著者
田島 敬士 吉岡 元貴 小澤 順
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.379-387, 2008-06-15
被引用文献数
1 1

カーナビゲーションシステムにおける到着地推定は推定対象走行の走行日時や走行経路といった走行属性が一致する車両走行履歴を用いて行われる.用いる走行属性によって到着地推定への有効性は異なる.そこで本稿では,到着地推定に用いる走行属性の違いによる到着地推定への有効性の違いについて評価した.走行属性の到着地推定への有効性は,走行属性と到着他の間の相互情報量を用いて評価した.履暦数が減少すると相互情報量は増加するため,履歴数の少ない走行属性を選ぶと相互情報量が余分に増加してしまう.この履歴数による情報量の変動を除いて,正規化した相互情報量によって評価した.ユーザ20人から車両走行履歴を平均3ヶ月の期間収集し,評価した結果,ユーザの出発直後は,走行時刻属性の到着地推定に対する有効性が高く,走行途中は,出発地と初めに通過した2つの主要交差点という走行経路属性の到着地推定に対する有効性が高いことが判明した.よって,出発直後は走行時刻属性が推定対象走行と一致する走行履歴,走行途中は走行経路属性が推定対象走行と一致する走行履歴を用いて到着地を推定する手法が有効である.
著者
津谷 篤 新藤 透 伴 浩美
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.429-434, 2015 (Released:2016-02-26)

市場規模マップによると 2014 年の国内ファッシ ョン(アパレル)総小売市場規模は 9.3 兆円であり, 百貨店市場 6.2 兆円,家電小売市場 7.4 兆円を超え て医療用医薬品市場 10 兆円,コンビニ市場 9.4 兆円 にならぶ巨大市場である[1].そのファッション市場 に多大な影響を与えているのがファッション誌であ る.ファッション雑誌を含めた出版雑誌市場規模は, 国内ファッション総小売市場規模 9.3 兆円に対し 9 千億円と 1/10 程度となっており決して大きくない が,[2]によると,女性の約半数が女性ファッション 誌を購読しており,そのうち 30%の女性が流行のフ ァッションを知るために女性ファッション誌を購読 している.各雑誌はそれぞれ独自の理想とするファ ッションがあり,それらを表現する言葉は異なる. ゆえに各ファッション紙面上の言葉の出現比には違 いがあると考えられる.そして女性は年齢に応じ愛 読する雑誌を変遷させていくことから,女性が年齢 に応じ読んでいく雑誌に現れる言葉の出現比は変化 していくと思われる. 本発表では,女性が年齢に応じ愛読するファッシ ョン雑誌の単語出現比の変遷を,矢印を使ったネッ トワーク図を用いて図示することを試みる.まず, 愛読雑誌変遷を問うアンケートの結果から愛読雑誌 変遷ネットワーク図を作成する.続いて雑誌内容か ら各雑誌の出現単語を取得し,言葉の出現比変化を 矢印を用いネットワーク図として表す.
著者
金 鍾律 玄 光男
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.43-54, 2000-02-15

近年, ネットワークシステム構築の分野は情報技術の進歩により様々な面で大きな変化を遂げてきた.ネットワークシステムは, サービスセンタ, ターミナル(ユーザ), およびそれらを接続するケーブルから成る.最近では, ユーザの情報量の莫大な増加につれ, 光ファイバケーブルでのネットワークシステムの構築が多数行われるようになった.しかし, 光ファイバケーブルは高価であるため, ネットワークトポロジの中でもスパニングツリーによるシステムの構築が望ましい.ここでは, 接続コスト, メッセージ遅延, ネットワーク信頼性を考慮したネットワークトポロジの設計を行う.最近, 遺伝的アルゴリズム(GAs)は, ネットワーク最適化問題, 組合せの最適化, 多目的最適化問題などの様々な問題に適用されその有効性が多く報告されている.また, 実世界の問題を解く最適化技法としての能力について注目を浴びている.本研究では, 光ファイバケーブルを用いた接続コスト及びメッセージ遅延を考慮した広帯域ネットワークトポロジシステムの設計問題を定式化し, 遺伝的アルゴリズムを用いた手法を提案する.また, 染色体表現のために, Prufer数とクラスタストリングも使用する.最後に, 性能評価のため, 提案手法を用いていくつかの数値実験を行う.
著者
日置 彩子 遠藤 靖典 濱砂 幸裕
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.73, 2011 (Released:2012-02-15)

