な他の学習者の発見に利用できる,などが挙げられる.実データより,本システムが他者からの学びを誘発し,持続学習への動機向上と深い知識の獲得を支援できることを示す.
著者
須田 昂宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.40083, (Released:2017-02-03)
参考文献数
27
被引用文献数
2

本論文では,大学授業の実態把握のためのツールとして,リアクションペーパーの記述内容に基づく学生の学びの可視化手法を開発した.「学びの具体性の保持」と「分析手続きの定式化」を重視し,中道らの「中間項」を参考とした.「中間項」は元のテキストデータを原文の具体性を保ちつつ構造化されたデータに変換するというものであり,学習を「直接的な学習対象」と「間接的な学習対象」からなるものとして捉えるマルトンの学習論に依拠する形でリアクションペーパーの記述内容を構造化されたデータに変換し,クロス集計表に整理し,コレスポンデンス分析とバブルチャートを適用することによって,「学生」と「学びの類型」の関連構造や「授業トピック」と「学びの類型」の関連構造を可視化することを可能にした.さらにはこれを多様な授業に試験的に適用することで,各授業固有の学びの特徴が明らかになると同時に,本可視化手法の有効性が示された.
著者
澤山 郁夫 寺澤 孝文
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-18, 2014-05-20 (Released:2016-08-11)
被引用文献数
6

知識の習得を目的とした一問一答式のeラーニングは,学習者が気軽に学習を行うことができる反面,強い自律性が要求され,学習が継続されにくいという問題がある.一方,近年,集団での学びが,学習に対する動機づけを高める等の理由から注目を浴びている.そこで本研究では,従来個別に行うものと考えられてきた一問一答式eラーニングに,学習者同士の繋がる仕組みを取り入れ,学習システム利用度の変化の仕方が異なるか否かを検討した.具体的には,学習者は,繋がりシステムを稼働させる「繋がり学習条件」と,稼働させない「単独学習条件」に振り分けられ,1ヶ月間eラーニングを利用した.利用度の指標には,ログイン日数やアンケート調査で問われる継続意思に加え,実際に学習が成立したことをより正確に評価可能な学習量を用いた.その結果,繋がりシステムには,学習量の減少を抑える効果が認められた.
著者
沖林 洋平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.133-136, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
6

本研究では,知的好奇心と授業に対する興味および授業内容の定着度の関係について検討した.本研究では,学習者が主体的に考える活動として,動画視聴や関連する課題を行った後,グループでの意見交流を行った.受講者を対象として,知的好奇心尺度と大学生用興味尺度および授業内容定着度調査を実施した.その結果,特殊的好奇心と興味対象関連の知識が内容定着と関連が見られることが明らかとなった.また,特殊的好奇心と授業内容定着度の関係について,興味対象関連の知識の調整効果がみられた.本研究により,興味対象関連の知識は特殊的好奇心と授業内容の定着に関連することが示された.
著者
永田 智子 鈴木 真理子 稲垣 成哲 森広 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.161-164, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
4
被引用文献数
4

現職教師がデジタル・ティーチング・ポートフォリオを作成する活動とそのためのブログ環境を設定し,実践,評価した.実践では4名の現職教師が理科の授業についてブログに書き込みを行った.実践に参加した現職教師へ行ったインタビューから,本ブログ環境はおおむね使いやすいものであり,活動は授業の振り返りに役立つことがわかった.それに加えて,教師が実践や振り返りを継続するために,「日々のデータの蓄積」「蓄積されたデータの再利用」「他教師との比較による刺激」「実践継続の励み」「課題の提示」という機能が必要であり,ブログ環境や支援活動に組み込む必要があることがわかった.
著者
山口 莉奈 正田 悠 鈴木 紀子 阪田 真己子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.125-135, 2017

<p>本研究では,体育科教員がダンス授業に対して抱く「ダンス指導不安」にいかなる特徴があり,そうした不安が教員歴やダンス指導経験によっていかに異なるのかを調べた.調査1では,体育科教員を対象にダンス指導に対する不安を自由記述により調査した.その結果,ダンス指導不安 が5つのカテゴリーから構成されることが示され,理想の授業を実現するダンス技術がない不安や生徒との関係に対する不安が抽出された.調査2では調査1のカテゴリーを基に評定尺度を作成し,調査1とは別の教員に回答してもらった.その結果,ダンス指導不安が調査1と対応する 4因子により構成されることが確認された.調査1と同様に,生徒がダンス教育に求めているレベルやニーズを理解しながらも,それに対応するだけのダンス技術がないと感じている教員の葛藤が認められた.さらに,そうした教員の葛藤は,ダンス指導経験の有無に関わらず同程度に認 められることが示唆された.</p>
著者
赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.265-273, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
12

