著者
胡 啓慧 野中 陽一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.153-156, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
5

本研究では,一人一台の情報端末を導入した二つの中学校を対象として,キーボード入力スキル,ソフトウェアの基本的な操作スキル,情報活用の実践力に関する調査を行った.学校間,学年間における比較により,一人一台の情報端末の活用は生徒のキーボード入力スキルを向上させることが明らかとなった.また,スキル習得のためのトレーニングを行うことで更に向上させることが可能であることが明らかとなった.これらのスキルには関連性がみられなかったことから,それぞれにトレーニングが必要となる可能性が示唆された.
著者
坂井 裕紀 柄本 健太郎 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S41067, (Released:2017-09-29)
参考文献数
11

近年,従業員の仕事の質の向上に注目が集まっている.また,ゲーム要素を取り入れた方法への関心が世界的に高まっている.このような背景から本研究では,仕事にゲームの要素を付与する方法を教育する「ゲーミフィケーション研修」を開発し,実施した.その結果,研修を受講した従業員は,仕事中のポジティブ感情の表出を肯定的に捉え,ゲーム要素を仕事に付与し,自律的な行動が促進され,仕事の質を向上させる可能性が示唆された.
著者
中尾 教子 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Suppl., pp.133-136, 2006-12-20 (Released:2016-08-03)
参考文献数
5

学校の情報化を支える専任的外部人材に求められる業務を明確化,体系化するために,4分類135項目からなる標準化リストを開発した。これを用いて,3地区12名の専任的外部人材の業務を分析した結果,地方自治体や担当校ごとの業務バランスの違いや個人の業務特性を指摘することができた.このことにより,開発された標準化リストには,業務評価を行う際に,一定の識別力があることが確認された.
著者
山岡 俊章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.131-134, 2000-08-20
被引用文献数
2

iモードやEZweb, J-スカイウェブなどいわゆる"手の中インターネット"が可能なブラウザ内蔵の携帯電話が普及してきた.本研究では, これらのブラウザ内蔵の携帯電話へ休講情報を提供するシステムを開発し, また, 同時にメール配信システムも開発した.本システムを使用して, 管理者はPCまたは携帯電話(iモード)から休講情報を登録すれば学生に常に最新の情報を提供することが可能になる.またPCから, 学科や専攻, 学年ごとに一斉にメールを送信することができる.
著者
山本 洋雄 中川 英世 中山 実 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.109-118, 1998-09-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
13

入社前に身につけた能力や新人教育での成績,講師からみた性格など,入社時の個人データと,10年後の給与査定(企業内評価に相当)との関連を検討した.入社時試験の「専門」や「数学」「英語」と,新人教育での「情報基礎」が,10年後の給与査定との間で関連が認められ,順位相関係数が5%水準で有意であった.また,給与査定など人間に関する評価は多面的に行われているとの観点から,重回帰分析と,数量化II類による重判別分析を行った.そして,入社時の個人データによって10年後の給与査定を判別した結果,正判別率66.3%の高い値が得られた.判別に関係する項目としては,入社時試験の「専門」と性格の「努力」,「几帳面」,および新人教育での「情報基礎」などであった.入社前に身につけた「専門」知識や,新人教育での「情報基礎」といった,基礎的・基本的な知識が入社10年後にも関連のあることがわかった.
著者
田村 知子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Suppl, pp.137-140, 2006-03-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1

カリキュラムマネジメントについて定義し,その構造のモデルを開発した.その前提として,まず先行研究における論点を整理して,教育課程経営とカリキュラムマネジメントの異同を明らかにした.さらに,教育課程経営の機能化を阻害してきた要因に着目して,従来の教育課程経営論には含まれなかった文化的要因(カリキュラム文化と組織文化)をカリキュラムマネジメントの構成要素として取り入れることの妥当性を指摘した.
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018

<p>児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.</p>
著者
佐々木 弘記
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.suppl, pp.13-16, 2004-03-05 (Released:2017-10-20)
参考文献数
4

本研究では,目標に準拠した評価(以下「目標準拠評価」と記す)における評価の統一を図るために,教師が児童生徒の評価資料を持ち寄り,評価情報を交換する協議・moderation(以下「モデレーション」と記す)を導入した.そして,教育委員会や各学校に提供しやすいようにその手続きをプログラム化した.開発したプログラムを本教育センターの研修講座で試行し,評価した.その結果,対象とする教師と評価資料とが適切に対応していれば,評価の統一にプログラムが有効にはたらくことの可能性が示唆された.
著者
矢川 園子 中山 実 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.213-216, 2000
参考文献数
6
被引用文献数
2