クラスタリングとは,外的基準なしにデータをいくつかのクラスタに分類する方法であり,その代表的手法としてハードc-平均法(HCM)やHCMにファジィ理論を導入したファジィc-平均法(FCM)が挙げられる.データをクラスタリングするには,予めクラスタ数を与えなければならないが,データに対する適切なクラスタ数が分からない場合が少なくない.そこで,クラスタ数の妥当性を評価する指標がこれまでに数種提案されており,これらは妥当性基準と呼ばれている.また,データの表現に関する考えとして許容の概念が提案されており,これを導入した許容範囲付きデータに対するFCM(FCMT)の研究も行われている.許容の概念を取り入れた妥当性基準は既に提案されているが,これは許容そのものを評価する指標とはなっていない.そこで,本研究では許容そのものを評価できる新しい妥当性基準を提案し,数値例によりその性能を評価する.
著者
斉藤 晃貴 野津 亮 野原 由布美 生方 誠希 本多 克宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.240-245, 2015 (Released:2016-02-26)

本研究では離散最適化問題に対するUCBアルゴリズムに基づいた新しい手法を提案する.GAに代表される手法は問題の近傍関係構造に影響を受けやすいため,探索空間をいくつかのグリッドに分割することによって,活用と探索のジレンマという点からこの問題を捉え直す.このグリッドの選択は多腕バンディット問題と考えることができるので,UCBを適用することによって活用と探索のバランス化を図った.UCBグリッドエリアサーチを提案し,0-1ナップサック問題の数値実験を行った.提案手法によって異なる環境でも安定した結果を得られることを確認した.
著者
青山 剛 幸田 憲明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.161, 2013 (Released:2015-01-24)

連続値空間の強化学習理論にはニューラルネットワークを用いているものが数多くあるが,従来のニューラルネットワークではニューロンを予め入力空間にマッピングする必要がある.しかし強化学習は,学習結果を予測することが一般に困難な問題を対象としており,学習過程に影響を大きく与えるニューロンマップを予測しておくことは一般に困難である.そこで本研究では,自律的にニューロンを追加,削除する機構を導入したニューラルネットワークモデルによる強化学習について述べ,マウンテンカー問題での性能評価を行う.
著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.200-200, 2009

本研究では、消費者の需要予測モデル構築のために、経営データを調査し、同時に気温などの気象データを調査した。そして、これらの関係を統計的に明らかにすることで、消費者の需要予測モデルの構築を、気象データを用いて行う。また、解析結果から得られた要因を用いて需要予測を行うファジィ推論モデルを構築している。
著者
福井 康弘 伊東 嗣功 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.45, 2013 (Released:2015-01-24)

機能しない神経システムを補完することを目的とした生体の神経回路網と電子回路のインターフェイスを実現するためには,神経回路網のネットワークダイナミクスの解明と,最適な入力手法,出力である神経回路網の発火パターンをデコーディングする手法の開発が必須である.この目的のため,脳における神経情報処理の生体モデルとしてニューロ・ロボットの開発を行っている.生体の神経回路網に,外界からの入力として電流刺激が印加され,刺激による神経回路網の応答パターンによってニューロ・ロボットの行動が生成される.我々が開発しているニューロ・ロボットは,生体神経回路網が上位情報処理装置であり,ソフトウェアによって入出力を調整することによって合目的的行動を生成するように設計されている.本研究では常時教師無し学習を行いながら行動生成を行う自己組織化マップ(SOM)を用いたニューロ・ロボットを開発した.ロボットのIRセンサが識別した左右の障害物の位置に対応した2電極から電流刺激を行い,刺激によって得られる64次元の特徴ベクトルをSOMに入力し,10×10の2次元のマップ空間に写像して次元縮約を行った.学習の初期にのみ,左右の障害物に割り当てた電流刺激に対してあらかじめ選定したノードを強制的に勝者ノードとして教師あり学習を行い,勝者ノードに対して適切な想定動作を関連づけた.これをシーディングと呼ぶ.シーディングにより,左右入力によって誘発された神経電気活動の時空間パターンが互いに重なっていなかった場合,勝者ユニットの分布は左入力に対する勝者ユニットがマップ上の左側に,右入力に対する勝者ユニットが右側にほぼ分離して写像された.また,複数回の入力で選出された勝者ユニットの重心の位置は入力ごとに繰り返しほとんど同じ位置が選択される傾向が確認された.
著者
村田 信治 野里 博和 古谷 立美 村川 正宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.272-281, 2008-04-15
参考文献数
9

