著者
武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

イギリス18世紀の小説が、統御できない欲望への不安を様々な形で描いていることに注目し、この時代を代表する小説家が、それぞれ別の手法でこの問題に取り組んだことを、登場人物の名前の表記に注目することで論証した。また、上記の視点と最近の人類学の知見を組み合わせることで、一般的な文学史で小説に分類されない作品や、小説史の傍流に置かれている作品を組み込んだ、新しいイギリス小説史の構築への土台を築いた。
著者
池田 亀鑑
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1948

博士論文
著者
川野 輝彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

F-Theoryのコンパクト化において7ブレインのWorldvolume理論がGUT理論のゲージ場などを与えるが、7ブレインの交差しているところに局在しているクォークやレプトンなどの物質場の湯川相互作用はフレーバー構造を理解する上で根幹をなす。これまでの研究により、場の3点相互作用について理解が進んできたが、物理的な湯川結合定数を求めるためには、場の理論の解析方法を開発する必要がある。このため、主に6次元N=(2,0)理論と呼ばれる理論を「局所化」という手法を使って研究を進めた。
著者
岩佐 亮明
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

相対代数的K理論の研究を行った。スキームXとその閉部分スキームDのペア(X,D)を考える。興味の対象は、K理論スペクトラム間のK(X)からK(D)への標準写像のホモトピーファイバーK(X,D)である。[Relative $K_0$ and relative cycle class map]ではDがアフィンの時にK_0(X,D)の構造を完全複体の言葉で記述し、応用としてモデュラス付きChow群CH_*(X|D)からK_0(X,D)の適当な部分商へのサイクル写像を構成し、これが全射であることを示した。また、このサイクル写像の核がトーションである証明のアイデアもある。高次の相対K群とモデュラス付き高次Chow群の関係は分かっていることは少ないが、Krishna氏との共著[Relative homotopy K-theory and algebraic cycles with moduli]にて、ホモトピーK理論(WeibelのKH理論)に関しては相対ホモトピーK理論KH(X,D)とモデュラス付きサイクル理論との関係を満足のいく形で確立することができた。すなわち、Atiya-Hirzebruch型のスペクトル系列が存在することを証明した。
著者
藤綱 義行
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1977

博士論文
著者
長崎 晃一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

今回の研究では非局所演算子としてインターフェースの上に埋め込まれたトフーフト演算子について調べた。この演算子は超弦理論側では数枚のD1 ブレーンとして記述できる。多数のD3 ブレーンが重なった系にこのD1ブレーンが端を持つように入れるとD1ブレーンはこのD3ブレーンの世界体積上の磁場と見る事ができる。N枚のD3ブレーンが重なった世界体積上に実現されるゲージ理論はゲージ群SU(N)を持った非可換ゲージ理論になるが、その上に存在する磁荷はYoung 図で表され、それはトフーフト演算子の表現に相当する。この系ではD1 ブレーンの枚数が磁荷、Young 図でいうと箱の数に対応している訳であるが、一般に箱の数を決めてもそれに対応するYoung 図は複数構成できる。こういったことから弦理論側のブレーンの図からは見ることが難しいブレーンの詳細な情報がこのYoung図の表現により調べられるのではないかと期待できる。ここではトフーフト演算子を含んだD5ブレーンをプローブとしてD3-D5系を発展させた系からトフーフト演算子を調べることを考えた。 結果、D3ブレーン上の磁場を積分する事によって得られるチャージとYoung図を構成する箱の数に確かに対応がつけられる事を確かめた。さらにAdS/CFT対応についての検証を進めるため、次のようなゲージ理論を考えた。ゲージ理論をリーマン面上にコンパクト化した理論が最近活発に研究されている。例えばBeniniたちは中心電荷の計算をリーマン面にコンパクト化した理論において計算している。私はこの理論においてリーマン面上に境界がある場合への一般化を試みた。そして超対称性がN=(2,2)という場合において't Hooftアノマリーとの関係から中心電荷を求める事に成功した。また境界条件としてGaiottoとWittenが提案したNS5-境界条件がリーマン面の境界においても可能である事を確認した。
著者
西山 勝暢
出版者
東京大学
雑誌
東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
vol.26, 2001-03-29

