著者
加藤 真梨子 山下 利之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.576-582, 2016-04-15 (Released:2016-04-20)
参考文献数
10
被引用文献数
3

CMCにおける絵文字のように,線画による表情には幾つかの特定の色が使用されることが多い.本研究では線画表情からの感情認知が,色によってどのように影響されるかを考察した.実験1では,喜び,悲しみ,怒り,驚きを表していると認知されやすい線画表情,中性表情を表す線画表情,あいまいな線画表情の計6つの線画表情を用いて,顔色の部分を赤,黄,青と変化させ,その表情認知を比較考察した.実験2では,背景色を変化させて,感情認知への影響を考察した.実験1,2ともに,主として眉毛や口の形態を感情認知に用いているが,顔色や背景色も感情認知を促進することを明らかにした.具体的には,実験1では,顔の赤色が喜び感情と怒り感情の認知を促進する一方,青色が喜び感情の認知を抑制した.また,青色が悲しみ感情の認知を促進した.実験2では,赤と黄の背景色が喜び感情の認知を促進し,青の背景色は悲しみ感情を促進した.
著者
田村 宏樹 淡野 公一 石井 雅博 唐 政
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.65-72, 2010-02-15 (Released:2010-05-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

人のポーズ・歩行動作から,人の感情を識別*1することが100%の精度ではないが識別可能であるとの研究報告がなされている[1]~[3].それらの先行研究の多くは,人のバイオロジカルモーション(体の関節部分の動き)[4]をモーションキャプチャ装置で抽出し,解析することで識別を行っている.しかし,モーションキャプチャシステムは高価であることをはじめ,使用場所に制約があるなどの問題点がある.これらの研究を踏まえて,本稿では単一加速度センサを用いた感情を込めた歩行動作の識別を行うシステムを提案する.まず,提案したシステムとして人の歩行動作時の加速度情報から特徴量を抽出する.この特徴量を識別器Chain Support Vector Classifer(C-SVC)を用いて各感情ごとに識別を行った.本実験では,3名の被験者に単一加速度センサを装着してもらい中立,悲しみ,喜び,怒りの4感情を表現した歩行動作を対象とした.単一加速度センサから得られた加速度情報から,本稿で提案したシステムにより感情を込めた歩行動作の識別の実験を行い,提案したシステムの有効性を計算機実験結果より検証する.*1 本稿では,人が感情を推定するときに「推定」の語句を用い,計算機が感情を推定するときに「識別」の語句を用いることとする.
著者
山脇 一宏 椎塚 久雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.615-621, 2005-10-15
被引用文献数
2

共感覚保持者, とりわけ音と色彩に関する共感覚保持者(色聴保持者)の存在については, メシアン, スクリャービンの例が有名であるが, そのような色聴保持者の報告から音と色彩の協調的な関係の存在が想起される.著者らは, 音と色彩の協調的な関係に注目し, 色彩のイメージ分析に使われているカラーイメージスケールを利用した音楽の特徴抽出を試みる.音楽専攻の大学生らに対するアンケート調査を行った結果, 音楽の微細な特徴を抽出することができた.共感覚および共通認識に関する様々な議論に一つの実証を与えることもできた.
著者
佐藤 僚太 波部 斉 満上 育久 佐竹 聡 鷲見 和彦 八木 康史
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.920-931, 2016-12-15 (Released:2017-01-20)
参考文献数
15
被引用文献数
4

公共空間内を往来する歩行者の属性や行動目的などを推定する技術は,施設の利用状況を自動的に観測し,各人物に最適な情報提供を行う情報環境の構築に貢献できる.その際には,どの人物同士が共に行動しているのかを推定し,歩行者をグループとして扱う技術が求められる.歩行者のグループを検出するには,2人の歩行者間の歩行軌跡や注意の向きの関係を手がかりとする手法が多く用いられる.これらの手法は,観測データ全体から特徴量を抽出して識別しており,歩行者グループは常にグループらしい動きをすること前提としている.しかし,実空間での歩行者グループは各個人の興味の対象の違いや障害物を回避する道筋の違いなどから常にグループらしい行動をする訳ではない.これによって,これまでの手法ではグループ検出が困難となる事例が見られる.本研究では,歩行データの時系列分割とマルチプル・インスタンス・ラーニング(MIL)によって,行動中の短時間に存在するグループらしい振る舞いを検出する手法を提案する.提案手法では,歩行データを時系列分割し,各時間区間の特徴量をMILを用いて別々に識別する.MILは教師あり学習の一種であり,複数の要素データの集合であるバッグ内に,少なくとも1つの正の要素データがあるかどうかを識別する.上記の時系列分割によって,時間区間の一部にグループらしい特徴があればそれを検出することができる.実験では,グループ動作を模擬したデータと,実際のショッピングモールで取得したデータを利用し,提案手法の有効性を確認した.
著者
加納 政芳
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.27, pp.210-210, 2011