本論文では,過去の探索履歴から探索点までの距離に基づく加重平均を導入した確率的二分探索法を提案し,レーザシステムの光軸の位置と角度の多目的調整に適用して調整時間の大幅な短縮と調整精度の向上を図り,この効果を定量的に評価する.本研究において,確率的二分探索法を用いることで調整時間の大幅な短縮が可能になり,加重平均値を調整手法の評価値に用いることによりノイズの影響を軽減した調整が可能になる.提案手法を用いた調整実験の結果,調整時間を従来の3 時間から 12 分へと大幅に削減した上で,ノイズの影響を軽減した精度の高い光軸の位置と角度の同時多目的自動調整を実現した.
著者
川浦 孝之 遠藤 純 土居 安子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.184, 2011 (Released:2012-02-15)

本研究は,平成14年度に(財)大阪国際児童文学館において開発をした子ども向け図書検索システム「本の海大冒険」を用いて調査を行った.このシステムには子どもがインターネットを用いて自ら楽しみながら本を探すことのできるコンテンツや独自に構築した「子ども向けキーワード体系表」が搭載されている.「子ども向けキーワード体系表」とは,システムに収録した児童書それぞれに基本書誌データ以外に,あらすじデータ及び書誌内容に関係するキーワード(物語件名)を付与しているが,そのキーワードを精査して体系化したものである. 本稿では,この「子ども向けキーワード体系表」を用いて利用者がどのようなページ遷移で図書に辿りついているのかを調査する.特に,利用者のページ遷移と児童書に付与したキーワードについて尤度比検定を用いて,それぞれの特徴キーワードを抽出して考察する.分析結果より,利用者が求めるキーワードを知り,より使いやすいシステムの構築を目指す.
著者
石井 雅樹 佐々木 裕也
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.757-770, 2015-10-15 (Released:2015-11-13)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ロボットが人間の生活環境で自律的に行動するためには環境地図が必要となる.従来提案されている環境地図構築手法は,形状情報のみから環境地図を構築している場合が多い.しかし,形状情報のみを使用した場合は,長い廊下環境のような幾何学的特徴の少ない均一な環境において自己位置の候補が複数発生し,推定が困難であるという問題がある.そこで本論文では,自己位置の推定に有用な情報として視覚情報に着目し,画像情報のみを用いた自己位置推定手法について検討した.提案手法では,事前に環境中で取得した全方位画像データを教師無し学習アルゴリズムである自己組織化マップを用いて学習し,位置推定識別器を構築する.ロボットは,自身の移動中に観測した画像が環境中のどのエリアで取得可能であるかを位置推定識別器により判断する.本稿では,幾何学的特徴およびパターンやテクスチャ等の視覚情報の多い室内環境と,幾何学的特徴が少なく視覚情報も乏しい廊下環境を対象として,位置推定識別器の有用性について検証した.
著者
工藤 卓 徳田 農 清原 藍 田口 隆久 林 勲
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第24回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.44, 2008 (Released:2008-12-06)

ラット海馬神経細胞は、培養皿上で複雑なネットワーク構造を再構成し、相互作用して自発的な活動電位を発現する。我々は64個の微小平面電極から活動電位を計測し、これを解析している。我々は神経回路網と外界を相互作用させるインタフェイスとしてKheperaIIロボットを用い、神経回路網がロボットの動作を制御し、またロボットのセンサ情報が神経回路網に伝達される系を構築した。外界と神経細胞のリンクは学習型ファジィ推論によって、衝突回避行動を埋め込み、実際に、ロボットに平行に設置した2面の壁に衝突することなくその間をジグザグ走行させることに成功した。外界からの入力信号に対する神経細胞の活動電位スパイク頻度はばらつきがあるが、衝突回避走行の後半では、この頻度の標準偏差が、記録された複数の神経細胞間で比較的近い値に収束していく現象が観察された。この現象は神経回路網が短期的な教師無し学習を実現した可能性がある。
著者
福井 康弘 伊東 嗣功 箕嶋 渉 周田 ありす 工藤 卓
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.290-295, 2014 (Released:2015-04-01)

