著者
久保田 直行 脇阪 史帆 小嶋 宏幸
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.449-460, 2008-08-15 (Released:2008-11-10)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

近年,ロボットは,人間と混在する一般の環境での行動が求められている.その様な環境では,ロボットの行動を事前に設計しておくことが困難であるため,ロボットは自身の経験から行動を学ばなければならない.そのような背景のもと,シミュレーション上で学習を併用する研究が行われているが,実環境とシミュレーション環境とのギャップのため,学習した行動が実環境で使えないなどの問題が指摘されている.そのため,本研究では実空間と仮想現実空間とができる限り,シームレスにつながった仮想現実空間を構築し,ロボットが環境や人間との相互作用を学習するための方法論を提案する.さらに,仮想現実空間上での行動制御や人間との相互作用に基づく実験を行った.実験結果では,情動に基づく環境の知覚が有効であること,また,人間とのコミュニケーションが円滑になることを示した.
著者
久保田 直行 矢口 愛子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.683-692, 2009-10-15 (Released:2010-01-12)
参考文献数
43
被引用文献数
1

国内における少子高齢社会の到来により,高齢者や子どもの見守りのため,家庭用パートナーロボットの開発への期待が高まってきている.しかし現状のロボットはシナリオに依存することが多く,自然なコミュニケーションを実現できてはいない.本研究の目的は,環境と発話内容の関係性を学習することで,人間とロボットの間での自然なコミュニケーションを実現することである.本論文ではロボットが環境と発話内容の関係性を学習するためにスパイキングニューラルネットワークを用いた手法を提案した.提案手法を用い,コミュニケーションを通じて,ロボットが日用品の用途を学習する実験と,時間と発話の関係を学習する実験を行った.実験の結果,ロボットが人間との相互作用によって認知環境に基づいた発話内容の更新を行えるようになる,ということを示した.
著者
近藤 史孝 藪下 良樹 渡邊 俊彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第26回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.111, 2010 (Released:2010-11-05)

近年,大規模最適化問題の有効な近似解法として遺伝的アルゴリズム(GA)が研究されている。しかしGAには、計算負荷が高い、母集団内の個体の早期収束による局所解への収束、局所探索が不得手である、パラメータの設定が複雑であり多大な試行錯誤を必要とするといった問題が存在する。これらの問題への対処方法としてパラメータ不要の遺伝的アルゴリズム(PfGA)、分散型遺伝的アルゴリズム(DGA)などが提案されている。本研究ではPfGAのパラメータ設定が不要であるという特徴を生かしつつ最適化性能を更に改善するために、進化の過程で子個体の生成数を生成された個体の適応度の順番に応じて適応的に変化させることによって探索能力を向上させる手法を提案するとともに、PfGAの分散化を行い、代表的な最適化問題の一つである巡回セールスマン問題(TSP)を対象とした数値実験結果を通して、提案手法の有効性を示した。
著者
山下 真裕子 山田 逸成 安田 昌司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.599-607, 2015-04-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
22
被引用文献数
2

点滅周期を変化させた色データにおける生理的・心理的影響を検討することを目的に,学生16名を対象に実験を行った.その結果,点滅周期の違いによる脳波のa3分布率および主観評価に有意差を認めた.つまり長周期の点滅周期の点滅光に快適性やリラックス感が高まる傾向を認めた.今回得られた結果により,ストレスに起因する心身の不定愁訴を抱える人々に対し,病院や企業,教育現場,地域社会において癒し効果の高い快適空間に提供することが可能と考えている.
著者
幸田 憲明 松井 伸之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.43-46, 2012 (Released:2013-07-25)

連続値を扱うニューラルネットワークを適用した強化学習の研究がなされているが,従来のニューラルネットワークでは,その形状とニューロン数を予め決定しておく必要があり,どのような学習結果となるか予想できない強化学習ではこれらを予測しておくことは一般に困難である. そこで本研究では,自律的にニューロンを追加するRCEモデルのニューロン生成機構を導入したニューラルネットワークによる強化学習について述べる.
著者
本多 克宏 松井 智宏 野津 亮 市橋 秀友
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第25回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.147, 2009 (Released:2009-12-15)