本研究では, さまざまな音環境において文章を読ませたときの音読速度について, 音読者の音楽的習慣との関係から検討した.音環境として, 無音, ホワイトノイズ, 日本語の歌詞つきの歌謡曲, クラシック音楽の4条件を設定し, それらの条件下での音読速度を比較した.また, クラシック音楽のテンポを変化させた時の影響も調べた.さらに, 音楽的習慣に関する質問紙の回答結果を因子分析し, "音楽の理解", "日常的音楽習慣", "音楽好き"の3因子を得た.各因子成績と音読速度の関係を調べ, 音楽的習慣による影響を明らかにした.
著者
牧村 真帆 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Suppl., pp.173-176, 2009-12-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
4

ワークショップのデザインプロセスのうち,初期段階のアイディアの生成過程における実践家の思考過程を明らかにすることを目的とし,6名の実践家を対象に,思考発話法と半構造化インタビューを用いて実験を行った.案の生成と下見時の空間体験との関係について分析を行った結果,新たな案が生まれる際に,空間がそのきっかけとなっていることが明らかになった.また,デザインプロセスにおいて既出の案が別の案へと展開される際にも,多くの場合空間に関する気づきや解釈がきっかけとなっていることがわかった.
著者
高橋 純 佐藤 和紀 大村 龍太郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.097-100, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
6

汎用のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下,SNS とする)やスマートフォンのビデオ撮影機能を活用して,模擬授業ビデオやコメントを投稿したり振り返ったりした.受講者の全てが日常的なコミュニケーションに活用するSNS を用いたため,アカウントの作成も不要であり,すぐに模擬授業の演習を行うことができた.回数を重ねるごとに受講者の模擬授業に対する自信や理解が高まり,こうした講義形態は,自分の授業改善につながったなどの評価を得た.
著者
坂元 章 木藤 由美子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.217-220, 2000
参考文献数
5

本研究は, 京都大学の合格者を対象として, 大学入試の得点が後年の社会的成功を予測するかどうかを検討した坂元ら(1999)の知見を追試するために, 昭和24年度の九州大学経済学部合格者147名に対して紳士録調査と質問紙調査を行ったものである.その際, 社会的成功の指標として50年後の生存を加え, また, 受験当時の生活についても検討し, 坂元ら(1999)の方法を拡張した.本研究の結果は, 進学適性検査得点の予測力は低く, 大学学力検査得点の予測力に優らないとする坂元ら(1999)の知見に一貫し, それがより広い対象者にあてはまる, より一般性の高いものであることを示した.
著者
関 友作 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.141-150, 1994-01-20 (Released:2017-10-20)
被引用文献数
2

学習メディアとしてのテキストを対象に,箇条型の情報提示が,読み手の内容理解に与える影響を研究した.具体的には,項目型の情報について,(1)各項目を箇条に分けて,リストの形で提示した場合(箇条群)と,(2)各項目を文中に埋没させて提示した場合(埋没群)とで,どのように理解に違いがみられるかを,印刷メディアを材料として実験調査した.実験では,テキスト読解後に内容についての再生を求めた.被験者の再生文を得点化した結果,箇条群の方が埋没群より,内容理解にすぐれていることがわかった.また,項目の再生順序については,埋没群の方が箇条群よりも,テキストの提示順序に近くなることがわかった.この理由として,次のことが示唆された.(1)リスト形式(箇条型)のテキストは,そのレイアウトにより,あらかじめテキスト構造についての情報を読み手に与える.(2)リスト型提示は,情報への自由なアクセスを,視覚的に可能にする.これらの点を,先行研究との関連の中で考察した.
著者
中田 英利子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.177-180, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
8

本研究では評定時期が学生による授業評価に与える影響を検討した.シラバスどおり進行した授業を対象に大学生248名にシラバスどおり授業進行したかを評価する際に想起した事象などを回答させた.その結果,評価対象回1週間後にその内容が想起されやすいこと,評定時期により評定値に差はないが対象回直後と1週間後は当日の内容から評価するが2週間後は教員の性格などから評価すること,1週間後と2週間後はノート参照せずに評価することが示された.以上から,対象回1週間後であれば,適切な授業内容を想起して対象回当日の情報から正確に評定できるという授業評価の妥当性と信頼性とが比較的担保できる可能性が示唆された.
著者
奥本 素子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.395-405, 2011-03-30 (Released:2016-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