Babyloidは,高齢者に世話されるロボットであり,これにより高齢者の心理的苦痛を緩和することを目的としている.Babyloidは,一般的なロボットが目指すような人と同じように「すべての作業できるように」ではなく,「なにもできないように」設計した.ただし,泣く,機嫌が悪くなるなどの生理的・心理的状態を表出することを通して,空腹や暇などの自らの状態を他者(高齢者)の助けによって改善しようとする(自己充足性を満たそうとする)ことはできる.このような,自己充足性を通したインタラクションによって,高齢者とBabyloidの間に一種の信頼関係を築き,高齢者の精神状態を安定・改善させることを考えた.
著者
井上 博行 亀井 且有 井上 和夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.122-133, 1996-12-15
被引用文献数
9

ファジィ推論は, 人間の知識を表現できるものとして, ファジィ制御をはじめ様々な分野に応用されてきた.このファジィ推論は, エキスパートの知識をファジィif-thenルールで記述する.しかし, メンバーシップ関数や推論ルールのチューニング問題が存在する.また, 入出力数が多い複雑なシステムになると, その知識を獲得するのも困難になる.そこで, ファジィルールの自動チューニング, 自動生成を行う研究が盛んに行われてきた.本論文では, 遺伝的アルゴリズム(GA)による機械学習の枠組みよりファジィif-thenルールを自動生成する手法を提案する.そこで, 人間の感覚に近いルールを獲得するため, ファジィルールの形状と位置にある程度の柔軟性を持たせる.すなわち, 提案法では各ルールの前件部と後件部を, それぞれ超円錐形メンバーシップ関数で表す.そして, 前件部と後件部のメンバーシップ関数の配置とその半径をGAで決定する.また, それぞれのルール発火の許否を決定する情報を遺伝情報として埋め込み, 忘却的考え方を用いて不必要なルールの削除を行う.本手法の応用例として, 自動車の追従運転とトレーラ・トラックの後退運転のファジィ制御に適用する.
著者
伊藤 功太 片上 大輔
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.11-15, 2015 (Released:2016-02-26)

私たちは自分のコミュニケーションスタイルを用いて他者とのコミュニケーションを行っているため,一般的には人間間のコミュニケーションには性格によっておおよそ決定された相性が存在する.本研究では,性格を付加した擬人化エージェントを開発し,人間と擬人化エージェント間のコミュニケーションの相性が存在するかを検証した.また,人間と擬人化エージェント間のコミュニケーションが人間間に適用される法則に当てはまるかを調査した.その結果,人間と擬人化エージェントの性格によるコミュニケーションでは,人間間の相性として知られるフックの法則とは異なり,人間と擬人化エージェントでの新たな相性が存在することが示唆された.
著者
伴 浩美 南保 英孝 大藪 多可志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.24, pp.71-71, 2008

本年2008年、アメリカの大統領選挙が行われる。本研究では、3人の有力候補、Barack Obama、Hillary Clinton、John McCain候補のスピーチについて計量言語学的な解析を行い、比較を行った。すなわち、それぞれスピーチについて文字や単語の出現頻度の特徴を調べた。これらの特性を指数関数によって近似を行った。さらに、日本の中学校の必修単語とアメリカの基礎単語("The American Heritage Picture Dictionary" を使用)を用いて、各試料の難易度を求めた。さらに、各試料のK特性値を求めた。結果として、McCain候補のスピーチには文字頻度において英語の文学作品と同様の傾向が見られることや、彼のスピーチは他の候補より難しい傾向があることなどが明らかとなった。
著者
小田 正輝 三好 哲也 加藤 知佳子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第25回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.22, 2009 (Released:2009-12-15)

人の性格は5大因子(ビッグファイブ)で表現できるといわれている。臨床心理学では、種々の判断で、顔の特徴が重要な役割を担っており、相貌心理学の提唱もされている。本研究では、性格特徴で分類された相貌の特徴を比較し、性格と相貌特徴との関連を分析した結果を報告する。
著者
加藤 聡
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.264, 2011 (Released:2012-02-15)

デスクトップPCに搭載されるグラフィックスカードのプロセッサであるGPUは,大量の浮動小数点演算を高速に実行できる.このため,GPUをグラフィックス処理ではなく,汎用の数値演算プロセッサとして利用する試み(GPGPU)が近年盛んに行われている. 本研究では,自己組織化マップ(SOM)の学習を,GPUを用いて高速に行う手法について検討し,SOM学習アルゴリズムのGPU演算向けの実装と,GPUによる処理の高速化の度合いについて議論する.
著者
嶋本 正範 谷口 忠大 大矢 智子 塩瀬 隆之 川上 浩司 片井 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.661-661, 2007

