著者
箱石 大 宮間 純一 水上 たかね 村 和明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

1867年の王政復古政変から1871年の廃藩置県までの維新政権期における明治太政官文書は、1873年の皇城及び太政官庁等の火災により、その大半が失われた。しかし、近年、京都に残置されていたため焼失を免れた文書が、現在は東京大学史料編纂所・国立公文書館・宮内庁の3機関を中心として分散的に所蔵・管理されており、それぞれが本来は同一の文書群に属するものであることが明らかとなった。本研究では、上記3機関に分散所在する文書を本来の文書群として復元するとともに、アーカイブズ学的・古文書学的観点から、文書群全体の構造や個別文書の様式・機能等についても分析し、幕末維新史料学の構築に寄与することを目指す。
著者
桐野 豊 木村 哲也 渡辺 恵 川原 茂敬 松尾 亮太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

ナメクジは匂いと忌避性の味覚(キニジンなど)を連合する嗅覚嫌悪学習を行う.嗅覚学習においては嗅覚中枢である前脳が重要な役割を果たしていると考えられている.本研究では,ナメクジの単離脳嗅覚学習系を用いる生理学的測定と分子生物学的解析により,嗅覚学習のメカニズムを解明することを目的とした.単離脳嗅覚学習において無条件刺激となる味覚神経束の頻回電気刺激は,前脳局所場電位振動の振動数を増大させ,同時に前脳バースティングニューロンの興奮とノンバースティングニューロンの抑制を引き起こした.このことから,学習時には大半のノンバースティングニューロンは抑制されることが示された.さらに触角神経束に高頻度の電気刺激を与えると,前脳における誘発電位が2時間以上の長期にわたって増加する,長期増強が生じることが示された.このような長期のシナプス伝達効率の変化が記憶の固定化のメカニズムを担っている可能性が示唆された.条件付けの30分前に体腔内にタンパク合成阻害剤であるアニソマイシンまたはシクロヘキシミドを注射すると、条件付け後2日〜一週間目以降の記憶保持に障害が見られ,タンパク合成が嗅覚記憶の長期的な維持に必要であることが明らかになった。そこで次に学習によって発現誘導される遺伝子をPCR-differential display法によって網羅的に探索した。ニンジンの匂いを条件刺激(CS)、苦み物質であるキニジン溶液を無条件刺激(US)として同時に提示して連合させ、対照群にCSとUSを1時間の間隔をおいて提示したものを用いた。再現性のある発現変化を示した8個の遺伝子について部分配列のクローニングを行った。
著者
三村 征雄
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
木村 伸吾 KIM Hee-Yong
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

近年、ニホンウナギ(Anguilla japonica)のシラスの採捕量は減少しており、その要因として乱獲、生息環境の破壊、海洋変動現象などがあげられている。しかし、最近20年間の採捕量の減少は、乱獲や環境破壊などに伴う長期的な減少とは大きく異なっていることから、エルニーニョに代表される短期的で突発な海洋変動現象に注目が集まっている。本研究では、ニホンウナギ資源と産卵海域における海洋変動現象の係わりに焦点を絞り、エルニーニョ発生に伴う海洋環境の変動がウナギ幼生の輸送拡散過程に与える影響を定量的に明らかにすることを目的とした。そのために、エルニーニョの発生年と非発生年に分けて構築された北太平洋の大循環数値シミュレーション結果を用いて、ニホンウナギ幼生の輸送拡散シミュレーションを行い、それに対する資源量変動の応答メカニズムについて解析を進めた。流動場として使用したデータは、過去50年間にわたって計算された1/10度グリッドの再解析流速場データである。この物理モデルにニホンウナギの産卵場である北緯15度東経140度の地点に幼生に見立てた粒子を水深100m以浅に投入し、表層までの間で日周鉛直移動する幼生の能動的な移動を加えて、幼生の輸送拡散に関する数値シミュレーションを行った。その結果、エルニーニョ非発生年には幼生と見立てた粒子のうち約40%が黒潮流域に到達するのに対して、エルニーニョ発生年にはその個体数が半減することが分かった。さらに、産卵の指標となる塩分フロントの位置に対応して産卵海域を変化させた場合には、その違いが三倍にもなることが分かった。したがって、近年のシラスウナギの来遊量の変動は、エルニーニョの発生に伴う輸送過程における流動環境の変化に大きく依存していることが明らかとなった。本研究成果は、シラスウナギの来遊量予測に寄与するものと考えられる。
著者
鶴間 和幸
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1998