ICTの活用と学力の関連について,諸外国の研究を調査して,総括的に述べている.本総説を述べるには,学力の定義や,ICTの活用に関わる多様な要因について言及する必要があるが,ここでは,小学校から高等学校までの教科の学力,ICTの利用頻度や形態などの要因に限定して述べている.本総説では,OECDのPISA調査,イギリスのBectaの調査,アメリカテキサス州の調査を中心にして考察した結果,ICTの活用は,全体的に教科学力の向上に効果的と言えるが,統計的な有意差は,特定の学年や教科に限定される.ICTの活用の仕方と,教育理念,授業形態,教員の指導力,技術支援体制,教材,ICTの環境などとの関連については,フィンランド,シンガポール,中国への訪問調査によって事例的に述べている.
著者
時任 隼平 寺嶋 浩介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.15-29, 2018-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
38

本研究の目的は,学校改善を担うスクールミドルの成長発達に寄与する教職経験の具体を明らかにする事である.学校改善に取り組む2つの公立高校を研究事例とし,スクールミドル5名を対象にインタビュー調査を実施した.複線径路等至性アプローチを用いて分析した結果,スクールミドルは校務分掌の一環としてパイオニア径路とフェロー径路のいずれかを経た経験を持つ事が明らかとなった.具体的には,パイオニア径路の教師は分掌内で学校改善案を発案し分掌内外の教師との関係調整等を行い,フェロー径路の教師よりも強くリーダーシップを発揮している可能性が示唆された.また,フェロー径路の教師はパイオニア径路の教師とは異なる役割を自律的に担った経験等を経ていた.径路進行の際には受験指導等を重視する学校文化との衝突が生じ,スクールミドルは同僚グループによる協力体制を形成した上で先輩教師からの支援を受けた経験を経ている事が明らかとなった.
著者
森本 康彦 喜久川 功 宮寺 庸造
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.227-236, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
15
被引用文献数
2

eポートフォリオを扱う既存システムは,eポートフォリオ間の関係の管理が困難なため,収集した学習成果物や学習記録と評価活動との対応が取りにくく,学習と評価が切り離されてしまう傾向がある.その結果,学習者は,自身の学習プロセスを把握しにくくなり,eポートフォリオの再利用の促進の妨げとなっている.本研究では,この問題点を解決するシステムの実現を目的とし,eポートフォリオを用いた学習と評価に必要なエビデンス群を有意味な単位で蓄積するための形式的な枠組みを有するeポートフォリオ蓄積文法と,開発した蓄積文法に基づくシステムを開発した.蓄積文法を導入することで,有意味なルールに則り,学習と評価を切り離さずに好ましい構造を保ちながら機械的にeポートフォリオを扱うことが可能なシステムの実現が期待できる.システム評価の結果から,本システムは,学習と評価の一体化を損なわずに,学習プロセス把握,eポートフォリオの再利用を支援し,学習者のリフレクションの誘発を促進することが示された.
著者
太目 弘樹 森本 康彦 丸山 浩平 北澤 武 宮寺 庸造
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.193-196, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
7

本研究では,e ポートフォリオを活用した授業において,学習者の学習プロセスの振り返りを促進することを目的とする.具体的には,学習者が作成・収集したe ポートフォリオを活用して,自身の学習プロセスを通して何を学び,どのように変容したかをストーリー立ててまとめる「ストーリー・ポートフォリオ」を提案し,ストーリー・ポートフォリオ作成が学習プロセスの振り返りに与える影響を検証する.その結果,ストーリー・ポートフォリオの作成を付加した際には, 学習者の学びの気づきや状況を想起させ,何がどう変容し成長したかの振り返りを促進させる効果があることが示された.
著者
大前 佑斗 高橋 弘毅
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.065-068, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
6

近年,集団型教育における内省活動の重要性が指摘されている.教育効果が生じていた/生じていない受講者の特徴を把握することができれば,よりよい内省を行うことが可能となる.そのため本論文では,決定木を活用し教育実施前後のデータから,教育効果が生じた/生じていない受講者の特徴を言語化する手法を提案した.高校生らに行われた教育に対し提案手法を適用した結果,教育効果が生じた/生じていない生徒の特徴の言語化が確認された.提案手法を活用することで,良好な教育効果が生じた/生じていない受講者の特徴を言語的に把握することが可能となる.
著者
佐藤 朝美 松河 秀哉 椿本 弥生 荒木 淳子 中村 恵 松山 由美子 堀田 博史
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S43039, (Released:2019-08-13)
参考文献数
6

本研究では,保護者が子どもの成長や学びについて深く考えるために,デジタルストーリーテリングワークショップを開発し,その効果を明らかにすることを目的とする.園で撮影された写真を用いた活動をデザインし,実践した結果,子どもの成長だけでなく,保護者自身,園や先生の役割についての振り返りが促されていた.また保育者からは,本WSのDST作品や保護者の対話に対して,「子どもを共に育てる」気持ちを共有できたというポジティブな見解が示された