平成12年度共同利用研究集会「北太平洋北西部とその縁辺海の水塊変動と循環」(2000年8月24日~25日, 研究代表者:岩坂直人)講演要旨Variations of water masses and circulation in the northwestern North Pacific and its marginal seas(Abstracts of scientific symposia held at Otsuchi Marine Research Center in 2000)
著者
祐成 保志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

米国におけるハウジングの社会学において,L. ワースらによって提示された「政治経済学」と,R. K. マートンらによって探求された「社会心理学」の系譜が,H. ガンズに至って「エスノグラフィ」を介して接続され,「いかにして実効的環境を記述・分析するのか」という理論的・方法的な基本問題にたどり着いた。このプロセスを追跡できたことが本研究課題の第一の成果である。こうした方法史的な検討を経て,複合的な行為・状態としての「住むこと」をいかに保障するかという,社会政策としての住宅政策における基本問題を明確にできたことは,本研究課題のもう一つの成果である。
著者
石原 比伊呂
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成23年度において、これまでと同様に研究を順調に進展させた。具体的には「足利将軍家と笙」(『日本歴史』766 2012)、「足利義嗣の元服」(『東京大学史料編纂所研究紀要』22 2012)を発表し、また近々に「北山殿行幸再考」(『年報中世史研究』37 2012)、「義詮期における足利将軍家の変質」(『鎌倉遺文研究』29 2012)が公刊されることとなっている。一年間に4本の論文発表は研究者として十分すぎる成果であり、また、鎌倉遺文研究会にて「義詮期における足利将軍家の変質」(2011年6月24日早稲田大学文学部第2会議室)、中世史研究会(名古屋)にて「足利義材の近江出陣と笙」(2012年2月28日国鉄会館7階「桜・梅」)と2本の口頭報告を行い、更には書評として「書評と紹介桃崎有一郎著『中世京都の空間構造と礼節体系』」(『日本歴史』757 2011)を公表した。「足利将軍家と笙」においては、一九九〇年代より盛んになっている雅楽史を政治史に絡めて考究するという研究動向を踏まえ、それらの諸研究における不備を指摘するとともに、室町時代における雅楽(笙)と将軍家の関係について、その全体像を明らかにした。「足利義嗣の元服」と「北由殿行幸再考」は、姉妹編とも言える内容である。ともに、足利義嗣という存在、すなわち足利義満の庶子について、改めて、その政治的位置づけを考え直した。さらに、「義詮期における足利将軍家の変質」は、本研究課題が「室町時代における公武関係の研究」と銘打っていることを鑑みたとき、最も成果として重視すべき内容となっている。上述の三本の論考は、どちらといえば、既存の「室町時代における公武関係の研究」に存在する誤りを是正し、不足分を補填するという要素が少なくなかったのに対し、本稿は、既存の枠組みを正面から全面的に書き換えることを意図した内容となっている。また、口頭報皆や書評についても、室町時代の公武関係を考究したものである。
著者
吉村 功
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1964