脳における高次機能の解明のためには,外界との入出力を備えた神経回路網において,発現する電気活動のパターン変化を定量的に解析する必要がある.この目的のため,生体の神経回路網に電流刺激を与え,刺激によって得られる応答パターンをもとに行動生成を行うニューロ・ロボットの開発を行っている.本研究ではロボットを制御する手法として,常時教師なし学習を行いながら行動生成する自己組織化マップ(SOM)を用いたニューロ・ロボットを開発した.ロボットのIRセンサが識別した障害物の位置に対応して刺激電極に電流刺激を行い,刺激に応答して発現した神経活動パターンを64次元の特徴ベクトルで表現し,これを20×20の2次元マップ空間に次元縮約した.学習の初期課程のみ教師あり学習を行い,刺激による応答を特定のノードに写像させることで異なる刺激点からの刺激誘発応答を2次元空間に分離して写像した.それにより,ニューロ・ロボットの衝突回避行動を生成することに成功した.
著者
ジメネス フェリックス 吉川 大弘 古橋 武 加納 政芳
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.835-844, 2015-12-15 (Released:2015-12-29)
参考文献数
23
被引用文献数
1

ロボット関連の技術進展により,学習を支援する場面で活躍する教育支援ロボットが注目されている.このようなロボットの問題点として,学習者がロボットの行動を画一的と感じてしまい,ロボットとの相互作用に飽きてしまう点が挙げられる.一方で,この問題点を防ぐために,Human-Agent-Interaction の分野では,エージェントが感情を持つかのように表情を表出する感情表出モデルが用いられている.実際,ランダムに感情表出するエージェントに比べて,感情表出モデルを持つエージェントは人との相互作用が続くという報告がある.そこで本稿では,感情表出モデルを基に表情の表出を行うロボットが,学習者と共に学習することによって及ぼす心理効果について検討する.
著者
上野 ふき 鈴木 泰博
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.206, 2011 (Released:2012-02-15)

本研究では,哲学者ライプニッツが提唱した哲学的概念 ”モナド” の構造に従ってエージェントを作成する.”モナド” は相互作用を通して内部構造が変化し,その構造の違いによって支配関係が生じ,入れ子構造の集団を形成する.このシステムには社会の創発と強い類似性が伺える.そのためモナド論を応用して,社会的ネットワークの自律生成メカニズムを考察する事は新しい知見をもたらす可能性がある.
著者
林 勲 北 彩香 荻野 正樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.256-261, 2014 (Released:2015-04-01)

運動の学習やスキル獲得に関する計算論的神経回路モデルの研究において,川人らの内部モデルが有用である.内部モデルは,Allen-Tsukaharaの制御モデルを核とし,フィードバック制御とフィードフォワード制御の連合性により身体の動作を表現する.本研究では,内部モデルのフィードバック制御とフィードフォワード制御の切り替えを確認するため,被験者にコンピュータ画面に表示される番号と合致するボタンを押す課題を与える.反復提示が複数回行なわれるならば,フィードバック制御に対するフィードフォワード制御の比率が高くなり,そのフィードフォワード制御が顕著に表現化される.ここでは,この反復動作の視覚-運動課題における動作とその反応時間,脳波信号に注目して,これらの関連性について議論する.
著者
松浦 克昌 永森 光晴
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.157-164, 1996-08-15
被引用文献数
2

状態ベクトル分離型カート・ポール系ファジィ制御方式にはハード方式とソフト方式がある。ハード方式はポール系状態ベクトル制御器の働きをポール全位相空間で有効とする方式である。ソフト方式はこの制御器の働きを、ポール姿勢制御効率のよい倒立領域と垂下領域に制限し、2領域外は非制御域としてポールの自然な振る舞いを取り入れる方式である。ハード方式の問題点は制御器がポール全位相空間で頑張るため、無駄なカートの走行を要することである。これに対してソフト方式は無理な状態では制御を止め、ポールの自然な振る舞いを許し、制限域で効率よくポール振り上げ、倒立安定化制御を行うためカートの無駄な走行を生じない。本論文はソフト方式の有効性を数値シミュレーションにより実証し、ソフト方式を用いたカート・ポール系ファジィ制御方式の設計知見を提供する。