本研究は,人文系研究科に属する博士課程の大学院生を対象に,分野を越境した研究の学びについて調査したものである.本研究の目的は,研究者を目指す大学院生がどのようなきっかけで学際的研究交流体験に参加し,どのような経験を経て分野を越境した学びに到達しているのか,について示唆を得ることである.本研究ではインタビュー調査による定性的データを元に学際的研究交流体験を仮説モデル化し,そのモデルの妥当性を質問紙調査による定量的データを元に検証した.その結果,他分野の学生との人的ネットワークが学際的研究交流の動機付けになっていることが明らかになった.さらに学際的研究交流の体験において学生は,失敗を経て,改善点や工夫を行い,体験の成功にいたっていることが分かった.そのため,学際的研究交流は単発的体験よりも,継続的体験から効果が得られるものだということが分かった.
著者
山添(池下) 花恵 河合 隆史 宮尾 益知
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.13-16, 2008
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では,学習障害児の視覚的な認知特性に着目し,コンピュータ上での視覚的訓練方法を考案した.具体的には,漢字1文字を字画に分解し,再構成させる方法(分割・再構成法)である.漢字を細分割化し,視覚的に字画の形状を区別できるようにすることが,小児の書字スキルにどのように影響するかを調べた.学習障害児に,分割・再構成法による書字学習と視写法による書字学習を行い,訓練効果を比較した.その結果,短時間の訓練において,習得した漢字の構成に関する記憶は,分割・再構成法で長期間保持されることがわかった.視覚性の記憶が優位な学習障害児において,本法を用いた学習の有効性が示唆された.
著者
佐藤 朝美 椿本 弥生 朝倉 民枝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.229-239, 2013

子どものNarrative Skillの発達には,家族としてのNarrative(Family Narrative:FN)が重要な役割を果たすという.親自身が家族としての経験の意味づけを家族内コミュニケーションにおいて行っていくことが,子どものNarrative Skillにおけるストーリーの意味づけの行為に影響する.本研究では,Family Narrative Consortiumが作成した指標を手がかりに,Digital Storytellingを活用した家族内コミュニケーションの活動をデザインし,FN向上の支援を行った.実証実験の結果,活動により,FNの向上が観察された.一貫性とインタラクションが特に向上した家族には,相手の発言を受け止め,意見を出し合いながらテーマに対する家族の意味を構築している様子がみられた.また,この活動自体の家族にとっての意味を考え,ワークシートの記述を詳細に行っていた.
著者
吉野 志保 野嶋 栄一郎 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.29-32, 1997
参考文献数
4
被引用文献数
3

本論文では, 字幕の種類による理解の効果について述べている.英語音声付き映像を用いた英語の聞き取り場面を設定し, 字幕を付加した.その場合の字幕の種類により異なる効果が, 再生にどのような影響をもつのかについての認知的な実験を行った.その結果, 英語字幕が英語の再生に最も有利であった.英語字幕では, 2つのモダリティ(視覚・聴覚)による情報の入力が再生に有効に作用し, 単純に再生された英単語数が最も多いだけでなく, 意味的なまとまりとして理解されていることが示唆された.日本語字幕は, 聴覚からの入力情報(英語)と異なる視覚情報(日本語)を同時に与えるために, 英語の聞き取りや記憶を阻害すると考えられた.
著者
山口 洋介 三宮 真智子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.113-116, 2013

本研究では,思考過程を推測するための新たな手法として,「タイピング思考法」を提案し,その有効性について検討した.タイピング思考法とは,「課題遂行時に,頭の中で考えている内容を,そのまま即時にコンピュータにタイピング(キーボード入力)する」という手法である.大学生および大学院生10名を対象に,タイピング思考法を実施してもらった後,アンケートへの回答を求めた.その結果,参加者は自身の思考内容をプロトコル上におおむね反映できたと報告し,困難感も比較的小さいことが示された.さらに,得られたプロトコルをもとに,創造的思考方略を抽出・分類した結果,多様な側面が見出だされた.