著者
橘 一聖 田邉 幸祐 市村 匠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.280-283, 2012

感情指向型インターフェイスの実現のために,対話文から感情を推定する手法として,情緒計算式(EGC)及び,心的状態遷移ネットワーク(MSTN)が知られている.EGCは単語に対し予め与えられた快・不快を示す好感度をもとに,対話文の感情の値を計算する式である.MSTNはEGCにより計算された刺激を用いることで,ある感情の状態から別の状態への遷移を表すことができる.本論文では,EGCにより求められた感情値に一致した広島観光名所を紹介するアプリケーションをAndroidスマートフォン上で開発したので,ここに報告する.
著者
蓮池 隆 松本 慎平 片桐 英樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.673-678, 2012

本研究では,観光者が能動的に観光を楽しむために,Web情報を有効活用した観光経路決定システムをスマートフォンのアプリを提案する.特に市内公共交通機関であるバスと各観光地・各施設のイベント情報に対する満足度,各観光者の観光スタイルを取り込み,その情報を利用して観光経路策定問題を数理計画の枠組みで解くことによって最適経路を求め,スマートフォンを用いて視覚的かつ個々人にとって魅力的に映る表示システムを開発する.
著者
岩崎 隆至 森田 温 丸山 寿一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.639-649, 1993
被引用文献数
2 1

本論文では、制御対象の同定結果に基づいて制御対象をクラス分けし、予め用意されたそのクラスに最適なルール群を用いてPIDゲインのチューニングを行うファジィオートチューニング法を提案する。このチューニングアルゴリズムの特長は以下のようにまとめられる。(1)制御対象の運転中の出力を繰り返し評価しながらPIDゲインを修正できるので、この方式によるチューニングは外乱に強くなる。(2)提案したアルゴリズムが適用できる制御対象の範囲は、従来のファジィオートチューニング法より広くなる。(3)同定結果はプラントのクラス分けにのみ用いられるため、チューニング性能は、同定誤差の影響を受けにくい。この方式を、一次遅れ+むだ時間系を制御対象とするPIコントローラのオートチューニングに適用し、シミュレーションおよび実験により、提案した方式が様々な特性を持つ一次遅れ+むだ時間系に有効であることを示した。
著者
杉原 一臣 芝田 稔 釜田 友希 大熊 一正 山西 輝也 魚崎 勝司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.242, 2011 (Released:2012-02-15)

RoboCupサッカー3Dシミュレーションリーグに参加しているチーム「FUT-K」のエージェントには,攻撃力の向上を図るべく,試合状況に応じて異なる行動を確率的に選択するようにプログラムが実装されている.また,確率的行動選択の結果に基づく選択確率の更新を試みたが,相手エージェントの特徴に応じた選択確率の獲得には至っていない.今回は試合状況の類似性に着目し,複数の状況における選択確率を類似度に基づいて同時に更新する方法を提案する.
著者
張 建偉 河合 由起子 熊本 忠彦 白石 優旗 田中 克己
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.568-582, 2013-02-15 (Released:2013-03-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ニュースサイトは日常生活における重要な情報源であり,閲覧者は発生事象の情報を受信する(受ける)のと同時に,書き方によって「楽しい」,「悲しい」,「怒り」等の多様な印象も受けている.特に,賛否両論となるニューストピックに関しては,複数のニュースサイトで報道傾向が異なるため,異なった印象を受ける.また,同じ話題であっても,時間が経つと報道傾向が変化する場合には異なる印象を受ける.そこで本研究では,記事の書き方を「印象」という評価指標で分析することで,ニュースサイトの報道傾向を視覚的に比較可能な分析手法を提案する.提案手法は,まずニュース記事の多様な印象を表現するのに適した複数の印象軸を設計し,ニュース記事に対する印象辞書を構築する.次に,この印象辞書を用いて各記事と各ニュースサイトの印象値を算出し,最後にサイトごとの報道傾向の違いおよび時間的推移を閲覧者へ比較提示する.本論文では,多様な印象に基づくニュースサイト報道傾向分析手法を提案し,国内 15 社,国外 10 社の計 25 社のニュースサイトに適用したシステムを用いて,その有効性を検証する.
著者
内海 ゆづ子 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.476-487, 2007-10-15 (Released:2008-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