博士論文
著者
横井 慶子
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

[研究の目的]論文を雑誌上でOpen Access化(以下ゴールドOA)する際に支払うArticle Processing Charge(以下APC)は年々増加傾向にある。その一方で購読誌への支払いも続いており, APC支払額の増加は大学にとって大きな負担である。本研究では, ゴールドOAを推進するイギリスの事例を調査し, 同国のAPC支払いの最新実態を明らかにすることで, わが国における最適な学術雑誌契約モデルを検討することを目的とする。[調査方法]Research Councils UK(RCUK)やCharity Open Access Fund(COAF)等のイギリスの助成団体の報告書を中心とする文献調査, 及びRCUKが助成したゴールドOA論文18,215件のデータ分析を通し, APC支払い状況を調査した。また一部の大学職員へは直接インタビューを行い, 具体的な大学の対応事例を調査した。[調査結果と考察]OA論文数の増加, 及びAPC価格の上昇により, イギリスのAPC支出額は上昇傾向にあった。RCUKの支出額は10,793,817ポンド(2014-15年)から15,935,714ポンド(2015-16年)と1年で47%上昇, COAFの場合は4,992,434ポンド(2014-15年)から6,600,690ポンド(2015-16年)と32%上昇していた。RCUKから2014-16年間に助成を受けたゴールドOA論文18,215論文のうち, Russell Groupに属する大学の平均は616論文であり, Russell Group非所属大学の平均63.3論文の約10倍の値だった。ただしRCUKからの助成額は, Russell Group所属大学では平均284,445.96ポンドで, Russell Group非所属大学の42,426.45ポンドの7倍であり, Russell Group所属大学は, 外部資金への依存度が低い中でAPC支払いを行っていると推測される。Russell Groupに属しOA論文生産数が2番目に高かったCambridge大学では, 大学がAPC補助を行うことはせず, 外部の助成団体から得た助成金の使途を管理しているだけとのことだった。ただし, オフセット契約に対する予算は大学からついており, APC支出額を抑えるための努力はしている。日本でも論文生産数の多い研究中心の大学では, このような措置をとることで全体の支出額を抑えられる可能性がある。
著者
北岡 祐
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

運動により、骨格筋においてミトコンドリア新生に関わる遺伝子の発現が高まることが知られている。本研究では、DNAのメチル化状態の変化が運動による骨格筋の適応に重要な役割を果たす可能性について検討した。DNAメチルトランスフェラーゼのタンパク質量は、トレーニングによる変化はみられなかった一方で、除神経によって増加したことから、DNAのメチル化は不活動による骨格筋の適応に関与する可能性が示唆された。
著者
高橋 伸一郎
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

成長ホルモン(GH)は、インスリン様成長因子の産生を介した成長促進活性を有するが、同時にインスリン抵抗性をはじめとした種々の代謝制御活性を示し、GHの長期連用は糖尿病を誘発する可能性があるなど、臨床上問題となっている。しかし、GHによるインスリン抵抗性の発生機構は、全く明らかとなっていない。本年度、本研究では、3T3-L1脂肪細胞をGHで長時間処理後インスリン処理し、インスリンの細胞内シグナルを詳細に検討した。その結果、GH前処理により、インスリン受容体のチロシンキナーゼ活性や基質のひとつであるIRS-1のチロシンリン酸化は変化しないにも関わらず、もうひとつの受容体キナーゼ基質IRS-2のインスリン依存性チロシンリン酸化が抑制され、更に下流シグナル分子Aktのインスリン依存性活性化も抑制されることを見出した。そこで、恒常的に活性化しているAktを3T3-L1脂肪細胞に強制発現させたところ、GH前処理によるインスリン依存性糖取り込みの抑制が解除され、他の結果も併せると、GH前処理によりIRS-2を介したシグナルが抑制され、GLUT4は細胞膜に移行するのに関わらず、その糖輸送活性が阻害されていると結論された。そこで、GH前処理後のインスリン処理に応答してGLUT4に何らかの分子内修飾が起こっているか、二次元電気泳動を用いて検討したところ、GLUT4の分子内修飾は認められなかった。現在、GLUT4に結合し、GLUT4の糖輸送活性を修飾するような分子の同定を進めている。一方、ヒトGHを高発現するトランスジェニックラットより調製した脂肪細胞では、3T3-L1脂肪細胞と同様に、インスリン依存性糖取り込みの抑制が観察されたが、この糖取り込み抑制は、肝臓でのインスリンシグナルが強められ、インスリン依存性脂肪・グリコーゲン合成が増強されることで補償されることも明らかとなった。
著者
鈴木 正寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