テキスト文書の分類は電子メール自動選別や特許検索などの基盤技術として重要である.本研究では,ファジィ主成分分析に基づくロバストなk-Means法により,ノイズとみなされる文書の影響を除去しながら,関連性の強い文書からなる文書クラスターを抽出する.頻出単語のtf-idf値に基づくテキスト文書の数値化の後,ファジィ主成分分析の応用により文書間の結合行列を作成し,各文書の重要度(ノイズではない度合い)を考慮しながら行列の並べ替えを行うことで,クラスター構造を視覚的にとらえる.
著者
野本 弘平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.918-926, 2019-12-15 (Released:2019-12-25)
参考文献数
12

この研究では,3つのグループの人々,すなわち日本人居住者,日本人来訪者,外国人来訪者が視線計測装置を装着して,伝統的な日本の商店街を歩く実験を,東京都荒川区において行った.注視点は,視線計測装置視野画像上の2次元直交相対座標系で計測された.これらの2次元データを3次元極絶対座標系へ変換する方法を開発し,これにより3次元空間における注視点分布を求めた.注視時間分布と注視対象についても併せて特定した.つぎに,上記3つのグループの視行動について,解析し比較を行った.そして,街を歩くときの無意識の視覚的注意がその人の社会的背景により定量的に特徴づけられた.
著者
小竹 康代 王 丹? 中嶋 宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第34回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.668-669, 2018 (Released:2019-01-09)

In ordinary manufacturing lines, worker’s proficiency degree in the manufacturing operations was evaluated by a unit time or cycle time of making products. In this manner, it is hard to understand how the worker accomplishes the manufacturing operation and tasks with specific motions and objects derived from the hands, body and/or eyes. To overcome this limitation, we investigated the degree of worker’s proficiency of four elemental processes with methods of evaluation to estimate the connectivity between the sensory and motor integrations in human brain information processing. We measured eyes and body movements when workers manufactured products through three months. The developed method could differentiate the worker’s proficiency degrees between experts and novices. Coincidentally, expert workers had relatively high levels at every elemental process compared to novice workers who had low levels in two of the four elements. These results show the possibility that novices are not as proficient as experts when memorizing correct procedures as they are more likely to discriminate a specific point to accomplish tasks due to immature memory functions within the brain.
著者
鈴木 崇也 中村 量真 平田 卓 相原 佑次 北 恭成 野本 弘平 中村 芳知 沢田 久美子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.655-658, 2012 (Released:2013-07-25)

情報量が多いのに対し表示スペースが限られているヒューマンインタフェースでは,スクロール文字がよく用いられる.スクロール文字では,その移動速度が速いほど表示される情報量は多くなるが,同時に読むことは困難となる.スクロール文字は読みやすくなければならない.しかも,実際のヒューマンインタフェースでは,その文字が明確に認識し易い事だけでは不十分である.スクロール文字の文が困難なくユーザに理解されなければならないのである. 本研究では,スクロール文字をユーザに示す実験が行われ,彼らの理解の度合いが客観的に計測された.そしてスクロール文字の移動速度がユーザの理解に及ぼす影響が定量的に評価された.
著者
早矢仕 晃章 岩永 宇央 岩佐 太路 大澤 幸生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.534-545, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

近年,ビッグデータや人工知能の世界的な潮流から,分野を横断した多様な領域のデータを連携し,既存のビジネスの付加価値向上や新規事業の創出に対する期待が高まっている.しかし,異分野データ連携によるデータ駆動型イノベーションを実現するためには,世の中に存在するデータの構造とそれらの関係を正しく理解する必要がある.つまり,個々のデータの詳細な分析ではなく,データによって構成されるデータの母集団がどのような構造的特徴を有しているのかを調べることが重要である.データジャケット(DJ)は人間のデータ可読性を向上させ,データ理解を促進させることを目的としたデータ概要情報記述手法である.本論文では,メタデータであるDJを分析対象とすることによって,母集団であるデータと変数の特徴及び構造を理解する.データ市場における「材(リソース)」であるデータについて,変数や共有条件の観点から分析した結果を議論する.分析の結果,データのネットワークは局所的に密であり,大局的には疎な構造となることが確認された.さらに,共有可能データと秘匿データの違いが変数の種類に現れ,それぞれネットワークにおいて異なる特徴を有することが分かった.
著者
上田 拓弥 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第34回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.126-129, 2018 (Released:2019-01-09)