社会的生活の本質が他者との相互作用であると考えに基づき,ゲーム理論は社会的構造や社会的変化の研究に微視的な基盤を与えるものとして盛んに研究が行われた.しかし,実際に人間がゲームにおいてどのように振舞うかという研究分野である実験ゲームでは,ゲーム理論で仮定されているような合理的な行動を人間はとらないことが知られている.近年,このような人間の非合理的な行動などが行動経済学などの分野によって注目されるようになってきた. 本研究では,意思決定という行動のインタラクションだけでなく,ゲーム理論では取り扱われなかったコミュニケーションに着目し,ネットワークの構造によっておこる,局所的なコミュニケーションが人間の意思決定にどのような影響を与えるかを,ネットワーク構造の形態によって分析する.
著者
渡邊 一弘 能島 裕介 石渕 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.687-692, 2015 (Released:2016-02-26)

従来,ミシガン型ファジィ遺伝的機械学習においては,単一のパターンからルールの生成を行っていた.先行研究において,我々は複数のパターンを用いたルール生成について提案し,単一のパターンからのルール生成よりも優れていることを示した.その際,選択したパターン同士のクラスの相違や,パターン間の距離についての考慮を行わなかった.本研究では,複数のパターンからのルール生成において,パターンのクラスや,パターン間の距離を変化させることによって,獲得される識別器にどのような影響を及ぼすのかについて調査する.
著者
岩松 将輝 王 碩玉 姜 銀来
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.127, 2013 (Released:2015-01-24)

全方向移動型ロボットを用いて,ロボット上部に設置したステージ上のゴールにボールを転がし導くゲームを開発した.ロボットが自ら動いてゲームを達成するように知能化するため,人間の操作にある戦略を抽出し,模倣するアプローチを試みる.今回の報告は,人間によるゲーム中のボールの座標と人間の行った操作との定量的関係より,人間の行動戦略の抽出を行い,結果を示す.
著者
吉田 拓也 彌冨 仁
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.379-382, 2015 (Released:2016-02-26)

メラノーマは悪性度の高い皮膚癌であり,見た目が母斑に酷似していることから,熟練した専門医でも診断精度は75~84%にとどまる.こうした背景から,メラノーマの自動診断に関する研究が進められてきたが,識別のために有効な特徴量を設計・抽出すること,及びその前処理となる腫瘍領域の抽出は非常に困難な処理である.本研究では深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)と呼ばれる機械学習手法を採用することで,特徴量の抽出を学習の一環で行い,腫瘍領域の抽出処理を不要とした.319例の症例(良性244例,悪性75例)を用いて構築され,効果的な学習が行えるように工夫されたDCNNによるメラノーマ識別器は,5-分割交差検定において感度82.8%,特異度90.4%を達成した.
著者
上野 貴紀 野津 亮 本多 克宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.110, 2013 (Released:2015-01-24)

強化学習の問題点として,状態,行動空間の爆発に伴う必要メモリ,学習時間の増大が挙げられる.これを防ぐために,近年様々な手法を用いた研究が行われている.本研究では強化学習の一種であるQ 学習の価値推定値表にファジィクラスタリングを適用しメンバシップ値を考慮に入れた学習法を提案し,学習済エージェントからの圧縮された情報によってどの程度の学習が行えるかを検討する.
著者
内田 裕 藤村 喜久郎 前垣 義弘
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.246-251, 2014 (Released:2015-04-01)

脳波の解析についてははっきりした分類法が確立していない.本論文では解析をするために必要な数値化に関しての検討事例を報告する.元の脳波データに対して時間的な差分処理をおこない,さらにその差分データをもとに一定時間間隔での平均を求めて数値化した例について報告する.
著者
猪平 栄一 横井 博一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第22回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.217, 2006 (Released:2007-05-30)

階層型ニューラルネットワークには誤差逆伝搬学習によって非線形関数を近似する能力がある.ニューラルネットワークの学習能力と,構造,学習条件といった複数の設計変数との間の関係は複雑であるため,学習能力の高いニューラルネットワークを設計することは困難である.そこで,定量的な指標に基づいてニューラルネットワークを効率的に設計するために,直交配列表と分散分析に基づく実験計画法を導入することを提案する.従来の方法との違いは,ネットワークの構造,学習条件といったパラメータをできるだけ多く取り上げることによって,それらのパラメータの局所最適化を図ることである.提案手法を一般的な階層型ニューラルネットワークに応用し,その有効性を検証した.3層ネットワーク,5層ネットワークを対象としてネットワークの設計を行い,パラメータの個数,層数,繰り返し回数がネットワークの学習能力に与える影響を評価した.