哺乳動物の脳には形態的・機能的雌雄差が存在する。本研究は、周生期のラットの脳の性分化に直接重要な役割を果たす性分化誘導因子として考えられているグラニュリンに着目し、そのニューロンに対する作用を分子生物学的及び細胞生物学的に解明することを目的とした。本年度では、イン・ビボにおけるグラニュリンの視床下部ニューロンの構築に対する作用の検討として、抗グラニュリン前駆体ウサギ血清を用いて、脳内におけるグラニュリン発現分布を免疫組織化学的に検討した。その結果、脳全体において広範な発現が確認されたものの、特に大脳皮質、海馬、視床下部脳室周囲核や弓状核、中脳黒質などでの強い発現が観察された。さらにこれらの領域においてgrn前駆体蛋白を発現する細胞は神経細胞であった。以上の結果は、神経細胞において産生されるgrnが、オートクライン・パラクライン的に神経細胞やグリア細胞に作用し、細胞増殖・分化を制御している可能性を示唆するものであった。さらにマウスグラニュリン遺伝子のゲノム配列を用いて、プロモーターでの転写調節機能の解析やノックアウトマウスの作成を現在進行している。特にノックアウトマウス作成については、現在グラニュリン遺伝子の欠損した胚性幹(ES)細胞の選択が終了し、キメラマウスの作成の段階である。また脳の性分化の誘導される新生期において、エストロジェンを処置し、その後経時的に視床下部を採取し、新生ラット視床下部におけるエストロジェン、アンドロジェンおよびアロマターゼ遺伝子の発現を検討した。エストロジェン投与によりERα遺伝子発現は減少したが、ERβ、AR、AROM遺伝子の発現は増加した。これらの遺伝子発現の雌雄差、および性ステロイドに依存した発現制御は、ラットの脳の性分化において重要な役割を果たすものと考えられた。
著者
小野 泰教
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究では清末開明知識人郭嵩〓(1818-1891)らが中国社会最大の問題点として、当時の「官権」の在り方(官僚・官僚制の在り方)に関心を有していたことに注目し、彼らの間の二つの官権観-一つは従来の政治主体としての士大夫官僚を活性化させるべきとするもの、もう一つは民の意思を実現する行政専門家としての官僚を創出すべきとするもの-の葛藤から清宋政治思想史を描き出すことを目標とした。本研究は三部構成で、第一部は、従来の官権の在り方への懐疑や前述の二つの官権観が西洋認識とともに出現する段階(郭嵩〓・劉錫鴻の議論)、第二部はこつの官権観が地方行政の改革に反映されていく段階(陳宝箴・黄遵憲の議論)、第三部は科挙の是非を中心に国政の改革につながっていく段階(張之洞・袁世凱の議論)である。本年度は、1.第二部につき、従来-地方行政改革とされてきた湖南戊戌変法が、実は本研究第一部から続く官権観の議論の実現として捉えることが可能であることを明らかにし、第一部と第こ部を連結させた。2.研究に着手してまもない第三部につき、中国社会科学院により洛陽で開催された「第三届中国近代思想史国際学術研討会」に参加、第一線の中国人研究者から直接指導を受けた。3.第一部から第三部を俯瞰するため、郭嵩〓を起点として1890年代までの士大夫官僚と専門技術者との関係を考察し、この時期一貫して、旧来型士大夫官僚を重視する官権観と、専門技能を有する官僚を重視する官権観との対立があったことを明らかにした。4.知識人の言説に加え事績をも再検討し、研究の精度を高めた。本研究の起点であり、旧来型の士大夫官僚の在り方を重視した郭嵩〓の事績を分析し、彼が財政、外交、民衆教化に同時にかかわっていたことを指摘、専門性を超えた旧来型士大夫官僚の能力を重視する郭の官権観の意義を確認した。研究代表者は本年度(初年度)で日本学術振興会特別研究員DC2を辞退した。