顔認識の特徴量としては,様々なものが利用されているが,その代表的なものとしてGaborウェーブレット特徴量がある.Gaborウェーブレット特徴量は,出力特性が生物の視覚特性と似ており,Eigenface等,他の顔認識手法と比較して良好な性能を示している.しかし,顔認識の特徴量として,Gaborウェーブレット特徴量が最適であるか明らかではない.そこで,本研究では,Gaborウェーブレット以外の様々なウェーブレット(Haar, French hat, Mexican hat, Daubechies, Coiflet, Symlet, O-spline)を用いて特徴抽出を行い,どのウェーブレット特徴量が顔認識に最適であるかを調べた.ウェーブレットのスケールを固定したもの,スケールを可変にしたものの認識率を AR Face Databaseを用いて比較を行った.さらに,スケール可変ウェーブレットを8方向に回転させ特徴抽出を行い,認識を行った.その結果,スケール可変ウェーブレットで8方向から特徴抽出を行った場合,全てのテスト画像において Haarウェーブレットが Gaborウェーブレットより高い認識率を示すことが明らかになった.
著者
高柳 浩 山ノ井 高洋
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.402-407, 1997-06-15
被引用文献数
1

農作物の選別作業において、曲がり具合は重要な要因の一つである。特にアスパラガスやキュウリなどの曲がり具合は商品価値に直接影響する。曲がり具合の選別基準が曖昧なために選別の自動化は容易ではないにも関わらず、限られた時期に効率よく出荷するために選別の自動化に関する要求は極めて高い。アスパラガスの形状選別を自動化するために、我々はファジィ論理を曲がり度合の確定に用い、ニューラルネットワークを曲がり具合による形状の分類に用いた。この手法により、アスパラガス100本のサンプルで93%が熟練者の視覚による選別と一致した。
著者
鈴木 秀和 森崎 巧- 渡邊 香 林原 泰子 西 仁司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1012-1022, 2012

本研究では,動物型4脚歩行ロボットAIBOの歩行動作に焦点を当て,ロボットセラピーにおける複合動作に対する印象評価を行う.一般的なAIBOの歩行動作と著者らが提案してきた生成法を用いた“動物らしい”歩容の印象比較実験により,著者らが生成した歩容が人に親近感を抱かせていることを確認する.さらに,3つの複合動作を用いた印象評価実験により,各動作における印象の顕著な相違と,部位動作と印象の関係性を示し,人の感性に影響を及ぼす複合動作生成の具体的な指針を報告する.
著者
四折 直紀 大熊 一正 恐神 正博 杉原 一臣 山西 輝也 魚崎 勝司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.356-361, 2012

Robocup Mixed Reality リーグの公式マイクロロボットを用いたICT教育用の教材を作成した.この教材の特徴は,MITメディアラボによって提供されている,「スクラッチ」と呼ばれるタイルブロック型のプログラミング環境を利用して,実機であるマイクロロボットを制御できるようにした点である.本発表では,スクラッチを用いてマイクロロボットを制御するために構築したシステムの概要とその利用方法,及び授業展開について述べる.
著者
鈴木 聡 森島 泰則 中村 美代子 槻舘 尚武 武田 英明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.513-525, 2008-08-15
被引用文献数
1

本研究では身体化エージェントの登場位置・身体方向に注目し,物理空間・仮想空間の間に寸断されたユーザと身体化エージェントの位置関係を乗り越え,対等な社会的関係の構築が行える環境を追求する.身体化エージェントの身体方向と,画面奥行き方向の仕切りを基準とした身体化エージェントの登場位置に着目し,これらのユーザへの影響を心理実験により検討を行った.この際,人間同士の2者対話における身体配置の選好における男女差の存在が知られているため,考慮に入れた.実験1(N=48)では作業の遂行(写真の記憶再認課題)と身体化エージェントの印象に対して上記の要因が与える影響について,男女差も考慮の上検討した.実験2(N=51)においては身体化エージェントの身体方向の,ユーザが認知するエージェントとの距離への影響について実験を行った.これらの実験の結果,エージェントの登場位置のみならず,身体方向もエージェントとの距離のユーザの認知に影響し,男性のユーザは女性のユーザより距離を離した形でのエージェントの身体配置を好む可能性が示唆された.身体化エージェントの身体配置,およびその影響の男女差を踏まえた身体化エージェントの設計の必要性を本研究は示している.
著者
渡部 啓吾 Danushka BOLLEGALA 松尾 豊 石塚 満
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.739-748, 2011-10-15 (Released:2012-01-11)
参考文献数
15

クエリー拡張や類似検索など,さまざまな情報検索のタスクにおいて,関連語が登録されているシソーラスは必要不可欠な言語資源である.人手で作られたシソーラスであるWordNet やロジェのシソーラスを使っている情報システムは多数存在するが,関連語シソーラスを人手で構築または更新する作業は大変コストがかかるだけでなく,新語や既存の単語の新たな使い方をカバーできないという問題がある.本論文ではウェブを膨大なテキストコーパスとみなし,検索エンジンを通して関連語を抽出するための手法を提案する.提案手法では,ウェブ検索エンジンから得られるスニペットを用い,効率良く関連語を抽出することができる.
著者
秋山 孝正 井ノ口 弘昭
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.254, 2011 (Released:2012-02-15)