博士論文
著者
佐藤 靜
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2015

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 川本 隆史, 東京大学教授 小玉 重夫, 東京大学教授 小国 喜弘, 東京大学准教授 浅井 幸子, 東京大学講師 星加良 司
著者
内田 貴
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1986

博士論文
著者
安藤 良雄
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
田野井 慶太朗 李 俊佑 中西 友子 西村 拓 二瓶 直登 山岸 順子 小林 奈通子 廣瀬 農
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-07-10

福島第一原発事故以降、放射性セシウムで汚染された堆肥の使用を差し控える傾向にある。汚染堆肥から作物への移行に関して不明であった。そこで、どの程度の汚染堆肥だとどういった量の放射性セシウムが作物に移行するのか調べた。高濃度に汚染した堆肥はソバへの移行も確認されたが、低い汚染レベルの堆肥の場合、連用してもソバへの移行は少なかった。堆肥から供給されるカリウムによる移行係数の低減効果が考えられた。
著者
松方 冬子 蓮田 隆志 橋本 雄 岡本 真 彭 浩 高野 香子 川口 洋史 木村 可奈子 清水 有子 原田 亜希子 北川 香子 西澤 美穂子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

主たる成果として、松方冬子編『国書がむすぶ外交』(東京大学出版会、2019年)を刊行し、前近代のユーラシアの全域にみられた「国書外交」とその周辺にあった通航証について明らかにした。おもな論点は、今までtributary system(華夷秩序・朝貢体制・東アジア国際秩序などと訳される)と呼ばれてきたものは、その実態からみるならば国書外交と呼べるものであること、国と国をつなぐ仲介者(商人や宗教者、国書の運び手となることが多い)の役割が重要であること、である。台湾の中央研究院で日明勘合底簿の手掛かりとなる史料を発見するなど、多くの実証的な新知見を明らかにした。
著者
江口 航生
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012

メタボリックシンドロームに関連した最終的な死因においては心血管病が大きな割合を占めている。そこで、今回の研究は、肥満・メタボリックシンドロームにおける心筋毒性のメカニズムを解明することを目標とし、その鍵となる代謝ストレスとして、食事の種類により大きく組成が異なり、メタボリックシンドロームで血中濃度が上昇している遊離脂肪酸に着目した。特に血中遊離脂肪酸の30-40%を占める長鎖飽和脂肪酸であるパルミチン酸に着目して実験を構築した。長鎖飽和遊離脂肪酸の果たす役割を検討する方法として我々が独自に確立した単一種遊離脂肪酸の経静脈的投与法を利用し、さらにそのメカニズムのとして、免疫細胞の活性化・動員、それに続く慢性炎症の心機能障害への寄与を解析した。まずパルミチン酸持続投与モデルにおいて心室のmRNAレベルを検討すると、パルミチン酸負荷が心臓内に炎症を惹起する事を確認した。さらに、フローサイトメーターにより細胞集団の変化について検討をおこなうと、免疫細胞の集積が生じており、このことが炎症の惹起においては一つの重要なメカニズムであることを見いだした。メタボリックシンドロームの病態においては、代謝ストレス以外にもneurohumoralな刺激が合併することにより病態が惹起されている可能性を考え、アンジオテンシンII負荷をパルミチン酸負荷に加えると、心筋内の炎症が強く増幅されることが明らかとなった。以上のin vivoでの検討を元に、現在心筋プライマリーカルチャーにおけるパルミチン酸およびアンギオテンシン負荷の影響を観察することによって、心筋細胞内での現象と、免疫細胞との相互作用によって生じる現象を分けて考えることができると考え、現在実験系を構築している。
著者
吉田 邦夫 國木田 大 佐藤 孝雄 加藤 博文 増田 隆一 Ekaterina Lipnina
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

バイカル・シベリアのマリタ遺跡は、マンモスの牙から作られたヴィーナスや鳥などの彫像が出土した著名な遺跡である。1928年以来、たびたび発掘されてきたが、出土物の層位が明確になっていない場合が多い。2013年、2014年に日ロ共同発掘調査を行い、層準が明確な資料を得た。また。ロシア国立歴史博物館・エルミタージュ国立美術館・イルクーツク国立大学に収蔵されている資料から年代測定用試料を採取した。これら、小児骨、ヴィーナス像を含む70試料を超える、主として骨試料について、年代値・炭素窒素安定同位体比を得た。同遺跡における複数の地質学的層序と文化層、自然環境とその年代についての重要な知見を得た。