自身の手が見えない環境て?ラバーハンドと本身の手を同期的に触刺激すると,ラバーハンドが自身の手のように感じるラバーハンドイリュージョン(Rubber hand illusion,RHI) は身体的感覚か?外界のものに寄託する現象である.本研究では,自作した延長可能なラバーハンドを用いて,視覚と触覚の同時に刺激によるRHI を行った.また,実験後に回答して貰った内観報告書と,国際式 10-20 法によるC3とC4 の電極位置における脳波の相関値,橈側手根屈筋の筋電位計測からRHIの強度を客観的に評価した.その結果,RHIの誘導試行を繰り返すことによって,C3-C4の脳波パワーの相関値と内観報告書のRHI関連スコアの上昇か?みられ,RHI に積算性がることか?示唆された.また,試行回数が多い場合はラバーハンドの長さが2 m を越えてもRHI の発現か?確認された.興味深いことに内観報告書にて RHI の発現を感し?ないと報告するものて?も,脳波の相関の上昇や,回避行動か?確認され,非自覚の RHI 発現か?ある可能性か?示唆された.
著者
伊藤 晃 吉川 大弘 古橋 武 池田 龍二 加藤 孝浩
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第26回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.157, 2010 (Released:2010-11-05)

アンケートは,企業が市場の動向を調査するための重要な手段の一つであり,アンケートデータを解析し,得られた知見をもとにマーケティング戦略の立案を行うことがしばしば行われている.アンケートデータの解析には様々な手法が用いられているが,その一つにアソシエーション分析がある.アソシエーション分析とは,データに潜むルール(規則性)を,ルールに対する評価指標に基づいて抽出する手法であり,データからの知識獲得において有用な方法である.しかし,アソシエーション分析では一般的に,抽出されるルール数が膨大になり,ルール間の関係性や解析者にとって興味深いルールの把握が困難となる.そこで本稿では,階層グラフ構造を用いてルール間の関係性を可視化する手法を提案する.実際のアンケートデータに提案手法を適用し,解析者とって興味深いルールの探索を行うことが可能となることを示す.
著者
古川 康一 升田 俊樹 西山 武繁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.545-552, 2012-02-15 (Released:2012-02-27)
参考文献数
8

チェロのスピッカートは,その習得が非常に困難なことが知られている.本論文では,はじめに,スピッカート奏法の力学モデルとして,強制振動モデルを導入し,その妥当性を検証する.さらに,同モデルの代表的な例であるブランコ漕ぎとまりつきを取り上げ,それらの運動のアナロジーから,二つの重要な力学的条件,すなわち,強制振動におけるエネルギーの補充のタイミング,および,力を加える際のショックを吸収するクッション動作の重要性を指摘する.さらに,練習とメタ認知,および専門家との意見交換を通して,それら二つの力学的条件を満たすための奏法上のコツを明らかにする.最後に,スピッカート奏法の要素技術間の関係を推論図式によって明らかにする.
著者
奥山 宇樹 川城 信彦 西野 順二
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.41, 2011 (Released:2012-02-15)

ヒューマノイドロボットの1つの行動は、ある姿勢から姿勢への遷移の連続と捉えることができる。行動を作成するユーザーが姿勢を複数指定することで、姿勢間を補完して自動で1つの行動を生成するようなシステムOSCを構築した。ロボカップサッカーなど特定の目標に対してロボットの行動を生成することは重要な要素となる。本システムではロボットに持たせる姿勢知識を「直立」、「キック姿勢」といった人の持つ姿勢知識に従い、各関節各度をパラメータとした多次元空間上のファジィ部分集合として定義する。これらをシステムの入力とし、数式を用いない人の意識に近い直感的なロボットの行動制御を目的とする。