現在、わが国は大規模な災害に直面しており、従来型の経済原理を主体とする土木計画を見直す必要が生じている。本研究では都市計画の側面から、市民あるいは土木事業に従事する土木技術者の自己形成に関して検討し、精神風土を考慮した土木計画理念の形成を目指す。特にここでは、臨床心理学の方法からバウムテストを取り上げ、深層心理分析が可能な情報システムを構成する。具体的には、ファジィ推論を包含した推論システムを構成する。またバウムテストの分析結果と精神障害の関係から、多面的な個人の心理状態を表現するプロセスを導入する。これより経年的な学生集団の集合的無意識についても統計的分析が可能となる。このような手順を踏まえて、既存研究で構成されたバウムテスト評価システムを拡張して、個人のアイデンティティ形成、精神状態などの多角的な深層心理を抽出する。最終的には、深層心理の解明に関して、土木計画における意義を整理する。
著者
福島 隆寛 内海 彰
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.239-249, 2007-06-15 (Released:2007-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文では,Web ページに記載されている情報の信頼性(Web ページの信頼性)を,そのWeb ページやそこに含まれているテキストのさまざまな特徴から推定する手法を提案する.提案手法は,信頼性判断に影響を与える各特徴が推定対象のWeb ページで成立しているかどうかを自動判定する処理と,成立すると判断された特徴からそのWeb ページの信頼度を求める処理から構成される.どのような特徴が信頼性判断に影響を及ぼすかについては,アンケート調査を実施して,68個の特徴とWeb ページの信頼性への影響度を得た.本研究では,それらのうちの40個の特徴(信頼性の尺度)の成立を自動判定する手法を開発した.また信頼度を計算する手法として,影響度の総和を取る方法とSupport Vector Machineを用いた機械学習により信頼度を求める手法を開発した.そして,評価実験を通じて,信頼性の尺度の判断処理の有効性と信頼できる/信頼できないページの二値分類に対する提案手法の有効性を確認した.
著者
間所 洋和 佐藤 和人 門脇 さくら
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.157-169, 2011-04-15 (Released:2011-07-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本論文では,表情空間の動的多様性を定量化する表情空間チャートという枠組みを提案する.表情空間チャートは,「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,各表情の覚醒度を軸とする表情の表出レベルをチャート状に表現したものであり,教師なしニューラルネットワークのSOM(Self-Organizing Maps)とFuzzy ART(Adaptive Resonance Theory)を用いて生成する.評価実験では,Ekman が定義した基本6表情の中から「喜び」,「怒り」,「悲しみ」の3表情を対象として,被験者 10 名の7週間から 20 週間に及ぶ独自の長期表情画像データセットを構築し,各被験者の表情空間チャートを生成した結果,被験者間の表情の多様性と各被験者における時系列変化を可視化することができた.更に,表情空間チャートから人間が抱える心理的ストレスが表情に与える影響について分析するために,心理的ストレスシートを用いて慢性的ストレスを測定し,SVM(Support Vector Machines)によりストレスレベルを推定した.その結果,10 名全体で 68.6%,10 週間以上の被験者5名では 77.4%の推定率が得られたことから,表情空間チャートからストレスレベルを推定できる見通しが得られた.
著者
鎌野 琢也 福見 淳二 鈴木 茂行 原田 寛信 片岡 雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.47-56, 1996-02-15
被引用文献数
13

複数の駆動軸を有するプラントにおいて, 各軸を定常状態のみならず過渡状態においても高速に同期化できれば製品精度や作業効率の著しい向上が期待できる。しかしながら, 各軸の動特性は一般に大幅に異なっており, それらは運転状態により変動する。また, 著しい非線形性を有する場合もある。それゆえ, ベルト掛けなどによる機械的な駆動方式あるいは, 固定ゲインコントローラを用いる従来の制御方式では高速な同期化に限界がある。本論文では, 自己調整ファジィフィードフォワードコントローラを用いた高速同期システムを提案している。本システムは固定ゲインフィードバックコントローラと自己調整ファジィフィードフォワードコントローラから構成されており, 各軸間に同期化コントローラが設置されている。各軸のファジィコントローラの後件部変数は各軸の追従誤差信号だけでなく、両軸間の同期化誤差をともに零収束させるようにチューニングされる。チューニング終了後, 両軸は同期状態を維持しつつファジィコントローラにより制御対象の等価的な逆システムが構成されるので追従特性が改善される。DCサーボモータを用いた二軸位置決めシステムに提案するコントローラを適用した場合, 優れた追従特性および高速な同期化特性が得られることを実測により確認している。